ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko0484 ゆっくり Change the World(解答編)
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※ふたば系ゆっくりいじめ 185 選ばれしゆっくり、ふたば系ゆっくりいじめ 336 ゆっくり Change the World(出題編)の続編です。
※駄文、稚拙な表現注意。
※俺設定注意
「・・・というわけだったんだよ。」
「そうか。私のれいむはれてぃに・・・」
結局のーぶるれいむは全てを白状した。 最初はしらを切っていたが、男が「正直に言えば怒らない」「それどころかあのれいむの代わりにここにおいてやる。この部屋も好きに使っていい」と言ったら全てを吐いた。
恐らく嘘はないだろう。れてぃの仕業なら今までの飼いゆっくりの失踪事件も説明がつく。
覚悟していたとはいえ・・・ショックだった。 あのれいむがもうこの世にいないなんて。
男は思い返していた。れいむとの思い出を。
なぜれいむを創り出したのか。全ては3年前にさかのぼる。
ゆっくり Change the World(解答編)
作、長月
3年前、男は大手ゆっくり企業「ゆっくりカンパニー」の会長だった。
男には1つの信念があった。
ゆっくりは万人から愛される存在でなければならない。
それこそが男の行動理念であり、男にとっての全てだった。
そうした会長直々の陣頭指揮のもと、「愛されるゆっくり」をテーマに様々なゆっくりの品種改良が行われた。
ゆっくりもみじとれいむを掛け合わせてできた「わふーれいむ」
さくやとれいむを掛け合わせたメイドカチューシャをつけた「めいどれいむ」
さなえとれいむを掛け合わせた信心深い「みこみこれいむ」
どれもヒット商品になり現在も売れ続けるロングセラー的商品である。
しかし男は満たされなかった。
もっと・・もっと愛されるゆっくりを作れないのか?
そう思った男は思い切った行動に出る。
それは自社にある品種改良専門のトップブリーダーを招き、最高の「愛されるゆっくり」を作って欲しいというものだ。
研究に必用とされるゆっくりは全てゆっくりカンパニーのほうから取り寄せ、男の会社の研究員を数人を部下にすることを条件にブリーダーはこの提案を了承した。
当然社内では公私混同であると批判されたが、この研究データは会社にも役に立つことや、ゆっくりの代金やブリーダーへの報酬は男が全て負担することを説明すると渋々ではあるが認められた。
ちなみに時田の言っていた1千万というのはブリーダーへの報酬と研究に必要なゆっくりの代金である。
そして半年後、偶発的な突然変異による一匹のみではあるが研究は成功する。
さなえやさくやなどの人気のあるゆっくりの愛される要素を凝縮させた個体。
純粋無垢でけしてゲス化せず、愛くるしいしぐさで人々を魅了するゆっくり。
通称「愛されいむ」の誕生だった。
愛されいむは全ての人間に愛された。
ゆっくりランにいけば、たちまち人だかりができ、全ての人間がれいむを賞賛した。
ゆっくりたちの間でも人気者で、つがいになってほしいと言われた回数は100を超える。(溺愛する男が全て断ったが)
TVに出てくれと言われて出演すれば「ゆっくりしていってね」の挨拶しかしていないのに、他に出演していたどの希少種達をさしおいてぶっちぎりの一番人気だった。
愛されいむは「ゆっくりしていってね」しか言えなかったのではない。
「ゆっくりしていってね」だけで十分なのだ。
それだけで全ての人を虜にできるのだから。
そんなれいむを男はいたくかわいがり、セレブゆっくりの証であるダイヤモンドバッジを与えた。そして会長職を辞任し、れいむと共に悠々自適な老後を楽しむことにしたのだ。
しかしれいむは行方不明になってしまう。
男は必死になって探した。自分で、使用人を使って、時には探偵を雇って。
そんな中やっと掴めたれいむの所在。男は病院へと急いだ。
しかし居たのはまったくの別ゆっくりだった。
男にはわかってしまうのだ。れいむをずっと見ていたのだから。
所詮どれほどうまく演じようともゲスはゲス。愛されいむの可愛らしさには似ても似つかぬものだったのだ。
おそらく成りすますのが普通のゆっくりならうまくいっていたのだろう。ゆっくりの顔など人間には同じに見えるのだから。
だが残念ながらのーぶるれいむが成りすまそうとした相手は世界でただ1匹しかいない愛されいむだったのだ。
その違いは男の飼っているゆっくりさくや達も違和感を感じるほどのものだ。男が間違えるはずもない。
男があの時、涙を流したのはのーぶるれいむの策にだまされた訳ではない。
飼いゆっくりにとって命同然のりぼんとバッジをこのれいむがしている以上、もはや愛されいむの生存は絶望的だと悟ったからだ。
男はその場でのーぶるれいむを叩き潰してやりたかったがぐっと堪えた。
自分の愛するれいむに成り代わろうとするこの偽者にはもっと悲惨な目に合わせなければ気がすまない。
そう思ったからである。
「ゆゆっ、むししないでね。ぷんぷん。」
れいむの声にはっとなる男。どうやらずっと考え込んでいたせいでれいむが話しかけているのに気づかなかったようだ。
「やくそくどおりれいむをかってね。あんなれいむよりれいむのほうがいいでしょ。だってれいむは・・・」
延々とのーぶるれいむの自慢話が続いていたが男には聞こえていなかった。
あんなれいむ・・・だと。
愛されいむは男にとって理想のゆっくりだった。愛されいむを馬鹿にすることは男の生涯を馬鹿にすることに等しい。
猿芝居と浅知恵しか能のない腐れ饅頭が私のれいむをあんな、だと。
男の怒りはすでに沸点を超えていた。
「ああ勿論だとも・・・約束は守ろう。」
そう言いながら笑顔でれいむに近づく。
その表情は笑顔でありながらどこか薄ら寒い恐怖を感じさせるものだった。
「ああ勿論だとも・・・約束は守ろう。」
この言葉にれいむは色めき立った。
やった。当初の計画とは違ったがついにセレブ飼いゆっくりになれたのだ。
しかもあの無能なれいむとしてではなく、のーぶるれいむとして。
