ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko0214 つむりはとってもゆっくりできるんだよ!
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※キモあき氏のイラストを基に書いています。
台詞丸々パクリ、原作レイプ注意
台詞丸々パクリ、原作レイプ注意
「つむりちゃんたちはおかーさんとねようね!!
ふつうのこはまだいたの?
ぶたれたくなかったらはなれててね!!
できればしんでね!!!」
ふつうのこはまだいたの?
ぶたれたくなかったらはなれててね!!
できればしんでね!!!」
「「しんじぇね!!!」」
「ゆぅ・・・」
とある森の奥、ゆっくりの巣穴の中。そこでは中々に珍しい光景が見られた。
叱られる子まりさ。叱る、いや、罵倒する親まりさ。
そして親まりさに賛同する珍しさの原因・・・二匹のまりさつむりが居た。
叱られる子まりさ。叱る、いや、罵倒する親まりさ。
そして親まりさに賛同する珍しさの原因・・・二匹のまりさつむりが居た。
つむりはとってもゆっくりできるんだよ!
まりさは大体一週間ほど前に、親まりさから二番目の子として胎生出産で生まれた。故にこのまりさを次女まりさと呼ぼう。
もちろん次女まりさの前後に生まれたのが二匹のつむり。長女つむりと三女つむりだ。
世にも珍しいまりさつむりの誕生。それも二匹。それがいかに珍しいことであるかをまりさ達の所属する群れは知っていた。
もちろん次女まりさの前後に生まれたのが二匹のつむり。長女つむりと三女つむりだ。
世にも珍しいまりさつむりの誕生。それも二匹。それがいかに珍しいことであるかをまりさ達の所属する群れは知っていた。
親まりさはどうやら(無いはずの)鼻が高かったようで、事あるごとに群れの皆につむり達を見せびらかした。
群れの皆も「ゆっくりしているね!!!」と返してくれた。親まりさは有頂天だ。
しかし唯一、皆に見せても反応が芳しくない子が居た。それが次女まりさだ。
正確には次女まりさのときも「ゆっくりしているね!!」と返されたのだが、つむりと比べて些か反応が大人しかったのである。
この時から親まりさの差別は始まったと言ってよい。
群れの皆も「ゆっくりしているね!!!」と返してくれた。親まりさは有頂天だ。
しかし唯一、皆に見せても反応が芳しくない子が居た。それが次女まりさだ。
正確には次女まりさのときも「ゆっくりしているね!!」と返されたのだが、つむりと比べて些か反応が大人しかったのである。
この時から親まりさの差別は始まったと言ってよい。
それから一週間。目に見えて次女まりさの待遇は悪くなっていった。
ご飯も少なく、不味くなっていく一方。寝る時にすら親には近寄らせてもらえない。とうとう「死ね」との罵倒まで出た。
つむり達も親の態度を見るうちに、「ああ、この子は馬鹿にしてもいい子なんだ」と思うようになっていた。
その結果が冒頭の台詞である。
ご飯も少なく、不味くなっていく一方。寝る時にすら親には近寄らせてもらえない。とうとう「死ね」との罵倒まで出た。
つむり達も親の態度を見るうちに、「ああ、この子は馬鹿にしてもいい子なんだ」と思うようになっていた。
その結果が冒頭の台詞である。
今もまた巣穴の隅で一人寂しく震えながら、次女まりさは思う。
なんでまりさだけこんな扱いを受けるの?と。
自分はそこまで酷い扱いを受けるような行いはしなかった筈だ。ちゃんと親のいう事を聞き、姉妹に優しく接した筈である。
次女まりさはいつも寝る時にこのようにしてある筈の無い自分の非を思い出そうとしている。
全ては親の愛情を受けるため。不憫と言えば、これ以上の不憫は無い。
なんでまりさだけこんな扱いを受けるの?と。
自分はそこまで酷い扱いを受けるような行いはしなかった筈だ。ちゃんと親のいう事を聞き、姉妹に優しく接した筈である。
次女まりさはいつも寝る時にこのようにしてある筈の無い自分の非を思い出そうとしている。
全ては親の愛情を受けるため。不憫と言えば、これ以上の不憫は無い。
「ゆぅー♪とっちぇもかいてきだよ!!!」
「まりしゃのすぃー!!!かえちてぇぇ!!!ゆぇぇぇん!!!」
「まりしゃのすぃー!!!かえちてぇぇ!!!ゆぇぇぇん!!!」
スィーに乗るつむりとそれを泣きながら追う次女まりさ。これも見慣れた光景だ。
このスィーは、なんと驚くことに次女まりさの持ち物である。いつの間にか次女まりさが手に入れていたものだ。
そしてそれを借りるとの名目の元に日々乗り回すつむり達。今日の場合は三女つむりだった。
このスィーは、なんと驚くことに次女まりさの持ち物である。いつの間にか次女まりさが手に入れていたものだ。
そしてそれを借りるとの名目の元に日々乗り回すつむり達。今日の場合は三女つむりだった。
「かえちてぇぇ!!まりしゃのすぃーがぁぁぁ!!!」
引き離されまいと必死になって追いすがる次女まりさ。しかしそれも、スィーの速度の前には無駄なことだ。
ぐんぐんとスピードを上げながら次女まりさから遠ざかっていくスィー。次女まりさはそれを見ていることしかできない。
嫌だった。妹も姉も、スィーを貸したらボロボロになるまで返してくれないのだ。痛ましいスィーの姿に、何度涙したことか。
それでもお母さんの命令は絶対だった。姉の場合は「妹なんだから言う事を聞け」、妹の場合は「姉なんだからいう事を聞いてやれ」である。
ぐんぐんとスピードを上げながら次女まりさから遠ざかっていくスィー。次女まりさはそれを見ていることしかできない。
嫌だった。妹も姉も、スィーを貸したらボロボロになるまで返してくれないのだ。痛ましいスィーの姿に、何度涙したことか。
それでもお母さんの命令は絶対だった。姉の場合は「妹なんだから言う事を聞け」、妹の場合は「姉なんだからいう事を聞いてやれ」である。
「ゆひゅ~ん♪ちゅむりはとってもはやいよ~♪のろまのまりさはゆっきゅりしんじぇね!!!」
スィーの上でふんぞり返りながら三女つむりはそう罵る。
とりあえず、三女つむりが速いのは彼女自身の能力でなくスィーのお陰なのだが・・・それに気付く様子も無い。
三女まりさにとって次女まりさなどはただのスィー番に過ぎなかった。壊れたら返して、直したら持っていく。
尊敬などするば筈も無い。だから呼び方も「お姉ちゃん」ではなく呼び捨てなのだ。
とりあえず、三女つむりが速いのは彼女自身の能力でなくスィーのお陰なのだが・・・それに気付く様子も無い。
三女まりさにとって次女まりさなどはただのスィー番に過ぎなかった。壊れたら返して、直したら持っていく。
尊敬などするば筈も無い。だから呼び方も「お姉ちゃん」ではなく呼び捨てなのだ。
一日中酷使されたせいでボロボロになるスィー。ぞんざいに放り捨てられたスィーが本来の持ち主の所へ帰る。
「ゆぅ・・・ひどいよ・・・。すぃー、ぺーろぺーろしてあげりゅからね・・・・・・」
不思議なことに、次女まりさがスィーをぺーろぺーろしたり、すーりすーりするとスィーの傷は直っていく。
スィーを酷使された夜はいつもこうやってメンテナンスに費やすのだ。
巣穴の奥では親まりさとつむり二匹が、次女まりさの事など気にせず眠っている。それがまるで当然だとでも言うように。
また次女まりさの頬に、一筋の涙が伝わった。何故自分はこのような目に遭うのだろうか。
