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REPEAT

6話「REPEAT」

エリアG-2に存在する広大な敷地面積を誇る果樹園の一角。
ミカン畑の中を歩く、緑色の半袖ジャケットとジーパンを身に着けた少年の姿があった。
少年の名は須田恭也。この殺し合いに参加させられた不運な参加者の一人である。
背中にデイパックを背負い、片手用電動式回転鋸、チップカットソーを装備し、周囲を警戒しながら歩みを進める。



あの駐在警官に撃たれた後、一体何が起きたんだろう。
気がついたら、大勢の人達と一緒に殺し合いに参加させられていた。
首には逃げようとしたり、下手に外そうとすれば爆発すると言う冷たい金属製の頑丈な首輪。
自分はよく見えなかったけど、誰かがこの首輪を爆破されて殺されたらしかった。

そして今、俺がいる果樹園が、俺のゲーム開始場所だった。
すぐ傍に置かれていたデイパックを漁って、出てきた物の一つが、今俺が装備している片手用の電動式回転鋸。
添付されていた説明書によれば「チップカットソー」という名前らしい。
それと、「流血」と書かれたラベルの貼られた、大量の錠剤が詰まった小瓶。
こっちは説明書を読む限りだと、どうも血行を良くする薬らしいけど、
「強力過ぎるので服用の際は必ず一日に一錠のみにして下さい」と注意書きされている。
別に自分はどこも血行が悪くなってたりはしていないから、この薬は必要無いと思うけど、
一日一錠のみ、って事は、例えばこの小瓶に入っている全部の量を一気に服用したらどうなるんだろう。

……分からないけど、多分、命に関わるな、きっと。

この薬はともかく、チップカットソーは武器として使えそうだった。
試しに動かしてみた時に、激しい駆動音と共に回転する刃を見た時は、流石にゾッとした。
こんな物を人間の身体に押し当てたら、どういう事になるのかは想像に難く無い。
稼働していない今でも、ギザギザの刃は十分威圧的だ。

そして俺は今、果樹園のミカン畑を歩いていた。
時刻は深夜、だけど、夜空には明るい満月が輝いて、視界にはさほど困らない。
基本支給品の中にあった電池式のランタンを使おうとも思ったけど、
それだと、この殺し合いをやる気になっている奴に見つかりやすくなる。

あのセイファートとか言う、黒っぽい服を着て狼のような頭を持った、
まるで空想の世界に登場する「獣人」のような女性が催す、この「バトルロワイアル」と呼ばれた殺し合い。
そう言えばかなり前に、そういった内容の映画が公開され、色々騒ぎになったような気がする。
まあ、それはともかく、名簿を見た限りじゃ、参加者は俺を含めて全部で48人。
外国人らしき名前や、「聖徳太子」「松尾芭蕉」と言った、歴史上の有名人の名前もあった。
これだけの大人数で、色々な人間がいれば(セイファートのような獣人らしい奴もかなりいたけど)
殺し合いに乗る奴も出てくるだろうな、そんな奴はいないと思いたいけど……。
俺は殺し合いに乗る気なんか無いし、かと言って黙って死ぬつもりも無い。
どうにかしてこの殺し合いから脱出するんだ。

だけど、それにはまず、首にはめられたこの死の首輪を外さないといけない。
俺はコンピューターに詳しい訳じゃ無いし、第一、無理に外そうとすれば、
この首輪は爆発し、俺は死んでしまう。
それに、例え首輪を外せたとしても、そう簡単に逃げ出せるとは思えない。
こんな大層な首輪や支給品まで用意しているのだから、警備なんかもしっかりしているはず。

うーん、どうすれば……。

「おい」
「っ!」

突然、左方向から男の声で呼び止められた。
驚いて声のした方向に身体を向けると、学生服を着た、
自分と同年代ぐらいの長身の男が立っていた。
右手には明らかに摸造刃とは思えない抜き身の刀を持っている。

「……何ですか?」
「いや、別に何でも無ぇんだけど……そのデイパックに首輪、って事は、アンタも参加者って事だよな?」
「は、はい、そうですけど」
「そうか……悪ィけど男にゃ用は無ぇな。死んでくれや」
「!!」

