ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko3337 奇祭! ゆんやー祭 ゆっくり絶叫シリーズ03巻
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『奇祭! ゆんやー祭 ゆっくり絶叫シリーズ03巻』 38KB
制裁 考証 野良ゆ 赤ゆ 子ゆ ゲス れいぱー 希少種 現代 虐待人間 暇つぶしにどうぞ
・毎度の映像作品描写という仕様です。心理描写が極力排され、会話がクドいぐらい多めです。
例によって不真面目に書きました。心の健康の為に真面目に考えないでください。
・希少種虐殺があります。新キャラネタの設定考証を試験的に盛り込みました。
そこだけ読み流しても一向に構わんッッ! 仕様です。
・餡庫での表示の関係で、タイトル表記を前後変更しました。
・その他ネタ被り、独自設定、意味不明な箇所など書き捨て御免ということで。
・それでも読んでみる方は暇つぶしにどうぞ。話のネタにしてくれたら幸いです。
ゆっくり絶叫シリーズ ~あなたの願望叶えます~ とは
一部マニアに絶大な人気を誇る、撮り下ろし映像シリーズである。
とにかくゆっくりをゆっくりさせたくない、という一般人の依頼を、
大がかりな仕掛けと巧みな編集でバラエティー番組調の映像に昇華した作品。
時に採算を度外視した構成はシリーズを追う毎にファンの裾野を広げており、
さらなるゆっくりの叫びが待望されている。
ゆっくり絶叫シリーズ ~あなたの願望叶えます~ 03巻
~奇祭! ゆんやー祭~
『ゆっくり被害で村が困窮に瀕しています。
どうか御力添えをお願いします』
「ゆっくり絶叫シリ~~~ズッ!! 山! 山! 山! ぐるりと山ッ!
案内は私、双葉トシアキが、ここ遊矢村からお送りします!
こちらが今回の依頼人、遊矢村の村長である塀戸氏です。本日は、どうぞよろしくお願いしますッ!!」
「村長の塀戸です。ようこそ遊矢村へ」
「まりさのゆっくりぷれいすにようこそっ! なんだぜ! ゆっくりしていってね!!」
紅葉に彩られた山々と農村風景を背景に、黒タキシード姿のトシアキと作業着姿の壮年男性が御辞儀を交わす。
突然、下方に向けられるカメラアングル。
制止した画面には、1頭のゆっくりまりさが2人を背にし、ドヤ顔でふんぞり返る姿が映し出された。
「村長サン。お話の前になんですが、ナメられてませんか? 私達」
「いや、お恥ずかしい。今始末しますので」
村長の長靴履きの右足が上げられ、無防備なまりさは背後から一息に踏み潰される。
「ゆぶぎゅるばぶべらぅっ!?」
まりさは大量の餡子を口から吹き出し、永遠にゆっくりした。
再び画面がトシアキと村長を映し出す。
「失礼しました。お話を続けて下さい」
「依頼の内容を確認させていただきますが、ゆっくり被害の解決ということで、よろしいですね」
「はい。山に住むゆっくりに農作物や山の植生を台無しにされています。
特に近年は雨が続かないのでアイツらは増える一方、潰しても潰してもキリがありません」
「確か、遊矢村はこの程ゆっくり獣害地域に指定された、と伺っておりますが」
「県から地域指定されたところで、雀の涙ほどの予算じゃ意味もありません。
自衛しようにも老人ばかりでは、先程のように村の中まで我が物顔でうろつかれる始末」
「近頃は山間部でのゆっくり被害も社会問題化してますが、都市部に比べると対応が鈍いですからね。
加工所の誘致もダメでしたか?」
「ええ、山深い村に加工所を建てるのでは、あまりに損益が大きすぎるので、と」
「慈善事業ではない、と言うことではどちら様も一緒ですね。我々含めて。
しかし御安心ください。勝ち目の無い戦はしないのが我々のモットーですから」
「本当に、大丈夫なんですか?」
「お任せください! ここは一つ、エンジョイ&エキサイティングでいきましょう!
まずは、村と周辺の山々に居座る野生ゆっくりを調達します。少々お待ち下さい!」
軽快なマーチが流れ、野生ゆっくり確保シーンがダイジェストで流される。
映像スタッフの統率された動きに対し、ゆっくり達は成す術も無く捕らえられていく。
ゆっくり達の、怒り、泣き、悲しみ、叫ぶ姿が、執拗に映された。
ダイジェストが終わると同時に、廃校と思わしき場所が映る。
雑草だらけの校庭に集まった村民達の姿。
男女問わず平均年齢は高く、若者と言えば疎らに子供の姿がある程度だ。
「ハイ! お待たせしました。一昼夜かけて集めました、野生のゆっくり大小400頭余り。
村長サン、まずはこんなものでいかがでしょうか?」
「いや、なんとも、手際のいい! ありがとうございます。これで一安心です」
校庭の一端に立つトシアキと村長。村長は安堵した表情を浮かべ、トシアキに一礼する。
続いてカメラアングルは、校庭のもう一端に積み上げられた、無数の透明な箱に向けられた。
箱に詰め込まれたゆっくり達の、必死な形相が大映しになる。
『だぜえええ!! でいぶをごごがらだぜええええええええええっ!!』
『おやざいざんをよごぜええええっ!! ゆっぐりじないでよごぜええええええええっ!!』
『いながもののごみぐずにんげんが、ぢょうじにのるなああああああああああああっ!!』
『ゆにゃあああああああああああっ!! おながずいだよおおおおおおおおおっ!!』
『みょおおんっ!! おっばいずべるまっ! ぞーろーっっ!!』
捕獲されてから何も口にしていないのか、ゆっくり達は総じて怒りに満ちている。
1頭たりとも引け目を感じ取るゆっくりは無く、上から目線で好き好きに罵声を放つばかりであった。
画面は改めてトシアキと村長が並び立つ場所に戻る。
「一安心でいいんですか? いっそのことコレで村興ししちゃいましょうヨ!」
「村興し、ですか? このゆっくりを使って?」
「ハイ! 野生のゆっくりを遠ざける事も出来る、ステキな村興しです。
それでは皆様、アチラの廃校舎をご覧ください!」
映像は木造の校舎に移り、朽ちかけた姿がズームされる。
次の瞬間――、
バタンッ! バタッ! バタバタンッ!
廃校の壁が畳まれるように倒れていった。どよめく村民達。
そして、粉塵の中から石造りの鳥居と小さな社が姿を現した。
「ご覧ください! 土地ごと廃校を購入し、秘かに建立した遊矢神社です!
こちらで五穀豊穣を祈る為に、バチ当たり共を使って祭りを執り行おうと言うわけです!」
村長サンには宮司にクラスチェンジしていただきますネ。ささ、着替えて着替えて」
「え……。何時の間に……? あの、クラスって」
あっという間も無く、筋肉質な映像スタッフに力づくで着替えさせられる村長。
程無くして画面に映った村長は、宮司の装束を見に纏っていた。
「おお、お似合いですヨ! 次は、この祝詞を神前で奏上して下さい。
やり方は一通り控えてありますんで、見ながらお願いします」
ぎこちない様子で鳥居を潜り、社の前で読み慣れない祝詞を奏上する村長の姿が映される。
カットインされるのは、その姿を厳かに見守る村民の姿。そして騒がしいゆっくり達の姿。
全てを終え、元の位置に戻った村長に対し、トシアキが厳粛に一礼する。
「御役目お疲れ様です。これで誰はばかることなく祭りを行えます」
「祝詞を読んで解りましたが、あの神社、地域一帯の守神様を祭ってるんですね」
「やっぱり神様は大切にしないと、ですよ!
それじゃ、村長サンも皆さんと一緒に一休みしてて下さい」
画面が切り替わる。村民の背後から鳥居正面のトシアキを一望できるカメラアングル。
トシアキは眼前に集まっている村民をひと見渡しすると、大きく息を吸う。
『みなさーん!! ゆっくりが憎いですかーッ!?』
「「「「「「お、おおーっ」」」」」」
『声が小さいですねッ! ホントに憎いんですかーッ!? 生活を台無しにされて、悔しくないんですかーッ!?
アイツらの顔を見て、もう一度言って下さいッ!!」
トシアキが指差した先は、積み上げられた透明な箱。
中のゆっくり達は相変わらず図々しい物言いを続け、その大半が村民達を見下していた。
『そのめはなんなのぜ?! くそにんげんども! まりささまをゆっくりしないでごごがらだぜええええっ!!』
『すてきなれいむのかわいいおちびちゃんが、ぽんぽんすかしでるでじょおおおお!?
おやざいざんと、あまあまをやまもりもっでごいいいいいいっ!!』
『『『『『ぐぞにんげん! ぐぞにんげん! ぐぞにんげん!』』』』』
村民達と太太しい面構えのゆっくり達の間で視線が交錯する。
見る間に表情が険しくなる村民達。
『みなさーん!! ゆっくりが憎いですかーッ!?』
「「「「「「おおおーッッ!!!」」」」」」
再び掛け声を促された村民は、高齢者ばかりとは思えない昂った声で返す。
切り替わった画面に映ったのは、トシアキが満足げに頷く姿。
『その気持ち、これからも、大事にしてくださいッ!
それでは、第1回ッ! ゆんやー祭りをッ! ココにッ! 宣言ッ! 致しますッッ!!』
疎らに湧き起こる拍手。村民達は明らかに困惑しているようだ。
トシアキは構わずに話を進める。
『司会進行は、この双葉トシアキが務めさせていただきます。
では最初に手順の解説を、ゲストと共にお送りしましょう! どうぞー! ご入場下さいッ!!』
トシアキが左手を校庭の入口に向けたその時、けたたましい排気音が山々に木霊した。
入場しようとする者を迎えるように、校庭入口付近から二つに割れていく村民の集まり。
村民の間を入場してきたのは、刺々しい改造を施した旧世紀のアメ車だった。
アメ車を駆るのは、刺々しいスパイク剥き出しの革ジャンを身に纏う、大柄な男性だった。
ホッケーマスクを被っているので素顔を推し量ることはできない。
彼が校庭中央に到着する頃、そこは正に世紀末な雰囲気となっていた。
『ご紹介いたしましょうッ! 彼の名前はMr.A(仮名)!
平日は証券会社で働くシャイなお兄さんですが、休日は思うままにゆ虐を嗜む鬼威惨ッ!』
「ヒャッハーッ! 今日はヨロシクお願いしますゥ!!」
車から降り立ったMr.A(仮名)は、ペコリ、ペコリ、と丁寧な御辞儀を村民の人垣に行う。
キョトンとしながらも返礼する村民達。
『このゆんやー祭り、バチ当たりのゆっくりに悲鳴を上げさせ、守神様に五穀豊穣を祈願します!
まずはMr.A(仮名)に、悲鳴を上げさせたいゆっくりを1頭選んでいただきましょう。
家族単位までならオプションとして好きな数だけ自由に扱う事が出来ます」
「ヒャアッ! それじゃあソコの活きの良さそうなまりさを選ぶぜェ!
番いのれいむとおちびちゃん達も全部なァ!」
Mr.A(仮名)に指差された透明な箱から、映像スタッフの手でゆっくり達が掴みだされる。
まりさにれいむ、子れいむと子まりさが2頭ずつの計6頭。在り来たりなゆっくり一家だ。
「ゆぎいいいっ! なにするんだぜ、くぞにんげえええんっ!! まりざだぢをはなぜええっ!!」
「れいむたちをゆっくりしないではなじでね! おこるよぉ! ぷくーっ! ぷくーっ!!」
「「「「くしょにんげんは、おとーしゃんにせいっさい! されてしんじゃえー!!」」」」
『皆さん、元気いっぱいですネ! それでは、リングの中に入って下さい』
トシアキの声に促され、鳥居の手前に集まるMr.A(仮名)とゆっくり一家を持ったスタッフ達。
そこに出来上がっていたのは、直径5m程、高さ1.8m程の、透明な壁で出来た円形のリング。
リングの外側には丸太や模造刀、果ては釣り竿や荒縄等と言ったあらゆる「獲物」が並んでいた。
『それではMr.A(仮名)、獲物をひとつ選んでください。
壁については人力での破壊は不可能ッ! 遠慮する必要はありませんからネ!』
「ヒャッハーッ! それじゃあ釘バットを貸してもらうぜェ!」
釘バットを手渡されると、肩で笑う素振りを見せるMr.A(仮名)。
その蛮性を剥き出しにした様子に村民は黙りこくり、校庭がシンと静まり返る。
以前騒がしいのは、空気を読めないゆっくり一家だけであった。
『それでは一家の主に、ひとつ今の気持など伺ってみましょうか。
まりささん、人間が丹精込めて育てたお野菜を、勝手に食べたバチが今から当たりますが、心境をひとつ』
「はああああ!? おやさいさんはかってにはえてるでしょおおお!? なんでばちがあたるのおおお!?
