ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko2557 ならゆっくりだけしてろ!!
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ankoss
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『ならゆっくりだけしてろ!!』 24KB
虐待 嫉妬 妬み 変態 戦闘 お家宣言 駆除 番い ゲス 現代 虐待人間 黒歴史間違いなしの一作by天然あき
・俺設定あり。
・展開がおかしいのは毎度の事ながら仕様です。
・中二病注意です。
・ある意味人間がひどい目にあってます。
天然あき
「どうじでごんなごどずぶのお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!?」
ボコボコにされて顔が腫れ上がった髪と帽子からかろうじてまりさだとわかるゆっくりが叫ぶ。
「でいぶはゆっぐびじでだだげなのに゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!」
それにつられるように同じような惨状のゆっくりれいむが叫ぶ。
「…………」
それを冷たい眼差しで見下す背の高い女性。
ここはある一軒家の使われていない一室。
この女性の従兄弟が現在一人暮らししており女性がちょくちょく遊びに来ているのだ。
そこにまりさとれいむはおうち宣言をして好き勝手していた。
発見が早かった為コップが一つ割れ、観葉植物が食い荒らされた程度で被害は軽微だった。
本来ならばれいむ達はすぐに潰されていただろう。
しかしここの家主の男性は怒るどころかれいむ達をもてなした。
犬猫が家に侵入したのと同じように判断して…犬猫相手だとしても行動としてはおかしいが、彼はれいむ達をもてなした。
しかしそんな彼に対してれいむ達は暴言を言い放つ。彼を馬鹿にし、罵倒し、利用した。
あまあまを要求し、差し出された菓子を汚く貪り、彼に向けてうんうんを撒き散らしそれを処分するように言った。
彼はそれに嫌な顔一つせず従ったが、女性は違った。
彼が菓子を取りに去った後れいむとまりさを使っていない部屋へ連れ込み、彼にはれいむ達は帰ったと伝えた。
先程のれいむ達の振る舞いを別にしてもこの女性はゆっくりが大嫌いだったので、使っていない部屋に連れて来た後れいむ一家に問答無用で殴る蹴るの暴行を
加えたのだ。
そこに会話はない。あるのは肉体言語という名の暴力だ。
そして冒頭の叫びに繋がる。
「………………」
女性は不快そうな顔をして蹴り飛ばす。
後の掃除の事も考えて餡子が撒き散らさない程度の威力で放たれた為れいむはまだ死ねない。
「ぶぎゅう゛う゛!!?」
「でいぶう゛う゛う゛う゛う゛!!?」
喧しく騒ぐ事しか出来ないゆっくり共。
「ゆぎ…どぼじでぇ…ごんなごどずぶのぉ…」
「………………」
れいむは女性に訴えかけるが肝心の女性は何も答えない。ただ不快そうな顔のままれいむ達を見下ろす。
それは人間が野良ゆっくりにする汚物を見るような顔ではなくまるで親の仇を見るような憎悪の篭ったものだった。
「も…もうやめるんだぜ!!」
まりさが女性に向けて叫ぶ。
その結果冷たい眼差しがまりさに向けられる。
「ゆ…!?」
まりさの女性のその眼を見ただけで恐怖してしまう。
女性はまりさ達を殺すのに躊躇いもない。
楽しむ気もなくさりとて許す気もなくまりさ達に拳や蹴りを放つ。
「ゆ…ゆゆ!!」
しかしまりさはそんな中で叫んだ。それは勇猛ではなく単なる蛮勇だった。
「ま、まりさとれいむはゆっくりしてただけなんだぜ!!どうしてこんなことするんだぜ!!?」
ガチガチと無意識に歯を鳴らしながらまりさは告げる。
「……………」
だが女性は答えない。
ただ攻撃だけをまりさ達に向けて放つ。
遊びもせず、さりとて苦しめもせずただ八つ当たりの如く暴力だけを答えのようにぶつけてくる。
「……お前等はゆっくりしてたんだろ?」
だがその時女性は初めて口を開いた。
「そ、そうなんだぜ!じぶんがゆっくりしてないからってしっとするのはおかどちがいなんだぜ!!」
まりさはあらん限りの声量で叫ぶ。
「……ああ?」
女性はまりさの言葉に不快度合いを更に増す。
どうやらまりさは女性がゆっくりしている自分達に嫉妬してこのような凶行を行っていると思い込んでいるようだった。
「……やっぱりこいつ等とは会話するだけ無駄だな」
女性はため息をつきながら呟く。どう考えても呆れている。
だが何処をどう見たらそう思うのかわからないがまりさは、
「ゆふん!ずぼしをつかれてこえもでないんだぜ!!」
と思っていた。
「……………」
女性はもはや言葉も出ない位呆れていたがそれを都合よく解釈するのがゆっくりだ。
「はずかしいからっていつまでもだまってないではんせいしたらさっさとあまあまもってくるんだぜ!!」
まりさはいつの間にか立場が逆転したと勘違いし、女性に向けて偉そうに命令する。
女性はもうまりさに対して不快感しか感じなかった。
「ゆぶぼぉッ!?」
拳を叩きつける女性。宙を舞うまりさ。
「まりざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゜!!?」
そして喧しく騒ぐれいむ。
どちらも同じ反応すぎて面白みも何も感じない。
「ぶぎゅべ!?」
まりさは空中浮遊から帰還して床と熱いちゅっちゅを交わす。
「………」
「ぶぎゅぼお!?」
そして女性はそんなまりさを餡子を吐かない程度に踏み付けて自由を奪う。
「ゆがあ゛あ゛あ゛あ゛はなぜえ゛え゛え゛!!!」
まりさは叫ぶ。
宙を舞う拳を喰らったのに変わらぬふてぶてしさは滑稽通り越して心配になってくる。
女性はそんなまりさを踏み付けながら見下していた。
「お前等は…ゆっくりしてんだよな人間よりも…?」
女性は抑揚がない声で尋ねた。
「あだりまえだぜ!!まりざはにんげんなんがどはくらべぼのにならないぐらいずごいんだぜ!!」
踏み付けられておきながらどうしてそこまで自信が持てるのか女性にはわからない。
だから気にしない事にした。
「そうか…ならゆっくりしてろよ」
「ゆ?」
まりさはきょとんとする。
そして都合のいい方向へと導く事に対しては高い能力を持つゆっくりブレインを使ってまた都合よく解釈した。
「ゆ、ようやくじぶんのたちばをりかいしたんだぜ!!ばばあはざっざとまりざにあばあばをべえ゛!!?」
女性は踏む強さを強めた。
そして今までの無表情がまるで嘘のように憤怒の表情を浮かべて叫んだ。
「それはてめえらで言うむーしゃむーしゃとやらだろう!!!」
「ごべえ゛!!?」
遂に餡子を吐き出してしまうまりさ。
「俺はいつお前にむーしゃむーしゃしろって言ったか?俺はゆっくりしろって言ったんだ、ゆっくり以外してんじゃねえよ!!!」
「ぶぎゅう゛う゛う゛う゛!!?」
勢いよく踏み付けるが絶妙の力加減なのか勢いに比べてまりさの吐餡の量が少なくなかった。
「なぁ…てめぇ等はゆっくりだよな?ゆっくりなんだよなぁ!!だったらゆっくりしてろよ!!人の前に出てくんじゃねえよ!!喚き散らすんじゃねえよ!!子供なんて作るんじゃねえよ!!」
「ゆがぁ…!?」
女性はまりさを蹴り飛ばす。
痛め付けられながらもまだまりさは死ねない。
「まりざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」
「うるせぇな…喚くんじゃねえよ…」
女性はれいむを掴む。
「ゆがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛はなぜえ゛え゛え゛え゛!!?」
頭をわし掴みにされ、ふりんふりんと身体を揺らすれいむ。
「てめえらはゆっくりだろ?ゆっくりするのがゆっくり出来るんだろ?ならさっさとゆっくりしろよ」
そう言いながら女性は掴んだ頭に力を入れる。
「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」
女性の指先がれいむの頭に食い込んでいく。
ゆっくりが味わうのには稀有な痛みを受けながられいむはそれでも死ねない。
「なぁ早くゆっくりしろよ…」
女性はれいむに言う。