あのじじい、いろいろ言っていたが結局あのクソれいむよりのーぶるゆっくりである自分を選んだのだ。
この理想のゆっくりプレイスで好きなだけあまあまを食べ、あの美ゆっくりたちとすっきりーをしてたくさんの子供を作ろう。
そしてその子供達にのーぶるゆっくりとして英才教育を施し、ここをのーぶるれいむの王国にするのだ。
愚民たちめ。支配してやるぞ。のーぶるれいむ様の英知の前にひれ伏すがいい。
ゆっくり特有の願望と誇大妄想のいりまじった思索にふけるれいむ。
だから気づかなかった。男の怒りに。そして男が右手に持っているものに。
ちくっ。
「ゆゆっ、何を・・・ゆっ!?」
何か尖ったものを刺されて急に身体が動かなくなったれいむ。にやけ面のまま固まってしまった。
それもそのはず男の持っていたのは注射器。中に入っていたのはゆっくりを半永久的に動けなくするゆっくり餡凝固剤である。
餡子そのものが固まるので声すらももうれいむは出せない。
「約束は守るぞ。クソ饅頭。この部屋に置いてやるよ。一生な。」
(ゆゆっ・・うごけな・・・い・・・)
急激に餡子が固まったショックでれいむはそのまま気絶してしまった。
れいむが動けなくなったのを確認して男は部屋を出る。
「旦那さま・・・」
心配して扉の外に待機していた時田が話しかける。
「時田、聞いての通りだ。すぐにれいむを殺したれてぃを探し出し、駆除するようゆっくりギルドへ連絡しろ。武勇のハンター鬼意山を雇うのだ。金はいくらかかっても構わん。」
「はっ。かしこまりました。」
「私は少し疲れた。一人にしてくれ。」
「旦那さま・・・」
そう言い残し自室へとぼとぼと向かう男を時田は心配そうに見送った。
のーぶるれいむが目覚めたのは次の日の昼過ぎだった。
なぜかあのまま寝入ってしまった。記念すべきのーぶるれいむ様のセレブデビューの日に。
そう思いながらもみあげで目をこする。どうやら注射されたことは忘れたらしい。
まあいい。時間はたっぷりある。今日はとりあえずあの美ゆっくりたちのもとに挨拶へいってやろう。
あの無能なれいむに代わり自分があのゆっくり達を支配してやるのだ。
きっとあのゆっくり達もあんなクズから偉大なのーぶるれいむ様が支配してやることに泣いて喜ぶだろう。
そう思い扉のほうへ跳ねようとしたが・・・動けなかった。
それどころか昨日のにやけ顔から表情を変えることもできない。動くのは、もみあげだけだ。大声をあげたいがそれもできない。
どういうことだ?何がおきている!?このれいむ様に!!?
れいむが混乱しているとドアの開く音がした。男が来たようだ。
どういうことだじじい!!このれいむ様に何をした!!
そう言おうとした所(言えないが)目が点になった。
男は足元にゆっくりを連れていた。そしてそのゆっくりは昨日のさくや達の誰でもなかった。
クズめーりんだ。しかも昨日車の窓から道路で見たあのクズ親子。
どうしてあの薄汚い虫けらどもが偉大なるれいむ様の聖域に?
なぜこんな事になったのか。話は数時間前にさかのぼる。
男は歩いていた。朝の町並みを。ただ一人で。
自室にこもっていても気が滅入るばかりなので散歩へ出たのだ。
しかし失敗だった。
この道は愛されいむと共に歩いた散歩道。いやでもれいむのことを思い出し、悲しみがこみ上げてくる。
「うぅ・・・れいむ・・・」
思わず涙声でその名をつぶやく男。だがもう男のれいむはこの世に居ないのだ。
そう悲嘆にくれている男の耳に悲鳴のようなものが聞こえた。
どうやら悲鳴は近くの路地裏から聞こえてくるようだ。なんだろうと覗き込んで見る。
それはゆっくり同士の喧嘩だった。正確には喧嘩というより集団リンチだったが。
数匹のゲスまりさとでいぶが因縁をつけめーりんを痛めつけているのだ。どう考えてもめーりんに勝ち目はない。
「クズめーりんがいるせいで、まりさたちがじじいたちからあまあまもらえないんだぜ!!」
「れいむたちがにんげんさんにけられたのもめーりんがしくんだんことでしょ!!」
「クズのぶんざいでなまいきなんだぜ!!」
ちなみにこのまりさとれいむ達は通行人に物乞いをして生計を立てるゆっくりだったが
「おらおらじじいども。まりささまはつよいんんだぜ。とっととあまあまよこすのぜ。」
「れいむはしんぐるまざーなんだよ。かわいそうなんだよ。だからさっさとあまあまちょうだいね。そんなこともわからないの!?
ばかなの!?しぬの!?さんびょういないでちょうだいね。ぐずはきらいだよ。」
などと喧嘩を売っているとしか思えないことを言うゲス達のため、良くて無視、悪いと思いっきり蹴飛ばされていたのだ。
そしてその憂さをおとなしくて人間に人気のあるめーりんへと向けた。めーりんは人気もあり性格もいい為、何もしなくても通行人に餌をもらえていたのだ。
自分より下のはずのクズめーりんがなぜ・・・きっと裏で何かしているに違いない。だから自分達には餌がもらえないのだ!!
そんな嫉妬と差別心、更には被害妄想が入り混じり今回の凶行に及んだわけである。
100%純粋な、ここまで来ると気持ちいい位のゲスっぷりである。
男はそのまま立ち去るつもりだった。ゆっくり同士のいさかいに首を突っ込んでる気分ではなかったから。
立ち去るつもりだったが・・・いつの間にかゲスたちを潰しめーりんを助けていた。
その後、傷ついた親めーりんと子めーりん2匹を屋敷につれて帰り、ゆっくり医を呼んで手当てさせる。幸い体当たりによる軽い打撲だけで済み、それもオレンジジュースをかけるとすぐに治った。
そしてメイドに命じて体の汚れを落としてみるとなかなかの美ゆっくり。それにどことなく愛されいむに雰囲気が似ている気がする。
男はめーりん親子を飼うことにした。これも何かの縁だと思って。
以上のような経緯があったのだが当然のーぶるれいむは知るはずもない。
「さあ、めーりん。ここがお前達の部屋だ。好きに使っていいんだよ。」
その男の声に子めーりん2匹が遊具へと跳ねていく。始めて見る遊具に興味しんしんなのだ。その後から親めーりんがついていく。
れいむにとってめーりんは害虫でしかない。当然排除しようとする。
(そこのくずめーりんたち!!とっととでていってね!!ここはおまえたちみたいなくずのはいれるばしょじゃないんだよ!!)
