ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko0433 ゆっくりで漬け物
最終更新:
ankoss
-
view
・ありがちなネタ
・希少種愛での名を騙る、嫁とのイチャコラを過度に含みます
・通常種いじめで良ければあります
・途中、ノイズっぽい半角カナ文字が出ますが、
ノイズなので読み飛ばして大丈夫です。お見苦しくてすみません
==================
「よいぞ! よいぞ! よいぞ!」
一面に広がる緑の中に、秋の訪れを感じさせる色が微かに混ざり始めた山道。
その山道をボインボインと元気に飛び跳ねながら進むのは、
俺のパートナーである、えーき様だ。
今日は休みを利用して、えーき様と二人で山の恵みを分けてもらいに来ていた。
俺が背負ったリュックには、既に結構な量の茸や木の実などが詰まっている。
予想していたよりも遙かに多い収穫に、
もっと大きめのリュックを用意しても良かったかなー、
などと欲の皮が張った事を考える。
大収穫の理由は、秋の実りの豊富な季節だからという事もあるが、
それよりも、えーき様の活躍に依るところが大きい。
えーき様は元は野生育ちらしく、こうした野山で食料を探す事に長けている。
自然の中で身につけた嗅覚と経験が物を言うのだろう。
俺はもっぱらえーき様の後をついて、
えーき様がみつけてくれた食材を採取・運搬するだけである。
不意にえーき様がピクリと身を強ばらせ、きょろきょろと周囲を見回す。
「ん?どうしたんですか、えーき様?」
呼びかけた俺の声には答えず、
えーき様が一本の大木の根本に向かって、
ポヨポヨポヨンと小さく跳ねながら近づいてゆく。
暫く大木の前で何か様子を伺うようにしていたが、やがてこちらに振り向き、
声を出さずに大木の前でぴょんぴょんと飛び跳ね出す。
どうやら探していた獲物を見つけたようだ。
俺も極力音を立てないようしながら、えーき様がいる場所まで近づく。
木の根本にできたウロらしき所に、細かい木の枝が何本も立てかけられ、
その隙間に葉っぱやら草やらが詰められている。
注意して見ていないと、周囲の草木の色に紛れて目立たないが、
一旦注目してしまえば、明らかに何者かの手が加えられている事は一目瞭然。
これほど不自然な光景は無い。
自然界でこの手を加工をするモノと言えば限られている。
立てかけられた枝の隙間から、そっと中の様子を伺う。
ムーシャ、ムーシャ、シアワセェ! チアワチェー!! チアワチェー!! オトーサンノトッテキタゴハンサン、オイシイネ!
ユフーン! オチビチャン、オイシイ? ウッミェ!コレ、メッチャウッミェェ!
ゴハンサンヲ タベタラ、ミンナデ オウタヲウタオウネ! ユーン! ユックチ! ユックチ!
奇妙な鳴き声を上げながら、何やら食べている幾つもの丸っこい物体。
これは、ゆっくりと呼ばれる物だ。
一見すると人間の生首のように見えなくもない、
ある意味グロテスクな姿をしたモノだが、
その正体は、餡子の詰まった動く饅頭。
しかも、なかなかに味が良く、食料として重宝するのである。
このゆっくりを採る事が、今日の目的の一つでもあった。
大きめの西瓜ぐらいの大きさのが二つ。これは親にあたる。
普通の物よりなかなかに大きく育っている。
そのまま食べるなら、小さめのやつの方が味は良いのだが、
今回は別の用途に使うので、大きめのが欲しかったところだ。
残るは、夏蜜柑ぐらいの中ぐらいの大きさのが五つに、
琵琶の実ぐらいの小さいのが八つ。
これは子供のゆっくり、小さい方は、まだ生まれたばかりの赤子だ。
さて、採取にかかろうか。
まず、巣を塞いでいる枝を取り外す。
突然入り口から射し込んで来た光に反応して、
中のゆっくりが幾つか、こちらに顔を向ける。
ここですかさず、こう口にする。
「ユックリシテイッテネ。」
ユックリシテイッテネ!
ユ? オニイサンハ、ユックリデキルヒト?
マリサタチハ、オショクジタイムダヨ! ユックリ、ジャマシナイデネ!
ゆっくりの鳴き声を模したこの言葉を口にすると、
仲間だと思うのか、油断して鳴き声を返してくる。
その隙を逃さず、巣の中に手を突っ込み、
手近な小さいのを三つ掴んで引っ張り出すと、持参したズタ袋に放り込んだ。
ユヤァァァ?! オカーサァン! マッキュラダヨー! キョワイヨォォー! ユ? オカーシャンハァ・・・?
ヤメテネ! ヤメテネ! レイムノ アカチャンニ ヒドイコト シナイデネ!
ユックリデキナイ ニンゲンサンハ、マリサノ アカチャンヲ カエシテ、ドッカイッテネ!
レームノ イモウトガー! オニェイチャーン!
巣の中に残るゆっくりには、まだ手を出さない。
狭い巣の中に迂闊に手を突っ込むと、
噛み付いてきたり、木の枝などを口に咥えて刺してきたりと
思わぬ反撃を受ける事があるからだ。
そこで安全に採取するために、小さいのを捕まえたら一旦巣から離れる。
カエシテ! マリサノ オチビチャンタチヲ カエシテヨー! アカチャンヲカエサナイト、レイムオコルヨ! プクゥゥ!
そうすると、大抵の場合は親などの大きな個体が子供を追って巣から出てくる。
ユギャッ! ヤベデッ! ア゛ッ! イダッ!
バリザァ!? ユギィィ!? イダイッ! イダイヨォ! ドオジデゴンナ、ユギッ!
そこを狙って、蹴るなり、棒などで叩くなりして少し痛めつけて弱らせる。
ゆっくりの動きは遅いので、視界が確保できる開けた場所に出てしまえば、
反撃を喰らうことなく安全に痛めつけることができる。
ユビィー・・・ イダイヨー・・・
ヤベデェ・・・ レイブタチ ナニモワルイコト ジテナイノニィ・・・
動けなくなるぐらいに怪我を負わせずとも、
ある程度痛みを与えるだけで、怯えて抵抗しなくなる。
動きが止まった所で、黒帽子を被っている方からは帽子を取り上げて
バサバサと振ると、中から細い木の枝が落ちてきた。
オ、オボウシ・・・! マリサノオボウシ、カ、カエシテ!
その枝をポキンとへし折ってから帽子を放り投げて返してやる。
「えーき様、そいつらが邪魔しないように見張っててくださいね。」
「よいぞ!」
俺の言葉に応えて、えーき様がゆっくりと巣の間に割り込むようにして立ち塞がる。
えーき様はゆっくりを食べる捕食種であり、
ゆっくり相手になら滅多な事で負けることはない。
だが、万に一つも大怪我させられるような事があってはならないので、
危険な武器になりそうな物を事前に奪っておいたのだ。
ユヤァァァ・・・! ユェェェン! レイミュキョワイィィ・・・!
オカーシャン・・・! オトーシャァン・・・!
再び巣を覗き込むと、残った小さいのは巣の奥に固まってガタガタと震えていた。
コ、コッチ キョナイデー!?
ユヤァァァ!? レ、レイム、オソラヲ トンデルミタイヤヂャァァー?!
ヤメチェー! ハナチェジジィー! マリシャキョワイヨー! タチュケチェー! ミャァミャー!
小さなゆっくりの反撃能力は皆無に等しい。
安全になった巣の中に手を差し入れて、次々に捕まえては袋に放り込んでゆく。
小さいのを全部採ったら、最後に大きい個体の内、
赤いリボンがついている方を捕まえ、
既に捕まえた小さいのを潰さないよう注意して袋の奥に詰め込む。
ユアァァ! ダシテェェ! マリザァー! レイブー! レイブー! バリサノ レイブヲ ハナシ ユッ!? ユベエッ!?
残りの黒帽子が乗ってる方は、少し強めに蹴って木に叩きつける。
動かなくなったが、この程度なら死にはしない。
気絶か死んだふりをしているだけだろう。
貴重な食料になるので、本当なら二つとも採って帰りたい所なのだが、
あまり採りすぎてはいけない。
一つだけでも残しておけば、そのうち同種を見つけて繁殖するだろう。
根絶やしにするまで採りすぎないことは、ゆっくり採りに限らず、
自然からの恵みを授かる上での不文律だ。
「今日はえーき様のお陰で大収穫ですよ。帰ったらいつもの作りますからね。」
「よいぞ! よいぞ!」
俺がえーき様の頭を撫でると、えーき様が満面の笑みで応えてくれる。
「さっ、ゆっくりも採れたし、家に帰りましょうか。えーき様。」
「よいぞ!」
==================
ダシテェー! ココカラ、ダシテェー!
オニイサン・・・レイムタチヲドウスルノォ・・・? オチビチャンニハ、ヒドイコトシナイデェ・・・!
ユエーン! キョワイヨォ! オキャーシャーン! レイミュタチ ドウナリュノー?!
山を下りる道すがら、袋の中からゆっくり達の喧しい鳴き声が聞こえてくる。
袋を地面に叩きつけてやりでもすれば大人しくなるのだが、
獣避けになるので、放っておく事にしている。
「ぜんこーよ! ぜんこーよ!」
ふと、俺の前を跳ねていたえーき様がこちらを振り向いたかと思うと、
俺の足下で飛び跳ね始める。
「え?どうしたんですか、えーき様?」
「ぜんこーよ! ぜんこーよ!」
人語を解するえーき様ではあるが、話す方の語彙は極端に少ない。
最初の頃は意志疎通に苦労したが、今では俺も慣れた物で、
表情や声の抑揚などから、大体の言わんとしている所はわかるようになった。
"ぜんこーよ"は、こちらに何かの行動を促そうとしている時が多い。
まあ、大抵の場合はおねだりである。
「ああ、お腹が空いたんですか?」
「しろ! しろ!」
しろ、は肯定の返事。
「仕方ないですね~、今日は頑張ってくれましたし。でも、一つだけですよ?」
「よいぞ! よいぞ!」
俺は袋から中くらいの大きさの帽子付きゆっくりを一つ取り出し、右手に乗せる。
ユ? オニイサン、マリサヲ ニガシテクレルノ? ハヤク ニガシテネ! アト、アマアマモチョ
パチィン! ユピィッ?!
それを左手の掌に向かって、叩きつけるように投げつける。
この時、受ける側の掌はゆっくりの体の丸みに合わせて少し曲げておく。
ゆっくりの体が打撃を受ける面積を広くするためだ。
イヂャイ・・・ヤ、ヤメテネ! ユッグリヤメテネ・・・!
パチィン! ユビィッ!!
今度は右手に叩きつける。
ゆっくりの皮が破れて美味しい中身が漏れ出す事がないよう、
なおかつ、最大限に痛みを与えられるように加減をしながら。
パチィン! ユビャァッ! パチィン! ブビュゥッ! パチィン!パチィン!……
ヤメデェ! レイムノオチビチャンニ ナニジデルノォ!? オネーチャンニ、ヒヂョイコトチナイデェ!
「さあ、どうぞ。えーき様。」
両手の間を30回ほど往復させて、手が少し赤く腫れてきた頃、
こちらも皮がパンパンに腫れ上がり、グッタリしたゆっくりをえーき様の前に転がす。
こうやって痛めつけるのは、
ゆっくりは恐怖や苦痛を与えると何故か味が良くなるからだ。
ユピィ・・・イヂャイヨォ・・・ ユ? ユックリノオネエサン・・・ タシュケテネ・・・ マリサヲタシュケ
「しけいっ!」
不遜極まりないことに、えーき様を仲間だとでも勘違いしたのか、
自分からえーき様に向かってずりずりと這っていったゆっくりの腹部を、
えーき様の可愛らしいお口が噛み千切り、むしゃむしゃと咀嚼を始めた。
ユギィィィ?! ドオジデ、マリザヲタベルノォ! ヤベデェ! タベナイデェ!! アギィィ! ユビィィ!
「おいしいですか?えーき様?」
「もいぞ! もいぞ!」
もしゃもしゃとお口を動かしながら、えーき様が笑顔で答える。
良かった~。手を赤く腫らした甲斐があったというものだ。
ヤメ゙・・・! ユッグリ・・・サセデ・・・! ユギィ! ダベナイデ・・・! ダベナイデェ・・・! ユギャァ!
俺もちょっと休憩。
地べたに腰を下ろし、水筒の水を飲む。
ユ゙ッ! ユ゙ッ・・・ モッド・・・ ユッグ・・・・
レイブノ オチビヂャァン!! ドウジタノー?! オヘンジシテェ!?
