アットウィキロゴ

永井先生のバトルロワイアル

11話「永井先生のバトルロワイアル」

E-3に存在する雑居ビルの一つ。
ビルには喫茶店、生命保険会社、精神科、ダンス教室など様々な店舗や会社が入っている。

「うおわっ! 何ぞお前! そんなんで殴られたら死ぬだろ普通に!」
「殺すつもりでやってるんだ。死んでもらわなきゃ困るんだよ」

4階のダンス教室のホールで、二人の参加者が対峙していた。
一人は頭にタオルのような物を巻いた20代後半の男。
もう一人は白い着物に身を包んだ20代前半の青年。
男――永井浩二は丸腰だった。自分の支給品を確認する前に、青年――曽良に襲われたのだ。
曽良の手にはネイルハンマーが握られている。

「あんたに恨みは無いけど、少しばかり大切な人がこの殺し合いに参加させられている。
その人を生かすために、俺はこの殺し合いに乗る」
「い、いや、そんな事言っても、悪いけど俺には全然カンケーねぇし!
だからって殺される理由になんねぇだろ!」
「確かにそうだな。だが、あんたや、他の参加者が納得するしないは、それこそ俺に関係無い。
……お喋りが過ぎたな……死ね!」

ネイルハンマーを振り被り、浩二に襲い掛かる曽良。
しかし振り下ろされたネイルハンマーを浩二は間一髪で避ける。

「くっそおおおおボケがカスが! 死んでたまるかよ!!」
「チッ、逃がすか!」

ホール入口に向かって駆け出す浩二を、曽良が追いかける。
浩二はとにかく必死でこのハンマーを振り回す着物姿の男から逃げ延びようとする。



同じ頃、同ビルの1階にある喫茶店のカウンター席に、一人の学生服姿の少女の姿があった。
白いボブカットの髪に猫の耳、尻尾を持った、猫族ハーフ――シルヴィアである。

「全く、また殺し合いなんて……」

彼女は今参加させられているのとは別の殺し合いで、一度命を落としたはずだった。
しかし再び意識を取り戻した時には、セイファートと名乗る狼獣人の女性が主催する、
この殺し合いの参加者となっていた。

「だけど……やり直せるかもな、今なら」

シルヴィアは前回の殺し合いではゲームに乗っていた。
猫族ハーフである彼女はその容姿や出生で人間、獣人の両方からからかわれ続け、いじめにすら発展した事もあった。
そのため、自らを鍛え、喧嘩で勝ち上がる事で、それらは中学生の頃には無くなったが、
それから常に周りを寄せ付けない殺気を周りに振り撒いていたため、結局彼女は孤立していた。
高校生になった時、サーシャという自分と同じ猫族に、臆する事無く接っしてこられたが、
サーシャは自分と違い、外見は純粋な獣人、しかも家は裕福で、自分とは正反対の境遇である事から、
シルヴィアはサーシャに対してトラウマのようなものを持っていた。
そして始まった前回の殺し合いは、シルヴィアのクラス全員が参加者だった。
シルヴィアはゲームに乗った。
自分を見下した連中、自分を守りもせず嘲笑っていた連中が憎かったから。
しかし、途中で殺そうとしたクラスメイトの一人――森屋英太に危機を助けられ、
徐々に自分の気持ちに変化が現れていくのを、シルヴィアは感じていた。
これじゃ駄目だと、迷いを捨てろと、自分自身に言い聞かせるが――結局、襲い掛かったクラスメイトの一人に返り討ちにされた。

そして今、自分の身体の傷は全て癒え、体力も十分、まさにベストコンディションでシルヴィアはこの殺し合いの場にいる。
名簿を確認すると、何人かのクラスメイトの名前があった。
特に「サーシャ」「森屋英太」の名前には目を引かれた。

彼女にはもう殺し合いをするつもりは無い。
それまで自分が拘っていた憎しみやトラウマ。だが、それを乗り越えなければならないと、
もっと大切な事があると、サーシャと森屋英太の二人が気付かせてくれたから。
シルヴィアは二人には感謝していた。

「……ん?」

シルヴィアの猫の耳がピクリと動く。何かの音を察知したようだ。
よく耳を澄ませ音の正体を探る。獣人の血を受け継いでいる彼女の聴力は普通の人間よりも鋭い。

「男? 二人……一方が襲って、一方がそいつから逃げてる……みたいだな。
階段を伝って下りてきている……よし」

シルヴィアはカウンターの上に置いてある自分のデイパックから何かを取り出すと、
デイパックを背負い取り出したそれを装備し、喫茶店の入口付近で待ち構えた。
この喫茶店は雑居ビルのメイン階段のすぐ傍にあり、
メイン階段へは喫茶店前の廊下を通る必要があった。
つまりここで待ち伏せしていれば、上から下りてくる二人と確実に遭遇する事が出来る。