力を弱め、何とかれいむを回復させてから告げる。
「ゆ゛…ゆぅ…もうやぢゃあ゛…ゆっぐりじだい゛…」
れいむは涙を流しながら呻く。
「ならゆっくりしろよ。俺は喚けとも泣けとも言ってねえぞ」
「でぎるわげないでじょお゛お゛お゛お゛お゛!!!」
れいむは叫んだ。
ゆっくりなんて出来る訳がない。
あまあまもおちびちゃんもいない、あるのはゆっくりできないばばあのみ。
そんな状況でゆっくり等出来る訳がない。そうれいむは思っていた。
「は、何でだよ。お前等ゆっくりだろ。ゆっくりすんのが生きがいだろうが。それが出来ないってお前自分を否定してるようなもんだぞ」
だが女性はそんなれいむにそんな言葉を言い放つ。
れいむは我慢の限界だった。
れいむ達をゆっくりさせない目の前の女性を許す事は出来なかった。
「ばばあがでいぶをゆっぐりざぜないがらでじょお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!でいぶだぢがゆっぐりじでるがらっでじっどじないでね゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」
れいむは叫ぶ。馬鹿な人間にもわかるようにありったけの知性(?)を込めて。
れいむは今の自分の叫びを聞けば人間もきっと自分の愚かさに気付くと思っていた。だが、
「ふうん…つまりてめぇのゆっくりはその程度か…」
しかし返ってきた答えはれいむが予想していたものとは全く違っていた。
「ゆ?」
れいむには女性の言葉の意味がわからなかったが女性は構わなかった。
元より会話をしているつもりではないのだから。
「お前等ゆっくりってのは人間よりもゆっくりしてんだろ?だからゆっくりは人間なんかよりも上なんだろ?」
女性は質問の体だが別に返事が返って来なくても別に構わない。
「それとも人間の方がゆっくりしてんのか?」
だが驕り高ぶったれいむが人間よりゆっくりしてないなんて認める訳がない。
「ぞんなわげないでじょう゛う゛う゛う゛う゛!!!でいぶはにんげんなんがよりもずうっどずうっどゆっぐりじでるにぎまっでるでじょお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」
ゆっくりしてる=格上という図式が凝り固まっているれいむが見下していた人間よりも劣るなんて認める事は絶対にない。
必要以上に誇りと虚栄心を持った者は操りやすいものだ。
「ふーん…じゃあゆっくりが人間に負ける訳はないのか…」
「あだりまえでじょお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!でいぶがぐぞにんげんにまげるわげないでじょお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」
「ならゆっくり出来るだろ?てめえらはゆっくりで俺は人間だ。人間はゆっくりしていない。ゆっくりはゆっくりしてる。だったら人間はどう足掻いてもゆっくりには勝てない。ゆっくりはゆっくりしてるからな。だったら人間である俺はどう足掻いてもお前等どうこうは出来ないよな?」
女性はゆっくりゆっくりと自分でも訳が分からなくなりながらも呟く。
「ゆ!ぞのどおりだよ!!だがらばばあはざっざど…」
「ならおかしいよな?人間が何したってゆっくりに勝てないなら何でてめえらは俺にゆっくりさせられなくなってんだ?」
「ゆ?」
何度目になるかわからないれいむのきょとん。
それを気にせず女性は呟き続ける。
「ゆっくりはゆっくりしてる、これは絶対。人間はゆっくりしていない、これもお前等からすれば絶対だ。ならゆっくりは人間よりも絶対に優れてる。そうだよな?」
「ゆ!ぞうだよ!!だがらばばあはざっざど…」
「だったら人間にゆっくり出来なくされるお前等って何だ?」
「ゆぇ?」
デジャヴュのような光景が繰り返されるが女性は気にしない。
「人間程度にゆっくりできなくさせられるてめえらは実は大した事ないんじゃないのか?ゆっくりとして」
その言葉にれいむの顔が変貌する。
自分はゆっくりしていない。そんな事を認めればそれはゆっくりとしておしまいだ。
凝り固まって壁に張り付いた油汚れみたいにはがしにくいプライドを持ったれいむがそれを許す筈がない。
ならばする事はただ一つ。
「ぞんなわげないでじよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」
感情に任せた理屈もへったくれもない否定だった。
「でいぶはゆっぐびじでるんだよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!ばがなにんげんがなにじだっででいぶはゆっぐりじでるんだよお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」
れいむは叫ぶ。そこにあるのは単なる感情の吐露だった。
「ぞうなんだぜ!!」
しかしその声に同意する声がした。
「まりさだちはゆっくりしてるんだぜ!!にんげんだちがなにやったってそれはゆるぎないんだぜ!!!だからばばあはゆっくりしてるまりさにあまあまもっでぐるんだぜ!!」
何だかよくわからない事をまりさは口走る。
こいつ等は自分のプライドを守る為ならば平気で矛盾した事を言うからタチが悪い。
だが元々女性はゆっくりを言い負かそうとしている訳ではないので別に構わなかった。
「なら…ゆっくりしてろよ。何があってもよ」
「ゆ…ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」
れいむの絶叫が響いた。
れいむを掴んでいた女性の指が遂に皮を破りれいむの中に侵入した。
「で、でいぶう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!?」
相変わらず騒ぐしか出来ないまりさ。
「ゆっくりしてろよ…てめえらはゆっくりなんだろ…?人間よりも上なんだろ?だったらゆっくりしてろよ!!俺が殴っても蹴ってもバスに轢かれてもゆっくりしてろよ!!ゆっくりが好きなら勝手に隅っこでゆっくりしてろよ!!!」
「ゆぶべえ゛!!?」
れいむは床にたたき付けられた。
「でいぶ!?ばばあよくぼお゛!!?」
まりさが何かを言おうとしていたが女性はその言葉を全く聞いていなかった為問
答無用でまりさを蹴り飛ばす。
「ゆぎい゛…いぢゃい゛ぃ…」
れいむは痛みに喘いでいた。
どうして自分がこんな目に遭うのかわからなかった。
れいむは自分のゆっくりに絶対の自信を持っていた。
こんなにゆっくりしている自分がゆっくり出来ない訳がないと訳の分からない理論を持っていた。
だが何処の世界にもゆっくりしていれば安全が保証されるなんて事はない。
現実はれいむの思想とは全く違った。
「ゆっぐり…じだいぃ…」
れいむは訴える。
「ならゆっくりすればいいだろ?」
女性はれいむを見下ろしながら告げる。
「ゆっくりしたいならすればいいだろ。したいしたいって言っててめえらこっちに命令ばっかりして自分でゆっくりしようとしなかったじゃねえか…」
「ゆ…ぎ…」
「お前等はゆっくりしてると言ってんのにゆっくりさせろと言ってやがる…ゆっくりしてるならゆっくりさせてもらう必要はねえよな?」
会話の体を為してない言葉の一方通行が女性の口から放たれる。
「ゆっくりしてんなら人の前に出てくんじゃねえよ…命令してくんじゃねえよ…人の夢を…奪うんじゃねえよ…」
れいむを攻撃する女性の声に段々と嗚咽が混じり始める。
「…ごべ…なざ……」
れいむは謝罪する。とりあえず謝っておけばいいという理論だ。
「……何を悪いと思ってんだ…?」
女性は謝ったれいむに尋ねる。
「ごべんなざ…でいぶがわるがっ…でぶ…」
れいむは女性の言葉に返事せず謝罪の言葉を羅列する。
「お前は…何が悪いと思ったんだ…?」
女性は変わらず尋ね続ける。
「ゆる…じで…ゆっぐり…ざぜ…で…」
「すればいいさゆっくり。勝手にな」
そう言いながら女性は足を振り上げる。
「なぁ…俺の何が悪かったんだ…?」
その言葉と共に女性の足が振り下ろされ、れいむの踏み潰される音が響いたのだった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「れ…いむ…」
