ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko2312 野生の掟 後編
最終更新:
ankoss
-
view
野生の掟 後編 24KB
いじめ 自業自得 群れ ゲス 自然界 独自設定 惜しくも一つにまとまらなかった
ありすが群れに加わってから少しばかり月日が経過ていた。
「ゆひい!ゆひい!」
ズリズリと音を立てながら、惨めに群れの近くの狩場を這いずり回っているゆっくりがいた。
元金バッジのとかいはなありすだった。
「こ、こんなのまちがってる!なんでとかいはなありすがこんなめに…」
誰にともなく文句を言いながら、狩りをするありす。
狩りといっても、ありすにはそこらへんに生えている、とても食えたような代物ではないまずい草を積むのが精一杯だった。
だがそれも仕方のないこと。ありすにはそのぐらいしかできることがないのだ。
「ゆうう!ゆっくりできないいいいいい!」
群れに住むことになってまず始めにありすを襲ったのは食料問題だった。
今まで食料は奴隷が持ってくるのが当然のことと思っていたありすは、そもそも狩りという概念がない。
長ぱちゅりーが何か言っていたが、そんなことをありすが理解できるはずもなかったのだ。
そのため、おうちで待っていれば、誰かがその内食料を持ってくるものだろうと思っていた。
だが、当然そんなことはなく、待てど暮らせど、誰も食料を運んでこない。
仕方なしに、おうちを出て村のゆっくりに食料を請求しに行ったところで初めて、みなが狩りというものをしていることを知ったのだ。
群れの広場では毎日狩り場についての情報交換が行われている。
どこどこには沢山木の実があった、あっちには虫さんの巣があった、むこうには特に食料になるようなものはなかった。
などなど、日々変化する食糧事情に対応するため、群れのゆっくりたちが情報を持ち合うのだ。
だが、極端に機動力が低く、行動範囲が狭いありすは、その話題に入ることができない。
提供する情報もなしに、一方的に有益な情報だけ得ようとする行為を他のゆっくりが許さないからだ。
まあ、仮に情報を得ても、ありすがそこまで到達できるかどうかは疑問が残るが。
そんなわけで、ありすが手にできる食料は、群れの周りに生えている誰も狩らないような、まずい草程度のものだったのだ。
だが、それすら、緩慢な動作のありすは、一日分集めるだけで精一杯である。
「はあ、はあ、やっとついたわ……」
少量の草を抱えて、ようやく自分の殺風景なおうちにたどり着くありす。
今まで人間の許で快適な室内暮らしをしてきたありすは、ゴツゴツとした地面では満足に眠ることも出来ず、
また自身を癒してくれる、クッションや家具の類も無いため、まったくゆっくりできていなかった。
が、しかしこんな狭く、何もないようなおうちでも、雨風が防げるだけ、何も無いよりも数段ましである。
もし長ぱちゅりーがこの場所を与えてくれていなかったら、ありすは群れに来た初日で恐らく永遠にゆっくりしてしまっていただろう。
「ゆうううう…どれいがもってきていたあまあまさんがたべたいわぁ……ううう」
目の前に積んだまずい草をぼんやりと眺めながら呟くありす。
当然ならがその辺に生えている草と、以前食べていたゆっくり用フードとは味も栄養も満足度も天と地ほどの差がある。
本来ならこんなまずい草など、口にするのも嫌なのだ。しかしそれでも空腹には勝てない。
ありすは、意を決するといつものように無理やり草を口に押し込む。
「むーしゃむーしゃ、ぐええええええええええ!ふしあわせええええええええええ!!!」
あまりの苦味に思わず吐き出しそうになるが、何とか堪える。
ただでさえ少ない食料だ。ここで戻してしまうわけにはいかない。
「ゆっ…ぐっ…うううう」
自身の余りにも惨めな境遇に思わず涙するありす。
それは自由を目指し、夢見ていたのとはあまりにも遠い生活。
「なんで…ありすはとかいはなのに、…きんばっじなのに…」
群れに訪れる前は、自分は誰からもうやまれる存在だと信じて疑わなかったありすだが、
今や群れで一番ゆっくりしてないゆっくりとして、みんなから嫌われているのである。
ありすとて、ただ黙って今まで過ごしてきたわけではない。
とかいはなゆっくりとして、認められるために群れのゆっくりたちに様々なアクションを起こしてきた。
だがそれらはことごとく失敗していたのだ。
あるときは、とかいの知識をいなかのゆっくりに教えてあげた。
とかいを知ることによりゆっくり群れのゆっくりがゆっくりできると思ったからだ。
「ゆふふふ!とかいにはね、でんとうさんがあって、よるでもくらくないのよ!
それにて、れびさんというのもあって、そのなかでは、まいにちたくさんのおはなしがうつるのよ!どう?とかいはでしょ!」
「ふーん、それで?」
「えっ、えっと、ほら!とかいのはなしがきけてゆっくりできたでしょ!だからしょくりょうをちょうだいね!」
にっこり笑うありす。
だが群れのゆっくりたちは呆れ顔であった。
「わかるよー!たかりなんだねー!」
「そんなどうでもいいはなしよりも、むれのまわりのしょくりょうの、じょうほうのほうがずっとやくにたつよ!」
「じかんをむだにしたよ!みんなさっさといこう!」
ぞろぞろと去っていく群れのゆっくりたち。
こうしてありすは群れのゆっくりたちから無能なゆっくりと認識されるようになった。
またあるときは留守のおうちに忍び込み、とかいはにこーでぃねいとしてあげた。
自分がこーでぃねいとすることにより、ゆっくりできるようになると思ったからだ。
「ゆがあああああ!なんなのこれええええええええ!」
「あられいむ!どう?おうちをとかいはにこーでぃねいとしておいてあげたわよ!
とってもゆっくりできるおうちになったでしょ!
おれいはしょくりょうでいいわよ!はやくちょうだいね!」
「ふざけるなああああああああああああああ!」
ドン!
「ゆひゃあ!」
れいむの怒りの体当たりよって簡単に吹っ飛ばされるありす。
「にどとれいむのおうちにはいらないでね!まったくなにがとかいはだよ!ただたんにちらかしただけだよ!
まだなにもしらないおちびちゃんだって、こんなめいわくなことはしないよ!」
ありすをなじるれいむ。
こうしてありすは群れのゆっくりたちから迷惑なゆっくりと認識されるようになった。
そしてまたあるときは、とかいはな愛を与えてあげようとした。
群れで一番狩りが上手いまりさに、すっきりを迫ったのだ。
「まりさあああああああああああ!とかいはなあいを、あたえてあげるうううううううううう!」
「ゆげげありす!なにをするきなのぜ!」
「きまってるでしょおおおおおおおおお!すっきりしましょおおおおおおおおおおおおお!」
「ふん!」
ドカ!
「ゆぎゃああああああああああ!」
まりさのぶちかましによって、やはり簡単に吹っ飛ばされるありす。
「ありすはばかなんだぜ!むやみにおちびちゃんをつくっちゃいけない、むれのおきてをわすれたのかぜ!
だいいち、まりさはくちだけで、なにもできないありすと、すっきりするのはごめんなのぜ!」
「なんですってええええええ!こんなとかいはなびゆっくりをつかまえてええええええええええ!」
まりさの発言は流石にありすの癇に障ったのか、吹っ飛ばされつつも気力で起き上がるありす。
「たしかにありすは、びゆっくりなのかもしれないのぜ!でもそれだけなのぜ!
