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  • anko1566 家族のあいどる末っ子れいみゅ!

ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー

anko1566 家族のあいどる末っ子れいみゅ!

最終更新:2011年01月22日 01:19

ankoss

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管理者のみ編集可
・まえがき
ヒャッハーパートが無いことに書いてから気付きました。
始まりまでは色々あったし、終わりからも色々あるのでしょうけど、
でいぶが一生苦しむことだけは確かですのでご安心してお読みください。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


  ◆1 ~れいむ、お母さんになる~

「れいむは狩りや木の実さん集めは出来ないのね?
 ベッドさんやお皿さんの作り方やお食事する時に話す楽しいお話は?
 むきゅっ? おうたは要らないわ。うるさいし。
 そうね、それなられいむ、おちびちゃんを産みなさい。
 ぷりぷりしてる、かわいいかわいいおちびちゃんをたっくさん!」

群れで一番かしこい長ぱちゅりーがそう言うのでそういうことになりました。


  ◆2 ~たんっじょうっ☆かぞくのあいどる!~

ここはれいむとまりさのゆっくりぷれいす。
お母さんれいむが、今まさに可愛い赤ん坊たちをしゅっさんっしようとして力んでいます。

「ゆぶぶぶぶっ……ぐるじいよぉ……」
れいむのあにゃるは大きく大きく開き、リンゴが入るぐらいの大きさにまで伸びて
中身の黒茶色にくすんだ餡子が見えていました。
その暗い奥の奥には、幾層もの膜に包まれ、柔らかく輝く小さな宝物が見え隠れしています。

「れいむ、がんばるのぜ!」
お父さんまりさが励まします。
「ゆぶんっ!」
と、もう一度お母さんれいむが力んだ瞬間に
ぼぷんっとお尻の穴から小さな丸いものが転がり出てきました。

父まりさが慌てて優しく受け止め、その丸いべちゃべちゃを舐めると……
中から可愛い、赤ちゃんれいむが出てきました!

父まりさは何度も飛び上がって体を曲げて喜びます。
「おちびちゃん、ゆっくりしていってね!」
「ゆっくちしちぇいっちぇね!」
ゆっくりが初めて口にする、優しい思いやりのことば。
生まれた瞬間から、この子はこんなにも暖かいのです。
お父さんまりさも祝福の声でお返事して、とてもゆっくりした赤ちゃんに顔を崩します。

そうこうしている間にどぽんっと盛大な音を立てて、
お母さんれいむのお尻の穴から2つ目の丸いべちゃべちゃが飛び出てきました。

お父さんまりさはその2つ目も上手く受け止めて、うんうんと粘液を舐め取ります。
そしてさっきよりも、もっと高く飛び上がりました。
「まりさにそっくりさんなのぜぇー! ゆっくりしていってね!」

元気な赤ちゃんまりさが生まれたばかりなのに元気よく答えます。
「ゆっくちしちぇっちぇにゃのぜ!」

お父さんまりさは凄くゆっくりした気分で横の愛するゆっくりを見つめました。
最後のおちびちゃんを産み落とそうとするお母さんれいむは、ゆんゆん顔を真っ赤にして気張っています。
出産したばかりのあにゃるは赤く濡れて、引きつって今にも破けそうですが、
れいむは必死で一番奥の赤ちゃんを送り出そうと力みます。
「れいむ、頑張るのぜ!」
「おかーしゃんがんびゃって! ゆっくりうまれてきちぇね!」
「まりちゃのいもーと、ゆっくちまっちぇるよ!」

家族が一丸となって新しいおちびちゃんの誕生を心待ちにします。
大事な大事な、産まれる前からみんなに愛される末っ子のおちびちゃん。
なんてゆっくりしたゆん生なのでしょう。
きっと、凄くゆっくりしたおちびちゃんに間違いありません。
そしてお母さんれいむは渾身の力でお尻の穴をリンゴの大きさぐらいまで拡げて
大量の餡子と一緒に丸まった実を体の奥から押し出しました。

・・・ぼぷびっ!

勢いよく飛び出た最後のおちびちゃんを、帽子の一番柔らかい部分で抱きとめて
父まりさはゆっくりと粘液を舐め取りはじめます。

お母さんれいむは溜めていた息を一気に吐き出しました。
そしてようやく、ぶににんと崩れ落ちるように体の緊張を緩め
「おちびちゃんたち、ゆっくりしていってね!」
とあいさつしたのです。

お姉ちゃん達は、優しくてあんっしんっ出来るゆっくりしたお母さんれいむに甘えます。
出産で体力を使い果たしてやつれ、酷く荒い息をつきながらも、
何かに勝ち誇ったような顔のお母さんれいむは喜びなのかそれとも肛門の痛みなのか、
涙を浮かべながら心を込めて言いました。


「れいむとまりさの可愛い可愛いおちびちゃん達、生まれてきてくれてありがとね!」


すごくゆっくりと、それぞれのおちびちゃんにすーりすーりを愛情たっぷりにしてあげます。
2匹のおちびちゃんは嬉しさと幸せのあまり、黄色い声を上げて
お母さんれいむのほっぺに吸い付きました。
ゆっくりとした安心感が産後の熱気がこもる巣穴に充満します。
きっとこれから毎日、家族揃ってゆっくり出来るという大切な誓いに包まれます。

でも、お母さんれいむがあにゃるのひりついた感触と共に少し眠ろうとした瞬間に、
ゆっくりれいむ達に約束されたそんなしあわちぇはあっけなく壊れてしまうのです。

「ゆっ……ゆっ……ゆっくりしてないのぜぇーーーーー!?」
お父さんまりさの絶叫の先には、
『おかざり』と呼ぶにはあまりにも崩れた大きなリボンと、
『かみのけ』と呼ぶには全然足りない黒いポンポンがついているだけの、
ちいさなちいさな赤ちゃんれいみゅが明るい笑顔で叫んでいました。

「ゆっくちぃーー!!!!!」



  ◆3 ~げんきなげんきなおちびちゃん~

今日もれいむとまりさのおちびちゃん達は元気よくお外で跳ね回ります。
でも、一番末っ子のちびれいみゅはいつもお母さんれいむのそばで遊びっぱなし。
お母さんれいむが応援して、お父さんまりさが頑張って掘ったゆっくり出来る巣穴とは言っても、
お日さまの当たる量はお外のそれよりはずっと少なくて
こんな柔らかな春の日には少し涼しすぎるぐらいです。

一番小さなちびれいみゅちゃんはさっきからお鼻をグジュグジュいわせてご機嫌斜め。
さすがに父まりさも心配して声をかけます。
「あのね、れいむ、一番ちいちゃなおちびちゃ……」
「びちゃぁぁーーっ!!」
「一番ちいちゃ……」
「いちゃぁーーっ!!!!!」

ちびれいみゅは、お父さんが何かを言おうとする度に大声ではしゃぎます。
そのくりくりの小さなお目目はまるで、どんな小さなあまあまもみのがさにゃいょっ!
と言わんばかりに見開かれてせわしなく動いていました。
あまりにジッとしていないのでせっかく整えたリボンもすぐに地面に引きずってしまうのですが、
その度にお母さんれいむはにこにことして
おちびちゃんの崩れたリボンを唇と舌と歯を器用に使って整えてあげます。

父まりさはうんざりしたように続けました。
「毎日毎日、一番ちいちゃなおちびちゃんが、お昼寝の時やごはんさんを食べてる時、
 みんなですーりすーりしあってる時までいきなり大声出すから全然ゆっくりできないのぜ。
 れいむが甘やか……」
「ゆっくちぃーー!」

「れいむが甘やかすからうるさいのぜ!?
 それに、そのおちびちゃんは『おかざり』もぐちゃぐちゃなのぜ!
 ぜんっぜんっおリボンさんじゃないのぜ! ただの紐さんなのぜ!?
 髪の毛もちょぼちょぼでとっても変なのぜ!」
「のじぇぇぇーっ!!」

自分の話題がされている、と感じたちびれいみゅは金切り声で構ってもらおうとします。
叫ぶ度に頭の上にちょこっと乗ってる可愛い髪の毛を震わせるので、
段々疲れてしまって「ゆんびぃぃ……」って声しか出せなくなってきたけれど、まだまだ元気いっぱい。
お母さんれいむはおちびちゃんの小さなほっぺをせわしくぺーろぺーろしながら穏やかに言いました。

「ゆーんゆんっ。
 おちびちゃんは、すごーく、ゆっくりしてるよぉ。
 おとーさんには分かんないんだよぅ、ねーぇ」
家の中で遊びまわって泥だらけになった小さなほっぺに、「ゆっくりおっきくなってね!」と
優しくちゅっちゅっと口づけのおまじないをします。

「ゆっくちぃーー!!!!!」
お母さんに褒められた嬉しさに転げまわったちびれいみゅは、
せっかく整えてもらった小さなリボンをゆっという間にぐしゃぐしゃにしてしまいます。

父まりさはお外で遊ぶお姉ちゃん達を気にしながら少し強い口調で言いました。
「そんなお体がちっちゃくて、
 そんな『ゆっくち!』しか喋れないおちびちゃんは、大人になっても」

優しい顔でおちびちゃんのあにゃるの汚れを掃除していたお母さんれいむは、
ゆっくりとしては物凄い速さで顔を上げました。
「ゆんやぁぁっ!?
 まりさ、今なんてゆおうとしたの!?」

「うるさいのぜ!
 れいむが大声出せばおちびちゃんがちゃんとおっきくなるのぜ!?
 れいむがゆわんゆわん叫んだらおちびちゃんのおリボンさんがきれいになって、
 おちびちゃんの体が大きくなるのぜっ!?
 れいむがそんな魔法のお声を持ってるなんて、まりさぜんっぜんっ知らなかったのぜぇ!」

れいむは顔を真っ赤にしたまま怒ります。
「たっぷり黙っててね!?
 おちびちゃん、すごーくゆっくりしてるだけなんだよ!?
 すっごく元気なんだよ!?
 おとーさん、れいむが好きなおちびちゃんの事きらいなの!?」

お父さんまりさは黙り込んでしまいました。

まりさは別に、一番小さなれいみゅの事を嫌いなわけではありません。
3匹のおちびちゃん達はみんな大事な可愛い子ですし、
特に末っ子れいみゅは体が小さく弱くって、一番大事にしてあげないとすぐ
『永遠にゆっくり』してしまうでしょう。
仮に永遠にゆっくりするのが他の子より早いとしても、
それまでの短いゆん生をたっぷりゆっくりさせてあげるのがパパとママの役目なのぜって
父まりさは考えていました。

それに、奥さんのれいむの事も愛していました。
昔みたいにのべつまくなし『すっきりー』したいとか、
れいむの事を考えると餡子の奥が渦巻いて転げまわりたくなるとか、
れいむの声を聞くと無性に飛び跳ねたくなるようなあの感覚は薄れていましたが、
それでも、れいむがいると心からゆっくり出来ました。

れいむが愛情たっぷり母性たくさんの満点お母さんである事も、分かっています。
れいむが一番小さなおちびちゃん以外の子供達にもたっくさんの愛情を注いでいるのは分かります。
だけど、れいむとのケンカが増えてしまうのはどうしてなのぜ?

