ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko3010 あるれいむの一生 いつまでもその笑顔を
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ankoss
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『あるれいむの一生 いつまでもその笑顔を』 23KB
虐待 不運 姉妹 赤ゆ 自然界 現代 作、長月 おかげさまで50作目です
虐待 不運 姉妹 赤ゆ 自然界 現代 作、長月 おかげさまで50作目です
※俺設定注意
※キ●ガイ人間注意
※作、長月です
※キ●ガイ人間注意
※作、長月です
れいむは幸せだった。
優しくて頼もしいつがいのまりさ。かわいらしいおちびちゃん。そしてゲスなどいない群れの仲間達。
ささやかだけど皆がいつも笑ってられるゆっくりプレイス。
いつまでもこのみんなとゆっくりしていたい。いつまでもこの笑顔を見ていたい。
そうれいむは思っていた。
あるれいむの一生 いつまでもその笑顔を
その日れいむは悪夢を見た。
れいむ達の群れにゆっくりできない人間が来る夢だ。
ゆっくりできない人間達によりゆっくりプレイスは全部壊され
まりさと苦労して二人で作ったおうちも
長のぱちゅりーも、親友のありすも、群れのみんなも、
全てなくなってしまう。
そしてれいむ自身もゆっくりできない人間に捕まり、ゆっくりできない目に合わされ続ける。
そんな夢だった。
「・・・れいむおきるんだぜ・・・れいむ。」
朝起きるとそこにあったのはつがいのまりさの顔だった。
「ゆめ・・だったの?」
ほっとするれいむ。ここはれいむのおうち。怖い人間などどこにもいない。
「だいじょうぶなのぜ?ずいぶんうなされてたみたいだけど。」
「うん・・・ちょっとわるいゆめさんみちゃって・・・」
そう言いながらチラリと横目でおちびちゃんを見るれいむ。
すぅすぅと寝息を立てて2匹の子ゆっくり達。目に入れても痛くない自分達の愛の結晶だ。
良かった。この子たちが無事で。夢の中ではおちびちゃんも一緒にゆっくりできない人間に捕まったのだから。
それにしても不安だ。これが正夢にならないか。最近はこの山へ人間さんの乗った大きなすぃーも良く来るし。
「そんなかおしてんじゃないんだぜ。おかあさんがそんなゆっくりできないかおしてちゃおちびちゃんもふあんがるんだぜ。」
「まりさ・・・」
「だいじょうぶ!!れいむはまりさがまもるんだぜ!!たとえあいてがれみりゃだろうがれいぱーだろうがにんげんさんだろうがぶっとばしてやるんだぜ!!だかられいむはおちびちゃんとゆっくりすることだけかんがえてればいいんだぜ!!」
そう言ってまりさはれいむにすーりすりしてくれた。
ああなんて頼もしいんだろう。本当にこのまりさと一緒になってよかった。
「ありがとうまりさ。れいむ、まりさといっしょにゆっくりできてしあわせだよ。」
れいむは幸せを噛み締める。
「じゃあおちびちゃんおこしてあさごはんにするんだぜ!!」
「うん。そうだね。」
子供達を起こすれいむ。こうしてれいむの一日が始まった。
「それじゃあ、いってくるんだぜ!!」
「うん。きをつけていってきてね。」
れいむは狩りにいくまりさを見送る。
「さてと・・・こんどはおとびちゃんをがっこうにいかせないとね。」
今度は子供達を群れの広場にある「がっこう」へ送り届ける。
「じゃあおちびちゃんたち。おさのいうことちゃんときいてたくさんおべんきょうしてね。」
「「ゆっきゅりりきゃいしたよ!!!」」