マリザー! マリザー! ユワァァン! ヤダヨォ!ソンナノヤダヨォ! オネーチャンガー! ユンヤァー!
えーき様が美味しそうにゆっくりを食べる様子を眺めて
しばし至福の時を過ごした。
えーき様のおやつタイムも終わり、
それぞれ別の意味でお腹の膨れたえーき様と俺は、
そのまま山を下り、夕刻前には俺の家まで帰り着いた。
==================
家に帰ってズタ袋の中を覗くと、散々に暴れたり鳴いたりして疲れたのか、
ゆっくりは眠っているようだった。
「さあ、えーき様。綺麗にしましょうね。」
「よいぞ~~~」
水を張った大きめの木桶で、
土で汚れたえーき様の体を優しくマッサージしながら洗うと、
気持ちがいいのか、えーき様がうっとりとした表情になる。
汚れが落ちたら、手拭いで濡れた体を拭ってあげる。
えーき様の肌は、長時間水に濡らすとふやけて破れてしまうので、
念入りに水気を拭き取る。
次いで、山で採ってきた茸や木の実を洗い、
最後に俺も木桶の水で手足の泥を落とす。
そして最後の最後に、ズタ袋を逆さまに振って、
眠っているゆっくり達をボチャボチャと木桶の中に放り込む。
ユビャ?! ユユ? チュメタイヨ! オミズサンダァァ! ユックリデキナイィ! トケリュゥ! トケチャウゥ!
途端に目を覚ましたゆっくりが、バシャバシャと水を跳ね上げながら暴れ出す。
その動きで汚れは勝手に落ちるので、そのまま暫く放置。
汚れが落ちた頃を見計らって水から引き揚げ、木製のミカン箱の中に放り投げる。
ナニスルノ!? ダシテネ!ココカラダシテネ! ユッグリデキナイヨォ・・・ オキャーシャン!レイミュ、ユックチチタイヨォォ!
「さあて、じゃあ準備しますか。」
「よいぞ!よいぞ!」
えーき様が楽しみで堪らないという風情で、俺の足下でぴょんぴょん飛び跳ねる。
作るのは、我が家の常備食、ゆっくりを使った漬け物 "ゆっくり漬け" だ。
もっとも、今日はその下準備だけだが。
==================
まずは鍋を火にかけ、そこで米ぬかをカラ煎りする。
この時に一緒に何本か赤唐辛子を入れてやる。
こうすると風味が良くなるのだが、あまり入れすぎて辛みが出ると
辛い物が苦手なえーき様が食べられなくなるので程々にしておく。
香ばしい香りがでてきたら、煎ったぬかは少し冷ますために皿に移しておく。
ユ? ナンダカ、イイニオイガスルヨ? ゴハンサンノニオイダネ! オキャーシャン! マリシャ、オナカチュイタ!
ユッ! ソウダネ! ミンナデ、ムシャムシャ・・・ユ?
ぬかを煎り終わった所で、大きいゆっくりを箱から取り出す。
ユユー! レイムオソラヲトンデルミユアァァ!? オ、オニイサン、ハ、ハナシテネ! レイムヲ ユックリハナシテネ!
オカーサンヲ ツレテカナイデェー! マミャー! マァミャー!
そしてそのゆっくりを、先程米ぬかを煎るのに使った、
まだ熱い鍋に乗せて再度火をつける。
ユ゙ッギャアァァ! デイブノ アンヨザンガァァァ!? ア゙ヅイヨォォ! ダズゲデェェ!
ジュウジュウと音を立てながら、ゆっくりの表面が焼ける匂いが漂う。
ゆっくりの底部は動物で言う足の機能を果たしているので、
こうして焼いてやる事で、自由に動けなくする事ができる。
ただし、焼き過ぎは禁物。
ゆっくり漬けに使う場合には、ある程度身動きができるぐらいに留める。
時折、ゆっくりを持ち上げて焼け具合を確認し、
良い焦げ具合になったところで、鍋から引きあげて床に放る。
ユギギギ・・・! イダイヨォ・・・! アヅイヨォ・・・! レイブノ・・・アンヨザンガァ・・・ウマグウゴカナイヨォォ・・・!
放られたゆっくりが、虫が這うような速度でずりずりと這っているのを確認する。
もう飛び跳ねる事はできなさそうだ。
えーき様が見張ってくれるし、放置しても逃げ出す事はないだろう。
「よし、と。」
煎りぬかが冷めるのを待つ間、採ってきた茸を炒めて夕食の支度を終えてから
今度は包丁を手に取る。
ユビッ! オネガイダヨ・・・ダズゲデ・・・レイムダヂヲ、タズゲデ・・・! ユビィ!
「しけい! しけい!」
暇だったのか、えーき様が口に咥えた木の板、
"かいごのぼう"で、ゆっくりをベチンベチン叩いて遊んでいた。
ドォォシテ コンナコトスルノォ・・・!
「おや?えーき様、ゆっくりで遊んでるんですか?」
「くろっ! くろーっ!」
俺がそう尋ねると、えーき様が怒ったように頬を膨らせて叫ぶ。
"くろ"は強い否定の意だ。
「え?違うんですか…?あ、ひょっとして、ゆっくりを美味しくするためですか?」
「しろっ!しろっ!」
一転して今度は誇らしげな顔に変わる。
なるほど、ゆっくりに苦痛を与えると味が良くなると、いつも説明していたので、
俺のお手伝いをしてくれてるわけか。
先程の"焼き"と、この後のゆっくり漬けを作る工程で、
十分に苦痛を与える事ができるようになっているので、
特に今の段階で痛めつける必要も無いのだが、その気持ちが嬉しいではないか。
「なんだ、そうだったんですか。ありがとうございます。
勘違いしちゃってすいません。」
そう言ってえーき様の頭を撫でると、すぐにご機嫌になって
「よいぞ!よいぞ!」と答えてくれる。
オ、オニーサント、シラナイユックリサン! レイムノオハナシ、ユックリキイテネ!
レイムタチ、オウチデ ユックリシテタダケダヨ! ナンニモ ワルイコトシテナイカラ、ユックリ オウチニカエシテネ!
「えーき様が手伝ってくれたから、
今度のは一段と美味しいゆっくり漬けになりそうですね。楽しみだなぁ。」
「よいぞ!よいぞ!」
レイムノオハナシ、キイテヨォォ!? ユッ? ユワァァ!? ユガァッ?!
そんなえーき様とのお喋りを楽しみながらも、作業を開始する。
ゆっくりの頭の上の方に寝かせた包丁の刃をザクッと突き立て、
頭頂部を水平に切断する。
切り取った頭頂部を剥がすと、
中には甘い匂いを放つ黒い餡子がミッチリと詰まっていた。
今の季節のゆっくりは、夏から秋にかけての山の恵みをたっぷりと摂取し、
一番栄養状態が良く、餡子の質・量共に最良になっている時期だ。
ユギギギィィ?! ヤベッ?! ガベデッ?! ユッグギョォォ?!
オカーサン?! オカーサン、ドウシタノー!? オキャーシャーン!? ユックイチテー!?
オタマで開口部から餡子を掬い、餡子の中をえぐり抜いて行く。
ゆっくりが死なない程度まで餡子を抜いたら、
開いた餡子の穴の半分程まで、先程の炒りヌカを流し込み、
最後に、穴の淵付近まで、塩を溶かした熱湯を冷ました物を流し込む。
ア゙ッ! ユッグギユ゙!? ヤベ・・・! ア゙ッ! ユ゙ッギ! ユゴゲゴゲゲゲゴゲ・・・!?!?
そして、餡子の中の炒りヌカと塩水が均一に混ざるようにオタマで掻き回す。
ヤベベェー! オガーザンガ、クルシガッデルヨォォー!
オキャーシャンガー! レイミュノ オキャーシャンガ、チンジャウー!
ゆっくりの餡子は、動物で言えば脳や内臓を兼ねているような物らしいので、
ゆっくりにしてみれば相当に苦しいのかもしれないが、
そのおかげで最大限に餡子の味が良くなる。
均等に混ざったら、塩水を吸ったぬかが餡子に馴染むまで暫く放置する。
これで、ゆっくり漬けの肝、"ぬか餡床"の出来上がり。
まあ簡単に言ってしまえば、餡子入りのぬかみそだ。
今、ぬか餡床を掻き混ぜるのに、オタマを使ったが、
普通のぬか床ならここは素手で掻き混ぜるところ。
発酵に必要な乳酸菌等を、人間の手からぬか床に移すために必要な行為なのだが、
ゆっくりの場合は、最初から人間同様に餡子内に乳酸菌等が存在しているため、
敢えて手を汚してやる必要が無い。
この辺のお手軽さが、ゆっくり漬けの優れた点の一つだ。
ゆっくりの頭から取り出した餡子と余ったぬかを、
餌代わりにゆっくりの口に押し込み、
箱の中の小さいのにも、同じ餌を与えて片づけを済ます。
後は、切り開いたゆっくりの頭に丸い木の板をあてがい、
紐で体に縛り付けて蓋代わりにして中身が漏れないようにすれば、
今日の準備は終わりだ。
「さあ、後は明日のお楽しみですよ。ゆっくり待ってくださいね、えーき様。」
「よいぞぉ…」
そう言いながらゆっくりを木箱に戻すと、
早く食べたいのか、えーき様はちょっぴり名残惜しそうだった。
==================
翌朝、日の出前に目を覚ましたした俺は、
朝飯の支度の合間にゆっくり漬け作りの作業を再開する。
「よいぞっ!」
「あ、えーき様、おはようございます。
起こしちゃいました?もう少し寝てていいですよ。」
えーき様を起こさないよう、極力音を立てないようにしていたつもりだが、
狭い家の中の事、僅かな物音で目を覚ましてしまったえーき様が、
俺の元に寄ってくる。
「よいぞ! よいぞ!」
「ははは、見たいんですか?」
どうやら、俺がゆっくり漬けを作る所を見ていたいようなので、
寝床には運ばず、そのまま作業を続ける。
まだ寝ているゆっくりを再び箱から取り出し、
頭の蓋を取ると、開いた穴から餡子が覗く。
そこから漂ってくるのは、昨夜と同じ甘そうな餡子の匂いではない。
ユゲッ!?
餡子の中に人差し指を突っ込んで、一掬いする。
匂いを嗅ぐと僅かに酸っぱそうな香りが鼻腔をくすぐる。
それから舌でペロリと一舐め。
うん、よく熟成されている。
えーき様が物欲しそうにしているので、まだ餡子の残った指を差し出すと、
はむっ、と咥える。
一瞬、塩辛さに顔をしかめるが、
その後にやってくる甘さと酸味にほわんとした顔になる。
俺の指についたぬか餡を綺麗に舐め取った後、「よいぞ! よいぞ!」と喜ぶ。
最初の頃は、えーき様はぬか餡床の独特の匂いを嫌がっていたが、
今ではすっかり慣れて大好物になったようだ。
普通のぬか床の場合、ぬかが発酵して漬け物を作るのに適した状態になるまで、
一週間程度はかかる。
だが、生きたゆっくりを使ったぬか餡床の場合は、
ゆっくりの餡子から菌が発酵するための栄養が潤沢に供給されることと、
ゆっくり自身の体温が、ちょうど発酵が進みやすい温度である事から、
一晩もあれば、十分に発酵する。
これも、ゆっくり漬けのお手軽ポイントだ。
なお、普通のぬか床の場合、塩分を加えるのは保存性を良くするためだが、
ぬか餡床の場合には、それ以上に折角のぬかが
ゆっくりに消化・吸収されないようにするためという理由がある。
ゆっくりは、およそ食物になるものであれば、
何でも餡子内で消化して餡子に変換してしまう性質を持つが、
辛い物、塩辛い物は苦手なため、ほとんど消化されないのだ。
更に、その苦手な物が体内に存在することで常時ストレスがかかり、
餡子の味が良くなる効果もある。
洗った野菜を置いておいたザルを取り出し、
胡瓜を一本掴み取ると、よく水気を切ってから薄いガーゼで包む。
ユ? ソレ、レイムノゴハン? ハヤクチョウダイネ! レイムオナカペコ ユギャアァァーー!
包み終わったら、胡瓜をゆっくりの餡子の中に押し込む。
このゆっくりは大きめなので、胡瓜一本丸ごとでも入るが、
大きめのゆっくりが手に入らない場合には、半分に切ってから入れると良い。
ユギギギ・・・! ヤ、ヤベ・・・デ・・・! イダ・・・! レイブ・・・アンゴザン・・・イダユ゙ギィィ!!