れいむとしては大声を出してるつもりだが、人間にとって喉にあたる場所も昨日の薬剤で固まっているため声を出せない。
だから当然無視される。子めーりん達は遊具で遊び始め、親めーりんはその様子を見守っている。
(うがぁぁぁぁあ!!むじずるなぁああ!!くずどもぉぉぉぉ!!)
叫ぶれいむだが当然聞こえていない。実力行使でめーりんたちを排除しようにも体が動かないのでどうしようもない。
そんななか子めーりんたちが遊具で遊ぶのをやめ、れいむのほうへ近づいてきた。
れいむの内なる声が聞こえたのではない。もっと面白そうなものに気づいたからだ。
子めーりん達の見つけた面白そうなもの。それはピコピコ動くれいむのもみあげだ。どうやらもみあげ以外動かないれいむをそういうぬいぐるみと勘違いしたようだ。
冗談じゃない。こんなクズどもに触れられたら体が穢れる。
そう思うれいむだったが動けず、声も出せないのではどうしようもない。
なすがまま、されるがままにされるしかなかった。
その日のうちに愛されいむの死と代わりにめーりん親子が飼われることが館のゆっくりたちに知らされた。
最初は泣き崩れていたゆっくり達だったが、
「いつまでもないてはいられませんわ。きょうからめーりんさんたちがおじょうさまですわ。」
とさくやが言うとみんなそれに賛成してくれた。めーりん親子ははれてこの館へ迎えられたのだ。
その様子をれいむは歯軋りしながら見ているしかなかった。
それから毎日れいむは地獄だった。
ある時は子めーりんたちにトランポリン代わりにされ、顔じゅうあざだらけになった。
ある時は噛み癖のあるもみじにあたまをガジガジと齧られ、自慢だった髪を半分以上引き抜かれた。
ある時はちぇんにサッカーボール代わりにされて壁に激突した衝撃で目玉が1つ飛び出た。
もはや見る影もなく落ち武者のような姿のれいむ。
そんなれいむを見て、さなえとさくやは「ゆっくりできないぬいぐるみ」と汚いものを見るような目で見られる毎日。
れいむはのーぶるゆっくりなのに。本来、畏怖と尊敬の念で見られるべきなのに。
れいむは人知れず涙を流した。
そんなある日、のーぶるれいむは自分の目を疑う。
男と共にドアを開けて入ってきたのは・・・なんと研究お兄さんだった。
研究所で自分の世話をしてくれたあのお兄さんなら助けてくれるに違いない。
なぜなら自分はのーぶるゆっくりなのだから。
その研究お兄さんに捨てられたからここに居るのだということをすっかり忘れているようだ。すさまじい餡子脳である。
(ゆゆっ、おにいさん!!のーぶるれいむだよ!!はやくたすけてね!!)
当然無視される。そもそも研究お兄さんがここに来た理由はのーぶるれいむなどではないからだ。
「それじゃここに設置ということでよろしいですね?」
「ああ。完成までどれぐらいかかるかね?」
「1時間もあれば十分です。」
そう言い研究お兄さんはなにやらその場で組み上げ始めた。
1時間後。
「ふう。できた。」
研究お兄さんが組み上げたのはゆっくりハウスだった。
大きな門。「こーまかん」と書かれたゆっくりが数匹休めるスペースの屋敷。小さな造花の花壇。
ゆっくりハウス(こーまかん、門番めーりん仕様)。男からめーりん親子へのプレゼントだ。
実は研究お兄さんの働いてる店の店長と男はゆっくりハンター仲間なのだ。(なお男は中級、店長は上級ライセンスを持っている)
だからそのよしみで男は研究お兄さんと会うことも多く、今日も男が店で購入したこのゆっくりハウスを配達しにきただけなのだ。
「じゃあ僕はもう店に戻りますので。」
「ああごくろうさん。店長によろしく。」
まずい。
れいむは焦った。お兄さんが帰ってしまったらもう誰も助けてくれない。
このままこの地獄でゆん生を終えることになる。それだけはいやだ。
もはやれいむにのーぶるゆっくりとしての選民思想など残っていなかった。
(おにいさんおねがいじまずうぅぅぅぅっ゛!!!でいぶをだずげでぐだざいぃぃぃぃぃ!!!)
プライドも見栄もなくそう叫ぶ。声にならなくても思いは届く。そう信じて。
(でいぶわるいこでしたぁぁぁぁぁ!!かみさまにえらばれたゆっくりなんてちょーしこいてまじだー!!)
(いいこに・・・いいこになでぃますからぁぁぁああ!!でいぶをみすでないでぇぇぇ!!)
正に捨て身の懇願。その時奇跡が起きた。
のーぶるれいむと研究お兄さんの目があったのだ。
やったこれで助かる。そう喜んだれいむだったが。
現実は非情だった。
「汚いぬいぐるみだな。」
汚物を見るような目で一瞥し、ぼそっとつぶやく研究お兄さん。
のーぶるれいむの最後の希望、そして最後のプライドが粉々になった瞬間だった。
その夜れいむは寝付けなかった。
結局お兄さんはれいむを助けてくれなかった。それどころかのーぶるれいむだと解らなかった。
もう自分には何の希望もない。
「・・・どうしてころしたの?」
不意に誰かがつぶやいた。誰も居ないはずなのに。
誰だ?どこにいるんだ?怯えるれいむ。
「どうしてママをころしたの・・・・おちびちゃん・・・」
姿を見せた声の主にれいむは恐怖した。
それはのーぶるれいむの母親だった。全身から餡子をふきだしながら苦悶の表情を浮かべれいむへ近づいてくる。
そんな・・・死んだはずだ。自分の母親は・・・。自分が確かに殺したはず・・・。
「れいむ・・・どうしてちぇんをころしたの・・・わからないよ・・・」
「こんなの・・・とかいはじゃないわぁ・・・」
「すごく・・・すごくいたかったんだぜぇぇぇ・・」
母れいむの後ろから出てきたゆっくりに更に驚愕するれいむ。
それはれいむが研究所で殺したゆっくりたちだった。みな全身餡子やクリームまみれでまるでゾンビのような姿だ。
ある者は足し算ができなかったから。
ある者はかけっこが他のゆっくりより遅かったから。
ある者はのーぶるれいむに口答えしたから。
そんな些細で理不尽な理由でみんな殺してきたのだ。クズを排除できるのはのーぶるゆっくりの特権、そして使命であると信じて。
「むぎゅぅぅぅ・・・・どうしてぱちゅにあんなことしたの・・・ひどいわぁぁぁぁ」
「れいむは・・・とんでもないくされゲスだみよぉぉぉぉぉぉん」
どんどんゾンビのようなゆっくりは多くなる。新しく現れた者達は野良時代にれいむが殺したゆっくりだった。
ある者はえさを横取りする為に。ある者は住処を奪い取る為に。ひどい時など憂さ晴らしの為にその命を奪った。
(どうじでいきてるのぉぉぉぉぉぉぉ!!!みんなしんだはずでしょぉぉぉぉぉぉぉ!!!)