まりさはれいむが潰されるのをまじまじと見ていた。
そこから生まれたのはれいむを失った喪失感でも女性に対する怒りでもなく…ただただ純粋な恐怖だった。
「…ったく思い出したくもない事思い出しちまった…」
女性は涙ぐみながら苛立たしげに呟く。
そして視線をまりさに向ける。
「ゆひぃ!!?」
それだけでまりさは戦慄する。
「残るはてめえだけだ。もう面倒臭いからさっさと殺す」
「ゆ…ゆゆゆ…」
まりさは歯をガチガチと鳴らす。
「……大分らしくなってきたじゃねえか。そっちの方が殺し甲斐がある…」
女性は涙を拭い笑う。
純然たる愉悦の笑み。それは嗜虐を込められた陰惨たる笑みだだった。
「ゆ…ゆゆ…」
まりさは恐怖のあまりおそろしーしーを漏らしてしまう。
「どうした、ゆっくりしろよ。最期位ゆっくりしといた方がいいぜ。もうすぐ死ぬんだしな」
そう言いながら女性はわざとゆっくりとまりさに近付いていく。
一歩進む毎にまりさは顔を引き攣らせていく。
そして、
「ご、ごごごごごめんなざい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」
顔を床に押し付けて謝罪した。
「ん?」
突然の謝罪に女性は怪訝そうな表情を浮かべる。
「まりざがわるがっだでぶうううううう!!だがらゆるじでぐだざびい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」
まりさがした最後の手段は謝罪による命乞いだった。
反省の意を見せれば助かるかもしれないという魂胆だった。
だが、
「駄目だ」
女性は一蹴した。
それにまりさは驚愕する。
「どうじでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!?ばりざあやばってるんだよ!!ゆるずのがとうぜんでじょお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!?」
あまりにもあんまりな暴論がまりさの口から放たれる。
「俺は別にお前が何に対して謝ってんのかなんてどうでもいい」
そう言いながら女性はまりさを掴み上げる。
「ゆあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?ゆるじでぐばざい゛い゛い゛い゛!!!ばりざはぜんぜんゆっぐびじべばぜんでじだあ!!!おねえざんのぼうがゆっぐりじでばずう゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!」
自らの命の為にゆっくりすら捨て去るまりさ。
だがそれでも、
「俺は別にゆっくりしてなくても構わねえよ。それとは関係なく俺はお前を殺す」
「どうじでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!?ばかにじだごどならあやばりまずがらあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
「別に謝る必要はねえよ。饅頭ごときの戯言に一々耳を貸してたらこっちの頭の血管が破裂しちまう」
「だっだらどうじべえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!?」
まりさは叫ぶ。何をしても駄目。まりさにとってあまりにも理不尽な女性の言葉に答えを求めるかのように問い掛ける形で叫ぶ。
そして女性は答えた。まりさが死ぬ理由を。
「お前は…あいつを馬鹿にした…」
「ゆ?」
まりさはきょとんとする。
あいつとは誰か?と考えてさっき女性と一緒にいた男の事を思い出す。
「ゆ…」
「喋るな黙れ。何を言おうと俺は絶対にお前を殺す」
「ゆ…ぴぃ…」
女性はまりさの口を手で塞ぎ、そこからぎりぎりと圧迫させていく。
「俺を馬鹿にするのはいい。だがあいつを馬鹿にすんのは許さない…」
「…………」
圧迫が強まりまりさは痛みに涙を流し出す。
「ああ確かにあいつは馬鹿さ…けどな、だから俺を見捨てないでくれた。だから…助けてくれた」
まりさは目を見開く。もはや激痛で女性の話を聞く余裕もない。しかし女性はそれも構わず呟く。
「俺を助けてくれたあいつの在り方を…てめえは侮辱した。だから…絶対に殺す」
「………………!!?」
目を血走らせまりさは暴れるが女性の手は尚更深く食い込んでいく。
「そんだけだ。そんな下らねえ理由がてめえの死ぬ理由だ。だけど俺にとっちゃそれが譲れねえ理由なんだよ」
「~~~~~~!!?」
暴れるあまりまりさは帽子を落としてしまう。しかしあまりの激痛にまりさは帽子を落とした事にも気付けない。
「じゃあな、最後にいい事教えといてやる。ゆっくりしたきゃ人間には近付くな。下らねえ理由で殺されるからな」
その言葉と共にグチャリ、と嫌な音がし、まりさは暴れるのを止めて二度と動かなくなった。
「あーあ、何やってんだよ全く…饅頭と会話するなんざあいつみたいじゃねえか」
女性はまりさを放り投げてウザったそうに手に付いた餡子を落とす。
「やっぱりゆっくりと会話なんて暇人と馬鹿のする事だ。しょうにあわないったらねえ」
女性は一人ぶちぶちと愚痴を漏らしながら部屋から退室する。
「やっぱりゆっくりは普通にボコッた方が気持ちいいな…」
女性はそう言いながられいむとまりさをほったらかしにしながら部屋から出ていった。
END
おまけ(虐待と関係のないポエムみたいな話なので興味のない人は無視して下さい)
「お前、あいつ等追い出したんだんじゃないよな?」
男が夕飯であろう水炊き鍋を運びながらリビングで寝転がっている従姉妹の女性に問い掛ける。
「ああ?追い出してはいねえよ」
テレビを見ながら女性はうざったそうに答える。
「そっかならいいけど…お前ゆっくり嫌いだからな」
鍋をテーブルに置き、男は再び台所へ歩いていく。
「仕方ないだろ、あいつ等に何度実家の畑荒らされたと思ってんだよ…それに…」
そこで女性は言い淀む。
「………まだ引きずってるみたいだしな…」
自己嫌悪しながら女性は呟く。
女性はゆっくりが大嫌いだった。
飼いゆっくりだろうと希少種だろうと区別なく大嫌いだった。
それは憎悪に近いもので、彼女はゆっくりを殺さずにはいられないのだ。
流石に飼いゆっくり等には手を出す事はしなかったが彼女の目の前に現れたゆっくりを何千匹も殺してきた。
それを八つ当たりだと彼女もわかっている。それを楽しんでいる自分をおかしいという自覚もある。
だがゆっくりのせいで夢を潰された彼女にはどうしてもゆっくりは許せなかった。
彼女は中学時代将来有望なバレーボール選手だった。
高校もスポーツ推薦の話が上がるほどで、順風満帆といった日々を送っていた。
彼女の生活はほぼバレーボール一色。
日々アタッカーとして並々ならぬ努力を重ねていた。
だがそんな日々は唐突に終わった。
それは部活動での遠征の移動中に起きた。
乗っていたバスがゆっくりを轢いてスリップし横転。
彼女は割れたガラスが足に突き刺さり足の健を切ってしまう大怪我を負ってしまった。
失血によって意識を失う瞬間、彼女の耳に届いたのは我が子達を轢かれた事を口実に人間からあまあまを人間から搾取しようとする親であろうれいむの叫び声だった。
そうして、彼女の生活は一変した。
日常生活には支障のないものの以前のような万全時の跳躍は不可能になった。
事実上、バレーボール選手としての選手生命への死刑宣告だった。
それだけではなく怪我による長期的入院により彼女の中学生最後の夏はあっけなく終わり、まとまりかけていた推薦も白紙となった。
部活の仲間もよそよそしくなり、いつの日にか彼女に関わらなくなっていた。
推薦も白紙になり、長期の入院で進学すらも危うくなっていた。
彼女は何もかもが憎かった。
特に自分の夢を、生き甲斐を奪ったゆっくりが憎かった。
我が子の死を自身の欲望に利用するゆっくりが、そんな奴に夢を潰された現実が、たまらなく憎かった。
結果彼女はその憎しみを周囲に当たり散らした。泣き叫び、暴れ回り、全てに敵意を向けた。
そうしている時だけ彼女は自分の現実を忘れられた。他にも野良のゆっくりを見つけては嬲り殺した。
ざまあみろと思った。
楽しかった、気持ち良かった。すっきりした。その時の快感が今も女性がゆっくりを殺している理由だろう。