しごともしないで、いえでふんぞりかえってるだけのつがいはごめんなのぜ!
それにまりさは、だれかれかまわずすっきりしようとするびっちはごめんなのぜ!」
それだけ言うとさっさと、その場を去っていってしまうまりさ。
こうしてありすは群れのゆっくりたちから、誰彼かまわずすっきりしようとするゴミクズゆっくりと認識されるようになった。
「ゆうううう!こんな!こんなはずじゃあ……」
おうちで一匹嘆くありす。
だが嘆いたところで状況は何も変わらない。
明日も明後日も、群れ中のゆっくりに嘲笑われながら、ズリズリとまずい草をかみ締める毎日が続くことだろう。
どうしてこんなことになってしまったのだろう。自分はとかいはなはずなのに。
「むきゅ!こんにちはありす!ゆっくりしているかしら?」
ありすが一匹途方にくれていると、突然長ぱちゅりーがありすの元を訪ねてきた。
「ゆゆ!ぱちゅりー!いったいなんのようなの!」
「別に用ってわけじゃないけど、ちょっと近くを通りかかったから、様子を見にきたのよ。
どう?ありす?越冬の準備は進んでいるかしら?」
「………は?」
ありすは目をパチクリさせる。
越冬?何だそれ?
「ああ!やっぱりね!ありすは都会のゆっくりだから知らないんじゃないかと思って。
この辺は冬さんが来ると、あたり一面雪が積もって、まったく食料が取れなくなるの。
だからそのときに備えて、今の内に沢山食用を備蓄しておく必要があるの。
そうじゃないと、冬さんが来たときに、永遠にゆっくりしちゃうからね。
まっ、とかいはなありすなら、越冬用の備蓄なんて楽勝だと思うけど、念のために忠告しておくわ!
今のうちから食料を集めておかないと、あっさり死ぬから」
「………………」
「それじゃあね!ありす!言いたいことはそれだけよ!ゆっくりしていってね!」
いつものように、自分の言いたいことだけ一方的にしゃべり終えると、長ありすはどこかへ去っていってしまった。
その場に残ったのは、呆然と巣穴にたたずむありす。
越冬?なにそれ?え?備蓄?そんなの無理だ!でも集めておかないと死ぬって!
え?死ぬ?死ぬの?このありすが?こんないなかで?
いやだ!いやだ!いやだ!いやだ!
「いやだあああああああああああああああああああああああああああ!!!」
ありすはようやく理解したのだった。野生というものの厳しさを。
数日後、
「みょん!たいへんだみょん!」
長ぱちゅりーのおうちに、みょんが慌てた様子で、入ってくる。
「むきゅ!どうしたのかしらみょん、そんなに慌てて。なにか事件でも?」
長ぱちゅりーが何事かと尋ねる。
だが、その様子は幾分か余裕が見られ、大体何が起こったか見当がついている風にも見える。
「みょん!あのしんいりのありすが、やまをおりて、にんげんさんのむらにむかったみたいなんだみょん!」
「あらそう、それは大変ね」
と、ぜんぜん大変そうじゃない風に言うぱちゅりー。
「みょん!おいかけなくていいのかみょん」
落ち付いた様子のぱちゅりーに問いかけるみょん。
「放っておきましょう。下手に追いかけて、複数のゆっくりが、麓の村に入ってしまうほうがまずいわ。
大丈夫よ、群れの掟を破った時点で、あのありすと、この群れはなんの関係もない赤の他ゆ。
それにこの付近特有の事情もあるしね。人間さんたちはそこまで狭量じゃないわ」
「みょん!そういえばそうだったみょん!」
安堵したような表情になるみょん。
「あのありすともついにお別れね。残念だわ。本当に」
そう本当に残念そうに言う長ぱちゅりーであった。
所変わってここは麓の村。
「おねがいします!ありすをかってください!ありすはきんばっじでした!
きっとゆっくりできますから!おねがいしますうううううううううううううう!
ああああああ!まっでええええええええええ!にんげんさんいがないいでえええええええ!
もうやせいはいやなんですうううううううう!ゆっくりさせてえええええええええええ!」
ゆっくりたちが暮らしている森の麓にある村にて、汚らしいゆっくりが、必死に自分を飼いゆにしてくれと叫んでいた。
その姿は、髪はベタベタで、目はどんよりと曇っており、歯は所々掛けている。
栄養状態が悪いのか肌はガサガサであり、形も所々へこんでおり、見栄えも悪い。
唯一の長所は、ありすの特徴でもあるお飾りの赤いカチューシャに、何かを無理やり引き剥がしたような小さな傷が付いていることで、
それがかろうじてもと飼いゆだと判断できる材料だということだった。
が、それも些細な事。道行く人間たちの目には、このありすはさぞかし汚らわしいゆっくりに映ることだだろう。
「ほら、じゃまだよ!」
ドカ!
「ゆべろばああああああ!」
通行人の一人に軽く蹴られて、道の端っこに投げ出されるありす。
ちなみに、このときありすが踏み潰されなかったのは、通行人の優しさではない。
ただ単に、自分の靴や道がクリームで汚れるのが嫌だった。それだけが理由だ。
いつ通行人たちの癇に障わって、踏み潰されるともわからない状況。
だが、それでもありすは叫ぶのを止めなかった。
もう野生はいやだ!いなかはいやだ!せまいおうちは嫌だ!不味い草はいやだ!
帰るんだ!とかいに!帰ってまた以前のように暮らすんだ!
快適なおうちに、おいしいごはん!ああ!自分はなんてバカだったんだろう!
自らそんな天国のような生活を投げ出すなんて!
もう二度と我侭なんて言いません!だから!だから!飼いゆにしろおおおおおおおおおおおおおお!
「おねがいですうううううううう!ありすをかいゆっくりにしてくださいいいいいいいいい!
ありすはきんばっじでしたあああああああああああああああ!」
再び人が通る気配を感じたありすは、必死に自分をアッピールする。
その甲斐あってか、やってきた男は足を止めてありすを見下ろす。
「あん?」
「むきゅ?」
立ち止まった人間を見た瞬間ありすは、しめた!と思った。
この人間さんからは、どことなく都会の雰囲気を感じるのだ。きっとこの村の人間ではないのだろう。
しかも同じゆっくりであるぱちゅりーを連れている。ゆっくり好きな証拠だ。
さらに良い事に、この男が連れているぱちゅりーは、どこにもバッジをつけていないのだ。これはチャンスだ!
「にんげんさん!ありすをかいゆっくりにしてくださいいいいいいいいいい!
ありすはとかいはなきんばっじでしたああああああああああああ!
きっとそんな、ばっじなしのぱちゅりーなんかよりもずっとゆっくりできますうううううう!」
ここぞとばかりに自分をアッピールするありす。
特に、自分は金バッジであることを重点的に主張する。
が、しかしそんなありすの様子に男はまったく表情を変えることなく、
「ふーん、金バッジねえ…。てことはお前さん、もと飼いゆかね」
と、呟いた。
「むきゅ!あの、人間さん、言いにくいのだけれど、村内に野生のゆっくりがいるって不味くないかしら?
その、協定的な意味で……」
側にいるぱちゅりーが恐る恐るといった感じで男に尋ねる。
「まあ、よくはないよな。でもまあ、ここら辺の村はある意味仕方ないっていうか…
とにかくこいつみたいなゆっくりが協定を破って村にいても、とりあえずは大目に見ようって感じなんだよな」
「むきゅ?」
「ええっと、つまりさ……」
男が説明しようとしたその時、
「なにごちゃごちゃはなしてるのおおおおお!はやくそのげすぱちゅりーをすてて、
とかいはなありすをかいゆにしろおおおおおおおおおおおおお!