声なき声でれいむは叫ぶ。発狂しそうな恐怖に震えながら。
「ゲスれいむにふくしゅうするためじごくからまいもどってきたんだぜぇぇぇぇぇ」
「いなかもののれいむにはてんちゅうをくだすわぁぁぁぁぁ」
「ゲスはせいさいなんだよぉぉぉぉぉぉ。わかってねぇぇぇぇぇぇ」
口々に恨み言を漏らすゾンビゆっくり達。
もちろんこのゆっくり達はれいむに殺されたゆっくりが生き返ったわけではなく、悪霊というわけでもない。
これは幻覚。れいむの罪悪感が見せたまぼろしなのだ。
今までれいむは仲間であるゆっくりを殺すのに何の罪悪感も感じなかった。自分は神に選ばれしのーぶるゆっくり。他の平凡なゆっくり達の生殺与奪の権利は自分にある。そう考えていたからだ。
しかしれいむは認めてしまった。自分は神になど選ばれていないただのゆっくりにすぎないと。
その結果、潜在意識にあった罪悪感が一気に幻覚という形で表に出たのだ。
(ゆうううううぅぅぅぅうううう!!!だれかたずげでえぇぇぇぇぇぇぇ!!)
恥も外聞もなくしーしーを垂れ流しながら助けを求めるれいむ。動けないれいむにはそれしかできない。(正確には声が出ないのだからそれもできていないのだが。)
しかし誰も助けには来ない。例え来ても助けることはできない。
なぜならこれはのーぶるれいむの罪そのもの。けして逃げることはできないのだ。
(ゆんぎゃあああああぁぁぁあああああ!!!」)
れいむの声にならない叫びが館に木霊した。
男は窓からゆっくり達を見ていた。男の部屋は2階にあり、庭で遊ぶゆっくり達を見るのには特等席である。
暖かな日差しの中、ゆっくり達は皆一様に楽しそうに遊んでいる。その様子を目を細めて男は眺める。
男は思う。
愛されいむは自分の産み出したゆっくりの中でも最高傑作だ。今でも愛している。それはこれからも変わらないだろう。
だが同時に思い出す。初めてめーりんに会った時のことを。
あの時めーりんのそばには子ゆっくりたちが居た。
めーりんは2匹の子供を守っていたのだ。子供達に覆いかぶさるように自分の体を盾にし、ゲス達の攻撃を一身に受けて。
恐怖でブルブルと震える子供達にめーりんは子供達に向かって微笑んでいた。
おちびちゃん達は自分が必ず守る。だから心配しないで。そう言わんばかりに。
ゲス達によるリンチに苦しんでいたはずなのに。そんなめーりんだからこそ男は思わず助けてしまったのだ。
彼女もまたれいむと同じ愛される、いや愛すべきゆっくりだと思って。
穢れを、悪意を知らぬゆえに悪意によってその命を散らせた愛されいむ。
その身を挺して悪意から自分の愛するものを守ろうとしためーりん。
どちらが真のゆっくりと言えるのだろう。いや答えなど存在しないか。
願わくばあのゆっくりたちの笑顔がいつまでもかげらんことを。
そう思いつつ男は部屋を出た。
愛するゆっくりたちのもとへ向かうために。
今日の希少種
愛されいむ
希少度 不明
愛されることを目的に品種改良されたゆっくり。純粋無垢でゲス化することもない愛玩動物としては理想のゆっくりだが、虐待緒お兄さんやゲス、捕食種には効果がないので注意。ありとあらゆる生物に愛される完全体の愛されゆっくりもいるらしいが真相は定かではない。
補足説明
ゆっくりハンター
ゆっくり局の監督するゆっくり関係の仕事をする者の総称で全国に数千人いる。主な仕事はゲスの駆除、捕獲、希少ゆっくりや虐待ゆっくりの保護など。ハンターはクラスによって希少ゆっくりの売買などの権利を得るので、ゆっくりショップの店員はこのライセンスを持っていることも多い。
階級としては初級ハンター、中級ハンター、上級ハンターとあり、その上のクラスがハンター鬼意山である。ハンター鬼意山には二つ名が与えられ「○○のハンター鬼意山」と名乗ることが許されるが、その資格を持っているのは日本で十人ほどしかいない。
あとがき
解答は
「セレブれいむは愛されいむと言う人間に愛されることに特化した品種改良種。人間、特に飼い主がみればゲスのれいむがどう演技しても一目瞭然だから。」でした。
すいません。こんな「わかるか、ボケ!!!」と言いたくなるようなひどい作品で。その上難易度上げすぎて出題編2を作るようなグダグダっぷり。本当に申し訳ありません。次回作こそこのようなことのないようがんばりますので。
ちなみに愛されいむを思いついたきっかけは、コードギアスR2、15話にでてくるCCが昔持っていた「愛されるギアス」です。
なお書き始めた当初は原種ゆっくりが正解だったので出題編1で原種ゆっくりと書いた人は全員正解あつかいとします。その上で一番今回書きやすかったコメントナンバー1254013508 さんのリクエスト「研究お兄さんとの再会」を今回書かせていただきました。たくさんのコメントありがとうございます。他の方のリクエストもいずれ書く予定なので気長にお待ちください。
PS
店員お兄さんの名前は研究お兄さんに戻しました。そのほうがしっくりくるので。
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「・・・というわけだったんだよ。」
「そうか。私のれいむはれてぃに・・・」
結局のーぶるれいむは全てを白状した。 最初はしらを切っていたが、男が「正直に言えば怒らない」「それどころかあのれいむの代わりにここにおいてやる。この部屋も好きに使っていい」と言ったら全てを吐いた。
恐らく嘘はないだろう。れてぃの仕業なら今までの飼いゆっくりの失踪事件も説明がつく。
覚悟していたとはいえ・・・ショックだった。 あのれいむがもうこの世にいないなんて。
男は思い返していた。れいむとの思い出を。
なぜれいむを創り出したのか。全ては3年前にさかのぼる。
ゆっくり Change the World(解答編)
作、長月
3年前、男は大手ゆっくり企業「ゆっくりカンパニー」の会長だった。
男には1つの信念があった。
ゆっくりは万人から愛される存在でなければならない。
それこそが男の行動理念であり、男にとっての全てだった。
そうした会長直々の陣頭指揮のもと、「愛されるゆっくり」をテーマに様々なゆっくりの品種改良が行われた。
ゆっくりもみじとれいむを掛け合わせてできた「わふーれいむ」
さくやとれいむを掛け合わせたメイドカチューシャをつけた「めいどれいむ」
さなえとれいむを掛け合わせた信心深い「みこみこれいむ」
どれもヒット商品になり現在も売れ続けるロングセラー的商品である。
しかし男は満たされなかった。
もっと・・もっと愛されるゆっくりを作れないのか?
