ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko3450 ゆっくりの越冬 前半
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『ゆっくりの越冬 前半』 38KB
観察 考証 越冬 自然界 人間なし うんしー 初投稿です。
観察 考証 越冬 自然界 人間なし うんしー 初投稿です。
※前書き
- 設定の独自解釈があります。
- スレなどで気に入ったネタは容赦なく盛り込んであります。
- 考察要素が強めです。
それでも良いと思われる方、どうぞご照覧下さい。
ゆっくりの越冬
木々の間から街を望む、小さな山の中にそのゆっくりの群れはある。
群れは小さく、長も普通サイズのまりさ。
しかし規模の小ささが幸いして人間との軋轢も生まれず比較的平穏に暮らしている。
一般にゆっくりは子沢山であり、2匹以上いればあっという間に数が増えると思われているが
それは恵まれた環境に限った話。
赤ゆっくりや子ゆっくりが厳しい自然界で生き抜ける確率はそれほど高くない。
だから、この群れは2年の歳月を経ても規模があまり変わってこなかった。
そうして季節は巡り、夏の終わりに生まれた赤ゆっくりが一人前になる頃、
群れのゆっくり達が越冬の準備をしはじめると共にこの話は始まる。
群れは小さく、長も普通サイズのまりさ。
しかし規模の小ささが幸いして人間との軋轢も生まれず比較的平穏に暮らしている。
一般にゆっくりは子沢山であり、2匹以上いればあっという間に数が増えると思われているが
それは恵まれた環境に限った話。
赤ゆっくりや子ゆっくりが厳しい自然界で生き抜ける確率はそれほど高くない。
だから、この群れは2年の歳月を経ても規模があまり変わってこなかった。
そうして季節は巡り、夏の終わりに生まれた赤ゆっくりが一人前になる頃、
群れのゆっくり達が越冬の準備をしはじめると共にこの話は始まる。
「「ここをれいむとまりさのゆっくりぷれいすにするよ!!」」
彼女たちはつい先日に独り立ちしたばかりの若いまりさとれいむ。
どうやら新たな住処となる場所…自分たちだけの「ゆっくりぷれいす」を見つけたところのようだ。
この2匹は生まれた“おうち”がすぐ近くにあったために、家族ぐるみでの付き合いがあった。
小さい頃から特に仲が良く、大人になり、独り立ちすると共にごく自然につがいになったのだ。
とはいえ、今は冬の準備で忙しい時期。まだ子供を作ることはできないでいる。
どうやら新たな住処となる場所…自分たちだけの「ゆっくりぷれいす」を見つけたところのようだ。
この2匹は生まれた“おうち”がすぐ近くにあったために、家族ぐるみでの付き合いがあった。
小さい頃から特に仲が良く、大人になり、独り立ちすると共にごく自然につがいになったのだ。
とはいえ、今は冬の準備で忙しい時期。まだ子供を作ることはできないでいる。
2匹が巣を作ろうと決めたのは60センチ程の土手に空いた小さな洞穴。
雨で崩れたのか、木の根が露出しておりなんとも丈夫そうな佇まいである。
冬籠りに向けて通常より広い範囲で狩りを行っていた為に運よく発見できたものだ。
すぐにおうち宣言を済ませ、あとは冬に向けて住みよい様に拡張するのみとなっている。
とはいったものの、まるで誰かが住んでいたかの様に、この穴倉は2匹で暮らすには既に十分な広さがあった。
越冬用の食糧を溜めるのでなければ拡張すら必要なかったかもしれない。
雨で崩れたのか、木の根が露出しておりなんとも丈夫そうな佇まいである。
冬籠りに向けて通常より広い範囲で狩りを行っていた為に運よく発見できたものだ。
すぐにおうち宣言を済ませ、あとは冬に向けて住みよい様に拡張するのみとなっている。
とはいったものの、まるで誰かが住んでいたかの様に、この穴倉は2匹で暮らすには既に十分な広さがあった。
越冬用の食糧を溜めるのでなければ拡張すら必要なかったかもしれない。
「それじゃあ、まりさは かりにいってくるのぜ!」
「ゆっくりいってらっしゃい! きをつけてね!」
「ゆっくりいってらっしゃい! きをつけてね!」
本来ならふたりで狩りをし、狩りを終えたらふたりで協力して穴を広げるところだが
れいむは自分だけでおうち作りを引き受けるとまりさに伝えた。
小さいころから母ありすの“とかいはなこーでぃねーと”を手伝っていたれいむは
狩りよりもおうち作りが得意だった為だ。
逆に父まりさと主に木々の間を駆け巡ってばかりいたまりさはおうち作りは苦手。
そこでまりさは狩りに、れいむはおうち作りに専念することにした。
れいむは自分だけでおうち作りを引き受けるとまりさに伝えた。
小さいころから母ありすの“とかいはなこーでぃねーと”を手伝っていたれいむは
狩りよりもおうち作りが得意だった為だ。
逆に父まりさと主に木々の間を駆け巡ってばかりいたまりさはおうち作りは苦手。
そこでまりさは狩りに、れいむはおうち作りに専念することにした。
この作戦は見たところ功を奏したようである。
まりさは「群で一番の狩りの名人」、すなわちまりさ種としては平均的な能力だったが
この森は食糧となる草や花も豊富であり
時間の余裕も手伝って順調に保存用のごはんを貯めることができた。
まりさは「群で一番の狩りの名人」、すなわちまりさ種としては平均的な能力だったが
この森は食糧となる草や花も豊富であり
時間の余裕も手伝って順調に保存用のごはんを貯めることができた。
秋が終わりを告げいよいよ越冬に入る頃、まりさとれいむには丁度良いおうちが出来上がっていた。
巣穴の奥にもたっぷりのごはんが貯め込まれている。
拡張された食糧庫は、春になれば生まれてくるであろう“おちびちゃん”たちの部屋になるのである。
長まりさの娘であり幼いころからの親友であるぱちゅりーに教わって、きちんと長持ちするものだけを集めたものだ。
しっかり切り詰めれば大人のゆっくり3人が十分に食い繋げるだろうと言っていたので安心できる。
巣穴の奥にもたっぷりのごはんが貯め込まれている。
拡張された食糧庫は、春になれば生まれてくるであろう“おちびちゃん”たちの部屋になるのである。
長まりさの娘であり幼いころからの親友であるぱちゅりーに教わって、きちんと長持ちするものだけを集めたものだ。
しっかり切り詰めれば大人のゆっくり3人が十分に食い繋げるだろうと言っていたので安心できる。
「ゆっ! さいきん だいぶすずしくなってきたね! おうちをゆっくりふさごうね!」
「わかったのぜ! でもそのまえに おとーさんとおかーさんに あいさつしてくるのぜ!」
「わかったのぜ! でもそのまえに おとーさんとおかーさんに あいさつしてくるのぜ!」
春には再会できるとは言え、今までのゆん生と同じほどの期間会うことができなくなる。
2匹はそれぞれの両親や、同じく一人立ちした姉妹に挨拶しに行くことにした。
お互いの準備が万全であると確認し、長い時間をかけて別れを惜しむと
巣に戻り、いつもの“けっかいっ”よりも厳重に枝や石、唾液を混ぜた土で入口を丹念に塞いでいく。
自由な出入りはできなくなるものの、冷たい外気が入って来なくなり
巣の中は2匹の体温によって一定の温度が保たれるだろう。
2匹はそれぞれの両親や、同じく一人立ちした姉妹に挨拶しに行くことにした。
お互いの準備が万全であると確認し、長い時間をかけて別れを惜しむと
巣に戻り、いつもの“けっかいっ”よりも厳重に枝や石、唾液を混ぜた土で入口を丹念に塞いでいく。
自由な出入りはできなくなるものの、冷たい外気が入って来なくなり
巣の中は2匹の体温によって一定の温度が保たれるだろう。
「これで やっとゆっくりできるのぜ!」
「まりさ! はるまで ゆっくりしようね!」
「「ゆっくりしていってね!!」」
「まりさ! はるまで ゆっくりしようね!」
「「ゆっくりしていってね!!」」
「「ゆっくりしていってね!!」」
最初の夜が明け、2匹は朝の挨拶を交わした。
初めての越冬、それ以上に、初めてのふたりきりのおうち。
彼女たちを包む軽い興奮と深い幸福感は、ぷろぽーずのときの甘いふぁーすとちゅっちゅと同じ程。
親愛を込めたすーりすーりの後、食糧庫から今日のごはんとして干した草や虫を葉っぱのお皿に載せる。
これで丸一日分である。必要最低限のため、昨日までの1/10程度しかない。
初めての越冬、それ以上に、初めてのふたりきりのおうち。
彼女たちを包む軽い興奮と深い幸福感は、ぷろぽーずのときの甘いふぁーすとちゅっちゅと同じ程。
親愛を込めたすーりすーりの後、食糧庫から今日のごはんとして干した草や虫を葉っぱのお皿に載せる。
これで丸一日分である。必要最低限のため、昨日までの1/10程度しかない。
「「むーしゃ!むーしゃ! しあわせー!」」
それでも2人なら、なにを食べても美味しい。
2人なら、どこにいても幸せ。
2人なら、ずっとずっとゆっくりできる。
れいむとまりさは心の底からそう信じていた。
2人なら、どこにいても幸せ。
2人なら、ずっとずっとゆっくりできる。
れいむとまりさは心の底からそう信じていた。
ごはんが終わったらお互いをぺーろぺーろして綺麗にし、まだ見ぬ春への思いを話し合う。
「はるになったら みんなでピクニックにいこうね!」
「おはなさんをたくさん むーしゃむーしゃするのぜ!!」
「おとーさんや おかーさんや おねーちゃんたちと たくさんすーりすーりしようね!」
「まりさたちも すっきりーして おちびちゃんをたくさんつくるのぜ!」
「もう… まりさったら…///」
「ゆへへっ …はるさんが まちどおしいのぜ!」
「そうだね! はるさんは ゆっくりしないで はやくきてね!」
「おはなさんをたくさん むーしゃむーしゃするのぜ!!」
「おとーさんや おかーさんや おねーちゃんたちと たくさんすーりすーりしようね!」
「まりさたちも すっきりーして おちびちゃんをたくさんつくるのぜ!」
「もう… まりさったら…///」
「ゆへへっ …はるさんが まちどおしいのぜ!」
「そうだね! はるさんは ゆっくりしないで はやくきてね!」