れいむが大きなリボンの小さなおちびちゃんを可愛がりすぎるから?
れいむがまりさにあまり構ってくれないから悔しいの?
まりさがすぐ怒るから?
まりさが末っ子れいみゅをすぐ叱るから?
まりさが悪いのでしょうか。

父まりさの餡子では全然分からなくてゆんゆんと困りながら、睨んでくるお母さんれいむの視線から逃げて
お外で遊ぶ元気な2匹のお姉ちゃん達がケガをしないように巣の中から見守っていました。

その背中には休む間もなく、おちびちゃんはゆっくりしてるよね!?という質問が岩のように飛んできます。
お母さんれいむの金切り声に負けないように父まりさも怒鳴ります。
「だったらお外で遊ばせてあげればいいのぜ!?」
「そんなごどしたら おケガしぢゃうかもしれないでしょおおお!?」

お互いの声に興奮したれいむとまりさがまたお互いぷくーっと膨れてケンカを始めます。
ちびれいみゅが生まれてから、巣の中はいつもゆっくり出来ない大声が響くようになってしまいました。

「お姉ちゃん達の方がゆっくりしてるのぜ!
 お姉ちゃん達はおうたも歌えるし、おかざりだってちゃーんとあるし
 まりさの言うことだってよく聞くのぜ!」
「ゆんっ! 一番ちいちゃなおちびちゃんは、おかーさんが一番好きなんだよ!?
 だからおとーさんの言うこと聞かないんだよ?
 もしかして羨ましいの? ばかなの?」

「誰がそんなヨダレだらけの変なおちび……」
父まりさの顔が赤く膨れ上がるのと同時にお母さんれいむのもみあげがわさわさといななきます。

だけれど、夫婦ゲンカはいつも、家族のあいどるちびれいみゅが終わらせてくれるのです。

「ゆっくちぃーーっ!!」
ゆっくりはうすに響く大音響で叫ぶと、地面の砂をもじゃりもじゃりと噛み始める末っ子れいみゅちゃん。
お顔は泥だらけで、口の周りも砂の硬い粒で傷ついてしまいます。

お母さんれいむは慌てておちびちゃんのお尻を押して気を逸らせました。
「ゆっ! おちびちゃん、おすなさんは食べ食べしちゃ『めー』だよぅ!」

「めーぇ!! ゆっくちぃー!? めーぇぇっ!!!」
ちびれいみゅは今度はお父さんの傍で、あらん限りの力を出していきなり挨拶を始めます。
『めーっ』って言葉の響きが気に入ったらしくて、
きっと今日のすーぱーお昼寝タイムでも『めーっ』って声で目覚まししてくれるでしょう。

父まりさはウンザリして、お姉ちゃん達の様子を見るために外へ出かけてしまいます。
お父さんに着いて行こうとしたちびれいみゅは、すぐそばにあった小石にぶつかって
「ゆっぐぢぃーー!!」
と赤くかぶれた口を大きく開けて泣いてしまいました。

何も言わずにまりさのお尻と帽子を睨んでいたお母さんれいむはすぐに気を取り直し、
ぽふんっと一回小さく跳ねます。
ほのかな朝のお日さまが差す巣穴の中で、
お母さんれいむは優しいもみあげでゆっくりとちびれいみゅを抱きしめて呟きます。

「あたたかーい、小さなおちびちゃん。
 れいむのだーいじなおちびちゃん。
 だいじょうぶだよ。おかーさんがずーっと、一緒にゆっくりしてあげるよぉ」


物事はどんどん良くなっていくはずだよ、というのがゆっくり達の基本的な考えでした。
まるで今日のぽかぽかお日さまのようにね。


だからちびれいみゅは口の端から涎を垂らしながら、
お母さんのもみあげに吸い付いて元気に叫んだのでした。
「ゆっくちぃーーっ!!!!!!」



  ◆4 ~愛情について語る時にゆっくりの思うこと~

確かに物事はどんどん良くなっていくはずなので、実際その通りなのですが、
いかんせんお父さんお母さんと3匹のおちびちゃん……
特にどんどん大きく元気になる上の2匹のお姉ちゃんが一緒なので、
ゆっくりぷれいすは手狭になってしまいました。

お父さんまりさが新しい巣穴を掘ろうと考えても、
すぐお熱を出してゆんゆん苦しむ小さな小さな末っ子れいみゅちゃんの世話を
お母さんれいむと代わりばんこでしなければならなかったので、なかなかお引越し出来ません。

お姉ちゃん達もお外で遊ぶ時はいいのですが、
雨の日やお休みタイムの時は狭い巣穴にぎゅうぎゅう詰めになって全然ゆっくり出来ないので
だんだんみんな怒りっぽくなってきてしまいました。
特に髪の毛がちょぼちょぼの末っ子れいみゅはすぐに怒って、
父まりさに意味の分からない言葉を怒鳴ります。

そんなある晴れた日、
気分転換にお父さんまりさは群れの長老のぱちゅりーを巣穴に招待しました。
可愛いおちびちゃん達が生まれたのを知らせるのをゆっくり忘れていたのです。
更に、お父さんまりさにはもう一つの考えがありました。

お昼早くから一家がそわそわしていると、
れいむとまりさのゆっくりぷれいすの入り口の草の陰からむきゅんっと淡いスミレ色の帽子が覗きます。
すごくゆっくりしたぱちゅりーだってことが、おちびちゃん達にもすぐに分かりました。

すぐさまお姉ちゃんれいむとお姉ちゃんまりさが「ゆっくりしちぇいっちぇね!」と
元気良くごあいさつします。

「むっきゅりしていってね!」
森で一番大きな木からやってきた長ぱちゅりーは、長旅の疲れを少し見せながらも
お姉ちゃん達の頭を大きなもみあげで優しく撫でてあげて柔らかな体をのーびのーびして揺らします。

「れいむ、まりさ、あなた達のおちびちゃんってすっごくゆっくりしてるわ!」
「ゆっゆーん! ありがとね、ぱちゅりー!」
「ゆっくりしていってなのぜ!」

お母さんれいむが皆で食べるあまあまの実の準備をしながら体をくねらせます。
父まりさも思わずぱちゅりーを呼んだ目的を忘れてお姉ちゃんれいむがどんなに上手く歌えるか、
お姉ちゃんまりさがどんなに遠くへ跳べるかを自慢しようとします。

だけどその途端、長ぱちゅりーのすぐ後ろから桁外れの調子であいさつが響きました。
「ちゅりぃぃーーっ!!」

長ぱちぇはあんまりびっくりして飛び上がったので、狭い巣穴の天井に頭を思い切りぶつけてしまいました。
そして足元でもはやただの赤茶けた紐になってしまったリボンを地面にたなびかせ、
周りを「ゆっくちぃー!」とはしゃぎまわる末っ子ちびれいみゅの姿を見て丸いお顔をほころばせます。
おちびちゃんのヨダレが少々もみあげに付いても怒りません。
少々の事では動じないのから『おさ』なのです。

お客さまの前で騒ぎ続ける末っ子れいみゅに、父まりさは眉間にしわを寄せました。

お姉ちゃん達はお父さんまりさの機嫌が悪くなったのを察して、
慌ててぱちゅりーに歓迎のお歌を歌います。
妹れいみゅだってお姉ちゃん達に負けないように元気いっぱいの声で歌いました。

「ゆっゆー! おちびちゃん達、お歌すとっぷだよぉ!
 ゆっくりご飯さんをたべたべしようね」
お母さんれいむがにこにこ笑いながら木の実を並べ終えます。
3匹のおちびちゃんは大喜びで、でもお行儀良く木の実の前にいそいそと這いました。
末っ子れいみゅちゃんだけは、自分のおリボンに引っかかって転んで
ゆんゆん泣いてしまったのですけれど。

お父さんまりさはまたお饅頭の皮の皺を深くしました。

「「「「ゆっくりしようね!」」」」
思いやりのあいさつと共に、むーしゃむーしゃとごちそうを食べ始めるゆっくり達。
おちびちゃん達はまたお歌を歌い始めます。
一緒に歌って楽しそうなぱちゅりーを上目遣いに見ながら、
父まりさはおずおずと一番したかった話を切り出しました。


「おさ、まりさはこの一番小ちゃなおちびちゃん、なんだかゆっくりできてないと思うのぜ。
 こういう子が産まれたら、『永遠にゆっくり』させてあげるのが……」
「なんでごというのぉぉお!」

追加のあまあまの準備をしていたれいむは、目の前の木の実やイモムシさんをひっくり返して
憤って飛び上がります。
お客さんの前だと言うのに、れいむとまりさはゆゆゆっ!と膨れ上がって睨み合います。
夫婦ゲンカの始まりです。
子ども達はびっくりして、巣穴の隅で体を寄せ合って目をぎゅっとつぶりました。

長ぱちゅりーは目の前のケンカにさすがに驚いた様子でしたが、
怖がってすすり泣いてる2匹のお姉ちゃんと、
舌を突き出してゆへゆへ笑って……でも、その笑顔はとても楽しそうじゃない末っ子れいみゅちゃんを見て
落ち着いた咳払いをしました。

なにしろ群れの長ですので、ケンカの仲裁は得意なのです。
しばらく考えてからこう言います。

「ねえ、れいむのおリボンさんは他の子よりひらひらしてるから、
 ゆかいなれいむだって分かるわね。
 まりさのお帽子さんはちょっと先が曲がってるから、
 おどりが好きなまりさだわ。
 ぱちゅりーのもみあげは他のみんなよりプニプニしてるから、
 『おさ』のぱちゅりーだって分かるわね。
 それと同じ事で、このおちびちゃんもおリボンがボロボロだからこそ、
 れいむとまりさのおちびちゃんだって分かるんじゃないかしら?
 と、いうことは、『おかざり』があってもなくても、体がどんなに小っちゃくても
 おちびちゃんはゆっくりしてるってことだわ」

さすがは、まん丸の縦の長さでまん丸の丸の長さを割った数が全部数えられる賢いぱちゅりーです。
膨れ上がっていたお母さんれいむは感激して、怒るのをやめてぱちゅりーに頬ずりしました。

「ぱちゅりーのゆうことって、すごーくゆっくりできるよぉ!」
父まりさも思わずぱちゅりーに頬ずりしかけましたが、慌てて顔を振って
「でもでも、だってこのおちびちゃんは全然ゆっくりできてないのぜ!」
と抗議します。

当のちびれいみゅは新鮮な自分のうんうんを食べてあまりの苦さに「ゆっびぃぃぃ!!」と
泣いているところです。
お姉ちゃんれいむ達は壁の方で身を寄せ合わせながら、
足元から漂ってくる糞のニオイとうるさい鳴き声に顔をしかめます。
そんな事は気にもせず、ぱちゅりーはお母さんれいむに頬ずりを返しながら笑ってこう言いました。

「ぱちゅりーだって、おちびちゃんの頃は他のお姉ちゃんや友達みんなより
 ずーっと小さくておばかさんだったわ。
 でもねでもね、パパとママが『ぼせい』と愛情をたっぷりくれたから、ゆっくり大きくなれたの。
 まりさとれいむが力を合わせれば、どんなおちびちゃんもゆっくりするはずよ!」

「もっちろんだよ!
 『ぼせい』いーっぱいに子育てするよぉ!」

お母さんれいむはもう体をぐねぐねさせて喜びを全身で表現し、
さすがに父まりさも感動してぱちぇに頬ずりを始めました。
「まりさとれいむで、あいっじょうったっぷりにゆっくりするのぜぇーん!」

久々にれいむとまりさのお顔に心の底から喜んでいる表情が浮かびます。
楽しい雰囲気に駆け寄ってきたお姉ちゃんれいむやお姉ちゃんまりさ達も、
お母さんとお父さんの温かいお腹の間に飛び跳ねてすーりすーりしました。
ぱちゅりーはにっこり。

「ゆっくちぃーー!!」
物凄い大きな声で末っ子れいみゅも跳ねます。

そうしてゆっくり達だけが知っているあの親しげなやり方で、楽しいゆっくりパーティーが午後いっぱい開かれたのでした。



  ◆5 ~ゆっくり一家のお引越し~

お母さんれいむとお父さんまりさの『ぼせい』と愛情をたっぷり受けて、
ゆっくりした森の中で3匹のおちびちゃん達はすくすく大きくなりました。

だけどちゃんと丸く大きくなっているのは上のれいむお姉ちゃんとまりしゃお姉ちゃんだけで、
末っ子の赤ちゃんれいむはお尻の辺りがぶくぶく肥るばかり。
髪の毛やもみあげがいつまでも生え揃いません。
おリボンだって、どんどん汚れるどころか破けていきます。

さすがに不安になったお母さんれいむは、体を傾げて父まりさにこう言いました。
「おうちが狭いから、おちびちゃん達はゆっくり出来ないんだよ?
 りかいできる?」

お父さんまりさも、おちびちゃん達が大きくなっていくにつれてゆっくりしたおうちが
段々きゅうくつになっているのはよく分かっていました。
だけどお母さんれいむは末っ子れいみゅのお世話で精一杯だし、
父まりさはお母さんのもみあげが回らないお姉ちゃん2匹の世話で精一杯。
巣穴に敷いた木の葉のカーペットもどんどん湿っていくばかりです。

「ゆっくりりかいしてるのぜ!
 でもでも、新しいおうちを掘るひまが無いのぜ!」

慣れない子育て、そして狩り、その他色んなことに疲れて言い訳がましく唇を尖らせるまりさに、
お母さんれいむは子どもを産んでからますます説得力を帯びた声で優しく元気付けました。
「れいむにゆっくりしたあいであさんがあるよ」

その日の朝早く。
辺りに怖い動物さんがいないかな、おちびちゃん達は迷子にならないでね、
って心配しながら末っ子れいみゅを頭の上に乗せたお母さんれいむと
お姉ちゃんれいみゅとお姉ちゃんまりさ、そしておちびちゃん達に挟まれて仲良く歩くお父さんまりさ一行は
森の少し静かな場所にあるありすのおうちにやってきました。

大きな大きな、いつからあるのか分からない木の根っこです。
切られているわけではないのだけど、群れのみんなは「森のゆっくり切り株さん」と呼んでいました。
古くて大きな切り株の”うろ”の下には更に深く穴が掘ってあって、
日なたぼっこだって雨よけだって出来るありすご自慢のおうちです。
ぱちゅりーのおうちの次に大きなゆっくりぷれいすなので、お母さんれいむや父まりさも
出産前には時々揃って遊びに来たものでした。