ばかなのぜ!? しぬのぜ!? さっさとおやさいさんをやまもりもっでごいいいいいっ!!」
『バチの意味は知ってるようですねぇ。説明の手間が省けます。
それでは制限時間は5分間! Mr.A(仮名)! 準備はよろしいですか?』
「さっきからQNQNが止まらねえぜ! 早くしてくれッ!!」
『O.K.!! それでは第1組目ッ! 始めッッ!!』
トシアキの開始宣告と同時に、ゆっくり一家はリングの中央に放り投げられた。
「おそらを!」の常套句を言い終わる前に地面に叩きつけられ、悲鳴を上げて地面を転げ回るゆっくり一家。
画面の右下に表示されるカウントダウン。
すかさずMr.A(仮名)は子れいむを左手に取った。
「ゆんやあああっ! おとーしゃん! おかーしゃん! れいみゅをたしゅけちぇええええっ!!」
「ゆああっ!? まりさのおちびちゃんになにするんだぜえええっ!! ゆるざないのぜえええっ!!」
「くそにんげん!! れいむのおちびちゃんをゆっくりしないではなぜえええっ!!」
「「「ぷきゅーっ! いもうちょをはなちぇえええええ!」」」
Mr.A(仮名)は、ゆっくり一家の言葉を耳に貸さず、左手に持った子れいむを軽く放り上げる。
瞬間、映像はスローモーションになり、浮遊感に喜ぶ子れいむのゆっくりした表情が映る。
画面が切り替わり、美しいバッティングフォームで釘バットを構えるMr.A(仮名)。
子れいむに向けてバットが振るわれたその時、通常通りの時間で流れ始める映像――。
パァンッ!!
子れいむは一瞬にして爆ぜ飛んだ。Mr.A(仮名)の身体に、地面に、透明の壁に餡子が飛び散っていた。
両親ゆっくりも、子ゆっくり達も、子れいむが姿を消した理由が解らなくて呆然としている。
その眼前に、Mr.A(仮名)は釘バットをかざした。
飛び出た釘には、引き裂かれた子れいむの皮がおぞましい形相を残して引っ掛かっていた。
「「「「「ゆぎゃあああああああああああああああああああああああああっ!!」」」」」
『指定されたゆっくりの悲鳴は比較しやすいように、単位デシベル(dB)で表わすことに致します。
ちなみに、只今の悲鳴は家族そろって101dBでした。
例えるなら電車通過時のガード下の騒音程度ですが、まりさ単体の悲鳴ではないので無効とします』
「これからが本番だぜェ! ヒャッハーッ!!」
「ゆんやあああああああああああああああっ!! たしゅけぢぇええええ!!」
「「やべろえええええっ! おぢびぢゃんをがえぜっ!! ぐぞにんげええええんっ!!」」
両親ゆっくり達がMr.A(仮名)に体当りを仕掛けるが、Mr.A(仮名)は微動だにしない。
Mr.A(仮名)は続けざまに子ゆっくり達を手にとって、同様にノックバッティングを繰り返す。
パァンッ!! パァンッ!! パァンッ!! と、小気味いい音を立てて弾け飛ぶ子ゆっくり達。
子供達が弾ける度に、両親ゆっくりが苦悶の悲鳴を上げる。
残り時間、3分43秒。
「「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!! おぢびぢゃああああああああんっ!!」」
『さすがの手際で、瞬く間に子ゆっくりにバチを当てたMr.A(仮名)。村の皆さんもドン引きです!
ですが、目を背けてはいけません。次からは、あなた方にバチを当ててもらうんですから!!』
ざわっ
困惑しながら凶行を見守っていた村民達が、トシアキに指差されるや一斉にどよめいた。
隣同士で相談する者達、一歩遠ざかる者達、リングの中を注視する者達が、次々映し出される。
そんな外野には構わずに、Mr.A(仮名)は一人絶好調だった。
「次々行くぜェ! くたばりやがれェ!!」
「ゆぶぎゅあ!! ゆぶぎゃ!! ゆぎゅぶっ!!」
「ゆああああああ!! もういやだあああああっ! おうぢがえるううううっ!!」
Mr.A(仮名)は次の目標にれいむを選び、逃げ遅れたその身体を釘バットで殴り続けた。
バットが直撃するたびにれいむの身体は歪み、皮は裂け、眼球は弾け、餡子が方々に飛び散る。
その時、まりさはリングの内周をグルグル回って1頭だけ逃げようと足掻いていた。
そんな不甲斐ないまりさに、リングを囲む村民の目は冷たい。
残り時間、2分26秒。
「だじでええええっ!! まりざをごごがらだじでええええっ!!
どぼじでだれもまりざをだずげでぐれないのおおおおっ!?」
「それはなァ! まりさが家族も見捨てる底無しのバチ当たりだからよォ!!」
Mr.A(仮名)の言葉と共に、まりさの眼前に投げ捨てられた、その物体。
もはや呻き声を上げるだけの、潰れかけた饅頭と化したれいむであった。
「ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ」
「ゆぎゃああああああああああああああああああああああああっ!!」
『只今の悲鳴、108dB!』
「まだまだァ!!」
グチャアッ!!
渾身の力で振り下ろされた釘バットが、散々傷ついていたれいむの身体を弾け飛ばした。
返り餡が周囲に飛び散り、至近にいたまりさも全身に大量の餡子を浴びる。
「ゆあっ! ゆあっ! ゆ゛ん゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ!!!」
ゆんやー ゆんやー ゆんやー……
絶叫が木霊となって山間に響き渡った。
透明な箱の中に閉じ込められたゆっくり達も、その絶叫を聞いて、一様に震えあがった。
『ハイッ! 只今の悲鳴、113dB! 自動車のクラクションを至近で聞くより高い音量です!
まだイケますか!?』
「ダメだァ。案外性根の細いヤツだったぜ」
「ぱぴぷぺぽぱぴぷぺぽぱぴぷぺぽぱぴぷぺぽぱぴぷぺぽぱぴぷぺぽぱぴぷぺぽぱぴぷぺぽ」
まりさは非ゆっくり症を発症し、「しーしー」を垂れ流しながら意味不明な言葉を呟くだけになっていた。
Mr.A(仮名)は釘バットを振り上げると、渾身の力でまりさに叩きつける。
「ぱぴぷぺぽぱぴぷぺぽぱゆぶぎゅっ!!」
砕ける釘バットと、飛び散る餡子。まりさは一撃で絶命した。
残り時間、1分5秒でカンストする画面右下のカウンター。
熱気を帯びた村民達の一部は、返り餡まみれのMr.A(仮名)の姿に拍手を送る。
それに続き、またも丁寧に御辞儀するMr.A(仮名)の後ろ姿が映し出された。
『それでは、第1組目、Mr.A(仮名)の記録は113dB!
仕事の都合で今から帰宅されるMr.A(仮名)に、今一度拍手をお願いします』
リングから退場し、返り餡を落とそうともせずアメ車に乗り込むMr.A(仮名)。
排気音を響かせ校庭から去るその姿に、改めて拍手が送られた。
『ハイ、皆さん。もうお分かりでしょう。
山彦となったゆっくりの悲鳴は、野生ゆっくりが村に近づくことを躊躇わせる効果があります。
もちろん、続けてやらないと効果はありません。さあ、次は誰が挑戦しますか?』
ざわ……ざわ……
いざ自分がやる、となると村民達は戸惑って纏まりが無い。
そんな中、塀戸村長が前に進み出た。
「二番手は私が務めましょう。そちらのぱちゅりーを、家族全員ごと連れてきて下さい。
獲物は、そこの炭火バーベキューセットでお願いします」
『了解です! それでは準備いたします!』
リング中央に脚を外したバーベキューコンロが置かれた。コンロ内では炭が赤々と燃え、周囲の空気を揺らす。
作業着に着替えた村長が入場するに続き、指定されたゆっくり一家がリングに放り込まれた。
成体はぱちゅりー1頭のみで、子ゆっくりは様々な種類で15頭にも及んでいた。
『おやー、随分風変わりな子沢山ですねー。ぱちゅりーさん、おちびちゃんのお父さんはどうしたんですか?』
「むきゅ! このこたちは、みんなみなしごよ! ぱちぇはおさだから、ひきとってそだてているのよ!
りっぱにそだったこどもたちは、むれのためにはたらいてくれるわ! ぱちぇのじまんのこどもたちよ!」
『ナルホド、長ぱちゅりーさんは、身寄りのない子供を集めては育てていると。
で、育った子供達を使って山を畑を荒らし放題、ですか。バチ当たりの元締めですね!』
「むきゃーっ! いきるためにはたべものがひつようでしょーっ!? みんなおなかすかしてるのよーっ!!
やまもはたけも、ひとりじめしてるのはにんげんさんのほうでしょーっ!!」
「おさをばかにしないでね! ぷくーするよ!!」
「まりちゃしゃまが、いちゃいめにあわせてやるのじぇ!!」
「わかるよー! にんげんさんはずるいんだねー! わかるよー!」
腹を立てるぱちゅりーに合わせて、トシアキを威嚇する子ゆっくり達。
その間にも村長はバーベキューコンロの金網を脇に退け、長めのトングを炭火の中に差し込んでいた。
「こちらは準備完了です。始めて下さい」
『いきますよッ! 第2組目ッ! 始めッッ!!』
村長は子ゆっくり達を手早く掴み取ると、次々バーベキューコンロに投げ入れた。何の躊躇も無い。
灼熱の炭の上で、子ゆっくり達の身体がたちまち燃え上がる。
「「「「「「ゆぁぎゃあああああああああああっ!! あぢゅいいいいいいいいっ!!」」」」」」
「むきゃあああああああああっ!! ぱちぇのこどもたちがああああああああああああああっ!!」
コンロの中で火達磨になって踊り狂う子ゆっくり達。
ぱちゅりーは悲鳴を上げるものの、熱気を恐れて近づけないでいた。
『只今の悲鳴、88dB! ぱちゅりー種にしては、いいシャウトです!』
「むぎいいい!! なにをじでるのおおお!! ぱちぇのこどもたちを、はやくだずげなざいいいいっ!!」
村長は答えずにトングを手早く繰り、コンロの外へ飛び出そうとする子ゆっくり達の脱出を許さない。
残り時間が2分を回った頃には、15頭の子ゆっくり達は全て物言わぬ黒焦げ饅頭となっていた。
ただ傍観するしかなかったぱちゅりーは、変わり果てた子供達の姿に泣き叫ぶ。
「ばぢぇのゆっぐりじだごどもだぢいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!
むぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」
『只今の鳴き声、95dB! もう一声欲しいですね!』
「まだまだ、私は気が済みませんよ」
冷めた表情をした村長は、泣き叫ぶぱちゅりーの「おつむ」を左手で掴み、全身を高々と持ち上げる。
ぱちゅりー種特有の柔らかい身体は重力に抗えず、ヘチマのように身体を垂れ下げた。
「むぎゃー! ぐぞにんげん! よぐも! よぐもばぢぇのこどもたちをっ!!」
「ゆっくりするだけの能無し饅頭が、家族ゴッコなんぞ片腹痛いわ!