お喋りが終わったらお昼寝の時間。これからは食糧や体力を無駄にできない。
昼間の僅かな時間以外のほとんどを仮眠と睡眠で過さなければいけなくなる。
だが、ふたりにとってそれは苦にならないだろう。何故なら自分の一番大事な宝物がすぐ横にいる。
それを意識するだけでれいむもまりさも餡子の奥がポカポカしてくるのを感じていた。
彼女たちにとって、ふたりきりでゆっくりし続けることができるこの冬籠りは
ゆっくりしている自分達への神さまからのご褒美だとすら考えられた。
“きっとこれが本当のゆっくりなんだね…”
そんなことを考えながら、ふたりは再びまどろみの中に落ちていった。
昼間の僅かな時間以外のほとんどを仮眠と睡眠で過さなければいけなくなる。
だが、ふたりにとってそれは苦にならないだろう。何故なら自分の一番大事な宝物がすぐ横にいる。
それを意識するだけでれいむもまりさも餡子の奥がポカポカしてくるのを感じていた。
彼女たちにとって、ふたりきりでゆっくりし続けることができるこの冬籠りは
ゆっくりしている自分達への神さまからのご褒美だとすら考えられた。
“きっとこれが本当のゆっくりなんだね…”
そんなことを考えながら、ふたりは再びまどろみの中に落ちていった。
そんなしあわせーな生活が1週間もした朝。
「ゆぅ… はるさんはゆっくりしすぎなのぜ」
ゆっくりはゆっくりしていれば幸せとは誰が言ったのだろうか、
まりさはいつまでも訪れぬ春に苛立ちを覚え始めていた。
もう数え切れないほどに“たくさん”寝て起きたのに春の気配は感じられない。
秋の間、野山を駆け巡る生活をしてきたまりさは体を思いきり動かせないことが不満なのだ。
思う存分ぴょんぴょんしたい。干し草ではない、獲ったばかりの虫さんやキノコさんをむーしゃむーしゃしたい。
そんな思いがつい漏れてしまった。
まりさはいつまでも訪れぬ春に苛立ちを覚え始めていた。
もう数え切れないほどに“たくさん”寝て起きたのに春の気配は感じられない。
秋の間、野山を駆け巡る生活をしてきたまりさは体を思いきり動かせないことが不満なのだ。
思う存分ぴょんぴょんしたい。干し草ではない、獲ったばかりの虫さんやキノコさんをむーしゃむーしゃしたい。
そんな思いがつい漏れてしまった。
「ゆっ? どうしたのまりさ?」
「なんでもないのぜ! ちょっと ねてばっかりだと からだがなまっちゃいそうだって おもっただけなのぜ!」
「ゆふふっ! まりさは かけっこが だいすきだもんね!」
「そうなのぜ! かけっこなら ちぇんにだってまけないのぜ?」
「ゆゆぅ!? すごいねまりさ!」
「なんでもないのぜ! ちょっと ねてばっかりだと からだがなまっちゃいそうだって おもっただけなのぜ!」
「ゆふふっ! まりさは かけっこが だいすきだもんね!」
「そうなのぜ! かけっこなら ちぇんにだってまけないのぜ?」
「ゆゆぅ!? すごいねまりさ!」
実際のところ彼女たちの群れにちぇんはいない。比べたことも勿論ないのだが、れいむはあっさり信じる。
れいむにとってまりさは特別なゆっくり。ちぇんよりも素早く、みょんよりも勇敢に違いない。
だが、だからこそ、れいむは冬籠りの退屈さが活発なまりさには辛いのだろうと気が付いていた。
なんとかしてまりさにゆっくりして貰いたい…れいむは必死に餡子を捻り、
ついに今まで誰も思いつかなかったような素晴らしいアイデアを閃いた。
れいむにとってまりさは特別なゆっくり。ちぇんよりも素早く、みょんよりも勇敢に違いない。
だが、だからこそ、れいむは冬籠りの退屈さが活発なまりさには辛いのだろうと気が付いていた。
なんとかしてまりさにゆっくりして貰いたい…れいむは必死に餡子を捻り、
ついに今まで誰も思いつかなかったような素晴らしいアイデアを閃いた。
「まりさ! おちびちゃんがいれば ゆっくりできるよ!」
まりさは突然の言葉に驚き、同時に心配をかけていたことに気が付いた。
大好きなれいむを心配させていたなんて…そんな自分の為にれいむ色々と考えてくれたんだ。
深い反省と感謝の気持ちがまりさを満たしていく。まりさは知らず知らずのうちに笑顔を浮かべていた。
大好きなれいむを心配させていたなんて…そんな自分の為にれいむ色々と考えてくれたんだ。
深い反省と感謝の気持ちがまりさを満たしていく。まりさは知らず知らずのうちに笑顔を浮かべていた。
一瞬ぽかんとした後、ゆっくりと笑顔になるまりさを見て
れいむは自分のアイデアが間違ってはいなかったと改めて確信する。
おちびちゃんがいれば退屈で辛い冬籠りも明るく楽しいものになるだろう。
れいむは自分のアイデアが間違ってはいなかったと改めて確信する。
おちびちゃんがいれば退屈で辛い冬籠りも明るく楽しいものになるだろう。
春まで待とうとしていた理由は思い出せないが、思い出せない位ならどうせ大した理由ではなかったのだろう。
『こんな素晴らしい事を何故もっと早く考え付かなかったのか。』
れいむはこれまでの時間を無駄にしたようにすら思えてきた。だが過ぎたことを嘆いても仕方がない。
大切なのはこれからの冬籠りを、まりさと、かわいいおちびちゃんたちとゆっくり過ごしていくことだ。
もう寝ては起きて春を待つだけの生活はおしまいなのだ。れいむには、未来は薔薇色の日々が約束されていた。
『こんな素晴らしい事を何故もっと早く考え付かなかったのか。』
れいむはこれまでの時間を無駄にしたようにすら思えてきた。だが過ぎたことを嘆いても仕方がない。
大切なのはこれからの冬籠りを、まりさと、かわいいおちびちゃんたちとゆっくり過ごしていくことだ。
もう寝ては起きて春を待つだけの生活はおしまいなのだ。れいむには、未来は薔薇色の日々が約束されていた。
美味しそうな花がたくさん咲く広場で、自分に似たおちびちゃん達とゆっくりしたおうたを歌う光景を
幻視していたれいむは、しかしまりさの言葉で現在に引き戻された。
幻視していたれいむは、しかしまりさの言葉で現在に引き戻された。
「ゆ? でもぱちゅりーは
『ふゆのあいだにおちびちゃんをつくるとゆっくりできなくなる』
っていってたのぜ?」
「ゆゆっ!? おちびちゃんはゆっくりできるんだよ!?」
『ふゆのあいだにおちびちゃんをつくるとゆっくりできなくなる』
っていってたのぜ?」
「ゆゆっ!? おちびちゃんはゆっくりできるんだよ!?」
そう言われれば確かにぱちゅりーはそんなことを言っていた。
その時は気が付かなかったが考えてみればおかしな話である。
おちびちゃんはれいむ達をゆっくりさせる為に生れて来てくれるのだ。ゆっくりできない筈がない。
「ごはんを食べたらお腹が減る」と言っているようなものである。
その時は気が付かなかったが考えてみればおかしな話である。
おちびちゃんはれいむ達をゆっくりさせる為に生れて来てくれるのだ。ゆっくりできない筈がない。
「ごはんを食べたらお腹が減る」と言っているようなものである。
とはいえ、ぱちゅりーはとても賢く、間違ったことを言ったことは一度もない。
そのぱちゅりーが「ゆっくりできない」と言ったのならそれはきっとゆっくりできないのだ。
れいむとまりさは混乱した。なにせおちびちゃんがゆっくりできるのは間違えようのない事実なのだから。
この矛盾に2匹は…
そのぱちゅりーが「ゆっくりできない」と言ったのならそれはきっとゆっくりできないのだ。
れいむとまりさは混乱した。なにせおちびちゃんがゆっくりできるのは間違えようのない事実なのだから。
この矛盾に2匹は…
「ゆっ! きっとぱちゅりーがかんちがいしたんだね!」
さして悩まずに結論を出した。
ぱちゅりーはつがいもおらず当然子供もいない。だからきっと何かの勘違いだったのだろう。
即時満場一致で可決。
そうと決まれば善は急げである。
彼女たちは失った時間を取り戻すかのように互いの肌を擦り合わせ始めた。
ぱちゅりーはつがいもおらず当然子供もいない。だからきっと何かの勘違いだったのだろう。
即時満場一致で可決。
そうと決まれば善は急げである。
彼女たちは失った時間を取り戻すかのように互いの肌を擦り合わせ始めた。
「すーりすーり… ゆゆっ… れいむぅ…」
「ゆぅう… まりさぁ… とってもきもちいいよぉ…」
「ゆぅう… まりさぁ… とってもきもちいいよぉ…」
ぬちゃぬちゃ。ぴちゃぴちゃ。
妙に粘度の高い砂糖水がぬらぬらと滴る。
二匹とも眼をトロンとさせ、口元はだらしなく半開きで涎が垂れている。
普段の姿からすれば眼を背けたくなる醜悪さだが興奮ゆえか気が付いていないようだ。
妙に粘度の高い砂糖水がぬらぬらと滴る。
二匹とも眼をトロンとさせ、口元はだらしなく半開きで涎が垂れている。
普段の姿からすれば眼を背けたくなる醜悪さだが興奮ゆえか気が付いていないようだ。
相手の分泌した液体を自らの肌で拭おうとしているのか…
あるいは自らの分泌した液体を相手の肌に擦りつけようとしているのか。
どういう原理か桜餅のように紅潮した二つの饅頭は徐々にその動きを速めていく。
あるいは自らの分泌した液体を相手の肌に擦りつけようとしているのか。
どういう原理か桜餅のように紅潮した二つの饅頭は徐々にその動きを速めていく。
「「すっきりー!!!」」
巣穴に響くような叫びと共にその動きをぴくりと止めた。
一呼吸付く、とれいむの額から瑞々しい新緑の茎がするすると伸び始める。
30センチを越えた程で伸びるのをやめ、次に等間隔に出来た6つの瘤が少しずつ膨らみ始めた。
一呼吸付く、とれいむの額から瑞々しい新緑の茎がするすると伸び始める。
30センチを越えた程で伸びるのをやめ、次に等間隔に出来た6つの瘤が少しずつ膨らみ始めた。
一方れいむは幸せに満ちた表情で自分の頭に宿った実を眺めているが、みると明らかに頬がこけている。
1週間にわたる摂食生活では植物型妊娠に耐えられないのだろう。
頬がべこんとへこむに至り、ようやく自分の状態に気が付いて騒ぎ始めた。
1週間にわたる摂食生活では植物型妊娠に耐えられないのだろう。
頬がべこんとへこむに至り、ようやく自分の状態に気が付いて騒ぎ始めた。
「ゆぅぅぅうう!!? これいじょうれいむのあんこさんすわないでねぇぇぇ!!!