「ゆっゆー! ありすのおうちにとうちゃくだよっ!」
お母さんれいむ達は笑顔で切り株の前に立ち止まりました。

一家が来るのを見ていたありすも、喜んで久々の訪問を歓迎しようとします、が。
ありすが口を開くより先に赤ちゃんれいむを降ろしたお母さんれいむが
(ゆっくりにしては)素早く”うろ”の中に滑り込みました。

そしてびっくりしているありすに向かって大声で宣言します。
「これからここをれいむとまりさとおちびちゃん達のゆっくりぷれいすにするよ!」

ゆっくりの世界では、誰かがそう言えばそういうことになります。


おまけにれいむが先にぷくーっと膨れ上がっているのですからこれはもう完全に決まりです。
言われたありすの方も悔しそうに跳ねて怒りながら、
「ゆんっ! こんな『いなかもの』のおうちなんて、ちょーどおひっこししようと思ってたのっ!」
なんてみんなに聞こえるような独り言を響かせて出て行ってしまいました。

元々ありすは新しいおうちに新しいこーでぃねいとをするのが好きなので、
あながちウソでもなかったのですけどね。

一家は大喜びで新しい巣の中に潜り込みました。

ありすの『とかいはこーでぃねいと』はさすがのもので、
木の葉は乾いた、それでいて色とりどりの楽しい様子で敷き詰められています。
ふわふわの新鮮な苔は地下のお部屋の入り口にそっと重ねられていました。
キノコだって花びらだって、シロツメクサで編まれた貯蔵庫にたっくさんあります。

「ゆわぁー! おかーしゃんのおかげで、まりしゃすっごいゆっくりしてりゅのじぇっ!」
元気な2番目のお姉ちゃんまりしゃがお母さんれいむに甘えた声を出しましたが、
お母さんはちょうど末っ子のおちびちゃんのすーぱーうんうんたいむのお世話をしているところだったので
何もお返事できませんでした。

ゆんぶぅぅと拗ねて少し泣きべそさんになったお姉ちゃんまりしゃはともかく、
ゆっくり達はめいめい新しいゆっくりはうすの中でお気に入りの場所を見つけて
そこを更にゆっくりしたぷれいすに変えることに熱中し始めます。
お引越しの醍醐味というのは、つまりはそこですからね。

れいむ達なりのこーでぃねいとがひと段落着き、
貯蔵庫のカキの種をたっくさん食べてみんながすーやすーやとゆっくりした寝息を立て始めます。
その傍らで、お母さんれいむは一番ちいちゃな大きなリボンの赤ちゃんのためのおうたを作りました。
そして次の日から毎朝、その歌をまりさと他のおちびちゃんと一緒に歌って
赤ちゃんれいむを喜ばせてあげるのでした。

ご他聞に漏れずゆっくりのおうたの歌詞はその都度変わるので正確なものではないのですが、
大体としてはこういうお歌でした。

 ※かぞくのあいどる♪すえっこれいみゅ♪ だいじなゆっくりおちびちゃん♪

  おっきなおリボンゆーらゆら♪
  ちっちゃなおからだぷーにぷに♪
  すっごくゆっくりおちびちゃん♪ 

 ※繰りかえし

  ちょぼちょぼかみのけぴーこぴこ♪
  やわらかほっぺはぷーくぷく♪
  たのしいゆっくりおちびちゃん♪
 
 ※繰りかえし  


一家が歌うたびに、小さなおちびちゃんは
「ゆっきゃぁぁんっ!!!」
と金切り声で大喜び。
お母さんれいむも張り切って何度でも歌ってあげますし、
何度でも家族に歌わせるのでした。

「おかーしゃんおかーしゃん!
 まりしゃにもおうたをつくってなのじぇ!」
と、お姉ちゃんまりしゃは威張って言いましたがお母さんれいむは放っておきました。
皆さんもよくご存知のように、なにしろ歌というものは作るのではなく勝手に生まれてくるものですからね。

一番年上の内気なお姉ちゃんれいみゅはもーじもーじして上手くお喋りできませんけれど、
お母さんれいむはこれも心配せずに放っておきました。
今は大人のれいむにだってそういう時期はあったものです。

それに、今は小さな小さなおちびちゃんにありったけの『ぼせい』を注ぐことが大事なのです。
一番小さくてか弱い子にこそ、一番大きな愛情を注いであげるのがみんながゆっくり出来る方法ですからね。

そうして新しいおうちで日々は過ぎ、お姉ちゃん達はぷよぷよとゆっくり大きく育ちます。
れいむとまりさのぼせいとあいっじょうっが足りている証拠です。

それなのに、父まりさがお母さんれいむの子育て方針について文句を言い出しました。
れいむがお姉ちゃん達に対してあまりに構ってあげていないというのです。
お母さんれいむはびっくりして、なんだか情けなくなりながら
近ごろなんだか臭うようになったまりさの帽子を我慢して言いました。
父まりさいわく、
ゆっくり出来ないからすとれすが溜まってお帽子が臭くなるというのだけれど
怪しいものです。

「れいむはゆっくり子育てしてるよ?
 お姉ちゃん達はゆっくりおっきくなってるよね?
 れいむのあいっじょうったっぷりぷりで育ったから、おっきくなってるんだよ?
 まりさもりかいできるよね?
 だけど一番ちっちゃなおちびちゃんがおっきくなれてないのは
 きっと『ぼせい』がじゅうぶん足りてないせいだよ?
 れいむはすっごく可愛がってるのに、おとーさんのあいっじょうっが足りてないんだよ?
 まりさのせいなのにどぼぢてれいむが苦労すりゅの!?
 ううん、れいむよりもおちびちゃんが可哀想だよ!?
 まりさはいちゅも立派なゆっくりだったにょに、最近ゆっくりできてにゃいよ!?」

興奮して最後の方は舌が回らなくなってしまいましたが、
お母さんれいむの言いたいことは大体そういう事でした。

まりさだって、愛するれいむの頑張り子育てをいつもすぐ傍で見ているのですから反論できません。
ぷくーって膨れながら葉っぱを踏んで八つ当たりすることしか出来ませんでした。

新しいお家に引っ越せば全て上手く行くようになると思っていたのに、
お母さんとお父さんの仲はどんどん険悪になっていきます。
お姉ちゃん達も、時々ゆっくりしてない声を出すように変わっていきます。

末っ子の赤ちゃんれいむだけが、いつまでもおおきくならないままでした。
そうしてあの最初の事件が起きたのです。



  ◆6 ~まりしゃ、ゲスになる~

ゆっくり達は普通、ケンカをするといってもせいぜい口ゲンカぐらいのものです。
お互いに暴力を振るいあうようなことはめったにありません。
どれだけの小さな傷でも自分たちの小さな体には命に関わるものだと分かっているから。
だからこそ簡単に暴力を振るうゲスやれいぱーは、
一番ゆっくりできない仲間として嫌われていました。
暴力。
それは、おとなしいゆっくり達にとってはとてもゆっくり出来ないことです。
リボンがちょっと大きくて、髪の毛がちょっと少ないおちびちゃんなんかよりも、だんぜんね。

ところで切り株ハウスに引っ越してから、上から2番目のお姉ちゃんまりしゃは
こーそこーそと何かを用意していました。
それがなんだか分からないけど、晴れた日に渡す記念のゆっくりプレゼントでないことだけは確かです。

そして静かな三日月さんがゆっくりと巣の中を照らす夜、
ちびまりしゃはこーそこーその姿勢のままでその何かを咥えて
お母さんれいむと末っ子おちびちゃんの寝ている地下の一番奥のお部屋に這いずり寄りました。

まりしゃが咥えているものは、尖った小さな木の枝。
毎日毎日お外で遊ぶフリをして、お父さんまりさにもお姉ちゃんれいむにも友達にも見つからないよう
少しずつ岩肌にこすり付けて鋭く尖らせた棒です。
まりしゃはほのかに揺れるタンポポさんにも、
楽しい泥んこ遊びにも目をくれずこんな武器を作っていたのです。

深く被った小さな黒いお帽子からはゆっくり出来ない声が呻くように響いていました。

「『せいっさいっ』なのじぇ……
 あんにゃバカいもーと、いらないないなのじぇ……
 おかーしゃんだっておとーしゃんだって、まりしゃにありがとってゆうはずだもん……
 まりしゃが一番かわゆいゆいだもん……」

そうです。
あろうことか、お姉ちゃんまりさは小さな小さなれいみゅを『せいっさいっ』しようとしているのです。

静かに静かに、眠っているお母さんれいむの大きな影のそばを通り過ぎながら
食いしばった歯にしっかり支えられた鋭い枝が、壁際にいる小さな丸い影に向かいます。
カタカタと震えて狙いが定まらないまま、薄暗い地下のお部屋にまりしゃの声が響きました。

「えいえんにゆっくりしていっちぇねっ!!
 おねーちゃんからの『せいっさいっ』なのじぇー!!」

お姉ちゃんまりしゃの咥えた棒が、ゆぴゆぴ眠ってる小さなれいみゅちゃんに向かって
真っ直ぐ突き出されたその瞬間、まりしゃは思いっきりゆぶずでんっと転びました。
枝の尖っていないほうが上あごに刺さってしまって、咳き込むことしかできません。
目を赤くしてげひげひって鳴くちっちゃなトンガリ帽子の上から、静かな静かな声がかけられました。
「……お姉ちゃんのおちびちゃん、何してるの?
 すーやすーやの時間だよね?」

いつの間にか起きていたお母さんれいむが、
まりしゃがちょうど乗っていた葉っぱをもみあげで引っ張ったのです。
お母さんの赤色と白色のおリボンは、これまで見たことが無いほどに大きく広がっていました。
太くて温かだったもみあげの先は、絶え間なくざわめいています。

「ゆげぴぃっ!?
 お、おかーしゃ……!?
 あにょね、えっと、まりしゃ怖い夢さんを見たにょ……
 それで、おかーさんとすーやすーやしちゃかったにょぜ……?」
なんとかして、枝をお尻の下に隠そうとするおちびちゃん。
お母さんれいむからは、帽子のつばがジャマでお姉ちゃんまりさのお顔は見えません。
必死でその小さなお帽子の中に隠れようとしているのです。

だけど、その媚びた声からは、まりしゃが引きつった笑顔だというのはよーく分かります。
お母さんにはなんだって分かるのです。
おちびちゃんが部屋に入ってきたときの匂いだって、持ってるものだって、なんでもね。

大事な大事な末っ子れいみゅは世界中の怖いことなんて何も無いかのようにぐっすりと眠っています。
お母さんれいむはそうっとその小さなお饅頭を抱き寄せ、
がたがた震えっぱなしの黒くて小さな帽子に背を向けました。

「そう。
 お母さんも、すっごく怖い夢を見たよ。
 ……『せいっさいっ』なんて悪口さん、どこで覚えたの?」
すごく静かな声で、お母さんれいむは言いました。

お姉ちゃんまりさが思わず「おやすみなしゃーい」って返事をしそうになったぐらいの、静かな声。
だけどそこには確かにゆっくり出来ない響きが込められています。

「ゆ、ゆゆぅっ、ごべ、ごべんなしゃいぃ」
お姉ちゃんまりさは、しーしーを少しずつ漏らしながら、懸命に答えました。
とにかくお母さんのご機嫌を直さなければ、明日の朝ご飯が抜きになってしまうかもしれません。

お母さんれいむは相変わらず静かな、だけどゆっくり出来ない声で続けてきます。
「おかーさん、おちびちゃんにごめんなさいなんてゆって欲しくないよ。
 おちびちゃん、なにか悪いことしたの?
 どおして悪いことって分かってるのに、そんなことしたの?
 バカなの? ゲスなの?」
「ごべっ、ごべぇっ! ごべんなしゃい! ごべんなしゃいっ! ごべんなしゃぁぁぁいっ!!」

小さなまりさはもう、まりさはおばかでヘンな妹よりもゆっくりしてるのじぇ、
なんて気取る余裕はありませんでした。

自分でも悪いことをしたと分かっています。
でも、さっきまではおちびちゃんを制裁するのが一番賢いやり方のように思えたのです。
「ばでぃさがぁ、ばでぃさがゆっぐぢじてませんでしたぁぁ!
 ばでぃさはゲスでちたぁぁ!」


それぞれのゆっくりるーむで眠っていたお父さんまりさとお姉ちゃんれいむも、
騒がしさと不穏な空気にびっくりして起き出して来ました。
「ゆゆっ!?
 れいむ、どうしたのぜ?
 お姉ちゃんが泣いてるのぜっ?」