更に茄子と小かぶを幾つか押し込む。どちらもガーゼで包んである。
ガーゼで包むのも、ゆっくりの餡子の中で消化・吸収されないようにするためである。
「ぜんこーよ?」
おっと、えーき様から催促だ。
「わかってますよ、えーき様。
えーき様の大好物もちゃーんと入れますからね。ほら!」
「よいぞっ! よいぞっ!」
先に下ごしらえしておいた三つの小さなガーゼの包みを見せると、
えーき様が子供のようにはしゃぐ。
ヤ、ヤメデェ・・・! モ、モウ、レイブノナガ、イレナイデクダジャイ・・・! ア゙!ア゙!ア゙ッ! ユゲッ・・・! ユゴォッ・・・!
えーき様が期待に満ちた表情で見守る中で、ガーゼの包みを餡子の中に押し込む。
最後の仕上げに、折れ曲がった鉄釘を何本か餡子の中に押し込んで、
急いでゆっくりの頭を木の蓋で塞ぐ。
こうして鉄釘を入れてやる事で茄子の色が良くなる。
というのは普通のヌカ漬けと同じ。
ゆっくり漬けの場合には、それ以上に重要な意味がある。
ユギィィッ! イダッ?! ナ、ナニカ ササッテルゥ! ユギッ!
ト、トッテェ! ユビィ! イタイヨォ! オ、オニイサン、トッテヨー! ユッギィ!? ユギィィィ!!
餡子内に野菜や釘を入れられたゆっくりは、
体内に異物を入れられた痛みに、その身を捩って悶える。
その動きによって尖った釘が更にゆっくりの餡子を傷つけ、
痛みはいつまでも治まらず、ゆっくりは体力の続く限り身悶え続けることになる。
この動きのおかげで、ゆっくりの体内の餡子が常時流動するため、
普通のぬか床のように、時々掻き混ぜてやらなくても、
自動的に掻き混ぜられるのだ。
ゆっくりの足を完全に焼かないのも、この動きができるようにするためである。
後は、蓋が取れて餡子が漏れ出さないよう、
昨夜と同じようにゆっくりを縄で縛ってから木箱に戻しておく。
たったこれだけの手間で、
今日の夜には美味しい漬け物が食べる事ができるようになる。
一度作ったぬか餡床は、ゆっくりが死ぬまで使える。
昨夜のような手間は必要なく、
今後は毎朝その日に食べる分のネタを仕込むだけで良い。
前に使っていたぬか餡床は、三日前に死ぬまで半年以上は保った。
今度のもイキは良さそうだし、それぐらい保つだろう。
「じゃあ、仕事行ってきますね、えーき様。留守番よろしくお願いします。」
「よいぞ…」
こうしてゆっくり漬けの準備を終えた俺は、朝食を食べた後、
少し寂しそうなえーき様を残して仕事に出かけた。
==================
そして、夜
「いただきます!」
「よいぞっ!」
えーき様をちゃぶ台の上に乗せてあげてから、仲良くいただきますの挨拶。
目の前には、ツヤツヤ炊きたて白米。
俺の分は丼に山盛り、えーき様の分は大きなオニギリにしてお皿に乗せてある。
そして、ちゃぶ台のほぼ中央には、ぬか餡床にしているゆっくり。
ちゃぶ台の脇には、子供ゆっくりが入った木箱と水の入ったボウル。
他のおかずは無い。
ぬか餡床ゆっくりの蓋を外す。
朝からずっと身悶え続けて体力が限界を迎えたか、あまり動かなくなっている。
昼間の内にえーき様が抜いてくれた雑草でも食べさせておけば、
また元気になるだろう。
ユ゛、ユ゛ビィ・・・! ヤッ・・・ベ・・・デェ・・・! ギッ?! ユギッ?! バビブベッ?!
菜箸を餡子の中に突っ込み、ゴソゴソと中を探る。
おっと、何かに当たった。
感触を頼りに、それを菜箸で掴んで引き揚げると、ガーゼに包まれた茄子が出てきた。
更に菜箸で餡子を掻き回し、胡瓜、小かぶを取り出す。
「どれから食べますか?えーき様?」
「よいぞ~…よいぞ~……よいぞ!」
「胡瓜ですね。」
掘り出した野菜からガーゼを外し終えると、
胡瓜を手でパキッと半分に折り、大きい方をえーき様の皿に乗せる。
ポリッ! ポリッ、ポリッ、ポリッ…
二人して同時に胡瓜にかぶりつき、小気味よい音を立てながら囓る。
胡瓜の瑞々しさと、野菜本来の微かな甘さ、そこに、ゆっくりの餡子の甘さが加わる。
とは言っても、餡子に直接漬けたのではなく、
ガーゼ越しにジワジワと餡子の甘みと旨味を染みこませているので、
餡子そのものの強い甘みとは違う、雑味の無い、とても爽やかな甘さだ。
そこに発酵したぬかの微かな酸味と塩味とが甘さを引き立てる事で、
それぞれの甘さの輪郭をクッキリと浮き彫りにする。
バクッ!バクッ!バクッ!
胡瓜のゆっくり漬けの味が舌の上に残っている内に、丼から飯を掻き込む。
えーき様も、大きなオニギリをパクパクと端から囓る。
「今日の漬け物の味はどうですか、えーき様?」
「よいぞっ!!よいぞっ!!」
俺の問いに、えーき様が眩いばかりの満面の笑みで答える。
口元に付いている米粒を摘んで取ってあげ、そのまま口に含む。
「ふふ、良かったです。さあ、生ゆっくりもどうぞ。」
ヤ、ヤメテネ! レイムヲハナシテネ! オニイサントハ、ユックリデキナイヨ! オネイチャンヲ ハナチテー!
木箱から、夏蜜柑大の赤いりぼん付きのゆっくりを取り出し、
ボウルの水で洗ってから、ちゃぶ台の上に乗せる。
ユユ? オイシソウナモノガアルヨ! レイムノゴハンダヨ!
ユッ・・・? オニイサン・・・レイムノオチビチャンニ・・・ゴハン・・・クレルノ? ユックリ アリガ
プスッ
ユ? ・・・・・・ユピャァァッ?! レイビュノ オメメガァァ!? オメメガイダイヨォォ! アヅイヨォォ!
ナンニボミエナイヨォォォ!? マミャー!? タシュケテェー! マミャァー!! ヂョコニイリュノォー!? レイビュヲダシュケチェェェ!!
オヂビヂャァァァン?!
味付けのため箸で目玉を刺してから、えーき様の皿の上に載せると
えーき様が味見をするように皿の上のゆっくりを一舐めする。
ユ? ペーロペロ サレタヨ? マミャ?! マミャナニョ?! ユエエェン! レイビュコワカッ
オヂビヂャン、ニゲデェェェェェ・・・・!
ユ?
それからゆっくりの背中にパクッと噛み付いて半分囓り取り、
ムシャムシャと音を立てながら、咀嚼する。
ユ゙ッ、ユ゙ッ・・・レイム・・・セナカガ・・・スズシイヨ・・・レイム・・・ドウナッタノ・・・オカアシャン・・・
ユアアアァァ!! レイムノオヂビヂャンガァァァッ!?
ごっくんと囓ったゆっくりを飲み込んだ後、俺に向かって、
「よいぞ!よいぞ!」と言ってくる。
最初は、美味しい!と言おうとしてるのかと思ったが、どうやら違うようだ。
「ん…?半分くれるんですか?いいんですよ、えーき様が全部食べて。」
「よいぞ!よいぞ!」
グイグイと欠けたゆっくりの乗った皿をこちらに押してくる。
「じゃあ、半分だけ…」
コワイヨ・・・ レイムコワイヨ・・・ オカァシャ・・・ ユギャァァァ?!
俺としては、えーき様が美味しそうに食べている様子を眺めているだけで
十分満足なのだが、折角のえーき様の気持ちなので、
残ったゆっくりを箸で縦に半分に割って口に運ぶ。
イダイィ・・・イダイヨ・・・レイビュ・・・ジニダグナイヨォ・・・マミャァァァ・・・・・・・・ユッ・・・クリィ・・・
オヂビヂャァン!! ユッグリィ! ユッグリジテイッテネェ! ユッグリジテイッテネェ!! ユッグリジテイッテネッテイッテェ!
ん。美味い。やっぱりゆっくりはこの季節が一番美味だな。
「よいぞ?」
「とっても美味しいですよ!」
「よいぞ!よいぞ!」
ドォォォジテ コンナコトスルノォォーーー?! ドォォォジテェェェェ?!
えーき様が残ったゆっくりを食べ終えるのを見届け、
他のゆっくり漬けの野菜を皿の上で食べやすい大きさに切る。
「さ、えーき様。こっちも食べてくだ…」
ジリリリリリン! ジリリリリリン!
突如、レトロな黒電話がけたたましい音を立てて、俺の言葉を遮った。
「食べててくださいね、えーき様。」
ゆっくり漬けをえーき様の皿に乗せてから、
そう言い残して席を立ち、電話口に向かう。
==================
「はい、尾荷…あ、なんだ、お袋か…」
「うん…うん…大丈夫、元気でやってるって。
ああ…うん……そうなんだ…うん……」
「…あー、実は、さ…俺、結婚しようと思ってる女性がいるんだ。
ちょ…なにも泣くことはないだろ、泣くことは…
俺だってちゃんと考えてるよ…
うん…うん…とても素敵な女性だよ。
いや、本当言うと、今一緒に暮らしてるんだけどさ…
だ、大丈夫だって…真剣な気持ちだから…
ああ…うん…暮れには帰るからさ、その時連れて行くよ。
きっと母さんも気に入ると思うよ…」
「うん…うん…それじゃ、体壊さないようにね。うん、じゃあ。」
ガチャン
「よいぞ?」
十分ほど電話口で会話してから俺が食卓に戻ると、
えーき様がこっちを見上げて首を傾けながら聞いてくる。
「ああ、そうです。うちのお袋でしたよ。」
「よいぞ?」
「ええ、最近は体の具合もだいぶ良くなってきたみたいです。」
「よいぞ!」
「ふふ、そうですね。散々迷惑かけたし、その分、親孝行しないとですからね。
長生きしてもらわないと……今度…紹介しますね。」
「よいぞ!」
ふと見ると、電話に出る前に皿に乗せたゆっくり漬けには、
まったく手がつけられていない。
オニギリの方も全然減ってないようだ。
「…えーき様、食べないで待っててくれたんですか?
食べちゃってて良かったのに。」
「よいぞ!」
「はは、そうですね。二人で食べた方が美味しいですよね。」
食事を再開したえーき様が、茄子のゆっくり漬けに夢中でかぶりつく姿を
ボーッと眺めながら、小かぶをポリポリと囓る。
「…えーき様………ごめんね…」
「?よいぞ…?」
自然と口をついて出てしまった言葉に、
えーき様が不思議そうな表情を浮かべて疑問の声を返す。
「俺…こんな甲斐性なしで…
えーき様には…もっと…美味しい物…一杯食べて欲しいのに…
こんな…こんな…」
俺がえーき様と出会ったのは、仕事仲間に誘われて出かけた大きな街で
なにげなく目にしたペットショップのショーウィンドウでだった。
それは、まさに一目惚れというヤツだった。
ガラスの向こうからじっと俺を見ていた、えーき様の姿が目に焼き付いて離れず、
それ以来、休みの度に一人で街まで出かけ、店員の冷たい視線に晒されながら、
何時間もえーき様を眺めていた。
明日にも、どこかの誰かがえーき様を買って行ってしまうかもしれない。
いや、既に今日、買われてしまったかもしれない。
仕事をしている時も、家に帰ってからも、夜寝ている時も、
そんな想像がちらつき、何をするにも身が入らない毎日だった。
そして、最初の出会いから一月後、遂に決心して、えーき様を俺のモノにした。
だが、俺の年収の三倍近い金額は、正直痛かった。
貯金を空にし、なけなしの家財の多くを売り払ってもまったく足らず、
方々から借金をした。
通勤に便利だった町中のアパートも引き払い、
職場まで片道二時間半かかる片田舎で、
格安で借りられる古い農家を見つけてそこに移り住んだ。
家賃を安く抑えるためだけではなく、
昨日のように、野山から食料を採ってきて食費を削るためでもある。
田舎暮らしがイヤで、年老いた母親を残して町まで出てきたというのに、
結局、こんな場所で暮らしているのだから、皮肉な話だ。
そんな身分だから、食事だってご覧の有様。
ここ暫くは、昨日採った生ゆっくりや茸とかがある分だけ、まだ贅沢できるが、
いつもはご飯と漬け物だけ、日によってはご飯だけの事もある。
俺が貧乏生活をする事は構わない。
むしろ、金如きで、しかも、その程度の金額で、
えーき様と共に過ごす幸福な時間を手に入れてしまえた事に、
後ろめたさと申し訳なさすら感じている程だ。
だが、えーき様はどうなのだろう。
俺が買わなければ、きっとどこかの裕福な人間に買われていただろう。
そうすれば、こんな貧しい生活ではなく裕福な暮らしが送れた筈だ。
食事だって、こんな貧しい物ではなく、
栄養があって美味しい物をお腹一杯食べられただろう。
ぺしぺし、ぺしぺし
そんな自責の念に駆られ、いつの間にやら物思いに耽っていた俺は、
その音に意識を引き戻された。
気が付くと、えーき様が"かいごのぼう"を口に咥えて、
一生懸命に俺の腕をぺしぺしと叩いている。
「?どうしたんですか?えーき様?おかわりですか?」
その俺の言葉にえーき様がフルフルと首を横に振ってから、
かいごのぼうを放して叫ぶ。
「よいぞっ!?よいぞっ!?よいぞっ!?」
目の端に涙を浮かべ泣き顔になりながら、
ぽいんぽいんと飛び跳ねて、その言葉を繰り返す。
「?………っ!
