××××××
わたしにとってショッピングセンターは娯楽施設だった。
近所に友達もいず、貧乏でおもちゃも買ってもらえなかったわたしにとって、
パパとママがおかいものをしてる間に遊べるチルドレンコーナーが唯一の遊び場だった。
だからあの日もわたしは、うきうきしながらショッピングセンターに行った。
――ねえ、××××。
――ちょっと長いおかいものを、するから。
――このスナック菓子を食べていてね。すぐ、戻ってくるから。
あの日パパとママはそう言ってわたしにスナック菓子の袋を渡して、
――そして、ショッピングセンターの人の波に消えた。
わたしは言いつけはちゃんと守る子だった。
だからわたしはちゃんと待った。
ショッピングセンターの営業時間が終わるまで、涙なんて流さずに待ち続けた。
世界が時に残酷であることを、幼いわたしはまだ知らなかったから。
バカみたいにずっと、スナック菓子を食べながら、待っていた。
夜になって、
ショッピングセンターの人につかまって。
おまわりさんに引き渡されて、いろいろあって施設のひとに引き渡されても、
わたしはスナック菓子の袋を離さなかった。
こうなってまでもまだ、わたしはパパとママを信じていたのだ。
きっと帰ってこれなくなっただけなんだ。
パパとママはわたしのもとに帰ってこなかったのではなく、
あの娯楽施設に吸い込まれてしまって、帰ってこれなくなってしまっただけなんだと。
そう信じてしまうくらいに。
ううん、いまでもたぶん、信じているんだ。
だってあの日のわたしはまだ、あの幼い姿のまま、娯楽施設の中に居て。
パパとママの帰りを、永遠に待ち続けているのだから。
××××××
「……ずいぶんと勝手な真似をしてくれましたね」
スナック菓子をひたすらにほおばりながら、私はモニターに向かって言葉を吐く。
「でもまあ、いいでしょう。誰の願いが叶おうと、実験に滞りなし」
電話線を指で弄びながら呟くのは余裕のことばか、それとも、負け惜しみなのか。
ゲームの進行役たる私にもそれはまだ、分からない。すべてが決まるのはこれからだ。
盤に残るは六つの四字熟語。明確なマーダーは残り一人。
しかし複雑に絡み合った約束(ルール)は、ここからさらに局面を二転三転させることだろう。
「さあ、まだまだここから、世界は回る。きっとわたしも退屈しない」
モニターの向こうをゆったりと見つめながら、私はそんなことを思っている。
まるで無我夢中にヒーローアニメの続きを待つ子供のように。私たちは殺し合いを楽しんでいる。
そして――最終戦は、始まった。
37◆最終戦Ⅰ 作戦開始
この娯楽施設からは、何故か徹底的に時間の経過を示すものが排除されている。
空はいつまでも変わらぬ曇天だし、風なんかも弱く、空気の湿度や温度も変わらない。
なにより時計がある場所を探す方が難しいくらいに時計自体が常在しない。
どうして、娯楽施設には時間の経過を知る術がほぼないのか。
かつて施設の作成者を女性ではないかと推察した勇気凛々は少しそれについても考えていたが、
結局その答えは見つからないままだった。
ともかく――紆余曲折、一刀両断、切磋琢磨、優柔不断、勇気凛々の五名は、
その短い放送によってようやく、休憩時間の終わりを知ることとなった。
『準備は済んだか。では、来い――己は中央階段だ』
簡潔に、最終戦の提案者にしてジョーカーたる傍若無人は、決戦の場所だけを告げた。
約束通りの、二回目の臨時放送。最終戦の開始の合図。
こちら側が休憩時間の長さを指定する代わりに、あちらは最終戦の場所を指定する。
そして告げられた場所は、C-1中央階段。
A-1、B-1、そしてB-3、C-3の四ヶ所が禁止エリアに指定された現状において、
ある種の袋小路となっている場所だ。迎え撃つには、うってつけ。
だから傍若無人がその場所を指定してくることを、五人はすでに読んでいた。
「やっぱり中央階段か。ま、あそこに構えとくのが一番戦いやすいよな」
「作戦も最初に決定したやつで大丈夫ですね。他のパターンもありましたが、杞憂でしたか」
一刀両断が憮然とした反応を返し、紆余曲折が続けて胸をなでおろした。
ただし紆余曲折のそれはちら、と横にいる一刀両断のほうを見ながらで、
傍若無人に対してではない。
実は、彼の考えている“作戦”は最終戦の場所が中央階段でなければ不可能なものだった。
