34話「あなたは今どこで何をしていますか」
私こと
リーヴァイは、デイパックの中に入っていた二つのランダム支給品の内の一つ、
オートマチックピストルのコルトM1911を右手に持ちながら森の中を歩いていた。
この
殺し合いに呼ばれてる私のお兄ちゃん、銀と白の毛皮を持ったワーウルフ・ヴォルフを捜して。
背負っているデイパックの中には基本支給品一式、M1911の予備マガジンが5個、
そしてもう一つのランダム支給品であるM67破片手榴弾が3個入っている。
野生のワーウルフである私は衣服を纏っていない。
つまり小物を収納できるポケット的なものが無いから、M1911のマガジン交換の時はちょっと大変かも。
それにしてもお兄ちゃんはどこにいるんだろうなあ。
地図見たら結構会場広いし、どこにいるのか皆目見当つかないけど。
でも、生き残って歩き回っていればいつか絶対会える……気がする。
お兄ちゃんは多分そう簡単には殺されはしないと思うけど……早く会いたい。
そう言えばこの殺し合い、参加者の全体の何割が殺し合いする気になってるんだろう。
私とお兄ちゃん入れて全部で48人もいるんだからやる気になってるのは一人や二人じゃ済まないだろうな。
少なくとも私のように殺し合いに乗っていない人よりは、乗っている人の方が多いと思う。
数時間前に私が見たウシヤマサキとか言う人間の女みたいな。
お兄ちゃんは……殺し合いに乗るような人じゃない、と思いたい。
それにしても首にはめられたこの首輪、厄介だし鬱陶しいなあ。
野生に生きるワーウルフが首輪をはめられるなんて屈辱よ、屈辱!
それに、爆弾まで仕掛けられてるらしいしこの首輪……首輪を爆破されて死んだあの人間の男みたいになるのは嫌。
でも無理に外そうとすればアウトだし、放っておくしかないかぁ。はあ……。
「ん……」
ふと顔を下に向ければ、白い毛皮に覆われた自分の乳房と下腹部が見える。
……自分で言うのも何だけど、結構いい身体してるよね、私。
毎日お兄ちゃんにたっぷり愛されてるからだねきっと。うふっ。
私は――私はお兄ちゃんが本当に大好き。
優しくて、落ち着いていて、強くて、カッコ良くて、逞しくて……。
顔から背中を覆う銀色の毛皮、顎から腹までを覆う白色の毛皮、程良く引き締まった肉体、
ふさふさの尻尾、鋭い牙、金色の瞳、ぴんっと尖った耳、長いマズル、爪。
何もかも。何もかもが、私は大好き。
血は繋がってないけど、小さい頃から私を本当の妹のように可愛がってくれた。
大好きだったから――別のワーウルフの雌と交尾してるのを見た時はちょっとショックだったなあ。
後で聞いてみたら慌てた様子で「あれはただの遊び」だと言っていたけど。
うん、お兄ちゃんだって男だもん、女遊びぐらいはするよね。
それは分かってる。分かってる、つもりなんだけど……。
気が付いたら木々が生い茂る森から舗装された道路に出てた。
地図とデバイスで確認すると、この道路を南方向に進めば市街地、反対方向に行けば湖に出れるらしい。
湖はやめておこう。何かさっき爆発音みたいなのが湖の方からしたし。
市街地へ行ってみようか。人も大勢集まりやすいだろうしね。
私は道路を南下し市街地方面へ向かう事にした。
「お兄ちゃん……早く会いたいよ」
お兄ちゃん、私の大好きな、お兄ちゃん。
私が見つけるまで――お願いだから、死なないで。
【一日目/黎明/C-2森幹線道路】
【リーヴァイ@オリキャラ】
[状態]:健康、市街地方面へ移動中
[装備]:コルトM1911(7/7)
[所持品]:基本支給品一式、コルトM1911の予備マガジン(5)、M67破片手榴弾(3)
[思考・行動]:
0:殺し合いはする気は無い。お兄ちゃんを探す。
1:市街地へ向かう。
2:ウシヤマサキ(牛山サキ)には要注意。
[備考]:
※牛山サキの名前と容姿を把握しました。
≪支給品紹介≫
【コルトM1911】
1911年に米軍の制式となったシングルアクション自動拳銃の傑作。通称「ガバメント」。
大口径で威力の高い45ACP弾を使用し、ストッピングパワーが強い。
登場から90年以上経過した現代でも現役で販売、使用されている。
1986年に特許が切れ、他社他国により多種多様なコピーモデルが生産されている。
【M67破片手榴弾】
米陸軍やカナダ陸軍が使用している手榴弾。
内部に硬質鉄線が入っており爆発と共に破片を撒き散らすため殺傷能力が高い。
破片は爆発地点から約15M範囲拡散する。
最終更新:2010年02月10日 01:50