この男の真意を理解した時、男は刀を構え、俺に向かって突進してきた。
そして、かなりの速度で刀を振り上げ、俺に向かって思い切り振り下ろした。

「うわあっ!」

俺は間一髪で男の繰り出した斬撃をかわした、けど、右上腕に鋭い痛みが走った。
見れば、右上腕部に切り傷ができ、傷口から真っ赤な血を流していた。

「ってえ……! いきなり何を!?」
「さっき言ったろ。男にゃ用は無ぇって。俺が用があるのは女だからよ」
「あんた、殺し合いに乗ってるのか?」
「んー、別にそう取ってくれても構わないけど」

どうも含みのある言い方をする。この男の真意はよく分からないけど、
今の俺にとって明らかに危険な人物である事は間違い無い。
俺は右上腕の痛みをこらえ、チップカットソーを目の前の男に向ける。
しかし男は、やはりと言ったところか、特に臆する様子も無く余裕の表情だ。

「おいおい、そんな物で戦おうって気か?」
「くっ……」

スイッチを入れて刃を回転させても、やはり男には通用しない。
確かに、相手が持っている刀の方がリーチが上だ。
しかも、この男、何故かは分からないけど、戦い慣れしてる、そんな気がする。
そうこうしている間にも、男が間合いをゆっくりと詰めてくる。

「……くそっ!」

少し悩んだ末、俺は、不格好ながらも男から逃げ出した。
どうしても、正面から戦って勝てる相手とは思えなかったんだ。
そして、しばらく走り続け、周囲の景色がミカン畑からリンゴ畑に変わってきた時、
ふと後ろを振り向くと、あの男の姿はどこにも無かった。
てっきり追いかけてくると思ったけど、どうやら振り切る事に成功したらしい。

「はあ、はあ、はあ……」

近くに停めてあった軽トラックにもたれかかって、呼吸を整える。
あの男は一体何者だったんだろう。年恰好は、多分俺と同じくらいだと思うけど、
何て言うか、俺とは何か次元が違う、そんな感じだった。
斬り付けられた右上腕がズキズキと痛む。
出血は少し収まったみたいだけど、包帯か、或いは布か何かを巻いておいた方がいいな。
それと、あの男はまだこの果樹園内にいるはず、ここからは早めに離れた方がいいだろう。
立てられていた案内板によれば、今俺がいるこの道を、逃げてきた方向とは反対方向に、
ずっと道なりにいけば、果樹園西口に辿り着けるらしい。
俺は右上腕の傷を左手で押さえながら、果樹園西口へと向かった。

◆◆◆

須田恭也に斬り掛かった学生服姿の青年、太田太郎丸忠信は、
逃げ出した恭也を特に追撃する事もせず、暗闇に消えていく恭也をただ見届けるに留まった。
彼にとっては、別に深追いしてまで殺さなければいけないような相手では無かったからだ。



あの野郎、文字通り尻尾巻いて逃げたみてぇだな。
まあ別に、わざわざ追っかけてまで殺す必要も無いだろ。放っといてもすぐ死ぬさ。
しかし……。

「だけどまあ……また殺し合いをする事になるなんてな」

ぶっちゃけ言うと、俺は一回、死んでいる。
俺の学校の先公の一人、若狭の野郎が開催を宣言した、別の殺し合いで、だ。
まあな、中々終盤まで生きてはいられたんだけどな。
俺とした事が油断でもしてたのかねぇ、同じクラスの倉沢ほのかって奴にやられちまったって訳だ。
それで、気がついたら今度はあのセイファートとか言う、
見るからに怪しさ満点の狼族の女が催したこの殺し合いの参加者になっていた。
おまけに俺だけじゃ無ぇ、他にも死んだはずのクラスの連中が何人かいた。
エルフィ、北沢樹里、吉良邑子、シルヴィア、サーシャ、ノーチラス、フラウ、森屋英太の八人。
吉良は……多分あいつの事だから、ご主人様探しでもやってんだろうな。
森屋、ねー……あいつは俺の事殺す気でいるかもな。別に、だからってどうって事無ぇけど。
一体どうやって死んだはずの俺らがこうして生きているのか、
気にはなっけど、正直な所それはどうでもいい。
とにかく俺は再び殺し合いの場にいる訳だ。