部屋の入り口に背を向け、末っ子赤ちゃんを抱いて静かに膨れるお母さんれいむと、
そのお尻に向かって必死で叫び続けるお姉ちゃんまりさ。
父まりさには何がなんだか分かりません。
お姉ちゃんれいみゅは、お母さんの丸まった背中がなんだか怖くて泣き出しそうになりました。

「ゆんやぁぁーっ! ごべんなしゃいぃぃっ!」
お姉ちゃんまりさは黒い帽子を揺らして鼻水と涎まみれの顔で泣き叫びました。
必死で謝ることしか頭にありません。
そしてひょっとしたら、許してもらって優しく抱きかかえてもらえるかもしれないと思って
どさくさまぎれにお母さんの大きなお尻にすーりすーりしようとしました。


「おちびちゃん、ゆっくり出来てないゲスは『せいっさいっ』だよ」


れいむはそんなおちびちゃんに後ろのあたまを向けたままゆっくりと離れて言いました。
ぶわぁっと大きく広がったリボン。
冷たい声。
ちびまりさを見ていないお顔。
大きなもみあげでばしんばしんって殴られた方が、まだマシです。

「ゆんやぁぁぁーーっ!
 おがあしゃぁぁぁんっ!!」

姉まりさの絶叫がみんなの体をつんざきましたが、誰も何も言いませんでした。
やっと起きた一番小さなおちびちゃん以外は。
「しゃぁーんっ!!!!」
お母さんれいむの上でリボンに絡まりながらおかしそうに飛び跳ねています。
余りにも小さくって泥だらけなので、雨降りの後の小石さんが動いているかのようです。

れいむは今夜、初めてにっこりと笑いました。
「おちびちゃん、どおしたのぉ? ゆっくり出来ることがあったのぉ?」
「ゆっちゃぁーっ!」
「ゆっゆ~ん、げーんきげんきっ!
 一番ちっちゃなおちびちゃん、悪いことなんにもしてないよぉ」

差し込んでくる薄い月明かりの中で優しいお母さんのお顔に戻って
妹のおちびちゃんをあやしてあげるお母さんれいむの大きな体しか見えなくなって、
悔しくて悔しくて、姉まりしゃは怒鳴りました。

「だまるんだじぇバカチビィィッ! だまりぇええっ!」
小さな小さなれいみゅは、お姉ちゃんがこっちに話しかけてきたらしいことは分かって
お母さんの頭に乗りながら喜んであいさつしました。
「りぇーっ!」
「ゆんやぁーっ!! ゆっぐぢおりでくるのじぇーっ!」
「じぇーっ!」

「だみゃりぇええっ!
 おみゃえのせいじぇっ、おねーちゃんたちが おともだちにいじめられるのじぇっ!
 ちぇんやありすにわらわれてるのじぇっ!
 おみゃえをえーえんにゆっくちさせたあとでねー、あとでねっ、
 ちぇんやありしゅも『せいっさい』してやるのじぇぇーっ!!」


さっき落としてしまった尖った枝を咥え直して振り回すお姉ちゃんまりさ。
その悲鳴は、次第にヒステリックな高さになっていきます。
顔を真っ赤にしてもう一度叫んだお姉ちゃんまりさに見向きもしないまま、
お母さんれいむは隅っこで顔をしかめている大きな父まりさにぼそっと言いました。

「まりさ、このお姉ちゃん、ゲスだよ。
 ざんっねんっだね。
 みんなに迷惑かけちゃうゆっくり出来ないおちびちゃんだよ。
 れいむは『ぼせい』たっぷりおかーさんだよ。
 だれかに大ケガさせちゃう前に、ずっとゆっくりさせてあげなくちゃね……」

「ゆっ……」
いきなり話しかけられたお父さんまりさは少し驚いた様子でしたが、
悩んで悩んでお顔にゆっくり出来ない皺をつけたまま、
すーっと間に入ってお姉ちゃんまりさにすーりすーりしました。

そしてお母さんれいむと同じぐらい静かな声で、だけど優しい声色で言います。
「おちびちゃん、あのね、何があっても、
 妹やお友達を『せいっさいっ』しようとしちゃ、めーっなんだぜ。
 もう謝ったんだから、これからはゆっくり仲良くできるんだぜ?
 だって可愛い可愛い一番小さなおちびちゃんのお姉ちゃんなん……」

ぷるぷると震えてうつむいていた小さなまりさは、お父さんの言葉を大声でさえぎりました。
「やぎゃぁーっ!!
 まりちゃだってまりちゃだって、かわいいかわいいもん!
 あ、あんなうんうんみたいな、ゆっくりできない いもーと、いらないのじぇ!
 あんにゃの、『せいっさいっ』してやりゅじぇーっ!」

そう怒鳴って飛び上がり、お母さんのお腹に抱かれた小さな小さなれいむの、
はみ出して垂れ下がっているリボンを噛んで引きずり出そうとしました。
小さなおちびちゃんがびっくりして悲鳴を上げます。

その甲高い悲鳴に負けないぐらい、小さなまりさもお母さんに向かって泣き叫びます。
「ねえっ! おかぁしゃんっ!
 ばでぃさだってゆっぐりじでるのじぇ!
 ばでぃさがいちばん、かわゆいかわゆいのじぇ!!
 ばでぃさだって、ばでぃさだって おうたじょーずにうたえるのじぇ!
 ゆーんっ♪ ゆばぁっ、ゆばばっばばばああ!!」

でも、そのお歌は、全然ゆっくり出来ないただの叫び声です。
必死で噛んで引っ張られたので、少ない髪の毛になんとか結わえられていた
赤ちゃんれいみゅのおリボンはビリビリに引きちぎられてしまいました。

部屋の入り口で固まっている一番上のお姉ちゃんれいむが息を呑んだ悲鳴を上げます。
けれど当の末っ子れいみゅはゆぴゆぴ大笑い。
だっていつもは構ってくれないお姉ちゃんまりしゃが遊んでくれているのですもの。


お姉ちゃんまりしゃはあらん限りの金切り声で泣きます。
お母さんれいむはお腹の辺りに噛みついて暴れる、小さな黒いトンガリ帽子を黙ったまま太いもみあげで払い落しました。
次はお尻にすり付いて泣き喚く小さなお姉ちゃんを見ないようにしながら、
横で静かに泣いているまりさに震える声で話しかけます。
「まりさ……」

お父さんまりさも、聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声で応えました。
「大丈夫なのぜ……
 こういうの、れいむみたいな優しいお母さんが、やっちゃいけないのぜ……
 まりさは一家の『おさ』だから、全部まかせるのぜ……」
「ゆうん。ゆっくりしてることも、ゆっくりしてないことも、
 一緒にするのがお母さんとお父さんのお仕事だよ……」

大きな2つの丸い影が薄暗い部屋の小さな黒い帽子を覆いました。
2匹とも、もう、目は下を向いていません。
おちびちゃんがそこにいないかのよう。

ぐずり続けるお姉ちゃんれいむと、
騒ぎすぎてぜひゅぜひゅと苦しそうな息をつく大きなリボンの末っ子赤ちゃんれいみゅ、
そして静かに泣くゆっくりパパママたち全部を、春の夜のひんやりした空気は黙って受け止めます。

小さなまりさはずっと何かを叫び続けていたけれど、
お父さんまりさが力強くのしかかってくれたのですぐ永遠にゆっくりできました。



  ◆7 ~お父さんまりさとお姉ちゃんれいむ、ゆっくり家出する~

あれから一番上のお姉ちゃんれいむは怖がって怯えて一晩中泣いたので、
お母さんれいむと父まりさは一晩中ぺーろぺーろしてあげました。
お姉ちゃんは明け方になってやっと落ち着いて、泣きつかれて眠り始めます。

一方の末っ子れいみゅは興奮して、まりしゃの潰れた跡をぺーろぺーろしすぎて舌を傷つけてしまって
痛くて泣いて大騒ぎ。
お父さんまりさは疲れた顔で赤ちゃんれいみゅを宥めながら、
お姉ちゃんまりしゃの死骸をそっと片付けます。

末っ子れいみゅの千切れてしまったお飾りはお母さんれいむがなんとか直そうとしましたが
ぺーろぺーろするだけではやっぱり直りませんでした。

でも問題ありません。
元々ほどけてヒモみたいになって地面にずーりずーりと引きずっていたので、
お飾りがあってもなくても一家にとっては同じことだったのですね。
翌日からもおちびちゃんは一家のあいどるであり続けるのでした。


なのに、末っ子れいみゅは不機嫌でした。
お母さんれいむがずっとお外で遊ばせてくれないのです。
(お母さんれいむを責めてはいけませんよ。
 賢明なる読者の皆さんにはお分かりの事と思いますが、おかざりの取れた小さなおちびちゃんは
 事情を知らない他のゆっくり達にとっては格好のボール代わりになるものですからね。)

ぶるぶる震えて「ゆっぐぢぃーー!!」と怒鳴るちびれいみゅのぷりぷりほっぺたを、
お母さんれいむは必死でぺーろぺーろします。
お姉ちゃんれいむもちょっとは心配したけれど、
お母さんが自分よりも妹れいみゅばかりに構うのでいつも通りお外に遊びに行ってしまいます。

お母さんれいむはその小さな後ろ頭に
「妹ちゃんがこんなに『おねーちゃんとあそびちゃい』ってゆってるのに
 どぼぢで置いてあぞびにいっぢゃうのぉぉお!?」
と怒りましたが、
たとえ巣穴の中で一緒に遊んであげていたって
「ちいちゃなおちびちゃんのジャマでしょおっ!
 ゆっくり考えてねっ!」
と怒られてばかりなので、お姉ちゃんはもういい加減うんざりしていました。

今日も怒って暴れまわる末っ子れいみゅ。
その世話を必死でするお母さんれいむに、父まりさがさすがに見かねて声をかけます。

「あんまりぺーろぺーろすると、皮がふやけちゃうのぜ?
 プンプンさんの時はゆっくりあまあま食べて、ゆっくりおやすみするのが一番いいのぜ」
「だったらとっととあまあま持って来てよぉぉぉ!!」
お母さんれいむが顔を真っ赤にして叫びましたが、すぐにちびれいみゅに優しく擦り寄りました。

「おっきな声出してごめんね。
 おとーしゃんがすぐにすっごく大きなあまあま持ってきてくれるからね」
「ゆっぐぢぃぃぃーーー!!!」
精一杯頬を膨らませたちびれいみゅが、なんとかお母さんの声に反応します。
まるで、とっても元気だよ、心配しないでねって言ってるみたい。
頭のてっぺんと揉み上げに着いている髪の毛もちょぼちょぼと震えます。
その様子を見て、お母さんれいむは目も向けず背中越しに命令しました。

「ばでぃさぁ!
 ゆっぐぢしてないでとっとど行ってきてよねぇぇぇ!!」
お母さんれいむは新しいおうちに引っ越してきてからも
ずっとおうちの中でおちびちゃんの世話にかかりっきりで、
まん丸だったゆっくりぼでぃーのラインは崩れてきていました。

そのぶよぶよに歪んだれいむの後のお尻に小さな黄色のカビがぽつぽつと生えているのを見たとき、
お父さんまりさがずっと言いたくて、でも言ったら終わりだとも思ってて、
だけどとうとう我慢し切れずに言ってはいけない言葉を言ってしまいます。


「ねぇ。れいむ、新しい、元気なおちびちゃんを作るのぜ?
 次はきっとみんな、おかざりも髪の毛も揃ってる、ゆっくりしたおちびちゃんなのぜ。
 ゆっくりしてるふつーのおちびちゃんなら、れいむもまりさも楽しく子育てできるのぜ?」


お母さんれいむは一瞬まりさが何を言っているのか分からなくて頭が真っ白になります。
そして、ゆっくりとその言葉の意味が体の真ん中に伝わってきたとき、
体中の餡子が熱さでボコボコ言うのが自分でも分かりました。

「れいむのおちびちゃんは大事な大事なかわいいかわいいおちびちゃんだよ!?
 まりさのおちびちゃんでもあるんだよ!?
 どぼぢて新しいおでぃびぢゃんなんているのぉぉぉ!!?」

お母さんれいむは泣き叫んで、ゆぶんっゆぶんっと地団駄を踏んで怒ります。
「ゆんんぎゃああああっ!!
 ばぁでぃぃさぁああぁああああ!!」

「ゆっくぢぃいぃいいいいいいいいいいいい!!」
ちびれいみゅも興奮して、気でも違ったように叫びました。
垂れた鼻水の痒さをせめて絶叫で紛らわそうとするようなお声。
わずかに残ったリボンの切れ端はぐちゃぐちゃと噛まれ、ますますボロボロになります。

まるで、巣穴の中に2匹のおちびちゃんがいるみたい。
悲鳴を聞いているお父さんまりさの方が餡子がどうにかなってしまいそう。

「よーく分かったのぜ! あまあま取ってくるのぜ!」
そう言うと、まりさは巣穴の外へ出て行きました。
だけど、れいむがいくら待っても、父まりさもお姉ちゃんれいむも帰ってきませんでした。

まりさが出て行ってから3回目のお日さまにこんにちわって言われて、
ようやくお母さんれいむは焦りだします。
いくら父まりさがゆっくり探しているといってもこれは遅すぎます。
だけど末っ子れいみゅはその日はお熱を出して痙攣していたのでお母さんれいむには探しに行くひまなんてなかったのでした。



  ◆8 ~お姉ちゃんれいむ、家出する~

お母さんれいむは毎日毎日、切り株の”うろ”から顔だけ出して外の様子を伺いました。
ゆっくりは丸いお顔しかないけれど、まぁ、やろうと思えばなんだって出来るのです。
末っ子れいみゅはお父さんもお姉ちゃん達もいなくなって
とても広くなったおうちの中を好きなだけ駆けずり回ってよくなったので、
久々に機嫌よくお歌を歌っていました。

幸い食料はたくさん溜め込んでいたので、
お母さんれいむがつきっきりで赤ちゃんの面倒を見ていてお外に出られなくてもまだまだ尽きる事はなさそうです。
だけどこんな生活がいつまで続くか分からず、れいむは不安なため息をつくのでした。

そうして今日も何度目か分からないぐらいにれいむが外の様子を伺っていると、
お外から「かぞくのあいどる、おねーちゃんれいみゅっ♪」
と聞き覚えのある元気なお歌が聞こえてきました。

一番年上のお姉ちゃんれいみゅです!