そう思った男は思い切った行動に出る。
それは自社にある品種改良専門のトップブリーダーを招き、最高の「愛されるゆっくり」を作って欲しいというものだ。
研究に必用とされるゆっくりは全てゆっくりカンパニーのほうから取り寄せ、男の会社の研究員を数人を部下にすることを条件にブリーダーはこの提案を了承した。
当然社内では公私混同であると批判されたが、この研究データは会社にも役に立つことや、ゆっくりの代金やブリーダーへの報酬は男が全て負担することを説明すると渋々ではあるが認められた。
ちなみに時田の言っていた1千万というのはブリーダーへの報酬と研究に必要なゆっくりの代金である。
そして半年後、偶発的な突然変異による一匹のみではあるが研究は成功する。
さなえやさくやなどの人気のあるゆっくりの愛される要素を凝縮させた個体。
純粋無垢でけしてゲス化せず、愛くるしいしぐさで人々を魅了するゆっくり。
通称「愛されいむ」の誕生だった。
愛されいむは全ての人間に愛された。
ゆっくりランにいけば、たちまち人だかりができ、全ての人間がれいむを賞賛した。
ゆっくりたちの間でも人気者で、つがいになってほしいと言われた回数は100を超える。(溺愛する男が全て断ったが)
TVに出てくれと言われて出演すれば「ゆっくりしていってね」の挨拶しかしていないのに、他に出演していたどの希少種達をさしおいてぶっちぎりの一番人気だった。
愛されいむは「ゆっくりしていってね」しか言えなかったのではない。
「ゆっくりしていってね」だけで十分なのだ。
それだけで全ての人を虜にできるのだから。
そんなれいむを男はいたくかわいがり、セレブゆっくりの証であるダイヤモンドバッジを与えた。そして会長職を辞任し、れいむと共に悠々自適な老後を楽しむことにしたのだ。
しかしれいむは行方不明になってしまう。
男は必死になって探した。自分で、使用人を使って、時には探偵を雇って。
そんな中やっと掴めたれいむの所在。男は病院へと急いだ。
しかし居たのはまったくの別ゆっくりだった。
男にはわかってしまうのだ。れいむをずっと見ていたのだから。
所詮どれほどうまく演じようともゲスはゲス。愛されいむの可愛らしさには似ても似つかぬものだったのだ。
おそらく成りすますのが普通のゆっくりならうまくいっていたのだろう。ゆっくりの顔など人間には同じに見えるのだから。
だが残念ながらのーぶるれいむが成りすまそうとした相手は世界でただ1匹しかいない愛されいむだったのだ。
その違いは男の飼っているゆっくりさくや達も違和感を感じるほどのものだ。男が間違えるはずもない。
男があの時、涙を流したのはのーぶるれいむの策にだまされた訳ではない。
飼いゆっくりにとって命同然のりぼんとバッジをこのれいむがしている以上、もはや愛されいむの生存は絶望的だと悟ったからだ。
男はその場でのーぶるれいむを叩き潰してやりたかったがぐっと堪えた。
自分の愛するれいむに成り代わろうとするこの偽者にはもっと悲惨な目に合わせなければ気がすまない。
そう思ったからである。
「ゆゆっ、むししないでね。ぷんぷん。」
れいむの声にはっとなる男。どうやらずっと考え込んでいたせいでれいむが話しかけているのに気づかなかったようだ。
「やくそくどおりれいむをかってね。あんなれいむよりれいむのほうがいいでしょ。だってれいむは・・・」
延々とのーぶるれいむの自慢話が続いていたが男には聞こえていなかった。
あんなれいむ・・・だと。
愛されいむは男にとって理想のゆっくりだった。愛されいむを馬鹿にすることは男の生涯を馬鹿にすることに等しい。
猿芝居と浅知恵しか能のない腐れ饅頭が私のれいむをあんな、だと。
男の怒りはすでに沸点を超えていた。
「ああ勿論だとも・・・約束は守ろう。」
そう言いながら笑顔でれいむに近づく。
その表情は笑顔でありながらどこか薄ら寒い恐怖を感じさせるものだった。
「ああ勿論だとも・・・約束は守ろう。」
この言葉にれいむは色めき立った。
やった。当初の計画とは違ったがついにセレブ飼いゆっくりになれたのだ。
しかもあの無能なれいむとしてではなく、のーぶるれいむとして。
あのじじい、いろいろ言っていたが結局あのクソれいむよりのーぶるゆっくりである自分を選んだのだ。
この理想のゆっくりプレイスで好きなだけあまあまを食べ、あの美ゆっくりたちとすっきりーをしてたくさんの子供を作ろう。
そしてその子供達にのーぶるゆっくりとして英才教育を施し、ここをのーぶるれいむの王国にするのだ。
愚民たちめ。支配してやるぞ。のーぶるれいむ様の英知の前にひれ伏すがいい。
ゆっくり特有の願望と誇大妄想のいりまじった思索にふけるれいむ。
だから気づかなかった。男の怒りに。そして男が右手に持っているものに。
ちくっ。
「ゆゆっ、何を・・・ゆっ!?」
何か尖ったものを刺されて急に身体が動かなくなったれいむ。にやけ面のまま固まってしまった。
それもそのはず男の持っていたのは注射器。中に入っていたのはゆっくりを半永久的に動けなくするゆっくり餡凝固剤である。
餡子そのものが固まるので声すらももうれいむは出せない。
「約束は守るぞ。クソ饅頭。この部屋に置いてやるよ。一生な。」