スィーを酷使された夜はいつもこうやってメンテナンスに費やすのだ。
巣穴の奥では親まりさとつむり二匹が、次女まりさの事など気にせず眠っている。それがまるで当然だとでも言うように。
また次女まりさの頬に、一筋の涙が伝わった。何故自分はこのような目に遭うのだろうか。
「つむりちゃんたち!!!ゆっくりしていってね!!!」
「「ゆっ!!!きゃいくちぇごめんしゃい!!!」」
「「ゆっ!!!きゃいくちぇごめんしゃい!!!」」
今日も今日とて親まりさはつむり達を見せびらかしている。
それを遠く離れた所から寂しそうに見るのは次女まりさ。親まりさに近づくなと言われていたため。
理由は「ふつうのこはいてもいみないよ!!!ちかづかないでね!!!」との事だ。次女まりさにはわからない。
それを遠く離れた所から寂しそうに見るのは次女まりさ。親まりさに近づくなと言われていたため。
理由は「ふつうのこはいてもいみないよ!!!ちかづかないでね!!!」との事だ。次女まりさにはわからない。
ある程度自尊心を満たしたようで、親まりさ達は帰り支度をする。この時になって初めて、次女まりさは近づけるのだ。
お疲れ様の言葉と共に、手持ち無沙汰になったとき捕まえた虫さんを渡そうとして・・・そこで初めて次女まりさは、吹き飛ばされていることに気がついた。
お疲れ様の言葉と共に、手持ち無沙汰になったとき捕まえた虫さんを渡そうとして・・・そこで初めて次女まりさは、吹き飛ばされていることに気がついた。
「ちかよらないでっていったでしょ!!ばかなの!?」
親まりさは自尊心を満たしてなどいなかった。
今日はいまいち皆の反応が芳しくなかった事にいらついて、そうして帰り支度を始めたのだ。
そこに出てきた忌々しい普通の子。つい暴力を振るうのも普通の事だと、親まりさは思っている。
今日はいまいち皆の反応が芳しくなかった事にいらついて、そうして帰り支度を始めたのだ。
そこに出てきた忌々しい普通の子。つい暴力を振るうのも普通の事だと、親まりさは思っている。
「ゆ・・・ゆ、ぴゅぅ・・・・・・」
じくじくと痛む顔面に、それでも次女まりさは耐えた。
涙は出る。でも泣き喚きはしない。もしすれば、「五月蝿い」との理由の元にもっと暴行を加えられるから。
こんな事は一度や二度ではない。泣き叫ぶことが以下に無駄な事かを、次女まりさは身体に刻み付けられている。
涙は出る。でも泣き喚きはしない。もしすれば、「五月蝿い」との理由の元にもっと暴行を加えられるから。
こんな事は一度や二度ではない。泣き叫ぶことが以下に無駄な事かを、次女まりさは身体に刻み付けられている。
「ゆぶぶ!まりしゃがないてるよ!!おもにかおがきみょい!!!」
「あれきゅらいでなくなんちぇ、ほんちょうにまりしゃはよわむしだにぇ!!!」
「あれきゅらいでなくなんちぇ、ほんちょうにまりしゃはよわむしだにぇ!!!」
蹲りながら耐える次女まりさに、侮蔑も露わな姉妹たちの嘲笑。
自分の事を完全に棚上げし、次女まりさがいかに弱く醜い存在かと笑う。
他の者の前では見せない悪意。一見天使を気取っていても、次女まりさの前では立派な悪魔だ。
自分の事を完全に棚上げし、次女まりさがいかに弱く醜い存在かと笑う。
他の者の前では見せない悪意。一見天使を気取っていても、次女まりさの前では立派な悪魔だ。
「ゆ!こんなところにむしさんがおちてるよ!!むーしゃ!!う゛っ゛め゛!!!」
こんな所に都合良く虫が落ちている訳でもないだろうに、親まりさは次女まりさの贈り物を一飲みにするとそう言った。
そうして跳ねだす。今度こそ本当に家路に就く。蹲っている次女まりさの事は完全に無視して。
親まりさにとっては次女まりさなど居ても居なくてもどうでも良い存在だった。
そうして跳ねだす。今度こそ本当に家路に就く。蹲っている次女まりさの事は完全に無視して。
親まりさにとっては次女まりさなど居ても居なくてもどうでも良い存在だった。
「「ちゅむりたちもきゃえるよ!!!」」
次女まりさのスィーに乗りながら、親まりさに続くつむり達。
帰りの足を失った次女まりさの事など気にも留めていない。ここからおうちの距離は赤ゆっくりにとっては些か手に余る。
つまりは親まりさもつむり達も、次女まりさをここに置き去りにする気なのだ。
帰りの足を失った次女まりさの事など気にも留めていない。ここからおうちの距離は赤ゆっくりにとっては些か手に余る。
つまりは親まりさもつむり達も、次女まりさをここに置き去りにする気なのだ。
「ゆっ・・・・・・ゆぐっ・・・・・・?・・・・・・おかーしゃんたち、どきょいったのぉ・・・?」
ようやく次女まりさが顔を上げた頃には、そこには誰一人おらず。
唯一の友とも、頼みの綱とも呼べるスィーの姿も無く。
果たしてまりさは、独りぼっちになってしまった。
唯一の友とも、頼みの綱とも呼べるスィーの姿も無く。
果たしてまりさは、独りぼっちになってしまった。
日が沈む。空が焼ける。後しばらくすれば、夜が降りてくる。
そんな状況にもかかわらず、まりさはただ泣くことしかできなかった。
そんな状況にもかかわらず、まりさはただ泣くことしかできなかった。
「ゆぐっ・・・・・・なんで・・・どうちて・・・」
否。まりさは泣きながら、それでも考える。
自分に非はあったのだろうかと。つむり達とまりさ、一体何処に違いがあるのだろうかと。
泣けど暮らせどその答えは出てこない。しかしまりさは悩み続けるしかできない。
自分に非はあったのだろうかと。つむり達とまりさ、一体何処に違いがあるのだろうかと。
泣けど暮らせどその答えは出てこない。しかしまりさは悩み続けるしかできない。
「まりしゃが・・・ふつうのこだったから・・・?」
おかーさんは言っていた。「つむりちゃんは特別な子」だと。
まりさにはいまいち理解できない。確かに姉妹は、群れで見かけるただ二匹のまりさつむりだ。
だが、それだけ。姿形が違うだけならば、まりさだってもっと珍しい存在は見かけたことがある。
まりさにはいまいち理解できない。確かに姉妹は、群れで見かけるただ二匹のまりさつむりだ。
だが、それだけ。姿形が違うだけならば、まりさだってもっと珍しい存在は見かけたことがある。
珍しいと、特別ということは違う、とまりさは思っている。
だからこそ珍しい姉妹達に、まりさは気負い無く接しようとした。それが間違いだったのだろうか。
姉妹とまりさが、どこまで違うと言うのだろうか。今まりさに分かるのは、飾りの差異、それだけ。
だからこそ珍しい姉妹達に、まりさは気負い無く接しようとした。それが間違いだったのだろうか。
姉妹とまりさが、どこまで違うと言うのだろうか。今まりさに分かるのは、飾りの差異、それだけ。
いや、もうこんな事を考えても仕方の無いことだ。だってまりさは捨てられたのだから。
この状況が、まりさに語りかけていたのだ。もうまりさは誰からも必要とされていないことを。
そもそも初めから必要とされていたのかすら分からない。とにかくまりさは少々疲れてしまった。
もういいや。なんだか眠くなってきた。このまま眠ってしまおう。
これからは捕食種の出てくる時間。そこに幼いゆっくりが一匹眠っているのは、さながら皿に盛られたご馳走のよう―――
この状況が、まりさに語りかけていたのだ。もうまりさは誰からも必要とされていないことを。
そもそも初めから必要とされていたのかすら分からない。とにかくまりさは少々疲れてしまった。