でいぶじんじゃううぅぅぅ!!!」
「ゆあぁぁぁああ!? れいむぅぅぅ!?!?!」
でいぶじんじゃううぅぅぅ!!!」
「ゆあぁぁぁああ!? れいむぅぅぅ!?!?!」
焦ったまりさは食糧庫に飛んでいき、大量のごはんをれいむの口に押し込んだ。
大切な食糧だがれいむの命には代えられない。それに少しくらい多く食べても大丈夫な程に食糧は貯めた筈だ。
結局普段の一日分程の食糧を食べるに至りようやくれいむはいつもの丸い形と笑顔を取り戻した。
大切な食糧だがれいむの命には代えられない。それに少しくらい多く食べても大丈夫な程に食糧は貯めた筈だ。
結局普段の一日分程の食糧を食べるに至りようやくれいむはいつもの丸い形と笑顔を取り戻した。
「ありがとうまりさ! やっぱりまりさはさいっこうっのだーりんだよっ!」
「ゆっへん! それほどでもあるのぜ! れいむはかならずまりさがまもるっていったのぜ?」
「ゆっへん! それほどでもあるのぜ! れいむはかならずまりさがまもるっていったのぜ?」
記憶にはないが確かに言われてみれば言われた気がする。れいむは一人まりさへの愛を深めていた。
そんな寸劇が終わってみれば、蔓にできた6つの瘤は
直径3センチ程の大きさながらゆっくりの姿を形作っていた。いわゆる実ゆっくりだ。
無事(?)ににんっしんっ!成功である。
そんな寸劇が終わってみれば、蔓にできた6つの瘤は
直径3センチ程の大きさながらゆっくりの姿を形作っていた。いわゆる実ゆっくりだ。
無事(?)ににんっしんっ!成功である。
6日後。
「ゆゆぅ~~~んっ! れいむのおちびちゃんたち、とってもゆっくりしてるよぉ~~~!!」
「おちびちゃんたち、ゆっくりうまれるのぜ! ゆっくり! ゆっくりなのぜ!」
「もう! まりさも もっとゆっくりしてね!!」
「おちびちゃんたち、ゆっくりうまれるのぜ! ゆっくり! ゆっくりなのぜ!」
「もう! まりさも もっとゆっくりしてね!!」
まりさが「おちびちゃんのため」といってれいむに多めのごはんを食べさせていた甲斐もあり
実ゆっくりたちはもう生まれる寸前の大きさになっていた。
この日は朝からぷるぷると震えており、もうすぐ赤ゆっくりが産声をあげることを2匹に教えている。
まりさなど興奮しすぎて実ゆを取って食わんばかりの接近だ。
そんな両親に見守る中、赤ゆたちは誕生の時を迎えた。
ぷるぷるぷる、ぷちっ…ぽとん。「ゆっ!」
実ゆっくりたちはもう生まれる寸前の大きさになっていた。
この日は朝からぷるぷると震えており、もうすぐ赤ゆっくりが産声をあげることを2匹に教えている。
まりさなど興奮しすぎて実ゆを取って食わんばかりの接近だ。
そんな両親に見守る中、赤ゆたちは誕生の時を迎えた。
ぷるぷるぷる、ぷちっ…ぽとん。「ゆっ!」
「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!」
「「ゆっくりしていってね!!」」
「れいみゅはれいみゅぢゃよ! ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!」
「ゆぅぅ~! とってもゆっくりしたおちびちゃんなのぜぇ!」
「ゆっ! つぎのおちびちゃんもうまれそうだよ!」
「「ゆっくりしていってね!!」」
「れいみゅはれいみゅぢゃよ! ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!」
「ゆぅぅ~! とってもゆっくりしたおちびちゃんなのぜぇ!」
「ゆっ! つぎのおちびちゃんもうまれそうだよ!」
ぷちっ…ぽとん。「ゆっ!」
「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!」
「「「ゆっくりしていってね!!(ゆっくちしちぇいっちぇにぇ)!」」」
「まりちゃはまりちゃにゃのじぇ! ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!」
「しゃべりかたまで まりさにそっくりだね!」
「れいみゅのいもーちょぢゃにぇ! れいみゅはれいみゅぢゃよ!」
「「「ゆっくりしていってね!!(ゆっくちしちぇいっちぇにぇ)!」」」
「まりちゃはまりちゃにゃのじぇ! ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!」
「しゃべりかたまで まりさにそっくりだね!」
「れいみゅのいもーちょぢゃにぇ! れいみゅはれいみゅぢゃよ!」
ぷちっ…ぺちょん。「ゆ゛っ!」
「まりちゃはまりちゃぢゃよ! ゆっくち! ゆっくちぃ!」
「とってももちもちおはだなおちびちゃんなのぜ! しょうらいは びゆっくりまちがいなしなのぜ!」
「とってももちもちおはだなおちびちゃんなのぜ! しょうらいは びゆっくりまちがいなしなのぜ!」
ぷちっ…ぽよん。「ゆぴっ!」
「れいみゅはれいみゅぢゃよ! ゆっくちちちぇいっちぇにぇ~♪」
「おうたのじょうずそうな おちびちゃんだよぉ!」
「おうたのじょうずそうな おちびちゃんだよぉ!」
続けざまに4匹の赤ゆが生まれ巣穴はやにわに賑やかになった。
5つめの実が大きく震え始めたのを見てまりさも赤ゆ達もさらに興奮が高まる。
5つめの実が大きく震え始めたのを見てまりさも赤ゆ達もさらに興奮が高まる。
「ゆゆぅー! まりちゃのいもーちょ! ゆっくち! ゆっくち!」
生まれて1分足らずにも関わらず姉としての意識が芽生えているのだろうか、
揺れる実を見上げながらぴょんぴょんと飛び跳ねる3女赤まりさ。
ぷるぷるぷる、ぷちっ…べちょっ。「びゅべっ」
揺れる実を見上げながらぴょんぴょんと飛び跳ねる3女赤まりさ。
ぷるぷるぷる、ぷちっ…べちょっ。「びゅべっ」
「ゆっくちちいぇいっちぇにぇ!」
飛び跳ねすぎて生まれてくる赤ゆの真下に入ってしまったらしい。落下した妹が直撃した。
ピンポン玉サイズである赤ゆの重量など高が知れているが、自身も生まれたばかりの身。
赤まりさは大きくひしゃげ餡子を吐き出してしまった。
ピンポン玉サイズである赤ゆの重量など高が知れているが、自身も生まれたばかりの身。
赤まりさは大きくひしゃげ餡子を吐き出してしまった。
「ゆあああ!? おちびちゃぁぁぁああん!?」
「ゆっ! まりちゃがうまれちゃよ! ゆっくちちちぇいっちぇにぇ! ゆっくちちちぇいっちぇにぇ!」
「びゃべっ! ゆげっ! ゆぢっ!」
「ゆっ! まりちゃがうまれちゃよ! ゆっくちちちぇいっちぇにぇ! ゆっくちちちぇいっちぇにぇ!」
「びゃべっ! ゆげっ! ゆぢっ!」
姉の惨状に気付かない赤まりさは挨拶がなかったことに不満を覚え、その場で何度も飛び跳ねる。
「ゆ゛っ ゆ゛っ ゆ゛っ」
「おちびちゃんとびはねちゃだめぇぇぇぇぇ!!」
「ゆぅ? …おにぇーちゃぁぁぁああん!? にゃんぢぇぇぇぇえええ!?」
「…もっちょ…ゆ゛っぐぢ………」
「「おちびちゃんがぁぁぁぁあああ!!!!」」
「「いみょーちょぎゃぁぁああ!?!?」」
「「おにぇーちゃんぎゃぁぁぁ!!」」
「おちびちゃんとびはねちゃだめぇぇぇぇぇ!!」
「ゆぅ? …おにぇーちゃぁぁぁああん!? にゃんぢぇぇぇぇえええ!?」
「…もっちょ…ゆ゛っぐぢ………」
「「おちびちゃんがぁぁぁぁあああ!!!!」」
「「いみょーちょぎゃぁぁああ!?!?」」
「「おにぇーちゃんぎゃぁぁぁ!!」」
気が付いた時には既に手遅れ。体の大半の餡子を吐き散らし、生まれたばかりの命は儚くもあっさり散った。
突然の不幸に嘆く一家。しかし悲しみに暮れる間もなく蔓に残った最後の実が大きく揺れ始める。
残念だけど、死んでしまったおちびちゃんのことは諦めよう。おちびちゃんはまた作ればいい。
今は悲しむよりも、残ったおちびちゃんにより深い愛情を注ぐべきなのだ。
驚くべき速さで気持を切り替える両親。
潰れた饅頭の残骸もそのままに、最後の子供の誕生に意識を集中する。
ぷるぷる、ぷちっ…ぽゆん。
突然の不幸に嘆く一家。しかし悲しみに暮れる間もなく蔓に残った最後の実が大きく揺れ始める。
残念だけど、死んでしまったおちびちゃんのことは諦めよう。おちびちゃんはまた作ればいい。
今は悲しむよりも、残ったおちびちゃんにより深い愛情を注ぐべきなのだ。
驚くべき速さで気持を切り替える両親。
潰れた饅頭の残骸もそのままに、最後の子供の誕生に意識を集中する。
ぷるぷる、ぷちっ…ぽゆん。
「ゆぴ! ゆっち! ゆっち!」
「「ゆっくりしていって…ね…?」」
「ゆち! ゆー! ゆっくちー!」
「ゆ? れいみゅにょいみょーちょ…にゃんぢゃきゃ ゆっくちちちぇにゃいにぇ…」
「「ゆっくりしていって…ね…?」」
「ゆち! ゆー! ゆっくちー!」
「ゆ? れいみゅにょいみょーちょ…にゃんぢゃきゃ ゆっくちちちぇにゃいにぇ…」
お決まりの挨拶すらまともに出来ず、髪の毛は頭頂部に申し訳程度。
瞳の焦点も定まらず口からは涎が垂れている。
瞳の焦点も定まらず口からは涎が垂れている。
言うまでも無い事だが、ゆっくりは「すっきりー」すると、体調に関わらずある程度の数を「にんっしんっ」する。
節食生活だったれいむでは6匹の子供は多すぎたのだ。
さらに越冬中であるのも災いした。
実は普段の生活において、植物性にんっしんっは実ゆっくりが落ちてしまうことが多い。
ただ4つ以上は「たくさん」としか認識できない為に2つ3つ減っても親は気がつかないのだ。
洞窟の中で安静にしていたれいむは幸か不幸か全ての実が順調に育ってしまった。
節食生活だったれいむでは6匹の子供は多すぎたのだ。
さらに越冬中であるのも災いした。
実は普段の生活において、植物性にんっしんっは実ゆっくりが落ちてしまうことが多い。
ただ4つ以上は「たくさん」としか認識できない為に2つ3つ減っても親は気がつかないのだ。
洞窟の中で安静にしていたれいむは幸か不幸か全ての実が順調に育ってしまった。
すなわち、多少多めに食べたところで普段の半分以下。
6女のれいむは未熟ゆで誕生したのである。
6女のれいむは未熟ゆで誕生したのである。
先に生まれた姉たちは、本能が異端を許さないのか生まれたばかり妹に蔑むような視線を向ける。
れいむとまりさも困ったようにお互いを見合わせた。
れいむとまりさも困ったようにお互いを見合わせた。
「ゆぅぅ…ゆっ! きっと ごはんさんがたりなかったのぜ!