(ゆゆっ・・うごけな・・・い・・・)
急激に餡子が固まったショックでれいむはそのまま気絶してしまった。
れいむが動けなくなったのを確認して男は部屋を出る。
「旦那さま・・・」
心配して扉の外に待機していた時田が話しかける。
「時田、聞いての通りだ。すぐにれいむを殺したれてぃを探し出し、駆除するようゆっくりギルドへ連絡しろ。武勇のハンター鬼意山を雇うのだ。金はいくらかかっても構わん。」
「はっ。かしこまりました。」
「私は少し疲れた。一人にしてくれ。」
「旦那さま・・・」
そう言い残し自室へとぼとぼと向かう男を時田は心配そうに見送った。
のーぶるれいむが目覚めたのは次の日の昼過ぎだった。
なぜかあのまま寝入ってしまった。記念すべきのーぶるれいむ様のセレブデビューの日に。
そう思いながらもみあげで目をこする。どうやら注射されたことは忘れたらしい。
まあいい。時間はたっぷりある。今日はとりあえずあの美ゆっくりたちのもとに挨拶へいってやろう。
あの無能なれいむに代わり自分があのゆっくり達を支配してやるのだ。
きっとあのゆっくり達もあんなクズから偉大なのーぶるれいむ様が支配してやることに泣いて喜ぶだろう。
そう思い扉のほうへ跳ねようとしたが・・・動けなかった。
それどころか昨日のにやけ顔から表情を変えることもできない。動くのは、もみあげだけだ。大声をあげたいがそれもできない。
どういうことだ?何がおきている!?このれいむ様に!!?
れいむが混乱しているとドアの開く音がした。男が来たようだ。
どういうことだじじい!!このれいむ様に何をした!!
そう言おうとした所(言えないが)目が点になった。
男は足元にゆっくりを連れていた。そしてそのゆっくりは昨日のさくや達の誰でもなかった。
クズめーりんだ。しかも昨日車の窓から道路で見たあのクズ親子。
どうしてあの薄汚い虫けらどもが偉大なるれいむ様の聖域に?
なぜこんな事になったのか。話は数時間前にさかのぼる。
男は歩いていた。朝の町並みを。ただ一人で。
自室にこもっていても気が滅入るばかりなので散歩へ出たのだ。
しかし失敗だった。
この道は愛されいむと共に歩いた散歩道。いやでもれいむのことを思い出し、悲しみがこみ上げてくる。
「うぅ・・・れいむ・・・」
思わず涙声でその名をつぶやく男。だがもう男のれいむはこの世に居ないのだ。
そう悲嘆にくれている男の耳に悲鳴のようなものが聞こえた。
どうやら悲鳴は近くの路地裏から聞こえてくるようだ。なんだろうと覗き込んで見る。
それはゆっくり同士の喧嘩だった。正確には喧嘩というより集団リンチだったが。
数匹のゲスまりさとでいぶが因縁をつけめーりんを痛めつけているのだ。どう考えてもめーりんに勝ち目はない。
「クズめーりんがいるせいで、まりさたちがじじいたちからあまあまもらえないんだぜ!!」
「れいむたちがにんげんさんにけられたのもめーりんがしくんだんことでしょ!!」
「クズのぶんざいでなまいきなんだぜ!!」
ちなみにこのまりさとれいむ達は通行人に物乞いをして生計を立てるゆっくりだったが
「おらおらじじいども。まりささまはつよいんんだぜ。とっととあまあまよこすのぜ。」
「れいむはしんぐるまざーなんだよ。かわいそうなんだよ。だからさっさとあまあまちょうだいね。そんなこともわからないの!?
ばかなの!?しぬの!?さんびょういないでちょうだいね。ぐずはきらいだよ。」
などと喧嘩を売っているとしか思えないことを言うゲス達のため、良くて無視、悪いと思いっきり蹴飛ばされていたのだ。
そしてその憂さをおとなしくて人間に人気のあるめーりんへと向けた。めーりんは人気もあり性格もいい為、何もしなくても通行人に餌をもらえていたのだ。
自分より下のはずのクズめーりんがなぜ・・・きっと裏で何かしているに違いない。だから自分達には餌がもらえないのだ!!
そんな嫉妬と差別心、更には被害妄想が入り混じり今回の凶行に及んだわけである。
100%純粋な、ここまで来ると気持ちいい位のゲスっぷりである。
男はそのまま立ち去るつもりだった。ゆっくり同士のいさかいに首を突っ込んでる気分ではなかったから。
立ち去るつもりだったが・・・いつの間にかゲスたちを潰しめーりんを助けていた。
その後、傷ついた親めーりんと子めーりん2匹を屋敷につれて帰り、ゆっくり医を呼んで手当てさせる。幸い体当たりによる軽い打撲だけで済み、それもオレンジジュースをかけるとすぐに治った。
そしてメイドに命じて体の汚れを落としてみるとなかなかの美ゆっくり。それにどことなく愛されいむに雰囲気が似ている気がする。
男はめーりん親子を飼うことにした。これも何かの縁だと思って。
以上のような経緯があったのだが当然のーぶるれいむは知るはずもない。
「さあ、めーりん。ここがお前達の部屋だ。好きに使っていいんだよ。」
その男の声に子めーりん2匹が遊具へと跳ねていく。始めて見る遊具に興味しんしんなのだ。その後から親めーりんがついていく。
れいむにとってめーりんは害虫でしかない。当然排除しようとする。
(そこのくずめーりんたち!!とっととでていってね!!ここはおまえたちみたいなくずのはいれるばしょじゃないんだよ!!)