もういいや。なんだか眠くなってきた。このまま眠ってしまおう。
これからは捕食種の出てくる時間。そこに幼いゆっくりが一匹眠っているのは、さながら皿に盛られたご馳走のよう―――
「あら?おちびちゃん、そんなところでどうしたの?」
「むきゅ、こんなところにねていたらあぶないわ。ぱちゅとありすのおうちにいらっしゃい」
「むきゅ、こんなところにねていたらあぶないわ。ぱちゅとありすのおうちにいらっしゃい」
―――だから、この若いぱちゅりーとありすの夫婦に拾われた事は、まりさにとって奇跡にも等しいことだった。
それから数ヵ月後。
今日もまた、とある森の奥、ゆっくりの巣穴の中。そこでは中々に珍しい光景が見られる。
「はやきゅぎょはんもっちぇこい、ばばぁ~!!!」
「ちゅみゅりはおなきゃへっちぇるんだよ!!しゃっしゃともっちぇこい、このくじゅ!!!」
「ちゅみゅりはおなきゃへっちぇるんだよ!!しゃっしゃともっちぇこい、このくじゅ!!!」
「ゆ・・・まってね、おちびちゃんたち・・・・・・おかーさんにもゆっくりやすませてね・・・・・・」
でっぷりと肥え太った成体のまりさつむりが二匹。しかも口調は幼児のまま。
口にする内容は誰かの罵倒か餌の催促。そのくせ自分は動こうともしない。ある意味爽快なほどの突き抜けっぷりである。
そしてそんな子の世話をする親まりさが、一匹。
口にする内容は誰かの罵倒か餌の催促。そのくせ自分は動こうともしない。ある意味爽快なほどの突き抜けっぷりである。
そしてそんな子の世話をする親まりさが、一匹。
「おちびちゃんたち・・・もうおちびちゃんたちもおとななんだから、かりのてつだいを・・・・・・」
「どぼじでぞんなごどい゛う゛の゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!ぢゅむりだぢはきゃわいいんだよおおおぉぉぉ!!!」
「ばばぁはざっざどぎょはんもっぢぇごい゛!!!の゛ろ゛ま゛!!!」
「どぼじでぞんなごどい゛う゛の゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!ぢゅむりだぢはきゃわいいんだよおおおぉぉぉ!!!」
「ばばぁはざっざどぎょはんもっぢぇごい゛!!!の゛ろ゛ま゛!!!」
片や泣き喚き、片や罵倒を繰り返す。
いつからこうなってしまったのかは、親まりさには思い出せない。
だが、少なくとも昔のように帽子に載せて狩に連れて行くという芸当は出来よう筈も無かった。
昔あった筈のスィーもいつの間にか消えうせていた。
いつからこうなってしまったのかは、親まりさには思い出せない。
だが、少なくとも昔のように帽子に載せて狩に連れて行くという芸当は出来よう筈も無かった。
昔あった筈のスィーもいつの間にか消えうせていた。
「じゃ、じゃあ・・・むれのみんなにごはんをわけてもらおうね・・・」
「ゆっ!!しょれならちゅむりたちのでばんだにぇ!!!」
「きゃわいいちゅむりたちにごはんをちょーらいね!!!」
「ゆっ!!しょれならちゅむりたちのでばんだにぇ!!!」
「きゃわいいちゅむりたちにごはんをちょーらいね!!!」
親まりさの苦肉の提案に、ようやくつむり達は乗り気になった。巣の外に出るべく這い始める。
しかし、遅い。つむりの殻のせいにしても、少々ゆっくりしすぎている。赤ゆっくりより遅い。
過保護な生活による運動不足が、つむりたちの身体能力を底の底まで落としていた。狩など論外と言えよう。
しかし、遅い。つむりの殻のせいにしても、少々ゆっくりしすぎている。赤ゆっくりより遅い。
過保護な生活による運動不足が、つむりたちの身体能力を底の底まで落としていた。狩など論外と言えよう。
「ゆ・・・おちびちゃんたち、もうちょっとはやく・・・」
「うるちゃいよ、ばばぁ!!!ちゅむりはゆっきゅりしてるんだよ!!」
「ゆっきゅりしなかっちゃらちゅかれちゃうでしょおおおぉぉぉ!!!?ばきゃなの?しぬの!?」
「うるちゃいよ、ばばぁ!!!ちゅむりはゆっきゅりしてるんだよ!!」
「ゆっきゅりしなかっちゃらちゅかれちゃうでしょおおおぉぉぉ!!!?ばきゃなの?しぬの!?」
親まりさの諫言に目と歯茎をひん剥き唾を飛ばして怒るつむり達。
過日の可愛らしい姿など何処にも無い。醜悪なまでの怠惰な気配が、この二匹から漂ってくる。
それでも何とかして巣穴を出て、ゆっくり達の集まる広場までやって来た親子。
過日の可愛らしい姿など何処にも無い。醜悪なまでの怠惰な気配が、この二匹から漂ってくる。
それでも何とかして巣穴を出て、ゆっくり達の集まる広場までやって来た親子。
「「きゃわいいちゅむりにいっぴゃいごはんをちょーらいね!!」」
「ゆ・・・おねがいします・・・ごはんをめぐんでください・・・」
「ゆ・・・おねがいします・・・ごはんをめぐんでください・・・」
つむり二匹は自信満々だがこれは所詮物乞いである。
親まりさは自身の狩りで取れる餌の量では子供達を養えなくなった時から、度々この手段に頼ってきた。
つむりの物珍しさに釣られた誰かから、お情けを貰う。ある意味どうしようもない我が子が唯一役に立てる時。
しかし帰ってきたのは、冷たい視線とこれで何度目になるかも分からない溜息だった。
親まりさは自身の狩りで取れる餌の量では子供達を養えなくなった時から、度々この手段に頼ってきた。
つむりの物珍しさに釣られた誰かから、お情けを貰う。ある意味どうしようもない我が子が唯一役に立てる時。
しかし帰ってきたのは、冷たい視線とこれで何度目になるかも分からない溜息だった。
「また?・・・まりさ、いいかげんこんなことするのやめなよ」
「あなたたち、こんなことしてはずかしくないの?とかいはじゃないわ」
「たんしょう!ほうけい!い~んぽ!」
「「ゆゆっ!!ちゅむりたちはきゃわいいんだよ!!!だきゃらごはんをくれなきゃだめなんだよ!!」」
「あなたたち、こんなことしてはずかしくないの?とかいはじゃないわ」
「たんしょう!ほうけい!い~んぽ!」
「「ゆゆっ!!ちゅむりたちはきゃわいいんだよ!!!だきゃらごはんをくれなきゃだめなんだよ!!」」
いくら珍しいと言っても、このような物乞いを何回も繰り返されれば飽きてくる。
それに、つむり二匹はもう大人だ。もう少しましなご飯の調達手段があるのではないか?
言外からひしひしと伝わってくる侮蔑を親まりさは感じ取る。
それに気付かぬつむり二匹は、余計な事を言ってゆっくり達の心証を悪くする一方だ。
それに、つむり二匹はもう大人だ。もう少しましなご飯の調達手段があるのではないか?
言外からひしひしと伝わってくる侮蔑を親まりさは感じ取る。
それに気付かぬつむり二匹は、余計な事を言ってゆっくり達の心証を悪くする一方だ。
一応食べれると言った程度の雑草を貰い受けつつ、親まりさは思う。
何故こんな事になってしまったのだろうかと。こんな事ではちっともゆっくりできない。
可愛い我が子のつむりちゃんは特別な子で、その子を産んだまりさはゆっくりできる筈だったのに・・・今のこの現状は何だ?
おかしい。おかしすぎる。誰か、誰かまりさたちをゆっくりさせろ。
何故こんな事になってしまったのだろうかと。こんな事ではちっともゆっくりできない。
可愛い我が子のつむりちゃんは特別な子で、その子を産んだまりさはゆっくりできる筈だったのに・・・今のこの現状は何だ?