このおちびちゃんも ごはんさんをたくさんたべれば、ほかのおちびちゃんみたいになるはずなのぜ!」
「ゆっ! そうだね! このこも れいむのかわいいおちびちゃんだよ!」
「ゆっくちぢぇきにゃいよ…」
「あんにゃ いもーちょにゃんちぇ いりゃにゃいよ…」
このおちびちゃんも ごはんさんをたくさんたべれば、ほかのおちびちゃんみたいになるはずなのぜ!」
「ゆっ! そうだね! このこも れいむのかわいいおちびちゃんだよ!」
「ゆっくちぢぇきにゃいよ…」
「あんにゃ いもーちょにゃんちぇ いりゃにゃいよ…」
気を取り直して子育て宣言をする2匹だが、姉妹のほとんどは末れいむを疎んでいるのに気がつかない。
「まりちゃは おにゃきゃぎゃしゅいちゃよ!
ごはんしゃんを むーちゃむーちゃしゃしぇちぇにぇ! いましゅぎゅぢぇいいよ!」
「ゆっ! おちびちゃんたちは このくきさんをたべるのぜ! むーしゃ、むーしゃ、ぺっ」
ごはんしゃんを むーちゃむーちゃしゃしぇちぇにぇ! いましゅぎゅぢぇいいよ!」
「ゆっ! おちびちゃんたちは このくきさんをたべるのぜ! むーしゃ、むーしゃ、ぺっ」
まりさがれいむの頭の茎を口で咥えて根元から折り、良く噛んでから吐き出す。
これが赤ゆ達の最初の食事である。
この茎は程良く甘く、程良く苦い為に生まれたばかりの赤ゆの味覚調整の役割があると言われている。
これが赤ゆ達の最初の食事である。
この茎は程良く甘く、程良く苦い為に生まれたばかりの赤ゆの味覚調整の役割があると言われている。
「ゆわーい! まりちゃにょ しゅーぱーむーちゃむーちゃたいみゅぢゃよ!」
「まだだよおちびちゃん! ちゃんとみんなで いただきますをしようね!」
「しょうぢゃよ! ひちょりぢゃけ しゃきにむーちゃむーちゃ しゅりゅにゃんて
ゆっくちちちぇにゃいよ!」
「ゆぅぅぅ! ぢょぉぢぢぇ じょんにゃぎょぢょ いうにょぉぉお!?」
「おちついてね! ごはんさんはにげないよ! ゆっくりたべてね!」
「まだだよおちびちゃん! ちゃんとみんなで いただきますをしようね!」
「しょうぢゃよ! ひちょりぢゃけ しゃきにむーちゃむーちゃ しゅりゅにゃんて
ゆっくちちちぇにゃいよ!」
「ゆぅぅぅ! ぢょぉぢぢぇ じょんにゃぎょぢょ いうにょぉぉお!?」
「おちついてね! ごはんさんはにげないよ! ゆっくりたべてね!」
「「「ゆっくちいちゃぢゃきましゅ!!」」」「うみぇっ! こりぇめっちゃうみぇっ! ぱにぇっ!」
「「「むーちゃ! むーちゃ! ちあわちぇぇぇ!!」」」
結局5女まりさは挨拶もせずに食べ始めていた。
よほどお腹が減っているのだろう、それにまだ生まれたばかりなのだから…
そう思った両親は5女まりさを可愛いと感じこそすれ叱ることはしなかった。
よほどお腹が減っているのだろう、それにまだ生まれたばかりなのだから…
そう思った両親は5女まりさを可愛いと感じこそすれ叱ることはしなかった。
「ゆぷー、おにゃきゃいっぴゃいぢゃよ」
「ごちちょうしゃみゃぢぇちちゃ!」
「おぉ、みゃんぴゅきゅみゃんぴゅきゅ」
「れいみゅ にゃんぢゃきゃ にぇみゅきゅにゃっちぇきちゃよ…」
「ゆぴー…ゆぴー…」
「ごちちょうしゃみゃぢぇちちゃ!」
「おぉ、みゃんぴゅきゅみゃんぴゅきゅ」
「れいみゅ にゃんぢゃきゃ にぇみゅきゅにゃっちぇきちゃよ…」
「ゆぴー…ゆぴー…」
初めてのごはんを食べ終わった赤ゆ達には早くも睡魔が降りてきたようだ。
この日の為にまりさが作っておいた「べっど」(干し草をまとめてくぼみを作っただけのもの)に
寝かせてあげると、あっという間に寝息を立て始める。
れいむとまりさは不幸な3女の死骸を
この日の為にまりさが作っておいた「べっど」(干し草をまとめてくぼみを作っただけのもの)に
寝かせてあげると、あっという間に寝息を立て始める。
れいむとまりさは不幸な3女の死骸を
「はるさんがきたら ちゃんとうめてあげるからね…」
といって食糧庫の隅に移動させた後、自分達の食事をしていないことも忘れて
にこにことおちびちゃん達の寝顔を眺めていた。
にこにことおちびちゃん達の寝顔を眺めていた。
「ゆっ! れいみゅゆっくちおきちゃよ!」
「ゆっくちあしょぶのじぇ!」
「おきゃーしゃんにょ おうたぎゃききちゃいよ!」
「おちょーしゃん! まりしゃにしゅーりしゅーりしちぇにぇ!」
「ゆっち! ゆっくちー!」
「ゆっくちあしょぶのじぇ!」
「おきゃーしゃんにょ おうたぎゃききちゃいよ!」
「おちょーしゃん! まりしゃにしゅーりしゅーりしちぇにぇ!」
「ゆっち! ゆっくちー!」
やがて赤ゆ達は眼を覚まし、今度は遊びの時間が始まる。
長女れいむと次女まりさは元気におうちのなかを追いかけっこ。
成体であるれいむとまりさには運動する程の広さは無い巣穴の中もピンポン玉程の赤ゆにとっては大運動場だ。
4女れいむは母れいむにおうたをせがみ、れいむも嬉しそうにそれに応える。
5女まりさは父まりさに近寄って(殆ど父まりさの方から近寄っていたが)頬ずりしている。
長女れいむと次女まりさは元気におうちのなかを追いかけっこ。
成体であるれいむとまりさには運動する程の広さは無い巣穴の中もピンポン玉程の赤ゆにとっては大運動場だ。
4女れいむは母れいむにおうたをせがみ、れいむも嬉しそうにそれに応える。
5女まりさは父まりさに近寄って(殆ど父まりさの方から近寄っていたが)頬ずりしている。
「ゆ~ゆゆ~♪ ゆっくりしていってね~♪」
「ゆんゆ~ん♪ ゆっくち~♪」
「ゆんゆ~ん♪ ゆっくち~♪」
母のゆっくりした歌声を聞き、自分も真似して歌い出す4女れいむ。
今まで聞いたこともないような美声、そして拙いながらも一生懸命に歌う姿は母れいむをさらに感動させた。
きっとこのおちびちゃんは群れ一番の歌姫になるだろう。
母に褒められた4女れいむは恥ずかしそうに笑う。
きっと自分は皆をゆっくりさせるために生まれてきたんだとれいむは思った。
沢山練習して、群れの皆を沢山ゆっくりさせてあげるんだ。それが本当のゆっくりに繋がるんだ…。
そんな決意を胸(?)に生まれたばかりのれいむは歌の練習に励んでいた。
今まで聞いたこともないような美声、そして拙いながらも一生懸命に歌う姿は母れいむをさらに感動させた。
きっとこのおちびちゃんは群れ一番の歌姫になるだろう。
母に褒められた4女れいむは恥ずかしそうに笑う。
きっと自分は皆をゆっくりさせるために生まれてきたんだとれいむは思った。
沢山練習して、群れの皆を沢山ゆっくりさせてあげるんだ。それが本当のゆっくりに繋がるんだ…。
そんな決意を胸(?)に生まれたばかりのれいむは歌の練習に励んでいた。
「ゆゆ~ゆ~ん♪ ゆっくちちちぇいっちぇにぇ~♪」
「ゆっくりしていってね~♪」
「ゆっくりしていってね~♪」
「ゆっ! まりちゃは たきゃいたきゃいしちぇほちいよ!」
未熟な末れいむもに5女まりさと同様、父まりさの頬にすり寄ってきたが、5女まりさはそれを一瞥すると
今度は「たかいたかい」をねだりはじめた。
「たかいたかい」はまりさ種特有の行動で、帽子のつばでぽんぽんと子供を跳ねさせる遊びである。
ある程度大きくなると乗ることはできなくなるが、空を飛ぶような感覚はほとんどの赤ゆを魅了する。
可愛いおちびちゃんにねだられて父まりさが断る筈がない。
器用につばの先を地面に近寄せて5女まりさを載せると、天井にぶつからないように注意深く跳ねあげる。
今度は「たかいたかい」をねだりはじめた。
「たかいたかい」はまりさ種特有の行動で、帽子のつばでぽんぽんと子供を跳ねさせる遊びである。
ある程度大きくなると乗ることはできなくなるが、空を飛ぶような感覚はほとんどの赤ゆを魅了する。
可愛いおちびちゃんにねだられて父まりさが断る筈がない。
器用につばの先を地面に近寄せて5女まりさを載せると、天井にぶつからないように注意深く跳ねあげる。
「おしょりゃをとんじぇりゅみちゃい!」
姉妹達を遥か眼下に望み、あれほど巨大な両親すら見下ろす高度は赤まりさに浮遊感を覚えさせる。
おうちの中でなければきっと世界の果てまで見渡すことができるだろう。
こんな場所から世界を見下ろす自分はきっと誰よりも選ばれたゆっくりに違いない。
5女まりさは、自らが全てを超越した万能な存在であることを自覚した。
見れば地べたで出来損ないの妹がぴょんぴょんと飛び跳ねている。
クズの分際で自分と同じ場所に並びたがるとはなんて身の程知らずなのだろう。
おうちの中でなければきっと世界の果てまで見渡すことができるだろう。
こんな場所から世界を見下ろす自分はきっと誰よりも選ばれたゆっくりに違いない。
5女まりさは、自らが全てを超越した万能な存在であることを自覚した。
見れば地べたで出来損ないの妹がぴょんぴょんと飛び跳ねている。
クズの分際で自分と同じ場所に並びたがるとはなんて身の程知らずなのだろう。
「ゆ? おちびちゃんも たかいたかいがしてほしいの?」
「ゆっち! おちょりゃ! ゆっくち!」
「ゆっち! おちょりゃ! ゆっくち!」
しかし、あろうことか父まりさはクズ奴隷を帽子に載せてしまった。
まったく…それこそ勘違いした奴隷を付けあがらせるだけだというのに。
まったく…それこそ勘違いした奴隷を付けあがらせるだけだというのに。
「おしょりゃをとんじぇりゅみちゃい!」
「おちょりゃ! おちょりゃ!」
「おちょりゃ! おちょりゃ!」
だが一度浮き上がると細かい事は気にならなくなる。全てを忘れ恍惚感に浸る5女まりさ。
仲良く飛び跳ねるおちびちゃん達を見て父まりさは満足そうに微笑んだ。
この子達なら、春が来ても他のゆっくりのおちびちゃんと仲良くなれる。
