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オープニングセレモニー

0話「オープニングセレモニー」

……ここはどこだろう?
私はどうやら固い床の上に倒れているみたいだけど、何も見えない。
暗闇。一筋の光も無い真っ暗闇の空間だ。
私は……確か……。

そうだ……私は死んだんだ。

クラスのみんなで殺し合いをさせられて、私は確か、苗村さんに頭を撃たれて、
気がついたら草原に横たわっていて、そこで二階堂さんと話をして――。

そこで私の意識は途絶えている。

なら、ここはあの世なのかな? 天国? それとも地獄?

そんな事を考えている矢先、真っ暗だった視界に急に眩しい光が差し込んだ。
眩しさに目を固く瞑る。そしてしばらくして光に目が慣れてきて、上半身を起こして辺りを見回した。

私が今いるのは、オペラハウスのような、広い円形のホールだった。
前方にステージらしき壇、後は豪華な木彫りが施された木製の大扉が一つだけ。
天井には大きなドーム型のガラス照明がある。さっきの光の正体はあれだろう。
そして、ここにいるのは私だけじゃ無い、大勢の人達がこのホールにいた。
まだ気を失っている人もいるけど、起き上がって困惑の表情を浮かべている人も多い。
扉を開けようとしている人も数人いたけど、どうやら開かないみたい。
赤いノースリーブのジャージを着た男の人、小学校低学年くらいの少年、
私と同年代と思われる、私とは別の学校の制服を着た狐族の少女、
そして……っ!?

「ノーチラス!?」
「う……エルフィ、か?」

死んだはずの茶色い毛皮を持った狼族のクラスメイト、ノーチラスがいた。
よく見れば他にも、ノーチラスと同じく放送で名前を呼ばれたはずの猫族のハーフ、シルヴィア、
それと恐らく私が死んだ時点ではまだ生きていたと思われる、
フラウ、サーシャ、森屋英太、北沢樹里、太田太郎丸忠信、吉良邑子の姿も確認出来る。

「どうして、あなた死んだはずじゃ……」
「ああ、確かに俺は死んだはずなんだけど……どうなってるんだ? ここはどこだ?」
「分からないわ……私も気がついたらここにいたの」

現在自分達が置かれている状況について二人で考察していた時だった。

「はーい皆さーん、お待たせしましたー」

どこからか、若い女性の声が響いた。
私とノーチラスを含め、ホール内にいる人々が声の主を探していると、
突然、壇の上に紫がかった光と共に、一人の狼族の女性が現れた。
人々の視線が、一斉に壇の方へと向けられる。
黒と白の毛皮に、これまた黒を基調とした、
ベルト付きの詰襟の丈が長いコートのような衣服に白いズボン、黒いブーツという格好。
オッドアイで、右目の瞳が血のように赤く、左目の瞳が深い青になっている。
胸の膨らみは……大きい。かなり大きい。クラスでも巨乳と有名な仲販さんも負けるかも……って、そんな事どうでもいいでしょ!
見た目、年齢は20代前半……ぐらいだろうか。

「どもー初めまして。自己紹介させて貰いますね。私はセイファート。知ってる人もいるかナ?
よろしくネー」

セイファートと名乗った狼族の女性は、尻尾を振りながら、
やけに明るい口調とにこやかな笑みを浮かべながら話す。
一見すると非常に朗らかで明るい人に見えるけど……。

「えっとねー、今日皆さんにここに集まってもらったのは、他でも無い、
私が考えた楽しい楽しいゲームの、プレイヤーになってもらうためでーす!」

「ゲーム? プレイヤー?」
「……なあ、エルフィ、前にもこんな光景見た事無いか?」

ノーチラスの言葉に、私は記憶の糸を手繰り寄せる。
確かに、同じような光景を見た事がある。集められた人々、ゲーム……。
……ちょっと待って、まさか……。

「そのゲームの名前は『バトルロワイアル』! ……これから皆さんには、殺し合いをして頂きます」

ホール内の人々がざわめき立つ。
私とノーチラスの予想は最悪の形で当たってしまった。
クラスメイトでやらされた殺し合い。何人も死んで、ノーチラスも、私も、一度は死んだ、殺し合い。
一体なぜ死んだはずの自分やノーチラスが、今生きてこの場に立っているのかは分からないけど、
また……また、あの殺人ゲームをやらなきゃいけないの……? 嘘でしょ……!?

「ふざけんな! いい加減にしろよ!」
「私は倭国の摂政だぞ! こんな事をしてタダで済むと思っているのか!?」
「た、太子、やめた方がいいですよ……」
「あー? 何ぞ殺し合いって。どうなっとるんぞこれ」
「何でそんな事しなくちゃいけないんですか! あなたは一体何者なんですか!!」

人々がセイファートに抗議の声をあげる。当然の反応ね……。

「うるさいなぁ……」

セイファートがうんざりといった表情で、怒声をあげる人々を見渡す。
すると、突然何やら呪文のようなものを唱え、右手を高く掲げる。
直後、人々の首――勿論、私の首にも――に、光の輪が出現し、しばらくしてそれは銀色に光る金属製の首輪に変化した。
突然現れた首輪に人々の抗議の声は止み、自分の首にはめられた首輪を物色する。
この、首輪は……!