そんな様子に友達は驚き、恐怖し、離れていった。
家族も最初は親身になったがいずれ疲れて離れていった。
彼女は僅か数日の間に何もかも失った…そう、女性は思っていた。
自棄になってゆっくりを殺しまくっていたが家族にそれすらも止められた。女性は荒れた。何をしても現実は彼女を苛んだ。
家族は形式だけの見舞いをし、女性が暴れ出す前に帰っていく。友達はもう見舞いにすら来なかった。
本当に一人ぼっち。
彼女の世界は完全に崩壊していた。
だがしかし、たった一人の馬鹿だけは…そんな彼女を見捨てなかった。
幼い頃一緒に遊び、中学生になってから疎遠になっていた従兄弟の男の子…そんな大して親密でもない関係だった少年は家族すら見捨てた彼女を訪ね続けた。
彼女は当然少年にも敵意を向けた。
暴言も吐いたし、近くにあった花瓶を投げ付けて頭に怪我をさせた事もあった。
それでも彼は後日頭に包帯を巻いて何事も無かったかのようにやって来た。
罵倒されても気にもせずやって来た。
そうなれば後は我慢比べとなる。
今でこそ彼女、白神夕緋は彼の性格を知っているが、従兄弟の天然というか鈍感ぷりというか一途さはもはや頑固なんてレベルではない位の異常さに勝とうなんて無謀以外の何物でもなかった。
必然的に彼女は従兄弟に根負けした。
その時の彼女の心境は呆れの感情が大部分を占めていたがそれでも女性は彼に敵意をぶつける事をやめた。
彼女の従兄弟は馬鹿だった。だから女性を見捨てなかった。
逃げれば楽なのに、離れれば簡単なのに、自分の不幸を当たり散らす女なんか見捨てておけばよかったのに…馬鹿な男は馬鹿だからそれをしなかった。
それを見続けてたら彼女は阿呆らしくなった。
こんな場所でウジウジしてた自分も、あんな饅頭もどきのせいで荒れ果てたこれまでも。
このまま落ちぶれたら自分はあんなくそ饅頭もどきに負けた事になる。
元々負けず嫌いだった彼女はその考えに至った瞬間、別の怒りが湧いた。
それは憎悪のようなものではなく見返してやるといったものだった。
彼女はその後火の点いたように勉強し、スポーツ推薦をする予定だった学校よりもランクは低くなったが無事高校に入学出来たのだった。
その後大学へと進学し、今は従兄弟とは違う血縁の祖父の経営する牧場の酪農や農業を手伝っている。
彼女は間違えなかった。落ちぶれなかった。
それは彼女自身の努力によるものであったが、彼女をそちらへと導いてくれた人がいたのを彼女は知っている。
そいつは馬鹿だ。人の敵意なんて気付きもしない、純粋で融通のきかない底無しのお人よしの大馬鹿野郎。だからこそ、ずっと見捨てないでいてくれた。
だから彼女は決めた、彼を守ろうと。
従兄弟はお人よしだ。騙されかけた事だって何度もある。
彼女にとってそれは許せない事だった。
その在り方に救われた彼女にはそれを利用される事は許しがたい行いだった。
だから守る。
自分の利しか考えないような奴に、あいつを利用させてたまるかと心に誓いながら。
だから彼女は嫌悪する。自分を救ってくれた従兄弟を利用しようとするような奴と似た、自分の事しか考えず、他者を見下し、唾棄して何もしない、本質を理解しようともしないゆっくりを嫌う。
かつての自分のように何もかも否定して憎むしか出来なかったように思い上がり傲慢さを振りかざすゆっくりを、夢を奪ったゆっくりを…彼女はどうしても許せなかった。
だから彼女はゆっくりを嫌う。
彼女はゆっくりを殺すのを楽しむ狂人だ。
だけど、従兄弟である男性に対する気持ちだけは嘘偽りはなかった。
「はい、明日には帰れよな。不定期に来るから二人分とか用意すんの面倒なんだからな」
男はそう言いながら女性にご飯の盛られた茶碗を突き出す。
「ん、断る」
それに対して女性は茶碗を受け取りながら満面の笑顔で答える。
「おい…」
女性のあまりにも清々しい笑顔に男は苦笑するしかない。
「いい加減にしろよ…せめてメシ代位払えっての…」
「何を言うか!タダ飯だからこそ美味いんじゃないか!!」
「お前もう帰れ!!」
「嫌に決まってんだろ!!黙ってこっち来たから今帰ったら親に殺されるわ!!」
「なら今俺が殺したらあ!!!」
「返り討ちにしてやるがとりあえず飯食ってからにしようぜ!!」
「それもそうだな」
だが女性は男に本心は絶対に伝えない。いつもふざけた態度ではぐらかす。恥ずかしいからだ。
「お前肉ばっか食うな!!」
「はっはあ!早い者勝ちだぜ!!貴様は白菜でも食ってろ!!」
「白菜なめんなよ!!!」
いつものような掛け合いを続けていく。
彼女は本心は伝えない。男はそれに気付かない。
だからまだ暫くこの関係は続いていくのだろう…。
女性が、自分を男が助けた理由を壊さないでいたいと思う限り…。
女性を男が「友達」という理由で見捨てなかった繋がりを壊さないと互いに思ってる限りこの日々は続いていくだろう。
「てめえ人参を鍋に入れんなよ!!」
「そろそろやばくなってんだよ!我慢しろ!!」
ギャーギャーと口論のように騒がしい声が一軒家に響くのだった。
今度こそEND
おまけ
うん、反省してる。
何て言うか人生の黒歴史間違い無しだね今回のSSは。
もう俺のライフは0だから勘弁して下さい。
まぁそれはさておき前作の「ドスはゆっくりできるんだよ!!」での質問に答えさせていただきます。
天然お兄さんには意図的に戦って欲しくなかったとありましたが、流石にドス相手には天然のままでの進行は天然あきの実力上無理でしたので試行錯誤という名の妥協の結果ああなりました。もう天然あきのライフは0なので許して下さい。
後5メートルサイズのドスの帽子をどうやって持ってたかの質問ですがそこらへんは正直考えてなかったのですが無理矢理説明すると持ちやすいように折り畳んだか関係なく振り回したのどちらかで納得して下さい。お願いします。勘弁して下さい。許して下さい。
最後に天然お兄さんは体罰はしても殺しはしない信条なので直接的にゆっくりを殺す事はしないように気をつけてますが未だにゆっくりに対しての手加減度合いがわからずやり過ぎてしまうという結果と偶然がゆっくりの死因となっているので故意には殺さないように心掛けています。
ご意見ご感想の方は感想掲示板の方にお願いします。
それでは、今回このSSを読んで頂き誠にありがとうございました。
これまで作ったSS
anko0379 おかざりがないとゆっくりできないよ!
anko0400 きゃわいきゅっちぇぎょめんにぇ!!
anko0436 れいむはしんぐるまざーでかわいそうなんだよ!!
anko0492 大好きだよ
anko0548 おきゃあしゃんのおうちゃはゆっきゅちできりゅね!
anko0624 元銀バッジまりさの末路 上
anko0649 元銀バッジまりさの末路 中
anko0741 かいゆっくりじゃなくてごめんね!! 上
anko0742 かいゆっくりじゃなくてごめんね!! 下
anko0780 おうちのなかでかわれなくてごめんね!!
anko0789 元銀バッジまりさの末路 下
anko0864 あまあまおいてさっさとでてってね!!
anko0918 雨の日はゆっくり遊ぼう
anko0998 すっきりしたいわあああああ!!
anko1037 元銀バッジまりさの末路 終の1
anko1038 元銀バッジまりさの末路 終の2
anko1067 切断マジック(?)
anko1096 ゆっくり祭『どんど焼き』
anko1132 すないぱーうどんげ養成所の最終試験 その1
anko1154 すないぱーうどんげ養成所の最終試験 その2
anko1177 犬小屋と殺虫剤
anko1205 あみゃあみゃもっちぇきょいくちょじじい!!
anko1286 ゆっくりをハサミで切るだけの話
anko1318 必然の死
anko1385 からだのしんからあったまろうね!!
anko1412 しゃんはいとほーらいとその子供
anko1613 でいぶはかわいそう。
anko1642 でいぶはかわいくってかわいそうなんだよ!!
anko1882 群れの壊滅理由
anko1883 すないぱーうどんげ養成所の最終試験 その3
anko1884 すないぱーうどんげ養成所の最終試験 その4(終)
anko2397 これでふゆさんもだいじょうぶだね!!
anko2543 ドスはゆっくりできるんだよ!!