おかしい。おかしすぎる。誰か、誰かまりさたちをゆっくりさせろ。
蛙の子は蛙。親が親なら子も子という奴だ。
所詮親まりさもその程度のゆっくりである。自分ひとりがゆっくりできれば後はどうでもいい。
そのためならば何を利用しようと構わないのだ。例え我が子だろうと。
所詮親まりさもその程度のゆっくりである。自分ひとりがゆっくりできれば後はどうでもいい。
そのためならば何を利用しようと構わないのだ。例え我が子だろうと。
だから、つい先程聞きとがめた誰かの話に親まりさは一も二も無く飛びついた。
そう、最近この群れの近くにドスまりさが出現したと言う話に。
そう、最近この群れの近くにドスまりさが出現したと言う話に。
「ぢゅがれだああぁぁぁ!!!やぢゅみだいいいいぃぃぃ!!!!」
「ばばぁ!!ぢゅむりをやずまぜろおおぉぉぉ!!!がわいいんだぞおおぉぉぉ!!!」
「うるさいよ!!あんまりうるさくするならおいていくよ!!!」
「ばばぁ!!ぢゅむりをやずまぜろおおぉぉぉ!!!がわいいんだぞおおぉぉぉ!!!」
「うるさいよ!!あんまりうるさくするならおいていくよ!!!」
文句を垂れ、事あるごとに休もうとするつむり二匹を、かつてない形相で叱咤する親まりさ。
この三匹は森の奥、急な坂道を上っている最中だ。
この三匹は森の奥、急な坂道を上っている最中だ。
聞いた話によると、ドスまりさが出現した場所は親まりさ達の所属する群れの近く、より深い森の奥らしい。
そこには規模の小さいゆっくりの群れが存在し、そこからドスまりさが誕生したのだろうと言う噂だった。
そこには規模の小さいゆっくりの群れが存在し、そこからドスまりさが誕生したのだろうと言う噂だった。
ドスとはゆっくりをゆっくりさせてくれるゆっくりだ。少なくとも、親まりさはそう聞いている。
ならば自分もゆっくりさせてくれる筈だ。このガキどものせいでまったくゆっくりできない自分も。
もし外から来たゆっくりに不安を持つようなら、ガキどもを見せよう。特別なゆっくりだ。きっと暖かく迎え入れてくれる筈。
そのためにわざわざこんな鈍足を連れて来たのだ。
ならば自分もゆっくりさせてくれる筈だ。このガキどものせいでまったくゆっくりできない自分も。
もし外から来たゆっくりに不安を持つようなら、ガキどもを見せよう。特別なゆっくりだ。きっと暖かく迎え入れてくれる筈。
そのためにわざわざこんな鈍足を連れて来たのだ。
「はやくしてね!!のろまはきらいだよ!!!いいかげんにしないとえいえんにゆっくりさせるよ!!!」
「ゆびいいぃぃ!!こわいいいぃぃ!!!」
「ぢゅむりはどっでもゆっぎゅりじでるのにいいぃぃ!!!」
「ゆびいいぃぃ!!こわいいいぃぃ!!!」
「ぢゅむりはどっでもゆっぎゅりじでるのにいいぃぃ!!!」
未だ事を弁えぬ我が子に、親まりさは苛立ちを覚える。
お前らがいくらゆっくりしていても、それじゃあまりさはゆっくりできないんだよ。
かつて愛情を抱いていた事すら覚えていない。今の親まりさにとって、この二匹は荷物同然だった。
価値があれば利用し、無ければ捨てる。ただそれだけの事。
お前らがいくらゆっくりしていても、それじゃあまりさはゆっくりできないんだよ。
かつて愛情を抱いていた事すら覚えていない。今の親まりさにとって、この二匹は荷物同然だった。
価値があれば利用し、無ければ捨てる。ただそれだけの事。
「ゆっ!!みえたよ!!はやくついてきてね!!!」
「ゆ゛っ、ゆ゛っ、づがれちゃ・・・・・・」
「もううごけにゃい・・・・・・」
「ゆ゛っ、ゆ゛っ、づがれちゃ・・・・・・」
「もううごけにゃい・・・・・・」
甘ったれた戯言を抜かす役立たず二匹を突き飛ばすように押しながら、ようやくまりさ達は目的地へとたどり着いた。
ここが、ドスまりさが出現したと言うゆっくりの群れ。
開けた広場に点々と、ゆっくり達がくつろいでいる。その表情はいずれもゆっくりとした物。
ここが、ドスまりさが出現したと言うゆっくりの群れ。
開けた広場に点々と、ゆっくり達がくつろいでいる。その表情はいずれもゆっくりとした物。
なるほど、確かに数が少ない。
今広場に居るのは十数匹のゆっくりだけ。まりさが所属していた群れに比べれば、何分の一にしかならないだろう。
だが、その表情が教えてくれる。ここには何かとてもゆっくりしたものがあって、それで皆ゆっくりできている。
―――例えば、ドスまりさとか。
今広場に居るのは十数匹のゆっくりだけ。まりさが所属していた群れに比べれば、何分の一にしかならないだろう。
だが、その表情が教えてくれる。ここには何かとてもゆっくりしたものがあって、それで皆ゆっくりできている。
―――例えば、ドスまりさとか。
「ゆっくり!!ゆっくりしていってね!!!」
大音声で叫ぶ親まりさ。思わずつむりも「ゆっくりしていってね!!!」と叫ぶ。
それを聞きとったゆっくり達が次々と集まり挨拶を返してくる。
「ゆっくり!!」「ゆっくりしていってね!!!」「まりさ、ゆっくりしていってね!!!」「ゆっくりぃ~!!!」
どうでもいい。お前らの挨拶なんて。さっさとドスまりさに会わせろ。
それを聞きとったゆっくり達が次々と集まり挨拶を返してくる。
「ゆっくり!!」「ゆっくりしていってね!!!」「まりさ、ゆっくりしていってね!!!」「ゆっくりぃ~!!!」
どうでもいい。お前らの挨拶なんて。さっさとドスまりさに会わせろ。
「ゆっ!!!まりさたちはこのむれにはいるよ!!!どすにあわせてね!!!」
「入らせて欲しい」ではなく、まるで決定事項のようにそう親まりさは言った。
その言葉を受け、身体を傾げる群れのゆっくり達。親まりさの言いたいことが分からぬかとでも言うように。
群れから一匹出てきたれいむが、親まりさに問う。
その言葉を受け、身体を傾げる群れのゆっくり達。親まりさの言いたいことが分からぬかとでも言うように。
群れから一匹出てきたれいむが、親まりさに問う。
「ゆ・・・まりさは、どすまりさがみえないの?」
「なんのこと!!?いいからどすにあわせてね!!!」
「なんのこと!!?いいからどすにあわせてね!!!」
お互いの意思が見えぬ問答。ちぐはぐな会話に、親まりさの怒りが瞬時に沸点へと高まる。
それを見て、れいむは何か得心したように、付け加えた。
それを見て、れいむは何か得心したように、付け加えた。
「いま、どすはみえなくなってるよ。ゆっくりさがしだしてね」
「ゆぁん?なにそれ?いいからさっさとどすをよんできてね!!!」
「ゆぁん?なにそれ?いいからさっさとどすをよんできてね!!!」
親まりさの詰問をすり抜け、「言う事は言った」とでもいうような態度で群れの中へと戻るれいむ。
そのまま群れは解散となり、再び広場でゆっくりし始める。
現状が理解できないのは親まりさと、つむり二匹の親子のみ。
そのまま群れは解散となり、再び広場でゆっくりし始める。
現状が理解できないのは親まりさと、つむり二匹の親子のみ。
「やくにたたないれいむだね!!おちびちゃんたち!!どすをさがすよ!!」
「「ゆっ?にゃんできゃわいいちゅむりがしょんなことしなくちゃいけにゃいの?ばかにゃの?しにゅ・・・」」
「「ゆっ?にゃんできゃわいいちゅむりがしょんなことしなくちゃいけにゃいの?ばかにゃの?しにゅ・・・」」