「……ろ! ……!」
「待……!」

階段を下りる音と、男二人が言い争う声がどんどん大きくなっていく。
シルヴィアは声を殺し、ドミネーター――麻酔銃を構え、静かにその時を待った。



息を切らせながら死の物狂いの形相で永井浩二は一階に降り立つ。
背後から迫る魔の手からとにかく逃げるために。

ズルッ

「ちょおおおおお!?」

ところが、廊下を数メートル走った所で、悪魔の悪戯か、足を滑らせ転倒してしまった。
前のめりになり思い切り床に身体を叩き付けてしまう浩二。
だが、激痛に悶えている暇も無く、追いかけてきた曽良が浩二に馬乗りになり、
手にしたネイルハンマーで撲殺しようと試みる。
だが、浩二もただで殺される気は無い。
即座に曽良と向き合う形になり、ネイルハンマーを振り下ろそうとする曽良の腕を掴み、必死に抵抗する。

「いい加減諦めろ」
「ふざけんなや! 殺されようとしてんのに、諦めろって言われて諦める奴なんかおるか!!」
「あまり手を焼かせ――」

その時だった。曽良は背中に小さな痛みを感じた。
何か針のような物が突き刺さった、そんな感じの痛みだった。
そして直後に、強烈な眠気が襲ってくる。

「な……」
「?? 何ぞ?」

突然攻勢を止めた曽良に目を丸くする浩二の目の前で、曽良は意識を失い、
浩二に覆い被さるように倒れ、そのまま深い睡眠状態に陥った。

「え? え?」
「大丈夫?」

状況が飲み込めない浩二の耳に、若い、少女の声が入る。
見れば、前方の喫茶店入口の扉が開き、学生服姿の白髪の少女が、銃らしき物を構えて立っている。
少女の頭の猫耳や尻尾が気にはなったが、それを考える暇も与えず少女が続ける。

「これ麻酔銃だから、その内目覚めるわ。その前に、別の場所へ移動しましょう。立てる?」
「あ、ああ。何とか……」

浩二は眠っている曽良の身体をどかして立ち上がり、床に落ちている自分のデイパックを拾い、
改めて少女と向き合う。

「私はシルヴィア。あなたは?」
「あー、俺は永井浩二って言うんだけど」
「そう、永井さん、とりあえず安全そうな場所を見つけてから、そこで色々話をしましょう。
要は情報交換ね」
「おう。分かった……」

浩二とシルヴィアは麻酔の力で完全に熟睡している曽良を残し、
雑居ビルの正面玄関へと向かった。


【一日目/深夜/E-3市街地雑居ビル1階】

【永井浩二@永井先生】
[状態]:肉体的疲労(中)
[装備]:無し
[所持品]:基本支給品一式、ランダム支給品1~2個
[思考・行動]:
0:殺し合いなんかしたくねーよ。死にたくも無いし。
1:シルヴィアについていく。って言うか、猫耳? 尻尾!?
2:博之とかもおるのか?
3:着物の若い男(曽良)を警戒。
[備考]:
※2007年当時からの参戦です。
※支給品の確認をまだ行っていません。

【曽良@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和】
[状態]:健康、麻酔による深い睡眠状態
[装備]:ネイルハンマー@SIREN
[所持品]:基本支給品一式、ランダム支給品(本人確認済)
[思考・行動]:
0:芭蕉さんを生き残らせる。そのために他参加者を殺す。
1:(睡眠中)
[備考]
※単行本第八巻第145幕「怪談奥の細道」より後からの参戦です。
※20分~40分後に目覚めるはずですが、麻酔の効果には個人差があるので、
数時間かかる可能性もあります。

【シルヴィア@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康
[装備]:ドミネーター(0/1)
[所持品]:基本支給品一式、麻酔弾(4)
[思考・行動]:
0:殺し合いはしない。ゲームを潰す。
1:永井浩二と共に安全そうな場所を探し、そこで情報交換。
2:クラスメイト(特にサーシャ、森屋英太)との合流を目指す。
3:もう少し強力な武器が欲しい。
4:着物の若い男(曽良)を警戒。
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。



≪支給品紹介≫
【ネイルハンマー@SIREN】
釘抜きにも使える金槌。
ゲーム本編において打撃武器屈指の威力を誇り、使用者である宮田司郎は、
白衣姿から「撲殺天使宮田」の異名を持つ。

【ドミネーター】
いわゆる麻酔銃。拳銃タイプで単発式。
使用する専用麻酔弾は対象をおよそ20分~40分(個人差がある)、深い睡眠状態にする事が出来る。





BACK:勇者(?)の旅立ち 時系列順 NEXT:Cruel, unjust execution
BACK:勇者(?)の旅立ち 投下順 NEXT:Cruel, unjust execution
GAME START 永井浩二 NEXT:猫族ハーフと愛媛のチンパン
GAME START 曽良 NEXT:DEMENT
GAME START シルヴィア NEXT:猫族ハーフと愛媛のチンパン

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2010年01月11日 02:19
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。