貧しくても、俺のとこに来てよかった…そう…言ってくれるんですか?」
「しろっ!!しろっ!!よいぞっ!よいぞぉっ!!」
俺の言葉にえーき様がコクコクと何度も力強く頷く。
「うっ…えーき様…!おで…じあばぜにじまずがら…!
絶対、えーき様のごと、じあばぜにじまずがら…!」
「…ぜんこーよ……」
俺がえーき様を抱きかかえて頬ずりをすると、えーき様も優しく頬を擦り寄せてくる。
俺は…! 俺はなんて幸せ者なんだ…!
==================
「ぜんこーよ!ぜんこーよ!」
なんとなくしんみりとしてしまった空気を破ろうとするかのように、
えーき様が陽気なおねだりの声を上げる。
「はいはい、アレですね。わかってますって。」
俺も目元の涙を拭ってから、笑顔で応える。
ユッ?! モウヤベッ・・・ユギッ?! ユビギビギビィィィッ?! ギョベボベェェ?!
再びぬか餡床ゆっくりに菜箸を突っ込み、あちこちほじくり返す。
そうして掘り出した小さなガーゼの包みを三つ、皿の上に乗せてゆく。
皿に乗せられ、プルプルと震えていたその包みを解き、中身を皿の上に転がす。
ユピッ・・・ イチャイヨォォ・・・! レーミュノ アンヨシャンガァァ・・・! キョキョ、ドキョォ?オカーシャンハ・・・?
ア、ア、アガヂャァァァン!? デイブノアガヂャンガァァァ!?
包んであったのは、一番小さいゆっくり、ゆっくりの赤子。
ゆっくり漬けのお楽しみ、赤子ゆっくりのゆっくり漬けだ。
赤子ゆっくりの皮は、元の肌色ではなく黒ずんだ色に変わっている。
ガーゼ越しに染み出してきたぬか餡床の成分が、よーく皮に染み込んでいる証拠だ。
アガヂャァァン! ニゲテネッ! ユックリシナイデニゲテネッ! タベラレチャウヨォォ!
ユッ・・・! ユッ?! ユッ! ユッ!! ユゥゥッ!? ア、アンヨシャン・・・アンヨシャンギャ ウゴキャナイヨォォォ・・・! ユエェェェ!
ヤ・・・ヤヂャ・・・ヤヂャヨ・・・ マリシャ、タベラレリュノ ヤヂャァァ・・・! マダ、チニタクニャイィィィ・・・!
タチュケチェェェ! オギャアァァァジャァァァァン!
赤子ゆっくりを漬ける場合は、予め底部を包丁で切り落としておく。
こうしておくと、親の餡子の栄養分が、剥きだしの赤子の餡子に染み込んでくるため、
二、三日ヌカ餡床に漬け込んでおいても餓死せず、新鮮な状態で食べる事ができる。
勿論、食べるときに逃げないようにするためでもあるのは言うまでもない。
ブスッ
ユピィィィィィッ!! イチャイヨォォォ!!
ヤベデェェェ! レイブノアガヂャンニ、ヒドイゴドォォ・・・! ヒドイゴド ジナイデェェェ!!!
「はい、えーき様、あーん」
「よいぞーーー」
箸で赤子ゆっくりを一つ突き刺し、えーき様の口の中に入れる。
ユワァァァン! タシュケテェェ! キョキョカラ ダチテェェェ! タベナイヂェェェ! レーミュヲタベナイヂェェェェ!
えーき様の口の中から、赤子ゆっくりのくぐもった鳴き声が聞こえてくる。
ユ? ユゥゥゥ! コリョコリョシュルヨ! コーリョコーリョ! コーリョコーリョ! ユンユー・・・ユユ?!
すぐには噛まずに、飴玉のように口の中で転がして楽しむのが、
えーき様のお気に入りの食べ方だ。
ア、アンコシャンガ デテリュゥ!? アンコシャン、デチャリャメェ! レーミュ、ユックチデキニャイィィ!
転がすごとに、ぬか餡の染みた甘い皮と、切った底部から漏れ出す餡子の甘さが
口の中一杯にじわじわと広がってくるのだ。
ユビャァァァ!! タシュッ・・・! オキャー・・・! ユッビィィィィ!!! ユギヒィィ! ・・・モッチョ、ユッ・・・ブベェ
アガヂャァァン! ドウジダノォォ!? ユ、ユッグリ!? ユッグリジデイッデネ!
オ、オ、オヘンジィ! オヘンジシテェーーー!? オネガビィィ!
存分に赤子ゆっくりを舐めるのを楽しんだえーき様が、もむもむと口を動かし始める。
よく味わいながら、噛みしめるようにして少しずつ、少しずつ咀嚼する。
食べているえーき様も、それを見ている俺も自然と顔が綻んでくる。
赤子ゆっくりのゆっくり漬けは、
ゆっくりの中でも一番美味と言われる赤子ゆっくり自身の爽やかな餡子の甘みに、
更に皮にまでも、ぬか餡床の旨味と甘さをプラスして食べる。
旨くないわけがないのだ。
ヤ、ヤメチェネ・・・! マ、マリシャ、イチャイノ
ブスリ
ユビャァァァー!!
ア、アガヂャンニ・・・! アガヂャンニ ヒドイゴドジナイデェェ! オネガイジバズゥゥゥ!
ダベルナダ、デイブヲ ダベデ イイデズガラァァァ!!
赤子ゆっくりをもう一つ箸で刺すと、今度は半分飯が残った俺の丼の上に乗せる。
ユギャァァァァァァ?! アッヂュイッ! アヂュイィィィ!! マァァミャァァァ!!! アヂュイヨォォ! ユビエェェン!
ヤベデェェェ・・・! モウヤベデェェェェェ・・・!!!
その上から熱いお茶をドボドボと注ぐ。
俺のお気に入りの食べ方は、この赤子ゆっくり茶漬けだ。
ユギュゥゥ!! イヂャッ・・・!! イヂャイ、イヂャイヨォォ! マリシャノカリャダ、コワシャナイジェェ・・・!!
アガヂャンガァ・・・レイブノ・・・ガワイイ・・・アガヂャンガァァ・・・
熱いお茶でふやけた赤子ゆっくりを箸で突き崩し、
お茶の中に混ぜ溶かしこんでゆく。
半分ほど突き崩し、丼の中のお茶の色がほんのり黒くなったところで、
ズゾゾゾとお行儀悪く甘いお茶漬けを啜り、胃の腑に流し込む。
お茶の中に溶け出した、赤子ゆっくりの餡子の旨味、
ゆっくり漬けの皮の旨味、そして炊きたての飯の旨味。
その全てが渾然一体となった旨味を、喉と胃袋で直接味わう。
茄子の漬け物をシャクシャクと囓り、それからまた、ズゾゾとお茶漬けを一啜り。
ユ・・・モウ・・・ヤメチェ・・・マリ・・・シャ・・・イチャイノ・・・ヤヂャヨォ・・・ユ、ユビュッ! ユビュッ・・・! ユビュ・・・ユ・・・
アガジャァァァァァン! ユヤァァ! ジナナイデェェェ! ジンジャダメェェ! ユッグリィィ! オカーザントユッグリジヨウネェェ!
半分残った赤子ゆっくりの断面に箸を突き立て、グチャグチャと掻き回して
更に餡子の甘みと旨味を溶かし込んでから、また腹の中に流し込む。
俺が赤子ゆっくり茶漬けをあらかた食べ終える頃には、
えーき様も赤子ゆっくりを食べ終えていた。
「美味しかったですか、えーき様?」
「よいぞっ!」
「赤子、もう一つ食べますか?」
「よいぞっ!よいぞっ!」
オ、オキャーシャァンッ! タ、タチュ、タチュ、タチュケチェェェ・・・ ドウチテ、タチュケテクレニャイノォォ・・・?
ヤメ、ヤメチェ・・・ プスプスサンシナイヂェ・・・ レイミュ、イチャイノヤァァァ・・・ ユギギィィィッ?!
ヤメデェェ! モウ、レイムノアガヂャン、ダベナイデェェ・・・! ユヤァァァァ!? ヤベデェェ! タベヂャダメェェ!
ドボジデッ!? ドボジデ、コンナゴドズルノォォ!?
箸に刺した赤子ゆっくりをえーき様の口に運ぶと、えーき様がかぷり、と咥える。
えーき様の口から箸を引き抜き、
先についた赤子ゆっくりの餡子とえーき様の唾液を舐める。
うーん、甘露甘露。
ユピャァァァ! キョワイヨォォォ! ダチテェェ! ココカラダチテェェ!
ドボジデナノォォ! オジエデヨォォ!
左右の頬を交互に膨らませながら、えーき様がお口の中で赤子ゆっくりを転がす。
「ははは、えーき様は可愛いなぁ…」
えーき様の膨らんだ頬を軽くつつくと、ちょっとイヤそうに目を瞑って身を捩る。
その後で緑色の髪をそっと撫でてあげると、再びゆっくりした表情になる。
可愛い。本当に可愛い。
ユビィィッ?! イヂャアァァッ! ユガッ! ユ、ユギッ! ヤ、ヤヂャア! ユギュ! ヤヂャ、ヤヂャ、ヤヂャア・・・
アガッ、アガヂャァァァン! タベナイデェェ! アガヂャン、タベナイデェェ!
レイブノ アガヂャンナンデズゥゥ! ドッデモユッグリジダ、イイコナンデズゥゥ!
もぐもぐと口を動かし始めたえーき様が、ごっくんとそれを飲み込むまでを見届け、
えーき様の髪を梳きながら、耳?元でそっと囁く。
ユギッ! イヂャイヨォ! イヂャイヨォォ! ギビッ! ユゲッ! ・・・ユッグリー・・・
ユヤァァァァァァァ!!! アガヂャァァァァァァァァァンッ!!!
「…今夜も寝かさないよ、えーき…」
ガエゼェェェ! アガヂャンガエゼェェェ!! ドウジデッ! ドウジデ、コンナコトスルノォォッ!?_
「よ、よいぞ……」
えーき様がチラと上目使いでこちら見てから、顔を真っ赤にして俯き、
それからコクンと小さく頷いて答える。
ユヤァァァァ! レイブ、カエル! モウオウチカエル!
くほぉぉっ!なんて可愛いんだぁぁ!!もう辛抱堪らん!
「えーき様ぁぁぁっ!!俺の股間がラストジャッジメントォォォッッッ!!」
「よ、よいぞ~~?!」 カエラセテヨォォォ・・・! オネバイ・・・オネバイデズゥゥゥ・・・!
男ならこの状況でやる事はひとつ! カエシテェェ・・・
己が欲望に身を任せて、 オチビチャン、カエシテェ・・・
えーき様をガバアッと レイムノオウチニ・・・カエシテェェ・・・ 床の上に押し倒す。
ふぅぅぅ…!今夜もユゥゥ・・・ユゥゥゥゥゥ!熱くなりそうだぜ!!
「えーき様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「よ、よいぞぉぉぉぉぉ!!!!!」
ユンヤァァァァァァァァァ!!!!!
