37話:背後注意
放送の後、豹の青年古澤由樹は再び町中を徘徊していた。
自分が殺害した織田亜耶乃の名前は勿論呼ばれた。
だが先刻遭遇したクローイなる少女の名前は呼ばれ無かった――つまりまだ生きている。
「まあ、呼ばれたら拍子抜けだったけどねぇ……にしても結構、やる気になってる奴はいるのかな」
四時間で16人死んでいるのだ。
殺し合いに乗っている者は自分とクローイ以外にもそれなりの数がいるのだろう。
一人で何人も殺している猛者がいるのかもしれないが――と由樹は考えていた。
「何にせよ俺は、会った奴は殺すだけだけどな」
不敵な笑みを浮かべながら、由樹は獲物を捜す。
しかし、獲物を捜していたのは彼だけでは無かった。
「がっ」
由樹の首に背後から電気コードが巻かれ、思い切り絞め上げられる。
呼吸と血流が遮断され激しくもがく由樹。
首のコードを外そうとするが絞め上げる力がそれを許さない。
泡を吹き、涙が意図せずに溢れ出てくる。
「げぶっ、ぐ、え、………」
呆気無い幕切れだと、苦しみつつも由樹は心の中で自嘲気味に笑った。
自分はここで終わる、ならせめて最期に自分を殺す下手人をこの目で見よう。
由樹は最期の力を振り絞って視線を上に向けた。
冷たい目で自分を見下ろす獅子の男の顔が見えた。
(ハッ……良い男、だな……)
その感想が、由樹の最後の思考となった。
豹青年が完全に脱力し、動かなくなった事を確認すると、獅子の男――遠矢英教は、
青年の所持品を漁り始める。
そしてS&WM945自動拳銃と予備弾倉、催涙スプレーを手に入れ、
英教は装備をM945に切り替えた。
「さて行こう」
強力な武器を手に入れた事で少し機嫌が良くなった英教は、
早々に次の獲物捜しを始める。
【古澤由樹 死亡】
【残り 16人】
【午前/E-5市街地】
【遠矢英教】
[状態]鼻を負傷、全身にダメージ(多少回復)
[装備]S&WM945(5/8)
[持物]基本支給品一式、S&WM945の弾倉(2)、催涙スプレー、.22ショート弾(4)、
ハイスタンダードデリンジャー(2/2)、コンバットナイフ、千切れた電気コード、鉈
[思考・行動]
0:生き残るために殺し合いに乗る。
1:次の獲物は……と。
[備考]
※特に無し。
最終更新:2012年05月25日 01:01