それを一刀両断は知らない。ゆえに二人の反応は、同じように見えて少し異なった反応になった。
二人の後ろで切磋琢磨と優柔不断もまた、胸をなでおろす。
こちらは紆余曲折から真の作戦を聴いているので、彼と同じ反応。
そして一刀両断と同じ反応をしたのは、彼女とガールズトークをしていた勇気凛々。
同じく何も知らされていない彼女は、少しバージョンが古い方の作戦の確認をする。
「では予定通り、わたしと優柔不断さんの二人と、紆余さんたち三人。
二グループに分かれて挟撃する作戦――これで行く、ということで良いですか?」
「ん、そーいうことになるな、凛々ちゃん」
「ああ。俺と一刀両断が先に奴と交戦。その間に二人は奴の後ろに回って隙をつく。
奴は対応できるだろう。だがそうしてさらに生まれた隙に、俺がクリーンヒットを、打ち込む」
優柔不断が軽く返し、
がしんとボクシンググローブを撃ち合わせて切磋琢磨が問いに応える。
「決めの一撃は、任せてくれ。凛々ちゃんと戦ってさらに俺は《強くなった》。
そっちは気を引いてくれるだけでいい――“他にはなにもしなくていい”」
本当は優柔不断たちには役目が増えたのだが、それはまだ伏せておく。
まずは新旧どちらの作戦でも、五人は二手に分かれる。
メインで戦闘するのは切磋琢磨。その補佐に一刀両断と紆余曲折。
不意打ちを狙うのは身軽な勇気凛々。その補佐に優柔不断。
「結局、戦力配分とか考えたらこの分け方になってしまったな」
切磋琢磨が呟く。奇遇にも、五人は綺麗に合流前のチームに分かれた形だ。
「ですね。コンバートできるとしたら優柔不断さんと紆余さんですが、わたしたちの移動距離と時間を考えると……」
「目の見えない紆余には少しきついからな。ま、変える必要性も特にないし」
「すいません。僕は正直、この局面では足手まといにしか……。
本来ならここに置いていってもらったほうが、勝率が上がるかもしれないくらいですが」
「そんなこと言うなよ。オレだってせいぜい凛々ちゃんの壁にしかなれんのだぞ」
「まあそうですが」
「ってあれ、否定してくれなかった!」
紆余曲折は少し俯いた。
実際のところ、彼の考えた作戦すべてにおいて彼の出番はない。
目が見えない――自発的に動けないという縛りのある駒は乱戦では役に立たないのだ。
本人に戦闘能力が無く、回避能力しかないならなおさら。
紆余曲折の能力は攻めにはとことん向いていない。
「ですが、やはり僕だけ安全な場所に居るというのは我慢できません。
付いて行かせてください。それで僕が死んだら、僕の責任で構わないですから」
しかし紆余曲折には、それでも決戦の地に行く理由があるのだ。
「――あのな。忘れたのか紆余。お前はあたしが殺させねーよ」
と。少し身体をこわばらせた紆余曲折の肩を、一刀両断がぽんと叩いた。
「リョーコさん」
「元よりお前を1人にさせるとかねえから。傍若無人はジョーカーなんだぜ。
もしかしたらこっちにあたしたち4人を引きつけておいて、
残ってる紆余を会場に潜んでるもう一人のジョーカーで殺すなんて算段かもしれねえだろ。
相手がどんな手を使ってくるのか分かんない以上、あたしのそばに居てもらわねえと困るんだよ」
「……そう、ですね。ありがとう、ございます」
「うーんアツアツですなあ。オレも凛々ちゃんにそばにいてよって言ってほしい」
「おいおい違うぜ優柔不断。これは契約の話だ。個人的感情は、無ぇよ」
「ほんとにー?」
「ああ」
「……ふぅん」
冷やかしの奥で、一瞬優柔不断は言いかける。
――ほんとにその“契約”はまだあんの?。
でも胸にしまう。今はそれを問いただすべき時ではないからだ。
若干の沈黙。
何も知らない勇気凛々は頭にハテナを浮かべて、その後恐る恐る問うた。
「ええと、それじゃあ、意思確認も終わりましたし。そろそろ動きましょうか?」
「あ、ああ、そうだな」
「作戦通りわたしと優柔不断さんがC-2方面から裏へ。
紆余さんたちは、C-1の入り口からそのまま中央階段へ」
改めて作戦の流れを確認する流れに入る。
紆余チームは正面から突入。
相手が待ち伏せしている可能性を考慮し、紆余曲折を中心にした陣形をとる。
突入タイミングがばれることはないはずだが、
こうすることでもしものとき《迂回》による回避行動がとれるという算段だ。
勇&優チームはC-2方面から回って、中央階段に裏から突入。