ありすはきんばっじだぞおおおおおおおおお!そんなばっじなしとくらべるまでもないでしょおおおおおお!」
意味不明な会話をしている男とぱちゅりーに我慢できなくなったのか、ありすは声を荒げる。
その荒ぶるありすの様子を見ていた男は、やれやれとため息をつきながら、ひとまずぱちゅりーとの会話を中止し、
荷物から一冊の雑誌を取り出した。
その雑誌の名は『月刊ゆっくりマガジン』ゆっくりの専門雑誌だ。
男はその雑誌ををパラパラとめくり、の飼いゆっくり特集コーナを開くと、ありすに見せた。
「えっーと、これは単純に興味本位で聞くんだが、お前さんがつけてた金バッジってのは、このページに載ってるどれのことだい?」
「ゆ?」
ありすは、男に見せられた雑誌のページを凝視する。
そこには大小さまざまなバッジが掲載されていた。それぞれみな形が違うが、唯一の共通点として全てのバッジが金色をしていた。
なんだそういことか!と、ありすは唐突に理解する。
つまりこれは、人間さんがありすが本当に金バッジだったかを確かめるためのテストに違いない!
そうとわかればなんら恐れることはない!
何故ならありすは、正真正銘の本当にゆっくりした、とかいはの金バッジだったのだ!
他のニセモノの金バッジなどに騙されるはずもない。
「ゆゆ!それ!それよにんげんさん!そのいちばんみぎしたのやつが、ありすのばっじよ!」
ありすは、以前自身がつけていたバッジを見つけると、すぐさま勢いよく主張した。
やった!これでありすが本当に優れた金バッジだったことが証明された。
これで飼いゆ間違いなしだ!人間は、あんなバッジなしのぱちゅりーなんかさっさと捨てて、ありすを飼うに違いない!
ゆふふふふ!金バッジでごめんねーーー!さあ!はやくありすの金バッジを褒め称えなさい!
「あちゃー、これかー。これ最近参入してきたばっかの評判最悪の企業の金バッジだな。
なるほど、確かにこりゃ酷いわ。間違って買っちまった元飼い主はご愁傷様だなこりゃ」
「……………へ?」
男の予想外の言葉に目を点にして呟くありす。
「不思議そうだな。まあでも別に大した話しじゃないんだ。
ただ単純に金バッジにもいろいろ種類があってね、中でもお前のは最低クラスだったってだけの話だ」
淡々と真実を述べる男。
そうなのだ。実は一口に金バッジといっても様々な種類があるのだ。
初期の初期、ペットゆっくりというものが認知されはじめた当初は、バッジといえば男が所属する国営機関が正式な試験の元で発行する、
正規のバッジしか存在していなかった。
が、ペットゆっくりの需要が増えるにつれ、その利潤に目をつけた様々なメーカーがペットゆっくり業界に参入してきたのだ。
それら各企業は、独自ブランドと称して、自身たちで勝手に金バッチゆっくりを販売し始めたのだ。
それはさながら携帯などに様々な機種が存在するのと同じように、市場には様々なメーカーの金バッチが溢れる結果となる。
かくして、現在の飼いゆ業界は、様々なメーカーの金バッチが氾濫しているカオスな状況になっていたのだ。
そしてそれらの中には、金バッジとは名ばかりの、見栄えだけよくしたパチもんゆっくりもよく混じっていた。
特にこのありすが付けていた金バッシは、最低クラスの評価の、エセ金バッジともいえるタイプのもので、
男が所属している組織が発行している金バッチはもとより、他の企業が出している金バッチよりも遥かに劣るという、
詐欺まがいの代物であった。
もし、ペットショップで他の金バッジよりもやたら安いメーカーの金バッジを見かけたら、それはまず粗悪ゆだと見てまず間違いないだろう。
ちなみに今月号の『月刊ゆっくりマガジン』の、ありすがつけていた金バッジのメーカーに対する読者レビューは以下の通りだ。
★☆☆☆☆(星一つ評価)
『最低の一言です。私は様々なメーカーの金バッジを見てきましたが、この金バッジほどひどいものはいまだお目にかかったことはありません。
恐らく見栄えのみを判定基準にして、まったく飼いゆとしての教育を行っていないのでしょう。
購入した時点で、すでに性格はゲスの一歩手前。飼いゆとしてごく普通の飼育をしたとしても、容易にゲス化してしまいます。
これからゆっくりを飼おうとしている人は、安い値段につられても、絶対にこのメーカーのゆっくりを買うべきではありません。
ゆっくりそのものが嫌いになってしまう可能性があります』
★☆☆☆☆(星一つ評価)
『私は飼いゆっくりについては、まったくの素人で、初めて飼いゆを購入する際に、恥ずかしながら金バッジという響きと、
値段の安さ、それに見栄えのよさにつられてこのメーカのゆっくりを購入してしまいました。
そしてその結果は散々でした。
私が飼っていたのはありすだったのですが、どれだけごはんを与えても、感謝どころかもっとよこせといい、
部屋を散らかすので、それなりにひろいスペースを区切り、そこをおうちとして与えても、せまいせまいと常に文句をいっていました。
しかもそれだけならまだしも、散歩の時に人様のゆっくり相手に勝手にスッキリしようする始末。
段々このありすを飼っているのが苦痛でしかなくなっていき、一時期はゆっくり嫌いになってしまいました。
が、友人の勧めで、国営機関が発行している正規の銀バッシゆっくりのちぇんを飼って考えが変わりました。
このちぇんはきちんと礼儀正しいし、言う事もちゃんと聞くし、かわいいしで、前のありすとは天と地の差です。
飼いゆっくり初心者の方は、決して私と同じように値段に釣れられて、このメーカーのゆっくりを買ってはいけません。
きっと後悔します』
★☆☆☆☆(星一つ評価)
『見栄えがよく、また成長段階でその見栄えを維持するために甘やかされたためか、非常に生意気で自尊心が強いので、虐待用として最適です。
ただ余りにも自我とプライドが強いので、種族にもよりますが、あまり子ゆっくりを欲しがらない傾向にあります。
そのため子ゆっくりを作らせて、親の前で虐待するプレイを楽しみたい人には不向きかもしれません。
え?このゆっくりは虐待用じゃないって?
はは、そんな馬鹿な。こんなふざけたゆっくりを金バッジの飼いゆとして本気で売り出してるわけないでしょう?
きっとこれは金バッシの虐待プレイ用のゆっくりなんですよ。
もしそうじゃないとすれば、消費者やゆっくりブリーダーの方々をバカにしてるとしか思えませんね』
と、まあこんな感じで評価一がずらりと並んでいる。
ここまで低い評価が並ぶ金バッジも珍しいものであった。
「むきゅ!人間さん!そこまでよ!そんなこといちいち捨てゆっくりに言うことじゃないわ!」
「ああそうね、確かに他ゆの素性を暴くなんて、あまり趣味のいいと言える行いではなかったな。
いやすまんね、お前さんがあんまり金バッジ金バッジ叫ぶから、どこのメーカーの金バッジなのかちょびっと気になってね。
まあ、悪かったよ」
素直に詫びる男。
男の言った事は全て真実だった。
別に惨めな捨てゆであるありすの、唯一の拠り所であった金バッジの優位性を否定して、
嘲笑ってやろうなどという意図は男にはまったくなかった。
ただ単純に、ありすの金バッジがどこのメーカーの物か、ふと疑問に思い、確認しただけだ。
その結果たまたま、それがそのへんの賢い野良ゆ以下のゲロカスバッジだったということが明らかになっただけの話だ。
「そんな!そんな…ありすは……」
金バッシは沢山ある?その中でも最低?じゃあ自分はとかいはじゃないの?