おわり
これまでに書いたもの
『ふたば系ゆっくりいじめ 229 たくすぃー』
・希少種愛での名を騙る、嫁とのイチャコラを過度に含みます
・通常種いじめで良ければあります
・途中、ノイズっぽい半角カナ文字が出ますが、
ノイズなので読み飛ばして大丈夫です。お見苦しくてすみません
==================
「よいぞ! よいぞ! よいぞ!」
一面に広がる緑の中に、秋の訪れを感じさせる色が微かに混ざり始めた山道。
その山道をボインボインと元気に飛び跳ねながら進むのは、
俺のパートナーである、えーき様だ。
今日は休みを利用して、えーき様と二人で山の恵みを分けてもらいに来ていた。
俺が背負ったリュックには、既に結構な量の茸や木の実などが詰まっている。
予想していたよりも遙かに多い収穫に、
もっと大きめのリュックを用意しても良かったかなー、
などと欲の皮が張った事を考える。
大収穫の理由は、秋の実りの豊富な季節だからという事もあるが、
それよりも、えーき様の活躍に依るところが大きい。
えーき様は元は野生育ちらしく、こうした野山で食料を探す事に長けている。
自然の中で身につけた嗅覚と経験が物を言うのだろう。
俺はもっぱらえーき様の後をついて、
えーき様がみつけてくれた食材を採取・運搬するだけである。
不意にえーき様がピクリと身を強ばらせ、きょろきょろと周囲を見回す。
「ん?どうしたんですか、えーき様?」
呼びかけた俺の声には答えず、
えーき様が一本の大木の根本に向かって、
ポヨポヨポヨンと小さく跳ねながら近づいてゆく。
暫く大木の前で何か様子を伺うようにしていたが、やがてこちらに振り向き、
声を出さずに大木の前でぴょんぴょんと飛び跳ね出す。
どうやら探していた獲物を見つけたようだ。
俺も極力音を立てないようしながら、えーき様がいる場所まで近づく。
木の根本にできたウロらしき所に、細かい木の枝が何本も立てかけられ、
その隙間に葉っぱやら草やらが詰められている。
注意して見ていないと、周囲の草木の色に紛れて目立たないが、
一旦注目してしまえば、明らかに何者かの手が加えられている事は一目瞭然。
これほど不自然な光景は無い。
自然界でこの手を加工をするモノと言えば限られている。
立てかけられた枝の隙間から、そっと中の様子を伺う。
ムーシャ、ムーシャ、シアワセェ! チアワチェー!! チアワチェー!! オトーサンノトッテキタゴハンサン、オイシイネ!
ユフーン! オチビチャン、オイシイ? ウッミェ!コレ、メッチャウッミェェ!
ゴハンサンヲ タベタラ、ミンナデ オウタヲウタオウネ! ユーン! ユックチ! ユックチ!
奇妙な鳴き声を上げながら、何やら食べている幾つもの丸っこい物体。
これは、ゆっくりと呼ばれる物だ。
一見すると人間の生首のように見えなくもない、
ある意味グロテスクな姿をしたモノだが、
その正体は、餡子の詰まった動く饅頭。
しかも、なかなかに味が良く、食料として重宝するのである。
このゆっくりを採る事が、今日の目的の一つでもあった。
大きめの西瓜ぐらいの大きさのが二つ。これは親にあたる。
普通の物よりなかなかに大きく育っている。
そのまま食べるなら、小さめのやつの方が味は良いのだが、
今回は別の用途に使うので、大きめのが欲しかったところだ。
残るは、夏蜜柑ぐらいの中ぐらいの大きさのが五つに、
琵琶の実ぐらいの小さいのが八つ。
これは子供のゆっくり、小さい方は、まだ生まれたばかりの赤子だ。
さて、採取にかかろうか。
まず、巣を塞いでいる枝を取り外す。
突然入り口から射し込んで来た光に反応して、
中のゆっくりが幾つか、こちらに顔を向ける。
ここですかさず、こう口にする。
「ユックリシテイッテネ。」
ユックリシテイッテネ!
ユ? オニイサンハ、ユックリデキルヒト?
マリサタチハ、オショクジタイムダヨ! ユックリ、ジャマシナイデネ!
ゆっくりの鳴き声を模したこの言葉を口にすると、
仲間だと思うのか、油断して鳴き声を返してくる。
その隙を逃さず、巣の中に手を突っ込み、
手近な小さいのを三つ掴んで引っ張り出すと、持参したズタ袋に放り込んだ。
ユヤァァァ?! オカーサァン! マッキュラダヨー! キョワイヨォォー! ユ? オカーシャンハァ・・・?
ヤメテネ! ヤメテネ! レイムノ アカチャンニ ヒドイコト シナイデネ!
ユックリデキナイ ニンゲンサンハ、マリサノ アカチャンヲ カエシテ、ドッカイッテネ!
レームノ イモウトガー! オニェイチャーン!
巣の中に残るゆっくりには、まだ手を出さない。
狭い巣の中に迂闊に手を突っ込むと、
噛み付いてきたり、木の枝などを口に咥えて刺してきたりと
思わぬ反撃を受ける事があるからだ。
そこで安全に採取するために、小さいのを捕まえたら一旦巣から離れる。
カエシテ! マリサノ オチビチャンタチヲ カエシテヨー! アカチャンヲカエサナイト、レイムオコルヨ! プクゥゥ!
そうすると、大抵の場合は親などの大きな個体が子供を追って巣から出てくる。
ユギャッ! ヤベデッ! ア゛ッ! イダッ!
バリザァ!? ユギィィ!? イダイッ! イダイヨォ! ドオジデゴンナ、ユギッ!
そこを狙って、蹴るなり、棒などで叩くなりして少し痛めつけて弱らせる。
ゆっくりの動きは遅いので、視界が確保できる開けた場所に出てしまえば、
反撃を喰らうことなく安全に痛めつけることができる。
ユビィー・・・ イダイヨー・・・
ヤベデェ・・・ レイブタチ ナニモワルイコト ジテナイノニィ・・・
動けなくなるぐらいに怪我を負わせずとも、
ある程度痛みを与えるだけで、怯えて抵抗しなくなる。
動きが止まった所で、黒帽子を被っている方からは帽子を取り上げて
バサバサと振ると、中から細い木の枝が落ちてきた。
オ、オボウシ・・・! マリサノオボウシ、カ、カエシテ!
その枝をポキンとへし折ってから帽子を放り投げて返してやる。
「えーき様、そいつらが邪魔しないように見張っててくださいね。」
「よいぞ!」
俺の言葉に応えて、えーき様がゆっくりと巣の間に割り込むようにして立ち塞がる。
えーき様はゆっくりを食べる捕食種であり、
ゆっくり相手になら滅多な事で負けることはない。
だが、万に一つも大怪我させられるような事があってはならないので、
危険な武器になりそうな物を事前に奪っておいたのだ。
ユヤァァァ・・・! ユェェェン! レイミュキョワイィィ・・・!
オカーシャン・・・! オトーシャァン・・・!
再び巣を覗き込むと、残った小さいのは巣の奥に固まってガタガタと震えていた。
コ、コッチ キョナイデー!?
ユヤァァァ!? レ、レイム、オソラヲ トンデルミタイヤヂャァァー?!
ヤメチェー! ハナチェジジィー! マリシャキョワイヨー! タチュケチェー! ミャァミャー!
小さなゆっくりの反撃能力は皆無に等しい。
安全になった巣の中に手を差し入れて、次々に捕まえては袋に放り込んでゆく。
小さいのを全部採ったら、最後に大きい個体の内、
赤いリボンがついている方を捕まえ、
既に捕まえた小さいのを潰さないよう注意して袋の奥に詰め込む。
ユアァァ! ダシテェェ! マリザァー! レイブー! レイブー! バリサノ レイブヲ ハナシ ユッ!? ユベエッ!?
残りの黒帽子が乗ってる方は、少し強めに蹴って木に叩きつける。
動かなくなったが、この程度なら死にはしない。
気絶か死んだふりをしているだけだろう。
貴重な食料になるので、本当なら二つとも採って帰りたい所なのだが、
あまり採りすぎてはいけない。
一つだけでも残しておけば、そのうち同種を見つけて繁殖するだろう。
根絶やしにするまで採りすぎないことは、ゆっくり採りに限らず、
自然からの恵みを授かる上での不文律だ。
「今日はえーき様のお陰で大収穫ですよ。帰ったらいつもの作りますからね。」
「よいぞ! よいぞ!」
俺がえーき様の頭を撫でると、えーき様が満面の笑みで応えてくれる。
「さっ、ゆっくりも採れたし、家に帰りましょうか。えーき様。」
「よいぞ!」
==================
ダシテェー! ココカラ、ダシテェー!
オニイサン・・・レイムタチヲドウスルノォ・・・? オチビチャンニハ、ヒドイコトシナイデェ・・・!
ユエーン! キョワイヨォ! オキャーシャーン! レイミュタチ ドウナリュノー?!
山を下りる道すがら、袋の中からゆっくり達の喧しい鳴き声が聞こえてくる。
袋を地面に叩きつけてやりでもすれば大人しくなるのだが、
獣避けになるので、放っておく事にしている。
「ぜんこーよ! ぜんこーよ!」
ふと、俺の前を跳ねていたえーき様がこちらを振り向いたかと思うと、
俺の足下で飛び跳ね始める。
「え?どうしたんですか、えーき様?」
「ぜんこーよ! ぜんこーよ!」
人語を解するえーき様ではあるが、話す方の語彙は極端に少ない。
最初の頃は意志疎通に苦労したが、今では俺も慣れた物で、
表情や声の抑揚などから、大体の言わんとしている所はわかるようになった。
"ぜんこーよ"は、こちらに何かの行動を促そうとしている時が多い。
まあ、大抵の場合はおねだりである。
「ああ、お腹が空いたんですか?」
「しろ! しろ!」
しろ、は肯定の返事。
「仕方ないですね~、今日は頑張ってくれましたし。でも、一つだけですよ?」
「よいぞ! よいぞ!」
俺は袋から中くらいの大きさの帽子付きゆっくりを一つ取り出し、右手に乗せる。
ユ? オニイサン、マリサヲ ニガシテクレルノ? ハヤク ニガシテネ! アト、アマアマモチョ
パチィン! ユピィッ?!
それを左手の掌に向かって、叩きつけるように投げつける。
この時、受ける側の掌はゆっくりの体の丸みに合わせて少し曲げておく。
ゆっくりの体が打撃を受ける面積を広くするためだ。
イヂャイ・・・ヤ、ヤメテネ! ユッグリヤメテネ・・・!
パチィン! ユビィッ!!
今度は右手に叩きつける。
ゆっくりの皮が破れて美味しい中身が漏れ出す事がないよう、
なおかつ、最大限に痛みを与えられるように加減をしながら。
パチィン! ユビャァッ! パチィン! ブビュゥッ! パチィン!パチィン!……
ヤメデェ! レイムノオチビチャンニ ナニジデルノォ!? オネーチャンニ、ヒヂョイコトチナイデェ!
「さあ、どうぞ。えーき様。」
両手の間を30回ほど往復させて、手が少し赤く腫れてきた頃、
こちらも皮がパンパンに腫れ上がり、グッタリしたゆっくりをえーき様の前に転がす。
こうやって痛めつけるのは、
ゆっくりは恐怖や苦痛を与えると何故か味が良くなるからだ。
ユピィ・・・イヂャイヨォ・・・ ユ? ユックリノオネエサン・・・ タシュケテネ・・・ マリサヲタシュケ
「しけいっ!」
不遜極まりないことに、えーき様を仲間だとでも勘違いしたのか、
自分からえーき様に向かってずりずりと這っていったゆっくりの腹部を、
えーき様の可愛らしいお口が噛み千切り、むしゃむしゃと咀嚼を始めた。
ユギィィィ?! ドオジデ、マリザヲタベルノォ! ヤベデェ! タベナイデェ!! アギィィ! ユビィィ!
「おいしいですか?えーき様?」
「もいぞ! もいぞ!」
もしゃもしゃとお口を動かしながら、えーき様が笑顔で答える。
良かった~。手を赤く腫らした甲斐があったというものだ。
ヤメ゙・・・! ユッグリ・・・サセデ・・・! ユギィ! ダベナイデ・・・! ダベナイデェ・・・! ユギャァ!
俺もちょっと休憩。
地べたに腰を下ろし、水筒の水を飲む。
ユ゙ッ! ユ゙ッ・・・ モッド・・・ ユッグ・・・・
レイブノ オチビヂャァン!! ドウジタノー?! オヘンジシテェ!?