きっと子供たちのリーダーになるに違いない―――父まりさはそう思っていた。
仲良く飛び跳ねるおちびちゃん達を見て父まりさは満足そうに微笑んだ。
この子達なら、春が来ても他のゆっくりのおちびちゃんと仲良くなれる。
きっと子供たちのリーダーになるに違いない―――父まりさはそう思っていた。
そうして30分も経ち、外ではすっかり日が高くなった頃。
「ゆっくちおにゃきゃがしゅいちゃよ!」
「まりちゃは むーちゃむーちゃちちゃいにょじぇ!」
「まりちゃは むーちゃむーちゃちちゃいにょじぇ!」
追いかけっこをしていた長女れいむと次女まりさは、たっぷり運動してお腹が空いたらしい。
本来、冬籠り中はなるべく活動を控えて餡子の消耗を抑えなければいけない。
ぱちゅりーに言われた通り1日1食のつもりだった両親は困ってしまったが、赤ゆは元気に遊ぶのが仕事。
生まれたばかりのおちびちゃんに「じっとしていろ」なんてゆっくりできないことを許せる両親ではなかった。
本来、冬籠り中はなるべく活動を控えて餡子の消耗を抑えなければいけない。
ぱちゅりーに言われた通り1日1食のつもりだった両親は困ってしまったが、赤ゆは元気に遊ぶのが仕事。
生まれたばかりのおちびちゃんに「じっとしていろ」なんてゆっくりできないことを許せる両親ではなかった。
確かに赤ゆっくりは食欲旺盛で1日に自分の体積の2倍以上食べてしまうが、
体が小さいので一度に食べるごはんの量は全員分を合わせても大人1人分程よりやや少ない程度でしかない。
ぱちゅりーは「大人3人分」と言っていたし、おちびちゃんが「たくさん」よりさらに沢山いても
ごはんが足りなくなる事はないだろうと考え直した。
体が小さいので一度に食べるごはんの量は全員分を合わせても大人1人分程よりやや少ない程度でしかない。
ぱちゅりーは「大人3人分」と言っていたし、おちびちゃんが「たくさん」よりさらに沢山いても
ごはんが足りなくなる事はないだろうと考え直した。
「ゆっ! そういえばまりさたちも きょうのごはんさんを むーしゃむーしゃしてなかったのぜ!」
「ゆゆっ! すっかりわすれてたよ! それじゃみんなでごはんにしようね!」
「ゆゆっ! すっかりわすれてたよ! それじゃみんなでごはんにしようね!」
れいむとまりさの食事は最低限の量しか食べていないのでこれを忘れるわけにはいかない。
普段1日に食べる量のわずか1/10程度だが、可愛いおちびちゃんを見ていれば空腹なんて吹っ飛んでしまう。
まりさが急いで全員分のごはんを用意し、皆でいただきますの挨拶。
普段1日に食べる量のわずか1/10程度だが、可愛いおちびちゃんを見ていれば空腹なんて吹っ飛んでしまう。
まりさが急いで全員分のごはんを用意し、皆でいただきますの挨拶。
「「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!」」
冬籠り中でなければもっと新鮮な木の実や虫をお腹いっぱい食べていたれいむとまりさだが、
それでも家族で食べるごはんは別格の味わいを2匹にもたらした。
しかし…
それでも家族で食べるごはんは別格の味わいを2匹にもたらした。
しかし…
「むーちゃ!むーちゃ! …まじゅいぃぃい!!
「こりぇどきゅはいっちぇりゅ!」
「こんにゃにょ たびぇらりぇにゃいよ! あみゃあみゃしゃんもっちぇきちぇにぇ!」
「「ゆ…ゆゆぅっ!?」」
「こりぇどきゅはいっちぇりゅ!」
「こんにゃにょ たびぇらりぇにゃいよ! あみゃあみゃしゃんもっちぇきちぇにぇ!」
「「ゆ…ゆゆぅっ!?」」
顎の弱い赤ゆ達は干し草を噛み砕くことができず、さらに苦みに耐えられないので
親がしっかり咀嚼してから与えなければいけない。
そうして柔らかくし、砂糖水の唾液と混ざることで甘くなって初めて食べられるようになる。
れいむもまりさも餡子に刻まれた本能で知っていた筈だが、すっかり舞い上がってしまい忘れていたのだ。
急いで一匹ずつごはんを噛み、口移しで与え始めた。
親がしっかり咀嚼してから与えなければいけない。
そうして柔らかくし、砂糖水の唾液と混ざることで甘くなって初めて食べられるようになる。
れいむもまりさも餡子に刻まれた本能で知っていた筈だが、すっかり舞い上がってしまい忘れていたのだ。
急いで一匹ずつごはんを噛み、口移しで与え始めた。
「ゆっ! ごめんねおちびちゃんたち! ちょっとまっててね!!」
「もっ もっ もっ… やわらかくなったのぜ! じゅんばんに あーんするのぜ!」
「あーんしゅるよ! …むーちゃ!むーちゃ! ちあわちぇぇぇ!!」
「もっ もっ もっ… やわらかくなったのぜ! じゅんばんに あーんするのぜ!」
「あーんしゅるよ! …むーちゃ!むーちゃ! ちあわちぇぇぇ!!」
今度こそ大丈夫だ。思いがけないトラブルもあったが無事に全員が食事を終えた。
一安心した両親だが、すぐに次の問題が浮かび上がる。
半月以上少ない食事を続けたれいむとまりさは忘れていたが
お腹がいっぱいになったゆっくりがすることと言えばひとつである。
一安心した両親だが、すぐに次の問題が浮かび上がる。
半月以上少ない食事を続けたれいむとまりさは忘れていたが
お腹がいっぱいになったゆっくりがすることと言えばひとつである。
「ゆっ おにゃきゃいっぴゃいぢゃよ!」
「きゃわいいまりちゃぎゃ うんうんしゅるにょじぇ! しゅっきりー!」
「うんうんでりゅよ! しゅっきりー!」
「しゅっきりー!」
「ちゅっち! ちゅっちー!」
「きゃわいいまりちゃぎゃ うんうんしゅるにょじぇ! しゅっきりー!」
「うんうんでりゅよ! しゅっきりー!」
「しゅっきりー!」
「ちゅっち! ちゅっちー!」
ぷりぷりと不快な音を響かせて次々と「うんうん」…古い餡子を排泄する赤ゆ達。
赤ゆはこうして体内の餡子を新しくすることで成長していく。
古い餡子のままでは体が大きくならないのである。外皮と中身の違いはあるが、言うなれば脱皮に近い。
生まれた直後に食べた茎は量が多すぎず、赤ゆは何故か空腹状態で生まれるために
食べてもうんうんをしなかったのだ。
赤ゆはこうして体内の餡子を新しくすることで成長していく。
古い餡子のままでは体が大きくならないのである。外皮と中身の違いはあるが、言うなれば脱皮に近い。
生まれた直後に食べた茎は量が多すぎず、赤ゆは何故か空腹状態で生まれるために
食べてもうんうんをしなかったのだ。
「ゆゆぅ!? おちびちゃんたち! うんうんしちゃダメなのぜ!」
「にゃにいっちぇりゅにょ? うんうんしにゃいちょ ゆっくちぢぇきにゃいよ?」
「ばきゃにゃにょ? ちにゅにょ?」
「まぢゃでりゅよ! しゅっきりー!」
「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉ!?」
「にゃにいっちぇりゅにょ? うんうんしにゃいちょ ゆっくちぢぇきにゃいよ?」
「ばきゃにゃにょ? ちにゅにょ?」
「まぢゃでりゅよ! しゅっきりー!」
「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉ!?」
当然まりさにはそんなことは判らない。
知っているのは冬籠り中にうんうんで餡子を無駄に消費してはいけないということだけ。
しかもさっきはしなかったのに、という驚きが加わっている。
赤ゆは赤ゆで越冬などという概念は理解していない。
より沢山食べて、より沢山排泄する。
それが成長に…ひいてはゆっくりするのに必要なプログラムとして餡子に刻まれているだけだ。
知っているのは冬籠り中にうんうんで餡子を無駄に消費してはいけないということだけ。
しかもさっきはしなかったのに、という驚きが加わっている。
赤ゆは赤ゆで越冬などという概念は理解していない。
より沢山食べて、より沢山排泄する。
それが成長に…ひいてはゆっくりするのに必要なプログラムとして餡子に刻まれているだけだ。
「まりさ! おちびちゃんがうんうんするのはしかたないよ!」
「ゆぅ… でも…」
「おちびちゃんは たくさんゆっくりさせてあげないと しょうらい ゆっくりしたゆっくりに なれないよ!
それに ごはんさんも たくさんあるんだから だいじょうぶだよ!」
「ゆぅ… でも…」
「おちびちゃんは たくさんゆっくりさせてあげないと しょうらい ゆっくりしたゆっくりに なれないよ!
それに ごはんさんも たくさんあるんだから だいじょうぶだよ!」
れいむはそれが本能で判っているのか、まりさを諭す。
一般にれいむは子育てが上手だと言われるのも、赤ゆの成長メカニズムを
本能で理解しているからという説がある(ただの迷信で、むしろ下手だという説もある)。
保存した食料が少なければれいむも考えただろうが、余裕があるならむしろゆっくりすることを推奨した。
ごはんはたくさんある。そう思えばこそまりさも納得した。
しかし問題はこれだけで終わらない。
一般にれいむは子育てが上手だと言われるのも、赤ゆの成長メカニズムを
本能で理解しているからという説がある(ただの迷信で、むしろ下手だという説もある)。
保存した食料が少なければれいむも考えただろうが、余裕があるならむしろゆっくりすることを推奨した。
ごはんはたくさんある。そう思えばこそまりさも納得した。
しかし問題はこれだけで終わらない。
「ゆぁぁん!! くちゃいぃぃ!!」
「にゃんぢぇ おうちにょなきゃに うんうんがありゅにょぉぉぉ!?
「ゆぴぃぃぃ!!」
「うんうんしゃん あっちにいっちぇにぇ! ゆっくちぢぇきにゃいぃぃ!!」
「はやきゅ うんうんをどっきゃにやっちぇにぇ! まりちゃこみゃっちぇりゅよ!」
「「ゆぅぅぅ!!?」」
「にゃんぢぇ おうちにょなきゃに うんうんがありゅにょぉぉぉ!?