山の恵みも、畑の収穫も、全てを食い潰すバチ当たりの欲望饅頭め、思い知らせてやる!!」
村長は右手に持ったトングで、コンロから炭饅頭と化した子ゆっくりを掴み取る。
そして、だらしなく垂れ下がったぱちゅりーの脇腹に、トングごと子ゆっくりを突き入れた。
ジュウウウウウウウッ!
「むあぢゃあああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」
むあちゃー むあちゃー むあちゃー……
『只今の鳴き声、110dB! 惜しい!』
「そんなに家族ゴッコが好きなら、腹の中でやってろ! 世の中に出すな!」
残り時間、43秒。
村長は黙々とぱちゅりーの体内に焼けた子ゆっくりを突っ込み続ける。
内側から焼かれるぱちゅりーは沸騰した生クリームを吐き散らし、記録を伸ばす程の悲鳴を上げなかった。
残り時間、0秒。制限時間はとうに超過していた。
全ての焼けた子ゆっくりを体内に突っ込まれる頃には、ぱちゅりーはピクリとも動かなくなっていた。
肩で息をする村長は、ぱちゅりーの身体を焼け続けている炭の上に投げ捨てる。
ぱちゅりーの身体はあっという間に燃え上がって、たちまち歪な炭饅頭となった。
『お待たせしました! 第2組目、村長サンの記録は110dB! 中々のお手並みでした!
虚弱なぱちゅりー種にしてはイイ悲鳴を聞かせてくれましたね』
村民達に深々と一礼する村長に、村民は熱を帯びた歓声で応えた。
今や老いも若きも興奮し、村民達は我も我もとリングに詰めよってきた。
『並んで、並んで! 押さないでください! まだまだバチ当たり共は沢山ありますからね!
終了した参加者も、列の最後尾に並び直して下さい!
それでは、第三組目――』
それからの進行は、しばしダイジェスト映像で流された。
悲鳴は上がるものの記録に遠く及ばないシーンや、上手く悲鳴が上がらず村民の笑いを誘うシーンなどが中心だ。
その合間合間に、一風変わった手腕で悲鳴を上げさせる事に成功した様子が、幾度か差し込まれる。
農作業姿の壮年女性は、シングルマザーれいむ一家を指定した。
「獲物」に選んだのは何の変哲もない文房具のハサミだった。
『そんな装備で大丈夫ですか? 問題ないそうですッ!
第9組目、始めッッ!!』
リング内で、壮年女性とれいむ一家が対峙する。
母れいむは3頭の子れいむを従え、余裕の表情を浮かべていた。
「はああん、ゆっくりしてないくそばばあだよぉ? しんぐるまざーできたえたれいむのてきじゃないよ!
れいむのかわいいおちびちゃんたち! おかーさんのかんっぜんしょうりっ! しかとみててね!!」
「「「しかちょみちぇるよ!!!」」」
「……腰の調子さぁ良ければ、デカイ顔なんかぁさせないよぉ」
ユラリ、と壮年女性が動いた次の瞬間、母れいむは地面に向けて組み伏せられていた。
全く無駄のない、流れるような壮年女性の動きだった。
母れいむは何が起こったか理解できない様子で、キョロキョロと周囲を見回すばかりだ。
残り時間、4分29秒。
「「「おかーしゃーん!! がんばっちぇー!!」」」
「ゆん! おかーさんはまけないよぉ! おいっくそばばあ! れいむをゆっくりしないではn」
ヒラリ、ヒラリと、這いつくばる母れいむの眼前に舞い落ちる赤い端切れ。
「ソレ」を見たれいむの身体が硬直した。
地面を鮮やかに彩る「ソレ」は、母れいむ自慢のお飾り。ハサミで刻まれた真っ赤なリボンである。
「どぼじでえええええええええっ!! それ、れいむのきゅーとなおかざりさんでしょおおおおおっ!?
ゆんやあああああああああああああああああああっ!!」
『只今の記録、97dB。初っ端から期待できそうですヨ!』
壮年女性はお飾りを細切れにした後も、全く手を緩めない。ハサミは踊る様に黒髪を刻む。
母れいむは脱出しようともがくが、しっかりと押さえつけられた身体に出来たのは、尻を醜く振るだけだった。
「ゆんやあああああああっ。れいむのつやつやうっとりなかみのけさんがああああああああっ!!
もうやべでええええええっ!! ゆるじでぐだざいいいいいいいいいいいいいいいっ!!」
『只今の記録、111dB。この調子!』
「「「お、おかーしゃん……」」」
母れいむは無様に泣いて許しを乞うが、壮年女性は手を緩めない。
純粋に母親を信じていた子供達の眼差しに、疑いの影を落とすだけの結果となった。
残り時間、1分17秒。
ようやく解放された母れいむは、疎らに髪の毛を残すブサイクなハゲ饅頭と化していた。
「ゆわああああああああああああああん!! ゆわああああああああああああああん!!」
「れいみゅのおかーしゃんは、くちほどにもにゃかったのにぇ! なしゃけにゃいのにぇ!!」
「おお、ぶじゃまぶじゃま! じぇんじぇんゆっくりできないにぇ!」
「あんにゃの、きゃわいいれいみゅたちのおかーしゃんじゃにゃいよ!
にんげんしゃん! れいみゅたち、とっちぇもきゃわいいでしょ? だからたしゅけちぇね!」
子れいむ達は敗北したも同然の母親を見限り、壮年女性に媚を売った。自分達だけ助かろうという算段だ。
泣いていた母れいむの表情が憤怒に満ちる。次の瞬間、母れいむが子れいむ達の頭上に跳ぶ。
「ゆがああああっ! かわいそうなれいむをみすてるげすちびは、ゆっぐりじないでじねええええっ!!」
ぐちゃっ
母親の「あんよ」の下で、子れいむ達は永遠にゆっくりした。
残り時間、31秒。
母れいむの眼前にしゃがみ込む壮年女性。母れいむは、すかさず壮年女性に土下座を敢行した。
「に、にんげんざん! でいぶはがわいぞうなんでずうううっ! ゆっぐりでぎないでずうううっ!
がわいいおぢびぢゃんも、おがざりざんも、がみのげざんも、なぐなっぢゃいまじだあああっ!!
でいぶを、おやまにがえじでぐだざいいいいっ!!」
「ダメだよぉ。二度とゆっくりさせないよぉ。お前さんは、ここで死ぬんだよぉ。ひっひっひっ」
壮年女性の顔を見た母れいむが、リング外の村民が、一様に顔を強張らせた。皆全身で怖れを表現していた。
残念ながら、カメラアングルは壮年女性の背後からで、その形相は解らない。
「ゆ゛ん゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ!!!」
ゆんやぁー ゆんやぁー ゆんやぁー ゆんやぁー ゆんやぁー……
『只今の記録、124dBッ。新記録ですッッ!!
どのぐらいかと言えば、飛行機のエンジンとか、そういうレベルの音量ですッ!』
健闘した壮年女性に、村民達は惜しみない拍手を送る。
残り時間、6秒。
母れいむは自ら漏らした「おそろしーしー」の溜まりに突っ伏し、そのまま永遠にゆっくりした。
大工風の中年男性は、1頭のみょんを指定した。
「獲物」に選んだのは、「獲物」置き場に捕らえられていた1頭のありすだった。
『ソレを選ぶ人がいましたかッ! 死のリングが盛り場に変貌してしまうッ!
第16組目、始めッッ!!』
開始早々、中年男性はありすを激しく揺さぶった。
強い振動で身体を揺すられたありすは生殖本能を刺激され、たちまち「れいぱー」化してしまう。
「んっほおおおおおおおおおおおっ!! たかぶってきたわああああっ!!」
「みょおおおおおおおおんっ!?」
残り時間、3分43秒。
「れいぱー」化したありすから必死に逃げるみょんだったが、遂にありすに追い付かれる。
抵抗むなしく背後から圧し掛かられるみょん。衆人環視の前で激しい交尾が始まった。
中年男性は上品とは言えない笑みを浮かべながら、その様を楽しんでいる。
「んほおっ! んほおっ! みられてかんじるなんて、へんたいさんねえええっ!!」
「やめるみょん! はずかしいみょん! いやだぁ! みないでみょおおんっ!
ち、ち、ち、ちんぽおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
『只今の記録、83dB! ぺにぺにには勝てなかったようですね!』
残り時間、39秒。
恍惚の表情で身体をぶつけ続けるありす。受け止めるみょんは淫語を呟きながら涎を垂らし、白目を剥いていた。
突然、ありすの身体がビクンッ、ビクンッ、と痙攣する。遅れて同様の反応をするみょん。
「んっほ! んっほ! ありすのほとばしるあいをうけとめてえええええええっ!!
っずっぎりいいいいいいいいいいいいいいいいいっっ!!」
「ちっ、ちっ、ちんぽおおおおおおおおおおおおっ! ちんぽおおおおおおおおおおおおっ!
ち゛ん゛ほ゜お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛っ!!」
ちんぽー ちんぽー ちんぽー……
『ハイッ! 只今の記録、116dB! 鳴き声だから編集はしませんよ!』
残り時間、7秒。
ありすの精を受け続けたみょんは額から大量の茎を生やし、アヘ顔を晒したまま「すっきりー死」した。
残ったありすを踏みつぶした中年男性は「すっきりー」した表情でリングを後にした。
巡回で訪れた若い駐在は、まりさ一家を指定した。駐在の顔はモザイクがかけられている。
一家の顔ぶれは、父まりさ、母ありす、子ありすの計3頭。
「獲物」に選んだのは、無数のトゲを生やす鎖付き金属球。俗に「モーニングスター」と呼ばれる武器だった。
一家の主は殺気立った駐在に向かい、懸命に命乞いをする。
「や、やめてね! まりさたち、もうはたけさんにきません! おやさいさんをとりません!
だから、だがらゆるじでぐだざい! おねがいじまずうううううううっ!!」
『法の番人がバチ当たり共に牙を剥くッ!
第34組目、始めッッ!!』
「イーーーーーーーーヤッハッーーーーーッッ!!」
若い駐在は雄叫びを上げながらモーニングスターを振り回し、まりさ一家に突撃した。
子ありすを護ろうとした父まりさが、母ありすが、悲鳴を上げる間もなく弾け飛んだ。
「ゆんやああああああっ!? ありちゅのおとーしゃんとおかーしゃんぎゃああああああっ!!」
「死ねッ! 死ねッ! この糞饅頭がッ! 死ねええええええええええええええええええッッ!」
ブチャアッ!!
しねぇー しねぇー しねぇー……
『えー、只今の記録、指定された父まりさが悲鳴を上げなかったので無効とします。
尚、子ありすの悲鳴は101dB。駐在サンの魂のシャウトは118dB。参考記録ということで』
「記録なんか関係ねぇッ! 俺が正義だッ! 糞饅頭共を裁いてやるッ! ヒャッハーッ!!」
一家を瞬殺した後も若い駐在は繰り返し列に並び、制服を返り餡で汚しながら存分にゆっくりを潰し続けた。
主婦風の中年女性は、ちぇんを指定した。番いのらんと子供達も連れ出された。
「獲物」に選んだのはデスソースの一種。その辛さ、一般的なタバスコの6000倍を超える。
『趣味は通販、辛党の奥様の手並み、拝見させていただきましょうッ!