この「がっこう」は週2回程度、長ぱちゅりーが教師役をやっている所で群れの子ゆっくりなら誰でも通うことができる。
ここで群れの掟やゆっくりとして必要な一般常識などを学ぶのだ。
こうした教育の成果なのかこの群れにはゲスやれいぱー、でいぶが皆無と言っていいほどいない。
「あっ、ありす!!ゆっくりしてってね!!」
「あられいむじゃない。こちらこそゆっくりしてってね!!」
帰り道れいむは親友のありすに出会った。どうやらありすも自分の子ゆっくりを「がっこう」に送り届けた帰りらしい。
このありすとれいむは子ゆっくりの時からのつきあいで、つがいのまりさとも幼馴染だった。昔は群れで一番強くてかっこよかったまりさとどっちがずっと一緒にゆっくりするかよくけんかしたものである。
結局まりさはれいむをつがいとして選び、ありすは他のゆっくりとつがいになったのだが2匹の交友はいまだに続いている。
普通こういった三角関係になると人間でも友情にひびが入ってぎくしゃくしそうだが2匹の友情は変わらない。
「そういえばこのまえおしえてあげたおようふくかんせいした?」
「きょうにでもかんっせいっさせてまりさにプレゼントするよていだよ。」
ありすにはこの前干草で作ったお洋服(実際は靴下に近いが)の作り方を教わった。ありすはこの群れ一番の編み物上手なのだ。
「そう・・まりさといつまでもゆっくりしてね。」
「ありす・・・」
れいむは胸が熱くなる。本当はありすもまりさが好きなはずなのに。にも関わらずそのまりさの為んのお洋服の作り方を親身になって教えてくれるなんて。
「ありがとうありす・・・ほんとうにありがとう・・・」
「もう、なにないてるのよ!!わたしたちともだちなんだからとうぜんでしょ!!」
そういって笑ってくれるありすを見て本当にありすと友達で良かったとれいむは思った。
夕方れいむは広場へ行った。「がっこう」へ行っていた子供達を迎えに行く為だ。
広場には十数匹の子ゆっくりと長ぱちゅりー、そしておそらく教材として使われたらしい小石や草などが転がっていた。
「おさ、ゆっくりしてってね!!」
「むきゅ、れいむ。ゆっくりしてってね!!おちびちゃんをむかえにきたのね。」
「おちびちゃんはきょうもいいこにしてた?」
「ええ、とっても。みんなれいむたちのおちびちゃんくらいゆうしゅうだとぱちゅもらくなんだけどね。」
「もう・・・そんなにおだてないでよ・・」
照れるれいむ。ぱちゅりーのいうことはお世辞ではない。
親の欲目なしにれいむの子供達は優秀で次の長は2匹のどちらかだろうと群れではもっぱらの評判だ。
賢くて思いやりがあってゆっくりしたおちびちゃん。こんなおちびちゃんを持てて本当に自分は幸せだ。
「ようれいむ。おちびちゃんのでむかえ、ごくろうさまなのぜ。」
家に帰る途中狩りから帰ってきたまりさと出会った。帽子がぱんぱんに膨らんでいる所を見ると今日も大漁だったのだろう。
「あっまりさ!!かりからかえってきたんだね。」
「おとーしゃん!!」
子れいむと子まりさはまりさに駆け寄る。
「きょうは、おちびちゃんたちのすきなのいちごさんがとれたんだぜ。」
「ゆわーい。まりしゃ、のいちごだいしゅきなのじぇ!!」
「おとうしゃんはほんとにかりがじょーずなんだね!!」
仲睦まじい父子。微笑ましい光景にれいむの顔もほころぶ。
「さぁいっしょにかえるんだぜ。まりさもうおなかがペコちゃんなんだぜ。」
夕暮れの中一家は家路を跳ねていく。れいむも一緒だ。
後で出来上がったお洋服をまりさにプレゼントしよう。きっとまりさも喜んでくれるはず・・・
あれ・・・
その時れいむはある違和感に囚われた。
あれ・・・・?この光景
前に一度・・・いや何度も
どこかで見たことある・・・?