切磋琢磨や一刀両断と戦闘している傍若無人に時間差で攻撃を行う。
「手筈どおり、おおよそ三十分後。裏からわたしが飛び出て切りかかります」
「ああ。それまでは持たせる。むしろ、三十分でカタをつけるつもりで行く」
「おいおい、オレらが行くまでにバテられても困るぜ」
「でもタクマさんが手を抜いていたら、向こうには奇襲に対応する余裕が生まれてしまいます。
どちらにせよタクマさんにはフルで全力を出してもらうしかありません」
「なぁに心配いらねーよ。あたしもサポートするし、三十分は必ず持たせる。むしろ問題は奇襲の一瞬だ。
そっちがヘマしたら下手したら全滅。しっかりやれよ、お嬢ちゃんと優男」
「……言われなくとも」
「誓いますよ。わたしたちは――もう、間違えない」
確認を終えると、ハリボテの車でつくったバリケードの線を越え。三人と二人は分かれた。
紆余曲折たちは斜めにC-1へ。勇気凛々と優柔不断はC-2方面へ。
様々な思惑を秘めつつ。粛々と、前を向いて歩き始めた。
◆◆◆◆
赤、黒、白、黄、茶、青、緑。
色とりどり、車種は数種類をランダム配置したかのような車の群れ。その中を三人は横切る。
紆余曲折は一刀両断に手を引かれている。ときおり小石を踏みそうになったり、
車にぶつかりそうになったり、そのたびに一刀両断に軌道修正をされながら歩いている。
一刀両断は平常通りといった表情で淡々とそれをしながら、自分は一定のリズムで静かに歩く。
緊張しているのか、会話はない。ただ二人とも真っ直ぐに前を見ている。
「――こうして駐車場の景色を見ていると、老師のことを俺は思い出す」
ただ一人だけ。切磋琢磨は辺りを見回したあと、灰色の空を見上げて呟いた。
「老師……東奔西走のことか。あたしや紆余は、会ってないが」
「ああ。たった小一時間の間だけだったが、確かに老師は俺の師だった」
この実験に連れてこられた人間もとい四字熟語には連れてこられる前の人間関係の記憶がない。
あるいは、肝心な情報が思い出せなくなってしまっている。
だから切磋琢磨が完璧に思い出せて、懐古できる最古の記憶は、バトルロワイアル開始直後。
老師・東奔西走と出会い、手合せし、手ほどきを受けたわずか小一時間の記憶。
「もし――もし、なんてことを少し、考えるんだ。
もし俺が最初に老師に出会わなかったらどうなってたか。
老師に出会い、強さの意味を知って。正しく自分を律せなかったら、どうなってたか。
最初の俺は幽鬼のように強者との戦いを求めていた。いや、とにかく戦いを求めていた。
だからもし、最初に傍若無人や一刀両断に会ってたら返り討ちにされていただろうし、
もし最初に凛々ちゃんや紆余に出会ってたら、殺してしまっていたかもしれない」
可能性の話をすればキリなどない。
だが、戦うたびに強くなる彼にとっては特に、最初に戦ったのが誰なのかは重要となっただろう。
もしもう一度、どこかで同じようなバトルロワイアルに参加させられたとして、
今回のような自分になれるかどうかは分からないのだ。
「そう考えると、なんつーか……数奇なもんだって、思うんだよな。
俺がここにいるのはいろんな偶然が重なった結果で。いろんなものに、感謝しなきゃってさ」
「はっ。数奇ってんなら、こんなふざけた実験に参加させられた時点で天文学的数奇だぜ」
しんみりとしかけた切磋琢磨を鼻で笑い、一刀両断は軽めに突っかかった。
「考えんな、そんなの。人生にもしもなんてねーんだよ。自分で見て、考えて、選んだものだけが全てだ。
最終的にどんな結果が訪れようと、やりなおしなんて利かねえんだから。思うだけ無駄」
「それは……そうだが」
「過去を振り返るのを悪いこととは言わねーけどな。
今からあたしたちは、未来を作りに行くんだぜ。もっと前向けよ、タクマ」
「む」
「前には何がある?」
促されて前を向く。
そこには、六枚続きのガラス――中央の二枚が左右にスライドするタイプの自動ドア式入口。
C-1エリアへの、入口が存在していた。
「入口――そうか。そうだな。大切なのは、今から何をするか、だ……」
「タクマさん、ドアを抜けたら僕を前衛に。僕が風避けになります」
「お、おう。了解だ」
「道が開いたら中央階段まで真っ直ぐ進みます。二人はついてくる形でお願いします。では、リョーコさん」
「ああ。任せろ、すぐ“開ける”」
三人はC-1へと入り込んでいく。