虐待 嫉妬 妬み 変態 戦闘 お家宣言 駆除 番い ゲス 現代 虐待人間 黒歴史間違いなしの一作by天然あき
・俺設定あり。
・展開がおかしいのは毎度の事ながら仕様です。
・中二病注意です。
・ある意味人間がひどい目にあってます。
天然あき
「どうじでごんなごどずぶのお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!?」
ボコボコにされて顔が腫れ上がった髪と帽子からかろうじてまりさだとわかるゆっくりが叫ぶ。
「でいぶはゆっぐびじでだだげなのに゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!」
それにつられるように同じような惨状のゆっくりれいむが叫ぶ。
「…………」
それを冷たい眼差しで見下す背の高い女性。
ここはある一軒家の使われていない一室。
この女性の従兄弟が現在一人暮らししており女性がちょくちょく遊びに来ているのだ。
そこにまりさとれいむはおうち宣言をして好き勝手していた。
発見が早かった為コップが一つ割れ、観葉植物が食い荒らされた程度で被害は軽微だった。
本来ならばれいむ達はすぐに潰されていただろう。
しかしここの家主の男性は怒るどころかれいむ達をもてなした。
犬猫が家に侵入したのと同じように判断して…犬猫相手だとしても行動としてはおかしいが、彼はれいむ達をもてなした。
しかしそんな彼に対してれいむ達は暴言を言い放つ。彼を馬鹿にし、罵倒し、利用した。
あまあまを要求し、差し出された菓子を汚く貪り、彼に向けてうんうんを撒き散らしそれを処分するように言った。
彼はそれに嫌な顔一つせず従ったが、女性は違った。
彼が菓子を取りに去った後れいむとまりさを使っていない部屋へ連れ込み、彼にはれいむ達は帰ったと伝えた。
先程のれいむ達の振る舞いを別にしてもこの女性はゆっくりが大嫌いだったので、使っていない部屋に連れて来た後れいむ一家に問答無用で殴る蹴るの暴行を
加えたのだ。
そこに会話はない。あるのは肉体言語という名の暴力だ。
そして冒頭の叫びに繋がる。
「………………」
女性は不快そうな顔をして蹴り飛ばす。
後の掃除の事も考えて餡子が撒き散らさない程度の威力で放たれた為れいむはまだ死ねない。
「ぶぎゅう゛う゛!!?」
「でいぶう゛う゛う゛う゛う゛!!?」
喧しく騒ぐ事しか出来ないゆっくり共。
「ゆぎ…どぼじでぇ…ごんなごどずぶのぉ…」
「………………」
れいむは女性に訴えかけるが肝心の女性は何も答えない。ただ不快そうな顔のままれいむ達を見下ろす。
それは人間が野良ゆっくりにする汚物を見るような顔ではなくまるで親の仇を見るような憎悪の篭ったものだった。
「も…もうやめるんだぜ!!」
まりさが女性に向けて叫ぶ。
その結果冷たい眼差しがまりさに向けられる。
「ゆ…!?」
まりさの女性のその眼を見ただけで恐怖してしまう。
女性はまりさ達を殺すのに躊躇いもない。
楽しむ気もなくさりとて許す気もなくまりさ達に拳や蹴りを放つ。
「ゆ…ゆゆ!!」
しかしまりさはそんな中で叫んだ。それは勇猛ではなく単なる蛮勇だった。
「ま、まりさとれいむはゆっくりしてただけなんだぜ!!どうしてこんなことするんだぜ!!?」
ガチガチと無意識に歯を鳴らしながらまりさは告げる。
「……………」
だが女性は答えない。
ただ攻撃だけをまりさ達に向けて放つ。
遊びもせず、さりとて苦しめもせずただ八つ当たりの如く暴力だけを答えのようにぶつけてくる。
「……お前等はゆっくりしてたんだろ?」
だがその時女性は初めて口を開いた。
「そ、そうなんだぜ!じぶんがゆっくりしてないからってしっとするのはおかどちがいなんだぜ!!」
まりさはあらん限りの声量で叫ぶ。
「……ああ?」
女性はまりさの言葉に不快度合いを更に増す。
どうやらまりさは女性がゆっくりしている自分達に嫉妬してこのような凶行を行っていると思い込んでいるようだった。
「……やっぱりこいつ等とは会話するだけ無駄だな」
女性はため息をつきながら呟く。どう考えても呆れている。
だが何処をどう見たらそう思うのかわからないがまりさは、
「ゆふん!ずぼしをつかれてこえもでないんだぜ!!」
と思っていた。
「……………」
女性はもはや言葉も出ない位呆れていたがそれを都合よく解釈するのがゆっくりだ。
「はずかしいからっていつまでもだまってないではんせいしたらさっさとあまあまもってくるんだぜ!!」
まりさはいつの間にか立場が逆転したと勘違いし、女性に向けて偉そうに命令する。
女性はもうまりさに対して不快感しか感じなかった。
「ゆぶぼぉッ!?」
拳を叩きつける女性。宙を舞うまりさ。
「まりざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゜!!?」
そして喧しく騒ぐれいむ。
どちらも同じ反応すぎて面白みも何も感じない。
「ぶぎゅべ!?」
まりさは空中浮遊から帰還して床と熱いちゅっちゅを交わす。
「………」
「ぶぎゅぼお!?」
そして女性はそんなまりさを餡子を吐かない程度に踏み付けて自由を奪う。
「ゆがあ゛あ゛あ゛あ゛はなぜえ゛え゛え゛!!!」
まりさは叫ぶ。
宙を舞う拳を喰らったのに変わらぬふてぶてしさは滑稽通り越して心配になってくる。
女性はそんなまりさを踏み付けながら見下していた。
「お前等は…ゆっくりしてんだよな人間よりも…?」
女性は抑揚がない声で尋ねた。
「あだりまえだぜ!!まりざはにんげんなんがどはくらべぼのにならないぐらいずごいんだぜ!!」
踏み付けられておきながらどうしてそこまで自信が持てるのか女性にはわからない。
だから気にしない事にした。
「そうか…ならゆっくりしてろよ」
「ゆ?」
まりさはきょとんとする。
そして都合のいい方向へと導く事に対しては高い能力を持つゆっくりブレインを使ってまた都合よく解釈した。
「ゆ、ようやくじぶんのたちばをりかいしたんだぜ!!ばばあはざっざとまりざにあばあばをべえ゛!!?」
女性は踏む強さを強めた。
そして今までの無表情がまるで嘘のように憤怒の表情を浮かべて叫んだ。
「それはてめえらで言うむーしゃむーしゃとやらだろう!!!」
「ごべえ゛!!?」
遂に餡子を吐き出してしまうまりさ。
「俺はいつお前にむーしゃむーしゃしろって言ったか?俺はゆっくりしろって言ったんだ、ゆっくり以外してんじゃねえよ!!!」
「ぶぎゅう゛う゛う゛う゛!!?」
勢いよく踏み付けるが絶妙の力加減なのか勢いに比べてまりさの吐餡の量が少なくなかった。
「なぁ…てめぇ等はゆっくりだよな?ゆっくりなんだよなぁ!!だったらゆっくりしてろよ!!人の前に出てくんじゃねえよ!!喚き散らすんじゃねえよ!!子供なんて作るんじゃねえよ!!」
「ゆがぁ…!?」
女性はまりさを蹴り飛ばす。
痛め付けられながらもまだまりさは死ねない。
「まりざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」
「うるせぇな…喚くんじゃねえよ…」
女性はれいむを掴む。
「ゆがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛はなぜえ゛え゛え゛え゛!!?」
頭をわし掴みにされ、ふりんふりんと身体を揺らすれいむ。
「てめえらはゆっくりだろ?ゆっくりするのがゆっくり出来るんだろ?ならさっさとゆっくりしろよ」
そう言いながら女性は掴んだ頭に力を入れる。
「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」
女性の指先がれいむの頭に食い込んでいく。
ゆっくりが味わうのには稀有な痛みを受けながられいむはそれでも死ねない。
「なぁ早くゆっくりしろよ…」