「どうしたんだぜ?れいむ。きゅうにたちどまったりして。」
「おきゃーしゃんどうしたのじぇ?」
「おかおがゆっくりしてにゃいよ?」
突然立ち止まったれいむを家族達が心配そうに見つめる。しかしれいむの違和感はとまらない。
何だろう、この感覚は。
何か大切なことを忘れているようで・・・
でも思い出したくないような・・・・
「れいむ!!どうしたんだぜれいむ!!」
「おきゃーしゃんしっかりして!!」
まりさ達の声がどんどん遠くなり、視界がどんどん暗くなる。
ああそうか
全部・・・思い出した・・・
「おはよう、れいむ。」
どす黒い暗闇の中、誰かの声がした。
目を開ければそこには悪夢が広がっていた。
れいむの前のテーブル一杯に並べられたピンポン玉大の「ソレ」は絶え間なく怨嗟の声を上げている。
「たしゅけて・・・おねがい・・・たしゅけて・・・」
「おきゃーしゃん・・・どうじでまりしゃをたしゅけてくれないのじぇ・・・」
「しにゃせて・・・・おねがい・・もう・・しにゃ・・せて・・・」
「ゆげつ・・・ぐりゅゆ・・・・ゆげっべっべっ・・・」
皆うわ言のように「助けて。」「死なせて」と言いつづける「ソレ」達。中には完全に狂ってしまっている者もいる。
ある者は全身にその小さな体にこれでもかと裁縫針を刺され剣山の様になり
ある者は全身蝿たたきで叩かれた後にラー油をかけられ激痛に身を焼かれながら火ぶくれのようになり
ある者はホットプレートで黒焦げになるまで焼かれているため良く見ないとどちらが顔でどちらが背中なのか分からない。
ゆっくり達の悪夢を具現化したらこうなるだろう。そんな光景がれいむの眼前には広がっている。
ここはれいむがいた群れではない。どこかの家の地下室だ。
「おはよう、れいむ。いい夢見れたかい。」
その横でさわやかな、だがどこか寒気のする笑顔のお兄さんが立っている。
そうだ・・・れいむはこのお兄さんに捕まったんだ・・・
あんよがじくじくと痛む。お兄さんにあんよを焼かれたからだ。
頭がずきずき痛む。お兄さんに髪の毛を無理やり引き抜かれ、ボルトを何本もねじ込まれたせいで。
心がじわじわ壊死したように痛い。あのお兄さんの言葉で。
「よし。れいむが起きたところで始めようか。今日もよろしく頼むよ、れいむ。」
同好会のレクレーションでも始めるように言うお兄さん。キャリー付きの赤ゆの乗ったテーブルを片付け新しいテーブルを出している。
知らない人が見たらただの爽やかな好青年に見えることだろう。
しかしれいむは知っている。
このお兄さんの正体を。そしてこのお兄さんがこれから何をしようとしているかを。
「さて。寝起きにいきなりで悪いけどおちびちゃんを作ってもらおうか。これがないと始まらないしね。」
そう言ってお兄さんは奥から透明な箱を抱えてやってくる。それには1匹のゆっくりが入っている。
「ずっきりだぁああああ!!!ずっきりざぜろぉおおおおお!!!」
目を充血させ全身からぬめぬめした粘液を出しながらそのゆっくりは、れいぱーのようにそそりたったぺにぺにをガラスケースにニチャニチャとこすり付けている。
れいむの愛するつがいのまりさ・・・いやまりさだったものだ。
まりさはお兄さんに薬を打たれてから変わってしまった。優しくて頼もしかったまりさから、れいぱーありすのようにすっきりーしか考えないおぞましいゆっくりに。
「愛する2匹のご対面だ。全く妬けちゃうねホント。」
まりさをれいむの入った箱へ放り込む。れいむのやめてと言う声などおかまいなしだ。
「ずっぎりぃいい・・ずっきりぃいいいいいい!!!」
