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Cruel, unjust execution

12話「Cruel, unjust execution」

殺し合いやて……? そんなん出来るかボケェ!」

D-1住宅地の一角にある公園で、髪をツインテールにまとめた少女、
西川のり子は殺し合いに抗う決意を固めていた。
あの円形ホールで首輪が爆破され人が殺されるのを見た時は確かに恐怖したが、
自分と同じく殺し合いに参加させられたクラスメイトで遊び友達の大沢木小鉄、
担任教師で成人男性とは思えない程大馬鹿の春巻龍、同級生の母親、仁ママの事を思い出し、
怯える気持ちを奮い立たせた。

「とにかく、小鉄や、春巻の奴とか、仁ママもおるみたいやし、
そいつらと合流しよっ」

デイパックを背負い、いざ歩み出そうとした時だった。

「グルルルル……」

背後から、獣の唸り声のようなものが聞こえ、のり子の身体がビクンと震え、その場で静止する。

「……な、何や?」

恐る恐る、振り返ってみると、そこにはのり子より遥かに背丈の大きい人間――では無い。
公園はライトアップされておらず、暗くて良く分からないが、全身がふさふさとした毛皮で覆われ、
しなやかな尻尾に鳥のような翼、手足の先には鋭い爪が付き、その頭部は、トカゲに角が生えたような、異形の生物。
胸の部分に乳房がある事や、身体のフォルムから、恐らく女性。いや、雌と言った方が良いだろうか。
月明かりに毛並みが照らされ、ある意味美しく映えてはいたが、
両目の鋭い光と、全身から発せられている殺気満点のオーラに、のり子は完全に気圧されてしまっていた。

「あ、な、何? 何なん?」

のり子はすぐにでも逃げ出したかったが、足が竦んでしまい動きたくても動けなかった。
恐怖に凍り付くのり子をよそに、毛皮を持った直立二足歩行の雌獣竜が口を開く。

「私はレオーネ。あなたの名前は?」
「……へ?」

前方の怪物が言葉を発した事、いきなり名前を名乗り自分に名前を尋ねてきた事に驚くのり子。
しかも意外と若々しく、穏やかな雰囲気の少女の声音。

「名前、聞かせてよ。駄目?」
「え? あ、う、ウチは西川のり子っちゅーんや。えと、レオーネさんだったっけ?」
「西川、のり子……ありがとう、うん。そうよ。レオーネが私の名前」

レオーネと名乗ったこの雌獣竜の穏やかで柔和な物腰に、のり子は敵意は無さそうだと判断し、
自分の名前を告げる。
だが、次にレオーネから発せられた言葉に、のり子は再び凍り付く事となる。

「のり子ちゃん。私ね、お腹空いてるの」
「……へ?」
「デイパックの中に入っていたのを食べたけど、全然足りないの。
第一、コッペパンじゃエネルギー摂取も何も無いし。
やっぱり、肉じゃなきゃ駄目。出来れば血の滴るような、新鮮で、若々しいもの」
「う、うん」
「だからね――のり子ちゃんのお肉を頂戴」

次の瞬間、レオーネはのり子の右足を持ち上げ、のり子はそのまま逆さ吊りの状態にされた。

「うわあああああ!? いっ嫌や!! 嫌やあああああ助けてえええええ!!」

これから自分が辿る結末がおおよそ想像がついたのか、
さっきまでの気丈の振舞いは消え去り、泣き叫び命乞いをするのり子。
だが、当然レオーネは無視し、もう一方の左手でのり子の左足を掴み、
鋭い牙が何本も並んだ口を、のり子の右足太腿に運び、牙を突き立てる。

「ひぎいいいいいいい!!」

今まで感じた事の無い苦痛に悲鳴をあげるのり子。
だが彼女の苦痛はまだ始まったばかりであった。

ガリッ、ゴキッブチッバリバリッ。

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!」

肉が裂け千切れ、骨が砕ける嫌な音が響き、のり子の右足は太腿から先を失った。
レオーネの口には、のり子の右足が咥えられていた。
のり子の身体を放り投げ、まるで手羽先でも食べるかのように、レオーネはのり子の右足を味わう。
勿論、靴下と靴は外している。