「ゆっゆーん! わしゅれもの、しちゃったよっ!」
てっきり雨か川でふやけてしまったと思っていたのに。
嬉しさのあまり、お母さんれいむは末っ子れいみゅの鼻水を拭くのを一時やめてしまいました。
「ゆよぉーっ!?」
妹れいみゅも、久しぶりにお姉ちゃんの姿を見て大喜び。

お姉ちゃんれいみゅはぴょんぴょこ跳ねながら
ゆっくりぷれいすの地下の自分の部屋に駆けて行きます。
こんなに心配していたお母さんにも妹にも、ごあいさつがありません。

お母さんれいむはちょうど陽の当たる切り株の入り口で末っ子赤ちゃんのしーしーを舐め取って、
赤ちゃんのふわふわ産毛の生えた皮膚が赤くかぶれないようにしてあげているところでしたので
ぺーろぺーろしながら器用に体を捻って怒鳴りました。
「おちびちゃんっ!?
 すっごく心配したんだよ! どこ行ってたのぉ!?」

そう言うのと同時に、部屋から出てきたお姉ちゃんを太くて力強いお母さんもみあげで叩きました。
怒ったのではなく、もう二度とお母さんに心配かけるような怖いことしちゃめーっだよ、
という優しい『ぼせい』のしつけです。

お姉ちゃんれいみゅにだってそれは分かっています。
だからお顔をまっすぐ叩かれたお姉ちゃんれいみゅは
部屋から持ってきたドングリさんの帽子を落として、
お顔の腫れる痛みに耐えながら健気に明るい声を出しました。

「ゆ、ゆっゆー! おすもうだねっ! れいみゅ、負けにゃいよお!」
駄目です。
お母さんの『ぼせい』をふざけて返す、ゆっくりしていないおちびちゃんです。
ぺーろぺーろされたりすーりすーりされたりすることだけが『ぼせい』だと思っているのです。
お母さんの心配なんて、今の今まで想像もしていなかったのです。

お母さんれいむは冷たく言いました。
「そんな風にかわいこぶりっこしてもダメだよ。
 全っ然っかわいくないよ。
 お姉ちゃんなんだから、ゆっくりわかってね?」


お姉ちゃんれいむはお母さんの怖い声に短い悲鳴を上げたかと思うと、
宝物の大きなドングリの帽子の陰に隠れようとしました。
お説教すらまともに聴こうとしないお姉ちゃんのおちびちゃん。
どんな時でもゆっくり笑ってる末っ子れいみゅと比べて、どうしてこんなに幼稚なのでしょうか。
れいむは悲しくなりました。
「……今までどこに行ってたの?」

怖い顔で聞くと、お姉ちゃんれいみゅはがたがた震えながら答えます。
「ゆっ、ゆぅぅ、それはにぇ、ゆっちゃ『めーっ』て、おとーしゃんがゆったの。
 だからね、かわいいかわいいれいみゅはね、おとーしゃんのいうこときくの」

そう言うと、唇をぎゅうっと結ぶお姉ちゃんれいみゅ。
こうなったらガンコなことは、お母さんが一番良く知っています。
だからお母さんれいむは質問を変えました。
「……お姉ちゃん、昨日の夜はどこですーやすーやしてたの?」

「ありしゅのおうち!
 あにょね、ありすおばちゃんね、すっごいおうたじょーずなんだよっ!
 それでねそれでねっ、『とかいは』こーでぃねいとのベッドさんのつくりかゆぶひゃっ!?」

にっこり笑って答えたおちびちゃんの横面を張り飛ばして、
お母さんれいむはきょとんとして成り行きを見ていた末っ子れいみゅを頭の上に乗せて
超特急で巣の外へ駆け出しました。

ありすのおうち。
「どぼじでありすのおうちにまりさがいるのぉぉ!?」

叫びながら真っ直ぐ真っ直ぐ飛び跳ねます。
この近くでゆっくりが住める場所といえば、そんなにたくさんあるわけではありません。
ありすのおうちの場所は分かりきっています。
れいむとまりさが元々住んでいたゆっくりぷれいすを、れいむとまりさとおちびちゃん達がいなくなった後で
ありすが乗っ取ったのです。
その上、れいむのまりさまで取っちゃうなんて。
なんてずるいゆっくりなのでしょう!

悔しくて悔しくて泣き出しながら、しっかりともみあげで頭の上のちびれいみゅを押さえて走るお母さんれいむ。

お父さんまりさに会ったらなんて言おうかな、って考えながら走っていましたが、
懐かしくも狭かった古いおうちの前でゆきゃゆきゃ遊ぶ父まりさとありすを見た途端に
そんなゆっくりした考えは吹き飛びます。

あの狭くて汚かったおうちが木の葉もすっかり入れ替えられてお花も飾られ、綺麗な小石に彩られています。
ありすの『とかいはこーでぃねいと』でとても住み心地良さそうなおうちに様変わりしているのです。
更にお母さんれいむがいくら頼んでも父まりさは面倒くさがって新しい部屋を掘ってくれなかったのに、
ニ回りは中のスペースがゆっくり広くされているようでした。


「ばぁでぃさぁぁっ!?
 どぼじでこんなとごでゆっぐぢしてりゅのぉぉっ!?」
「ゆゆゆっ!?
 れいむ、どーしてここが分かったのぜぇっ!?」

父まりさは慌てて古巣の中に逃げ込もうとしましたが、
お母さんれいむはその前に回りこんでぷくぅぅっと膨れました。
「ゆっくり説明してよね!?
 どおしてあまあま持ってこないでありすと遊んでるの!?」
「そ、それは……」
口ごもる父まりさの代わりに、ありすがゆきゃゆきゃ笑って答えました。

「しらないの? まりさはありすとゆっくりすることになったの!」
胸を張ってれいむに負けないぐらいぷくぅぅと膨れ上がりながら
ありすはさらさらの黄色い髪の毛を揺らします。
その上には、立派な明るい緑色の太い茎が生えていました。

「あ、ありす……それ……ゆぎゃっ!?」
「ゆっきぃぃぃ!」
驚きのあまり口をぱくぱくさせるお母さんれいむのかさかさの髪の毛を、
末っ子れいみゅが噛み付いて引っ張りました。
なんとなくそういう気分だったので。

ありすはその場でくるりんと優雅に一回転して体を傾げます。
「ゆんっ?
 すっごく『とかいは』でしょ?
 まりさと一緒にすーりすーりしてたら、おちびちゃんが生えたのよ。
 れいむのおちびちゃんなんかよりも、ずーっとゆっくりしてるわぁ……」

唖然とするお母さんれいむと、口を開けて笑いながらも目は笑っていないありす。
丈夫そうな茎には末っ子れいみゅより小さな、たっくさんの実が生っていました。

ご存知の通りゆっくりの生まれ方には2種類あります。
お腹の中に直接ぺにぺにから精子餡を注がれて胎内に赤ちゃんを作るやり方と、
愛する2匹が愛情を持って、静かにすーりすーりし続けて、ゆっくりと赤ちゃんの育つ茎を生やすやり方です。
言うまでもないことですが、ゆっくり達にとっては穏やかなすーりすーり妊娠が憧れの的でした。

睨み合う2匹の間に挟まれたまりさは末っ子れいみゅちゃんと久しぶりに親子のすーりすーりをしながら
ウィンクして言います。
「まあ、ここはまりささまのビッグぺにぺにを立てて仲直りしてほしいのぜ☆」

れいむとありすは白けた眼を一瞬横に向けただけ。
まりさのぺにぺにてくにっくがいま一つなのは有名でしたので。

険悪なムードになったのを察知した父まりさは、今度はお帽子の裾に末っ子れいみゅちゃんを放りあげて
くるくる回して遊ばせながら慌てて話題を変えました。
「そ、そう言えば、お姉ちゃんはどうしたのぜ?
 お姉ちゃーん! どこなのぜーっ? れいむお母さんと妹おちびちゃんが来てくれたのぜーっ」
「にょぜぇぇーっ!!」
末っ子れいみゅのエコー付きで呼んだのに、お返事はありません。
一番年上のしっかりれいみゅならすぐにお父さんとお母さんのところに戻ってくるはずなのに。


お母さんれいむはそこで初めてお姉ちゃんれいむのことを思い出しました。
「い、一番おっきなおちびちゃんなら、たからもののドングリのぼうしさんを忘れたってゆって、
 れいむとまりさのおうちに戻って来て、まだあそこにいるはずだよ……」
「『れいむの』おうちでしょ」
一応訂正したありすの言葉を聞き流して、父まりさが目を見開いて怒りました。

「どぼじでお姉ちゃんだけ置いてきちゃったのぜ!?
 タヌキさんやカラスさんに食べられちゃったらどうするのぜ!?」
「ゆんやぁぁっ!? どうしようって、どうするのぉ!?」

パニックに陥ってもみあげを振り回すお母さんれいむに、ありすも焦ったように大きな声をだします。
「どうしようもないでしょお!?
 とにかくとにかく、れいむとまりさは切り株のおうちに急いで戻って!
 ありすは長ぱちゅりーに相談してくるわっ!」

お母さんれいむは、まりさとありすの剣幕にガチガチ震えました。
「そ、そんな、おさに相談だなんて、そんな怖いことになってないよぉ……」
「このいなかものっ! 本当に怖いことになってからじゃ、ゆっくりしすぎなのよ!」
「ゆっくりしてないで探しに戻るのぜっ!」

末っ子おちびちゃんのうんうんや涎が付くのも構わず、
父まりさはふかふかのとんがり帽子の中にそっと小さなお饅頭を入れてあげました。
れいみゅちゃんはゆきゃぁーっと叫んで帽子の生地を味わいます。

「お姉ちゃん、ゆっくり待っててねぇぇーっ!」
れいむとまりさは揃って駆け出します。
そしてさっきお母さんれいむがありすの新しいおうちに着いた時よりもすっごく早く、
切り株の元に辿り着きました。
「おねえちゃーん!?
 どこなのぜぇーっ!?
 食べられてちゃめーっなのぜぇーっ!」
巣の中での父まりさの必死の呼びかけには、どこからも返事がありません。

お母さんれいむは青ざめて切り株の穴のそばでぶるぶる震えるばかり。
末っ子れいみゅちゃんはというと、お父さんの帽子の中で酔ってしまって今朝の青い花びらを
えれえれれぇっと吐いているところでした。

お日さまはゆっくりゆっくりと、でも確実に山際のおうちへと帰って行こうとしています。


お父さんまりさはお母さんれいむに肌を合わせて強く揺さぶりました。
「れいむ、しっかりゆっくりするのぜ!」
「ゆっ、ゆゆゆっ……ゆっ!」

青ざめたまま巣の中の父まりさに寄り添ったお母さんは、あることに気がつきました。
そして、ほっと息をついて笑い出します。
「ゆっゆー!
 お姉ちゃんのおちびちゃん、だいじょぶじょぶだよ!
 だってだって、さっきドングリさんの帽子を取りに来てたのに、
 お部屋の中にドングリさんの帽子が無いよ!
 きっと忘れ物を取った後に、れいむたちと入れ違いになっちゃったんだよ!
 今頃ありすのおうちで、ゆっくり疲れておねんねしてるんだね!」
「にぇーっ!」