第45組目、始めッッ!!』
開始後、必死に逃げ回るちぇんとらん、そして2頭の子ちぇん。
中年女性は手近にいた子ちぇんを掴み取ると、その小さな身体にデスソースを1滴垂らす。
「ゆにゃああああああああああっ!! いぢゃいよおおおおおおおおおおっ!!」
「にゃあああっ!? おぢびぢゃああああんっ!! いまいぐよおおおおっ!!」
「ちぇんによくにたおちびちゃあああん! じっがりずるんだああああっ!!」
中年女性は悶絶する子ちぇんを投げ捨てる。そこに殺到する家族ゆっくり。
痛がる子供を治療しようと、家族達は小さな身体に舌を伸ばす。
次の瞬間――、
「「「ゆががががががががががががががらいいいいいいいいいいいいいっっ!?」」」
「美味しい? ねえ、美味しいかい? 美味しいだろう?」
ちぇんとらん、そして子供達は、全員リング内をのたうち回る羽目になった。その様を悠々と見下ろす中年女性。
残り時間、3分15秒。
転げ回るちぇんを捕らえた中年女性は、デスソースの中身をちぇんの全身に塗り広げた。
途端に凄まじい勢いで悶絶するちぇん。中年女性の手を離れると、リング内を狂ったように跳ね回る。
その勢いは、泣き叫ぶ子ちぇん達を気付かぬうちに踏みつぶす程だった。
「ホラ! 気持ちいいか? この泥棒猫モドキ!! 踊れ踊れェッ!!」
「いだいよーっ! がらいよーっ! らんしゃまーっ!! らんじゃまーっ!! だじゅげでーっ!!」
「ぢぇええええん!! まっで! ごないで!! ぐるなああああああああああっ!!」
「い゛か゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛っ!!」
いがいよー いがいよー いがいよー……
『只今の記録、116dB! 真新しい鳴き声でしたねッ!』
残り時間、2分31秒。
ちぇんは絶叫した直後、チョコクリームを大量に吐き出し絶命した。
ちぇんに圧し掛かられ「超激辛すーりすーり」を全身で受け止めたらんも、酢飯を大量に吐き出し絶命した。
ダイジェストが終了し、ゆっくりの残骸や返り餡塗れのリング内が映る。
横から悠々と歩いてカメラアングルの中央に収まるトシアキと、その後ろに続く村長。
『と! いうわけで! バチ当たり共の悲鳴は、山の守神様に捧げられましたッ!
村長サン、いかがでしたか?」
「いやぁ、溜飲が下がりました。全員が同じ気持ちですよ」
『公式最高記録は124dB! 記録を出した奥様は、残念ながら腰痛が再発して退場しました。
後ほど認定証と副賞をお届けしたいと思います!!』
「きっと喜んでもらえますよ」
『ところで村長サン。別口の依頼が飛び込みで届いてまして。
その依頼を兼ねてエキストラステージ、やっちゃってイイですか?』
「ここまでしていただいて、断る理由が見つかりません。是非拝見させて下さい」
「ありがとうございます! それでは、しばしお待ちくださいッ!」
リング内から退場するトシアキと村長。直後に暗転する画面。
『あの無神経なゆっくりの断末魔を聞かせてほしい』
続いてリングの出入り口前が画面に映る。そこには、カートに乗せられたゆっくりがいた。
犬のような耳が特徴的な、初めて画面に登場したゆっくりは、スヤスヤと眠っていた。
『おやおや、呑気にお寝んねですか。皆さーん! 元気のいい挨拶で起こしてあげましょうッ!
せーの、お早うございまーすッッ!!!』
「「「「「「お早うございまーす!!!」」」」」」
ございまーす ございまーす ございまーす……
トシアキの号令に続いて発せられた村民達の挨拶が、山々に木霊した。
ゆっくりは村民達の声に反応すると、身体をムズムズとゆすり、ゆっくりと目を覚ます。
そのゆっくりは声のした方向、村民達に向けて口を開く。
「おー はー よー うー ごー ざー いー まー すー っっ!!!」
ごーざーいーまーすー ごーざーいーまーすー ごーざーいーまーすー ごーざーいーまーすー……
村民達の挨拶とは比較にならない、圧倒的な声量だった。
リングを囲んでいた村民達が耳を塞ぐ様子が、ぐるりと映される。
その最後にリング外のトシアキを収めるカメラアングル。頭にはヘッドホンが装着されていた。
『ハイ、お聞きになりましたか? 只今の挨拶だけで120dB!
大声ならこのゆっくりッ! ゆっくりきょーこッ! 守神様に捧げますッ!!』
「ゆっくりっ! ゆっくりきょーこっ!! もりがみさまにささげますーっ!!
ゆははははっ!」
きょーこはトシアキの言葉を追ってオウム返しで叫んだ。
言葉の意味は解していない様子で、きょーこは無邪気に笑っている。
『きょーこ種は最近発見された希少種で、近くで言われた言葉を真似して叫ぶ悪癖があります。
このきょーこは虹黒町において、聞きかじった個人情報をジェット機並みの騒音で叫んで回り、
依頼人達の社会的地位に大ダメージを与えました!』
「しゃかいてきちーに! だいだめーじを! あたえましたっ!!
まねしただけだよっ! だからいじめないでねっ! ゆへへへっ!」
まるで悪びれる様子も無く、トシアキの言葉を繰り返すきょーこ。
ここで、依頼者である虹黒町住民が悔しがる姿がカットインされた。顔にはモザイクがかけられている。
『『『お願いします! 是非そのゆっくりに、しかるべき報いをッ!!』』』
『了解しましたッ! 楽には死ねないようにしますからねッ!』
再び画面に映ったトシアキはカメラに向かって返答する。
その直後、映像スタッフによってリング内に投げ入れられるきょーこ。
起き上がったきょーこは、リング内の惨状に気付いたのか、竦み上がって叫び声を上げ始めた。
「ゆひいいいいいいっ! なにここぉっ!? ゆっくりできないいいいいいっ!
かんーじーざいーぼーさーつーっ!! ぎょうーじんーはんーにゃーはーらーみーたーじーっ!!」
『さて、皆様、耳栓の準備は出来ましたか? 虹黒町のみなさーんッ、見てますかーッ!!
きょーこの断末魔、聞かせて差し上げますッ!』
「ないーしーむーろうーしーっ! やくーむーろうーしーじんーっ! むーくーしゅうーめつーどうーっ!!」
『それでは、執行者の入場ですッ!! どうぞッ!!』
トシアキがリングに手をかざした瞬間、スタッフの手によってリング出入り口が開かれた。
その直後、4本の足で素早くリング内に侵入し、きょーこを突き飛ばすケダモノの姿が画面に映る。
「ウワゥッ! グルルルルルゥッ!!」
「いーむーしょ!? やーらーれーたーっ! やーらーれーだーっっ!!」
『御紹介しましょう。この依頼の為に届けてもらいました、野良犬ッ! 品種は柴犬ッ!』
「ワゥッ! ワゥッワゥッ!!」
その薄汚れた柴犬は耳や尻尾が欠け、過酷な野良生活を想わせた。
殺気立った唸りを上げるや、柴犬は再びきょーこに襲い掛かる。
『きょーこの中身は豊富なタンパク質と繊維質の絶妙なブレンドッ!
いわば、ドッグフードに極めて近い組成なのですッ!! 飢えた野良犬が嗅ぎつければ、ご覧の通りッ!』
柴犬はリングの壁近くに転がされたきょーこを前足で押さえつけ、そのままきょーこの左頬を食いちぎる。
きょーこは激痛に目を見開き、絶叫した。
「しいいいいいいいいんむううううううううけいいいいいいげえええええええええっっ!?」
しーんむーけいーげー しーんむーけいーげー しーんむーけいーげー……
『只今の記録、131dB! みなさーん、大丈夫ですかーッ!?
尚、あの野良犬は聴覚に異常があり、音を知覚できません。今回の依頼にうってつけの執行者ですッ!!』
画面はリング外を映しだした。いつの間にか、村民は両耳に手を当て、校庭の外周付近まで避難している。
再びリング内。きょーこは必死に逃げようとするが、端から柴犬に食べられている。
身体を大きく齧り取られる度に上がる悲鳴。絶叫が山々の間を反響した。
「やめでええっ!! きょーこをだべないでええええっ!!
ぜええええむうううううとううううううどうううううううしゅうううううううっっ!!」
ぜーむーとーどーしゅー ぜーむーとーどーしゅー ぜーむーとーどーしゅー……
『只今の記録、137dB! 聴覚に異常をきたす領域に近づいて来ましたッ!!』
飢えた柴犬は大音量の悲鳴にも怯まず、きょーこの中身を執拗に喰い荒らす。
きょーこはトシアキに何かを訴えるような眼差しを向けるが、トシアキはそれを一瞥する。
『大きい声も使いどころが肝要、ということです。皆さんも注意してくださいネ』
「クゥゥンッ!!」
柴犬は機嫌良く鼻を鳴らすと、きょーこの中心部目がけて喰らいつく。
その瞬間、きょーこは白目を剥いて断末魔を上げた。
「き゛ ゃ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛
て゛ え゛ え゛ え゛ え゛ え゛ え゛ え゛ え゛ え゛ え゛ え゛っっ!!」
ぎゃーてー ぎゃーてー ぎゃーてー ぎゃーてー ぎゃーてー ぎゃーてー ぎゃーてー……
『只今の記録、142dBッ!! 大台を超えましたッ!!
これはきょーこ種に限り、レギュレーションを設定する必要がありますネ!』
きょーこは中枢餡を貪り喰われ、泡を吹き白目を剥いた表情のまま永遠にゆっくりした。
その後、上下分割される画面。
下半分側は柴犬に食べ散らかされるきょーこの姿が早回しで流される。
上半分側は、虹黒町の住民達が映り、カメラに向かい声を揃えて礼を述べた。
『『『とってもすっきりーしました! ありがとうございました!!』』』
映像は夕刻の校庭に移り変わる。
校庭の中心では、バチが当たったゆっくり達のお飾りが燃やされていた。
そして、燃えたぎる炎の中に小さな何かを投げ入れる村人達。
それは身体が小さく声量が無いとして余りぎみだった、子ゆっくり、赤ゆっくり達だった。
「やめちぇね! きゃわいいれいみゅをたしゅけちぇね!
おそらをとんでるみ……ゆあぎゃああああああああああああああああっ!!」
「いやじゃああああっ! まりちゃ、まぢゃじにだぐないいいいいいっ!!
おそらを……あぢゃあああああああああああああああああっ!!」
「だぢゅげでええええっ!! ありぢゅはどぎゃいばっ! どぎゃいばああああああああっ!!」
「あぢゅいよおおおおおおおおおっ!! らんじゃみゃあああああああああああっ!!」
「ぢんぢんっ! ぢんぢんっ! ぢんぢん~~~~~~~~~~~~っっ!!」
順番待ちの村民に掴まれた子ゆ赤ゆ達は、微力を振り絞って必死に抵抗する。
もがき、泣き、叫び、哀願する。
「たちゅけちぇえええ! まりちゃなにもじでないでじょおおおおおおおおおっ!?」
「ありちゅはときゃいはなのおおお! たしゅけてくだじゃいいいいっ!!」
「おがーじゃーん! れいみゅをだじゅげでえええええっ!! おがーじゃーん!!」
「ゆんやああああああああああっ!! ゆんやあああああああああああっ!!」
しかし、逃れられるゆっくりは無い。
例外無く炎の中に投げ入れられ、絶叫を上げるゆっくりの子供達。
火達磨になって断末魔を上げる壮絶な表情が、繰り返し繰り返し映される。
その光景を背後に、トシアキと村長が並び立った。
「と、いうわけで! 第一回ゆんやー祭り! 締めのお飾り焼きで終了でーす!
村長サン、お疲れさまでしたッ!」
「お疲れさまでした。村の皆も喜んでおります。ありがとうございました!
さっきの犬は、私が引き取ります。山でのゆっくり探しを手伝ってもらいましょう」
「遊矢神社のゆんやー祭りは、毎月第二日曜日に開催決定ッッ!!
今後は古民家を改装した民宿も準備致しますので、泊りがけでも御安心頂けますヨ!」
「麓の町から処分ゆっくりを送って頂く手配もつきまして、ゆっくりが不足する事はありません。
今後の祭りでは、村から特別賞を用意いたします。御期待下さい」
「持ち込みも大歓迎ッ!! ただし、きょーこ種は別枠での参加になりますッ!
