アパートの向かいのデパートの屋上、そこに人がいた。
覗いている場所は向かいのアパートの一室。そこには女性と男性が行為をしていた。
男はうつ伏せになりスナイパーライフルのスコープを使って、窓からその光景を見ていた。最初から。
別に彼にそんな趣味があるわけではない。たまたま目に入ったから、ただ面白そうだから、それを見ている。
二人が感じていた視線とはこの男のことである。
そしてこの男の名前は多良見進。死神、または闇と呼ばれる高校生。
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多良見進は長谷川やステブルスが街に入るまえにこの街に来ていた。
なぜここに来たのか。もちろん別の道具はないか探しにきた・・・のだが
「街に行けばなにかあるかなー…って思ったんだけど…」
街は廃墟とかしており、何かありそうな気配すらない。
多良見は少し不満だった。RPGだと何かしらはある。しかし、現実はそう甘くはない。
「どうしようか…何かあるかな…まずは歩こう!」
しばらくして、多良見はデパートとアパートがある場所についた。
どちらも廃墟、多良見は少し迷っていた。
「えーと…こういう場合はどちらかに敵がいるパターンだね…どちらにしようかな…」
RPGではどちらかが正解でどちらかがハズレ、ハズレは敵と戦うと、勝手に多良見はそう思っていた。
しばらく考えた末、デパートに行くことにした。理由はアパートよりも面白そうだから。
そしてデパートのほうに歩き出した。そして少し呟く。
「アパートに期待だね!誰かがなにかしてくれることに期待しよう!」
実際このあと、ステブルスと長谷川燐が行為をするのだが、多良見は知る由もない。
このあと多良見はスナイパーライフルで、その行為を見るのだがそれも知る由もない。
見ている途中に誰かに会うことも知る由もない。
□□□
問野はE-4の街にいた。当初の目的である、散策を終えたところだった。
しかし、家を覗いても、イスやテーブルなどの家具が置かれてるのみ。何もなし。
スーパーとかの店に行っても棚には何もない。
「なにもなし…か…」
つまり収穫はなにもない。どこを探しても何もない。
いたのはネズミとかクモとかそれくらいだった。
「D-4の街へ行くとしよう。」
D-4の街へ行けばなにかあるかもしれないと考えた問野はすぐにD-4の街へ向かった。
そして例のアパートとデパートの場所につく。
アパートに行けばもれなく行為の現場を見学でき、デパートに行けば、それを観察する多良見がいる。
問野は迷いに迷った末、デパートに行くことにした。
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多良見はデパートの屋上でうつ伏せになり、スナイパーライフルでアパートを覗いていた。
期待通りの結果に多良見は満足していた。なぜなら生で行為を見れているのだから。
彼にはそのような趣味はないのだが、暇つぶしとしてそれを見ることが多かった。
1ラウンド目が終わり、2ラウンド目に突入していた。騎乗位の体制でやるらしい。
「よかったー!期待通りの結果になって。危うく見逃すところだった…」
チャキッ
銃を構える音。多良見はゆっくりと立ち上がり、後ろを向いた。
そこには銃を構える、女性の姿があった。
多良見は少し驚いた表情をすると、すぐに不敵な笑みを浮かべた。
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デパートの棚はなにも残っていなかった。他の店と同じように。
あまり期待はしていなかったが、やはり何者かが取り除いたに違いない。
のこるは屋上。恐らくはなにもない。しかし行ってみるだけ行ってみようと問野は考えた。
ゆっくりと階を上り、ドアを開ける。するとそこにはうつ伏せになりスナイパーライフルを構える男性がいた。
様子見として銃を構えることにする。
男性はゆっくりと立ち上がり、こちらを向く。驚いているが、すぐに不敵な笑みを浮かべた。
不気味…そう感じた。
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銃を構えた女性がこう言った。
本心としては乗っていると言いたいのだが、言えば確実に殺される雰囲気。仕方なく
「もちろん!乗っているわけないじゃないか!」
いつもの笑みをやめ、満面の笑みを浮かべる。
しかし、これは逆効果だった。やっべ…満面の笑みは間違いだった…
「本当か?人を殺しているんじゃないのか?」
「うん。殺したよ。」
正直に素直に今度は言ってみる。しかし、ふと思う。
あれ…死亡フラグかな?これ。今にも引き金を引きそうだよ?この娘。
「やはり、殺し合いに乗っているのか。」
「いやいや!乗ってない乗ってない!第一そっちも殺したんじゃないの?」
適当に言ってみるが、どうやら当たったらしい。
女性が銃を下ろす。
「確かに殺した。しかし、私は乗っていない。私の邪魔をしたから殺しただけだ。」
「ふーん。じゃあ僕も同意見!僕も邪魔だから殺したんだ!乗っていないよ。」
「しかし、かといって嘘を言っている場合も…」
「だとした君にも当てはまる。人のことは言えない。」
女性は黙り込む。うん、同盟を組むなら今しかない。
いつもの不敵な笑みを浮かべて提案をした。
「じゃあさ、お互いを見張るってのはどう?もし、僕が人を殺したらそこで僕を殺せばいい。どう?」
「ふむ…もし、私が隙を狙って、お前を殺そうとしたらどうする?」
「大丈夫大丈夫。僕はあなたに殺されるような人間じゃないから!」
「きさまは裏切ったり、人を殺したりしないか?」
「もちろん!裏切ったりしないとも!人も殺さないとも!」
「どう同盟を組む?組まない?組まないのであれば、僕は即座に君を殺すけど。」
女性は少し黙り考え込む。恐らくこの男は約束を守るだろう。
そして結論を出した。
「その言葉忘れるなよ。いいだろう同盟を組んでやる。」
「分かった。ちゃんと約束は守るよ。ところで君の名前は?」
最初に名前を聞くのを忘れていたので、同盟を組んだ今、名前を聞く。
「問野七式だ。よろしく頼む。」
「僕の名前は多良見進。よろしくね!」
とりあえずは握手をした。
「問野七式…言いづらいからシキちゃんで良いかな?」
「勝手にしろ。それよりそのSVDでなにを見てる?」
どうやらそのスナイパーライフルの名前はSVDだったらしい。知ってたけどね…
しかし、そんなことは問題ではない。問野はそれを覗き込む。
「わーー!!見ちゃダメ!」
しかし、時すでに遅し、問野はアパートで起こっていた行為を見てしまった。
そして顔を上げると、多良見に向かって、言い放った。
「きさまはこんな趣味をしているのか?」
「いや、違うんだよ?これは暇つぶしで見てるのであって…」
このあと誤解が解けたのは街を去ったあとだった。
【D-4/街/一日目・夜】
【多良見 進】
[状態]いたって健康だよ。
[装備]日本刀が一つと、SVDが一つかな。
[道具]支給品一式。それくらいだね。
[思考・行動]
基本は生き残ろう!
1はシキちゃんと行動しよっと。
2は…2は…うーん…約束を守ろう。
【問野 七式】
[状態]健康
[装備]ハンドガン
[道具]支給品一式、RPG-7×1
[思考・行動]
基本:生き残る
1:多良見と行動。
2:多良見を警戒する。
最終更新:2012年03月01日 20:13