マリザー! マリザー! ユワァァン! ヤダヨォ!ソンナノヤダヨォ! オネーチャンガー! ユンヤァー!
えーき様が美味しそうにゆっくりを食べる様子を眺めて
しばし至福の時を過ごした。
えーき様のおやつタイムも終わり、
それぞれ別の意味でお腹の膨れたえーき様と俺は、
そのまま山を下り、夕刻前には俺の家まで帰り着いた。
==================
家に帰ってズタ袋の中を覗くと、散々に暴れたり鳴いたりして疲れたのか、
ゆっくりは眠っているようだった。
「さあ、えーき様。綺麗にしましょうね。」
「よいぞ~~~」
水を張った大きめの木桶で、
土で汚れたえーき様の体を優しくマッサージしながら洗うと、
気持ちがいいのか、えーき様がうっとりとした表情になる。
汚れが落ちたら、手拭いで濡れた体を拭ってあげる。
えーき様の肌は、長時間水に濡らすとふやけて破れてしまうので、
念入りに水気を拭き取る。
次いで、山で採ってきた茸や木の実を洗い、
最後に俺も木桶の水で手足の泥を落とす。
そして最後の最後に、ズタ袋を逆さまに振って、
眠っているゆっくり達をボチャボチャと木桶の中に放り込む。
ユビャ?! ユユ? チュメタイヨ! オミズサンダァァ! ユックリデキナイィ! トケリュゥ! トケチャウゥ!
途端に目を覚ましたゆっくりが、バシャバシャと水を跳ね上げながら暴れ出す。
その動きで汚れは勝手に落ちるので、そのまま暫く放置。
汚れが落ちた頃を見計らって水から引き揚げ、木製のミカン箱の中に放り投げる。
ナニスルノ!? ダシテネ!ココカラダシテネ! ユッグリデキナイヨォ・・・ オキャーシャン!レイミュ、ユックチチタイヨォォ!
「さあて、じゃあ準備しますか。」
「よいぞ!よいぞ!」
えーき様が楽しみで堪らないという風情で、俺の足下でぴょんぴょん飛び跳ねる。
作るのは、我が家の常備食、ゆっくりを使った漬け物 "ゆっくり漬け" だ。
もっとも、今日はその下準備だけだが。
==================
まずは鍋を火にかけ、そこで米ぬかをカラ煎りする。
この時に一緒に何本か赤唐辛子を入れてやる。
こうすると風味が良くなるのだが、あまり入れすぎて辛みが出ると
辛い物が苦手なえーき様が食べられなくなるので程々にしておく。
香ばしい香りがでてきたら、煎ったぬかは少し冷ますために皿に移しておく。
ユ? ナンダカ、イイニオイガスルヨ? ゴハンサンノニオイダネ! オキャーシャン! マリシャ、オナカチュイタ!
ユッ! ソウダネ! ミンナデ、ムシャムシャ・・・ユ?
ぬかを煎り終わった所で、大きいゆっくりを箱から取り出す。
ユユー! レイムオソラヲトンデルミユアァァ!? オ、オニイサン、ハ、ハナシテネ! レイムヲ ユックリハナシテネ!
オカーサンヲ ツレテカナイデェー! マミャー! マァミャー!
そしてそのゆっくりを、先程米ぬかを煎るのに使った、
まだ熱い鍋に乗せて再度火をつける。
ユ゙ッギャアァァ! デイブノ アンヨザンガァァァ!? ア゙ヅイヨォォ! ダズゲデェェ!
ジュウジュウと音を立てながら、ゆっくりの表面が焼ける匂いが漂う。
ゆっくりの底部は動物で言う足の機能を果たしているので、
こうして焼いてやる事で、自由に動けなくする事ができる。
ただし、焼き過ぎは禁物。
ゆっくり漬けに使う場合には、ある程度身動きができるぐらいに留める。
時折、ゆっくりを持ち上げて焼け具合を確認し、
良い焦げ具合になったところで、鍋から引きあげて床に放る。
ユギギギ・・・! イダイヨォ・・・! アヅイヨォ・・・! レイブノ・・・アンヨザンガァ・・・ウマグウゴカナイヨォォ・・・!
放られたゆっくりが、虫が這うような速度でずりずりと這っているのを確認する。
もう飛び跳ねる事はできなさそうだ。
えーき様が見張ってくれるし、放置しても逃げ出す事はないだろう。
「よし、と。」
煎りぬかが冷めるのを待つ間、採ってきた茸を炒めて夕食の支度を終えてから
今度は包丁を手に取る。
ユビッ! オネガイダヨ・・・ダズゲデ・・・レイムダヂヲ、タズゲデ・・・! ユビィ!
「しけい! しけい!」
暇だったのか、えーき様が口に咥えた木の板、
"かいごのぼう"で、ゆっくりをベチンベチン叩いて遊んでいた。
ドォォシテ コンナコトスルノォ・・・!
「おや?えーき様、ゆっくりで遊んでるんですか?」
「くろっ! くろーっ!」
俺がそう尋ねると、えーき様が怒ったように頬を膨らせて叫ぶ。
"くろ"は強い否定の意だ。
「え?違うんですか…?あ、ひょっとして、ゆっくりを美味しくするためですか?」
「しろっ!しろっ!」
一転して今度は誇らしげな顔に変わる。
なるほど、ゆっくりに苦痛を与えると味が良くなると、いつも説明していたので、
俺のお手伝いをしてくれてるわけか。
先程の"焼き"と、この後のゆっくり漬けを作る工程で、
十分に苦痛を与える事ができるようになっているので、
特に今の段階で痛めつける必要も無いのだが、その気持ちが嬉しいではないか。
「なんだ、そうだったんですか。ありがとうございます。
勘違いしちゃってすいません。」
そう言ってえーき様の頭を撫でると、すぐにご機嫌になって
「よいぞ!よいぞ!」と答えてくれる。
オ、オニーサント、シラナイユックリサン! レイムノオハナシ、ユックリキイテネ!
レイムタチ、オウチデ ユックリシテタダケダヨ! ナンニモ ワルイコトシテナイカラ、ユックリ オウチニカエシテネ!
「えーき様が手伝ってくれたから、
今度のは一段と美味しいゆっくり漬けになりそうですね。楽しみだなぁ。」
「よいぞ!よいぞ!」
レイムノオハナシ、キイテヨォォ!? ユッ? ユワァァ!? ユガァッ?!
そんなえーき様とのお喋りを楽しみながらも、作業を開始する。
ゆっくりの頭の上の方に寝かせた包丁の刃をザクッと突き立て、
頭頂部を水平に切断する。
切り取った頭頂部を剥がすと、
中には甘い匂いを放つ黒い餡子がミッチリと詰まっていた。
今の季節のゆっくりは、夏から秋にかけての山の恵みをたっぷりと摂取し、
一番栄養状態が良く、餡子の質・量共に最良になっている時期だ。
ユギギギィィ?! ヤベッ?! ガベデッ?! ユッグギョォォ?!
オカーサン?! オカーサン、ドウシタノー!? オキャーシャーン!? ユックイチテー!?
オタマで開口部から餡子を掬い、餡子の中をえぐり抜いて行く。
ゆっくりが死なない程度まで餡子を抜いたら、
開いた餡子の穴の半分程まで、先程の炒りヌカを流し込み、
最後に、穴の淵付近まで、塩を溶かした熱湯を冷ました物を流し込む。
ア゙ッ! ユッグギユ゙!? ヤベ・・・! ア゙ッ! ユ゙ッギ! ユゴゲゴゲゲゲゴゲ・・・!?!?
そして、餡子の中の炒りヌカと塩水が均一に混ざるようにオタマで掻き回す。
ヤベベェー! オガーザンガ、クルシガッデルヨォォー!
オキャーシャンガー! レイミュノ オキャーシャンガ、チンジャウー!
ゆっくりの餡子は、動物で言えば脳や内臓を兼ねているような物らしいので、
ゆっくりにしてみれば相当に苦しいのかもしれないが、
そのおかげで最大限に餡子の味が良くなる。
均等に混ざったら、塩水を吸ったぬかが餡子に馴染むまで暫く放置する。
これで、ゆっくり漬けの肝、"ぬか餡床"の出来上がり。
まあ簡単に言ってしまえば、餡子入りのぬかみそだ。
今、ぬか餡床を掻き混ぜるのに、オタマを使ったが、
普通のぬか床ならここは素手で掻き混ぜるところ。
発酵に必要な乳酸菌等を、人間の手からぬか床に移すために必要な行為なのだが、
ゆっくりの場合は、最初から人間同様に餡子内に乳酸菌等が存在しているため、
敢えて手を汚してやる必要が無い。
この辺のお手軽さが、ゆっくり漬けの優れた点の一つだ。
ゆっくりの頭から取り出した餡子と余ったぬかを、
餌代わりにゆっくりの口に押し込み、
箱の中の小さいのにも、同じ餌を与えて片づけを済ます。
後は、切り開いたゆっくりの頭に丸い木の板をあてがい、
紐で体に縛り付けて蓋代わりにして中身が漏れないようにすれば、
今日の準備は終わりだ。
「さあ、後は明日のお楽しみですよ。ゆっくり待ってくださいね、えーき様。」
「よいぞぉ…」
そう言いながらゆっくりを木箱に戻すと、
早く食べたいのか、えーき様はちょっぴり名残惜しそうだった。
==================
翌朝、日の出前に目を覚ましたした俺は、
朝飯の支度の合間にゆっくり漬け作りの作業を再開する。
「よいぞっ!」
「あ、えーき様、おはようございます。
起こしちゃいました?もう少し寝てていいですよ。」
えーき様を起こさないよう、極力音を立てないようにしていたつもりだが、
狭い家の中の事、僅かな物音で目を覚ましてしまったえーき様が、
俺の元に寄ってくる。
「よいぞ! よいぞ!」
「ははは、見たいんですか?」
どうやら、俺がゆっくり漬けを作る所を見ていたいようなので、
寝床には運ばず、そのまま作業を続ける。
まだ寝ているゆっくりを再び箱から取り出し、
頭の蓋を取ると、開いた穴から餡子が覗く。
そこから漂ってくるのは、昨夜と同じ甘そうな餡子の匂いではない。
ユゲッ!?
餡子の中に人差し指を突っ込んで、一掬いする。
匂いを嗅ぐと僅かに酸っぱそうな香りが鼻腔をくすぐる。
それから舌でペロリと一舐め。
うん、よく熟成されている。
えーき様が物欲しそうにしているので、まだ餡子の残った指を差し出すと、
はむっ、と咥える。
一瞬、塩辛さに顔をしかめるが、
その後にやってくる甘さと酸味にほわんとした顔になる。
俺の指についたぬか餡を綺麗に舐め取った後、「よいぞ! よいぞ!」と喜ぶ。
最初の頃は、えーき様はぬか餡床の独特の匂いを嫌がっていたが、
今ではすっかり慣れて大好物になったようだ。
普通のぬか床の場合、ぬかが発酵して漬け物を作るのに適した状態になるまで、
一週間程度はかかる。
だが、生きたゆっくりを使ったぬか餡床の場合は、
ゆっくりの餡子から菌が発酵するための栄養が潤沢に供給されることと、
ゆっくり自身の体温が、ちょうど発酵が進みやすい温度である事から、
一晩もあれば、十分に発酵する。
これも、ゆっくり漬けのお手軽ポイントだ。
なお、普通のぬか床の場合、塩分を加えるのは保存性を良くするためだが、
ぬか餡床の場合には、それ以上に折角のぬかが
ゆっくりに消化・吸収されないようにするためという理由がある。
ゆっくりは、およそ食物になるものであれば、
何でも餡子内で消化して餡子に変換してしまう性質を持つが、
辛い物、塩辛い物は苦手なため、ほとんど消化されないのだ。
更に、その苦手な物が体内に存在することで常時ストレスがかかり、
餡子の味が良くなる効果もある。
洗った野菜を置いておいたザルを取り出し、
胡瓜を一本掴み取ると、よく水気を切ってから薄いガーゼで包む。
ユ? ソレ、レイムノゴハン? ハヤクチョウダイネ! レイムオナカペコ ユギャアァァーー!
包み終わったら、胡瓜をゆっくりの餡子の中に押し込む。
このゆっくりは大きめなので、胡瓜一本丸ごとでも入るが、
大きめのゆっくりが手に入らない場合には、半分に切ってから入れると良い。
ユギギギ・・・! ヤ、ヤベ・・・デ・・・! イダ・・・! レイブ・・・アンゴザン・・・イダユ゙ギィィ!!