それでは、皆様ーッ!!」
「「遊矢村へ、ゆんやー祭りへ、ぜひお越しください。お待ちしております!」」
「「「「「「ゆ゛ん゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ!!」」」」」」
ゆんやー ゆんやー ゆんやー ゆんやー ゆんやー……
黄昏色に染まる秋空の下、炎に抱かれたゆっくりの子供達の悲鳴が木霊し続けた。
fade out
ゆっくり絶叫シリーズ鋭意製作中! ご期待下さい
制裁 考証 野良ゆ 赤ゆ 子ゆ ゲス れいぱー 希少種 現代 虐待人間 暇つぶしにどうぞ
・毎度の映像作品描写という仕様です。心理描写が極力排され、会話がクドいぐらい多めです。
例によって不真面目に書きました。心の健康の為に真面目に考えないでください。
・希少種虐殺があります。新キャラネタの設定考証を試験的に盛り込みました。
そこだけ読み流しても一向に構わんッッ! 仕様です。
・餡庫での表示の関係で、タイトル表記を前後変更しました。
・その他ネタ被り、独自設定、意味不明な箇所など書き捨て御免ということで。
・それでも読んでみる方は暇つぶしにどうぞ。話のネタにしてくれたら幸いです。
ゆっくり絶叫シリーズ ~あなたの願望叶えます~ とは
一部マニアに絶大な人気を誇る、撮り下ろし映像シリーズである。
とにかくゆっくりをゆっくりさせたくない、という一般人の依頼を、
大がかりな仕掛けと巧みな編集でバラエティー番組調の映像に昇華した作品。
時に採算を度外視した構成はシリーズを追う毎にファンの裾野を広げており、
さらなるゆっくりの叫びが待望されている。
ゆっくり絶叫シリーズ ~あなたの願望叶えます~ 03巻
~奇祭! ゆんやー祭~
『ゆっくり被害で村が困窮に瀕しています。
どうか御力添えをお願いします』
「ゆっくり絶叫シリ~~~ズッ!! 山! 山! 山! ぐるりと山ッ!
案内は私、双葉トシアキが、ここ遊矢村からお送りします!
こちらが今回の依頼人、遊矢村の村長である塀戸氏です。本日は、どうぞよろしくお願いしますッ!!」
「村長の塀戸です。ようこそ遊矢村へ」
「まりさのゆっくりぷれいすにようこそっ! なんだぜ! ゆっくりしていってね!!」
紅葉に彩られた山々と農村風景を背景に、黒タキシード姿のトシアキと作業着姿の壮年男性が御辞儀を交わす。
突然、下方に向けられるカメラアングル。
制止した画面には、1頭のゆっくりまりさが2人を背にし、ドヤ顔でふんぞり返る姿が映し出された。
「村長サン。お話の前になんですが、ナメられてませんか? 私達」
「いや、お恥ずかしい。今始末しますので」
村長の長靴履きの右足が上げられ、無防備なまりさは背後から一息に踏み潰される。
「ゆぶぎゅるばぶべらぅっ!?」
まりさは大量の餡子を口から吹き出し、永遠にゆっくりした。
再び画面がトシアキと村長を映し出す。
「失礼しました。お話を続けて下さい」
「依頼の内容を確認させていただきますが、ゆっくり被害の解決ということで、よろしいですね」
「はい。山に住むゆっくりに農作物や山の植生を台無しにされています。
特に近年は雨が続かないのでアイツらは増える一方、潰しても潰してもキリがありません」
「確か、遊矢村はこの程ゆっくり獣害地域に指定された、と伺っておりますが」
「県から地域指定されたところで、雀の涙ほどの予算じゃ意味もありません。
自衛しようにも老人ばかりでは、先程のように村の中まで我が物顔でうろつかれる始末」
「近頃は山間部でのゆっくり被害も社会問題化してますが、都市部に比べると対応が鈍いですからね。
加工所の誘致もダメでしたか?」
「ええ、山深い村に加工所を建てるのでは、あまりに損益が大きすぎるので、と」
「慈善事業ではない、と言うことではどちら様も一緒ですね。我々含めて。
しかし御安心ください。勝ち目の無い戦はしないのが我々のモットーですから」
「本当に、大丈夫なんですか?」
「お任せください! ここは一つ、エンジョイ&エキサイティングでいきましょう!
まずは、村と周辺の山々に居座る野生ゆっくりを調達します。少々お待ち下さい!」
軽快なマーチが流れ、野生ゆっくり確保シーンがダイジェストで流される。
映像スタッフの統率された動きに対し、ゆっくり達は成す術も無く捕らえられていく。
ゆっくり達の、怒り、泣き、悲しみ、叫ぶ姿が、執拗に映された。
ダイジェストが終わると同時に、廃校と思わしき場所が映る。
雑草だらけの校庭に集まった村民達の姿。
男女問わず平均年齢は高く、若者と言えば疎らに子供の姿がある程度だ。
「ハイ! お待たせしました。一昼夜かけて集めました、野生のゆっくり大小400頭余り。
村長サン、まずはこんなものでいかがでしょうか?」
「いや、なんとも、手際のいい! ありがとうございます。これで一安心です」
校庭の一端に立つトシアキと村長。村長は安堵した表情を浮かべ、トシアキに一礼する。
続いてカメラアングルは、校庭のもう一端に積み上げられた、無数の透明な箱に向けられた。
箱に詰め込まれたゆっくり達の、必死な形相が大映しになる。
『だぜえええ!! でいぶをごごがらだぜええええええええええっ!!』
『おやざいざんをよごぜええええっ!! ゆっぐりじないでよごぜええええええええっ!!』
『いながもののごみぐずにんげんが、ぢょうじにのるなああああああああああああっ!!』
『ゆにゃあああああああああああっ!! おながずいだよおおおおおおおおおっ!!』
『みょおおんっ!! おっばいずべるまっ! ぞーろーっっ!!』
捕獲されてから何も口にしていないのか、ゆっくり達は総じて怒りに満ちている。
1頭たりとも引け目を感じ取るゆっくりは無く、上から目線で好き好きに罵声を放つばかりであった。
画面は改めてトシアキと村長が並び立つ場所に戻る。
「一安心でいいんですか? いっそのことコレで村興ししちゃいましょうヨ!」
「村興し、ですか? このゆっくりを使って?」
「ハイ! 野生のゆっくりを遠ざける事も出来る、ステキな村興しです。
それでは皆様、アチラの廃校舎をご覧ください!」
映像は木造の校舎に移り、朽ちかけた姿がズームされる。
次の瞬間――、
バタンッ! バタッ! バタバタンッ!
廃校の壁が畳まれるように倒れていった。どよめく村民達。
そして、粉塵の中から石造りの鳥居と小さな社が姿を現した。
「ご覧ください! 土地ごと廃校を購入し、秘かに建立した遊矢神社です!
こちらで五穀豊穣を祈る為に、バチ当たり共を使って祭りを執り行おうと言うわけです!」
村長サンには宮司にクラスチェンジしていただきますネ。ささ、着替えて着替えて」
「え……。何時の間に……? あの、クラスって」
あっという間も無く、筋肉質な映像スタッフに力づくで着替えさせられる村長。
程無くして画面に映った村長は、宮司の装束を見に纏っていた。
「おお、お似合いですヨ! 次は、この祝詞を神前で奏上して下さい。
やり方は一通り控えてありますんで、見ながらお願いします」
ぎこちない様子で鳥居を潜り、社の前で読み慣れない祝詞を奏上する村長の姿が映される。
カットインされるのは、その姿を厳かに見守る村民の姿。そして騒がしいゆっくり達の姿。
全てを終え、元の位置に戻った村長に対し、トシアキが厳粛に一礼する。
「御役目お疲れ様です。これで誰はばかることなく祭りを行えます」
「祝詞を読んで解りましたが、あの神社、地域一帯の守神様を祭ってるんですね」
「やっぱり神様は大切にしないと、ですよ!
それじゃ、村長サンも皆さんと一緒に一休みしてて下さい」
画面が切り替わる。村民の背後から鳥居正面のトシアキを一望できるカメラアングル。
トシアキは眼前に集まっている村民をひと見渡しすると、大きく息を吸う。
『みなさーん!! ゆっくりが憎いですかーッ!?』
「「「「「「お、おおーっ」」」」」」
『声が小さいですねッ! ホントに憎いんですかーッ!? 生活を台無しにされて、悔しくないんですかーッ!?
アイツらの顔を見て、もう一度言って下さいッ!!」
トシアキが指差した先は、積み上げられた透明な箱。
中のゆっくり達は相変わらず図々しい物言いを続け、その大半が村民達を見下していた。
『そのめはなんなのぜ?! くそにんげんども! まりささまをゆっくりしないでごごがらだぜええええっ!!』
『すてきなれいむのかわいいおちびちゃんが、ぽんぽんすかしでるでじょおおおお!?
おやざいざんと、あまあまをやまもりもっでごいいいいいいっ!!』
『『『『『ぐぞにんげん! ぐぞにんげん! ぐぞにんげん!』』』』』
村民達と太太しい面構えのゆっくり達の間で視線が交錯する。
見る間に表情が険しくなる村民達。
『みなさーん!! ゆっくりが憎いですかーッ!?』
「「「「「「おおおーッッ!!!」」」」」」
再び掛け声を促された村民は、高齢者ばかりとは思えない昂った声で返す。
切り替わった画面に映ったのは、トシアキが満足げに頷く姿。
『その気持ち、これからも、大事にしてくださいッ!
それでは、第1回ッ! ゆんやー祭りをッ! ココにッ! 宣言ッ! 致しますッッ!!』
疎らに湧き起こる拍手。村民達は明らかに困惑しているようだ。
トシアキは構わずに話を進める。
『司会進行は、この双葉トシアキが務めさせていただきます。
では最初に手順の解説を、ゲストと共にお送りしましょう! どうぞー! ご入場下さいッ!!』
トシアキが左手を校庭の入口に向けたその時、けたたましい排気音が山々に木霊した。
入場しようとする者を迎えるように、校庭入口付近から二つに割れていく村民の集まり。
村民の間を入場してきたのは、刺々しい改造を施した旧世紀のアメ車だった。
アメ車を駆るのは、刺々しいスパイク剥き出しの革ジャンを身に纏う、大柄な男性だった。
ホッケーマスクを被っているので素顔を推し量ることはできない。
彼が校庭中央に到着する頃、そこは正に世紀末な雰囲気となっていた。
『ご紹介いたしましょうッ! 彼の名前はMr.A(仮名)!
平日は証券会社で働くシャイなお兄さんですが、休日は思うままにゆ虐を嗜む鬼威惨ッ!』
「ヒャッハーッ! 今日はヨロシクお願いしますゥ!!」
車から降り立ったMr.A(仮名)は、ペコリ、ペコリ、と丁寧な御辞儀を村民の人垣に行う。
キョトンとしながらも返礼する村民達。
『このゆんやー祭り、バチ当たりのゆっくりに悲鳴を上げさせ、守神様に五穀豊穣を祈願します!
まずはMr.A(仮名)に、悲鳴を上げさせたいゆっくりを1頭選んでいただきましょう。
家族単位までならオプションとして好きな数だけ自由に扱う事が出来ます」
「ヒャアッ! それじゃあソコの活きの良さそうなまりさを選ぶぜェ!
番いのれいむとおちびちゃん達も全部なァ!」
Mr.A(仮名)に指差された透明な箱から、映像スタッフの手でゆっくり達が掴みだされる。
まりさにれいむ、子れいむと子まりさが2頭ずつの計6頭。在り来たりなゆっくり一家だ。
「ゆぎいいいっ! なにするんだぜ、くぞにんげえええんっ!! まりざだぢをはなぜええっ!!」
「れいむたちをゆっくりしないではなじでね! おこるよぉ! ぷくーっ! ぷくーっ!!」
「「「「くしょにんげんは、おとーしゃんにせいっさい! されてしんじゃえー!!」」」」
『皆さん、元気いっぱいですネ! それでは、リングの中に入って下さい』
トシアキの声に促され、鳥居の手前に集まるMr.A(仮名)とゆっくり一家を持ったスタッフ達。
そこに出来上がっていたのは、直径5m程、高さ1.8m程の、透明な壁で出来た円形のリング。
リングの外側には丸太や模造刀、果ては釣り竿や荒縄等と言ったあらゆる「獲物」が並んでいた。
『それではMr.A(仮名)、獲物をひとつ選んでください。
壁については人力での破壊は不可能ッ! 遠慮する必要はありませんからネ!』
「ヒャッハーッ! それじゃあ釘バットを貸してもらうぜェ!」
釘バットを手渡されると、肩で笑う素振りを見せるMr.A(仮名)。
その蛮性を剥き出しにした様子に村民は黙りこくり、校庭がシンと静まり返る。
以前騒がしいのは、空気を読めないゆっくり一家だけであった。
『それでは一家の主に、ひとつ今の気持など伺ってみましょうか。
まりささん、人間が丹精込めて育てたお野菜を、勝手に食べたバチが今から当たりますが、心境をひとつ』
「はああああ!? おやさいさんはかってにはえてるでしょおおお!? なんでばちがあたるのおおお!?