目をらんらんと輝かせて襲ってくるまりさ。絶え間なく粘液を体から吹き出してるため動くたびにニチャニチャと不快な音がする。
れいむはあんよを焼かれていて逃げられない。そもそも狭い箱の中に逃げ場などない。
「いやぁああああ!!!!やめてぇまりさ!!!ゆっくりしてぇえええ!!!」
身をよじりなんとかまりさに正気を取り戻させようと叫ぶれいむ。
愛のないすっきりなどけがわらしくて気持ち悪いだけだ。ましてや出来るおちびちゃんの運命を考えればとてもつくろうとは思わない。
「ははっ。無駄だよ。バイゆグラを普通の100倍以上の濃度で打ったからね。完全に中枢餡が破壊されてもうまりさはすっきり以外のことは考えられないよ。」
「ずっきりぃいいいいいいい!!!!」
「ああ・・・ああ・・」
しかし現実は無慈悲でれいむの思いなど少しも汲み取ろうとなどしない。
抵抗、空しくにはれいむの額には植物型にんっしんっの茎に5匹の実ゆっくりがなっていた。
内訳はれいむ3匹まりさ2匹。皆ゆっくりした表情だ。
「よし上手くできたね。産まれてくるのが楽しみだ。出産促進剤を打てば5分ぐらいでできるかな。」
「ずっぎりぃいいいい!!!もっとずっきりざぜろぉおおお!!!」
「ああ・・・」
れいむはただ泣くしかない。もう優しいまりさはいないことに。
そして額の子供達の運命に。
「ゆんゃぁああああやべちぇえええええ!!!!」
地下室に赤れいむの声が響き渡る。
「こらこら暴れるとおめめがえぐれちゃうぞ。まぁ暴れなくてもえぐるけどね。」
原因は一目瞭然、明白だ。お兄さんが自分の目をえぐろうとするから。
お兄さんはあえてひと思いに目をえぐろうとしない。弄ぶようにピンセットで赤れいむの目をつまみ続ける。
「ほーら。これでおしまいっと。」
プチッ
「ゆんゃぁああああ!!!いじゃいいいいいいいい!!!!」
「さーて。次は誰の番かな。君かな。それともそこのれいむかな?」
次は誰をアマギリしようか品定めするお兄さん。まるでおもちゃを買ってもらう子供のように楽しそうだ。
「やべちぇぇえええええ!!!」
「なんじぇそんなことするにょおおおお!!!!おかぁしゃんたしゅけてぇえええ!!!!」
恐慌状態で泣き叫ぶ赤ゆ達。母に助けを求める者もいるがあんよを焼かれ透明な箱に入っているれいむにはどうしようもない。
「やべてぇえええええ!!!!!おにいさん!!!おちびちゃんいじめないでぇええええ!!!」
せいぜいお兄さんにむかって懇願するくらいだ。
「うーん。そこまで言うんなら『じぶんたちはいきるかちのないうんうんいかのくそまんじゅうです。うまれてごめんなさい』って10秒以内に100回言えたらおめめえぐるの許してあげるよ。」
「どぼじでぞんにゃこといわにゃいといけないのぉおおお!!!」
「まりしゃ。うんうんじゃにゃいんらじぇえええ!!!」
当然反発する赤ゆっくり達。そんな自分の存在価値を揺るがすようなとこなど誰も言いたくないのだ。
「あっ、そう。ならおめめをえぐるだけだよ。死ぬほど痛いだろうけど我慢してね。」
「ゆびぃ」
赤ゆっくり達はちらりと横を見る。目をえぐられた赤れいむを。
「・・・いじゃい・・・いじゃいよ・・・」
目をえぐられたショックでピクピクと小刻みに痙攣しており、目には黒い餡子の見える穴が空いている。
自分もこうなるなんて。考えただけでもぞっとする。
「れ・・れいみゅは・・・」
「うん?何?聞こえないよ。」
赤れいむの目をえぐったピンセットをカチカチと動かすお兄さん。それだけで赤ゆ達には十分脅しになった。