れいむとしては大声を出してるつもりだが、人間にとって喉にあたる場所も昨日の薬剤で固まっているため声を出せない。
だから当然無視される。子めーりん達は遊具で遊び始め、親めーりんはその様子を見守っている。
(うがぁぁぁぁあ!!むじずるなぁああ!!くずどもぉぉぉぉ!!)
叫ぶれいむだが当然聞こえていない。実力行使でめーりんたちを排除しようにも体が動かないのでどうしようもない。
そんななか子めーりんたちが遊具で遊ぶのをやめ、れいむのほうへ近づいてきた。
れいむの内なる声が聞こえたのではない。もっと面白そうなものに気づいたからだ。
子めーりん達の見つけた面白そうなもの。それはピコピコ動くれいむのもみあげだ。どうやらもみあげ以外動かないれいむをそういうぬいぐるみと勘違いしたようだ。
冗談じゃない。こんなクズどもに触れられたら体が穢れる。
そう思うれいむだったが動けず、声も出せないのではどうしようもない。
なすがまま、されるがままにされるしかなかった。
その日のうちに愛されいむの死と代わりにめーりん親子が飼われることが館のゆっくりたちに知らされた。
最初は泣き崩れていたゆっくり達だったが、
「いつまでもないてはいられませんわ。きょうからめーりんさんたちがおじょうさまですわ。」
とさくやが言うとみんなそれに賛成してくれた。めーりん親子ははれてこの館へ迎えられたのだ。
その様子をれいむは歯軋りしながら見ているしかなかった。
それから毎日れいむは地獄だった。
ある時は子めーりんたちにトランポリン代わりにされ、顔じゅうあざだらけになった。
ある時は噛み癖のあるもみじにあたまをガジガジと齧られ、自慢だった髪を半分以上引き抜かれた。
ある時はちぇんにサッカーボール代わりにされて壁に激突した衝撃で目玉が1つ飛び出た。
もはや見る影もなく落ち武者のような姿のれいむ。
そんなれいむを見て、さなえとさくやは「ゆっくりできないぬいぐるみ」と汚いものを見るような目で見られる毎日。
れいむはのーぶるゆっくりなのに。本来、畏怖と尊敬の念で見られるべきなのに。
れいむは人知れず涙を流した。
そんなある日、のーぶるれいむは自分の目を疑う。
男と共にドアを開けて入ってきたのは・・・なんと研究お兄さんだった。
研究所で自分の世話をしてくれたあのお兄さんなら助けてくれるに違いない。
なぜなら自分はのーぶるゆっくりなのだから。
その研究お兄さんに捨てられたからここに居るのだということをすっかり忘れているようだ。すさまじい餡子脳である。
(ゆゆっ、おにいさん!!のーぶるれいむだよ!!はやくたすけてね!!)
当然無視される。そもそも研究お兄さんがここに来た理由はのーぶるれいむなどではないからだ。
「それじゃここに設置ということでよろしいですね?」
「ああ。完成までどれぐらいかかるかね?」
「1時間もあれば十分です。」
そう言い研究お兄さんはなにやらその場で組み上げ始めた。
1時間後。
「ふう。できた。」
研究お兄さんが組み上げたのはゆっくりハウスだった。
大きな門。「こーまかん」と書かれたゆっくりが数匹休めるスペースの屋敷。小さな造花の花壇。
ゆっくりハウス(こーまかん、門番めーりん仕様)。男からめーりん親子へのプレゼントだ。
実は研究お兄さんの働いてる店の店長と男はゆっくりハンター仲間なのだ。(なお男は中級、店長は上級ライセンスを持っている)
だからそのよしみで男は研究お兄さんと会うことも多く、今日も男が店で購入したこのゆっくりハウスを配達しにきただけなのだ。
「じゃあ僕はもう店に戻りますので。」
「ああごくろうさん。店長によろしく。」
まずい。
れいむは焦った。お兄さんが帰ってしまったらもう誰も助けてくれない。
このままこの地獄でゆん生を終えることになる。それだけはいやだ。
もはやれいむにのーぶるゆっくりとしての選民思想など残っていなかった。
(おにいさんおねがいじまずうぅぅぅぅっ゛!!!でいぶをだずげでぐだざいぃぃぃぃぃ!!!)
プライドも見栄もなくそう叫ぶ。声にならなくても思いは届く。そう信じて。
(でいぶわるいこでしたぁぁぁぁぁ!!かみさまにえらばれたゆっくりなんてちょーしこいてまじだー!!)
(いいこに・・・いいこになでぃますからぁぁぁああ!!でいぶをみすでないでぇぇぇ!!)
正に捨て身の懇願。その時奇跡が起きた。
のーぶるれいむと研究お兄さんの目があったのだ。
やったこれで助かる。そう喜んだれいむだったが。
現実は非情だった。
「汚いぬいぐるみだな。」
汚物を見るような目で一瞥し、ぼそっとつぶやく研究お兄さん。
のーぶるれいむの最後の希望、そして最後のプライドが粉々になった瞬間だった。
その夜れいむは寝付けなかった。
結局お兄さんはれいむを助けてくれなかった。それどころかのーぶるれいむだと解らなかった。
もう自分には何の希望もない。
「・・・どうしてころしたの?」
不意に誰かがつぶやいた。誰も居ないはずなのに。
誰だ?どこにいるんだ?怯えるれいむ。
「どうしてママをころしたの・・・・おちびちゃん・・・」
姿を見せた声の主にれいむは恐怖した。
それはのーぶるれいむの母親だった。全身から餡子をふきだしながら苦悶の表情を浮かべれいむへ近づいてくる。
そんな・・・死んだはずだ。自分の母親は・・・。自分が確かに殺したはず・・・。
「れいむ・・・どうしてちぇんをころしたの・・・わからないよ・・・」
「こんなの・・・とかいはじゃないわぁ・・・」
「すごく・・・すごくいたかったんだぜぇぇぇ・・」
母れいむの後ろから出てきたゆっくりに更に驚愕するれいむ。
それはれいむが研究所で殺したゆっくりたちだった。みな全身餡子やクリームまみれでまるでゾンビのような姿だ。
ある者は足し算ができなかったから。
ある者はかけっこが他のゆっくりより遅かったから。
ある者はのーぶるれいむに口答えしたから。
そんな些細で理不尽な理由でみんな殺してきたのだ。クズを排除できるのはのーぶるゆっくりの特権、そして使命であると信じて。
「むぎゅぅぅぅ・・・・どうしてぱちゅにあんなことしたの・・・ひどいわぁぁぁぁ」
「れいむは・・・とんでもないくされゲスだみよぉぉぉぉぉぉん」
どんどんゾンビのようなゆっくりは多くなる。新しく現れた者達は野良時代にれいむが殺したゆっくりだった。
ある者はえさを横取りする為に。ある者は住処を奪い取る為に。ひどい時など憂さ晴らしの為にその命を奪った。
(どうじでいきてるのぉぉぉぉぉぉぉ!!!みんなしんだはずでしょぉぉぉぉぉぉぉ!!!)