「それはないわよ」
嬉しそうに跳ねるお母さんれいむとおちびちゃんに、
やや陽の光が弱くなった切り株の外から声がかけられます。
森に1台きりしかない『すぃー』に乗った長ぱちゅりーとありすが駆けつけたのです。

ありすはピンク色の車体から降りて、茎をゆさゆさ鳴らしました。
「ありす達もそう思って、さっきありすのおうちを回ってからここまで来たの。
 まりさとれいむの大きなおちびちゃんはどこにもいなかったわ」
そう言うと、ありすはぷぃっと横を向いてしまいます。

「どおしてそおいうことゆうのぉぉ!?
 おちびちゃん、どっかにいたはずだよぉ!」
「れいむ、落ち着くのぜ!」
「だってだって、ありすがイジワルゆうんだもぉぉんっ!」
「ほんっとうっよ!」
「ゆんやぁぁ~っ!」
心配のあまり顔が真っ白になって泣き出してしまったお母さんれいむのほっぺを、
だいぶ急いで焦って来たので喘息を起こした長ぱちゅりーがむぎゅっとつねりました。

「大丈夫よ、れいむ。
 きちんと『ぼせい』のあるお母さんなら、おちびちゃんがどこにいたって必ず見つけ出せるものよ。
 さぁ、他になにか気づいたことは無い?」
喘息を起こしながらでも詰まらずに喋るのは、さすがは群れのおさです。

お母さんれいむも泣くのをやめて、末っ子れいみゅの口の周りに付いたゲロゲロを舐め取りながら
ゆっくり深呼吸します。

「そ、そう言えば、お姉ちゃんのドングリの帽子さんはすっごいおっきかったよ。
 ……ゆっ! きっときっと、森のはずれにある、
 一番おっきなドングリさんの木のとこにいるんだよ!
 れいむとまりさと一番目のおちびちゃんと二番目のおちびちゃんと末っ子おちびちゃんで、
 ずーっと前にぴくにっくに出かけたことがあるよっ!
 おちびちゃんは、きっとドングリさんのとこへぴくにっくに出かけたんだよ!」

「ドングリさんの木のところって、すっごく遠いのぜ!?」
「それ、ぜったいなんでしょうね!?」
「うにゅぇぇーっ!!」
ありすが目を三角にして詰め寄りましたが、お母さんれいむはもう震えません。
ちょっと歪んだ丸い形の末っ子れいみゅをあやしながら、しっかり前を向きました。


「れいむには分かるよ。だってれいむはおちびちゃん達のお母さんだもん」


長ぱちゅりーはまだ辛そうな呼吸をしながら、木の幹に寄りかかってみんなに言いました。
「世の中にぜったいってことはないわ、ありす。
 だけど今はれいむの『ぼせい』を信じましょう……
 まりさは、おちびちゃんがもしかしたら他の場所にいるかも知れないから、どこか別の心当たりを探して。
 ありすは群れのみんなに迷子のおちびちゃんのことを知らせて、もし見つけたら教えてねって言うの。
 れいむは『すぃー』さんに乗って急いでそのドングリさんのところへ行くのよ。
 可愛いおちびちゃん、ママはちょっとご用事があるから、ぱちゅりーと一緒に遊びましょ。
 さぁ、いそぎなさい!」

「「「ゆっゆー!」」」
まりさとありすはそれぞれぴょこんっと跳ねて別々の方向に駆け出しました。

お母さんれいむは舌を左右にせわしなく動かしている末っ子れいみゅにそっとキスをして、
長ぱちゅりーのお腹に乗せてあげます。
「ちっちゃなちっちゃなおちびちゃん、
 おかーしゃん、ちょっといなくなるけど、こわくないないだからねぇ」
「ゆっびゃあぁぁぁ!!!」
産まれてから今まで本当に一瞬たりとも傍を離れなかったお母さんれいむが
自分から離れていくのを感じて、赤ちゃんれいみゅは大音響で泣き叫びました。

身を切られるような苦しさをこらえて、お母さんれいむはピンク色の偏平な台の上に飛び乗ります。
「おちびちゃん! ちょっとのあいだだけだからね!
 ぱちゅりー、れいむの大事な大事なおちびちゃんをゆっくり守っててね!」
「むっきゅー! もっちろんよ! いだだだ噛まないでねおでぃびちゃん」

お母さんを乗せた『すぃー』は不思議な力でゆっくりと草の上を滑り出しました。
「ゆっぎゃああああああ!!
 み゙ゃみ゙ゃぁぁっ!!!
 ゆんやぴゃぁぁっっ!!!」
末っ子れいみゅの泣き声(と、噛まれたり目に髪の毛を突き込まれたりするぱちゅりーの悲鳴)は、
お母さんれいむの背中からどんどん遠ざかっていくのでした。


もうじきお日さまが沈んでしまいます。
早く見つけてあげないと、いくら季節が春と言っても子どものゆっくりの小さい体は
湿ってカゼを引いてしまいます。

「『すぃー』さん、ゆっくりしてないで急いでね!」
お母さんは真っ直ぐ真っ直ぐドングリの木へと向かいます。
そしてびゅんびゅん唸る風の中で、薄暗くなってきた草の道に、見逃しようの無いしるしに気付きました。


遠くからでも見える、小さなふわふわの赤いリボンと真っ白のフリル。
見間違えようがありません。
遠くからでも聞こえる、心細くなって泣いてしまったゆっくりおちびちゃんの声。
聞き間違えようがありません。
お母さんれいむの大事な大事な一番上のちびれいみゅちゃんです!

まだまだ子どもだと思っていたのに、もう一匹だけでこんな遠くまで来れるようになっていたのです。

なんだか誇らしくなりながらも『すぃー』を物凄いスピードで走らせて
お母さんれいむはぷりぷりと怒りました。
さっきまでは全然怒っていなかったのですが、安心したら急にお腹が熱くなってきたのです。
「ゆ~んっ!
 ワガママお姉ちゃんはお母さんにこんなに心っ配っかけて、とっても悪い子だよ!
 見つけたらたっくさん叱るよ!」

ぷりぷり叱られた後の一番上のちびれいむちゃんの可愛い泣き顔を想像して、
お母さんれいむはちょっとだけイタズラっぽく笑いました。
「たっくさん叱ったら、その後はたっくさんチューしてあげなきゃだねっ。
 ・・・『すぃー』さん、すっごくいそいでねっ!
 おちびちゃーーーーんっ!」

大声で呼びかけると、ゆんゆん泣いてたお姉ちゃんれいむもこっちに気が付きました。
大きなドングリの帽子をぶんぶん振ってその場で飛び跳ねます。
「ゆんびゃああぁぁんっ!
 おがあしゃああん!!」

「だいっじょーぶだよっ! おかーさんが来たから、なーんにも怖くないよっ!」
柔らかな草の上を滑らかに走るピンクの台座とゆっくりお母さん。
お姉ちゃんのところへ全速力で駆けつけながら、お母さんれいむはふと大事な事に気がつきました。

これ、どうやって止まるのかな。

「ゆゆゆっ!? 『すぃー』さん、ゆっくりしていってね!?
 ゆっくりしていってね!?」
いくらお願いしても、一度はずみがついた『すぃー』はすぐには止まれません。

さっきまでは心地よかった風を切る音、
さっきまではお姉ちゃんれいむのことで頭がいっぱいで気にならなかった音が、
れいむの餡子を引き裂いていきます。

「ゆんやぁぁー!
 どぼじでぇぇっ!?」
お母さんれいむがどんどん近づいて、あまりに近くなったとき、
それまで泣いて嬉しがって跳ねてたお姉ちゃんの顔がようやく信じられないという色で凍りつきました。
「おかーしゃん!? ゆっくりとまっちぇにぇ!?
 れーみゅちゅぶれちゃうよっ!?」

「ゆっくりしてないで、どいてぇぇーっ!!」
お母さんれいむがそう言った時には、
もうとてもゆっくりおちびちゃんが避けられるような距離ではありません。

「ゆっぐびゅっ!?」
薄紫のお空を飛んだ、小さな赤いリボン。
でもお空を飛んだのはリボンだけでした。


おちびちゃんとぶつかった衝撃で『すぃー』の上から跳ね飛ばされたお母さんれいむは、
お顔を木にぶつけた痛みに泣きそうになりながらも
「ゆんぷぷっ!
 おかーしゃん、着地しっぱいしっぱいだねっ!
 もうだいじょーぶだよぅ!」
と、おどけて自分の柔らかなもみあげでおでこをぽにゅんっと叩きます。

草むらの向こうに見える小さな赤いリボンさんから返事はありませんでした。

れいむはおそるおそる、ひっくり返ってひしゃげてしまった『すぃー』を横目で見ました。

その車輪には、泥のような茶色の何かがべったりと付いています。
そのピンクの台の横には、ぷよぷよとしたピンク色の舌がびっくんびくんと跳ねています。
お姉ちゃんれいむのかわいいプリプリぼでぃーは『すぃー』の車輪に巻き込まれて
グズグズに裂けていました。

お母さんれいむが目の前の状況をゆっくり理解して、悲しい絶叫が森じゅうを満たすまでに
たっぷり10分はかかりました。



  ◆9 ~お母さんれいむは全てのお母さんの代わりだよ!の巻~

ゆっくり遅れてドングリさんの木へお母さんれいむとお姉ちゃんれいみゅを探しに行った
父まりさからの報告を受けて、
長ぱちゅりーは森の広場でひみつかいぎを開くことを宣言しました。
ひみつかいぎは群れのゆっくりしか参加できないというとっても秘密の集会なのです。

泣き疲れてぐったりしたお母さんれいむ。
その崩れた体を支えて、父まりさが森の広場にゆっくり顔を出します。
夕暮れの広場にはもう、群れのみんながすっかり集まっていました。

「みんな久しぶりなのぜ。ゆっくりしていってね」
小さく呟いた父まりさに群れのみんなもぼそぼそと挨拶します。

「かわいそうに……あんなに可愛いおちびちゃんが、いなくなっちゃうだなんて……
 れいむ、おさは何もなぐさめてあげられないわ……」
先に来ていた長ぱちゅりーはそっとお母さんれいむの頬を紫のもみあげで撫でて、
眠っている最後の末っ子れいみゅちゃんを差し出しました。
お母さんれいむはもう一度ぶわって泣き出して、ぐっすり眠った小さなおちびちゃんを舐めました。

よく見るとぱちゅりーの体はあちこち噛み跡だらけで
自慢のお帽子もうんうん色に汚れてしまっています。
大事にしていた新芽の帽子飾りは、末っ子れいみゅのお腹の中にありました。

「子育てって、けんじゃなりに知ってたつもりだけど、すっごくたいへんね……
 毎日こうなんでしょ……?
 れいむは立派な『ぼせい』たっぷりママだわ……むきゅきゅぅ……」
体を上下に細かく荒く震わせた長ぱちゅりーも、それを認めずにはいられませんでした。

ぱちゅりーはそっとれいむから離れると、集まった群れのゆっくり達に優しく語りかけます。
「あのね、今日みんなに来てもらったのは」

「さっきまりさから聞いたわ!
 『すぃー』まで壊しちゃったの!?
 れいむってほーんといなかものねぇ!」
ありすのキンキン声が、長ぱちゅりーの言葉を遮りました。

空ろな目で震えるれいむの前に、緑のにんっしんっ茎を見せ付けるようにして
ありすはせせら笑いました。
「ねえみんな聞いて聞いて!
 れいむのおちびちゃん達ねぇ、みーんな永遠にゆっくりしちゃったんだって!
 あ、いっぴき残ってるんだっけぇ?」

父まりさが怒ったようにありすに向かいました。
「ありす、そういうこと言うのやめるのぜ」

ありすは聞きません。
「それでねそれでね、
 しかもれいむの末っ子おちびちゃんはなんとおリボンがなくなっちゃってるの!
 ゆぷぷっ!
 それにね、れいむは自分で一番上のおちびちゃんを永遠にゆっくりさせちゃったんだって!
 おまけに、二番目のおちびちゃんはゲスだったんですって!
 ぱちゅりーはこれから、れいむにはおかーさんの資格ないわね、
 みんなで『せいっさいっ』しましょっていうつもりなのよ!」


それまで黙っていたお母さんれいむが、力無く反応しました。
「そうだね……れいむ、ゆっくりできないよ……」
ぼっとんぼっとん、透明な砂糖水の涙が零れ落ちて、末っ子れいみゅちゃんの体に落ちます。
ぷるぷるっと体を震わせた赤ちゃんれいみゅは不思議そうにお母さんを見上げました。