「れ・・・れいみゅたちはうんうんでしゅう!!!」
「うみゃれてごみぇんなしゃいいいいい!!!」
「ブーッ。時間切れ。おめめえぐりまーす。」
お兄さんはそばにいた赤まりさを捕まえた。
「ゆびぃ!!!やめちぇえええええ!!!!」
なんとか逃げようと体をブリブリと動かすが赤ゆの力で逃げられるはずもない。
「ゆ・・ゆ・・ゆっきゅりしにゃいでにげるにょ!!!」
他の赤ゆ達はなんとか逃げようとする。しかし今いるのはテーブルの上なのだ。赤ゆにとっては断崖絶壁の崖に等しい。
「ゆんやぁああああたきゃいいいいいい!!!!」
赤ゆ達の逃亡劇は1メートルもせずに幕を閉じた。
「いじゃいいいいいいいい!!!!」
「やべてぇえええええええええ!!!!」
そして待っているのはお兄さんによる地獄のアマギリショーだ。
「おねがいやべてぇええええええええ!!!!!」
どんどん光を失っていく子供達にれいむはただ叫ぶことしかできない。
本当は分かっている。こんなことしてもお兄さんはけして自分達を許しはしないだろう。
しかし何かせずにはいられない。れいむにとって子供はそう簡単に諦められるほど軽くはないのだから。
本当はお兄さんにとって赤ゆっくりの存在は二の次で、れいむの泣き叫ぶ顔が見たいだけなのだがそれをれいむは知らない。
30分後
「ああ・・・どうして・・・うう・・・」
透明な箱の中で泣き崩れるれいむ。
その前には目を失い、髪を毟られ、あにゃるにこれでもかと言わんばかりにつまようじが突き刺された赤ゆ達の無残な死体が転がっている。
みんなお兄さんがやられたのだ。
「よし、まりさ。今日は君に決めた。」
そんななかでまだかろうじて生きている赤まりさをお兄さんは手に取り
プス
「ゆぶぃ!!!」
なにやら薬剤を注射した。
「ゆびぃ?ゆべ・・・ゆぶ・・・・」
赤まりさはしばらく苦しそうに痙攣していたがじきに動かなくなった。
実は先程お兄さんが注射した薬は餡子凝固剤という薬でゆっくりを動けなくする薬なのだ。
「さーて、みんな。新しいお友達とゆっくり仲良くしてってね。」
お兄さんは先程横に運んでいたテーブルに赤まりさを並べる。数十匹の今日のように虐待された赤ゆと共に。
このゆっくり達はお兄さんの虐待コレクション。毎日虐待するごとに1匹ずつ増やしている。
餡子凝固剤を投与されたゆっくりは動くことができず、飢え死にすることもなく、餡子を吐いて死ぬこともできない。
「いじゃい・・・いじゃいよ・・・もう・・・ゆっくりさせて・・」
「しね・・・まりしゃをゆっきゅり・・しゃせないやつは・・みんにゃ・・・みんにゃ・・・しね・・・しね・・・」
「おきゃーしゃん・・・どうじで・・・どうじで・・れいみゅをたしゅけてくれないの・・・」
できるのはただひたすら怨嗟の声を上げ続けることだけである。
「おちびちゃん・・・ごめん・・・ごめんね・・・」
そしてれいむもまた己の無力さに涙を流すしかできなかった。
「おいおい。れいむそんなに泣くなよ。今日は預かっていた君のおちびちゃんに会わせてあげるから。」
「・・・ほんと・・・?」
絶望しかなかったれいむの瞳に少しだけ光が戻る。
「ホントホント。待ってて。隣の部屋で待たせてるから。」
そう言うとお兄さんは隣の部屋へ行ってしまった。
ここに連れてこられた時おちびちゃんとは離れ離れにされてしまいそれ以来会っていない。
一度おちびちゃんはどうしてるかお兄さんに聞いたとき
「大丈夫。僕はおちびちゃん達には手を出してないよ。神に誓ってもいい。」