ばかなのぜ!? しぬのぜ!? さっさとおやさいさんをやまもりもっでごいいいいいっ!!」
『バチの意味は知ってるようですねぇ。説明の手間が省けます。
それでは制限時間は5分間! Mr.A(仮名)! 準備はよろしいですか?』
「さっきからQNQNが止まらねえぜ! 早くしてくれッ!!」
『O.K.!! それでは第1組目ッ! 始めッッ!!』
トシアキの開始宣告と同時に、ゆっくり一家はリングの中央に放り投げられた。
「おそらを!」の常套句を言い終わる前に地面に叩きつけられ、悲鳴を上げて地面を転げ回るゆっくり一家。
画面の右下に表示されるカウントダウン。
すかさずMr.A(仮名)は子れいむを左手に取った。
「ゆんやあああっ! おとーしゃん! おかーしゃん! れいみゅをたしゅけちぇええええっ!!」
「ゆああっ!? まりさのおちびちゃんになにするんだぜえええっ!! ゆるざないのぜえええっ!!」
「くそにんげん!! れいむのおちびちゃんをゆっくりしないではなぜえええっ!!」
「「「ぷきゅーっ! いもうちょをはなちぇえええええ!」」」
Mr.A(仮名)は、ゆっくり一家の言葉を耳に貸さず、左手に持った子れいむを軽く放り上げる。
瞬間、映像はスローモーションになり、浮遊感に喜ぶ子れいむのゆっくりした表情が映る。
画面が切り替わり、美しいバッティングフォームで釘バットを構えるMr.A(仮名)。
子れいむに向けてバットが振るわれたその時、通常通りの時間で流れ始める映像――。
パァンッ!!
子れいむは一瞬にして爆ぜ飛んだ。Mr.A(仮名)の身体に、地面に、透明の壁に餡子が飛び散っていた。
両親ゆっくりも、子ゆっくり達も、子れいむが姿を消した理由が解らなくて呆然としている。
その眼前に、Mr.A(仮名)は釘バットをかざした。
飛び出た釘には、引き裂かれた子れいむの皮がおぞましい形相を残して引っ掛かっていた。
「「「「「ゆぎゃあああああああああああああああああああああああああっ!!」」」」」
『指定されたゆっくりの悲鳴は比較しやすいように、単位デシベル(dB)で表わすことに致します。
ちなみに、只今の悲鳴は家族そろって101dBでした。
例えるなら電車通過時のガード下の騒音程度ですが、まりさ単体の悲鳴ではないので無効とします』
「これからが本番だぜェ! ヒャッハーッ!!」
「ゆんやあああああああああああああああっ!! たしゅけぢぇええええ!!」
「「やべろえええええっ! おぢびぢゃんをがえぜっ!! ぐぞにんげええええんっ!!」」
両親ゆっくり達がMr.A(仮名)に体当りを仕掛けるが、Mr.A(仮名)は微動だにしない。
Mr.A(仮名)は続けざまに子ゆっくり達を手にとって、同様にノックバッティングを繰り返す。
パァンッ!! パァンッ!! パァンッ!! と、小気味いい音を立てて弾け飛ぶ子ゆっくり達。
子供達が弾ける度に、両親ゆっくりが苦悶の悲鳴を上げる。
残り時間、3分43秒。
「「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!! おぢびぢゃああああああああんっ!!」」
『さすがの手際で、瞬く間に子ゆっくりにバチを当てたMr.A(仮名)。村の皆さんもドン引きです!
ですが、目を背けてはいけません。次からは、あなた方にバチを当ててもらうんですから!!』
ざわっ
困惑しながら凶行を見守っていた村民達が、トシアキに指差されるや一斉にどよめいた。
隣同士で相談する者達、一歩遠ざかる者達、リングの中を注視する者達が、次々映し出される。
そんな外野には構わずに、Mr.A(仮名)は一人絶好調だった。
「次々行くぜェ! くたばりやがれェ!!」
「ゆぶぎゅあ!! ゆぶぎゃ!! ゆぎゅぶっ!!」
「ゆああああああ!! もういやだあああああっ! おうぢがえるううううっ!!」
Mr.A(仮名)は次の目標にれいむを選び、逃げ遅れたその身体を釘バットで殴り続けた。
バットが直撃するたびにれいむの身体は歪み、皮は裂け、眼球は弾け、餡子が方々に飛び散る。
その時、まりさはリングの内周をグルグル回って1頭だけ逃げようと足掻いていた。
そんな不甲斐ないまりさに、リングを囲む村民の目は冷たい。
残り時間、2分26秒。
「だじでええええっ!! まりざをごごがらだじでええええっ!!
どぼじでだれもまりざをだずげでぐれないのおおおおっ!?」
「それはなァ! まりさが家族も見捨てる底無しのバチ当たりだからよォ!!」
Mr.A(仮名)の言葉と共に、まりさの眼前に投げ捨てられた、その物体。
もはや呻き声を上げるだけの、潰れかけた饅頭と化したれいむであった。
「ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ」
「ゆぎゃああああああああああああああああああああああああっ!!」
『只今の悲鳴、108dB!』
「まだまだァ!!」
グチャアッ!!
渾身の力で振り下ろされた釘バットが、散々傷ついていたれいむの身体を弾け飛ばした。
返り餡が周囲に飛び散り、至近にいたまりさも全身に大量の餡子を浴びる。
「ゆあっ! ゆあっ! ゆ゛ん゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ!!!」
ゆんやー ゆんやー ゆんやー……
絶叫が木霊となって山間に響き渡った。
透明な箱の中に閉じ込められたゆっくり達も、その絶叫を聞いて、一様に震えあがった。
『ハイッ! 只今の悲鳴、113dB! 自動車のクラクションを至近で聞くより高い音量です!
まだイケますか!?』
「ダメだァ。案外性根の細いヤツだったぜ」
「ぱぴぷぺぽぱぴぷぺぽぱぴぷぺぽぱぴぷぺぽぱぴぷぺぽぱぴぷぺぽぱぴぷぺぽぱぴぷぺぽ」
まりさは非ゆっくり症を発症し、「しーしー」を垂れ流しながら意味不明な言葉を呟くだけになっていた。
Mr.A(仮名)は釘バットを振り上げると、渾身の力でまりさに叩きつける。
「ぱぴぷぺぽぱぴぷぺぽぱゆぶぎゅっ!!」
砕ける釘バットと、飛び散る餡子。まりさは一撃で絶命した。
残り時間、1分5秒でカンストする画面右下のカウンター。
熱気を帯びた村民達の一部は、返り餡まみれのMr.A(仮名)の姿に拍手を送る。
それに続き、またも丁寧に御辞儀するMr.A(仮名)の後ろ姿が映し出された。
『それでは、第1組目、Mr.A(仮名)の記録は113dB!
仕事の都合で今から帰宅されるMr.A(仮名)に、今一度拍手をお願いします』
リングから退場し、返り餡を落とそうともせずアメ車に乗り込むMr.A(仮名)。
排気音を響かせ校庭から去るその姿に、改めて拍手が送られた。
『ハイ、皆さん。もうお分かりでしょう。
山彦となったゆっくりの悲鳴は、野生ゆっくりが村に近づくことを躊躇わせる効果があります。
もちろん、続けてやらないと効果はありません。さあ、次は誰が挑戦しますか?』
ざわ……ざわ……
いざ自分がやる、となると村民達は戸惑って纏まりが無い。
そんな中、塀戸村長が前に進み出た。
「二番手は私が務めましょう。そちらのぱちゅりーを、家族全員ごと連れてきて下さい。
獲物は、そこの炭火バーベキューセットでお願いします」
『了解です! それでは準備いたします!』
リング中央に脚を外したバーベキューコンロが置かれた。コンロ内では炭が赤々と燃え、周囲の空気を揺らす。
作業着に着替えた村長が入場するに続き、指定されたゆっくり一家がリングに放り込まれた。
成体はぱちゅりー1頭のみで、子ゆっくりは様々な種類で15頭にも及んでいた。
『おやー、随分風変わりな子沢山ですねー。ぱちゅりーさん、おちびちゃんのお父さんはどうしたんですか?』
「むきゅ! このこたちは、みんなみなしごよ! ぱちぇはおさだから、ひきとってそだてているのよ!
りっぱにそだったこどもたちは、むれのためにはたらいてくれるわ! ぱちぇのじまんのこどもたちよ!」
『ナルホド、長ぱちゅりーさんは、身寄りのない子供を集めては育てていると。
で、育った子供達を使って山を畑を荒らし放題、ですか。バチ当たりの元締めですね!』
「むきゃーっ! いきるためにはたべものがひつようでしょーっ!? みんなおなかすかしてるのよーっ!!
やまもはたけも、ひとりじめしてるのはにんげんさんのほうでしょーっ!!」
「おさをばかにしないでね! ぷくーするよ!!」
「まりちゃしゃまが、いちゃいめにあわせてやるのじぇ!!」
「わかるよー! にんげんさんはずるいんだねー! わかるよー!」
腹を立てるぱちゅりーに合わせて、トシアキを威嚇する子ゆっくり達。
その間にも村長はバーベキューコンロの金網を脇に退け、長めのトングを炭火の中に差し込んでいた。
「こちらは準備完了です。始めて下さい」
『いきますよッ! 第2組目ッ! 始めッッ!!』
村長は子ゆっくり達を手早く掴み取ると、次々バーベキューコンロに投げ入れた。何の躊躇も無い。
灼熱の炭の上で、子ゆっくり達の身体がたちまち燃え上がる。
「「「「「「ゆぁぎゃあああああああああああっ!! あぢゅいいいいいいいいっ!!」」」」」」
「むきゃあああああああああっ!! ぱちぇのこどもたちがああああああああああああああっ!!」
コンロの中で火達磨になって踊り狂う子ゆっくり達。
ぱちゅりーは悲鳴を上げるものの、熱気を恐れて近づけないでいた。
『只今の悲鳴、88dB! ぱちゅりー種にしては、いいシャウトです!』
「むぎいいい!! なにをじでるのおおお!! ぱちぇのこどもたちを、はやくだずげなざいいいいっ!!」
村長は答えずにトングを手早く繰り、コンロの外へ飛び出そうとする子ゆっくり達の脱出を許さない。
残り時間が2分を回った頃には、15頭の子ゆっくり達は全て物言わぬ黒焦げ饅頭となっていた。
ただ傍観するしかなかったぱちゅりーは、変わり果てた子供達の姿に泣き叫ぶ。
「ばぢぇのゆっぐりじだごどもだぢいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!
むぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」
『只今の鳴き声、95dB! もう一声欲しいですね!』
「まだまだ、私は気が済みませんよ」
冷めた表情をした村長は、泣き叫ぶぱちゅりーの「おつむ」を左手で掴み、全身を高々と持ち上げる。
ぱちゅりー種特有の柔らかい身体は重力に抗えず、ヘチマのように身体を垂れ下げた。
「むぎゃー! ぐぞにんげん! よぐも! よぐもばぢぇのこどもたちをっ!!」
「ゆっくりするだけの能無し饅頭が、家族ゴッコなんぞ片腹痛いわ!