女性はれいむに言う。
力を弱め、何とかれいむを回復させてから告げる。
「ゆ゛…ゆぅ…もうやぢゃあ゛…ゆっぐりじだい゛…」
れいむは涙を流しながら呻く。
「ならゆっくりしろよ。俺は喚けとも泣けとも言ってねえぞ」
「でぎるわげないでじょお゛お゛お゛お゛お゛!!!」
れいむは叫んだ。
ゆっくりなんて出来る訳がない。
あまあまもおちびちゃんもいない、あるのはゆっくりできないばばあのみ。
そんな状況でゆっくり等出来る訳がない。そうれいむは思っていた。
「は、何でだよ。お前等ゆっくりだろ。ゆっくりすんのが生きがいだろうが。それが出来ないってお前自分を否定してるようなもんだぞ」
だが女性はそんなれいむにそんな言葉を言い放つ。
れいむは我慢の限界だった。
れいむ達をゆっくりさせない目の前の女性を許す事は出来なかった。
「ばばあがでいぶをゆっぐりざぜないがらでじょお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!でいぶだぢがゆっぐりじでるがらっでじっどじないでね゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」
れいむは叫ぶ。馬鹿な人間にもわかるようにありったけの知性(?)を込めて。
れいむは今の自分の叫びを聞けば人間もきっと自分の愚かさに気付くと思っていた。だが、
「ふうん…つまりてめぇのゆっくりはその程度か…」
しかし返ってきた答えはれいむが予想していたものとは全く違っていた。
「ゆ?」
れいむには女性の言葉の意味がわからなかったが女性は構わなかった。
元より会話をしているつもりではないのだから。
「お前等ゆっくりってのは人間よりもゆっくりしてんだろ?だからゆっくりは人間なんかよりも上なんだろ?」
女性は質問の体だが別に返事が返って来なくても別に構わない。
「それとも人間の方がゆっくりしてんのか?」
だが驕り高ぶったれいむが人間よりゆっくりしてないなんて認める訳がない。
「ぞんなわげないでじょう゛う゛う゛う゛う゛!!!でいぶはにんげんなんがよりもずうっどずうっどゆっぐりじでるにぎまっでるでじょお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」
ゆっくりしてる=格上という図式が凝り固まっているれいむが見下していた人間よりも劣るなんて認める事は絶対にない。
必要以上に誇りと虚栄心を持った者は操りやすいものだ。
「ふーん…じゃあゆっくりが人間に負ける訳はないのか…」
「あだりまえでじょお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!でいぶがぐぞにんげんにまげるわげないでじょお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」
「ならゆっくり出来るだろ?てめえらはゆっくりで俺は人間だ。人間はゆっくりしていない。ゆっくりはゆっくりしてる。だったら人間はどう足掻いてもゆっくりには勝てない。ゆっくりはゆっくりしてるからな。だったら人間である俺はどう足掻いてもお前等どうこうは出来ないよな?」
女性はゆっくりゆっくりと自分でも訳が分からなくなりながらも呟く。
「ゆ!ぞのどおりだよ!!だがらばばあはざっざど…」
「ならおかしいよな?人間が何したってゆっくりに勝てないなら何でてめえらは俺にゆっくりさせられなくなってんだ?」
「ゆ?」
何度目になるかわからないれいむのきょとん。
それを気にせず女性は呟き続ける。
「ゆっくりはゆっくりしてる、これは絶対。人間はゆっくりしていない、これもお前等からすれば絶対だ。ならゆっくりは人間よりも絶対に優れてる。そうだよな?」
「ゆ!ぞうだよ!!だがらばばあはざっざど…」
「だったら人間にゆっくり出来なくされるお前等って何だ?」
「ゆぇ?」
デジャヴュのような光景が繰り返されるが女性は気にしない。
「人間程度にゆっくりできなくさせられるてめえらは実は大した事ないんじゃないのか?ゆっくりとして」
その言葉にれいむの顔が変貌する。
自分はゆっくりしていない。そんな事を認めればそれはゆっくりとしておしまいだ。
凝り固まって壁に張り付いた油汚れみたいにはがしにくいプライドを持ったれいむがそれを許す筈がない。
ならばする事はただ一つ。
「ぞんなわげないでじよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」
感情に任せた理屈もへったくれもない否定だった。
「でいぶはゆっぐびじでるんだよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!ばがなにんげんがなにじだっででいぶはゆっぐりじでるんだよお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」
れいむは叫ぶ。そこにあるのは単なる感情の吐露だった。
「ぞうなんだぜ!!」
しかしその声に同意する声がした。
「まりさだちはゆっくりしてるんだぜ!!にんげんだちがなにやったってそれはゆるぎないんだぜ!!!だからばばあはゆっくりしてるまりさにあまあまもっでぐるんだぜ!!」
何だかよくわからない事をまりさは口走る。
こいつ等は自分のプライドを守る為ならば平気で矛盾した事を言うからタチが悪い。
だが元々女性はゆっくりを言い負かそうとしている訳ではないので別に構わなかった。
「なら…ゆっくりしてろよ。何があってもよ」
「ゆ…ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」
れいむの絶叫が響いた。
れいむを掴んでいた女性の指が遂に皮を破りれいむの中に侵入した。
「で、でいぶう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!?」
相変わらず騒ぐしか出来ないまりさ。
「ゆっくりしてろよ…てめえらはゆっくりなんだろ…?人間よりも上なんだろ?だったらゆっくりしてろよ!!俺が殴っても蹴ってもバスに轢かれてもゆっくりしてろよ!!ゆっくりが好きなら勝手に隅っこでゆっくりしてろよ!!!」
「ゆぶべえ゛!!?」
れいむは床にたたき付けられた。
「でいぶ!?ばばあよくぼお゛!!?」
まりさが何かを言おうとしていたが女性はその言葉を全く聞いていなかった為問
答無用でまりさを蹴り飛ばす。
「ゆぎい゛…いぢゃい゛ぃ…」
れいむは痛みに喘いでいた。
どうして自分がこんな目に遭うのかわからなかった。
れいむは自分のゆっくりに絶対の自信を持っていた。
こんなにゆっくりしている自分がゆっくり出来ない訳がないと訳の分からない理論を持っていた。
だが何処の世界にもゆっくりしていれば安全が保証されるなんて事はない。
現実はれいむの思想とは全く違った。
「ゆっぐり…じだいぃ…」
れいむは訴える。
「ならゆっくりすればいいだろ?」
女性はれいむを見下ろしながら告げる。
「ゆっくりしたいならすればいいだろ。したいしたいって言っててめえらこっちに命令ばっかりして自分でゆっくりしようとしなかったじゃねえか…」
「ゆ…ぎ…」
「お前等はゆっくりしてると言ってんのにゆっくりさせろと言ってやがる…ゆっくりしてるならゆっくりさせてもらう必要はねえよな?」
会話の体を為してない言葉の一方通行が女性の口から放たれる。
「ゆっくりしてんなら人の前に出てくんじゃねえよ…命令してくんじゃねえよ…人の夢を…奪うんじゃねえよ…」
れいむを攻撃する女性の声に段々と嗚咽が混じり始める。
「…ごべ…なざ……」
れいむは謝罪する。とりあえず謝っておけばいいという理論だ。
「……何を悪いと思ってんだ…?」