いやそれ以前にもう人間さんには飼ってもらえない?
じゃあどうするの?群れに戻る?無理だ!人間さんに飼ってもらえる様お願いする?だから無理だって!
え?じゃあ、ありすはどうやってゆっくりすればいいの?
……む……り?
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
突然奇声を上げるありす。
ありすは壊れた。自らの価値を知り、未来に待ち受ける絶望を知って。
心を深く閉ざし、ただ叫ぶだけの物になった。
そうすることがありすに残された、唯一の防衛手段だったから。
「よっと!」
ボスッ!
男は荷物から取り出した、ゆっくり捕獲用の麻袋の中にありすを放り込むと、声が漏れないように袋の口を固く縛る。
「別に虐めるつもりはまったくなかったんだがなぁ。なんか悪い事した気分だ」
麻袋をかつぎながらそう呟く男。
「むきゅ!人間さん、そのありすはどうなるのかしら?」
「どうもこうも、捨てゆっくりだからなぁ。保健所に送って、そのあと飼い主が見つからなければ処分されるんじゃないか」
「……そう」
うつむくぱちゅりー。
「ん?お前コイツに同情してんの?」
「少しだけ。ぱちゅだって、運が悪ければ同じような目に遭ってたかもしれないわけだし」
ためらいがちに言うぱちゅりー。
「いや、お前はこういう風にはならんとは思うけどな。
でもまあ、もしもを考えだしたらキリがないぜ。大切なのは今どうするかだよ。
てなわけで、さっさとこの先にある山の群れの視察に行くとするとしよう」
「むきゅ!それもそうね!」
そう言って男とぱちゅりーは山に向かって歩きだしたのだった。
所変わって再び山のゆっくりたちの群れ。
長ぱちゅりーはおうちで一匹、静かにゆっくりしていた。
考えているのはあの金バッチありすのこと。
今頃は人間さんの村に降りて、飼いゆにしてくれとでも頼んでいるのだろうか?
バカなありすだ。
そういえばあのありす、自分は都会からきたとしきりに自慢していたっけ。
ふん、ばかばかしい。
この辺の森では都会のゆっくりなどそれほど珍しくもないのだ。
何故ならここは都会に一番近い山。
だからよく、あのありすのような元飼いゆが山に捨てられるのだ。
その多くはそのまま山を降り、人間さんたちの村へ向かう。
再び飼いゆにしてもらうためにだ。
そういった事情から、明らかに元飼いゆとわかるゆっくりが、麓の村に現れてもそれは協定違反とは見なされず大目に見てもらえる。
飼いゆが捨てられるなどの問題は、ある意味人間自身の問題だからだ。それを山に住んでいる関係ないゆっくりの所為にされても困る。
だから今まで捨てゆ問題は、この群れとは直接係わり合いのない問題だった。
だが、あのありすは人間の村に向かわず、何故かこの群れにやってきた。
すぐに追い返してもよかった。いや、実際にそうするべきだったのだ。
元飼いゆは、かなり高い確率でゲスだ。そんなのが群れにいても害でしかない。
しかし、私はこの群れに住むように勧めた。
何故か?一言で言えば癇に障ったのだ。
あのありすの世の中を舐め切った態度が、なんでもかんでもとかいはは、素晴らしいという根拠のない自信が。
自分から人間さんの元を出て行った?ふん、よくそう都合よく解釈できるものだ。
大方、我侭放題の態度に呆れられて捨てられたに違いないのだ。
そして、そんなありすの態度を見ているうちに、だんだん我慢できなくなってきた。
このふざけたありすに、野生で生きることの厳しさを叩き込んでやりたい。そう思った。
その行為は、はっきり言って何の意味もないことだとはわかっていた。それが何かを生み出すことは決してないだろう。
だがそれでも見てみたかったのだ。あのありすが現実を知り、絶望していく様を。
これは決して褒められた感情ではないだろう。ゲス的と言ってもいいかもしれない。
しかし、それでもやめらなかった。
簡単に死なないように、おうちを与えて、あのありすが、日々実践するとかいはな行為とやらを観察してやった。
私が自分から何かをすることはない。だがあのありすは、勝手に失敗し、勝手にゆっくりできなくなっていった。
そのマヌケな様を見て、私は思う存分ゆっくりすることができたのだ。
実にゲス的な行為である。だがその後ろ暗い感情を自覚しながらも、あのありすが日々弱っていくのを見る愉悦はたまらないものがあった。
しかし流石にもう頃合だろう。
群れのみんなから嫌われている汚物を、いつまでも群れに置いておくのもよくない。
若干名残惜しいが、そろそろお別れの時だ。
だから教えてやった。これから先、確実に訪れるであろう未来の事を。
案の定あのありすは血相を変え、そして数日後には群れのを抜け出し、人間さんの村へと向かった。
きっと自分を、飼いゆにしてくれるかもしれないという浅はかな希望にすがったのだろう。
まあそこから先のことは知ったこっちゃない。後は人間さんが適当に処分してくれるだろう。
ただ、唯一残念なのは、あのありすが村の人間たちに対して、飼いゆにしてくださいと、
ボロボロの姿で無様に懇願しているところを見れないことか。
きっと自分は元金バッジだったとでも言って、必死にアッピールしていることだろう。
そういえばこの群れでも同じように、やたら自分は金バッジだと強調していたっけ。
ありすがはじめて金バッジだと主張したとき、周りにいたゆっくりは驚いていたが、それはありすが凄いから驚いたわけじゃない。
ただ単に珍しかっただけの話なのだ。
「まったくバカなゆっくりね。野生の掟の前ではバッジなんて何の意味もないのにね」
そう一匹呟く長ぱちゅりー。
だがそのセリフとは裏腹に、ぱちゅりーのおうちの奥深くには、捨てきれない小さな未練として、銀色の何かが鈍く光っていた。
おしまい
以下全然読む必要のない後書き。
こんな拙い文章を最後までよんでくださってありがとうございました。
というわけで、元飼いゆっくりのお話しでした。
今回は、軽い話で行こうと思っていたので、ゲスな飼いゆが捨てられて酷い目に遭うというテンプレっぽい話を一つやってみました。
やはり王道はいいですね。そんなわけで、楽しんでもらえたら幸いです。
あ、それと、感想サイトのほうでいつの間にか、自分のスレができててビックリしました。
あれ?でもまだ十作も書いてないような……。投稿数が十を超えていればいいということなのかしら?