「ゆぴぃぃぃ!!」
「うんうんしゃん あっちにいっちぇにぇ! ゆっくちぢぇきにゃいぃぃ!!」
「はやきゅ うんうんをどっきゃにやっちぇにぇ! まりちゃこみゃっちぇりゅよ!」
「「ゆぅぅぅ!!?」」
自分達の出したうんうんの臭いに苦しみ出す赤ゆ達。
成分は唯の餡子なので実際には臭いなどしないのだが、ゆっくり達は口をそろえてうんうんは臭いのだと言う。
ゆっくりは都合の悪い記憶、いわゆる「ゆっくりできない記憶」を含む餡子をうんうんとして外に出す。
饅頭の癖に(饅頭だからこそか)甘い物を異常に好むゆっくりが
その悪い記憶を誤って食べてしまわないようにする為の本能なのだろう。
ちなみにうんうんだと知らなければ普通の餡子として喜んで食べる。
成分は唯の餡子なので実際には臭いなどしないのだが、ゆっくり達は口をそろえてうんうんは臭いのだと言う。
ゆっくりは都合の悪い記憶、いわゆる「ゆっくりできない記憶」を含む餡子をうんうんとして外に出す。
饅頭の癖に(饅頭だからこそか)甘い物を異常に好むゆっくりが
その悪い記憶を誤って食べてしまわないようにする為の本能なのだろう。
ちなみにうんうんだと知らなければ普通の餡子として喜んで食べる。
閉じた巣穴の中に広がるうんうん臭。
本来なら外に捨ててくる筈のものだ。いや、そもそも大人のゆっくりはおうちの中でうんうんをしたりしない。
赤ゆだからおうちの中でするのは仕方がないとしても、冬籠りをしている今、うんうんを捨てる場所はなかった。
もちろんおうちの「げんかん」を開けるなどという発想は出ない。
考え付いたところで、外の寒さが巣穴に入り込めば生後半日の赤ゆなど30分で凍死してしまっただろうが。
本来なら外に捨ててくる筈のものだ。いや、そもそも大人のゆっくりはおうちの中でうんうんをしたりしない。
赤ゆだからおうちの中でするのは仕方がないとしても、冬籠りをしている今、うんうんを捨てる場所はなかった。
もちろんおうちの「げんかん」を開けるなどという発想は出ない。
考え付いたところで、外の寒さが巣穴に入り込めば生後半日の赤ゆなど30分で凍死してしまっただろうが。
「しかたないのぜ… げんかんのちかくによせて、おおきめのはっぱさんを かぶせておくのぜ」
早く処理しなければ赤ゆ達の命に関わると、とっさの苦しい判断だが意外なことに功を奏した。
しっかり塞いであるとはいえ、巣穴の入り口付近は寒くなるので冬の間は近寄らない。
この寒さが幸いし臭いが拡散するのを防いだのだ。
予備の布団として準備してあった葉っぱを被せるとおうちの中から見事うんうん臭は消えさった。
しっかり塞いであるとはいえ、巣穴の入り口付近は寒くなるので冬の間は近寄らない。
この寒さが幸いし臭いが拡散するのを防いだのだ。
予備の布団として準備してあった葉っぱを被せるとおうちの中から見事うんうん臭は消えさった。
「ゆっ! くちゃくにゃきゅにゃっちゃよ!」
「ゆっくち! ゆぴっ! ゆっち!」
「おちょーしゃん ありぎゃちょー!」
「ゆん! いっけんらくちゃくなのぜ!」
「ゆっくち! ゆぴっ! ゆっち!」
「おちょーしゃん ありぎゃちょー!」
「ゆん! いっけんらくちゃくなのぜ!」
安心したらしい赤ゆはまたすぐ眠りに落ちる。まさに食う寝る遊ぶの繰り返し。
一方れいむとまりさは朝から慌て通しだが、可愛いおちびちゃんのいる生活はそれでも幸せなものらしい。
赤ゆ達が再び目覚めるまでにこにことその寝顔を眺め続けた。
燃費の悪い赤ゆはごはんの間隔も短い。
その後も午後と夕方にもう一度ずつごはんを食べ、ようやくこの一日は終了した。
一方れいむとまりさは朝から慌て通しだが、可愛いおちびちゃんのいる生活はそれでも幸せなものらしい。
赤ゆ達が再び目覚めるまでにこにことその寝顔を眺め続けた。
燃費の悪い赤ゆはごはんの間隔も短い。
その後も午後と夕方にもう一度ずつごはんを食べ、ようやくこの一日は終了した。
それから3日、大きなトラブルもなく赤ゆたちは順調に成長していた。
順調に育っているらしく生まれたときより一回り大きくなっているが、対して両親は心なし痩せて見える。
気まぐれで全く我慢と言うことをしない赤ゆの世話で消耗しているのだろう。
元々寝ていることを前提にした食事量は、子供たちの遊びに付き合うには少なすぎるのだ。
それでもみだりに食べる量を増やさないのは2匹は賢さの故か、
はたまた量を測るのに使うお皿が変わらないからか。
順調に育っているらしく生まれたときより一回り大きくなっているが、対して両親は心なし痩せて見える。
気まぐれで全く我慢と言うことをしない赤ゆの世話で消耗しているのだろう。
元々寝ていることを前提にした食事量は、子供たちの遊びに付き合うには少なすぎるのだ。
それでもみだりに食べる量を増やさないのは2匹は賢さの故か、
はたまた量を測るのに使うお皿が変わらないからか。
「ゆぅ… ごはんさんはたりてるはずなのに なんだかおなかがすくよ…」
明らかに後者であった。
おちびちゃんたちに聞かれないよう、そっとぼやくれいむ。
だがそこは怒鳴ることはできても声をひそめる事のできないナマモノの事
遊びに夢中な子供達は気がつかなかったが、まりさにあっさり聞かれてしまった。
おちびちゃんたちに聞かれないよう、そっとぼやくれいむ。
だがそこは怒鳴ることはできても声をひそめる事のできないナマモノの事
遊びに夢中な子供達は気がつかなかったが、まりさにあっさり聞かれてしまった。
「きっとこそだてで つかれてるのぜ! ゆっくりねれば だいじょうぶなのぜ!
どうしても おなかがすいたら ごはんさんを おおめにたべるのぜ?
ごはんさんはまだ たくっさんっあるから すこしくらいなら もんだいないのぜ!」
どうしても おなかがすいたら ごはんさんを おおめにたべるのぜ?
ごはんさんはまだ たくっさんっあるから すこしくらいなら もんだいないのぜ!」
そう。確かにごはんは沢山ある。
冬籠りの初日、まりさが狩りで集めた山盛りの食糧を見てれいむは感動したものだ。
こんなに沢山のごはんは、きっといくら食べてもなくならないだろうと。
あれから何日も経った今でもその量は寸分も減っていないようにすら見える。
しかしそれでもれいむは追加で食べるつもりはなかった。
自分が食べるよりも、おちびちゃんにより多く食べさせてあげたい…そう思っていた。
冬籠りの初日、まりさが狩りで集めた山盛りの食糧を見てれいむは感動したものだ。
こんなに沢山のごはんは、きっといくら食べてもなくならないだろうと。
あれから何日も経った今でもその量は寸分も減っていないようにすら見える。
しかしそれでもれいむは追加で食べるつもりはなかった。
自分が食べるよりも、おちびちゃんにより多く食べさせてあげたい…そう思っていた。
「まりちゃも ぎょはんしゃん たびぇちゃいのじぇ!」
「れーみゅも むーちゃむーちゃちちゃいよ!」
「れーみゅも むーちゃむーちゃちちゃいよ!」
「ごはん」という言葉を聞いて、赤ゆ達は思い出したように次々と空腹を訴え始めた。
「ゆっ! それじゃ ゆっくりごはんさんにしようね!」
「「「ゆっくちいちゃぢゃきましゅ!!」」」
「「「ゆっくちいちゃぢゃきましゅ!!」」」
いつもどおりに始まる昼食だったが、いつもとひとつ違うことがあった。
食べ終わった赤ゆ達がどこか不満げである。
食べ終わった赤ゆ達がどこか不満げである。
「ゆー! じぇんじぇんちゃりにゃいよ!」
「もっちょちょうらいにぇ!」
「もっちょちょうらいにぇ!」
れいむはお皿の葉っぱで量をはかっている為、体が大きくなっているのに
貰えるごはんの量が変わっていなかったのだ。
実のところ朝食から若干足りてはいなかったのだが、起きてすぐの朝ごはんだったのに加え
足りない量も僅かだったために不満を漏らさなかった。
しっかり遊んだ後のごはんが足りないという事実はあっというまに赤ゆの不満を爆発させた。
驚いたのは両親だ。
朝のごはんまでは同じ量で満足していたのに。
貰えるごはんの量が変わっていなかったのだ。
実のところ朝食から若干足りてはいなかったのだが、起きてすぐの朝ごはんだったのに加え
足りない量も僅かだったために不満を漏らさなかった。
しっかり遊んだ後のごはんが足りないという事実はあっというまに赤ゆの不満を爆発させた。
驚いたのは両親だ。
朝のごはんまでは同じ量で満足していたのに。
「おちびちゃんたち! ごはんさんはちゃんと いつもとおんなじだけあげたよ!」
「そうなのぜ! たべすぎはゆっくりできないのぜ!」
「そうなのぜ! たべすぎはゆっくりできないのぜ!」
そう諭しても赤ゆの不満は止まらない。もとより我慢という物を全くしないナマモノである。
今までは満腹になるだけ食べていた、というそれが彼女たちの全てである。
その中でも特に単純な…というより原始的な知性しか持ち合わせていない
未熟ゆである末れいむが行動を起こした。
妹から順番に与えられていた為に、末れいむが食べ終わった時は上の姉達はまだごはんにありついていない。
だからその与えられたごはんを横から奪ったのだ。
今までは満腹になるだけ食べていた、というそれが彼女たちの全てである。
その中でも特に単純な…というより原始的な知性しか持ち合わせていない
未熟ゆである末れいむが行動を起こした。
妹から順番に与えられていた為に、末れいむが食べ終わった時は上の姉達はまだごはんにありついていない。
だからその与えられたごはんを横から奪ったのだ。
「まりちゃにょ ぎょはんしゃんぎゃぁぁぁ!?」
「ゆうぅぅ!? おちびちゃん、おねえちゃんのごはんさんをとっちゃダメだよ!!」
「うーちゃ! うーちゃ! ちゃっちぇー!」
「ゆうぅぅ!? おちびちゃん、おねえちゃんのごはんさんをとっちゃダメだよ!!」
「うーちゃ! うーちゃ! ちゃっちぇー!」
親は慌てて止めるが口で言って聞く相手ではない。至福そのものの表情で次女まりさのごはんを貪る末れいむ。
「ゆっ! まりちゃをさしおいちぇ むーちゃむーちゃしゅりゅなんちぇ にゃみゃいきぢゃよ!