女性は謝ったれいむに尋ねる。
「ごべんなざ…でいぶがわるがっ…でぶ…」
れいむは女性の言葉に返事せず謝罪の言葉を羅列する。
「お前は…何が悪いと思ったんだ…?」
女性は変わらず尋ね続ける。
「ゆる…じで…ゆっぐり…ざぜ…で…」
「すればいいさゆっくり。勝手にな」
そう言いながら女性は足を振り上げる。
「なぁ…俺の何が悪かったんだ…?」
その言葉と共に女性の足が振り下ろされ、れいむの踏み潰される音が響いたのだった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「れ…いむ…」
まりさはれいむが潰されるのをまじまじと見ていた。
そこから生まれたのはれいむを失った喪失感でも女性に対する怒りでもなく…ただただ純粋な恐怖だった。
「…ったく思い出したくもない事思い出しちまった…」
女性は涙ぐみながら苛立たしげに呟く。
そして視線をまりさに向ける。
「ゆひぃ!!?」
それだけでまりさは戦慄する。
「残るはてめえだけだ。もう面倒臭いからさっさと殺す」
「ゆ…ゆゆゆ…」
まりさは歯をガチガチと鳴らす。
「……大分らしくなってきたじゃねえか。そっちの方が殺し甲斐がある…」
女性は涙を拭い笑う。
純然たる愉悦の笑み。それは嗜虐を込められた陰惨たる笑みだだった。
「ゆ…ゆゆ…」
まりさは恐怖のあまりおそろしーしーを漏らしてしまう。
「どうした、ゆっくりしろよ。最期位ゆっくりしといた方がいいぜ。もうすぐ死ぬんだしな」
そう言いながら女性はわざとゆっくりとまりさに近付いていく。
一歩進む毎にまりさは顔を引き攣らせていく。
そして、
「ご、ごごごごごめんなざい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」
顔を床に押し付けて謝罪した。
「ん?」
突然の謝罪に女性は怪訝そうな表情を浮かべる。
「まりざがわるがっだでぶうううううう!!だがらゆるじでぐだざびい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」
まりさがした最後の手段は謝罪による命乞いだった。
反省の意を見せれば助かるかもしれないという魂胆だった。
だが、
「駄目だ」
女性は一蹴した。
それにまりさは驚愕する。
「どうじでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!?ばりざあやばってるんだよ!!ゆるずのがとうぜんでじょお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!?」
あまりにもあんまりな暴論がまりさの口から放たれる。
「俺は別にお前が何に対して謝ってんのかなんてどうでもいい」
そう言いながら女性はまりさを掴み上げる。
「ゆあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?ゆるじでぐばざい゛い゛い゛い゛!!!ばりざはぜんぜんゆっぐびじべばぜんでじだあ!!!おねえざんのぼうがゆっぐりじでばずう゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!」
自らの命の為にゆっくりすら捨て去るまりさ。
だがそれでも、
「俺は別にゆっくりしてなくても構わねえよ。それとは関係なく俺はお前を殺す」
「どうじでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!?ばかにじだごどならあやばりまずがらあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
「別に謝る必要はねえよ。饅頭ごときの戯言に一々耳を貸してたらこっちの頭の血管が破裂しちまう」
「だっだらどうじべえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!?」
まりさは叫ぶ。何をしても駄目。まりさにとってあまりにも理不尽な女性の言葉に答えを求めるかのように問い掛ける形で叫ぶ。
そして女性は答えた。まりさが死ぬ理由を。
「お前は…あいつを馬鹿にした…」
「ゆ?」
まりさはきょとんとする。
あいつとは誰か?と考えてさっき女性と一緒にいた男の事を思い出す。
「ゆ…」
「喋るな黙れ。何を言おうと俺は絶対にお前を殺す」
「ゆ…ぴぃ…」
女性はまりさの口を手で塞ぎ、そこからぎりぎりと圧迫させていく。
「俺を馬鹿にするのはいい。だがあいつを馬鹿にすんのは許さない…」
「…………」
圧迫が強まりまりさは痛みに涙を流し出す。
「ああ確かにあいつは馬鹿さ…けどな、だから俺を見捨てないでくれた。だから…助けてくれた」
まりさは目を見開く。もはや激痛で女性の話を聞く余裕もない。しかし女性はそれも構わず呟く。
「俺を助けてくれたあいつの在り方を…てめえは侮辱した。だから…絶対に殺す」
「………………!!?」
目を血走らせまりさは暴れるが女性の手は尚更深く食い込んでいく。
「そんだけだ。そんな下らねえ理由がてめえの死ぬ理由だ。だけど俺にとっちゃそれが譲れねえ理由なんだよ」
「~~~~~~!!?」
暴れるあまりまりさは帽子を落としてしまう。しかしあまりの激痛にまりさは帽子を落とした事にも気付けない。
「じゃあな、最後にいい事教えといてやる。ゆっくりしたきゃ人間には近付くな。下らねえ理由で殺されるからな」
その言葉と共にグチャリ、と嫌な音がし、まりさは暴れるのを止めて二度と動かなくなった。
「あーあ、何やってんだよ全く…饅頭と会話するなんざあいつみたいじゃねえか」
女性はまりさを放り投げてウザったそうに手に付いた餡子を落とす。
「やっぱりゆっくりと会話なんて暇人と馬鹿のする事だ。しょうにあわないったらねえ」
女性は一人ぶちぶちと愚痴を漏らしながら部屋から退室する。
「やっぱりゆっくりは普通にボコッた方が気持ちいいな…」
女性はそう言いながられいむとまりさをほったらかしにしながら部屋から出ていった。
END
おまけ(虐待と関係のないポエムみたいな話なので興味のない人は無視して下さい)
「お前、あいつ等追い出したんだんじゃないよな?」
男が夕飯であろう水炊き鍋を運びながらリビングで寝転がっている従姉妹の女性に問い掛ける。
「ああ?追い出してはいねえよ」
テレビを見ながら女性はうざったそうに答える。
「そっかならいいけど…お前ゆっくり嫌いだからな」
鍋をテーブルに置き、男は再び台所へ歩いていく。
「仕方ないだろ、あいつ等に何度実家の畑荒らされたと思ってんだよ…それに…」
そこで女性は言い淀む。
「………まだ引きずってるみたいだしな…」
自己嫌悪しながら女性は呟く。
女性はゆっくりが大嫌いだった。
飼いゆっくりだろうと希少種だろうと区別なく大嫌いだった。
それは憎悪に近いもので、彼女はゆっくりを殺さずにはいられないのだ。
流石に飼いゆっくり等には手を出す事はしなかったが彼女の目の前に現れたゆっくりを何千匹も殺してきた。
それを八つ当たりだと彼女もわかっている。それを楽しんでいる自分をおかしいという自覚もある。
だがゆっくりのせいで夢を潰された彼女にはどうしてもゆっくりは許せなかった。
彼女は中学時代将来有望なバレーボール選手だった。
高校もスポーツ推薦の話が上がるほどで、順風満帆といった日々を送っていた。
彼女の生活はほぼバレーボール一色。
日々アタッカーとして並々ならぬ努力を重ねていた。
だがそんな日々は唐突に終わった。
それは部活動での遠征の移動中に起きた。
乗っていたバスがゆっくりを轢いてスリップし横転。
彼女は割れたガラスが足に突き刺さり足の健を切ってしまう大怪我を負ってしまった。