まあ、とにかく立ててくださった管理人の方はありがとうございます。
と、まあそんところで、また次の機会があったときはよろしくお願いします。
ナナシ。
過去作品
anko1502 平等なルールの群れ
anko1617 でいぶの子育て
anko1705 北のドスさま 前編その1
anko1706 北のドスさま 前編その2
anko1765 北のドスさま 後編その1
anko1766 北のドスさま 後編その2
anko1845 お飾り殺ゆ事件 前編 事件編
anko1846 お飾り殺ゆ事件 後編 解決編
anko1919 とってもゆっくりできるはずの群れ
anko2135 ぱちゅりー銀行 前編
anko2134 ぱちゅりー銀行 後編
anko2266 長の資質 前編
anko2267 長の資質 後編
いじめ 自業自得 群れ ゲス 自然界 独自設定 惜しくも一つにまとまらなかった
ありすが群れに加わってから少しばかり月日が経過ていた。
「ゆひい!ゆひい!」
ズリズリと音を立てながら、惨めに群れの近くの狩場を這いずり回っているゆっくりがいた。
元金バッジのとかいはなありすだった。
「こ、こんなのまちがってる!なんでとかいはなありすがこんなめに…」
誰にともなく文句を言いながら、狩りをするありす。
狩りといっても、ありすにはそこらへんに生えている、とても食えたような代物ではないまずい草を積むのが精一杯だった。
だがそれも仕方のないこと。ありすにはそのぐらいしかできることがないのだ。
「ゆうう!ゆっくりできないいいいいい!」
群れに住むことになってまず始めにありすを襲ったのは食料問題だった。
今まで食料は奴隷が持ってくるのが当然のことと思っていたありすは、そもそも狩りという概念がない。
長ぱちゅりーが何か言っていたが、そんなことをありすが理解できるはずもなかったのだ。
そのため、おうちで待っていれば、誰かがその内食料を持ってくるものだろうと思っていた。
だが、当然そんなことはなく、待てど暮らせど、誰も食料を運んでこない。
仕方なしに、おうちを出て村のゆっくりに食料を請求しに行ったところで初めて、みなが狩りというものをしていることを知ったのだ。
群れの広場では毎日狩り場についての情報交換が行われている。
どこどこには沢山木の実があった、あっちには虫さんの巣があった、むこうには特に食料になるようなものはなかった。
などなど、日々変化する食糧事情に対応するため、群れのゆっくりたちが情報を持ち合うのだ。
だが、極端に機動力が低く、行動範囲が狭いありすは、その話題に入ることができない。
提供する情報もなしに、一方的に有益な情報だけ得ようとする行為を他のゆっくりが許さないからだ。
まあ、仮に情報を得ても、ありすがそこまで到達できるかどうかは疑問が残るが。
そんなわけで、ありすが手にできる食料は、群れの周りに生えている誰も狩らないような、まずい草程度のものだったのだ。
だが、それすら、緩慢な動作のありすは、一日分集めるだけで精一杯である。
「はあ、はあ、やっとついたわ……」
少量の草を抱えて、ようやく自分の殺風景なおうちにたどり着くありす。
今まで人間の許で快適な室内暮らしをしてきたありすは、ゴツゴツとした地面では満足に眠ることも出来ず、
また自身を癒してくれる、クッションや家具の類も無いため、まったくゆっくりできていなかった。
が、しかしこんな狭く、何もないようなおうちでも、雨風が防げるだけ、何も無いよりも数段ましである。
もし長ぱちゅりーがこの場所を与えてくれていなかったら、ありすは群れに来た初日で恐らく永遠にゆっくりしてしまっていただろう。
「ゆうううう…どれいがもってきていたあまあまさんがたべたいわぁ……ううう」
目の前に積んだまずい草をぼんやりと眺めながら呟くありす。
当然ならがその辺に生えている草と、以前食べていたゆっくり用フードとは味も栄養も満足度も天と地ほどの差がある。
本来ならこんなまずい草など、口にするのも嫌なのだ。しかしそれでも空腹には勝てない。
ありすは、意を決するといつものように無理やり草を口に押し込む。
「むーしゃむーしゃ、ぐええええええええええ!ふしあわせええええええええええ!!!」
あまりの苦味に思わず吐き出しそうになるが、何とか堪える。
ただでさえ少ない食料だ。ここで戻してしまうわけにはいかない。
「ゆっ…ぐっ…うううう」
自身の余りにも惨めな境遇に思わず涙するありす。
それは自由を目指し、夢見ていたのとはあまりにも遠い生活。
「なんで…ありすはとかいはなのに、…きんばっじなのに…」
群れに訪れる前は、自分は誰からもうやまれる存在だと信じて疑わなかったありすだが、
今や群れで一番ゆっくりしてないゆっくりとして、みんなから嫌われているのである。
ありすとて、ただ黙って今まで過ごしてきたわけではない。
とかいはなゆっくりとして、認められるために群れのゆっくりたちに様々なアクションを起こしてきた。
だがそれらはことごとく失敗していたのだ。
あるときは、とかいの知識をいなかのゆっくりに教えてあげた。
とかいを知ることによりゆっくり群れのゆっくりがゆっくりできると思ったからだ。
「ゆふふふ!とかいにはね、でんとうさんがあって、よるでもくらくないのよ!
それにて、れびさんというのもあって、そのなかでは、まいにちたくさんのおはなしがうつるのよ!どう?とかいはでしょ!」
「ふーん、それで?」
「えっ、えっと、ほら!とかいのはなしがきけてゆっくりできたでしょ!だからしょくりょうをちょうだいね!」
にっこり笑うありす。
だが群れのゆっくりたちは呆れ顔であった。
「わかるよー!たかりなんだねー!」
「そんなどうでもいいはなしよりも、むれのまわりのしょくりょうの、じょうほうのほうがずっとやくにたつよ!」
「じかんをむだにしたよ!みんなさっさといこう!」
ぞろぞろと去っていく群れのゆっくりたち。
こうしてありすは群れのゆっくりたちから無能なゆっくりと認識されるようになった。
またあるときは留守のおうちに忍び込み、とかいはにこーでぃねいとしてあげた。
自分がこーでぃねいとすることにより、ゆっくりできるようになると思ったからだ。
「ゆがあああああ!なんなのこれええええええええ!」
「あられいむ!どう?おうちをとかいはにこーでぃねいとしておいてあげたわよ!
とってもゆっくりできるおうちになったでしょ!
おれいはしょくりょうでいいわよ!はやくちょうだいね!」
「ふざけるなああああああああああああああ!」
ドン!
「ゆひゃあ!」
れいむの怒りの体当たりよって簡単に吹っ飛ばされるありす。
「にどとれいむのおうちにはいらないでね!まったくなにがとかいはだよ!ただたんにちらかしただけだよ!
まだなにもしらないおちびちゃんだって、こんなめいわくなことはしないよ!」
ありすをなじるれいむ。
こうしてありすは群れのゆっくりたちから迷惑なゆっくりと認識されるようになった。
そしてまたあるときは、とかいはな愛を与えてあげようとした。
群れで一番狩りが上手いまりさに、すっきりを迫ったのだ。
「まりさあああああああああああ!とかいはなあいを、あたえてあげるうううううううううう!」
「ゆげげありす!なにをするきなのぜ!」
「きまってるでしょおおおおおおおおお!すっきりしましょおおおおおおおおおおおおお!」
「ふん!」
ドカ!
「ゆぎゃああああああああああ!」
まりさのぶちかましによって、やはり簡単に吹っ飛ばされるありす。
「ありすはばかなんだぜ!むやみにおちびちゃんをつくっちゃいけない、むれのおきてをわすれたのかぜ!
だいいち、まりさはくちだけで、なにもできないありすと、すっきりするのはごめんなのぜ!」
「なんですってええええええ!こんなとかいはなびゆっくりをつかまえてええええええええええ!」
まりさの発言は流石にありすの癇に障ったのか、吹っ飛ばされつつも気力で起き上がるありす。
「たしかにありすは、びゆっくりなのかもしれないのぜ!でもそれだけなのぜ!
しごともしないで、いえでふんぞりかえってるだけのつがいはごめんなのぜ!