まりちゃみょ むーちゃむーちゃしゅりゅよ!」
まりちゃみょ むーちゃむーちゃしゅりゅよ!」
それを見た5女まりさも乏しい理性が飛んだのだろう、同じく次女まりさのごはんに齧り付こうとした。
だがその瞬間…
だがその瞬間…
ぼいんっ
「ぎゅぴぃっ!?」
「お、おちびちゃん!?」
「ぴぃぃぃ! ゆぃぃぃ!!」
「ぎゅぴぃっ!?」
「お、おちびちゃん!?」
「ぴぃぃぃ! ゆぃぃぃ!!」
長女れいむが末れいむに体当たりした。
「ぷきゅぅぅ! しょりぇはまりしゃにょぎょはんしゃんぢゃよ! ゆっくちはんしぇいしちぇにぇ!」
長女としての責任感が芽生えているのか、悪い事をした妹と威嚇する長女れいむ。
末れいむは突然の攻撃に訳も判らず泣き叫ぶだけだ。
末れいむは突然の攻撃に訳も判らず泣き叫ぶだけだ。
「ゆゆゆ… ゆっ! れいむ! ごはんさんのおかわりをもってくるのぜ!」
「ゆ…ゆゆっ! わかったよ! おちびちゃんたちは もうちょっとまっててね!」
「ゆ…ゆゆっ! わかったよ! おちびちゃんたちは もうちょっとまっててね!」
とっさのことに対処しきれない両親だったが、ひとまず食糧庫に追加のごはんを取りに行く。
慌てたとはいえ、ここで2匹とも食糧庫に向かったのが失敗だった。
慌てたとはいえ、ここで2匹とも食糧庫に向かったのが失敗だった。
「まりちゃにょ ぎょはんしゃんをとりゅ げしゅなゆっくりは しぇいっしゃいっ! しゅりゅのじぇ!!」
自分のごはんをとられた次女まりさが泣き叫ぶ末れいむに飛びかかった。
相手はもともとゆっくりできず疎ましかった未熟ゆだ。
ごはんを奪われたことで完全に「外敵」としか捉えられなくなっている。
両親のいない今、その攻撃を止められる物はいない。
追いかけっこで鍛えた俊足のあんよで妹にのしかかり、激しくストンピングする。
相手はもともとゆっくりできず疎ましかった未熟ゆだ。
ごはんを奪われたことで完全に「外敵」としか捉えられなくなっている。
両親のいない今、その攻撃を止められる物はいない。
追いかけっこで鍛えた俊足のあんよで妹にのしかかり、激しくストンピングする。
「ゆぎ! ゆぎゅ! ぎぢいぃぃ!!」
「ちにぇ! ちにぇ! げしゅはゆっくちちにぇぇぇ!!」
「ちにぇ! ちにぇ! げしゅはゆっくちちにぇぇぇ!!」
頭頂部に僅かな髪と共に生える小さなモミアゲを激しく振りながら悶える末れいむ。
その動きが気に食わないのか次女まりさはモミアゲを咥えて強く引っ張ると、
ブチブチと音を立てて未発達なモミアゲは千切れ傷ついた皮の隙間から赤ゆの柔らかい餡子が覗く。
再びストンピングを始めると傷口が大きく裂けて中身が吹き出てきた。
こめかみと口、あにゃる、目玉の隙間から内容物をぶちまけて末れいむは徐々にひしゃげ、潰れていく。
その動きが気に食わないのか次女まりさはモミアゲを咥えて強く引っ張ると、
ブチブチと音を立てて未発達なモミアゲは千切れ傷ついた皮の隙間から赤ゆの柔らかい餡子が覗く。
再びストンピングを始めると傷口が大きく裂けて中身が吹き出てきた。
こめかみと口、あにゃる、目玉の隙間から内容物をぶちまけて末れいむは徐々にひしゃげ、潰れていく。
「まりちゃ! ゆっくちちちぇにぇ! !ゆっくちちちぇにぇ」
「しょうぢゃよ! しょんにゃやちゅ ゆっくちぢぇきにゃいよ! きゅじゅはゆっくちちんぢぇにぇ!」
「にゃにいっちぇりゅにょぉぉぉ!?!?」
「しょうぢゃよ! しょんにゃやちゅ ゆっくちぢぇきにゃいよ! きゅじゅはゆっくちちんぢぇにぇ!」
「にゃにいっちぇりゅにょぉぉぉ!?!?」
妹の凶行を止めようとする長女だが、あろうことか自分もごはんを奪おうとしていた5女まりさが檄を飛ばす。
5女まりさにとって、いつも身の程知らずに自分の玉座(父まりさの帽子の上)に土足で踏み込んできて
あまつさえ選ばれたゆっくりである自分だけが許された行為(たかいたかい)を享受しようという
生意気なクズ奴隷が制裁されるのはごく自然なことだった。
だが自分が手を下すのも汚らわしいと思い、親が制裁するのを寛大にも我慢強く待っていたが
愚図な両親は全くやろうとしない。
それをいつも地べたに這いつくばって走り回るだけの愚鈍な姉がようやく自分の為に働いたのだと考えていた。
他の愚図共に比べれば多少は使える奴だと考えを改める。まりさは優秀なものには正当な評価を与えるのだ。
5女まりさにとって、いつも身の程知らずに自分の玉座(父まりさの帽子の上)に土足で踏み込んできて
あまつさえ選ばれたゆっくりである自分だけが許された行為(たかいたかい)を享受しようという
生意気なクズ奴隷が制裁されるのはごく自然なことだった。
だが自分が手を下すのも汚らわしいと思い、親が制裁するのを寛大にも我慢強く待っていたが
愚図な両親は全くやろうとしない。
それをいつも地べたに這いつくばって走り回るだけの愚鈍な姉がようやく自分の為に働いたのだと考えていた。
他の愚図共に比べれば多少は使える奴だと考えを改める。まりさは優秀なものには正当な評価を与えるのだ。
「ぎゅ…ぢ……………………」
「ゆっ! やっちょちんぢゃにぇ! しぇいしぇいしちゃよ!」
「ゆっ! やっちょちんぢゃにぇ! しぇいしぇいしちゃよ!」
未熟ゆに生まれたが故に体が小さい末れいむはあっという間に餡子の染みになり果てた。
自分は何もしていない癖にそう吐き捨てる5女まりさ。
母れいむと父まりさが戻って最初に目にした物は、満足げにふんぞり返る2匹の赤まりさであった。
自分は何もしていない癖にそう吐き捨てる5女まりさ。
母れいむと父まりさが戻って最初に目にした物は、満足げにふんぞり返る2匹の赤まりさであった。
「ゆぅぅぅぅぅ!! おちびちゃぁぁぁぁん!?!?」
「どぼじでづぶれぢゃっでるのぉぉぉぉ!?!?」
「ゆふん! げしゅにゃゆっくりは まりちゃがしぇいっしゃいっ!しちゃよ!
まりちゃ ちゅよくっちぇぎょみぇんにぇ!」
「それはおちびちゃんのいもうとでしょぉぉぉ!?」
「ゆっ! きょんにゃゆっくちぢぇきにゃいきゅじゅは まりちゃにょいもーちょじゃにゃいよ!
へんにゃこちょ いわにゃいぢぇにぇ! ぴゅんぴゅん!」
「どぼじでづぶれぢゃっでるのぉぉぉぉ!?!?」
「ゆふん! げしゅにゃゆっくりは まりちゃがしぇいっしゃいっ!しちゃよ!
まりちゃ ちゅよくっちぇぎょみぇんにぇ!」
「それはおちびちゃんのいもうとでしょぉぉぉ!?」
「ゆっ! きょんにゃゆっくちぢぇきにゃいきゅじゅは まりちゃにょいもーちょじゃにゃいよ!
へんにゃこちょ いわにゃいぢぇにぇ! ぴゅんぴゅん!」
慟哭する両親に赤まりさ達は当然のように言い放った。
彼女たちの中では、末れいむは最早「外から来たゆっくりできないゆっくり」としか認識されていない。
それを永遠にゆっくりさせて家族を守ったことはなんと誇らしいことか。
もちろん攻撃していた時は姉妹を守ろうなどと考えていなかったが、たった今そういうことになった。
彼女たちの中では、末れいむは最早「外から来たゆっくりできないゆっくり」としか認識されていない。
それを永遠にゆっくりさせて家族を守ったことはなんと誇らしいことか。
もちろん攻撃していた時は姉妹を守ろうなどと考えていなかったが、たった今そういうことになった。
「ゆぅぅぅ… おちびちゃんがぁぁ…」
「ゆぅ… ざんねんだけど しかたないのぜ。もともとあんまりゆっくりしてなかったおちびちゃんだから
ちゃんとおおきくなれるか わからなかったのぜ。」
「ゆぅ… ざんねんだけど しかたないのぜ。もともとあんまりゆっくりしてなかったおちびちゃんだから
ちゃんとおおきくなれるか わからなかったのぜ。」
母性の強いれいむに対しまりさはややシニカルだ。
死んだのが未熟ゆ、それもまりさ種では無かった為だろうか。
それに野生のゆっくりである彼女たちに未熟児を育てるのは難しい。
見方によっては、先延ばしにした問題が自動的に片付いたとも言えるのだ。
こんなにも早く2人の子供を失ってしまったが、まだおちびちゃんは「たくさん」いる。
追加のごはんを与えながら、二度とこのような悲劇件が起こらないよう
おちびちゃん達の成長に合わせて少しずつごはんを増やす事を心に誓う2匹であった。
それが立派な両親の役目なのだと胸(顎?)に刻んで…。
そもそも冬籠り中でなければ赤ゆの食事量を親が管理するようなことがないのだが、2匹が思い至ることはない。
死んだのが未熟ゆ、それもまりさ種では無かった為だろうか。
それに野生のゆっくりである彼女たちに未熟児を育てるのは難しい。
見方によっては、先延ばしにした問題が自動的に片付いたとも言えるのだ。
こんなにも早く2人の子供を失ってしまったが、まだおちびちゃんは「たくさん」いる。
追加のごはんを与えながら、二度とこのような悲劇件が起こらないよう
おちびちゃん達の成長に合わせて少しずつごはんを増やす事を心に誓う2匹であった。
それが立派な両親の役目なのだと胸(顎?)に刻んで…。
そもそも冬籠り中でなければ赤ゆの食事量を親が管理するようなことがないのだが、2匹が思い至ることはない。
一週間が経過した頃、十分な量の食事が与えられた4匹は既に子ゆっくりと呼べるサイズにまで成長していた。
一日に食べるごはんもずいぶん多くなっており(流石に4回も食べる必要はなくなったが)
それでも量だけなら大人のゆっくりが平均的に食べる量の半分程にまで達している。
生まれたばかりの頃の3倍近くだ。もちろん、もう口移しをしてもらう必要もない。
一日に食べるごはんもずいぶん多くなっており(流石に4回も食べる必要はなくなったが)
それでも量だけなら大人のゆっくりが平均的に食べる量の半分程にまで達している。
生まれたばかりの頃の3倍近くだ。もちろん、もう口移しをしてもらう必要もない。
そして一匹ずつが大振りのミカン程の大きさであり、ここまで成長すると巣穴の中で激しい動きはできない。