山の恵みも、畑の収穫も、全てを食い潰すバチ当たりの欲望饅頭め、思い知らせてやる!!」
村長は右手に持ったトングで、コンロから炭饅頭と化した子ゆっくりを掴み取る。
そして、だらしなく垂れ下がったぱちゅりーの脇腹に、トングごと子ゆっくりを突き入れた。
ジュウウウウウウウッ!
「むあぢゃあああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」
むあちゃー むあちゃー むあちゃー……
『只今の鳴き声、110dB! 惜しい!』
「そんなに家族ゴッコが好きなら、腹の中でやってろ! 世の中に出すな!」
残り時間、43秒。
村長は黙々とぱちゅりーの体内に焼けた子ゆっくりを突っ込み続ける。
内側から焼かれるぱちゅりーは沸騰した生クリームを吐き散らし、記録を伸ばす程の悲鳴を上げなかった。
残り時間、0秒。制限時間はとうに超過していた。
全ての焼けた子ゆっくりを体内に突っ込まれる頃には、ぱちゅりーはピクリとも動かなくなっていた。
肩で息をする村長は、ぱちゅりーの身体を焼け続けている炭の上に投げ捨てる。
ぱちゅりーの身体はあっという間に燃え上がって、たちまち歪な炭饅頭となった。
『お待たせしました! 第2組目、村長サンの記録は110dB! 中々のお手並みでした!
虚弱なぱちゅりー種にしてはイイ悲鳴を聞かせてくれましたね』
村民達に深々と一礼する村長に、村民は熱を帯びた歓声で応えた。
今や老いも若きも興奮し、村民達は我も我もとリングに詰めよってきた。
『並んで、並んで! 押さないでください! まだまだバチ当たり共は沢山ありますからね!
終了した参加者も、列の最後尾に並び直して下さい!
それでは、第三組目――』
それからの進行は、しばしダイジェスト映像で流された。
悲鳴は上がるものの記録に遠く及ばないシーンや、上手く悲鳴が上がらず村民の笑いを誘うシーンなどが中心だ。
その合間合間に、一風変わった手腕で悲鳴を上げさせる事に成功した様子が、幾度か差し込まれる。
農作業姿の壮年女性は、シングルマザーれいむ一家を指定した。
「獲物」に選んだのは何の変哲もない文房具のハサミだった。
『そんな装備で大丈夫ですか? 問題ないそうですッ!
第9組目、始めッッ!!』
リング内で、壮年女性とれいむ一家が対峙する。
母れいむは3頭の子れいむを従え、余裕の表情を浮かべていた。
「はああん、ゆっくりしてないくそばばあだよぉ? しんぐるまざーできたえたれいむのてきじゃないよ!
れいむのかわいいおちびちゃんたち! おかーさんのかんっぜんしょうりっ! しかとみててね!!」
「「「しかちょみちぇるよ!!!」」」
「……腰の調子さぁ良ければ、デカイ顔なんかぁさせないよぉ」
ユラリ、と壮年女性が動いた次の瞬間、母れいむは地面に向けて組み伏せられていた。
全く無駄のない、流れるような壮年女性の動きだった。
母れいむは何が起こったか理解できない様子で、キョロキョロと周囲を見回すばかりだ。
残り時間、4分29秒。
「「「おかーしゃーん!! がんばっちぇー!!」」」
「ゆん! おかーさんはまけないよぉ! おいっくそばばあ! れいむをゆっくりしないではn」
ヒラリ、ヒラリと、這いつくばる母れいむの眼前に舞い落ちる赤い端切れ。
「ソレ」を見たれいむの身体が硬直した。
地面を鮮やかに彩る「ソレ」は、母れいむ自慢のお飾り。ハサミで刻まれた真っ赤なリボンである。
「どぼじでえええええええええっ!! それ、れいむのきゅーとなおかざりさんでしょおおおおおっ!?
ゆんやあああああああああああああああああああっ!!」
『只今の記録、97dB。初っ端から期待できそうですヨ!』
壮年女性はお飾りを細切れにした後も、全く手を緩めない。ハサミは踊る様に黒髪を刻む。
母れいむは脱出しようともがくが、しっかりと押さえつけられた身体に出来たのは、尻を醜く振るだけだった。
「ゆんやあああああああっ。れいむのつやつやうっとりなかみのけさんがああああああああっ!!
もうやべでええええええっ!! ゆるじでぐだざいいいいいいいいいいいいいいいっ!!」
『只今の記録、111dB。この調子!』
「「「お、おかーしゃん……」」」
母れいむは無様に泣いて許しを乞うが、壮年女性は手を緩めない。
純粋に母親を信じていた子供達の眼差しに、疑いの影を落とすだけの結果となった。
残り時間、1分17秒。
ようやく解放された母れいむは、疎らに髪の毛を残すブサイクなハゲ饅頭と化していた。
「ゆわああああああああああああああん!! ゆわああああああああああああああん!!」
「れいみゅのおかーしゃんは、くちほどにもにゃかったのにぇ! なしゃけにゃいのにぇ!!」
「おお、ぶじゃまぶじゃま! じぇんじぇんゆっくりできないにぇ!」
「あんにゃの、きゃわいいれいみゅたちのおかーしゃんじゃにゃいよ!
にんげんしゃん! れいみゅたち、とっちぇもきゃわいいでしょ? だからたしゅけちぇね!」
子れいむ達は敗北したも同然の母親を見限り、壮年女性に媚を売った。自分達だけ助かろうという算段だ。
泣いていた母れいむの表情が憤怒に満ちる。次の瞬間、母れいむが子れいむ達の頭上に跳ぶ。
「ゆがああああっ! かわいそうなれいむをみすてるげすちびは、ゆっぐりじないでじねええええっ!!」
ぐちゃっ
母親の「あんよ」の下で、子れいむ達は永遠にゆっくりした。
残り時間、31秒。
母れいむの眼前にしゃがみ込む壮年女性。母れいむは、すかさず壮年女性に土下座を敢行した。
「に、にんげんざん! でいぶはがわいぞうなんでずうううっ! ゆっぐりでぎないでずうううっ!
がわいいおぢびぢゃんも、おがざりざんも、がみのげざんも、なぐなっぢゃいまじだあああっ!!
でいぶを、おやまにがえじでぐだざいいいいっ!!」
「ダメだよぉ。二度とゆっくりさせないよぉ。お前さんは、ここで死ぬんだよぉ。ひっひっひっ」
壮年女性の顔を見た母れいむが、リング外の村民が、一様に顔を強張らせた。皆全身で怖れを表現していた。
残念ながら、カメラアングルは壮年女性の背後からで、その形相は解らない。
「ゆ゛ん゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ!!!」
ゆんやぁー ゆんやぁー ゆんやぁー ゆんやぁー ゆんやぁー……
『只今の記録、124dBッ。新記録ですッッ!!
どのぐらいかと言えば、飛行機のエンジンとか、そういうレベルの音量ですッ!』
健闘した壮年女性に、村民達は惜しみない拍手を送る。
残り時間、6秒。
母れいむは自ら漏らした「おそろしーしー」の溜まりに突っ伏し、そのまま永遠にゆっくりした。
大工風の中年男性は、1頭のみょんを指定した。
「獲物」に選んだのは、「獲物」置き場に捕らえられていた1頭のありすだった。
『ソレを選ぶ人がいましたかッ! 死のリングが盛り場に変貌してしまうッ!
第16組目、始めッッ!!』
開始早々、中年男性はありすを激しく揺さぶった。
強い振動で身体を揺すられたありすは生殖本能を刺激され、たちまち「れいぱー」化してしまう。
「んっほおおおおおおおおおおおっ!! たかぶってきたわああああっ!!」
「みょおおおおおおおおんっ!?」
残り時間、3分43秒。
「れいぱー」化したありすから必死に逃げるみょんだったが、遂にありすに追い付かれる。
抵抗むなしく背後から圧し掛かられるみょん。衆人環視の前で激しい交尾が始まった。
中年男性は上品とは言えない笑みを浮かべながら、その様を楽しんでいる。
「んほおっ! んほおっ! みられてかんじるなんて、へんたいさんねえええっ!!」
「やめるみょん! はずかしいみょん! いやだぁ! みないでみょおおんっ!
ち、ち、ち、ちんぽおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
『只今の記録、83dB! ぺにぺにには勝てなかったようですね!』
残り時間、39秒。
恍惚の表情で身体をぶつけ続けるありす。受け止めるみょんは淫語を呟きながら涎を垂らし、白目を剥いていた。
突然、ありすの身体がビクンッ、ビクンッ、と痙攣する。遅れて同様の反応をするみょん。
「んっほ! んっほ! ありすのほとばしるあいをうけとめてえええええええっ!!
っずっぎりいいいいいいいいいいいいいいいいいっっ!!」
「ちっ、ちっ、ちんぽおおおおおおおおおおおおっ! ちんぽおおおおおおおおおおおおっ!
ち゛ん゛ほ゜お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛っ!!」
ちんぽー ちんぽー ちんぽー……
『ハイッ! 只今の記録、116dB! 鳴き声だから編集はしませんよ!』
残り時間、7秒。
ありすの精を受け続けたみょんは額から大量の茎を生やし、アヘ顔を晒したまま「すっきりー死」した。
残ったありすを踏みつぶした中年男性は「すっきりー」した表情でリングを後にした。
巡回で訪れた若い駐在は、まりさ一家を指定した。駐在の顔はモザイクがかけられている。
一家の顔ぶれは、父まりさ、母ありす、子ありすの計3頭。
「獲物」に選んだのは、無数のトゲを生やす鎖付き金属球。俗に「モーニングスター」と呼ばれる武器だった。
一家の主は殺気立った駐在に向かい、懸命に命乞いをする。
「や、やめてね! まりさたち、もうはたけさんにきません! おやさいさんをとりません!
だから、だがらゆるじでぐだざい! おねがいじまずうううううううっ!!」
『法の番人がバチ当たり共に牙を剥くッ!
第34組目、始めッッ!!』
「イーーーーーーーーヤッハッーーーーーッッ!!」
若い駐在は雄叫びを上げながらモーニングスターを振り回し、まりさ一家に突撃した。
子ありすを護ろうとした父まりさが、母ありすが、悲鳴を上げる間もなく弾け飛んだ。
「ゆんやああああああっ!? ありちゅのおとーしゃんとおかーしゃんぎゃああああああっ!!」
「死ねッ! 死ねッ! この糞饅頭がッ! 死ねええええええええええええええええええッッ!」
ブチャアッ!!
しねぇー しねぇー しねぇー……
『えー、只今の記録、指定された父まりさが悲鳴を上げなかったので無効とします。
尚、子ありすの悲鳴は101dB。駐在サンの魂のシャウトは118dB。参考記録ということで』
「記録なんか関係ねぇッ! 俺が正義だッ! 糞饅頭共を裁いてやるッ! ヒャッハーッ!!」
一家を瞬殺した後も若い駐在は繰り返し列に並び、制服を返り餡で汚しながら存分にゆっくりを潰し続けた。
主婦風の中年女性は、ちぇんを指定した。番いのらんと子供達も連れ出された。
「獲物」に選んだのはデスソースの一種。その辛さ、一般的なタバスコの6000倍を超える。
『趣味は通販、辛党の奥様の手並み、拝見させていただきましょうッ!