「ん……おいしい」

口を真っ赤に染めながら、脹脛の筋肉を噛み千切り、味わって食べるレオーネ。

「あっ、あ゛あ゛っ! たっ、助けって……!」

両目から大粒の涙を流し、鼻水を垂らし、地べたを這いずりながら、レオーネから逃げようとするのり子。
食い千切られた右足の断面からは命に関わる量の血液が噴き出し、
公園の地面にドス黒いペイントを施している。
もしこのまま失血死していればのり子はまだ幸せだったかもしれない。

「待ってよ。まだ足しか食べてないのに。心臓とか肝臓とか腸とかが一番おいしいんだから」

のり子の背後から舌舐めずりをしながらレオーネがゆっくりと近付く。

「い……嫌やっ! 嫌やああああ……!」

片足を失ったのり子に、もはや逃げる術は残されていなかった。



「うふふ。いただきまーす」



ガブッバキッゴリゴリッガリッグチャグチャバキックチュガリガリガリガリ……。



「ふぃ~。おいしかった~ごちそう様~」

十数分後、気持ち少し膨れた腹部をさすりながら満足そうな笑みを浮かべるレオーネの姿があった。
そして足元には、かつて一人の小学生の少女を形作っていた、
夥しい量の血液の水溜まりと、肉片や骨片、ズタズタに引き裂かれた衣服の残骸が残されている。
唯一原型を留めた少女――西川のり子の頭部。その表情は苦痛と絶望、恐怖に歪み切っていた。
血塗れの口元を手で拭いながら、レオーネは、のり子が背負っていた、
今では血痕がこびり付いたデイパックを拾い上げ、上機嫌に鼻歌を歌いながら、その場を後にした。

◆◆◆

「お、遅かったか……しかし、これは何と惨い……」

レオーネが歩き去って数分後、のり子の惨殺遺体――遺体と呼べるのかどうか不明だが――のある公園に、
何かの動物を模したような露出度の高い装具を身に着けた少女が辿り着いた。
少女――レイ・ブランチャードは、街を歩いていた時に、幼い少女の悲鳴が遠くから響くのを聞き、
聞こえてくる方向を頼りに急行したが、現場に到着した時には、もう全てが終わった後だった。
現場の予想以上の凄惨さに、レイは思わず目を背けたくなる。
今まで彼女は何度かモンスターに殺された旅人や戦士の死体を見てきた事があったが、
ここまで原型を留めていない死体は初めてだった。
唯一残された頭部で、被害者はやはり幼い少女だったという事が分かる。
大きく見開かれ血走った両目、頬にある涙を伝った痕跡から、この少女が楽な最期を迎えられなかった事を物語っていた。

「まだ小さいのに、怖かっただろうな……」

見開かれたままの少女の両目を閉じさせ、心の中で冥福を祈る。

「しかし、これは……食い殺されたのか?」

地面にべったりと広がる血溜まりの中には少女の身体だった物と思われる、
肉片や骨の欠片、衣服だった布切れが散乱しており、周囲にはむせ返るような血の臭いが漂っている。
殺し方が尋常では無い。これは猛獣か何かに食い殺されたと見る方が妥当だろう。
しかし年端もいかない少女に何と惨い仕打ちをするのだろうか。
せめて埋葬してやりたかったが、地面は土であるとは言え固く踏み固められ、
そもそも今自分が持っている物は基本支給品一式、今装備している自動拳銃「Cz75」、
その予備マガジン5個と、強力な弾薬を発射出来る大型リボルバー「フェイファー ツェリザカ」と、
その予備弾薬10発。穴を掘れる物は持っていない。何より無駄に体力を使う事になる。

「仕方無い、このままにしておくか……ん? これは……」

少女の血痕と肉片に混じって、レイは何かを見つけた。
それは、自分や、他の参加者にはめられている物と同じ、首輪だった。
血と脂肪の油に塗れたそれを拾い上げ、よく観察して見るが、どうも暗くてよく分からない。
仕方無く観察は後にする事にして、レイは首輪を自分のデイパックの中に押し込んだ。