「その首輪はね、このゲームをスムーズかつ、確実に行うためのものなの。
皆さんがもし、私に逆らったり、逃げようとしたり、その首輪を無理に外そうとしたりすれば――」

そう言いながらセイファートはどこからか取り出した小さなリモコンらしき物を人々に向け、

「こうなるからね!!」

スイッチを押した。

ピィ―――――バアン!!

「うわああああああああああああ!!」
「きゃああああああああああああ!?」
「ひっ、ひいいいいい!!」

短い電子音の後に、爆発音。そして悲鳴。
音のした方向に目をやれば、一人の男性が首から血を噴き出し、うつ伏せに崩れ落ちる様が見て取れた。
その光景はまさしく、あの教室でクラス委員長のラトが死んだ時と、ほとんど同じだった。
もう、抗議の声も怒声も聞こえない。逆らえば、殺されるという事を、人々は自覚したのだろう。

「あーやっちゃった。その人の名前、名簿から消しておかないと。
でもいいか、48人なら数的に区切りが丁度良いし」

セイファートはたった今、人を一人殺した事など全く気にしていない様子だ。
そんなセイファートに怒りの視線を向ける人もいたけど、それだけだった。
その視線を知ってか知らずか、セイファートは説明を続ける。

「じゃ、今からルールの説明しますから、よく聞いて下さいねー。
今から皆さんには私が用意したバトルフィールドにワープして貰うから、
そこで最後の一人になるまで殺し合って下さい。
最後まで生き残った一人だけ、元の自分の世界へ帰れますよー。
後、何か一つだけ、好きなご褒美を差し上げまーす。死者の蘇生とか、力が欲しいとか、ね。

皆さん一人一人には、支給品が入ったデイパックを渡します。
中身は地図や名簿といった基本的な物と、ある程度の水と食糧、そして、
ランダム支給品なるものが一個或いは二個入っていまーす。
ランダム支給品は武器や防具といった役に立つ物が多いですけど、ハズレもあるよん。
ゲームが始まったら皆さん各自で中身は確認して下さいね。
水と食糧は無くなったら自分で何とかして下さい。
後、デイパックには何でも入れられるよう私がちょっとしたおまじないを掛けてるんですが、
皆さんが入る事は出来ないようになってるので注意して下さーい。

ゲームが始まって6時間毎、つまり6時、12時、18時、24時に私から放送を流しまーす。
放送内容はその時刻までに新たに死んだ人の名前と、入ると首輪が爆発する禁止エリアの発表です。
聞き逃さないようにしてネ。

制限時間は無制限、なんですけど、最後に死んだ人が出てから24時間、
新しく死んだ人が一人も出なかった時は、もう皆さんやる気無しと判断して、
その時点で生き残っている全員の首輪を爆破させて頂きます。
まあ、多分そんな事はまず無いとは思うけど。

首輪についての説明はもう不要ですかね。でも一応もう一度説明しますね。
その首輪は無理に外そうとしたり、逃げようとしたり、私に逆らってなおかつゲームに支障を来すような行為をした時、
そして禁止エリアに入った時……さっきの人みたいに爆発します。
防水性も耐衝撃性もバッチリですから絶対に壊れないので覚えておいて下さいましー。

あー最後に、さっき死んだ人、夢野カケラさんは名簿から外しておきますので。
ゲーム開始時に皆さんに配られる名簿には、
夢野カケラさん以外の48人の名前が載る事になります。

こんな所かナ? 分かってくれました皆さん?」

私、ノーチラス、そして人々は黙ってセイファートのルール説明に耳を傾ける。
いや、傾ける以外に選択肢など無かった。

「それじゃあ、ゲームの始まりでーす! 皆さん、頑張って下さいねー!」

セイファートが再び右腕を高く掲げるのと同時に、
私達の足元に大きな光輝く魔法陣のようなものが出現し、直後に眩い光が私達を包む。
そして、次第に妙な浮遊感を感じ、意識が遠退いていった。

……また、殺し合いをしなくちゃ、いけないなんて……。





「……さあて、どうなるのかなぁ」

一人の男の死体が残された円形ホール内で、壇上の狼獣人の女、セイファートが、
さっきまでの明るい表情と口調からは想像出来ないような、
残忍な笑みを浮かべて呟いた。





かくして狂った殺人ゲームは開始された。

48人の不運なプレイヤー達は、それぞれどのような行動に走るのか。

物語はどのような結末を迎えるのか。

それはまだ、誰にも分からない。




【夢野カケラ@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和  死亡】
【残り  48人】

【バトルロワイアル  開幕】




GAME START 時系列順 NEXT:Forest of midnight
GAME START 投下順 NEXT:Forest of midnight
GAME START エルフィ NEXT:新たな道は
GAME START ノーチラス NEXT:乱れよ、凄絶に
GAME START セイファート NEXT:第一回放送(個人趣味ロワ)
GAME STRAT 夢野カケラ GAME OVER

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最終更新:2010年02月12日 00:13
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