とは言ったのでほっとしたがやはり会いたいことには変わりない。
本来子供を差別するような事をしてはいけないのだろうが、やはりれいむにとって一番思い入れがあるのはあの2匹だ。
おちびちゃん達さえ幸せでいてくれるのなら自分はどんなゆっくりできないことにも耐えられる。
あの子達はれいむの最後の希望であり、まだれいむとまりさが幸せだった頃の象徴なのだから。
「はい。ごたいめーん。」
その時お兄さんが隣の部屋から二つの透明な箱を持ってきた。
「・・・・・なに・・これ・・・?」
思わずれいむはつぶやいてしまう。
「何これって・・・もう忘れちゃったの?餡子脳にも程があるぞ。君のおちびちゃん達だよ。」
「ゆげぴぎゃおうぅゆふげぎゃ!!!」
「ゆひひ・・・ゆげづふぇえええええ!!!!」
そこにいたのはソフトボール大の2匹のはげ饅頭が狂ったように頭を振っている。
ほんの少しぽつぽつ残る髪でかろうじて右の箱に入ってるのがれいむ種、左がまりさ種だと分かる。
どちらも目の下に大きなくまがあり、充血した眼球をグリングリンと動かし、口は半開きでよだれを垂らしながら奇声を上げていた。
「お・・おにいさん・・おちびちゃんに・・・おちびちゃんになにをしたの!!?」
「おいおい、人聞きのわるい言い方はやめてくれよ。僕は何もしていないよ。・・まぁ、ちょっとこの子達の餌に混ぜただけさ。特製のハッピーパウダーって奴をね。」
「はっぴー・・・ぱうだー・・?」
言葉の意味が分からずきょとんとするれいむ。
野生のれいむは知らぬことだがハッピーパウダーとはゆっくりにとって麻薬のようなもので、多幸感でゆっくりできる代わりに幻覚、被害妄想といった副作用もあり、最後は廃ゆんになる恐ろしいものだ。
「うん。僕の調合した効果10倍ぐらいある奴。面白かったよ。いきなりケタケタ笑い出したと思ったら『りぐるがわいてきたぁああ!!』とか言いながら頭ガンガン箱にぶつけてたんだ。副作用なのか髪がどんどん抜け落ちるし。ちなみに箱が2つに分けてあるのは一緒に入れておくとどっちか死ぬまでけんかし始めちゃうからだよ。全く困ったもんだね」
無邪気に笑うお兄さん。しかしれいむにはその邪気のない笑いがこの上なく恐ろしく思えた。
「一番笑えたのは自分のお飾りをビリビリに破り始めた時かな。暴れまわって脱げた帽子やリボンを『れみりゃはしねぇえええ!!』とかいいながら攻撃し始めたんだよね。しかも後で正気に戻ったとき『どぼじでおぼうしさんやぶれてるのぉおお!!』だの『りぼんさんいじわるしないでなおってね!!ぺーろぺろ』とか言ってさ。挙句の果てに『だれがこんなひどいことを・・!!』とか言って泣き出すんだもん。下手な芸人の100倍面白かったよ。」
「・・・・・・・」
れいむは呆然と2匹の奇声を上げるはげ饅頭を見続ける。
「お・・・おちびちゃん・・・」
「ゆびひひひ・・・ゆぎいひゃふふう!!!」
「ゆげっげっげっひっ・・・ゆぎゃひっひひふぅひひぃ!!!」
れいむの声など耳を貸さずひたすら狂った笑い声を上げ続ける子れいむ達。
大好きなお母さんへといつもお花をプレゼントしてくれた子れいむ。
いつかこの群れの長になってお母さんをゆっくりさせてあげると言っていた子まりさ。
れいむの自慢だったおちびちゃんはもういない。
いるのは気が狂って自分の母親もわからなくなった廃ゆんだけだ。
まりさもゆっくりできないれいぱーもどきになってしまった。
もうれいむには
何もない。
夢も
希望も
未来も
何ひとつ。