元々それなりの広さがあった穴を拡張しただけ為に普通に過ごす分には狭さを感じることはないが
遊びたい盛りの子ゆっくり達にそんな我慢が出来るわけがなかった。
必然的に4匹の興味はまだ見ぬ外の世界へと向かう。
元々それなりの広さがあった穴を拡張しただけ為に普通に過ごす分には狭さを感じることはないが
遊びたい盛りの子ゆっくり達にそんな我慢が出来るわけがなかった。
必然的に4匹の興味はまだ見ぬ外の世界へと向かう。
「おとーしゃん! れいむおしょとにでちゃいよ!」
「まりしゃも おしょとであしょびちゃいのじぇ!」
「まりしゃも おしょとであしょびちゃいのじぇ!」
わざとらしく媚びたような喋り方もだいぶ聞き取りやすくなっている。
両親にとっては我が子の成長のバロメータだ。嬉しさ半分、寂しさ半分と言ったところだろう。
両親にとっては我が子の成長のバロメータだ。嬉しさ半分、寂しさ半分と言ったところだろう。
「ゆっ! おちびちゃん、いまはふゆさんだから おそとにはでられないよ! ゆっくりりかいしてね!」
「ゆゆゆ? ふゆしゃん?」
「そうなのぜ! とってもさむいさむいで ゆっくりできないのぜ!」
「ゆぅぅ! しゃむいしゃむいは ゆっくちできにゃいよ!」
「ゆっくちしちゃいよ!」
「ゆぎぃぃぃ! おしょちょでちゃいいぃぃ!」
「ゆゆゆ? ふゆしゃん?」
「そうなのぜ! とってもさむいさむいで ゆっくりできないのぜ!」
「ゆぅぅ! しゃむいしゃむいは ゆっくちできにゃいよ!」
「ゆっくちしちゃいよ!」
「ゆぎぃぃぃ! おしょちょでちゃいいぃぃ!」
上の3匹は素直に理解を示したようだが、末っ子であり(と思っている)甘やかされた5女まりさは
しつこくダダをこねる。
大きさは皆同じ位なのに一匹だけ赤ゆ言葉が多く残っているのも甘やかされた結果だろう。
それでも「末妹には優しくしなければいけない」と思っている一家は優しくまりさを諭す。
しつこくダダをこねる。
大きさは皆同じ位なのに一匹だけ赤ゆ言葉が多く残っているのも甘やかされた結果だろう。
それでも「末妹には優しくしなければいけない」と思っている一家は優しくまりさを諭す。
結局、最近の特等席である父まりさの帽子の中にもぐりこんでようやく落ち着いた。
大きすぎる帽子の縁を少し持ち上げて顔を出すとまるで自分が被っているような気分になる。
誰よりも高い目線と大きい帽子が5女まりさを最も満足させるものであった。
大きすぎる帽子の縁を少し持ち上げて顔を出すとまるで自分が被っているような気分になる。
誰よりも高い目線と大きい帽子が5女まりさを最も満足させるものであった。
「ゆっ! ちょっとせみゃいけど おうちのなかであしょぶのじぇ!」
「そうだにぇ! しゃむいしゃむいは ゆっくちできにゃいにぇ!」
「ゆ~♪ れいみゅはゆっくち おうたしゃんのれんっしゅうっ するにぇ! ゆゆゆ~♪」
「そうだにぇ! しゃむいしゃむいは ゆっくちできにゃいにぇ!」
「ゆ~♪ れいみゅはゆっくち おうたしゃんのれんっしゅうっ するにぇ! ゆゆゆ~♪」
相変わらず仲の良い長女と次女は両親の間を縫って追いかけっこを始めた。
大人しい4女れいむは今日も母れいむとお歌の練習だ。
だがどうにもおうちの広さに限界があり、駆けずり回る2匹が両親や4女にぶつかってしまう。
体のサイズが違うので両親はなんともないが、同じ大きさの4女にはそれなりのダメージになる。
歌の練習もできず、痛みで今にも泣きそうだ。
大人しい4女れいむは今日も母れいむとお歌の練習だ。
だがどうにもおうちの広さに限界があり、駆けずり回る2匹が両親や4女にぶつかってしまう。
体のサイズが違うので両親はなんともないが、同じ大きさの4女にはそれなりのダメージになる。
歌の練習もできず、痛みで今にも泣きそうだ。
「ゆんやぁぁ! おうたがゆっくちできにゃいよぉぉ!」
「ゆっ! ごみょんなのじぇ! わざとじゃないのじぇ?」
「しょうだ! れいむもいっちょに あしょぼーよ!」
「ゆゆっ? でもれいむはおうたのれんっしゅうがしちゃいよ…」
「そうだね! おちびちゃんも たまには みんなといっしょにあそんでおいで!」
「ゆぅ… わかっちゃよ! れいむもおいかけっこしゅるよ!」
「ゆっ! ごみょんなのじぇ! わざとじゃないのじぇ?」
「しょうだ! れいむもいっちょに あしょぼーよ!」
「ゆゆっ? でもれいむはおうたのれんっしゅうがしちゃいよ…」
「そうだね! おちびちゃんも たまには みんなといっしょにあそんでおいで!」
「ゆぅ… わかっちゃよ! れいむもおいかけっこしゅるよ!」
困った2匹は4女を誘い、助け舟に両親も勧める。
おうたが好きなのは判るが、もっと運動させなければと思ったので丁度良かった。
結局4女れいむも追いかけっこに参加することになり、仲良く駆け回る子供達をみて両親も一安心。
だが次女まりさの外への興味を捨てきれないようだ。
チラチラと「結界」で塞いだ入口の方に目線を送っている。
無理もない、本来ならばもう巣の外に出て跳ねまわっている筈のサイズである。
狭い巣の中だけの生活は活発な次女まりさに少しずつストレスを与えていた。
おうたが好きなのは判るが、もっと運動させなければと思ったので丁度良かった。
結局4女れいむも追いかけっこに参加することになり、仲良く駆け回る子供達をみて両親も一安心。
だが次女まりさの外への興味を捨てきれないようだ。
チラチラと「結界」で塞いだ入口の方に目線を送っている。
無理もない、本来ならばもう巣の外に出て跳ねまわっている筈のサイズである。
狭い巣の中だけの生活は活発な次女まりさに少しずつストレスを与えていた。
そしてそれは、最悪の形で実を結ぶ。
「ゆぴぃぃぃぃぃぃ!?!?!?」
筋肉も内臓も餡子であるこのナマモノは、種族とサイズが同じであれば運動能力に差が出ない。
それでも日々の行動で要領や効率を学んでいき、それが実践での差に繋がっていく。
だから、追いかけっこに慣れている姉たちに対して歌ってばかりいた4女は明らかに要領が悪かった。
追えばいつまでも捕まえられず、逃げれば簡単に捕まってしまい、まるでゲームにならない。
それでも日々の行動で要領や効率を学んでいき、それが実践での差に繋がっていく。
だから、追いかけっこに慣れている姉たちに対して歌ってばかりいた4女は明らかに要領が悪かった。
追えばいつまでも捕まえられず、逃げれば簡単に捕まってしまい、まるでゲームにならない。
本来なら外の世界で発散される筈の、巣の中で遊ぶには多すぎるエネルギー。
追いかけっこがあっさり終わってしまったことへの欲求不満。
それが次女まりさの力加減を誤らせた。
追いかけっこがあっさり終わってしまったことへの欲求不満。
それが次女まりさの力加減を誤らせた。
「れいむのすてきなおりぼんしゃんがぁぁぁぁぁ!!! ゆっくちできにゃいぃぃぃ!!!!!」
次女まりさが逃げる4女れいむに追いすがってリボンを咥えた拍子に、
勢い余ってリボンを大きく引き裂いてしまった。
勢い余ってリボンを大きく引き裂いてしまった。
「ぺーりょ!ぺーりょ! なおっちぇにぇ! れいむのおりぼんしゃんなおっちぇにぇぇぇ!!!」
ぺーろぺーろと口で言いながら必死にリボンの切れ端を舐める4女れいむ。
異変に気付いた両親もすぐさま近寄ってきた。もっとも、近寄ったところで出来ることなど無い。
異変に気付いた両親もすぐさま近寄ってきた。もっとも、近寄ったところで出来ることなど無い。
「どぼじでにゃにもじでぐれにゃいにょぉぉぉ!?!?!?」
「ゆぅぅ…おかーさんたちでも おりぼんさんはなおせないよ…」
「ゆんやぁぁぁ!! ゆんやぁぁぁああああ!!!」
「おちびちゃん おちつくのぜ! すーりすーり!」
「ゆぅぅ…おかーさんたちでも おりぼんさんはなおせないよ…」
「ゆんやぁぁぁ!! ゆんやぁぁぁああああ!!!」
「おちびちゃん おちつくのぜ! すーりすーり!」
両親が必死になだめるものの、命と同じほど大切なお飾りがキズものになってしまったダメージは大きい。
ゆっくりのお飾りは個体の識別から個体の評価まで関わる重要なパーツである。
体の一部だけあり多少の傷は時間と共に治っていくが、
治癒の見込めない大きい傷はそれだけで迫害の対象になり得る。
ゆっくりのお飾りは個体の識別から個体の評価まで関わる重要なパーツである。
体の一部だけあり多少の傷は時間と共に治っていくが、
治癒の見込めない大きい傷はそれだけで迫害の対象になり得る。
それだけではない。
お飾りが不完全な状態になると、ゆっくり自身が不快感を覚える。
「ゆっくりできない」と表現されるそれはゆっくり独特の症状である。
また、本人ほどではないが周囲のゆっくりも不快感を覚えるらしい。
と言っても、こちらは一般人が道端で動物の死骸を見てしまった時に感じるのと似たものだろう。
お飾りが不完全な状態になると、ゆっくり自身が不快感を覚える。
「ゆっくりできない」と表現されるそれはゆっくり独特の症状である。
また、本人ほどではないが周囲のゆっくりも不快感を覚えるらしい。
と言っても、こちらは一般人が道端で動物の死骸を見てしまった時に感じるのと似たものだろう。
「ゆぐぅぅぅ… ゆっぐぢでぎにゃいぃぃ…」
その日はそのまま両親と姉たちがグズる妹を心配し、なだめすかして夜を迎えた。
責任を感じたのだろう、次女まりさは特に必死に妹の世話に励んでいたものの
結局4女れいむは夕食も碌に咽喉を通らず、泣き疲れて眠ってしまった。
暗い雰囲気の中、5女まりさだけが楽しそうに姉の残したごはんを貪っていた。
責任を感じたのだろう、次女まりさは特に必死に妹の世話に励んでいたものの
結局4女れいむは夕食も碌に咽喉を通らず、泣き疲れて眠ってしまった。
暗い雰囲気の中、5女まりさだけが楽しそうに姉の残したごはんを貪っていた。
後半に続く