口答えをしたつむり二匹をド突きながら親まりさはドスまりさを探す。
しかし見つからない。当然だろう。れいむの言うことが正しければドスは見えなくなっている筈なのだから。
しかし見つからない。当然だろう。れいむの言うことが正しければドスは見えなくなっている筈なのだから。
ドスまりさの能力の一つに「ゆっくりしていない相手からはドスの姿が見えない」というものがある。
この能力は人間だけに有効かと思われていたが、そうではない。ゆっくり相手にも通じるのだ。
ゆっくりしていないゆっくりはドスの姿が見えず、ドスはゆっくりしたゆっくりのみで群れを作れる。
敵から身を隠す以外にもこの能力はこういう風に使われているのだ。
この能力は人間だけに有効かと思われていたが、そうではない。ゆっくり相手にも通じるのだ。
ゆっくりしていないゆっくりはドスの姿が見えず、ドスはゆっくりしたゆっくりのみで群れを作れる。
敵から身を隠す以外にもこの能力はこういう風に使われているのだ。
今もまた、この広場のどこかから親まりさたちを見おろす気配が、一つ。
このままどこかへ去ってくれるのならそれに越した事は無い。
が、しかし。もしもその時になっても去る気が無いのならば・・・・・・。
このままどこかへ去ってくれるのならそれに越した事は無い。
が、しかし。もしもその時になっても去る気が無いのならば・・・・・・。
「ゆあああああん!!!ちゅむりちゅかれたああああぁぁぁ!!!」
「もーさがしゅのあきた!!!あちょはおかーしゃんひちょりでやっちぇね!!!」
「ゆぎぎぎぎぎぎぃ・・・・・・・・・!!!」
「もーさがしゅのあきた!!!あちょはおかーしゃんひちょりでやっちぇね!!!」
「ゆぎぎぎぎぎぎぃ・・・・・・・・・!!!」
早くもドスを探すことを放棄したつむり二匹に、親まりさはギリギリと歯を噛み締める。
珍しいしか脳のない役立たずめ。このままでは埒が明かない。
親まりさは自力で捜すことを放棄した。そうだ、この群れのゆっくりを締め上げれば白状するはず・・・。
そんな剣呑な雰囲気を察したのか、ここに来て漸く親まりさの目的は声を上げた。
珍しいしか脳のない役立たずめ。このままでは埒が明かない。
親まりさは自力で捜すことを放棄した。そうだ、この群れのゆっくりを締め上げれば白状するはず・・・。
そんな剣呑な雰囲気を察したのか、ここに来て漸く親まりさの目的は声を上げた。
「そこまでだよ。この群れの子に手出しは許さないからね」
「ゆっ!?」
「ゆっ!?」
突如、虚空から聞こえてきた声。親まりさは驚愕する。
何も無かった空間が、歪む。霞む。ぼやける。色が付く。実像を結ぶ・・・・・・。初めて見るものには不思議この上ない現象。
そうしてごく自然にあっさりと、ドスまりさは姿を現した。
何も無かった空間が、歪む。霞む。ぼやける。色が付く。実像を結ぶ・・・・・・。初めて見るものには不思議この上ない現象。
そうしてごく自然にあっさりと、ドスまりさは姿を現した。
大きい。普通のゆっくりには至れないサイズ。
それでもこの若きドスは2メートルにも達していないのだが、それでも親まりさはその大きさ、威容に驚いていた。
その巨体を支えるのはこれまた巨大かつ丈夫そうなスィー。普通のゆっくりなら百匹乗っても大丈夫そうだ。
これでこのドスまりさは音も無く親まりさ達の捜索から避け続けていたのだった。
それでもこの若きドスは2メートルにも達していないのだが、それでも親まりさはその大きさ、威容に驚いていた。
その巨体を支えるのはこれまた巨大かつ丈夫そうなスィー。普通のゆっくりなら百匹乗っても大丈夫そうだ。
これでこのドスまりさは音も無く親まりさ達の捜索から避け続けていたのだった。
比較的長い年月を生きた親まりさと言えども、ドスまりさに遭遇するのはこれが初めてとなる。
故に親まりさは思い込んでいた。「ドスまりさとは、ゆっくりをゆっくりさせる者」と。
ドスならまりさをゆっくりさせてくれる。それが当然だと、疑いもしなかった。
故に親まりさは思い込んでいた。「ドスまりさとは、ゆっくりをゆっくりさせる者」と。
ドスならまりさをゆっくりさせてくれる。それが当然だと、疑いもしなかった。
「ゆっ!!!まりさたちはこのむれにはいるよ!!!ゆっくりさせてね!!!」
群れに言い放ったと同じく、完全な事後承諾の形でドスまりさに切り出す親まりさ。
「群れに入りたい」でも「入らせて」でもなく「入る」。希望でもなく懇願でもなくただ意思をそのまま口に出した。
それだけ親まりさはドスがそういうものだと思っていたのだろう。無条件でやさしい、使い勝手のいい道具―――
「群れに入りたい」でも「入らせて」でもなく「入る」。希望でもなく懇願でもなくただ意思をそのまま口に出した。
それだけ親まりさはドスがそういうものだと思っていたのだろう。無条件でやさしい、使い勝手のいい道具―――
「嫌だよ?」
―――だから、こうもあっさり自分の願いが蹴られることを、親まりさは予想すらしていなかった。
「どうじでぞんなごどいうのおおおおぉぉぉ!!!?どずはゆっくりをゆっくりさせなきゃだめなんだよおおおぉぉぉ!!?」
自分の願いが聞き届けられなかったのがそんなに意外なのか、地団駄を踏んで泣き喚く親まりさ。
つむり達もとりあえず騒いでおけと、親の真似をしながら泣き喚いている。
そんな三匹を見下ろすのは、冷え冷えとした視線。
つむり達もとりあえず騒いでおけと、親の真似をしながら泣き喚いている。
そんな三匹を見下ろすのは、冷え冷えとした視線。
「・・・・・・あー、なんでまりさ達はこの群れに入りたいの?」
「ゆっ!」
「ゆっ!」
一応親まりさに聞いてみたものの、ドスまりさは親まりさたちと目を合わせてはいない。
親まりさの顔を見ているかと思えば、正確にはそうでなく僅かに逸れた右上の虚空を見つけている。
言外からは「理由など聞きたくない」とばかりにどうでも良さそうな態度だ。
これ以上無いほどの没交渉っぷり。分かり易過ぎるほどに分かり易い拒否の姿勢である。
親まりさの顔を見ているかと思えば、正確にはそうでなく僅かに逸れた右上の虚空を見つけている。
言外からは「理由など聞きたくない」とばかりにどうでも良さそうな態度だ。
これ以上無いほどの没交渉っぷり。分かり易過ぎるほどに分かり易い拒否の姿勢である。
だがそんな態度も空気、顔色etcを読めない親まりさ達にとっては関係の無いことだ。
洗いざらいぶちまける。子の事、群れの事、ゆっくりできない事、ゆっくりしたい事・・・・・・。
途中つむり二匹が微妙な顔をしていたが親まりさは気付かなかった。
洗いざらいぶちまける。子の事、群れの事、ゆっくりできない事、ゆっくりしたい事・・・・・・。
途中つむり二匹が微妙な顔をしていたが親まりさは気付かなかった。
「・・・・・・成る程。そういう事ね」
「わかったでしょお!?まりさはとってもかわいそうなんだよおぉ!!だからむれにいれてね!!!」
「わかったでしょお!?まりさはとってもかわいそうなんだよおぉ!!だからむれにいれてね!!!」
ドスまりさの返事をどういう風に解釈したのか、まるでれいむ種のような事を抜かす親まりさ。
何故かつむり達は「きゃいくてごめんしゃい!!」「うれちーちー!!じょわぁ~!」などと気が触れたかのような行いを見せていた。