まずは慎重に、《一刀両断》のルール能力で道を開くところからだ。
「自動ドアが開く音で気取られたら、突撃の意味がねぇからな」
六枚続きのガラスの右端一枚を枠に沿って綺麗に《一刀両断》。
そっと押すと、静かにガラス板は倒れていく。
切磋琢磨がそれをひょいと横から掴み、割れるのを防ぐ。
床にそっと下ろすと三人は施設内へ。
包帯を顔に巻いた紆余曲折がここで前に出る。不意打ちへの対抗策。
……中に入ってしまえば、中央階段まではすでにおよそ二十メートルとなっている。
後ろの二人はすたすたと歩きはじめた紆余曲折越しに、そこに罠が仕掛けられていないか、
注意深く観察した。――無し。どころか、むしろ、威風堂々としたものだった。
中央階段のさらに中央。
ソファー地のベンチを移動させてきて。
そのベンチに、男が座っている。軍服めいた服を着た、大柄の男。
傍若無人だ。
二人はごくりと唾を呑み、日本刀に、ボクシンググローブに、力を込める。
一歩。また一歩。
中央階段に近づきながら相手の出方を伺う。
ソファーに座る大男のシルエットは帽子を目深に被って俯いている。
両手をソファーの背もたれにひっかけて脱力体勢。片手にやわらかく手斧を握っている。
まるでかかってこいとでも言っているかのような、挑発体勢だった。
小声で一刀両断が切磋琢磨に告げる。――いっせーの、の「の」で行くぞ。
――ああ。切磋琢磨は答え、中央階段のある広間に差し掛かる二歩ほど前で構えをとった。
「いっせー……」「……二の型」
バネ仕掛けのように力をため、弾くように躍りかかる準備をする。
最小限の動き、最適切な動きで、
狙いを定めた、
その頭上。
中央階段二階から、獲物を牙の圏内に収めた獣の吐息が漏れたのを、
聞くものはおそらく三人の中にはいなかったのだろう。
「「の」!」「“突進”!」
刀は居合、拳は直線で、中央の「それ」に飛びかかった二人は、
ず……と。
まるで太陽を雲が隠すかの如く、自分たちの頭上を黒い影が通過した感覚を得た。
一体何だ? 思う間もなく彼らの初撃は中央の「それ」に吸い込まれる。
胴に地響き。拳のインパクト。
首を狙った極めて鋭い横薙ぎ。
反撃を想定していたこれらはあっさりと、抵抗一切なく「それ」に受け入れられ、
首は飛び、胴体はひしゃげた。――プラスチックと腐肉の感触。
「「!!」」
気付いた二人は「それ」が何だったのかを確認する前に先の影の方へ振り返る。
そこにはまさに今、二階から中央階段広間へと飛び降りてきた、大男の姿があった。
大男は嗤った。
黒いTシャツとGパン、腰にポシェット的な巻き鞄という軽装な出で立ちに着替え、
帽子も脱いで茶の短髪をあらわにした、軍人風の意匠を一切捨てたその姿で。
二人を軽く、嘲笑った。
……切磋琢磨の視界の隅。
衣装売り場のマネキンの首と軍帽とカツラが合わさったものが映る。
そう、忘れていた。
忘れていたのだ。ここはショッピングセンター。
首の代わりも、それに被せる髪も、簡単に手に入れることが可能で。
例えば洒々落々の胴体に厚着をさせた上でマネキンの首を刺して自らの服を着せ、
トレードマークの軍帽を被せてしまえば、この世で最も単純かつ有効なトラップは完成する。
人形を使ったオトリの罠だ。
二階から一階を注視し――こちらの奇襲に返す刀で襲撃できるよう、準備していたのだ!
「……己が四時間の間、指を咥えて待っているだけだと思ったか。
己が四時間の間、傲慢に胡坐をかいて椅子に座りこむと思っていたか。
この最終戦を、己が勝算無しに、自暴自棄に開催したと――そう思ったのか?
もし一塵でもそう思っていたのなら。願ってしまっていたのなら。その甘さを恥じるべきだ」
「紆余!! 逃げ、」
「リョーコさん!? なにが起きてるんですか? なんで僕の目の前に――?」
「己はモノどもに対し、慢心も油断もない。まずは“一つ”」
眼前に敵の存在を感じ取ったのか、狼狽する紆余曲折。
そのか細い体をへし折ろうと傍若無人が歩みよる。一刀両断が叫びながら駆ける。
だめだ間に合わない――いや、間に合う、
まだ、辛うじて間に合うはずだ。
自らも駆け出し始めながら、熱くなった血が冷えた頭で、半ば傍観的に切磋琢磨は分析した。
紆余曲折には攻撃を《迂回させる》ルール能力が備わっている。
たった4秒。されど4秒。
それだけあれば二人で攻撃の間に割り込み、紆余を救うことは可能だ!