それにまりさは、だれかれかまわずすっきりしようとするびっちはごめんなのぜ!」
それだけ言うとさっさと、その場を去っていってしまうまりさ。
こうしてありすは群れのゆっくりたちから、誰彼かまわずすっきりしようとするゴミクズゆっくりと認識されるようになった。
「ゆうううう!こんな!こんなはずじゃあ……」
おうちで一匹嘆くありす。
だが嘆いたところで状況は何も変わらない。
明日も明後日も、群れ中のゆっくりに嘲笑われながら、ズリズリとまずい草をかみ締める毎日が続くことだろう。
どうしてこんなことになってしまったのだろう。自分はとかいはなはずなのに。
「むきゅ!こんにちはありす!ゆっくりしているかしら?」
ありすが一匹途方にくれていると、突然長ぱちゅりーがありすの元を訪ねてきた。
「ゆゆ!ぱちゅりー!いったいなんのようなの!」
「別に用ってわけじゃないけど、ちょっと近くを通りかかったから、様子を見にきたのよ。
どう?ありす?越冬の準備は進んでいるかしら?」
「………は?」
ありすは目をパチクリさせる。
越冬?何だそれ?
「ああ!やっぱりね!ありすは都会のゆっくりだから知らないんじゃないかと思って。
この辺は冬さんが来ると、あたり一面雪が積もって、まったく食料が取れなくなるの。
だからそのときに備えて、今の内に沢山食用を備蓄しておく必要があるの。
そうじゃないと、冬さんが来たときに、永遠にゆっくりしちゃうからね。
まっ、とかいはなありすなら、越冬用の備蓄なんて楽勝だと思うけど、念のために忠告しておくわ!
今のうちから食料を集めておかないと、あっさり死ぬから」
「………………」
「それじゃあね!ありす!言いたいことはそれだけよ!ゆっくりしていってね!」
いつものように、自分の言いたいことだけ一方的にしゃべり終えると、長ありすはどこかへ去っていってしまった。
その場に残ったのは、呆然と巣穴にたたずむありす。
越冬?なにそれ?え?備蓄?そんなの無理だ!でも集めておかないと死ぬって!
え?死ぬ?死ぬの?このありすが?こんないなかで?
いやだ!いやだ!いやだ!いやだ!
「いやだあああああああああああああああああああああああああああ!!!」
ありすはようやく理解したのだった。野生というものの厳しさを。
数日後、
「みょん!たいへんだみょん!」
長ぱちゅりーのおうちに、みょんが慌てた様子で、入ってくる。
「むきゅ!どうしたのかしらみょん、そんなに慌てて。なにか事件でも?」
長ぱちゅりーが何事かと尋ねる。
だが、その様子は幾分か余裕が見られ、大体何が起こったか見当がついている風にも見える。
「みょん!あのしんいりのありすが、やまをおりて、にんげんさんのむらにむかったみたいなんだみょん!」
「あらそう、それは大変ね」
と、ぜんぜん大変そうじゃない風に言うぱちゅりー。
「みょん!おいかけなくていいのかみょん」
落ち付いた様子のぱちゅりーに問いかけるみょん。
「放っておきましょう。下手に追いかけて、複数のゆっくりが、麓の村に入ってしまうほうがまずいわ。
大丈夫よ、群れの掟を破った時点で、あのありすと、この群れはなんの関係もない赤の他ゆ。
それにこの付近特有の事情もあるしね。人間さんたちはそこまで狭量じゃないわ」
「みょん!そういえばそうだったみょん!」
安堵したような表情になるみょん。
「あのありすともついにお別れね。残念だわ。本当に」
そう本当に残念そうに言う長ぱちゅりーであった。
所変わってここは麓の村。
「おねがいします!ありすをかってください!ありすはきんばっじでした!
きっとゆっくりできますから!おねがいしますうううううううううううううう!
ああああああ!まっでええええええええええ!にんげんさんいがないいでえええええええ!
もうやせいはいやなんですうううううううう!ゆっくりさせてえええええええええええ!」
ゆっくりたちが暮らしている森の麓にある村にて、汚らしいゆっくりが、必死に自分を飼いゆにしてくれと叫んでいた。
その姿は、髪はベタベタで、目はどんよりと曇っており、歯は所々掛けている。
栄養状態が悪いのか肌はガサガサであり、形も所々へこんでおり、見栄えも悪い。
唯一の長所は、ありすの特徴でもあるお飾りの赤いカチューシャに、何かを無理やり引き剥がしたような小さな傷が付いていることで、
それがかろうじてもと飼いゆだと判断できる材料だということだった。
が、それも些細な事。道行く人間たちの目には、このありすはさぞかし汚らわしいゆっくりに映ることだだろう。
「ほら、じゃまだよ!」
ドカ!
「ゆべろばああああああ!」
通行人の一人に軽く蹴られて、道の端っこに投げ出されるありす。
ちなみに、このときありすが踏み潰されなかったのは、通行人の優しさではない。
ただ単に、自分の靴や道がクリームで汚れるのが嫌だった。それだけが理由だ。
いつ通行人たちの癇に障わって、踏み潰されるともわからない状況。
だが、それでもありすは叫ぶのを止めなかった。
もう野生はいやだ!いなかはいやだ!せまいおうちは嫌だ!不味い草はいやだ!
帰るんだ!とかいに!帰ってまた以前のように暮らすんだ!
快適なおうちに、おいしいごはん!ああ!自分はなんてバカだったんだろう!
自らそんな天国のような生活を投げ出すなんて!
もう二度と我侭なんて言いません!だから!だから!飼いゆにしろおおおおおおおおおおおおおお!
「おねがいですうううううううう!ありすをかいゆっくりにしてくださいいいいいいいいい!
ありすはきんばっじでしたあああああああああああああああ!」
再び人が通る気配を感じたありすは、必死に自分をアッピールする。
その甲斐あってか、やってきた男は足を止めてありすを見下ろす。
「あん?」
「むきゅ?」
立ち止まった人間を見た瞬間ありすは、しめた!と思った。
この人間さんからは、どことなく都会の雰囲気を感じるのだ。きっとこの村の人間ではないのだろう。
しかも同じゆっくりであるぱちゅりーを連れている。ゆっくり好きな証拠だ。
さらに良い事に、この男が連れているぱちゅりーは、どこにもバッジをつけていないのだ。これはチャンスだ!
「にんげんさん!ありすをかいゆっくりにしてくださいいいいいいいいいい!
ありすはとかいはなきんばっじでしたああああああああああああ!
きっとそんな、ばっじなしのぱちゅりーなんかよりもずっとゆっくりできますうううううう!」
ここぞとばかりに自分をアッピールするありす。
特に、自分は金バッジであることを重点的に主張する。
が、しかしそんなありすの様子に男はまったく表情を変えることなく、
「ふーん、金バッジねえ…。てことはお前さん、もと飼いゆかね」
と、呟いた。
「むきゅ!あの、人間さん、言いにくいのだけれど、村内に野生のゆっくりがいるって不味くないかしら?
その、協定的な意味で……」
側にいるぱちゅりーが恐る恐るといった感じで男に尋ねる。
「まあ、よくはないよな。でもまあ、ここら辺の村はある意味仕方ないっていうか…
とにかくこいつみたいなゆっくりが協定を破って村にいても、とりあえずは大目に見ようって感じなんだよな」
「むきゅ?」
「ええっと、つまりさ……」
男が説明しようとしたその時、
「なにごちゃごちゃはなしてるのおおおおお!はやくそのげすぱちゅりーをすてて、
とかいはなありすをかいゆにしろおおおおおおおおおおおおお!