声なき声でれいむは叫ぶ。発狂しそうな恐怖に震えながら。
「ゲスれいむにふくしゅうするためじごくからまいもどってきたんだぜぇぇぇぇぇ」
「いなかもののれいむにはてんちゅうをくだすわぁぁぁぁぁ」
「ゲスはせいさいなんだよぉぉぉぉぉぉ。わかってねぇぇぇぇぇぇ」
口々に恨み言を漏らすゾンビゆっくり達。
もちろんこのゆっくり達はれいむに殺されたゆっくりが生き返ったわけではなく、悪霊というわけでもない。
これは幻覚。れいむの罪悪感が見せたまぼろしなのだ。
今までれいむは仲間であるゆっくりを殺すのに何の罪悪感も感じなかった。自分は神に選ばれしのーぶるゆっくり。他の平凡なゆっくり達の生殺与奪の権利は自分にある。そう考えていたからだ。
しかしれいむは認めてしまった。自分は神になど選ばれていないただのゆっくりにすぎないと。
その結果、潜在意識にあった罪悪感が一気に幻覚という形で表に出たのだ。
(ゆうううううぅぅぅぅうううう!!!だれかたずげでえぇぇぇぇぇぇぇ!!)
恥も外聞もなくしーしーを垂れ流しながら助けを求めるれいむ。動けないれいむにはそれしかできない。(正確には声が出ないのだからそれもできていないのだが。)
しかし誰も助けには来ない。例え来ても助けることはできない。
なぜならこれはのーぶるれいむの罪そのもの。けして逃げることはできないのだ。
(ゆんぎゃあああああぁぁぁあああああ!!!」)
れいむの声にならない叫びが館に木霊した。
男は窓からゆっくり達を見ていた。男の部屋は2階にあり、庭で遊ぶゆっくり達を見るのには特等席である。
暖かな日差しの中、ゆっくり達は皆一様に楽しそうに遊んでいる。その様子を目を細めて男は眺める。
男は思う。
愛されいむは自分の産み出したゆっくりの中でも最高傑作だ。今でも愛している。それはこれからも変わらないだろう。
だが同時に思い出す。初めてめーりんに会った時のことを。
あの時めーりんのそばには子ゆっくりたちが居た。
めーりんは2匹の子供を守っていたのだ。子供達に覆いかぶさるように自分の体を盾にし、ゲス達の攻撃を一身に受けて。
恐怖でブルブルと震える子供達にめーりんは子供達に向かって微笑んでいた。
おちびちゃん達は自分が必ず守る。だから心配しないで。そう言わんばかりに。
ゲス達によるリンチに苦しんでいたはずなのに。そんなめーりんだからこそ男は思わず助けてしまったのだ。
彼女もまたれいむと同じ愛される、いや愛すべきゆっくりだと思って。
穢れを、悪意を知らぬゆえに悪意によってその命を散らせた愛されいむ。
その身を挺して悪意から自分の愛するものを守ろうとしためーりん。
どちらが真のゆっくりと言えるのだろう。いや答えなど存在しないか。
願わくばあのゆっくりたちの笑顔がいつまでもかげらんことを。
そう思いつつ男は部屋を出た。
愛するゆっくりたちのもとへ向かうために。
今日の希少種
愛されいむ
希少度 不明
愛されることを目的に品種改良されたゆっくり。純粋無垢でゲス化することもない愛玩動物としては理想のゆっくりだが、虐待緒お兄さんやゲス、捕食種には効果がないので注意。ありとあらゆる生物に愛される完全体の愛されゆっくりもいるらしいが真相は定かではない。
補足説明
ゆっくりハンター
ゆっくり局の監督するゆっくり関係の仕事をする者の総称で全国に数千人いる。主な仕事はゲスの駆除、捕獲、希少ゆっくりや虐待ゆっくりの保護など。ハンターはクラスによって希少ゆっくりの売買などの権利を得るので、ゆっくりショップの店員はこのライセンスを持っていることも多い。
階級としては初級ハンター、中級ハンター、上級ハンターとあり、その上のクラスがハンター鬼意山である。ハンター鬼意山には二つ名が与えられ「○○のハンター鬼意山」と名乗ることが許されるが、その資格を持っているのは日本で十人ほどしかいない。
あとがき
解答は
「セレブれいむは愛されいむと言う人間に愛されることに特化した品種改良種。人間、特に飼い主がみればゲスのれいむがどう演技しても一目瞭然だから。」でした。
すいません。こんな「わかるか、ボケ!!!」と言いたくなるようなひどい作品で。その上難易度上げすぎて出題編2を作るようなグダグダっぷり。本当に申し訳ありません。次回作こそこのようなことのないようがんばりますので。
ちなみに愛されいむを思いついたきっかけは、コードギアスR2、15話にでてくるCCが昔持っていた「愛されるギアス」です。
なお書き始めた当初は原種ゆっくりが正解だったので出題編1で原種ゆっくりと書いた人は全員正解あつかいとします。その上で一番今回書きやすかったコメントナンバー1254013508 さんのリクエスト「研究お兄さんとの再会」を今回書かせていただきました。たくさんのコメントありがとうございます。他の方のリクエストもいずれ書く予定なので気長にお待ちください。
PS
店員お兄さんの名前は研究お兄さんに戻しました。そのほうがしっくりくるので。
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