「どうって事は無ぇ。前と同じようにやるまでだ」

男は殺し、女は奴隷にする。簡単だ。
今回はクラスの奴だけじゃねぇ、いや、クラスの女子なんて目じゃ無ぇぐらい、上玉の女がゾロゾロいやがる。
おまけに、今俺が装備している九五式軍刀と一緒にデイパックに入っていた、もう一つのランダム支給品。
「フォナ特製催淫剤注射セット」……説明書を見る限りじゃ、この薬はどんなに気取ったプライドの高い女でも、
一本打てばまるで発情期の雌犬みてぇに乱れるらしい。
この手のパチモンはよくあるから、これが本当なのかどうかは分からねぇけど、
まあ、それは女と出会った時に試してみればいい。
デバイスと地図で確認すると、北の方へ行けば街に出られるらしい。
街には物資も豊富にあるだろうし、身を潜められる場所も多いしな。参加者も集まり易いはずだ。

「街へ行ってみるとすっか……へっ、いい女がいるといいな」



下劣な笑みを浮かべながら、忠信は果樹園北口を目指す。

この男、危険、凶悪につき、注意されたし、女性諸氏。



【一日目/深夜/G-2果樹園】

【須田恭也@SIREN】
[状態]:肉体的疲労(小)、右上腕に切り傷、果樹園西口を目指し移動中
[装備]:チップカットソー@自作キャラでバトルロワイアル(バッテリー残量:98%)
[所持品]:基本支給品一式、流血@浦安鉄筋家族(200粒入り)
[思考・行動]:
0:殺し合いには乗らない。脱出手段を探す。そのためにも仲間が欲しい。
1:果樹園から出る。その後の行き先は出た後で決める。
2:傷の応急処置を済ませたい。
3:学生服姿の男(太田太郎丸忠信)には要注意。
[備考]:
※初日0:00にサイレンを聞き、駐在警官に撃たれ川に転落し、
意識を失った直後からの参戦です。 従って幻視能力は目覚めていません。


【太田太郎丸忠信@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康、果樹園北口を目指し移動中
[装備]:九五式軍刀
[所持品]:基本支給品一式、フォナ特製際淫剤注射セット@オリジナル(残り5本)
[思考・行動]:
0:生き残る。男は皆殺し、女は奴隷にする。
1:果樹園を出て市街地方面へ向かう。
2:森屋英太、吉良邑子には要注意。一応他のクラスメイトにも注意する。
3:出来れば銃も欲しいな。
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。



≪支給品紹介≫
【チップカットソー@自作キャラでバトルロワイアル】
バッテリー式の片手用電動式回転鋸。人間や動物の身体に使えば、
恐らく治癒困難の重傷を負う事は間違い無いだろう。
出典元の自作ロワでは男子七番:加賀智通に支給され、
後に男子十八番:鈴木正一郎の手に渡り、クラスメイトであり本ロワ参加者の一人、
女子十七番:シルヴィアを斬殺した。

【流血@浦安鉄筋家族】
重度の肩コリに悩む菊池あかねに頼まれ、
「世紀末薬局 天国堂」という名の怪しい薬局で土井津仁が購入した薬。
天国堂の店主(明らかに死にかけの老人)曰く、
「火星から持ち帰った黄色い砂と中国の伝説の秘獣豚猿の脳ミソを調合した特効薬」らしい。
「劇薬なので一日一錠で充分」と店主が警告していた通りその効能は凄まじく、
誤って一気に一瓶分服用してしまったあかねは極度の興奮状態に陥った上、
身体中の血管という血管が破れ大流血するという惨事に発展してしまった。

【九五式軍刀】
昭和10年(皇紀2595年)に下士官兵用の三十二年式軍刀の後継として開発された軍刀。
実戦に耐えうるよう頑丈に設計されている。
本ロワに登場するのは柄や鞘が金属製の初期型。


【フォナ特製催淫剤注射セット@オリジナル】
フォナという魔導師が趣味で作った超強力催淫剤を小型注射器五本に入れセットにしたもの。
本当に強力な催淫剤でどんなに気高かったり、清楚な女性も、
身体にこの薬が入ったらもう終わり。淫乱極まりない痴女と化す。
なお、男性に対しては何の効果も無い。
効果は個人差はあるが、一本につき三時間程。
使い過ぎると身体が耐え切れず命を落とす恐れもある。




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GAME START 太田太郎丸忠信 NEXT:全てはご主人様のために

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最終更新:2010年01月17日 22:30
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