とん。
しかしそんな切磋琢磨の予測をせせら笑うかのように、
傍若無人の拳が、紆余曲折の腹部に“密着”した。
「……な」
「え」
「“ゼロ距離から攻撃を始めれば”、《迂回》などできまい?」
――傍若無人は言っていた。
開始時点で自分には、参加者の簡単なルール能力が全て分かっていたと。
つまり、どの四字熟語に対しどうすれば有効打を与えることができるか。
その思考に費やせる時間は他の誰より長かったということだ。
押す。
全身の力の流動を拳の先の一点に集めて、傍若無人はゼロ距離から紆余曲折を押す。
押すまでの動作は攻撃ではない。
銃口をこめかみに当てるまでの動作を攻撃とは呼ばない。
だから、押し付けられたその場所から放たれたゼロ距離のインパクトは、
《迂回》させる余地のない衝撃は、紆余曲折の体に突き刺さった。
「がっ、、!!?」
「紆余!!」
衝撃により感じる痛覚がオートで《迂回》されても、ダメージを喰らった事実は消せない。
紆余曲折はふわりと浮きあがって数mほど空中を横に移動する。
2秒ほどで状況を把握する。
どうやら奇襲を受けたのは自分だったと。
知った紆余曲折は、無理矢理に――とっさの拡大解釈で、
不可避な床への激突を《ダメージを受ける=攻撃である》として《迂回》させようと試みる。
だがせいぜい空中で体を捻るのが限界だ。
ゆっくりと、しかし確実に紆余曲折は床へと近づく。
その途中で《迂回》させていた痛みもフィードバックしてくる。せめて受け身は取れないか。
無理だった。肺と腹部に突き刺さるような痛み。気づけば口から血を吐いている。
とてもまともな体捌きができるような、状態では、ない。
「紆余ッ!!!」
紆余曲折は一刀両断の声を聴いた。すぐ近くで泣きそうな声でこちらに向かってきている。
ああそうかと紆余曲折は合点した。
あれだけ守ると言っておいて、いきなり傍若無人による攻撃を許してしまったのだから、
申し訳ない気持ちでいっぱいなのだろうと推察できた。
でもそれで周りが見えなくなってしまってはダメだった。
まっすぐこちらに駆け寄る一刀両断の横に、二撃目の拳を振りかざす傍若無人の姿があることは、
例え見えずともはっきりと、ありありと想像できるというのに。
風切る音。
「そしてこれで“二つ目”」
ヒトの骨が、きしむ音。
……次いで蛙の鳴き声にも似た、断末の吐息。
サイドから。
今度は大きく拳を振りかぶってのクリーンヒットだった。
一刀両断は防御態勢すら取れずにむなしく吹き飛ばされる。
紆余曲折が床にぶつかり、ごろごろと転がって階段の下あたりで止まった。
その近くへ狙ったかのように一刀両断が飛ばされてきて、
階段の手すりに腰を打ち付けて、ぐるんと回転して頭から落ちた。
最終戦、開始からわずか一分。
力を失った一刀両断の右手から日本刀がカランと落下したのを、切磋琢磨は呆然と見つめる。
「なんだこれは」
「現実だ」
思わずつぶやいた言葉に傍若無人が残酷な回答を返した。
そう。紛れもなく今、目の前で行われたことは、圧倒的な現実だった。
予想はしていた。事前に立てている作戦や計画など通用しないかもしれないと。
予測はしていた。でも実際にそうなってしまうのが、あまりにも、早すぎた。
いきなり一刀両断と紆余曲折が瀕死。
つまり――勇気凛々と優柔不断が奇襲をしかける三十分後まで、
切磋琢磨は“彼らにとどめを刺されないようにしながら”、傍若無人と戦い続けなければならない。
「群れるモノどもに対し、もっとも有効な戦い方を己は知っている。
さあ、どうする“三つ目”。後ろの二人を見捨てる気でかからねば、己は倒せぬぞ?」
参加者たちにとっての枷である首輪を狩り続けた男は、そう皮肉りながら中央へ歩んだ。
切磋琢磨は歯噛みすることしかできない。
後ろに二人がいなければそれを阻害することができるが、守る立場となった今ではそれは不可能となった。
傍若無人は悠然とした態度で、中央の木偶に握らせていた手斧を再び手に取る。
そして手斧を切磋琢磨に向けるようにして構えた。熟練した構えだった。
熟練。
この実験で初めて殺し合いをしている切磋琢磨たちに対し、
傍若無人の持っている最大のアドバンテージが、その二文字だ。
「さて――モノどもはここには三つしか来ていない。つまり二つは時間差奇襲。
小賢しいな。何分。あるいは何十分持たせる気だったかは知らないが……。
残りが来る前に先陣が全滅してしまっては何の意味もない作戦を、よく己の前で取ったものだ」
「……全滅はしない。俺がいる。
二人が来るまで、全力で俺がお前を止め続ける」
「虚勢、ではないな。切磋琢磨の四字熟語。相当《強化》してきたと見る。
確かにこれだけの策を弄してもなお、“進化する化けモノ”であるそれと己とには差があるだろう。
だからもう一つ。そちらにとっての状況を悪化させてみよう。これが見えるか?」
と。一旦構えを解いて、
傍若無人は腰に巻いていた横付け鞄から、紐で吊り下げた円形の機械を取り出した。
「それは……なんだ?」
「知らないか。成程、あの三つとモノどもには直接の接点がないようだ。
己もそうだがな――この機械。B-1で死んでいた三つの、傍にあったデイパックの中に入っていたものだ。
発見時はどこかに落としたのか、一部が破損していて使える状態ではなかったが、
直してみれば実に良い装置だったぞ。この局面では、さらにな……見ろ」
切磋琢磨に円形の機械の一面を見せるように傾ける。
すると古めかしい液晶画面には、四つの小さな点がちかちかと光っていた。
ひとつ、ひとつ、ふたつの順に上から下にほぼ等間隔。
その位置関係とぴったり合致するものが何なのか、切磋琢磨はすぐに察した。
あれは――参加者の現在位置を表示するレーダーだ!