更に茄子と小かぶを幾つか押し込む。どちらもガーゼで包んである。
ガーゼで包むのも、ゆっくりの餡子の中で消化・吸収されないようにするためである。
「ぜんこーよ?」
おっと、えーき様から催促だ。
「わかってますよ、えーき様。
えーき様の大好物もちゃーんと入れますからね。ほら!」
「よいぞっ! よいぞっ!」
先に下ごしらえしておいた三つの小さなガーゼの包みを見せると、
えーき様が子供のようにはしゃぐ。
ヤ、ヤメデェ・・・! モ、モウ、レイブノナガ、イレナイデクダジャイ・・・! ア゙!ア゙!ア゙ッ! ユゲッ・・・! ユゴォッ・・・!
えーき様が期待に満ちた表情で見守る中で、ガーゼの包みを餡子の中に押し込む。
最後の仕上げに、折れ曲がった鉄釘を何本か餡子の中に押し込んで、
急いでゆっくりの頭を木の蓋で塞ぐ。
こうして鉄釘を入れてやる事で茄子の色が良くなる。
というのは普通のヌカ漬けと同じ。
ゆっくり漬けの場合には、それ以上に重要な意味がある。
ユギィィッ! イダッ?! ナ、ナニカ ササッテルゥ! ユギッ!
ト、トッテェ! ユビィ! イタイヨォ! オ、オニイサン、トッテヨー! ユッギィ!? ユギィィィ!!
餡子内に野菜や釘を入れられたゆっくりは、
体内に異物を入れられた痛みに、その身を捩って悶える。
その動きによって尖った釘が更にゆっくりの餡子を傷つけ、
痛みはいつまでも治まらず、ゆっくりは体力の続く限り身悶え続けることになる。
この動きのおかげで、ゆっくりの体内の餡子が常時流動するため、
普通のぬか床のように、時々掻き混ぜてやらなくても、
自動的に掻き混ぜられるのだ。
ゆっくりの足を完全に焼かないのも、この動きができるようにするためである。
後は、蓋が取れて餡子が漏れ出さないよう、
昨夜と同じようにゆっくりを縄で縛ってから木箱に戻しておく。
たったこれだけの手間で、
今日の夜には美味しい漬け物が食べる事ができるようになる。
一度作ったぬか餡床は、ゆっくりが死ぬまで使える。
昨夜のような手間は必要なく、
今後は毎朝その日に食べる分のネタを仕込むだけで良い。
前に使っていたぬか餡床は、三日前に死ぬまで半年以上は保った。
今度のもイキは良さそうだし、それぐらい保つだろう。
「じゃあ、仕事行ってきますね、えーき様。留守番よろしくお願いします。」
「よいぞ…」
こうしてゆっくり漬けの準備を終えた俺は、朝食を食べた後、
少し寂しそうなえーき様を残して仕事に出かけた。
==================
そして、夜
「いただきます!」
「よいぞっ!」
えーき様をちゃぶ台の上に乗せてあげてから、仲良くいただきますの挨拶。
目の前には、ツヤツヤ炊きたて白米。
俺の分は丼に山盛り、えーき様の分は大きなオニギリにしてお皿に乗せてある。
そして、ちゃぶ台のほぼ中央には、ぬか餡床にしているゆっくり。
ちゃぶ台の脇には、子供ゆっくりが入った木箱と水の入ったボウル。
他のおかずは無い。
ぬか餡床ゆっくりの蓋を外す。
朝からずっと身悶え続けて体力が限界を迎えたか、あまり動かなくなっている。
昼間の内にえーき様が抜いてくれた雑草でも食べさせておけば、
また元気になるだろう。
ユ゛、ユ゛ビィ・・・! ヤッ・・・ベ・・・デェ・・・! ギッ?! ユギッ?! バビブベッ?!
菜箸を餡子の中に突っ込み、ゴソゴソと中を探る。
おっと、何かに当たった。
感触を頼りに、それを菜箸で掴んで引き揚げると、ガーゼに包まれた茄子が出てきた。
更に菜箸で餡子を掻き回し、胡瓜、小かぶを取り出す。
「どれから食べますか?えーき様?」
「よいぞ~…よいぞ~……よいぞ!」
「胡瓜ですね。」
掘り出した野菜からガーゼを外し終えると、
胡瓜を手でパキッと半分に折り、大きい方をえーき様の皿に乗せる。
ポリッ! ポリッ、ポリッ、ポリッ…
二人して同時に胡瓜にかぶりつき、小気味よい音を立てながら囓る。
胡瓜の瑞々しさと、野菜本来の微かな甘さ、そこに、ゆっくりの餡子の甘さが加わる。
とは言っても、餡子に直接漬けたのではなく、
ガーゼ越しにジワジワと餡子の甘みと旨味を染みこませているので、
餡子そのものの強い甘みとは違う、雑味の無い、とても爽やかな甘さだ。
そこに発酵したぬかの微かな酸味と塩味とが甘さを引き立てる事で、
それぞれの甘さの輪郭をクッキリと浮き彫りにする。
バクッ!バクッ!バクッ!
胡瓜のゆっくり漬けの味が舌の上に残っている内に、丼から飯を掻き込む。
えーき様も、大きなオニギリをパクパクと端から囓る。
「今日の漬け物の味はどうですか、えーき様?」
「よいぞっ!!よいぞっ!!」
俺の問いに、えーき様が眩いばかりの満面の笑みで答える。
口元に付いている米粒を摘んで取ってあげ、そのまま口に含む。
「ふふ、良かったです。さあ、生ゆっくりもどうぞ。」
ヤ、ヤメテネ! レイムヲハナシテネ! オニイサントハ、ユックリデキナイヨ! オネイチャンヲ ハナチテー!
木箱から、夏蜜柑大の赤いりぼん付きのゆっくりを取り出し、
ボウルの水で洗ってから、ちゃぶ台の上に乗せる。
ユユ? オイシソウナモノガアルヨ! レイムノゴハンダヨ!
ユッ・・・? オニイサン・・・レイムノオチビチャンニ・・・ゴハン・・・クレルノ? ユックリ アリガ
プスッ
ユ? ・・・・・・ユピャァァッ?! レイビュノ オメメガァァ!? オメメガイダイヨォォ! アヅイヨォォ!
ナンニボミエナイヨォォォ!? マミャー!? タシュケテェー! マミャァー!! ヂョコニイリュノォー!? レイビュヲダシュケチェェェ!!
オヂビヂャァァァン?!
味付けのため箸で目玉を刺してから、えーき様の皿の上に載せると
えーき様が味見をするように皿の上のゆっくりを一舐めする。
ユ? ペーロペロ サレタヨ? マミャ?! マミャナニョ?! ユエエェン! レイビュコワカッ
オヂビヂャン、ニゲデェェェェェ・・・・!
ユ?
それからゆっくりの背中にパクッと噛み付いて半分囓り取り、
ムシャムシャと音を立てながら、咀嚼する。
ユ゙ッ、ユ゙ッ・・・レイム・・・セナカガ・・・スズシイヨ・・・レイム・・・ドウナッタノ・・・オカアシャン・・・
ユアアアァァ!! レイムノオヂビヂャンガァァァッ!?
ごっくんと囓ったゆっくりを飲み込んだ後、俺に向かって、
「よいぞ!よいぞ!」と言ってくる。
最初は、美味しい!と言おうとしてるのかと思ったが、どうやら違うようだ。
「ん…?半分くれるんですか?いいんですよ、えーき様が全部食べて。」
「よいぞ!よいぞ!」
グイグイと欠けたゆっくりの乗った皿をこちらに押してくる。
「じゃあ、半分だけ…」
コワイヨ・・・ レイムコワイヨ・・・ オカァシャ・・・ ユギャァァァ?!
俺としては、えーき様が美味しそうに食べている様子を眺めているだけで
十分満足なのだが、折角のえーき様の気持ちなので、
残ったゆっくりを箸で縦に半分に割って口に運ぶ。
イダイィ・・・イダイヨ・・・レイビュ・・・ジニダグナイヨォ・・・マミャァァァ・・・・・・・・ユッ・・・クリィ・・・
オヂビヂャァン!! ユッグリィ! ユッグリジテイッテネェ! ユッグリジテイッテネェ!! ユッグリジテイッテネッテイッテェ!
ん。美味い。やっぱりゆっくりはこの季節が一番美味だな。
「よいぞ?」
「とっても美味しいですよ!」
「よいぞ!よいぞ!」
ドォォォジテ コンナコトスルノォォーーー?! ドォォォジテェェェェ?!
えーき様が残ったゆっくりを食べ終えるのを見届け、
他のゆっくり漬けの野菜を皿の上で食べやすい大きさに切る。
「さ、えーき様。こっちも食べてくだ…」
ジリリリリリン! ジリリリリリン!
突如、レトロな黒電話がけたたましい音を立てて、俺の言葉を遮った。
「食べててくださいね、えーき様。」
ゆっくり漬けをえーき様の皿に乗せてから、
そう言い残して席を立ち、電話口に向かう。
==================
「はい、尾荷…あ、なんだ、お袋か…」
「うん…うん…大丈夫、元気でやってるって。
ああ…うん……そうなんだ…うん……」
「…あー、実は、さ…俺、結婚しようと思ってる女性がいるんだ。
ちょ…なにも泣くことはないだろ、泣くことは…
俺だってちゃんと考えてるよ…
うん…うん…とても素敵な女性だよ。
いや、本当言うと、今一緒に暮らしてるんだけどさ…
だ、大丈夫だって…真剣な気持ちだから…
ああ…うん…暮れには帰るからさ、その時連れて行くよ。
きっと母さんも気に入ると思うよ…」
「うん…うん…それじゃ、体壊さないようにね。うん、じゃあ。」
ガチャン
「よいぞ?」
十分ほど電話口で会話してから俺が食卓に戻ると、
えーき様がこっちを見上げて首を傾けながら聞いてくる。
「ああ、そうです。うちのお袋でしたよ。」
「よいぞ?」
「ええ、最近は体の具合もだいぶ良くなってきたみたいです。」
「よいぞ!」
「ふふ、そうですね。散々迷惑かけたし、その分、親孝行しないとですからね。
長生きしてもらわないと……今度…紹介しますね。」
「よいぞ!」
ふと見ると、電話に出る前に皿に乗せたゆっくり漬けには、
まったく手がつけられていない。
オニギリの方も全然減ってないようだ。
「…えーき様、食べないで待っててくれたんですか?
食べちゃってて良かったのに。」
「よいぞ!」
「はは、そうですね。二人で食べた方が美味しいですよね。」
食事を再開したえーき様が、茄子のゆっくり漬けに夢中でかぶりつく姿を
ボーッと眺めながら、小かぶをポリポリと囓る。
「…えーき様………ごめんね…」
「?よいぞ…?」
自然と口をついて出てしまった言葉に、
えーき様が不思議そうな表情を浮かべて疑問の声を返す。
「俺…こんな甲斐性なしで…
えーき様には…もっと…美味しい物…一杯食べて欲しいのに…
こんな…こんな…」
俺がえーき様と出会ったのは、仕事仲間に誘われて出かけた大きな街で
なにげなく目にしたペットショップのショーウィンドウでだった。
それは、まさに一目惚れというヤツだった。
ガラスの向こうからじっと俺を見ていた、えーき様の姿が目に焼き付いて離れず、
それ以来、休みの度に一人で街まで出かけ、店員の冷たい視線に晒されながら、
何時間もえーき様を眺めていた。
明日にも、どこかの誰かがえーき様を買って行ってしまうかもしれない。
いや、既に今日、買われてしまったかもしれない。
仕事をしている時も、家に帰ってからも、夜寝ている時も、
そんな想像がちらつき、何をするにも身が入らない毎日だった。
そして、最初の出会いから一月後、遂に決心して、えーき様を俺のモノにした。
だが、俺の年収の三倍近い金額は、正直痛かった。
貯金を空にし、なけなしの家財の多くを売り払ってもまったく足らず、
方々から借金をした。
通勤に便利だった町中のアパートも引き払い、
職場まで片道二時間半かかる片田舎で、
格安で借りられる古い農家を見つけてそこに移り住んだ。
家賃を安く抑えるためだけではなく、
昨日のように、野山から食料を採ってきて食費を削るためでもある。
田舎暮らしがイヤで、年老いた母親を残して町まで出てきたというのに、
結局、こんな場所で暮らしているのだから、皮肉な話だ。
そんな身分だから、食事だってご覧の有様。
ここ暫くは、昨日採った生ゆっくりや茸とかがある分だけ、まだ贅沢できるが、
いつもはご飯と漬け物だけ、日によってはご飯だけの事もある。
俺が貧乏生活をする事は構わない。
むしろ、金如きで、しかも、その程度の金額で、
えーき様と共に過ごす幸福な時間を手に入れてしまえた事に、
後ろめたさと申し訳なさすら感じている程だ。
だが、えーき様はどうなのだろう。
俺が買わなければ、きっとどこかの裕福な人間に買われていただろう。
そうすれば、こんな貧しい生活ではなく裕福な暮らしが送れた筈だ。
食事だって、こんな貧しい物ではなく、
栄養があって美味しい物をお腹一杯食べられただろう。
ぺしぺし、ぺしぺし
そんな自責の念に駆られ、いつの間にやら物思いに耽っていた俺は、
その音に意識を引き戻された。
気が付くと、えーき様が"かいごのぼう"を口に咥えて、
一生懸命に俺の腕をぺしぺしと叩いている。
「?どうしたんですか?えーき様?おかわりですか?」
その俺の言葉にえーき様がフルフルと首を横に振ってから、
かいごのぼうを放して叫ぶ。
「よいぞっ!?よいぞっ!?よいぞっ!?」
目の端に涙を浮かべ泣き顔になりながら、
ぽいんぽいんと飛び跳ねて、その言葉を繰り返す。
「?………っ!