何故かつむり達は「きゃいくてごめんしゃい!!」「うれちーちー!!じょわぁ~!」などと気が触れたかのような行いを見せていた。
「ますます聞いて確信したよ。絶対に、駄目」
「「「どぼぢでっ!?」」」
「「「どぼぢでっ!?」」」
羽より軽やかな拒否の返答に、予想すらしていなかったとばかりに三匹の声が重なる。
どうしてもこうしても無いだろう、とドスまりさは胸の中で一人ごちた。
どうしてもこうしても無いだろう、とドスまりさは胸の中で一人ごちた。
「要約すると、まりさ達は楽してゆっくりしたいが為にここに来たんでしょう?」
「ゆっ!!そうだよ!!だからどすはつべこべいわずにまりさたちをゆっくりさせt」
「ゆっ!!そうだよ!!だからどすはつべこべいわずにまりさたちをゆっくりさせt」
「それが甘ったれだと言うんだよ」
冷めてはいたが穏やかだった気配が一転、ドスまりさは憤怒にも似た形相を浮かべる。
撒き散らされる反ゆっくりオーラ。「アンチゆっくりフィールド」とでも呼ぼうか。
突如、圧倒的とすら言えるゆっくりしてなさっぷりに中てられた三匹はそろってしーしーを漏らした。
撒き散らされる反ゆっくりオーラ。「アンチゆっくりフィールド」とでも呼ぼうか。
突如、圧倒的とすら言えるゆっくりしてなさっぷりに中てられた三匹はそろってしーしーを漏らした。
「なんでそこまで強欲なの?それじゃあ『ゆっくりしていってね』じゃなくて『ゆっくりさせろ』でしょ」
この親まりさ達がどれだけ虫のいい思い上がりをしているのか、それを考えただけでドスまりさの腸が煮えくり返る。
「狩りに行くのが嫌だから物乞いして、それで今度はドスが居ると聞けば利用しようとする」
現に、親まりさはドスを利用しようと企んでいた。その考えが『ゆっくりさせろ』であったのも事実。
「ゅ・・・でも、ちゅむりたちはとくべちゅなゆっきゅりだかr」
「特別だから何なの?貢いでもらえるのが当然だと思ってるの?そこまでして自分は動きたくないの?」
「特別だから何なの?貢いでもらえるのが当然だと思ってるの?そこまでして自分は動きたくないの?」
つむりの言葉を遮るようにして、ドスまりさが言葉を続ける。
「そもそもなんで口調が赤ちゃんのままなの?もう大人でしょう。過保護に育てられたからって歪みすぎだよ」
ドスまりさのきつい視線がつむり二匹に飛ぶ。またもやしーしーを流す二匹。
正直言いたい事はまだまだ沢山あったが、ドスまりさは一旦抑えた。
どうせこいつらには何を言っても無駄だろう。そういう輩を、ドスまりさは短い生の中で嫌というほど見た。
それに、このつむり二匹・・・・・・そして、親まりさ。因縁と言えば因縁とも言える。
どうせこいつらには何を言っても無駄だろう。そういう輩を、ドスまりさは短い生の中で嫌というほど見た。
それに、このつむり二匹・・・・・・そして、親まりさ。因縁と言えば因縁とも言える。
「・・・よし。じゃあこうしよう。まりさ達をこの群れに迎え入れるよ」
「「「ゆっ!!?」」」
「「「ゆっ!!?」」」
拒否から一転、ドスまりさは唐突に親まりさ一家の受け入れを承諾した。
ドスまりさの意図は読めずとも、とりあえず最初の目標を達成した親まりさ一家は歓喜に沸く。
ドスまりさの意図は読めずとも、とりあえず最初の目標を達成した親まりさ一家は歓喜に沸く。
「ゆっ!それじゃあさっそくまりさたちになにかたべものちょうd」
「ただし群れからの援助は一切なし。物乞いもダメ。自力でご飯を調達してね」
「ただし群れからの援助は一切なし。物乞いもダメ。自力でご飯を調達してね」
何を思い上がったか餌を要求しようとした親まりさの言葉を遮って、ドスまりさはそう付け足した。
群れに受け入れると言うのはあくまで体裁のみ。事実上の村八分、いや、それよりも酷い。
あまりと言えばあまりなその内容に、親まりさ一家は揃って凍りつく。
群れに受け入れると言うのはあくまで体裁のみ。事実上の村八分、いや、それよりも酷い。
あまりと言えばあまりなその内容に、親まりさ一家は揃って凍りつく。
「いやぁ良かった良かった。あ、確かこの広場をちょっと行った所に使われなくなった動物の巣穴があるから、そこをおうちに使ってね」
軽やかに笑うドスまりさの声と視線には、明らかな侮蔑が浮かんでいる。
住む所は世話してやる。あとは何とかしろ。
言外に潜ませたこの意味を、今度こそ親まりさ達は余さず受け取った。
住む所は世話してやる。あとは何とかしろ。
言外に潜ませたこの意味を、今度こそ親まりさ達は余さず受け取った。
「ま、まっで!!!ばりざだぢ、ぞんなのむr」
「おーい、皆!!もうそろそろおうちに帰る時間だよー!!!」
「おーい、皆!!もうそろそろおうちに帰る時間だよー!!!」
親まりさの縋りつくような声を無視し、群れの皆に巣に帰るように呼びかけるドスまりさ。
同時にステルスをかけ、親まりさ達の視界から徐々に消えていく。家路へと付くゆっくり達。
数分もするうちには、そこには呆然とする親まりさとつむり達のみが残されていた。
同時にステルスをかけ、親まりさ達の視界から徐々に消えていく。家路へと付くゆっくり達。
数分もするうちには、そこには呆然とする親まりさとつむり達のみが残されていた。
「むきゅ・・・まりさ、よかったの?」
「何が?お母さん」
「何が?お母さん」
森の広場から少し離れた場所。剥き出しの岩壁に穿たれた洞窟。そこがドスまりさの・・・いや、まりさ一家のおうちだった。
心配そうな、それでいて優しい母の言葉を、それでもまりさは韜晦する。
彼女はぱちゅりー。まりさ自慢の、森の賢者であり、かつ自身の"唯一の"母親だ。
心配そうな、それでいて優しい母の言葉を、それでもまりさは韜晦する。
彼女はぱちゅりー。まりさ自慢の、森の賢者であり、かつ自身の"唯一の"母親だ。
「でも、まりさ・・・なんだかつらそうだったわ」
「辛くなんて無いよ。平気だよ、お父さん」
「辛くなんて無いよ。平気だよ、お父さん」
隠しきれていたつもりだったが、やはり両親には敵わない。まりさは苦笑する。
賢く、聡明な母。そして理知的な、尊敬すべき父親・・・・・・ありす。
まりさにとっては世界一の自慢の両親だ。例えまりさが、彼女たちの餡を引いていなくとも。
賢く、聡明な母。そして理知的な、尊敬すべき父親・・・・・・ありす。
まりさにとっては世界一の自慢の両親だ。例えまりさが、彼女たちの餡を引いていなくとも。
ぱちゅりーは例によって例の如く、体が弱かった。それも少々程度ではなく。
はっきり言えば成体となってありすと番うこと・・・それ自体が奇跡だったといってよい。
しかし、奇跡はそう何度も期待できるものではない。ぱちゅりーの身体は弱い。少なくとも、出産の負荷に耐え切れない程度には。
はっきり言えば成体となってありすと番うこと・・・それ自体が奇跡だったといってよい。
しかし、奇跡はそう何度も期待できるものではない。ぱちゅりーの身体は弱い。少なくとも、出産の負荷に耐え切れない程度には。
ありすが母役となることも考えられたが、それでぱちゅりーに毎日の狩が期待できるかと言えば・・・否だ。
二匹分、それも片方はにんっしんっして食料を多く摂る必要がある。狩りの成果も量より質になってしまうぱちゅりーには、荷が重い。