「対象範囲は現在いるエリアのみだ。
だが、これがあればこのエリアに居る参加者の位置は分かる。やってくるタイミングも、方向も」
「!!」
「先陣のモノどもの奇襲を読み、逆奇襲をかけることができたのもこれのおかげだ。
つまり、これがある限り己は同じことが何度でもできる。これを――ここに置いておこう」
傍若無人はレーダーを、自らに偽装した首なし死体の首の上へと置いた。
そして自らはそれを守るようにして切磋琢磨の前に立ちふさがる。
「……なるほどな。二人が来るまでに俺は、“一刀両断と紆余曲折を守りながら」
「このレーダーを壊さなければ、勝機はない”ということだ」
一見、お互いに守るものがあるという対等な条件に見える。
しかし切磋琢磨側からすれば、必ず二人を守りつつ必ずレーダーを壊さなければならないのに対し、
傍若無人のほうはレーダーが破壊されても切磋琢磨を殺せれば良いし、
別に一刀両断や紆余曲折にとどめを刺しに行かなくても問題はない。不平等条約(パラドクスルール)の決戦方式。
「大切なものを守りながら攻めこまなければならないとき、ヒトは最も脆くなる」
呼吸のリズムに隙を作らず、自然体で傍若無人は言い放つ。
「さあ、始めようか。モノどもにとっての最終戦……最期の戦いを」
苦しい状況に追い込まれた切磋琢磨に向かって、斧の先端を振って挑発しながら言い放つ。
言われた切磋琢磨は。
「そうだな」
現状を揶揄した「自分たちの最期の戦い」というフレーズに曖昧に頷いた。
その言葉が自分たちの死を意味しているのだと、気づいているのかどうかも分からない返し方だった。
だって、切磋琢磨にとって、戦闘前の前口上など。戦闘に関係ない会話など。
戦いを飾りたてるデコレーション程度の意味合いしか持たないのだから。
飾りの意図なんか考えている暇は、そろそろなくなってきてしまっていたのだ。
「ややこしいことにはなっちまったけど。要は、俺がお前を、レーダー見る余裕がないくらい追い込めばいいだけだ。
――結局はシンプルなんだ、戦いってのは。勝つか負けるか、やるかやられるか、生きるか死ぬか。
二択。紆余も俺にはこう言った。『いろいろ作戦はあるけれど、タクマさんは楽しんでください』ってな」
「楽しむ?」
「ああそうだ」
切磋琢磨は試合前に気合をこめるボクサーのように、グローブを合わせた。
ぱしんと気持ちのいい音が響いて、そして彼は前向きに歯を見せて笑った。
目の前の大男はその笑顔が見えているのかいないのか不思議そうに首をかしげる。
ああ。何を不思議に思うのだろう。何を考えることがあるのだろう。
「戦い、それ自体を楽しみながら成長する。それが俺の《切磋琢磨》だ」
どんなに不利な条件だろうと、どんなに計算尽くされた相手の独壇場だろうと、
最初から切磋琢磨に出来ることは全力で戦い尽くすたったそれだけのことでしかないのに。
ならば全力で楽しむだけだというのに。
雑念に囚われて可哀想なことだと彼は思った。
同時にそれが、四字熟語に引きずられて変質した自らの特殊な考え方だということも彼は分かっている。
冷静に自分を見ている。その上で、切磋琢磨は反旗を翻さずに自らに従っている。
なぜなら――その方が強くなれるから。
全力で楽しんだ奴が一番強いのだと、ここまでの戦いで悟ったからだ。
もう言葉は必要なかった。
切磋琢磨は四点流その二の構え「突進」をとって傍若無人に対峙した。
短く息を吐いた。
東奔西走、破顔一笑、一刀両断、青息吐息、先手必勝、そして勇気凛々。
六回の戦闘で六段階《強化》された体躯、筋肉が、さらなる戦いの感覚によろこんだ。
「――――ハァッ!!!」
彼は一歩を、踏み出した。未来への一歩を踏み出した。
空間から戦闘以外の要素を消し去るかのような鋭い正拳突きが、傍若無人に繰り出される!