失血によって意識を失う瞬間、彼女の耳に届いたのは我が子達を轢かれた事を口実に人間からあまあまを人間から搾取しようとする親であろうれいむの叫び声だった。
そうして、彼女の生活は一変した。
日常生活には支障のないものの以前のような万全時の跳躍は不可能になった。
事実上、バレーボール選手としての選手生命への死刑宣告だった。
それだけではなく怪我による長期的入院により彼女の中学生最後の夏はあっけなく終わり、まとまりかけていた推薦も白紙となった。
部活の仲間もよそよそしくなり、いつの日にか彼女に関わらなくなっていた。
推薦も白紙になり、長期の入院で進学すらも危うくなっていた。
彼女は何もかもが憎かった。
特に自分の夢を、生き甲斐を奪ったゆっくりが憎かった。
我が子の死を自身の欲望に利用するゆっくりが、そんな奴に夢を潰された現実が、たまらなく憎かった。
結果彼女はその憎しみを周囲に当たり散らした。泣き叫び、暴れ回り、全てに敵意を向けた。
そうしている時だけ彼女は自分の現実を忘れられた。他にも野良のゆっくりを見つけては嬲り殺した。
ざまあみろと思った。
楽しかった、気持ち良かった。すっきりした。その時の快感が今も女性がゆっくりを殺している理由だろう。
そんな様子に友達は驚き、恐怖し、離れていった。
家族も最初は親身になったがいずれ疲れて離れていった。
彼女は僅か数日の間に何もかも失った…そう、女性は思っていた。
自棄になってゆっくりを殺しまくっていたが家族にそれすらも止められた。女性は荒れた。何をしても現実は彼女を苛んだ。
家族は形式だけの見舞いをし、女性が暴れ出す前に帰っていく。友達はもう見舞いにすら来なかった。
本当に一人ぼっち。
彼女の世界は完全に崩壊していた。
だがしかし、たった一人の馬鹿だけは…そんな彼女を見捨てなかった。
幼い頃一緒に遊び、中学生になってから疎遠になっていた従兄弟の男の子…そんな大して親密でもない関係だった少年は家族すら見捨てた彼女を訪ね続けた。
彼女は当然少年にも敵意を向けた。
暴言も吐いたし、近くにあった花瓶を投げ付けて頭に怪我をさせた事もあった。
それでも彼は後日頭に包帯を巻いて何事も無かったかのようにやって来た。
罵倒されても気にもせずやって来た。
そうなれば後は我慢比べとなる。
今でこそ彼女、白神夕緋は彼の性格を知っているが、従兄弟の天然というか鈍感ぷりというか一途さはもはや頑固なんてレベルではない位の異常さに勝とうなんて無謀以外の何物でもなかった。
必然的に彼女は従兄弟に根負けした。
その時の彼女の心境は呆れの感情が大部分を占めていたがそれでも女性は彼に敵意をぶつける事をやめた。
彼女の従兄弟は馬鹿だった。だから女性を見捨てなかった。
逃げれば楽なのに、離れれば簡単なのに、自分の不幸を当たり散らす女なんか見捨てておけばよかったのに…馬鹿な男は馬鹿だからそれをしなかった。
それを見続けてたら彼女は阿呆らしくなった。
こんな場所でウジウジしてた自分も、あんな饅頭もどきのせいで荒れ果てたこれまでも。
このまま落ちぶれたら自分はあんなくそ饅頭もどきに負けた事になる。
元々負けず嫌いだった彼女はその考えに至った瞬間、別の怒りが湧いた。
それは憎悪のようなものではなく見返してやるといったものだった。
彼女はその後火の点いたように勉強し、スポーツ推薦をする予定だった学校よりもランクは低くなったが無事高校に入学出来たのだった。
その後大学へと進学し、今は従兄弟とは違う血縁の祖父の経営する牧場の酪農や農業を手伝っている。
彼女は間違えなかった。落ちぶれなかった。
それは彼女自身の努力によるものであったが、彼女をそちらへと導いてくれた人がいたのを彼女は知っている。
そいつは馬鹿だ。人の敵意なんて気付きもしない、純粋で融通のきかない底無しのお人よしの大馬鹿野郎。だからこそ、ずっと見捨てないでいてくれた。
だから彼女は決めた、彼を守ろうと。
従兄弟はお人よしだ。騙されかけた事だって何度もある。
彼女にとってそれは許せない事だった。
その在り方に救われた彼女にはそれを利用される事は許しがたい行いだった。
だから守る。
自分の利しか考えないような奴に、あいつを利用させてたまるかと心に誓いながら。
だから彼女は嫌悪する。自分を救ってくれた従兄弟を利用しようとするような奴と似た、自分の事しか考えず、他者を見下し、唾棄して何もしない、本質を理解しようともしないゆっくりを嫌う。
かつての自分のように何もかも否定して憎むしか出来なかったように思い上がり傲慢さを振りかざすゆっくりを、夢を奪ったゆっくりを…彼女はどうしても許せなかった。
だから彼女はゆっくりを嫌う。
彼女はゆっくりを殺すのを楽しむ狂人だ。
だけど、従兄弟である男性に対する気持ちだけは嘘偽りはなかった。
「はい、明日には帰れよな。不定期に来るから二人分とか用意すんの面倒なんだからな」
男はそう言いながら女性にご飯の盛られた茶碗を突き出す。
「ん、断る」
それに対して女性は茶碗を受け取りながら満面の笑顔で答える。
「おい…」
女性のあまりにも清々しい笑顔に男は苦笑するしかない。
「いい加減にしろよ…せめてメシ代位払えっての…」
「何を言うか!タダ飯だからこそ美味いんじゃないか!!」
「お前もう帰れ!!」
「嫌に決まってんだろ!!黙ってこっち来たから今帰ったら親に殺されるわ!!」
「なら今俺が殺したらあ!!!」
「返り討ちにしてやるがとりあえず飯食ってからにしようぜ!!」
「それもそうだな」
だが女性は男に本心は絶対に伝えない。いつもふざけた態度ではぐらかす。恥ずかしいからだ。
「お前肉ばっか食うな!!」
「はっはあ!早い者勝ちだぜ!!貴様は白菜でも食ってろ!!」
「白菜なめんなよ!!!」
いつものような掛け合いを続けていく。
彼女は本心は伝えない。男はそれに気付かない。
だからまだ暫くこの関係は続いていくのだろう…。
女性が、自分を男が助けた理由を壊さないでいたいと思う限り…。
女性を男が「友達」という理由で見捨てなかった繋がりを壊さないと互いに思ってる限りこの日々は続いていくだろう。
「てめえ人参を鍋に入れんなよ!!」
「そろそろやばくなってんだよ!我慢しろ!!」
ギャーギャーと口論のように騒がしい声が一軒家に響くのだった。
今度こそEND
おまけ
うん、反省してる。
何て言うか人生の黒歴史間違い無しだね今回のSSは。
もう俺のライフは0だから勘弁して下さい。
まぁそれはさておき前作の「ドスはゆっくりできるんだよ!!」での質問に答えさせていただきます。
天然お兄さんには意図的に戦って欲しくなかったとありましたが、流石にドス相手には天然のままでの進行は天然あきの実力上無理でしたので試行錯誤という名の妥協の結果ああなりました。もう天然あきのライフは0なので許して下さい。
後5メートルサイズのドスの帽子をどうやって持ってたかの質問ですがそこらへんは正直考えてなかったのですが無理矢理説明すると持ちやすいように折り畳んだか関係なく振り回したのどちらかで納得して下さい。お願いします。勘弁して下さい。許して下さい。
最後に天然お兄さんは体罰はしても殺しはしない信条なので直接的にゆっくりを殺す事はしないように気をつけてますが未だにゆっくりに対しての手加減度合いがわからずやり過ぎてしまうという結果と偶然がゆっくりの死因となっているので故意には殺さないように心掛けています。
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それでは、今回このSSを読んで頂き誠にありがとうございました。
これまで作ったSS
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anko2543 ドスはゆっくりできるんだよ!!