ありすはきんばっじだぞおおおおおおおおお!そんなばっじなしとくらべるまでもないでしょおおおおおお!」
意味不明な会話をしている男とぱちゅりーに我慢できなくなったのか、ありすは声を荒げる。
その荒ぶるありすの様子を見ていた男は、やれやれとため息をつきながら、ひとまずぱちゅりーとの会話を中止し、
荷物から一冊の雑誌を取り出した。
その雑誌の名は『月刊ゆっくりマガジン』ゆっくりの専門雑誌だ。
男はその雑誌ををパラパラとめくり、の飼いゆっくり特集コーナを開くと、ありすに見せた。
「えっーと、これは単純に興味本位で聞くんだが、お前さんがつけてた金バッジってのは、このページに載ってるどれのことだい?」
「ゆ?」
ありすは、男に見せられた雑誌のページを凝視する。
そこには大小さまざまなバッジが掲載されていた。それぞれみな形が違うが、唯一の共通点として全てのバッジが金色をしていた。
なんだそういことか!と、ありすは唐突に理解する。
つまりこれは、人間さんがありすが本当に金バッジだったかを確かめるためのテストに違いない!
そうとわかればなんら恐れることはない!
何故ならありすは、正真正銘の本当にゆっくりした、とかいはの金バッジだったのだ!
他のニセモノの金バッジなどに騙されるはずもない。
「ゆゆ!それ!それよにんげんさん!そのいちばんみぎしたのやつが、ありすのばっじよ!」
ありすは、以前自身がつけていたバッジを見つけると、すぐさま勢いよく主張した。
やった!これでありすが本当に優れた金バッジだったことが証明された。
これで飼いゆ間違いなしだ!人間は、あんなバッジなしのぱちゅりーなんかさっさと捨てて、ありすを飼うに違いない!
ゆふふふふ!金バッジでごめんねーーー!さあ!はやくありすの金バッジを褒め称えなさい!
「あちゃー、これかー。これ最近参入してきたばっかの評判最悪の企業の金バッジだな。
なるほど、確かにこりゃ酷いわ。間違って買っちまった元飼い主はご愁傷様だなこりゃ」
「……………へ?」
男の予想外の言葉に目を点にして呟くありす。
「不思議そうだな。まあでも別に大した話しじゃないんだ。
ただ単純に金バッジにもいろいろ種類があってね、中でもお前のは最低クラスだったってだけの話だ」
淡々と真実を述べる男。
そうなのだ。実は一口に金バッジといっても様々な種類があるのだ。
初期の初期、ペットゆっくりというものが認知されはじめた当初は、バッジといえば男が所属する国営機関が正式な試験の元で発行する、
正規のバッジしか存在していなかった。
が、ペットゆっくりの需要が増えるにつれ、その利潤に目をつけた様々なメーカーがペットゆっくり業界に参入してきたのだ。
それら各企業は、独自ブランドと称して、自身たちで勝手に金バッチゆっくりを販売し始めたのだ。
それはさながら携帯などに様々な機種が存在するのと同じように、市場には様々なメーカーの金バッチが溢れる結果となる。
かくして、現在の飼いゆ業界は、様々なメーカーの金バッチが氾濫しているカオスな状況になっていたのだ。
そしてそれらの中には、金バッジとは名ばかりの、見栄えだけよくしたパチもんゆっくりもよく混じっていた。
特にこのありすが付けていた金バッシは、最低クラスの評価の、エセ金バッジともいえるタイプのもので、
男が所属している組織が発行している金バッチはもとより、他の企業が出している金バッチよりも遥かに劣るという、
詐欺まがいの代物であった。
もし、ペットショップで他の金バッジよりもやたら安いメーカーの金バッジを見かけたら、それはまず粗悪ゆだと見てまず間違いないだろう。
ちなみに今月号の『月刊ゆっくりマガジン』の、ありすがつけていた金バッジのメーカーに対する読者レビューは以下の通りだ。
★☆☆☆☆(星一つ評価)
『最低の一言です。私は様々なメーカーの金バッジを見てきましたが、この金バッジほどひどいものはいまだお目にかかったことはありません。
恐らく見栄えのみを判定基準にして、まったく飼いゆとしての教育を行っていないのでしょう。
購入した時点で、すでに性格はゲスの一歩手前。飼いゆとしてごく普通の飼育をしたとしても、容易にゲス化してしまいます。
これからゆっくりを飼おうとしている人は、安い値段につられても、絶対にこのメーカーのゆっくりを買うべきではありません。
ゆっくりそのものが嫌いになってしまう可能性があります』
★☆☆☆☆(星一つ評価)
『私は飼いゆっくりについては、まったくの素人で、初めて飼いゆを購入する際に、恥ずかしながら金バッジという響きと、
値段の安さ、それに見栄えのよさにつられてこのメーカのゆっくりを購入してしまいました。
そしてその結果は散々でした。
私が飼っていたのはありすだったのですが、どれだけごはんを与えても、感謝どころかもっとよこせといい、
部屋を散らかすので、それなりにひろいスペースを区切り、そこをおうちとして与えても、せまいせまいと常に文句をいっていました。
しかもそれだけならまだしも、散歩の時に人様のゆっくり相手に勝手にスッキリしようする始末。
段々このありすを飼っているのが苦痛でしかなくなっていき、一時期はゆっくり嫌いになってしまいました。
が、友人の勧めで、国営機関が発行している正規の銀バッシゆっくりのちぇんを飼って考えが変わりました。
このちぇんはきちんと礼儀正しいし、言う事もちゃんと聞くし、かわいいしで、前のありすとは天と地の差です。
飼いゆっくり初心者の方は、決して私と同じように値段に釣れられて、このメーカーのゆっくりを買ってはいけません。
きっと後悔します』
★☆☆☆☆(星一つ評価)
『見栄えがよく、また成長段階でその見栄えを維持するために甘やかされたためか、非常に生意気で自尊心が強いので、虐待用として最適です。
ただ余りにも自我とプライドが強いので、種族にもよりますが、あまり子ゆっくりを欲しがらない傾向にあります。
そのため子ゆっくりを作らせて、親の前で虐待するプレイを楽しみたい人には不向きかもしれません。
え?このゆっくりは虐待用じゃないって?
はは、そんな馬鹿な。こんなふざけたゆっくりを金バッジの飼いゆとして本気で売り出してるわけないでしょう?
きっとこれは金バッシの虐待プレイ用のゆっくりなんですよ。
もしそうじゃないとすれば、消費者やゆっくりブリーダーの方々をバカにしてるとしか思えませんね』
と、まあこんな感じで評価一がずらりと並んでいる。
ここまで低い評価が並ぶ金バッジも珍しいものであった。
「むきゅ!人間さん!そこまでよ!そんなこといちいち捨てゆっくりに言うことじゃないわ!」
「ああそうね、確かに他ゆの素性を暴くなんて、あまり趣味のいいと言える行いではなかったな。
いやすまんね、お前さんがあんまり金バッジ金バッジ叫ぶから、どこのメーカーの金バッジなのかちょびっと気になってね。
まあ、悪かったよ」
素直に詫びる男。
男の言った事は全て真実だった。
別に惨めな捨てゆであるありすの、唯一の拠り所であった金バッジの優位性を否定して、
嘲笑ってやろうなどという意図は男にはまったくなかった。
ただ単純に、ありすの金バッジがどこのメーカーの物か、ふと疑問に思い、確認しただけだ。
その結果たまたま、それがそのへんの賢い野良ゆ以下のゲロカスバッジだったということが明らかになっただけの話だ。
「そんな!そんな…ありすは……」
金バッシは沢山ある?その中でも最低?じゃあ自分はとかいはじゃないの?