◆◆◆◆
かくして切磋琢磨は、傍若無人の作り上げた最終戦に臆することなく戦い始めたが――。
背後で床に伏せて苦悶する紆余曲折としては、
大男の作った戦闘状況は好ましいとはいえないパターンのものだった。
優柔不断と勇気凛々の奇襲が知られてしまうというのもそうだが、それよりなにより。
彼が秘している「本当の作戦」の要となるアイテムのことを思うと状況は最悪と言わざるを得ないものだ。
「ちょ――ちょっと、どこいくんですか優柔不断さん!」
「後で説明する! 今はとにかく走ってくれ、凛々ちゃん! 時間がねぇ!」
「時間がないって……じゃあどうして“正反対の方向”なんですか!」
そんな現場のことはつゆしらず。
別働隊たる二名、優柔不断と勇気凛々のユウユウコンビは、
娯楽施設の駐車場B地区……先ほどまで居たB-2エリアを言い争いながら走り抜けているところだった。
一度C-2エリアに行くと思わせて、引き返してきた形となる。
どころか優柔不断は正反対のA-2地区へと向かおうとしているらしい。と知った勇気凛々は、
正気を失った病人を見るかのような目で優柔不断を見ながら叱咤する。
「意味が分かりません! 遊んでるんじゃないんですよ、わたしたちは!
これから最終戦で、しっかり作戦立てて、ちゃんとそれ通りに動くって言ったばかりなのに、こんな!」
「だから! これも作戦の内なんだって!」
「ええ……。ああもう、どういうことなんですか!」
優柔不断は勇気凛々の片手をしっかりつかんで走っているため、
勇気凛々はその手を振り払うことも出来ずついていくしかない。
その腕を斬ってでもC-2へ戻りたいくらいだが、《不断》のルール能力により《りんりんソード》が無効なので、
実は勇気凛々は強制的に優柔不断を止めるすべを持っていないのだった。
「だいたい、A-2エリアなんて行って何をするんですか!? 誰もいないし、何も――あっ」
だから言葉で問い詰めるしかないのだが、その過程で勇気凛々はあることを思い出した。
確か話し合いの最中、A-2エリアについて全く言及がなかったわけではないのだ。
紆余曲折や切磋琢磨が戦った先手必勝・青息吐息コンビは、
それ以前にA-2でとある参加者と殺し合ったような発言をしていたらしい。
実際に、走って走って見えてきた該当エリアは、
あれから四時間以上たったにもかかわらず未だ「氷漬け」になったままだった。
車も、エリア表示の看板も、道路まで氷漬け。激しい戦闘の果てでなければこうはならないだろう。
ということはだ。
「A-2にあるはずの、死体?」
「ご名答。さすが凛々ちゃんだぜ。オレらが用があるのは、鏡花水月の死体だ。
死んだ十人のうち、六人は首を飾られちまってる。
飾られてない四人の中で先手必勝、心機一転は禁止エリアに死体があるから触れねえ。
洒々落々は……首がアレだから飾られてなかっただけで、
軽妙洒脱と一望千里が飾られてた以上、たぶんもう、取られちまってると考えるのが自然だ。
消去法で鏡花水月しかない。むしろ鏡花水月のが残ってんのが、奇跡なくらいだ」
「……なんの話か、少し見えてきました。
ですが、それは今じゃないでしょう? 参加者の死体から“それ”を取るのは、
傍若無人を倒してなお脱出方法が分からないときのはずで」
「違う。違うんだ凛々ちゃん。今必要なんだ。
あの大男のルール能力を破るために、オレたちは今から“首輪”を取りに行かなきゃいけないんだよ」
「ルール、能力……?」
いまだよく状況が理解できない勇気凛々はそれでも、前を走る優柔不断の焦りに満ちた顔から、
どうやらこれは「知らされてない、本当の作戦」の一部なのではないかと推測するに至った。
作戦が練り直されたのはガールズトークのときだろう。
あれは始まり方も不自然だったし、確かあれをしているとき、他の三人は何やら話し込んでいたようだった。
そのことは少しハブにされたような気がして頭にきていたものだったが、今なら納得できる。
首輪を、取る。
なんて行為が作戦の要になるのだとすれば、作戦段階で自分は反発すると思われるだろうから。
本番で実行に移す過程で無理やり納得させるしかないと立案者が考えても、不自然ではない。
「よく分かりませんが。分かっているんですよね。
首輪を外すということは、死体の首を斬るということで。
一刀両断さんが先陣側に向かってる現状、それができるのはわたしの《りんりんソード》しかないことは」
「分かってる。凛々ちゃんに辛い役目を負わせちまうことも、分かってる。
それでもオレは――紆余くんの作戦が正しいと思う。傍若無人の虚を突けると思う。
だから凛々ちゃんにも協力してほしい。なんなら《りんりんソード》さえ貸してくれればオレがやるから」