つまり、ぱちゅりーはその命を犠牲にすることでしかありすとの子を産めないと言う事だ。
二匹分、それも片方はにんっしんっして食料を多く摂る必要がある。狩りの成果も量より質になってしまうぱちゅりーには、荷が重い。
つまり、ぱちゅりーはその命を犠牲にすることでしかありすとの子を産めないと言う事だ。
ありすは、頑としてぱちゅりーの懇願を聞かなかった。
子供は・・・確かに欲しい。でも、それでぱちゅりーが死んでしまうのなんて、耐えられない。ありすには、ぱちゅりーがいればいいの。
そう優しく微笑むありすに、ぱちゅりーは嬉しさと申し訳なさが混じった涙を流した。
性欲的にアレなありす種の中で、このありすは鉄の理性というべきものを持っていた。
子供は・・・確かに欲しい。でも、それでぱちゅりーが死んでしまうのなんて、耐えられない。ありすには、ぱちゅりーがいればいいの。
そう優しく微笑むありすに、ぱちゅりーは嬉しさと申し訳なさが混じった涙を流した。
性欲的にアレなありす種の中で、このありすは鉄の理性というべきものを持っていた。
かくしてふたりは、ささやかながらも幸せな新婚生活を送ることになった。
お互いがいれば、それで十分。天はそんなふたりの慎ましさに感激したのか、更なる奇跡を用意してくれた。
ふたりの、子供。コウノトリに運ばれてきたのでもなければ、キャベツ畑に云々という奴でもない。
独りぼっちで、寂しそうにしている一匹の赤まりさ。それをふたりは拾い上げたのだ。
お互いがいれば、それで十分。天はそんなふたりの慎ましさに感激したのか、更なる奇跡を用意してくれた。
ふたりの、子供。コウノトリに運ばれてきたのでもなければ、キャベツ畑に云々という奴でもない。
独りぼっちで、寂しそうにしている一匹の赤まりさ。それをふたりは拾い上げたのだ。
最初は、家族があるならば帰そうと思っていた。
でも、赤まりさは何も言わず、ただ生きるがままという風の抜け殻のようになっていた。
これは・・・一体何があったのだろうか。少なくとも、このままにしてはおけない。
それから赤まりさは家族の一員として、夫婦に引き取られた。
でも、赤まりさは何も言わず、ただ生きるがままという風の抜け殻のようになっていた。
これは・・・一体何があったのだろうか。少なくとも、このままにしてはおけない。
それから赤まりさは家族の一員として、夫婦に引き取られた。
すくすくと成長する赤まりさ、いや、子まりさ。
ぱちゅりー、ありすの愛情に触れ、その心も徐々に溶け始めていった。
ある時、ようやく子まりさが笑顔になったときなどは夫婦は張り切ってご馳走を用意したものだ。
丁度その時期に子ゆっくり用スィーがおうちの前に鎮座していたこともあった。夫婦は神様の贈り物だろうとありがたく頂戴した。
ぱちゅりー、ありすの愛情に触れ、その心も徐々に溶け始めていった。
ある時、ようやく子まりさが笑顔になったときなどは夫婦は張り切ってご馳走を用意したものだ。
丁度その時期に子ゆっくり用スィーがおうちの前に鎮座していたこともあった。夫婦は神様の贈り物だろうとありがたく頂戴した。
子まりさ、いや、まりさは賢く、強く、そして優しく成長していった。
母親であるぱちゅりーからは知識と道理を。父親であるありすからは理性と信念を。
そして唯一無二の親友と化したスィー――スィーもまたまりさに合わせる様に大きくなっていた――からは勇気と根性を。
母親であるぱちゅりーからは知識と道理を。父親であるありすからは理性と信念を。
そして唯一無二の親友と化したスィー――スィーもまたまりさに合わせる様に大きくなっていた――からは勇気と根性を。
かくしていつしかまりさはドスへの進化を辿っていた。
偶々そうなる素質を秘めていたのか、あるいは環境のお陰か・・・・・・
今となってはまりさこそが「特別」へと、変じていた。
偶々そうなる素質を秘めていたのか、あるいは環境のお陰か・・・・・・
今となってはまりさこそが「特別」へと、変じていた。
ドス・・・まりさはまだ若い。未だ亜成体といった若さである。
だがその若さに見合わず既に多種多様な能力を獲得していた。
ステルスしかり、ゆっくりオーラしかり、今まで使った事は無いが・・・ドススパークしかり。
まりさはそれを、全てこの両親たちのお陰だと思っている。
だがその若さに見合わず既に多種多様な能力を獲得していた。
ステルスしかり、ゆっくりオーラしかり、今まで使った事は無いが・・・ドススパークしかり。
まりさはそれを、全てこの両親たちのお陰だと思っている。
(だから、辛くもないし何も後悔することなんて無いんだよ・・・お父さん、お母さん)
両親の温かさをその身に受けながら、まりさの意識は泥のように溶けていく。
睡魔は今日も、誰にも等しく訪れる。例え特別であるドスまりさであろうとも。
今まで魘され続けた悪夢とも、今日でおさらばできる。そんな予感がする。
睡魔は今日も、誰にも等しく訪れる。例え特別であるドスまりさであろうとも。
今まで魘され続けた悪夢とも、今日でおさらばできる。そんな予感がする。
(私にとって、両親はこの世にたったふたり・・・・・・)
かつてあった憧憬。ドスは・・・まりさは、そんな悪夢の残滓と、今日再び出会った。
あれだけ焦がれ、羨んだもの。それが今では、どうしようもなく爛れ、膿み、崩れ去っていた。
自分があそこに居たならば・・・きっと、今のような暮らしは出来ない。ドスになることも出来ずに、ゴミのように死んでいただろう。
だから、これでいいのだ。今の自分こそが、一番ゆっくりできるのだ。過去の記憶なんて、もう何の価値も無い。
・・・・・・でも。それでも・・・・・・
あれだけ焦がれ、羨んだもの。それが今では、どうしようもなく爛れ、膿み、崩れ去っていた。
自分があそこに居たならば・・・きっと、今のような暮らしは出来ない。ドスになることも出来ずに、ゴミのように死んでいただろう。
だから、これでいいのだ。今の自分こそが、一番ゆっくりできるのだ。過去の記憶なんて、もう何の価値も無い。
・・・・・・でも。それでも・・・・・・
(せめて・・・・・・せめて、まりさの顔くらいは・・・覚えていて欲しかったよ・・・おかーしゃんたち)
かつてあった憧憬。今日が最後となる、その悪夢であった筈の悲しみの記憶を惜しんで。
誰にも知られることなく・・・・・・まりさの頬に、一筋の涙が流れた。
誰にも知られることなく・・・・・・まりさの頬に、一筋の涙が流れた。
季節は流れ、冬。
「ゆぶぶ・・・・・・しゃむいよ、おきゃーしゃん・・・・・・!」
「にゃんで・・・?ちゅむりたち、とくべちゅなのに・・・・・・」
「うるさいよ・・・・・・だまっててね・・・・・・!」
「にゃんで・・・?ちゅむりたち、とくべちゅなのに・・・・・・」
「うるさいよ・・・・・・だまっててね・・・・・・!」
とある森の奥、ゆっくりの巣穴の中。そこでは至って普通の光景が見れた。
巣穴の中で震えるのは、哀れな三匹のゆっくり。
親まりさと、つむり二匹だ。
巣穴の中で震えるのは、哀れな三匹のゆっくり。
親まりさと、つむり二匹だ。
あれからまりさ達は、性根を直し、真面目に生きる・・・なんて事は最初から無理だった。
もう矯正のしようが無いほど、つむり達は歪んでいた。その親である、まりさも。