「だが、こんな殺し方をする奴がいるとなると……益々面倒だな。
リックの奴は……まあ、大丈夫だと思うが、さっさと探して合流するに越した事は無い」

予想以上に残虐極まりない殺し方をする参加者がいる事にうんざりしつつ、
レイは同じくこの殺し合いに呼ばれた幼馴染の剣士――リック・ゼラルスの名前を呟く。

「考えていても始まらない。行動するしか無いな」

レイは幼馴染であるリック・ゼラルスの捜索、及び自分と同じく殺し合いを拒否する仲間を集めるため、
夜の街へと消えていった。


【西川のり子@浦安鉄筋家族  死亡】
【残り  45人】


【レオーネ@オリキャラ】
[状態]:健康、満腹により上機嫌、口と身体が血塗れ
[装備]:無し
[所持品]:基本支給品一式(水と食糧完全消費)、ランダム支給品1~2個(本人確認済)、
西川のり子のデイパック
[思考・行動]:
0:とりあえず出会った人から順番に殺していく。
1:お腹一杯……。
[備考]:
※西川のり子のデイパックの中には基本支給品一式とランダム支給品が1~2個入っています。

【レイ・ブランチャード@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:Cz75(15/15)
[所持品]:基本支給品一式、Cz75の予備マガジン(5)、フェイファー ツェリザカ(5/5)、
600NE弾(10)、西川のり子の首輪
[思考・行動]:
0:殺し合いには乗らない。ゲームの転覆を目指す。
1:リックを探す。同時に仲間も集める。
2:拾った首輪を調べる。
3:私がいつも使っている二丁拳銃はどこへ行ったんだ?
[備考]:
※レオーネとは別方向に向かって移動しています。


※D-1市街地に存在する公園に、西川のり子の惨殺死体(頭部と肉片、衣服の残骸)
が放置されています。
※D-1一帯に西川のり子の断末魔が響きました。


≪オリキャラ紹介≫
【名前】レオーネ
【年齢】不明(精神年齢10代半ば)
【性別】女
【職業】生体兵器
【性格】物腰は柔らかいが、残虐(本人は余り自覚していない)
【身体的特徴】紫がかった黒と赤の毛皮を持った直立二足歩行の獣竜。
身長は204㎝と長身。よく引き締まった、魅力的な身体付き
【服装】全裸(服を着るという概念が無い)
【趣味】食べる事
【特技】翼を使っての飛行、本能的に仕込まれた格闘術(柔道、空手他)
【経歴】日本風国家内のとある極秘生体兵器研究施設で生み出された。
先に同様のコンセプトで生み出された「姉」に当たる存在がいるが、
彼女は認知していない。「レオーネ」はコードネーム
【備考】とにかく大食い。空腹になると機嫌が悪くなるため、研究所の飼育担当員は、
彼女の餌には特に気を使っていた(でないと自分達が食われるため)。
大好物は生肉。嫌いな物はチョコレート

【名前】レイ・ブランチャード
【年齢】17
【性別】女
【職業】ガンナー
【性格】冷静沈着で思慮深い、男っぽい口調で話す
【身体的特徴】深い青色のショートヘアに赤い瞳、グラマーで豊乳。大人びた魅力がある
【服装】MHのナルガ装備に非常に酷似した露出度の高い装具
【趣味】射撃練習、銃器の手入れ
【特技】精密射撃、狙撃
【経歴】同じくガンナーであった父の影響で、ガンナーとしての道を歩む。
父親は現在は後進の指導に当たっている
【備考】射撃技能は超一流。大抵の銃器(拳銃から機関銃まで)を扱える。
リック・ゼラルスという幼馴染がいる


≪支給品紹介≫
【Cz75】
1975年にチェコスロバキアで開発された自動拳銃。
「Cz」は「Česká Zbrojovka/チェスカー・ゾブロヨフカ(チェコスロバキア国営銃器工廠)」の頭文字。
命中精度が高く握り易いグリップを持つ事などから評価が高い。
本ロワに登場する物は9㎜×19㎜弾使用モデル。

【フェイファー ツェリザカ】
象撃ちに使われる強力なライフル弾、600NEを使用する超大型シングルアクションリボルバー。
全長は55㎝、重量は何と6㎏もあり、拳銃と呼べるかどうか怪しい所。
銃本体の重量が重いため反動は抑えられ、熟練者でなくとも扱えるらしいが、
そもそも6㎏もの重量を台も使わず保持する事自体難しい。
「パイファー ツェリスカ 」とも呼ぶ。





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最終更新:2010年01月18日 23:15
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