「無理ですよ。わたし以外が持っても重いだけでとても扱えないのが《りんりんソード》です。
《凛の型》じゃ威力が足りないですし。タクマさんならともかく、
もやしな優柔不断さんじゃ小鹿みたいにぷるぷる震えて持ち上げるので精いっぱいです」
「う。って、いやまあそうかもだけどひどい言われようだな!」
「ですから結局、わたしがやるしかないんです。そうですね?」
「……ああ、そうだよ」
「そうですか。じゃあ、やります」
「いやホントやりたくないだろうけど――って、え?」
「やります。それで真実がつかめるのなら、汚れ仕事だろうとやりますよ」
勇気凛々はハブにされたことの意趣返しか、優柔不断が驚くほどあっけなくそれを承諾した。
そしてやるなら急ぎましょうと走り出す。
手を引かれる立場から、手を引く側になるくらいに。
「紆余さんたちも、それに優柔不断さんも。わたしを少し、子ども扱いしすぎです。
“いまさら”、わたしがわたしでありたいという理由で死者に傷をつけるのを拒むと思ったのなら、
わたしが理想のヒーロー像にこだわると思ってたのなら。その拙い考えを恥じてください」
「……別に、そんなことは思ってねぇよ。ただ女の子にやらせるってのが、倫理的にさ」
「倫理ってなんですか? それで人が救えるんですか。
もう。誰かを救うことができるなら、倫理も論理も法律も、わたしは無視してみせます。
それを教えてくれたのは優柔不断さんじゃないですか。
汚れた手でも。誰かを殺した手でも、誰かを救っていいって。そう言ったのは、貴方ですよ」
走りながら首を優柔不断のほうに向けて、勇気凛々は言った。
「わたしはその言葉を信じることにしました。
貴方を信じてもう一度、やってみることにしたんですから。
だから、貴方もわたしを信じてくださいっ。勇気凛々をもっと信頼してくれて、いいんです!」
「り、凛々ちゃん」
優柔不断は驚いた。
そして、今まで自分がどこか、か弱い少女として勇気凛々のことを見ていたことを恥じた。
自分が助けたこの少女は、自分が救ったこの少女は。
物理的にだけじゃなく、精神的にも――自分の言葉が救っていたらしい。
いつのまにやら乗り越えて、強くなっていた、らしい。
「すまなかった」
思わず口から言葉が漏れる。
「すまなかった、凛々ちゃん。なんつーか、それしか言えん」
「分かったならいいです。あと、走りながらその“作戦”とやらを教えてくれればそれで。
それと――なんとなくですけど。一刀両断さんについても、何か隠してないですか?」
「なっ!?」
「だって首輪外したいなら、チーム分けで一刀両断さんとわたしをコンバートしたほうが良いでしょう。
ルール能力的にも、客観的に見て説得の必要が無さそうという意味でも。
それをこの振り分けのままにしたということは、“わたしでなければならない”というより、
“一刀両断さんにはこの作戦は知られたくなかった”と考えるのが自然ですよ」
「すげ……い、意外に勘が鋭いのな凛々ちゃんよ」
「伊達に生徒会長やってた(っぽい)わけじゃないです。たぶん」
えっへん、といった感じの顔をする勇気凛々。
「あ。かわいい」
「……。あのー」
「いやいやすまん! つい! つい本音が漏れた的な!
――ほ、本題に戻るぜ。凛々ちゃんの要求に応える。とりあえず細かい作戦は後にして、
オレたちが一刀両断についてどう扱ってるかってのは、こいつを見ればわかるはずだ」
そう言い、優柔不断は肩にかけた自分のデイパックの口を繋いでないほうの手で開けて、
中に入っているものを勇気凛々に見せつけるようにした。
作戦会議の前に全員のデイパックの中身を検めたのは記憶に新しい。
だが最終的に、支給品の受け渡しなどは特になく、
集まる前に当人が持っていたものをその場から回収したはずだった。
しかし優柔不断のデイパックの中に入っていたのは、もともと彼が持っていた団子の包み紙と、
最初期に集めた雑貨類。だけではなく。
「切磋琢磨さんの釣り糸と――紆余曲折さんの、《百発百中》?」
「釣り糸は“作戦”に使うやつだ。で、この銃は……こう言って紆余から渡された」
A-2の中心部付近へとたどり着き、若干当たりに冷えた空気を感じながら。
優柔不断はデイパックからその銘入りの銃を取り出し、撃つ真似をしつつ、言った。
「『もしものことがあったら、一刀両断さんをこれで撃ってください』ってな」
そして、偶然にも彼が向けた銃口の数メートルほど先。
雑に転がっているハリボテの車の影に、彼らの求める鏡花水月の死体は、横たわっていた。
用語解説
【三十分】
ラーメンタイマー十回分。学校の休み時間三回分。
最終更新:2014年02月14日 23:32