何も言い返してこないれいむを見て、ありすは大笑い。
「れいむはいなかものよ!
 狩りもこーでぃねいとも楽しいお話も出来ないのに、
 そんなのはまだいいわよ、だけどお母さんの役まで出来ないなんて!
 産んだのはワガママおちびちゃん、ゲスおちびちゃん、その上お飾りのない出来損ないおちびちゃん!
 一体どこがどうゆっくりしてるってゆうのよ!?」

「のよーーーっ!」
ありすの剣幕に驚いた小さなれいむは、しーしーを漏らしてお母さんれいむのもみあげにかじりつきます。


お母さんれいむは赤ちゃんをひしと抱きしめてから、初めてありすを睨みました。
「どおしてそんなことゆうの!?
 おちびちゃんたちの悪口ゆわないでねっ!?
 れいむは確かに役立たずさんだったかもだけど、
 おちびちゃんたちはすっごくゆっくりしてるんだよ!」

「そんなの、しーらないっ」
目を細めて、金色の頭にひょっこり揺れる蔓をありすは振りました。
丈夫そうな緑の茎には、
まん丸でぷりゅんとした小さなまりちゃと小さなありしゅが鈴生りに眠っています。
きっと、みんなみんなゆっくりしあわちぇに産まれてくるのでしょう。


お母さんれいむは口をゆがめてわんわん泣き出してしまいました。
「ゆっぶびゃああぁーっ!
 とっととやめてねっ!
 れいむのかわいいかわいい赤ちゃんたちをバカにするの、すぐにやべてぇぇっ!」

「ゆきゃきゃっ!
 親子そろってい~なかっものっ!
 親子そろってい~なかっものぉっ!」
「みょにょおおっ!!」
言葉の意味を理解していない末っ子れいみゅも歌いだします。
お母さんは聞こえないふり。

「お飾りがボロボロの子はゆっくり出来ないね、わかるよー」
ぷりぷり笑うちぇんにも、お母さんは頭をぶんぶんぶんぶん振って聞こえないふり。
夕暮れの冷たい風がお母さんれいむの髪を荒く撫でます。

「やべでぇぇぇ!
 かわいいかわいいれ゙いむ゙のおでぃびぢゃんにひどいごとゆわないでぇぇ!!
 ゆっぐりあやまっでぇー!
 ばでぃさ、なんどがしてぇぇ!」

お父さんまりさは顔を背けて何も言いません。
ありすはますます嬉しそうに叫びます。
「まぁ!
 そのおちびちゃん、どう見たってれいむのできそこないさんよ?
 ありすのまりさには何にも関係ないのに、巻き込まないでねっ!」
「でにぇぇっ!!」


他の子のおちびちゃん達も、けらけら笑いながら言います。
「そんなきちゃないおちびちゃん、『いなかもにょ』よぉ!」
「ゆぶぷぶぷっ!
 のろまなれいみゅのいもーと、もっとのろまなのじぇっ!」
「うんうんたべりゅ?
 おねーちゃんれいみゅは ちぇんのうんうんすきだったよー?
 れいみゅもむーちゃむーちゃしゅるよね、わかるよー」
「たべたられいみゅのどれいにしてあげりゅよっ!」

はやし立てる群れのゆっくり達に、お母さんは泣きじゃくって悪口をやめるようお願いするしかありません。

れいむのおちびちゃんは何が起きているのか分からない様子でしたが
みんなの悪口の真似をゆぎゃあゆぎゃあとするのに一生懸命でした。
鼻水と涎で小さな顔はべちゃべちゃです。
くりくりお目目はどこを見ているのかさっぱり分かりません。


ゆっくり親子をからかうのに飽きだして、このおバカなおちびちゃんが潰されたら
お母さんれいむはどんな悲鳴をあげるのか群れのみんなが聞きたくなってきたときです。

ずっと黙っていた長ぱちゅりーが静かにありすとお母さんれいむの間に割って入りました。

そしてため息をつくと、思慮に満ちた吸い込まれそうなお目目でみんなを見渡しました。

群れのゆっくり達は一斉に黙って長ぱちゅりーを見つめます。
お母さんれいむはがたがたと震えておちびちゃんを抱き寄せます。
なにしろ両方のもみあげで拍手した音だけでなく、
片方のもみあげの鳴る音まで分かる賢いゆっくりぱちゅりーです。
きっとお母さんれいむと赤ちゃんれいみゅを『せいっさいっ』するための
反論できないようなお話をするつもりでしょう。

ぱちゅりーは目をつぶったまま口を開きました。

「むっきゅーん。
 ねぇ、もしも見た目がちょこっと違うおちびちゃんが産まれたらその子をいじめましょ、
 なんて『おきて』を決めてしまったとしましょうか。
 だけれど、ひょっとしたらぱちゅりーのおちびちゃんは、もみあげが1本しか無いかもしれないわ。
 ありすが今にんっしんっしてるおちびちゃんの髪の毛は、まっくろ色かもしれないわね。
 そんなの誰にも分からないし、おかーさん達がどうにかできることでもないわ。
 なのにこれから産まれてくる変な子達はいじめましょ、って決めちゃったら、
 お母さん達は怖くて怖くて誰もにんっしんっ出来なくなっちゃうの。
 生まれてくるおちびちゃんだって、自分で自分の見た目は決められないわよ」

みんなは目を丸くして、ぱちゅりーの言葉に耳を傾けます。
このおちびちゃんとれいむをやっつけてもいいわよ、ってお話だと思ったのに。

「あのね、近ごろは少ないけれど、
 ぱちゅりーが小さい頃は群れの誰かさんが狩りの途中で大ケガしてほっぺが破けちゃったり、
 帽子さんが破けちゃったりしたこともあったわ。
 だけどそれは、ぱちゅりー達にあまあまを取ってこようとしてくれたから大ケガしちゃったのよ。
 そういう子をおかざりが無いからいじめましょ!なんて全然ゆっくり出来てないし、
 みんなも怖くて怖くて狩りが出来なくなっちゃって何もとれなくなって、
 けっきょく困るのはぱちゅりー達みんななの。
 れいむの2匹のおちびちゃんは気の毒だったけど、
 だからこそ最後に残ったおちびちゃんとゆっくりさせてあげるべきよ。
 だから、そんなゆっくり出来てない『おきて』は作らない事にしましょ?」

しばらくの間、お母さんれいむも他のみんなも
ゆっくりとぱちゅりーのお話を餡子やクリームで消化していました。

「おさのお話ねー! すっごくよくわかるよー!」
いきなり、それまでイジワルそうに笑ってたちぇんが本当に跳ね上がってすーりすーりします。
ぱちゅりーはそれを柔らかく返して、
背よりもちょっと高い岩の上に登って元気良くみんなの顔を見渡しました。


「どーんなおちびちゃんだって、せっかく産まれてきたんですもの。
 みーんなゆっくりしていいはずよ。
 ちょっとぐらい声が大きかったり、体が小さいからって関係ないわ。
 自分の思い通りのおちびちゃんじゃないと好きになれないよー、
 なんてお父さんとお母さんはパパママしっかくっよ。
 おちびちゃんはパパとママにとって……
 いいえ、群れのみーんなみーんなが『とくべつ』なのよ!
 れいむもまりさもちぇんも立派なお母さんお父さんだし、
 ありすもきっとゆっくりしたお母さんになるわ!
 おちびちゃん達は、みーんなでゆっくり育てていきましょう!
 むっきゅー!」

「『ぼせい』ね!
 とかいはゆっくりならみーんな知ってるわ!」
ありすが嬉しそうにのーびのーびで長ぱちゅりーに向かって声を上げ、
横の父まりさにちゅーします。
父まりさも感動して、ちゅーのお返し。

優しい空気が森の広場に満ち満ちていきます。

さっきまで嫌な笑い方をしていたみんなも、恥ずかしそうにれいむに謝りだします。
お母さんれいむは戸惑いながらも誇らしげに末っ子おちびちゃんをしっかり抱いてにっこり笑いました。
「ゆっゆーん! そうだよ。
 れいむ、おちびちゃんもまりさもありすも、みーんな『とくべつ』って思ってるよっ!」


その時です。
お母さんれいむは、あれ? ちょっとへんだな、って思いました。

こないだまでつがいだったお父さんまりさが、れいむの傍にやってきてすーりすーりを始めたときも
ちょっとへんだなって感じました。
あんまりわずかにしか思わなかったので最初のうちは黙っていたのですが、
次第にその「ちょっとへんだな」はれいむの中で大きくなり、
ついにリボンの先がふるふると震えるほどになったところで
お母さんはようやくその「ちょっとへんだな」さんに気付きました。

ぱちゅりーの演説はまだ続いていました。


「むっきゅー。だからね、この群れのみんなが大事な大事なお友達で、
 みーんな『とくべつ』なゆっくりなのよ」
それを聞くみんなは感激して喜んでいます。

「おさのお話、すごーくゆっくりできるよ、わかるよー」
「なんて『とかいは』なおさぱちゅりーなのかしら……」
「ぱちゅりーおねーしゃん、ゆっくちしちぇるね!」
「ちぇびゃぁー!!」

最後の声はお母さんれいむの胸元から響き渡りました。
(ここまで読んだ方ならご存知ですね。ちょうちょが好きな赤ちゃんれいむの声ですよ。)

お母さんれいむはずっと黙っています。
そうしてしばらくゆっくり考えて、
「ちょっとへんだな」さんが餡子の中でぐーにぐーにと動き回って、
お母さんれいむにもようやくその正体が分かりました。


一番小さなおちびちゃんはとくべつです。
他の2匹のおちびちゃんも、元つがいのまりさも、当然とくべつです。

だけど群れのありすやちぇんや他のおちびちゃんは、
そりゃあ仲良しだけれど、だけど別にとくべつってほどじゃありません。

ぱちゅりーの事も好きですけれど、
今しがたしーしーをしたらあんまりたくさん出たので、ビックリして泣き始めてしまった
可愛い大きなリボンがあったはずの小さなおちびちゃんに比べたら、全然とくべつじゃありません。
末っ子れいみゅちゃんよりも、いいえ、
れいむのおちびちゃん全員と同じぐらい大切なものなんてこの世に無いのです。

もしも群れのみんながこのおちびちゃんと同じ大切さなら、
れいむは誰を一番大事にするべきか分からなくなって、
一番大事なおちびちゃんとゆっくり出来ないでしょう。

みんなが『とくべつ』なら、それは誰も『とくべつ』じゃないのです。

おさはウソを言っているのです!


お母さんれいむは、産まれて本当に初めて餡子の底の底から怒りました。

おちびちゃんを産んだ経験のないゆっくりだけが、
本物の『ぼせい』を持たない偽物のゆっくりだけが、
おちびちゃんに関してそんな酷いウソをつけるにきまっているのです。

卑怯なぱちゅりーはのんきに岩の上でウソをつき続けています。
「そうよ。
 それでぱちゅりーは今度みんなで、れいむの一番小さなおちびちゃんの歓っ迎っパーティーを……」

「ゆううーーーーーーーんっ!!」
ケガをしないようにそっと赤ちゃんを草の上に乗せ、
最近まるくなって重くなったお母さんれいむは一直線に勢い良く飛び上がっておさに体当たり。

「むぷぎゅっ!?」
いきなり真正面からぶつかられて、岩から転げ落ちたぱちゅりーは
クリームを吐いてひっくり返ってお目目を白黒。
ビタビタバタタッと、ゆっくり達の普段の動きではとても出せないような速さと
ちょっと不安になるテンポで、紫の太いもみあげを地面に何度も打ち付けることしか出来ません。

群れのみんなもぽかんとお口を開けているだけ。
何が起こったのか全然わからないようでした。

あの優しくて愉快なれいむが、みんなの目の前で乱暴するなんて。
ケンカするにしても、ありす相手にならともかく、ぱちゅりーに怒るなんて。
れいむやおちびちゃんとも仲良くしようっていう、ゆっくり出来るお話だったのに。
ゆっくり達の甘い餡子やクリームが、傾げた体の中で熱くねっとりと渦巻きだしました。

そんな雰囲気も目に入らないのか、お母さんれいむは荒い息と耳障りな掠れた怒り声で
のたうち回るぱちゅりーをぶるぶると震えながら睨みつけます。
末っ子れいみゅも興奮して、ゆぎゃああって歯を剥きだしています。

ぷーんっぷんっの可愛いゆっくりした威嚇の声を出す余裕も今のれいむにはありません。
体を捻じ曲げて、髪を振り回して、歯を食いしばって、
どうにかして餡子が暴れまわるのを抑えようというので精一杯です。
お母さんれいむ自身だって、自分のどこにこんなカンカンプンプンがあったのか
驚いてしまっているぐらいでした。