いやそれ以前にもう人間さんには飼ってもらえない?
じゃあどうするの?群れに戻る?無理だ!人間さんに飼ってもらえる様お願いする?だから無理だって!
え?じゃあ、ありすはどうやってゆっくりすればいいの?
……む……り?
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
突然奇声を上げるありす。
ありすは壊れた。自らの価値を知り、未来に待ち受ける絶望を知って。
心を深く閉ざし、ただ叫ぶだけの物になった。
そうすることがありすに残された、唯一の防衛手段だったから。
「よっと!」
ボスッ!
男は荷物から取り出した、ゆっくり捕獲用の麻袋の中にありすを放り込むと、声が漏れないように袋の口を固く縛る。
「別に虐めるつもりはまったくなかったんだがなぁ。なんか悪い事した気分だ」
麻袋をかつぎながらそう呟く男。
「むきゅ!人間さん、そのありすはどうなるのかしら?」
「どうもこうも、捨てゆっくりだからなぁ。保健所に送って、そのあと飼い主が見つからなければ処分されるんじゃないか」
「……そう」
うつむくぱちゅりー。
「ん?お前コイツに同情してんの?」
「少しだけ。ぱちゅだって、運が悪ければ同じような目に遭ってたかもしれないわけだし」
ためらいがちに言うぱちゅりー。
「いや、お前はこういう風にはならんとは思うけどな。
でもまあ、もしもを考えだしたらキリがないぜ。大切なのは今どうするかだよ。
てなわけで、さっさとこの先にある山の群れの視察に行くとするとしよう」
「むきゅ!それもそうね!」
そう言って男とぱちゅりーは山に向かって歩きだしたのだった。
所変わって再び山のゆっくりたちの群れ。
長ぱちゅりーはおうちで一匹、静かにゆっくりしていた。
考えているのはあの金バッチありすのこと。
今頃は人間さんの村に降りて、飼いゆにしてくれとでも頼んでいるのだろうか?
バカなありすだ。
そういえばあのありす、自分は都会からきたとしきりに自慢していたっけ。
ふん、ばかばかしい。
この辺の森では都会のゆっくりなどそれほど珍しくもないのだ。
何故ならここは都会に一番近い山。
だからよく、あのありすのような元飼いゆが山に捨てられるのだ。
その多くはそのまま山を降り、人間さんたちの村へ向かう。
再び飼いゆにしてもらうためにだ。
そういった事情から、明らかに元飼いゆとわかるゆっくりが、麓の村に現れてもそれは協定違反とは見なされず大目に見てもらえる。
飼いゆが捨てられるなどの問題は、ある意味人間自身の問題だからだ。それを山に住んでいる関係ないゆっくりの所為にされても困る。
だから今まで捨てゆ問題は、この群れとは直接係わり合いのない問題だった。
だが、あのありすは人間の村に向かわず、何故かこの群れにやってきた。
すぐに追い返してもよかった。いや、実際にそうするべきだったのだ。
元飼いゆは、かなり高い確率でゲスだ。そんなのが群れにいても害でしかない。
しかし、私はこの群れに住むように勧めた。
何故か?一言で言えば癇に障ったのだ。
あのありすの世の中を舐め切った態度が、なんでもかんでもとかいはは、素晴らしいという根拠のない自信が。
自分から人間さんの元を出て行った?ふん、よくそう都合よく解釈できるものだ。
大方、我侭放題の態度に呆れられて捨てられたに違いないのだ。
そして、そんなありすの態度を見ているうちに、だんだん我慢できなくなってきた。
このふざけたありすに、野生で生きることの厳しさを叩き込んでやりたい。そう思った。
その行為は、はっきり言って何の意味もないことだとはわかっていた。それが何かを生み出すことは決してないだろう。
だがそれでも見てみたかったのだ。あのありすが現実を知り、絶望していく様を。
これは決して褒められた感情ではないだろう。ゲス的と言ってもいいかもしれない。
しかし、それでもやめらなかった。
簡単に死なないように、おうちを与えて、あのありすが、日々実践するとかいはな行為とやらを観察してやった。
私が自分から何かをすることはない。だがあのありすは、勝手に失敗し、勝手にゆっくりできなくなっていった。
そのマヌケな様を見て、私は思う存分ゆっくりすることができたのだ。
実にゲス的な行為である。だがその後ろ暗い感情を自覚しながらも、あのありすが日々弱っていくのを見る愉悦はたまらないものがあった。
しかし流石にもう頃合だろう。
群れのみんなから嫌われている汚物を、いつまでも群れに置いておくのもよくない。
若干名残惜しいが、そろそろお別れの時だ。
だから教えてやった。これから先、確実に訪れるであろう未来の事を。
案の定あのありすは血相を変え、そして数日後には群れのを抜け出し、人間さんの村へと向かった。
きっと自分を、飼いゆにしてくれるかもしれないという浅はかな希望にすがったのだろう。
まあそこから先のことは知ったこっちゃない。後は人間さんが適当に処分してくれるだろう。
ただ、唯一残念なのは、あのありすが村の人間たちに対して、飼いゆにしてくださいと、
ボロボロの姿で無様に懇願しているところを見れないことか。
きっと自分は元金バッジだったとでも言って、必死にアッピールしていることだろう。
そういえばこの群れでも同じように、やたら自分は金バッジだと強調していたっけ。
ありすがはじめて金バッジだと主張したとき、周りにいたゆっくりは驚いていたが、それはありすが凄いから驚いたわけじゃない。
ただ単に珍しかっただけの話なのだ。
「まったくバカなゆっくりね。野生の掟の前ではバッジなんて何の意味もないのにね」
そう一匹呟く長ぱちゅりー。
だがそのセリフとは裏腹に、ぱちゅりーのおうちの奥深くには、捨てきれない小さな未練として、銀色の何かが鈍く光っていた。
おしまい
以下全然読む必要のない後書き。
こんな拙い文章を最後までよんでくださってありがとうございました。
というわけで、元飼いゆっくりのお話しでした。
今回は、軽い話で行こうと思っていたので、ゲスな飼いゆが捨てられて酷い目に遭うというテンプレっぽい話を一つやってみました。
やはり王道はいいですね。そんなわけで、楽しんでもらえたら幸いです。
あ、それと、感想サイトのほうでいつの間にか、自分のスレができててビックリしました。
あれ?でもまだ十作も書いてないような……。投稿数が十を超えていればいいということなのかしら?
まあ、とにかく立ててくださった管理人の方はありがとうございます。
と、まあそんところで、また次の機会があったときはよろしくお願いします。
ナナシ。
過去作品
anko1502 平等なルールの群れ
anko1617 でいぶの子育て
anko1705 北のドスさま 前編その1
anko1706 北のドスさま 前編その2
anko1765 北のドスさま 後編その1
anko1766 北のドスさま 後編その2
anko1845 お飾り殺ゆ事件 前編 事件編
anko1846 お飾り殺ゆ事件 後編 解決編
anko1919 とってもゆっくりできるはずの群れ
anko2135 ぱちゅりー銀行 前編
anko2134 ぱちゅりー銀行 後編
anko2266 長の資質 前編
anko2267 長の資質 後編