三匹は逃げるように群れから離れ・・・いや、実際、逃げていた。それを認めないのは三匹だけだ。
もう矯正のしようが無いほど、つむり達は歪んでいた。その親である、まりさも。
三匹は逃げるように群れから離れ・・・いや、実際、逃げていた。それを認めないのは三匹だけだ。
元の巣穴に戻って、再び物乞いの生活に戻った。
群れの皆から冷たい視線を浴び、お情け程度のご飯を貰う。その繰り返し。
施しは決して多い量ではない。冬篭りの支度なんて出来る筈もなかった。
それでも親まりさが頑張れば何とかなるかもしれなかったのだが・・・親まりさが何かを為したのかは、現状が語ってくれている。
群れの皆から冷たい視線を浴び、お情け程度のご飯を貰う。その繰り返し。
施しは決して多い量ではない。冬篭りの支度なんて出来る筈もなかった。
それでも親まりさが頑張れば何とかなるかもしれなかったのだが・・・親まりさが何かを為したのかは、現状が語ってくれている。
「ばばぁ!はやきゅぎょはんもっちぇこい!!」
「ちゅむりはとくべちゅなんだぢぇ!!わきゃったらしゃっしゃと・・・・・・」
「うるさいよ・・・・・・だまっててね・・・・・・!」
「ちゅむりはとくべちゅなんだぢぇ!!わきゃったらしゃっしゃと・・・・・・」
「うるさいよ・・・・・・だまっててね・・・・・・!」
最早一面銀世界のこの森で、それでも尚ご飯をもってこいとつむりたちは催促する。
親まりさは何を語っても無駄と悟ったのか、先程から同じ言葉しか喋らない。
食料どころか、葉っぱ一枚、藁一本すら無い巣の中に雪風が吹き荒ぶ。
親まりさは何を語っても無駄と悟ったのか、先程から同じ言葉しか喋らない。
食料どころか、葉っぱ一枚、藁一本すら無い巣の中に雪風が吹き荒ぶ。
(どぼじで・・・どぼじで、ごんなごどに・・・・・・)
ゆっくりできない寒さの中、親まりさは自問する。
決まっている。あのゆっくりできないドスまりさのせいだ。
まりさをゆっくりさせてくれる筈だったのに、それを拒み、あまつさえ侮蔑の視線を投げかけてきた憎いゆっくり。
・・・・・・だが、それでもどこか、親まりさはあのドスの事が気になっている。
決まっている。あのゆっくりできないドスまりさのせいだ。
まりさをゆっくりさせてくれる筈だったのに、それを拒み、あまつさえ侮蔑の視線を投げかけてきた憎いゆっくり。
・・・・・・だが、それでもどこか、親まりさはあのドスの事が気になっている。
(・・・あのどす、どこかでみたっけ・・・・・・?)
普通なら忘れている筈だったが、それを違和感といえど覚えていられるとはこの親まりさ、中々に記憶力が良いゆっくりである。
無理も無い。親まりさがドスの過去を知っていたのはたったの一週間とちょっと・・・触れ合った時間にすると、更に短い。
ほんのそれだけの時間では、例え我が子だろうと見分けが付かないだろう。
無理も無い。親まりさがドスの過去を知っていたのはたったの一週間とちょっと・・・触れ合った時間にすると、更に短い。
ほんのそれだけの時間では、例え我が子だろうと見分けが付かないだろう。
今頃、あのドスが暮らす群れは誰一人抜かりなく越冬に取り掛かっている筈だ。
短い間に聞こえてきたドスの名声・・・・・・どうやらあのドスは、相当優秀なようだった。
『特別』である事に驕らず、ひたすらに自身を研鑽していたようで・・・・・・いや、そんな事はどうでもいい。
今はあのドスについての違和感を突き止めるほうが先・・・・・・
短い間に聞こえてきたドスの名声・・・・・・どうやらあのドスは、相当優秀なようだった。
『特別』である事に驕らず、ひたすらに自身を研鑽していたようで・・・・・・いや、そんな事はどうでもいい。
今はあのドスについての違和感を突き止めるほうが先・・・・・・
「ざむいいいいぃぃぃ!!!!ゆっぐりできにゃいいいいい!!!」
「おがーじゃん!!ざむいよ!!あ゛っだめでに゛ぇ!!!」
「おがーじゃん!!ざむいよ!!あ゛っだめでに゛ぇ!!!」
・・・・・・こちらの『特別な子』は、怠惰の極みになお挑まんとばかりに不平不満のオンパレード。
考え事を突然の大声で邪魔されるのは、誰だって嫌なものだろう。
親まりさも例外ではなく、頭の天辺まで怒りに赤く染まりながらつむりの内一匹へと跳躍する。
考え事を突然の大声で邪魔されるのは、誰だって嫌なものだろう。
親まりさも例外ではなく、頭の天辺まで怒りに赤く染まりながらつむりの内一匹へと跳躍する。
「うるざいいいぃぃぃ!!!うるざいつむりは、ゆっぐりじねっ!!!」
「ぶきゅううぅぅぅっ!!!」
「ゆっ・・・・・・ゆ゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」
「ぶきゅううぅぅぅっ!!!」
「ゆっ・・・・・・ゆ゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」
冬は、まだまだ長い。
親まりさはドスについての違和感に気付くのだろうか。
その帽子が、その顔が、いつか見たものだと気が付けるのだろうか。
親まりさはドスについての違和感に気付くのだろうか。
その帽子が、その顔が、いつか見たものだと気が付けるのだろうか。
幸い、親まりさは運だけはたっぷり持っているようだ。
かつて二匹のまりさつむりを産み落とし、そして残りの子供はドスへと。
そして何より、この冬を乗り越えられそうな食料を手にしている。
ゆっくり二匹分・・・・・・節約すれば、恐らくは来年の春まで持つだろう。
かつて二匹のまりさつむりを産み落とし、そして残りの子供はドスへと。
そして何より、この冬を乗り越えられそうな食料を手にしている。
ゆっくり二匹分・・・・・・節約すれば、恐らくは来年の春まで持つだろう。
仮に、親まりさがあのドスの出自に気が付き・・・何とか食料を保たせ、春まで生き残った場合。
ドスはなんと返事をするだろう?かつて飢えた親の愛・・・今の両親とどちらを取るのだろう?
それは分からない。誰にも。彼女たち自身にすら。
ドスはなんと返事をするだろう?かつて飢えた親の愛・・・今の両親とどちらを取るのだろう?
それは分からない。誰にも。彼女たち自身にすら。
それにあくまで仮の話なのだ。
本当に、この寒い冬・・・親まりさが生き抜けられるのだろうか?
あるいは子供のため、自身を犠牲にしないと誰が言えるだろうか?
本当に、この寒い冬・・・親まりさが生き抜けられるのだろうか?
あるいは子供のため、自身を犠牲にしないと誰が言えるだろうか?
だが大丈夫だろう。少なくとも、後者の可能性はない。
それを証明するかのごとく、巣穴の中から、つむり二匹の絶望をたっぷりと含んだ悲鳴が、いつまでも響き渡っていた。
それを証明するかのごとく、巣穴の中から、つむり二匹の絶望をたっぷりと含んだ悲鳴が、いつまでも響き渡っていた。
おわり
* * * * *
こんな話を書いておきながら、キリライター氏のつむり話ではつむり擁護派です。
題名に「つむり」ってつけてるのにあんまりつむりの描写しなかったな・・・。
こんな話を書いておきながら、キリライター氏のつむり話ではつむり擁護派です。
題名に「つむり」ってつけてるのにあんまりつむりの描写しなかったな・・・。
元ネタ:キモあき
元ネタ:キモあき