貧しくても、俺のとこに来てよかった…そう…言ってくれるんですか?」
「しろっ!!しろっ!!よいぞっ!よいぞぉっ!!」
俺の言葉にえーき様がコクコクと何度も力強く頷く。
「うっ…えーき様…!おで…じあばぜにじまずがら…!
絶対、えーき様のごと、じあばぜにじまずがら…!」
「…ぜんこーよ……」
俺がえーき様を抱きかかえて頬ずりをすると、えーき様も優しく頬を擦り寄せてくる。
俺は…! 俺はなんて幸せ者なんだ…!
==================
「ぜんこーよ!ぜんこーよ!」
なんとなくしんみりとしてしまった空気を破ろうとするかのように、
えーき様が陽気なおねだりの声を上げる。
「はいはい、アレですね。わかってますって。」
俺も目元の涙を拭ってから、笑顔で応える。
ユッ?! モウヤベッ・・・ユギッ?! ユビギビギビィィィッ?! ギョベボベェェ?!
再びぬか餡床ゆっくりに菜箸を突っ込み、あちこちほじくり返す。
そうして掘り出した小さなガーゼの包みを三つ、皿の上に乗せてゆく。
皿に乗せられ、プルプルと震えていたその包みを解き、中身を皿の上に転がす。
ユピッ・・・ イチャイヨォォ・・・! レーミュノ アンヨシャンガァァ・・・! キョキョ、ドキョォ?オカーシャンハ・・・?
ア、ア、アガヂャァァァン!? デイブノアガヂャンガァァァ!?
包んであったのは、一番小さいゆっくり、ゆっくりの赤子。
ゆっくり漬けのお楽しみ、赤子ゆっくりのゆっくり漬けだ。
赤子ゆっくりの皮は、元の肌色ではなく黒ずんだ色に変わっている。
ガーゼ越しに染み出してきたぬか餡床の成分が、よーく皮に染み込んでいる証拠だ。
アガヂャァァン! ニゲテネッ! ユックリシナイデニゲテネッ! タベラレチャウヨォォ!
ユッ・・・! ユッ?! ユッ! ユッ!! ユゥゥッ!? ア、アンヨシャン・・・アンヨシャンギャ ウゴキャナイヨォォォ・・・! ユエェェェ!
ヤ・・・ヤヂャ・・・ヤヂャヨ・・・ マリシャ、タベラレリュノ ヤヂャァァ・・・! マダ、チニタクニャイィィィ・・・!
タチュケチェェェ! オギャアァァァジャァァァァン!
赤子ゆっくりを漬ける場合は、予め底部を包丁で切り落としておく。
こうしておくと、親の餡子の栄養分が、剥きだしの赤子の餡子に染み込んでくるため、
二、三日ヌカ餡床に漬け込んでおいても餓死せず、新鮮な状態で食べる事ができる。
勿論、食べるときに逃げないようにするためでもあるのは言うまでもない。
ブスッ
ユピィィィィィッ!! イチャイヨォォォ!!
ヤベデェェェ! レイブノアガヂャンニ、ヒドイゴドォォ・・・! ヒドイゴド ジナイデェェェ!!!
「はい、えーき様、あーん」
「よいぞーーー」
箸で赤子ゆっくりを一つ突き刺し、えーき様の口の中に入れる。
ユワァァァン! タシュケテェェ! キョキョカラ ダチテェェェ! タベナイヂェェェ! レーミュヲタベナイヂェェェェ!
えーき様の口の中から、赤子ゆっくりのくぐもった鳴き声が聞こえてくる。
ユ? ユゥゥゥ! コリョコリョシュルヨ! コーリョコーリョ! コーリョコーリョ! ユンユー・・・ユユ?!
すぐには噛まずに、飴玉のように口の中で転がして楽しむのが、
えーき様のお気に入りの食べ方だ。
ア、アンコシャンガ デテリュゥ!? アンコシャン、デチャリャメェ! レーミュ、ユックチデキニャイィィ!
転がすごとに、ぬか餡の染みた甘い皮と、切った底部から漏れ出す餡子の甘さが
口の中一杯にじわじわと広がってくるのだ。
ユビャァァァ!! タシュッ・・・! オキャー・・・! ユッビィィィィ!!! ユギヒィィ! ・・・モッチョ、ユッ・・・ブベェ
アガヂャァァン! ドウジダノォォ!? ユ、ユッグリ!? ユッグリジデイッデネ!
オ、オ、オヘンジィ! オヘンジシテェーーー!? オネガビィィ!
存分に赤子ゆっくりを舐めるのを楽しんだえーき様が、もむもむと口を動かし始める。
よく味わいながら、噛みしめるようにして少しずつ、少しずつ咀嚼する。
食べているえーき様も、それを見ている俺も自然と顔が綻んでくる。
赤子ゆっくりのゆっくり漬けは、
ゆっくりの中でも一番美味と言われる赤子ゆっくり自身の爽やかな餡子の甘みに、
更に皮にまでも、ぬか餡床の旨味と甘さをプラスして食べる。
旨くないわけがないのだ。
ヤ、ヤメチェネ・・・! マ、マリシャ、イチャイノ
ブスリ
ユビャァァァー!!
ア、アガヂャンニ・・・! アガヂャンニ ヒドイゴドジナイデェェ! オネガイジバズゥゥゥ!
ダベルナダ、デイブヲ ダベデ イイデズガラァァァ!!
赤子ゆっくりをもう一つ箸で刺すと、今度は半分飯が残った俺の丼の上に乗せる。
ユギャァァァァァァ?! アッヂュイッ! アヂュイィィィ!! マァァミャァァァ!!! アヂュイヨォォ! ユビエェェン!
ヤベデェェェ・・・! モウヤベデェェェェェ・・・!!!
その上から熱いお茶をドボドボと注ぐ。
俺のお気に入りの食べ方は、この赤子ゆっくり茶漬けだ。
ユギュゥゥ!! イヂャッ・・・!! イヂャイ、イヂャイヨォォ! マリシャノカリャダ、コワシャナイジェェ・・・!!
アガヂャンガァ・・・レイブノ・・・ガワイイ・・・アガヂャンガァァ・・・
熱いお茶でふやけた赤子ゆっくりを箸で突き崩し、
お茶の中に混ぜ溶かしこんでゆく。
半分ほど突き崩し、丼の中のお茶の色がほんのり黒くなったところで、
ズゾゾゾとお行儀悪く甘いお茶漬けを啜り、胃の腑に流し込む。
お茶の中に溶け出した、赤子ゆっくりの餡子の旨味、
ゆっくり漬けの皮の旨味、そして炊きたての飯の旨味。
その全てが渾然一体となった旨味を、喉と胃袋で直接味わう。
茄子の漬け物をシャクシャクと囓り、それからまた、ズゾゾとお茶漬けを一啜り。
ユ・・・モウ・・・ヤメチェ・・・マリ・・・シャ・・・イチャイノ・・・ヤヂャヨォ・・・ユ、ユビュッ! ユビュッ・・・! ユビュ・・・ユ・・・
アガジャァァァァァン! ユヤァァ! ジナナイデェェェ! ジンジャダメェェ! ユッグリィィ! オカーザントユッグリジヨウネェェ!
半分残った赤子ゆっくりの断面に箸を突き立て、グチャグチャと掻き回して
更に餡子の甘みと旨味を溶かし込んでから、また腹の中に流し込む。
俺が赤子ゆっくり茶漬けをあらかた食べ終える頃には、
えーき様も赤子ゆっくりを食べ終えていた。
「美味しかったですか、えーき様?」
「よいぞっ!」
「赤子、もう一つ食べますか?」
「よいぞっ!よいぞっ!」
オ、オキャーシャァンッ! タ、タチュ、タチュ、タチュケチェェェ・・・ ドウチテ、タチュケテクレニャイノォォ・・・?
ヤメ、ヤメチェ・・・ プスプスサンシナイヂェ・・・ レイミュ、イチャイノヤァァァ・・・ ユギギィィィッ?!
ヤメデェェ! モウ、レイムノアガヂャン、ダベナイデェェ・・・! ユヤァァァァ!? ヤベデェェ! タベヂャダメェェ!
ドボジデッ!? ドボジデ、コンナゴドズルノォォ!?
箸に刺した赤子ゆっくりをえーき様の口に運ぶと、えーき様がかぷり、と咥える。
えーき様の口から箸を引き抜き、
先についた赤子ゆっくりの餡子とえーき様の唾液を舐める。
うーん、甘露甘露。
ユピャァァァ! キョワイヨォォォ! ダチテェェ! ココカラダチテェェ!
ドボジデナノォォ! オジエデヨォォ!
左右の頬を交互に膨らませながら、えーき様がお口の中で赤子ゆっくりを転がす。
「ははは、えーき様は可愛いなぁ…」
えーき様の膨らんだ頬を軽くつつくと、ちょっとイヤそうに目を瞑って身を捩る。
その後で緑色の髪をそっと撫でてあげると、再びゆっくりした表情になる。
可愛い。本当に可愛い。
ユビィィッ?! イヂャアァァッ! ユガッ! ユ、ユギッ! ヤ、ヤヂャア! ユギュ! ヤヂャ、ヤヂャ、ヤヂャア・・・
アガッ、アガヂャァァァン! タベナイデェェ! アガヂャン、タベナイデェェ!
レイブノ アガヂャンナンデズゥゥ! ドッデモユッグリジダ、イイコナンデズゥゥ!
もぐもぐと口を動かし始めたえーき様が、ごっくんとそれを飲み込むまでを見届け、
えーき様の髪を梳きながら、耳?元でそっと囁く。
ユギッ! イヂャイヨォ! イヂャイヨォォ! ギビッ! ユゲッ! ・・・ユッグリー・・・
ユヤァァァァァァァ!!! アガヂャァァァァァァァァァンッ!!!
「…今夜も寝かさないよ、えーき…」
ガエゼェェェ! アガヂャンガエゼェェェ!! ドウジデッ! ドウジデ、コンナコトスルノォォッ!?_
「よ、よいぞ……」
えーき様がチラと上目使いでこちら見てから、顔を真っ赤にして俯き、
それからコクンと小さく頷いて答える。
ユヤァァァァ! レイブ、カエル! モウオウチカエル!
くほぉぉっ!なんて可愛いんだぁぁ!!もう辛抱堪らん!
「えーき様ぁぁぁっ!!俺の股間がラストジャッジメントォォォッッッ!!」
「よ、よいぞ~~?!」 カエラセテヨォォォ・・・! オネバイ・・・オネバイデズゥゥゥ・・・!
男ならこの状況でやる事はひとつ! カエシテェェ・・・
己が欲望に身を任せて、 オチビチャン、カエシテェ・・・
えーき様をガバアッと レイムノオウチニ・・・カエシテェェ・・・ 床の上に押し倒す。
ふぅぅぅ…!今夜もユゥゥ・・・ユゥゥゥゥゥ!熱くなりそうだぜ!!
「えーき様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「よ、よいぞぉぉぉぉぉ!!!!!」
ユンヤァァァァァァァァァ!!!!!
おわり
これまでに書いたもの
『ふたば系ゆっくりいじめ 229 たくすぃー』