「まぁ最近じゃパウダー決めすぎちゃったせいか、頭ぶつけすぎたせいか知らないけど完全にいかれちゃって見ての通りってわけさ。ああ、約束どおり僕は手を出してないよ。そこのとこお忘れなく。」
「・・・どうして・・・」
「ん?なんだい。」
「どうして・・・どうしてこんなことするの・・・・・・なんで・・・なんで・・・れいむたちなにかわるいことしたの・・・?したのなら・・・あやまるよ・・・だから・・・・だからもうゆるしてよ・・・」
最後の希望までなくなりれいむの心は完全に折れてしまった。
ボロボロとしゃくりあげるれいむ。零れ落ちた涙がポツポツと音を立てる。
「れいむ・・・君は勘違いをしてるよ。」
そんなれいむにお兄さんは優しく語りかける。
「ゆ・・・かん・・ちがい?」
「僕は君が憎いわけでも、ゆっくりが嫌いってわけでもない。むしろ愛しているんだ。」
「なにを・・・なにをいってるの・・・?」
お兄さんはじっとれいむを見つめている。れいむはその見つめる目が怖い。
一点の曇りもない様で、濁りきったドブ川のようで
聖母のごとくに優しいようで、一点の慈悲もない冷血漢のようで
無邪気な子供のようで、希代の猟奇殺人鬼のようで
その相反する二つが同時に存在するその目が怖い。
「僕はゆっくりが好きなんだ。君達の愚かさな所も、脆弱な所も、身勝手な所も、身の程知らずな所も、みすぼらしい所も、生ゴミ以下な所も・・・そんなゆっくりが大好きなんだ。」
ゆっくりとれいむを手に取るお兄さん。そのしぐさは愛おしそうですらある。
「なにいってるの・・・おにいさん・・・わからない・・・わからないよ・・・」
「こらこら、れいむ。そうやって人と人との価値観の違いをわからないの一言で済ませちゃいけないぞ。分かり合えない先にあるものは偏見、差別、戦争といった悲しいことばかりなんだから。れいむには知って欲しいんだ。僕が何を考えているかを。何を感じてるかを。」
れいむには分からない。お兄さんが何を言っているのか。
いやむしろ分かりたくないし、分かってはいけない様な気さえする。
「僕がゆっくりを潰すときどれほど快感なのか、ゆっくりの叫びを聞くとどれくらい興奮するか、そしてゆっくりの絶望する顔をどれほど渇望しているのか・・みんなみんな知って欲しいんだよ。」
れいむは分からない。このお兄さんが何を考えているのか。
ただ一つ分かるのはお兄さんはもう駄目なんだということだ。
「・・わからない・・・わからないよぉおおおお!!!!!!!」
れいむはあらん限りの声で叫ぶ。
叫ばずにはいられない。これ以上お兄さんと話していたら頭がおかしくなりそうだ。
「ふーっ。どうやら刺激が強すぎたようだね。発狂されてもつまらないし今日のところはここでお開きとしよう。」
プスッ
そう言うとお兄さんは注射器をれいむに打ち込んだ。
「おやすみ、れいむ。良い夢を。」
意識が暗転する前れいむが見たもの。
それはお兄さんのさわやかな、それでいて全てを飲み込んでしまいそうなどす黒い笑顔だった。
「・・・れいむおきるんだぜ・・・れいむ。」
目を覚ますとそこにあったのはつがいのまりさの顔だった。
「ゆめ・・だったの?」
ほっとするれいむ。ここはれいむのおうち。怖い人間などどこにもいない。
「だいじょうぶなのぜ?ずいぶんうなされてたみたいだけど。」
「うん・・・ちょっとわるいゆめさんみちゃって・・・」
そうか。あれは夢だったんだ。
何か大切なことを忘れてるような気がするけれど。
「そんなかおしてんじゃないんだぜ。おかあさんがそんなゆっくりできないかおしてちゃおちびちゃんもふあんがるんだぜ。」
「まりさ・・・」