お父さんまりさは、怖いれいむの顔を見てしーしーとうんうんを漏らしてしまいました。

お母さんれいむは本気で怒っていました。
そう、それはれいむ1匹だけの怒りではありません。
おちびちゃんを持つ全てのおかーさんれいむ達の怒りなのです。


茎を震わせたありすが、痙攣するぱちゅりーの傍に駆け寄って悲鳴を上げます。
「ゆきゃああっ!?
 らんっぼうっものは『せいっさいっ』するのが『おきて』よぉぉ!」
群れのみんなも口々に騒ぎ立てます。

お母さんれいむは、堂々と膨れ上がって周囲を睨みつけました。
「ゆんっ!
 れいむはさっき、この群れからばいばいするって決めてたよ!
 この群れのれいむじゃないから、ぱちゅりーの『おきて』なんて関係ないんだよ!
 ゆっくり理解してね!?
 ばいばいね!」

ゆっくりの世界では、誰かがそう言えば、そういうことになります。

唖然とするみんなと、もう全然大事に思えなくなったまりさと、
ひくひく動きが緩やかになってきた長ぱちゅりーを尻目に
お母さんれいむは末っ子れいみゅちゃんを頭の上に乗せてゆっとこゆっとこ、森の広場から去ります。

まん丸お月様だけが、れいむ親子の行く道を照らしていました。



  ◆10 ~そうしてあのお母さんれいむと末っ子れいみゅは、いつまでも山の隅でうんうんをしているのです~


お母さんれいむと赤ちゃんれいみゅが仲良く悪者をやっつけてから、しばらく経ったお昼のこと。

春の暖かさに包まれた緑の原っぱの上に、しんぐるまざーになったれいむの赤いリボンと
豆粒おちびちゃんの真っ黒の髪の毛が綺麗に揃って揺れていました。
ぱちゅりーに体当たりしてからしばらく茂みの中に隠れていたけれど、今日はゆっくりぴくにっくです。

お母さんれいむはどこへともなくゆっくり歩きながら
それでも全然不安そうなそぶりも見せずににこにこともみあげを振っています。
小さなれいみゅは初めて自由に歩けるお外に大興奮。
元気な大きい声でおうたを歌うので、お母さんれいむのお顔もゆっくりほころびます。

「ゆっ!
 おちびちゃん、あんなところにお花さんが咲いてるよ。
 お花さん、ゆっくりしていってね!
 ほら、おちびちゃんも仲良しごあいさつしてねぇ」
「ゆねぁえ~っ! ゆんやばぁ~っ!」

「ゆぷぷっ!
 実はね、ありすのゆっくりぷれいすからイチゴさん持ってきちゃったんだよぉ。
 あとで一緒にむーちゃむーちゃしようね」

「ゆぴゃぁぁ!」
お母さんれいむが大きなリボンの陰から取り出した丸くて汁たっぷりのイチゴを見て、
大喜びしたれいみゅちゃんはいきなりすぐ傍にあったよく分からない草の茎を全力で噛み始めました。

「ゆっゆー!
 おちびちゃん、その草さんはニガニガで食べられないよっ!
 ゆっくり吐き出してね!」
「ゆんばぁぁ!!」
「食べ食べしちゃめーっだよ!
 ゆっくりお口から出してね!」
「めぎゃぁーっ!?」

こんな苦い草を食べたら、体の中の餡子を全部吐いて永遠にゆっくりしてしまうかもしれません。
お母さんれいむは大慌てで、おちびちゃんの不揃いの歯の隙間から緑の汁をたらす草を引っ張ります。
だけど歯を食いしばって、必死で草を吐き出すまいとする小さなれいみゅは
口の中の草のあまりの苦さに目を白黒させて押し殺した悲鳴を上げます。

ようやくお母さんれいむが草の引っ張り合いに勝って、
2匹は勢い余って原っぱの上にゆぶずでーんと転んでしまいました。
おちびちゃんは怒って怒って泣き叫んで、
ゆんゆん起き上がろうと頑張ってるお母さんのあにゃるに思いっきり噛み付きました。

「ゆんやぁぁ!?
 やめてねっ! あにゃるのしわしわ噛んだらめぇー!!!!」
と、お母さんれいむが痛くて泣いても全然その怒りは止みません。

お母さんれいむはもみあげを振り回しすぎて、持ってたイチゴをどこかに放り投げてしまいました。
お母さんれいむは猛烈な痛さを我慢して謝り続けます。
ヘタに動けば可愛い可愛いちっちゃなおちびちゃんを大きなお尻の下に敷いてしまうかもしれませんからね。
何度も謝ったら、ようやく豆粒れいみゅは歯を離してくれました。
でも、許してくれたとか機嫌が直ったとかじゃなくて、ただ飽きたから離しただけみたい。

「ゆっきゃぁー!」
と叫んで、原っぱの向こうへどんどん跳んでゆきます。
薄皮が破け餡子がぐちゅぐちゅと滲むお尻を地面につけないようにかばいながら、
不自然な格好でお母さんれいむはひょっこひょっこと這いだしました。
なにしろ小さなおちびちゃんのあんよなので、すぐ追いつきます。

新緑の中にぽつんと座った黒い髪の毛の小さな小さなれいみゅは
お母さんから背を向けて体を丸めて、何か一生懸命にひょこひょこお辞儀をしている様子です。

お母さんを噛んでしまったことに反省してるのかな?ってれいむが覗き込むと
おちびちゃんは自分のあにゃるをなーめなーめしているところです。
そうして、うんうんの苦さに悲鳴をあげました。


おちびちゃん、何がしたいのかな。
どうしてうんうんがニガニガだよって分かんないのかな。

無性に、お母さんれいむのお腹の中がぐぅるぐぅると渦巻き始めます。

さっきまでのんびりゆっくりしてたお日さまと草の甘い香りが、
今はただまとわりついてうっとうしいだけ。
乾いた風さんが喉の水分を奪って、餡子がねっとりします。

あんなに本当に可愛らしかったちょぼちょぼの髪の毛も、
心地よかったゆきゃゆきゃの声も、
一瞬たりともじっとしてない元気で小さなあんよも、
いつも見えている小さな桃色の薄い舌も、
なぜだかもう全然大切に思えなくなっていました。

このおちびちゃんのすること全てがれいむを苛立たせます。
これからは末っ子れいみゅだけに『ぼせい』を注がなければならないのに、
全然そんな気分になれません。


「ねぇ!
 おちびちゃんのせいでお姉ちゃん達もお母さんもゆっくりできなくなっちゃったんだよ!
 おちびちゃんは悪いことしたよぅって、はんっせいっしないの!?」
「ゆっぐぢぃっ!?」

ぽみんっ。
初めて、お母さんれいむは末っ子おちびちゃんの豆粒みたいな小さな体をもみあげで叩きました。
叩いたのはお母さんれいむなのに、叩かれて泣いているのは小さなれいみゅなのに、
何故だかお母さんれいむの体の方が張り裂けそうに痛みます。

「ゆっぐぢぃぃっ!」
「『ゆっぐぢ』じゃないでしょお!
 『ゆっくりしていってね』ってちゃんとゆってね!」
「てねぇぇーっ!」

れいむは必死でお話しようとします。
もしかしてこのおちびちゃんはお母さんの言う事わかんないのかな、
もしかしてお話そのものが聞けないのかなって怖くなりながら。
お母さんれいむの言葉は止まりません。

「全然ゆっくりしてないよ!
 バカなの? しぬの?
 そうだよね!
 すぐお熱出すもんね! しぬよね!
 おバカさんなんだよね!
 だっておかーさんがおバカさんに産んだんだもんね!
 でいぶが全部悪いんだよねっ!!」
「ゆぴょーおっ!!」

おちびちゃんは泣き止んで、今度はお母さんの丸い大きなお腹に
小さなちょぼちょぼ髪の毛の頭をぐいぐいと押し付け始めて遊びだしました。

さっき叩かれたのも、きっと新しい遊びか何かだと思っているのかな。
お母さんれいむは、自分の小さかった頃を思い出しました。
(昨日の夕ご飯に何を食べたかまで忘れてしまうゆっくり達にとって、これは驚異的な努力です)

こういう時、普通のおちびちゃんは泣いておかーさんに謝って、
そしたら普通のおかーさんはおちびちゃんをゆっくり優しく抱っこしてあげるんだよね。
それで、おかーさんとおちびちゃんはすーりすーりしあって、ほわほわでゆっくりするはずなのに。
どうしてれいむのおちびちゃんはそういうこと出来ないのかな。


なぜだか、お母さんれいむの歯がガチガチと震えて止まらなくなりました。
お母さんれいむは焦って焦って必死で言葉を繋ぎます。
末っ子おちびちゃんがはんっせいっして、れいむがそれを優しく許してあげて、
ゆっくりした親子になれる瞬間を頭で描きながら。

「ぱちゅりーがあいっじょうっいっぱいにぺーろぺーろしてね、
 そしたら元気に賢くなるよってゆってたでしょ!?
 どぼじでおぢびぢゃんはおかーさんの『ぼせい』でおっきくなれないの!?」
「めぇーっ!」

何を言っても、小さな小さなれいみゅちゃんは舌を突き出して意味の分からない言葉を叫ぶだけ。

お母さんれいむは自分でもわけが分からず怖くなって、涙が出てきました。
いなくなってしまった2匹のお姉ちゃん達と、
愛するまりさのゆっくりした声が無性に聞きたくなりました。

もしかして、これからずっとれいむと末っ子おちびちゃんとだけで
ずーっとずーっと一緒に暮らさなきゃならないのかな。
奥歯がカチカチと鳴り止みません。
もしかしたら、ワガママお姉ちゃんやゲスお姉ちゃん達の方が、ゆっくりしてたのかな。

「で、でいぶが、でいぶがゆっぐりしでなかったの?
 ゆぶっ、おがーしゃんが、悪いの?
 おが、おがーしゃんがゆっぐりじでなぐで、
 おでぃ、おぢびぢゃん、ゆっぐぢしてないのべぇぇ……」

「めぇぇーーーっ!!」
お母さんの涙を見て、せっかく機嫌が直っていたちびれいみゅちゃんは
ぷりぷり真っ赤に膨れて怒り始めました。
ゆっくりピクニックで泣いちゃうお母さんなんて、全然ゆっくりしてないから。
おちびちゃんを楽しくさせてくれないお母さんなんて、いらないから。

めちゃくちゃな音量の声が木漏れ日の森の小路に響きわたります。
「ゆっぎゃぁぁっ! めぇぇっ!! めぇーーーーっ!!」


お母さんでいぶは泣いて謝ることしか出来ません。
「ごべんね、おがーしゃんがね、ごべんねぇぇ……
 ちゃんとね、おちびちゃんをね、産んであげりゃれにゃくてね、おねーちゃんたちもねぇ、
 ゆんやぁ、ぐずっ、ひぃっぐ、ゆんぶぅうぅっ……
 ……ゆうう……ゆんっ!」

ひとしきり泣いた後、長いあいだ運動もなにもせずにぶよぶよと肥った体を揺すって、
お母さんれいむはお腹の下で泣き喚くおちびちゃんを向きました。

カビさんかコケさんと見間違いそうな小さな髪の毛が好き放題に伸びた、
ころころの小さな赤ちゃん。
でいぶにたった1つ残された、大事な大事なおちびちゃん。
きっと他の子なんかよりもずっと立派でゆっくりしたれいみゅのはずです。
ぜったい。

「……だいじょうぶ。
 ごめんね、おかーさん、もう大丈夫だよ。だいじょうぶ。
 なーんにも、泣くのないないよぉ」

「ゆっぴぃぃーーーっ!」

怒って力んで裂けてしまったぷにぷにあにゃるを舐めくすぐって、
小さな可愛いおまんじゅうを笑い転げさせてから、目じりを赤くしたでいぶは静かに空を見上げます。
物事はどんどん良くなるはずです。
そうでなければならないのです。


おねがい。
でいぶはゆっくりしてませんでした。
おちびちゃんを産むのも子育ても上手く出来なかったかもだけど、
それはでいぶとまりさの・・・ゆぅん、でいぶの『ぼせい』が足りなかったんです。
でいぶが全部悪いんです。
おちびちゃんは全っ然悪くないの。
このおちびちゃんだけはゆっくりさせてあげて。
たっくさんでいいの。
おねがいね。


誰にともなく心の中でお母さんでいぶはそっと呟きます。
そしてそのお願いがどこの誰にも届いていないことが餡子のどこかで確実に分かりながら、
まだ少し怒っているちびれいみゅに振り向いて静かに唇で触れました。

「ねぇ、まっくろ雲さんがたっくさん出てきたね。ゆっくり帰ろうね。」



どこへ?




(終わり)


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

・あとがき

最後まで読んでいただきありがとうございます。
でいぶもおちびちゃんも、群れのゆっくり達もきっと喜んでいることでしょう。
ちなみに『すぃー』は乗ってるゆっくりの向いてる方向に進むので、
止まりたいときはしばらく後ろを向いて慣性を殺せばいいんですよ。

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