第45組目、始めッッ!!』
開始後、必死に逃げ回るちぇんとらん、そして2頭の子ちぇん。
中年女性は手近にいた子ちぇんを掴み取ると、その小さな身体にデスソースを1滴垂らす。
「ゆにゃああああああああああっ!! いぢゃいよおおおおおおおおおおっ!!」
「にゃあああっ!? おぢびぢゃああああんっ!! いまいぐよおおおおっ!!」
「ちぇんによくにたおちびちゃあああん! じっがりずるんだああああっ!!」
中年女性は悶絶する子ちぇんを投げ捨てる。そこに殺到する家族ゆっくり。
痛がる子供を治療しようと、家族達は小さな身体に舌を伸ばす。
次の瞬間――、
「「「ゆががががががががががががががらいいいいいいいいいいいいいっっ!?」」」
「美味しい? ねえ、美味しいかい? 美味しいだろう?」
ちぇんとらん、そして子供達は、全員リング内をのたうち回る羽目になった。その様を悠々と見下ろす中年女性。
残り時間、3分15秒。
転げ回るちぇんを捕らえた中年女性は、デスソースの中身をちぇんの全身に塗り広げた。
途端に凄まじい勢いで悶絶するちぇん。中年女性の手を離れると、リング内を狂ったように跳ね回る。
その勢いは、泣き叫ぶ子ちぇん達を気付かぬうちに踏みつぶす程だった。
「ホラ! 気持ちいいか? この泥棒猫モドキ!! 踊れ踊れェッ!!」
「いだいよーっ! がらいよーっ! らんしゃまーっ!! らんじゃまーっ!! だじゅげでーっ!!」
「ぢぇええええん!! まっで! ごないで!! ぐるなああああああああああっ!!」
「い゛か゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛っ!!」
いがいよー いがいよー いがいよー……
『只今の記録、116dB! 真新しい鳴き声でしたねッ!』
残り時間、2分31秒。
ちぇんは絶叫した直後、チョコクリームを大量に吐き出し絶命した。
ちぇんに圧し掛かられ「超激辛すーりすーり」を全身で受け止めたらんも、酢飯を大量に吐き出し絶命した。
ダイジェストが終了し、ゆっくりの残骸や返り餡塗れのリング内が映る。
横から悠々と歩いてカメラアングルの中央に収まるトシアキと、その後ろに続く村長。
『と! いうわけで! バチ当たり共の悲鳴は、山の守神様に捧げられましたッ!
村長サン、いかがでしたか?」
「いやぁ、溜飲が下がりました。全員が同じ気持ちですよ」
『公式最高記録は124dB! 記録を出した奥様は、残念ながら腰痛が再発して退場しました。
後ほど認定証と副賞をお届けしたいと思います!!』
「きっと喜んでもらえますよ」
『ところで村長サン。別口の依頼が飛び込みで届いてまして。
その依頼を兼ねてエキストラステージ、やっちゃってイイですか?』
「ここまでしていただいて、断る理由が見つかりません。是非拝見させて下さい」
「ありがとうございます! それでは、しばしお待ちくださいッ!」
リング内から退場するトシアキと村長。直後に暗転する画面。
『あの無神経なゆっくりの断末魔を聞かせてほしい』
続いてリングの出入り口前が画面に映る。そこには、カートに乗せられたゆっくりがいた。
犬のような耳が特徴的な、初めて画面に登場したゆっくりは、スヤスヤと眠っていた。
『おやおや、呑気にお寝んねですか。皆さーん! 元気のいい挨拶で起こしてあげましょうッ!
せーの、お早うございまーすッッ!!!』
「「「「「「お早うございまーす!!!」」」」」」
ございまーす ございまーす ございまーす……
トシアキの号令に続いて発せられた村民達の挨拶が、山々に木霊した。
ゆっくりは村民達の声に反応すると、身体をムズムズとゆすり、ゆっくりと目を覚ます。
そのゆっくりは声のした方向、村民達に向けて口を開く。
「おー はー よー うー ごー ざー いー まー すー っっ!!!」
ごーざーいーまーすー ごーざーいーまーすー ごーざーいーまーすー ごーざーいーまーすー……
村民達の挨拶とは比較にならない、圧倒的な声量だった。
リングを囲んでいた村民達が耳を塞ぐ様子が、ぐるりと映される。
その最後にリング外のトシアキを収めるカメラアングル。頭にはヘッドホンが装着されていた。
『ハイ、お聞きになりましたか? 只今の挨拶だけで120dB!
大声ならこのゆっくりッ! ゆっくりきょーこッ! 守神様に捧げますッ!!』
「ゆっくりっ! ゆっくりきょーこっ!! もりがみさまにささげますーっ!!
ゆははははっ!」
きょーこはトシアキの言葉を追ってオウム返しで叫んだ。
言葉の意味は解していない様子で、きょーこは無邪気に笑っている。
『きょーこ種は最近発見された希少種で、近くで言われた言葉を真似して叫ぶ悪癖があります。
このきょーこは虹黒町において、聞きかじった個人情報をジェット機並みの騒音で叫んで回り、
依頼人達の社会的地位に大ダメージを与えました!』
「しゃかいてきちーに! だいだめーじを! あたえましたっ!!
まねしただけだよっ! だからいじめないでねっ! ゆへへへっ!」
まるで悪びれる様子も無く、トシアキの言葉を繰り返すきょーこ。
ここで、依頼者である虹黒町住民が悔しがる姿がカットインされた。顔にはモザイクがかけられている。
『『『お願いします! 是非そのゆっくりに、しかるべき報いをッ!!』』』
『了解しましたッ! 楽には死ねないようにしますからねッ!』
再び画面に映ったトシアキはカメラに向かって返答する。
その直後、映像スタッフによってリング内に投げ入れられるきょーこ。
起き上がったきょーこは、リング内の惨状に気付いたのか、竦み上がって叫び声を上げ始めた。
「ゆひいいいいいいっ! なにここぉっ!? ゆっくりできないいいいいいっ!
かんーじーざいーぼーさーつーっ!! ぎょうーじんーはんーにゃーはーらーみーたーじーっ!!」
『さて、皆様、耳栓の準備は出来ましたか? 虹黒町のみなさーんッ、見てますかーッ!!
きょーこの断末魔、聞かせて差し上げますッ!』
「ないーしーむーろうーしーっ! やくーむーろうーしーじんーっ! むーくーしゅうーめつーどうーっ!!」
『それでは、執行者の入場ですッ!! どうぞッ!!』
トシアキがリングに手をかざした瞬間、スタッフの手によってリング出入り口が開かれた。
その直後、4本の足で素早くリング内に侵入し、きょーこを突き飛ばすケダモノの姿が画面に映る。
「ウワゥッ! グルルルルルゥッ!!」
「いーむーしょ!? やーらーれーたーっ! やーらーれーだーっっ!!」
『御紹介しましょう。この依頼の為に届けてもらいました、野良犬ッ! 品種は柴犬ッ!』
「ワゥッ! ワゥッワゥッ!!」
その薄汚れた柴犬は耳や尻尾が欠け、過酷な野良生活を想わせた。
殺気立った唸りを上げるや、柴犬は再びきょーこに襲い掛かる。
『きょーこの中身は豊富なタンパク質と繊維質の絶妙なブレンドッ!
いわば、ドッグフードに極めて近い組成なのですッ!! 飢えた野良犬が嗅ぎつければ、ご覧の通りッ!』
柴犬はリングの壁近くに転がされたきょーこを前足で押さえつけ、そのままきょーこの左頬を食いちぎる。
きょーこは激痛に目を見開き、絶叫した。
「しいいいいいいいいんむううううううううけいいいいいいげえええええええええっっ!?」
しーんむーけいーげー しーんむーけいーげー しーんむーけいーげー……
『只今の記録、131dB! みなさーん、大丈夫ですかーッ!?
尚、あの野良犬は聴覚に異常があり、音を知覚できません。今回の依頼にうってつけの執行者ですッ!!』
画面はリング外を映しだした。いつの間にか、村民は両耳に手を当て、校庭の外周付近まで避難している。
再びリング内。きょーこは必死に逃げようとするが、端から柴犬に食べられている。
身体を大きく齧り取られる度に上がる悲鳴。絶叫が山々の間を反響した。
「やめでええっ!! きょーこをだべないでええええっ!!
ぜええええむうううううとううううううどうううううううしゅうううううううっっ!!」
ぜーむーとーどーしゅー ぜーむーとーどーしゅー ぜーむーとーどーしゅー……
『只今の記録、137dB! 聴覚に異常をきたす領域に近づいて来ましたッ!!』
飢えた柴犬は大音量の悲鳴にも怯まず、きょーこの中身を執拗に喰い荒らす。
きょーこはトシアキに何かを訴えるような眼差しを向けるが、トシアキはそれを一瞥する。
『大きい声も使いどころが肝要、ということです。皆さんも注意してくださいネ』
「クゥゥンッ!!」
柴犬は機嫌良く鼻を鳴らすと、きょーこの中心部目がけて喰らいつく。
その瞬間、きょーこは白目を剥いて断末魔を上げた。
「き゛ ゃ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛
て゛ え゛ え゛ え゛ え゛ え゛ え゛ え゛ え゛ え゛ え゛ え゛っっ!!」
ぎゃーてー ぎゃーてー ぎゃーてー ぎゃーてー ぎゃーてー ぎゃーてー ぎゃーてー……
『只今の記録、142dBッ!! 大台を超えましたッ!!
これはきょーこ種に限り、レギュレーションを設定する必要がありますネ!』
きょーこは中枢餡を貪り喰われ、泡を吹き白目を剥いた表情のまま永遠にゆっくりした。
その後、上下分割される画面。
下半分側は柴犬に食べ散らかされるきょーこの姿が早回しで流される。
上半分側は、虹黒町の住民達が映り、カメラに向かい声を揃えて礼を述べた。
『『『とってもすっきりーしました! ありがとうございました!!』』』
映像は夕刻の校庭に移り変わる。
校庭の中心では、バチが当たったゆっくり達のお飾りが燃やされていた。
そして、燃えたぎる炎の中に小さな何かを投げ入れる村人達。
それは身体が小さく声量が無いとして余りぎみだった、子ゆっくり、赤ゆっくり達だった。
「やめちぇね! きゃわいいれいみゅをたしゅけちぇね!
おそらをとんでるみ……ゆあぎゃああああああああああああああああっ!!」
「いやじゃああああっ! まりちゃ、まぢゃじにだぐないいいいいいっ!!
おそらを……あぢゃあああああああああああああああああっ!!」
「だぢゅげでええええっ!! ありぢゅはどぎゃいばっ! どぎゃいばああああああああっ!!」
「あぢゅいよおおおおおおおおおっ!! らんじゃみゃあああああああああああっ!!」
「ぢんぢんっ! ぢんぢんっ! ぢんぢん~~~~~~~~~~~~っっ!!」
順番待ちの村民に掴まれた子ゆ赤ゆ達は、微力を振り絞って必死に抵抗する。
もがき、泣き、叫び、哀願する。
「たちゅけちぇえええ! まりちゃなにもじでないでじょおおおおおおおおおっ!?」
「ありちゅはときゃいはなのおおお! たしゅけてくだじゃいいいいっ!!」
「おがーじゃーん! れいみゅをだじゅげでえええええっ!! おがーじゃーん!!」
「ゆんやああああああああああっ!! ゆんやあああああああああああっ!!」
しかし、逃れられるゆっくりは無い。
例外無く炎の中に投げ入れられ、絶叫を上げるゆっくりの子供達。
火達磨になって断末魔を上げる壮絶な表情が、繰り返し繰り返し映される。
その光景を背後に、トシアキと村長が並び立った。
「と、いうわけで! 第一回ゆんやー祭り! 締めのお飾り焼きで終了でーす!
村長サン、お疲れさまでしたッ!」
「お疲れさまでした。村の皆も喜んでおります。ありがとうございました!
さっきの犬は、私が引き取ります。山でのゆっくり探しを手伝ってもらいましょう」
「遊矢神社のゆんやー祭りは、毎月第二日曜日に開催決定ッッ!!
今後は古民家を改装した民宿も準備致しますので、泊りがけでも御安心頂けますヨ!」
「麓の町から処分ゆっくりを送って頂く手配もつきまして、ゆっくりが不足する事はありません。
今後の祭りでは、村から特別賞を用意いたします。御期待下さい」
「持ち込みも大歓迎ッ!! ただし、きょーこ種は別枠での参加になりますッ!
それでは、皆様ーッ!!」
「「遊矢村へ、ゆんやー祭りへ、ぜひお越しください。お待ちしております!」」
「「「「「「ゆ゛ん゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ!!」」」」」」
ゆんやー ゆんやー ゆんやー ゆんやー ゆんやー……
黄昏色に染まる秋空の下、炎に抱かれたゆっくりの子供達の悲鳴が木霊し続けた。
fade out
ゆっくり絶叫シリーズ鋭意製作中! ご期待下さい