「だいじょうぶ!!れいむはまりさがまもるんだぜ!!たとえあいてがれみりゃだろうがれいぱーだろうがにんげんさんだろうがぶっとばしてやるんだぜ!!だかられいむはおちびちゃんとゆっくりすることだけかんがえてればいいんだぜ!!」
そう言ってまりさはれいむにすーりすりしてくれた。
ああなんて頼もしいんだろう。本当にこのまりさと一緒になってよかった。
今日もれいむにはゆっくりした幸せな一日が始まるんだ。
今日だけじゃない。明日も明後日もずっと。
「ありがとうまりさ。れいむ、まりさといっしょにゆっくりできてしあわせだよ。」
れいむはにっこりと微笑んだ。
れいむは今日も夢を見続ける。
もうないゆっくりプレイスで。もういない群れの仲間達と。もういない家族と。
幸せなゆっくりした夢を。
「ふふっ。いい顔してるよ・・れいむ。」
僕はれいむの寝顔を見ながらつぶやく。
このれいむ、近くの森が工事により住む場所を失ったゆっくりだ。そこから命からがら逃げ出したところを一家まとめて捕まえた。
れいむのいた群れは今は存在しない。今は跡形もなく更地にされ工事現場になっている。仲間達も今頃はこの世にいないだろう。
「ありがとうまりさ・・・れいむ、まりさといっしょにゆっくりできてしあわせだよ・・・」
微笑みながらつぶやくれいむ。夢の中のまだ幸せだった頃のまりさに言っているのだろう。
先程れいむに注射中身にはゆっくり用睡眠薬の他に胡蝶夢丸というゆっくり専用の良い夢を見られる薬を入れておいたのでそのせいだ。
僕はれいむのこの寝ている時の笑顔が大好きだ。
もう自分たちのゆっくりプレイスなどありはしないのに
もう一緒にゆっくりできる仲間など居ないのに
もう僕の欲望のままに虐待され続け、飽きればゴミのように捨てられる未来しかないないというのに
そんな事など気づかず夢の中で仮そめのゆっくりを信じて疑わない
愚かで、惨めで、哀れで、滑稽な
そんなれいむの笑顔が僕は大好きなのだ。
明日はどうやってこの笑顔を泣き叫ぶ顔に変えようか。明日はどうやってこの顔を絶望に染めようか。
考えただけでもぞくぞくする。
後書き
いい夢見た後の虚しさは異常。いっそ悪夢のほうがまだマシ。それが今回のテーマです。
いい夢見た後の虚しさは異常。いっそ悪夢のほうがまだマシ。それが今回のテーマです。
純粋悪お兄さん登場。最初イメージとしてはネウロの絶対悪ことシックスを若くした感じにしようかと思いましたがどうもしっくりいかず、めだかボックスの球磨川禊みたいになっちゃいました。ある意味前に書いた偽善お姉さんと似て対極にある存在ですね。
長月も本作で50作品を迎えました。これからもご贔屓よろしくお願いします。
ご意見、ご感想、ご要望は感想用掲示板(長月用スレ)でおねがいします。URLは下にある通りです。
ふたば系ゆっくりSS感想用掲示板(長月用スレ)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1274852907/
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1274852907/
今まで書いた作品はこちらに
http://www26.atwiki.jp/ankoss/pages/393.html
http://www26.atwiki.jp/ankoss/pages/393.html
面白かった、ゆっくりできた、と言う方は下のゆっくりできたよ!!ボタンを押していただければ幸いです。
挿絵: