ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko3648 ゆっくりみしゅらん(前編)
最終更新:
ankoss
-
view
『ゆっくりみしゅらん(前編)』 26KB
観察 野良ゆ ゲス 現代 独自設定 微妙な長さで前後編に
観察 野良ゆ ゲス 現代 独自設定 微妙な長さで前後編に
「まずいのぜぇ! こんなまずいものだぁれもたべないのぜぇ!!!」
「こんなのうんうんだよぉ! ここはゆっくりできないみせだよ!」
「こんなものをおきゃくさまにだすなんてふざけてるんだよぉ、わかれよー!」
「こんなのうんうんだよぉ! ここはゆっくりできないみせだよ!」
「こんなものをおきゃくさまにだすなんてふざけてるんだよぉ、わかれよー!」
夕方の商店街、そろそろ看板のネオンが灯りかけてきた時刻、とある飲食店の前で数匹のゆっくりが怒鳴り声を上げている。
といっても怒鳴られている対象は居ない、ゆっくり達は皆それぞれ違う方向を向きまるで周囲に聞かせるかの様に喚いている。
普通人の多い場所でゆっくりがこのような事をすれば、即座に捕らえられるか潰されるかするのだが、この商店街を通る人々は興味深そうに、または煩わしそうにしながらもこのゆっくり達に手出しはしない。
といっても怒鳴られている対象は居ない、ゆっくり達は皆それぞれ違う方向を向きまるで周囲に聞かせるかの様に喚いている。
普通人の多い場所でゆっくりがこのような事をすれば、即座に捕らえられるか潰されるかするのだが、この商店街を通る人々は興味深そうに、または煩わしそうにしながらもこのゆっくり達に手出しはしない。
「お、おい!分かった分かったから……」
飲食店の間にある細い路地からそんな声が上がった、するとそこから1匹のまりさが出てくる。
「へっへっへっ、みんなこっちにくるのぜ、おにいさんはうなずいてくれたのぜ!」
ニヤニヤと笑いながらまりさが促すと、店の前で喚いていたゆっくり達がピタリと動きを止めて笑顔になる。
「それならいいのぜ。さ、はやくするのぜ!」
「きょうはどんなのかたのしみだよぉ!」
「わかるよーすーぱーししょくたいむなんだよー!」
「きょうはどんなのかたのしみだよぉ!」
「わかるよーすーぱーししょくたいむなんだよー!」
ゆっくり達を引き連れて路地に戻ったまりさは、目の前の店員と思しき男性を睨むとふんぞり返って宣言する。
「ゆふん、だからいったのぜ! "みしゅらんさん"をむげにあつかうとこうかいするのぜ!!!」
ゆっくりみしゅらん
1匹のまりさがこそこそと飲食店の裏口を覗ってる。きょろきょろと周囲に誰もいないのを確認している様子は、まるでこれから盗みに入る泥棒とでも言うべき不審さだ。まりさの外見は薄汚れ、あちらこちらに傷の付いたトンガリ帽子、明らかに野良ゆっくりと分かる外見である。
飲食店に忍び込もうとでもしているのだろうか、それとも裏に置かれたゴミ捨て場での狩りでも企んでいるのだろうか。いやそのどちらでも無いだろう。裏口はしっかりと閉められており、ゆっくりが進入に良く使うガラス窓も見当たらない、横には生ゴミを入れるだろうゴミ箱も置かれているが、これは野良ゆっくりの被害が増えてから開発された簡単に鍵のかかるタイプのゆっくりには開けられないものだ。
野良まりさは周囲に誰もいないのを確認すると裏口の扉に近寄りそこに2回体当たりをする、こんこんと木を叩いた様な音がすると後ろに跳び退り扉を見つめた。
扉がゆっくりと開かれる、すると中から姿を現したのは壮年の男性だった。
飲食店に忍び込もうとでもしているのだろうか、それとも裏に置かれたゴミ捨て場での狩りでも企んでいるのだろうか。いやそのどちらでも無いだろう。裏口はしっかりと閉められており、ゆっくりが進入に良く使うガラス窓も見当たらない、横には生ゴミを入れるだろうゴミ箱も置かれているが、これは野良ゆっくりの被害が増えてから開発された簡単に鍵のかかるタイプのゆっくりには開けられないものだ。
野良まりさは周囲に誰もいないのを確認すると裏口の扉に近寄りそこに2回体当たりをする、こんこんと木を叩いた様な音がすると後ろに跳び退り扉を見つめた。
扉がゆっくりと開かれる、すると中から姿を現したのは壮年の男性だった。
「おじさん、こんばんわなのぜ! きょうもゆっくりごはんさんをわけてほしいのぜ!」
まりさが笑顔で挨拶をすると、男性も笑顔になって手に持って居たボウルをまりさの目の前に置いてくれる。
「ほらこいつが今日の分だ!」
置かれたボウルの中に入っている物は多種多様だが明らかに残飯である、揚げ物の切れ端や白飯、野菜の皮や魚の骨も有る。
「ゆ、ゆわーいすごいのぜ、おじさんありがとうなのぜ!!!」
お帽子を外して、嬉々としてそれらを詰め込みだすまりさを男性は優しい表情で見下ろしていた。
「今日はメロンの切れ端があるからな、お前ら甘いの好きだろ」
「ほ、ほんとうなのぜ、あまあまはおちびちゃんのだいこうぶつなのぜ!!!」
「ほ、ほんとうなのぜ、あまあまはおちびちゃんのだいこうぶつなのぜ!!!」
言葉通り残版の中からは、少し実のついたメロンの皮がが顔を出している。まりさはそれをお帽子の一番上に大切に仕舞うと、最後に残した揚げ物の切れ端を口に入れる。
「むーしゃむしゃ、しっしあわせ~!!! やっぱりおじさんのりょうりはさいこーなのぜ!!!」
「そうか……ありがとな……じゃあ明日もこの時間にな」
「ありがとうなのぜ、まりさのおちびちゃんもおじさんのりょうりはだいすきなのぜ!!!」
「はぁそう言ってくれると嬉しいよ。ただし他の人間に見つからないようにな」
「わかったのぜ!!!」
「そうか……ありがとな……じゃあ明日もこの時間にな」
「ありがとうなのぜ、まりさのおちびちゃんもおじさんのりょうりはだいすきなのぜ!!!」
「はぁそう言ってくれると嬉しいよ。ただし他の人間に見つからないようにな」
「わかったのぜ!!!」
そう言って扉が閉められる。まりさはおぼうしの重みに顔をにんまりさせると、お家への道を引き返し始めた。
まりさがあの飲食店で残飯を貰うようになって随分と経つ。飲食店の残飯は、普通ゴミ袋に入った生ゴミや道端に生える雑草を口にしている野良ゆっくりにとって極上の食事である。
当然これを狙っている者は多いのだが、普通の飲食店は野良ゆっくりを嫌がるし、そのゴミ箱荒らしの被害が有名になってからは多くは対策をしている。
まりさが今の状況を手にしたのは、自身の積極性とほんの少しの幸運からによるものだった。
まりさはこの街で野良として生を受けた。生まれた時には既に父は亡く、まりさを産んだ母れいむは捨てられた飼いゆっくりだったのか生活能力が殆ど無かった、当然の結果としてまりさは飢えに苦しむ事となった。
そんなまりさに母れいむは、よく人間さんの食べる食べ物の話をしてくれた物である。自身は昔の生活を懐かしんでの事だったのかも知れない、しかし今目の前に無い夢の話をされる飢えた子供にとってはたまったものでは無い、まりさは鬱屈とした子ゆっくり時代を過ごした。
まりさが何とか成体に成るころにはその母れいむも死に、まりさは近くに住んでいた幼馴染のれいむとけっこんっする事になった。今では多くの野良ゆっくりと同じ様に狩り(ゴミ袋漁り)で食料を得る生活だが、子供の頃に聞いた物への憧れがどこかに残っていたのだろう、時折ふらりと人間さんが食事をする場所に足を運んでしまっていた。
これははっきり言って危険な事だ。飲食店が並ぶ通りは当然野良ゆっくりの取締りが厳しい。まりさが行ったあの日も、まりさ以外の野良ゆっくりは1人も見当たらなかったほどである。
当然これを狙っている者は多いのだが、普通の飲食店は野良ゆっくりを嫌がるし、そのゴミ箱荒らしの被害が有名になってからは多くは対策をしている。
まりさが今の状況を手にしたのは、自身の積極性とほんの少しの幸運からによるものだった。
まりさはこの街で野良として生を受けた。生まれた時には既に父は亡く、まりさを産んだ母れいむは捨てられた飼いゆっくりだったのか生活能力が殆ど無かった、当然の結果としてまりさは飢えに苦しむ事となった。
そんなまりさに母れいむは、よく人間さんの食べる食べ物の話をしてくれた物である。自身は昔の生活を懐かしんでの事だったのかも知れない、しかし今目の前に無い夢の話をされる飢えた子供にとってはたまったものでは無い、まりさは鬱屈とした子ゆっくり時代を過ごした。
まりさが何とか成体に成るころにはその母れいむも死に、まりさは近くに住んでいた幼馴染のれいむとけっこんっする事になった。今では多くの野良ゆっくりと同じ様に狩り(ゴミ袋漁り)で食料を得る生活だが、子供の頃に聞いた物への憧れがどこかに残っていたのだろう、時折ふらりと人間さんが食事をする場所に足を運んでしまっていた。
これははっきり言って危険な事だ。飲食店が並ぶ通りは当然野良ゆっくりの取締りが厳しい。まりさが行ったあの日も、まりさ以外の野良ゆっくりは1人も見当たらなかったほどである。
「おい、お前何やってるんだ!?」
ゆっくりとした匂いに浸っていたまりさは、とっさに逃げる事が出来なかった。これがまりさとおじさんの出会いであった。
一度は驚いたものの、こうなるとまりさも肝が据わってしまう、
一度は驚いたものの、こうなるとまりさも肝が据わってしまう、
「まりさはなんにもわるいことはしてないのぜ。ちょっとここでゆっくりしていただけなのぜ!」
現にここに来てからも狩りなどはしていない。ただゆっくりしていただけだ――最もそれだけでも人間が野良ゆっくりを殺す理由には成るのだが。まりさを見咎めた男性、おじさんはまりさを捕らえたり追い払ったりはしなかった。
しばらく話した後、何と食べ物を分けてくれたのだ、
しばらく話した後、何と食べ物を分けてくれたのだ、
「お、おじさんほんとうにいいのかぜ!?」
「まぁ家のあまり物でいいならな……どうせ何時も出るものだしな」
「まぁ家のあまり物でいいならな……どうせ何時も出るものだしな」
初めて食べる人間さんの食べ物、それはとてもゆっくりした物で、この時初めてまりさは何故母があんなにもこれに執着したか分かった気がしたのだ。
「じゃあここはおじさんのおみせさんなのかぜ?」
「ああお店って言うか……レストランなんだが……ゆっくりだと何て言うんだろうな、上手く言い表せないなぁ」
「おじさんのれいすとらんさんは、とってもゆっくりしているのぜ!!!」
「ありがとな、まりさ……そうだなこんな物でいいなら明日からも取りに来いよ、あ、他の人間には見つからないようにな、色々煩いんだ!」
「ああお店って言うか……レストランなんだが……ゆっくりだと何て言うんだろうな、上手く言い表せないなぁ」
「おじさんのれいすとらんさんは、とってもゆっくりしているのぜ!!!」
「ありがとな、まりさ……そうだなこんな物でいいなら明日からも取りに来いよ、あ、他の人間には見つからないようにな、色々煩いんだ!」
こうしてまりさとおじさんの親交が始まった。毎日夕方頃に行って、おじさんのれすとらんさんの料理を貰い愚痴を聞く、それがまりさの日課になっていた。
「それでおきゃくさんがこないとこまるのぜ!?」
「あぁそうなんだ……未だ拙いってほどじゃ無いがな」
「よくわからないけど、まずいものはむーしゃむしゃできないのぜ」
「拙いってそうじゃなくて」
「だいじょうぶなのぜ、おじさんのりょうりはすっごくしあわせ~なのぜ!」
「ありがとな、他の店みたいに宣伝とか出来ないからな」
「"せんでん"さんってなんなのぜ!? まりさがやってもいいのぜ?」
「いや……それはな」
「あぁそうなんだ……未だ拙いってほどじゃ無いがな」
「よくわからないけど、まずいものはむーしゃむしゃできないのぜ」
「拙いってそうじゃなくて」
「だいじょうぶなのぜ、おじさんのりょうりはすっごくしあわせ~なのぜ!」
「ありがとな、他の店みたいに宣伝とか出来ないからな」
「"せんでん"さんってなんなのぜ!? まりさがやってもいいのぜ?」
「いや……それはな」
「れいむ、おちびちゃん! いまかえったのぜ!!!」
「おかえり、まりさ!」
「おとうしゃんおかえりなのぜ!」
「おとうしゃんおかえり!」
「おかえり、まりさ!」
「おとうしゃんおかえりなのぜ!」
「おとうしゃんおかえり!」
とある空き地に作られたダンボールのお家、それにかけられたビニールシートを潜ったまりさに家族達が飛び出す。
「きょうもいっぱいもらってきたのぜ!」
「ゆわぁ、すごいねまりさ!」
「ゆわぁ、すごいねまりさ!」
妻であるれいむに2人の子供達は、お帽子の中から取り出されたごはんさんに目を輝かせる。
れいむがそれを分け、日持ちしそうな物をお家の奥の食料庫へ、4人分をそれぞれの前に置くまりさにお帽子を返した。
れいむがそれを分け、日持ちしそうな物をお家の奥の食料庫へ、4人分をそれぞれの前に置くまりさにお帽子を返した。
「それじゃあきょうもおとうさんにありがとうして、すーぱむしゃむしゃたいむだよお!」
「「おちょうしゃんありがちょー!!!」」
「「おちょうしゃんありがちょー!!!」」
子供達の視線にまりさも微笑む。むーしゃむしゃの合唱に続いて、しあわせ~合唱になった。
「あみゃあみゃおいしいのじぇ!!!」
子供たちの前にはあのメロンの皮が置かれている。子れいむは皮には歯が立たないのか、残っている果肉を齧り取り口の周りを汁でべたべたにして満足げだ、それを見咎めたれいむが舌で拭っている。
子まりさは何とかして食べようとしているのか、赤くなってメロンの皮に歯を立てている。
子まりさは何とかして食べようとしているのか、赤くなってメロンの皮に歯を立てている。
「むきゅう、まりさいいかしら?」
その時お家の外から声がした。シートをめくるとまりさのお家を近所のゆっくりが取り囲んでいる、1番前に居るのはお隣のぱちゅりーだ。
「まりさ、その……」
「わかっているのぜ、れいむ!」
「わかっているのぜ、れいむ!」
まりさはれいむに声をかけると食料庫から明日の分以外の食料を持って来させる、
「さ、これなのぜ!」
「ありがとう、まりさ!それじゃあみんないただきましょう!」
「ありがとう、まりさ!それじゃあみんないただきましょう!」
集まったゆっくり達はまりさに感謝の言葉を述べると、少しづつ食料を貰ってそれぞれのお家に引き返していった。
「いつもすまないわねまりさ! このおれいはかならずするわ!」
「へっへっへ、だいじょうぶなのぜぱちゅりー!」
「へっへっへ、だいじょうぶなのぜぱちゅりー!」
毎日貰える残飯によって、まりさはこの空き地で最も生活の安定した――裕福な野良ゆっくりに成っていたのである。
最初は狩りに失敗した仲間に余剰分を分けていたが、最近ではまりさの狩って来るごはんさんの美味しさが広まったのか大半のゆっくりがおこぼれを貰いにやって来る様になったのだ。まりさにとっても、自分たち家族で食べきれない分を渡すのに異存は無かった。何よりそれによって、この空き地に住む野良ゆっくり達が自分に媚びへつらうようになり、とてもゆっくりできていたのだった。
最初は狩りに失敗した仲間に余剰分を分けていたが、最近ではまりさの狩って来るごはんさんの美味しさが広まったのか大半のゆっくりがおこぼれを貰いにやって来る様になったのだ。まりさにとっても、自分たち家族で食べきれない分を渡すのに異存は無かった。何よりそれによって、この空き地に住む野良ゆっくり達が自分に媚びへつらうようになり、とてもゆっくりできていたのだった。
昼間はまりさにとってとてもゆっくりした時間だ。本来の野良ゆっくりの家族の父役で有れば、家族の為に必死で狩りをしている時間――早朝もゆっくりと寝坊し、起き出すのは太陽が高く上り始めた頃、れいむや子供達と共にゆっくりと朝食を済ませると遊びの時間になる。
子供達をお帽子に乗せて空き地の中を一周したり、お帽子の上で跳ねさせてあげたり、小石を蹴ってそれを追いかけたり、はたまた集まってひなたぼっこを楽しんだり、野良とは思えない生活である。子供達は一緒に遊んでくれるようになったまりさに大喜びだ。
子供達をお帽子に乗せて空き地の中を一周したり、お帽子の上で跳ねさせてあげたり、小石を蹴ってそれを追いかけたり、はたまた集まってひなたぼっこを楽しんだり、野良とは思えない生活である。子供達は一緒に遊んでくれるようになったまりさに大喜びだ。
「おちょうしゃんおちょうしゃん、まちゃおしょらーやってほしいのじぇ!」
それを聞いて子まりさをお帽子のつばに乗せると、それを揺すって跳ねさせてやる。
「ゆわぁい、おしょらをとんじぇるみちゃいなのじぇ~!」
「おちょうしゃんいっしょにこっちでうちゃおうよ!」
「おちょうしゃんいっしょにこっちでうちゃおうよ!」
れいむを連れた子れいむがお歌に誘ってくる、
「ゆゆ、わかったよ! おちびちゃん、まりさたちもうたおうね!」
「わかったのじぇ!」
「わかったのじぇ!」
そうして集まると、
「「「「ゆっくりのひ~、まったりのひ~、すっきりのひ~!!!」」」」
そろって歌うまりさ達に、周囲の野良ゆっくり達は少し咎める様な視線を向けるが、まりさがそちらを向くと途端に目を逸らしてしまう。
野良ゆっくりが歌うのは、決して褒められてことでは無い。そもそもここは人間さんの街である、大きな声を出せば目立ってしまいその結果人間さんを呼び寄せれば、待っているのは何よりも恐ろしいものだ。
その為この空き地に住むゆっくり達は、親の代から掟でこそ無いものの注意としてそれらを受けてきたのだ。しかしまりさにとってはそんなものはどうでも良かった、何より今のゆっくりを歌いたかったのだ。
そしてそんなまりさに注意できるゆっくりも、今の空き地には居なかった。何故なら皆何かしらの形でまりさのおこぼれに預かっているのだ、まりさを怒らせてそれを失ってしまっては元も子も無い。
そうして夕方になると狩りに行く、これがまりさの生活サイクルである。
野良ゆっくりが歌うのは、決して褒められてことでは無い。そもそもここは人間さんの街である、大きな声を出せば目立ってしまいその結果人間さんを呼び寄せれば、待っているのは何よりも恐ろしいものだ。
その為この空き地に住むゆっくり達は、親の代から掟でこそ無いものの注意としてそれらを受けてきたのだ。しかしまりさにとってはそんなものはどうでも良かった、何より今のゆっくりを歌いたかったのだ。
そしてそんなまりさに注意できるゆっくりも、今の空き地には居なかった。何故なら皆何かしらの形でまりさのおこぼれに預かっているのだ、まりさを怒らせてそれを失ってしまっては元も子も無い。
そうして夕方になると狩りに行く、これがまりさの生活サイクルである。
こうして小さな幸運から、まりさ達一家はとてもゆっくりした生活を送っていたのだった。
ある時、とあるテレビ番組で出演していたグルメ評論家が提唱した説が物議をかもした。
「その店が美味しいかどうかは、店の裏に集まる野良ゆっくりを見れば分かる。野良ゆっくりは飲食店の裏で残飯を漁っているので、その辺り一帯の飲食店に精通しており美味い店を知っている」
突飛な説では有ったがテレビ的には面白かったのか、その評論家に注目が集まる事に成った。ゆっくりに物の味なんか分かるかよという反論に、評論家は連れてきた野良ゆっくりにいくつかの物を食べさせ高級料亭の味を当てさせると言う実験で反証する。
こうなると話は大きくなり、トントン拍子に評論家の出演する番組が作られ、評論家がまとめた「野良ゆっくりに聞く、美味しい店100」などと言うガイドブックまで発売される。テレビ番組「ゆっくりミシュラン」で取り上げられた店にはお客が殺到し、外食をしようという人はその店の裏を見て野良ゆっくりを探すまでになった。
こうなると話は大きくなり、トントン拍子に評論家の出演する番組が作られ、評論家がまとめた「野良ゆっくりに聞く、美味しい店100」などと言うガイドブックまで発売される。テレビ番組「ゆっくりミシュラン」で取り上げられた店にはお客が殺到し、外食をしようという人はその店の裏を見て野良ゆっくりを探すまでになった。
困惑したのは飲食業界だ、これまでは野良ゆっくりなど店にとっては疫病神であった。近くで見かければ追い払うなり駆除するなりしていたし、生ゴミを出す裏口のゴミ箱はゆっくり対策をしっかりしていたのだ。
しかしゆっくりミシュランがブームになると、有名店の裏の野良ゆっくりを調べた情報などがインターネットに載せられ、その結果対策をしっかりとしていた所ほど貶められると言う皮肉な結果になってしまう。
彼らは泣く泣く野良ゆっくり対策を取りやめ、むしろ積極的に呼び寄せようとする店まで現れだした。
しかしゆっくりミシュランがブームになると、有名店の裏の野良ゆっくりを調べた情報などがインターネットに載せられ、その結果対策をしっかりとしていた所ほど貶められると言う皮肉な結果になってしまう。
彼らは泣く泣く野良ゆっくり対策を取りやめ、むしろ積極的に呼び寄せようとする店まで現れだした。
困惑したのは野良ゆっくりも同じである。飲食店の裏はとても危険な場所だと言うのがそれまでの共通認識だった。しかし今では人間に見つかっても追い払われもしない、今まで決して開ける事のできなかったゴミ箱は最初から開いているのである。
偶に人間がやってきても、何やらおかしな事を言われるだけで何もされなかった。こうして少しずつ野良ゆっくりは飲食店裏のゴミ箱を漁るようになった。
偶に人間がやってきても、何やらおかしな事を言われるだけで何もされなかった。こうして少しずつ野良ゆっくりは飲食店裏のゴミ箱を漁るようになった。
そんな状況に困ったのがまりさである。空き地でこれまで人間さんのごはんを手に入れる事が出来るのはまりさだけであった、不審に思って後をつけようとする仲間は撒いていたし、おじさんとの秘密を漏らすことはしなかった。
それによってまりさは空き地で大きな顔が出来ており、最近では狩りが下手でまりさの援助を多く受けているゆっくりを引き連れて王様気分を味わっていたのだ。
今もまりさとれいむにはそれぞれ2人のゆっくりが背後についており体をもんでいる、
それによってまりさは空き地で大きな顔が出来ており、最近では狩りが下手でまりさの援助を多く受けているゆっくりを引き連れて王様気分を味わっていたのだ。
今もまりさとれいむにはそれぞれ2人のゆっくりが背後についており体をもんでいる、
「もっとつよくしてね、それじゃあゆっくりできないよ!」
れいむが背後のちぇんをもみ上げで叩いて要求する、
「はやくいくのじぇ!」
「まりしゃにまけちゃだめだよ、こっちもいしょいでね!」
「まりしゃにまけちゃだめだよ、こっちもいしょいでね!」
子まりさは若いちぇんを、子れいむは若いれいむを、それぞれ馬のように使って競争をしている、そんな所に狩りに行っていた、ちぇんが帰ってきたのだ。
「ただいまなんだよー!きょうはたいりょうなんだよー!」
ちぇんがお帽子の中から取り出した物を見てまりさは驚いた。それはまりさが手に入れているのと同じ様な人、間さんのごはんであった。もっともも普段の狩り (ゴミ漁り)で同じ様な物が手に入る事はままある、しかし大半はゴミ出しまでの間放置されたせいで状態が悪くなっているものなのだ。
もしや、まりさのお家の食料庫から盗んだのか、慌てて問い詰めたまりさに帰ってきたのは、
もしや、まりさのお家の食料庫から盗んだのか、慌てて問い詰めたまりさに帰ってきたのは、
「ちがうんだよーみしゅらんさんなんだよー!」
という意味不明の言葉で有った。困惑するまりさを余所に、他にも空き地のゆっくり数匹が同じ様な物を持ち帰ったのである。
最近何故か人間さんがゆっくり出来るようになった。最初は罠かと怯えていた野良ゆっくり達であったが、実際に飲食店の裏の狩場が使えるようになるとその原因を求める、飼いゆっくりや街頭に設置されたテレビからゆっくりミシュランの事が伝わり「みしゅらんさん」として野良の間に広まるのは時間の問題であった。
まりさはその事情を、その日の夕方の狩りでおじさんから聞いていた、
「つまり、みしゅらんさんってなんなのぜ!?」
「あーそのな、前にも言ったかもしれないが、店がゆっくりしているかどうか決めるやつみたいのだ、それをゆっくりが決めるんだ!」
「そういえば……まえにもそんなことをいっていたのぜ!」
「あーそのな、前にも言ったかもしれないが、店がゆっくりしているかどうか決めるやつみたいのだ、それをゆっくりが決めるんだ!」
「そういえば……まえにもそんなことをいっていたのぜ!」
そう言っておじさんの愚痴を聞いた後、今日の分を貰ってお家に帰ったまりさ、お家の前では妻であるれいむと別のれいむが言い争いをしていたのだ、
「ゆゅ、そのおはなはれいむのおちびちゃんがほしがったんだよ!ゆっくりしているおちびちゃんにあげてね!」
「だめだよ、このおはなはれいむがとってきたんだよ、れいむのおちびちゃんにあげるよ!」
「ゆあ~んそんなこといっていいのぉ!れいむのまりさにいいつけるよぉ!」
「だめだよ、このおはなはれいむがとってきたんだよ、れいむのおちびちゃんにあげるよ!」
「ゆあ~んそんなこといっていいのぉ!れいむのまりさにいいつけるよぉ!」
そう言って凄むれいむ、前に居るれいむは子供が居る事からよくまりさの人間さんのごはんを貰いに来ていたのである、そのためまりさの妻であるれいむに遠慮し、れいむの言う事は素直に聞いていたのだが、それがここに来ての反抗である。
「……べつにいいよ! れいむのみょんだってさいきんは、ゆっくりしたごはんをとれるようになったんだからね!」
少し考えたれいむは、しかしきっぱりと言い切ると「それじゃあかえるよ」とお花を咥えてお家へ戻っていった。
「まてぇ、おはなをおいてけぇ!!!」
れいむが叫ぶが、振り返りもしない、
「おかあしゃん、れいみゅのおはなは? はやくもってきちぇね、ぷんぷん!」
その後ろでは子れいむが憤慨している。れいむはまりさが帰ってきているの気が付くと、早速泣きついてきた。
「まりさぁ、あのれいむがゆっくりしてないんだよぉ! もうあのれいむにはごはんをあげないでね!」
しかしれいむ以上にまりさは危機感を感じてしまった。これまでまりさの権力を支えていた人間さんのごはん、それを誰でも手に入れられるようになってしまった……何よりまりさは今の待遇を手放したく無かったのだ。
まりさは早速行動を開始した。野良仲間に当たってみると、確かにこれまで野良が近づくと危なかった人間さんのお店の近くの狩場が使えるようになっているのだと言う。更にそこで手に入るごはんは、他の狩場とは比べ物になら無いほどゆっくりしているらしい。
更に調べてみると、これは人間さんの間で「ゆっくりみしゅらん」という物が広まったためだと言う話が、飼いゆっくりの間から流れてきた。
野良ゆっくり達はこの突然の変化をただ単純に歓迎したが、その意味までは理解しようとはしなかった。しかしまりさには分かった、前におじさんに聞いた話に似たような事があったのだ。あの時はまりさも理解できなかったが、おじさんはゆっくりにも分かるように教えてくれた。
要は人間さんは、お店の評判をゆっくりに聞くようになったのだ。まりさ達ゆっくりでも評判が大事なのは分かる、ゆっくり出来ないゆっくりだと皆に言われてしまえば色々とやり辛くなるし、最悪ゆっくり出来ないゆっくりとしてついっほうやせいっさいの対象になってしまう。人間さんも同じなのだ、ゆっくり出来ないお店だとしてせいっさいされたく無いのだ。
更に調べてみると、これは人間さんの間で「ゆっくりみしゅらん」という物が広まったためだと言う話が、飼いゆっくりの間から流れてきた。
野良ゆっくり達はこの突然の変化をただ単純に歓迎したが、その意味までは理解しようとはしなかった。しかしまりさには分かった、前におじさんに聞いた話に似たような事があったのだ。あの時はまりさも理解できなかったが、おじさんはゆっくりにも分かるように教えてくれた。
要は人間さんは、お店の評判をゆっくりに聞くようになったのだ。まりさ達ゆっくりでも評判が大事なのは分かる、ゆっくり出来ないゆっくりだと皆に言われてしまえば色々とやり辛くなるし、最悪ゆっくり出来ないゆっくりとしてついっほうやせいっさいの対象になってしまう。人間さんも同じなのだ、ゆっくり出来ないお店だとしてせいっさいされたく無いのだ。
1人で納得するまりさの後ろには、まりさ食料を分けてもらって居る野良ゆっくり達が不思議そうな表情で続いている、最近では空き地のゆっくりにも人間さんのごはんの狩りに成功するものが増えてきたが、まりさに頭の上がらない――まりさが内心で自分のどれいと思っているゆっくり達は、狩りが下手なのか成功せず未だにまりさの手下状態だ。
「まりさ、まだなのかみょん?」
考え込んでいるまりさの背後から1人のみょんが急かす、水を差されて怒鳴りつけようと思ったが、みょん以外の手下の表情が苛立たしげなのに気が付き思いとどまる。
拙い……まりさはそう思った、最近まりさの空き地での立場は悪くなる一方だ。まりさだけしか出来なかった事が他のゆっくりにも出来るようになる、と好き放題していた分反動が大きい。今居る手下達には、今でも食料を分けているのでまりさの命令を聞くが、自分で十分に狩りが出来るようになったゆっくりやその番達は、影でまりさ一家の悪口を言っているのだ……何か、何か今のこの立場を守る方法を考えなくては。
拙い……まりさはそう思った、最近まりさの空き地での立場は悪くなる一方だ。まりさだけしか出来なかった事が他のゆっくりにも出来るようになる、と好き放題していた分反動が大きい。今居る手下達には、今でも食料を分けているのでまりさの命令を聞くが、自分で十分に狩りが出来るようになったゆっくりやその番達は、影でまりさ一家の悪口を言っているのだ……何か、何か今のこの立場を守る方法を考えなくては。
翌日の夕方、まりさの姿はとある飲食店の裏にあった。何時も行っているおじさんのお店では無い、別のお店だ。ここでもゆっくりみしゅらんの影響があったのか、裏口の横に置かれたゴミ箱の蓋は開けられており、既に別の野良ゆっくりが狩りを行ったのか辺りにカスが零れている。
まりさは周囲を確認すると裏口を叩いた。叩いた後一瞬後悔する、やってしまった最悪の事態が頭の中をよぎったあんよがぷるぷると震える。
そんなまりさに決意を促すかの様にそのお店の裏口がゆっくりと開かれた。
まりさは周囲を確認すると裏口を叩いた。叩いた後一瞬後悔する、やってしまった最悪の事態が頭の中をよぎったあんよがぷるぷると震える。
そんなまりさに決意を促すかの様にそのお店の裏口がゆっくりと開かれた。
「何だお前?」
裏口から出てきたのは釣り目のお兄さんであった。最初は辺りを見回して胡乱な目をしていたが、すぐに足元のまりさに気が付き目つきを険しくする。
「お、おにいさんまりさはごはんさんがほしいのぜ。ゆっくりわけてほしいのぜ!」
まりさの言葉に、お兄さんは軽く舌打ちすると手を伸ばしてくる。何も言われないが、その表情からゆっくりしていないお兄さんである事が分かった、まりさの足が竦む。
「野良が調子に乗りやがって、お前を残飯に……」
「おにいさん!い、いいのかぜ!?まりさは……まりさはみしゅらんさんなのぜ!!!」
「おにいさん!い、いいのかぜ!?まりさは……まりさはみしゅらんさんなのぜ!!!」
視線で必死に訴える。それを追ったお兄さんも気が付いた、先ほどから数人の人間さんがこちらを見ているのだ。まりさは最初から気づいていた、まりさを背後に隠すと何やら他の人間さんに言い訳を始めるお兄さん。まりさは確信した、やはり人間さんもせいっさいが怖いのだ、このお兄さんのお店の評判が悪くなるとせいっさいされてしまうのだ、その為にまりさ達ゆっくりを怒らせたり出来ないはずだ。
「おにいさん、あっちのにんげんさんにいうのぜぇ! このおみせはぜんぜんゆっくりできないっていうのぜ!」
振り向いたお兄さんは両手を握り締めていたが、お店に飛び込むとすぐに出てきてまりさに黄色い物を投げつける。
「ちっ、それをやるからさっさと失せな!!!」
目の前に飛んで来た黄色い物――ばななさんである、まりさ達も狩場(ゴミ捨て場)で稀に見つける事がある、ほんのりと甘い貴重なごはんさんだ、それが1房、なんと中身の入った状態で有るのだ。
成功した、目の前に置かれたあまあまにまりさは思わずしあわせーと叫びそうに成るが、自重してばななさんをお帽子に仕舞うとゆっくりとお店の裏から立ち去る。お兄さんは未だにこちらを睨んでいるが、あの人間さん達がまだこちらを見ているからなのか手出ししたりはしない。
まりさはお兄さんに振り向くと、
成功した、目の前に置かれたあまあまにまりさは思わずしあわせーと叫びそうに成るが、自重してばななさんをお帽子に仕舞うとゆっくりとお店の裏から立ち去る。お兄さんは未だにこちらを睨んでいるが、あの人間さん達がまだこちらを見ているからなのか手出ししたりはしない。
まりさはお兄さんに振り向くと、
「ゆふふ、このおみせはとってもゆっくりしているのぜ!おにいさん、よろこんでもいいのぜ!」
そう言ってお帽子の重さを確かめながらお家に帰る、背後から人間さんの笑い声がした。
「「あみゃあみゃしあわしぇ~!!!」」
「すごいよまりさ、あまあまをこんなにかってくるなんて!!!」
「すごいよまりさ、あまあまをこんなにかってくるなんて!!!」
お家に帰るとまりさは今日の戦果を早速家族に披露した。帰ってきたのはそんな反応である、これまで何時も野良としては極上とも言える人間さんのごはんを食べてきたまりさ一家であったが、やはりゆっくりに取って最大のご馳走はあまあまである、これまでも少量手に入る事は有ったがこれほど纏めて出に入れたのはまりさも初めてである。
「やっぱりまりさはすごいみょん、これだけのあまあまはみたことがないみょん!!!」
お零れに与った手下達の反応も上々だ、周囲から注がれる尊敬の眼差しにまりさは胸を張る。
「わかるよー、やっぱりまりさがここでいちばんのゆっくりなんだよー!」
「そうだね、まりさはとってもゆっくりしているよ!」
「そうだね、まりさはとってもゆっくりしているよ!」
やはりまりさの考えは間違っていなかったのだ。お店の人間さんはまりさ達に手出し出来ない、今日と同じ様にすればお店の人間さんからあまあまを貰うのも容易い。
目の前に要る手下たちを見回して確信する、みんなで行けばたくさんのあまあまを貰ってこれる。
目の前に要る手下たちを見回して確信する、みんなで行けばたくさんのあまあまを貰ってこれる。
「ゆふふ、おまえたちもあまあまがほしいのぜ?だったら、あしたからまりささまについてくるのぜ!!!」
その翌日、手下達を引き連れたまりさは人間さんのお店の前に姿を現した。人間を恐れる事無く商店街を闊歩する野良ゆっくりの集団に、周囲から驚きの視線が向けられるがまりさは恐れない、最初は恐る恐るだった手下達もそんなまりさに感化されてゆっくりと商店街を進んだ。
「ゆっ、きょうはここのおみせにするのぜ!」
まりさの号令でとあるお店の前で止まる、店の入り口に野良ゆっくりが集まっている事が直ぐに分かったのか、中からお店のお姉さんが飛び出してくる。
「ちょっとあんた達、何やってるのここに居ちゃダメよ。あっちいきなさい!」
怒った表情で見つめてくるお姉さん、
「ゆっふっふっ、おねえさんいいのかぜ?」
「な、何よ……?」
「な、何よ……?」
自信満々なまりさにお姉さんが困惑する。
「まりさたちはみしゅらんさんなのぜぇ! ごはんさんをもらいにきたのぜ!」
「ゆっくりミシュラン? 生ゴミなら裏口のポリバケツに……」
「ゆゅ!? みしゅらんさんはごみなんてたべないのぜ、はやくごはんさんとあまあまをよこすのぜ!!!」
「ゆっくりミシュラン? 生ゴミなら裏口のポリバケツに……」
「ゆゅ!? みしゅらんさんはごみなんてたべないのぜ、はやくごはんさんとあまあまをよこすのぜ!!!」
お姉さんが無言で手に何か掴む、まりさを見据えてそれを振り上げた。
それを見るとまりさは、背後の手下達に目で合図をした、
それを見るとまりさは、背後の手下達に目で合図をした、
「ゆわああぁ!!! ここのおみせはぜんぜんゆっくりしてないよぉ!!!」
「ここのごはんさんはくさってるんだよー! どくだよーたべたらしぬんだよー!」
「すごくまずいおみせだみょん! こんなところではゲスゆっくりもむーしゃむしゃしないみょん!」
「ここのごはんさんはくさってるんだよー! どくだよーたべたらしぬんだよー!」
「すごくまずいおみせだみょん! こんなところではゲスゆっくりもむーしゃむしゃしないみょん!」
すると手下達が一斉に叫び始める。お姉さんにでは無い、周囲の人間さん達に向けて一斉にだ。
「えっ、ちょっちょっと、あなた達止めなさい!」
止めようと飛び出したお姉さんに、後を追ったまりさが囁く、
「おねえさん、まりさたちはあまあまとごはんさんがほしいのぜ。ゆっくりみしゅらんさんにごはんさんをだすのぜぇ!」
まりさを睨むお姉さん、
「いいのかぜぇ、てしたのみょんだたちをとめられるのは、まりさだけなのぜ! みしゅらんさんをおこらせてもおねえさんはだいじょうぶなのかぜ!!!」
すぐにお店の中から別のおじさんがやってきてそれを止める。こうしてまりさ達は抱えきれないほどの人間さんのごはんとあまあまを手に入れたのだ。
その日からまりさ達の狩りは変わった。今までの様に朝早く人間さんに怯えながら行く必要など無い。
夕方に人間さんのお店に行って同じ様にしてやれば良いのだ、それでまりさとその手下、家族を含めて食べきれないほどのごはんさんが手に入った。
まりさの勢力は再び空き地で最大の物になっていた。お店の裏の狩場が使えるようになったからといって、全ての野良ゆっくりがそこでの狩りに成功したわけでは無い、またそこでの狩りに成功しているゆっくりでも毎日と言う訳には行かずそうなると普段人間さんのごはんを食べている分そこら辺の草などでは満足できない、結果としてまりさの所に頭を下げに来る事になるのだ。
またあまあまを手に入れる事が出来たのも大きい。
夕方に人間さんのお店に行って同じ様にしてやれば良いのだ、それでまりさとその手下、家族を含めて食べきれないほどのごはんさんが手に入った。
まりさの勢力は再び空き地で最大の物になっていた。お店の裏の狩場が使えるようになったからといって、全ての野良ゆっくりがそこでの狩りに成功したわけでは無い、またそこでの狩りに成功しているゆっくりでも毎日と言う訳には行かずそうなると普段人間さんのごはんを食べている分そこら辺の草などでは満足できない、結果としてまりさの所に頭を下げに来る事になるのだ。
またあまあまを手に入れる事が出来たのも大きい。
「ゆふふ、おにいさんこれだけなのかぜ?」
「ああ、それだけあれば十分だろう?」
「ふざけるんじゃないのぜ!!! きのういったおみせはりんごさんをくれたのぜぇ、ここのおみせはみしゅらんさんをおこらせるつもりなのかぜ!!!」
「うわぁ、分かった分かったから!!!」
「ああ、それだけあれば十分だろう?」
「ふざけるんじゃないのぜ!!! きのういったおみせはりんごさんをくれたのぜぇ、ここのおみせはみしゅらんさんをおこらせるつもりなのかぜ!!!」
「うわぁ、分かった分かったから!!!」
まりさの「たくみっなこうっしょうぎじゅつ」よって、狩りに行ったお店さんから手に入れたあまあまを手に入れ、それを手下や周囲のゆっくりに配って自分の影響力を確保する。あまあまはゆっくりにとって食料以上の意味を持つものである、野良ゆっくりのとって致命傷となる傷、それすら癒すあまあまは、ゆっくりのとって奇跡の薬と成りえるのだ。
こうなるとまりさの暮らして居る空き地の外からも、あまあまを定期的に手に入れているまりさの噂を聞いて、傷を負った家族を持つ野良ゆっくりが現れるようになった。
こうなるとまりさの暮らして居る空き地の外からも、あまあまを定期的に手に入れているまりさの噂を聞いて、傷を負った家族を持つ野良ゆっくりが現れるようになった。
「おねがいしまずぅ、れいむのれいむのおちびちゃんがにんげんさんのすぃーに!!!」
「ゆっへっへっ、それはたいへんなのぜ。でもこのあまあまーがあればおちびちゃんもきっとゆっくりげんきになるのぜ!」
「あまあまっ! おねがいだよっまりさ、れいむのおちびちゃんのためにそのあまあまをちょうだいね!」
「ゆあぁ、なにをいっているのぜ! まりささま、なのぜ! それに……あまあまがほしいなら、わかっているのぜ!」
「ゆっへっへっ、それはたいへんなのぜ。でもこのあまあまーがあればおちびちゃんもきっとゆっくりげんきになるのぜ!」
「あまあまっ! おねがいだよっまりさ、れいむのおちびちゃんのためにそのあまあまをちょうだいね!」
「ゆあぁ、なにをいっているのぜ! まりささま、なのぜ! それに……あまあまがほしいなら、わかっているのぜ!」
空き地の隅、家族達に見つからないブロックの影で1人のれいむがまりさにすがり付いている。番やおちびちゃんが何らかの形で傷を負ってしまった野良ゆっくりがまりさの元を訪れる、最近では何度か見かけられる光景だ、野良ゆっくりにとって一定以上の傷はその場では死ななくても、結果的に致命傷と成る事が少なく無いし、過酷な街の生活で動けなくなった家族を抱える事がどれだけ深刻かは考えるまでも無いことである。
ゆっくりミシュランが広まった事によって、これまでに比べて圧倒的にゆっくりした食料を手に入れられる機会に与る様になっていた野良ゆっくり達だったが、この近くでまりさ達の様な事をしている集団は少ないのか安定してあまあまを手に入れている者は殆ど居なかった。
ゆっくりミシュランが広まった事によって、これまでに比べて圧倒的にゆっくりした食料を手に入れられる機会に与る様になっていた野良ゆっくり達だったが、この近くでまりさ達の様な事をしている集団は少ないのか安定してあまあまを手に入れている者は殆ど居なかった。
「ゆっゆゆゆ~♪ みしゅっらんさんっはさいっこっうなっのぜ~♪」
しばらくしてブロックの影からすっきりとした表情のまりさが表れる。背後には目もくれず歌を口ずさみながら自分のお家へ戻るまりさはとてもゆっくりとした気分を味わっていた。
テレビ、ネット、関連書籍と様々広がりを見せたゆっくりミシュランのブーム、それに陰りが見えたのは1つの事件からだった。
とある中華料理店で起きた食中毒事件、普通ならその店に保健所の立ち入り検査が行われ、場合によっては営業停止処分で終わるそれが、被害客の検査結果が出た事から大きな波紋を広げる事となる。
被害者から見つかった食中毒の原因菌、それが被害者の食べた料理や店の調理場などから見つからなかったのである。更にその被害者が店に入る前に店の裏で野良ゆっくりに触っていたと言う証言も飛び出した、これらを合わせて検査を担当した保健所の出した結果は、食中毒の原因は店の料理では無く入店前に触っていた野良ゆっくりの表皮に付着していた物と考えられるであった。
当然、来客への対応に関して中華料理店は徹底的な指導を受けたが、飲食店を訪れる人がその前に野良ゆっくりを触っていたと言う事も問題視される、この事実は発表され各地の保健所を通して飲食店に注意の徹底が行われた。
ここに至ってブームに流される形に成っていた飲食業界もやっと冷静になり始める、つまりは「飲食店に野良ゆっくりってどうよ?」という事である。
とある中華料理店で起きた食中毒事件、普通ならその店に保健所の立ち入り検査が行われ、場合によっては営業停止処分で終わるそれが、被害客の検査結果が出た事から大きな波紋を広げる事となる。
被害者から見つかった食中毒の原因菌、それが被害者の食べた料理や店の調理場などから見つからなかったのである。更にその被害者が店に入る前に店の裏で野良ゆっくりに触っていたと言う証言も飛び出した、これらを合わせて検査を担当した保健所の出した結果は、食中毒の原因は店の料理では無く入店前に触っていた野良ゆっくりの表皮に付着していた物と考えられるであった。
当然、来客への対応に関して中華料理店は徹底的な指導を受けたが、飲食店を訪れる人がその前に野良ゆっくりを触っていたと言う事も問題視される、この事実は発表され各地の保健所を通して飲食店に注意の徹底が行われた。
ここに至ってブームに流される形に成っていた飲食業界もやっと冷静になり始める、つまりは「飲食店に野良ゆっくりってどうよ?」という事である。
風向きが変わり始めると周囲の反応も早い。例の説を提唱した評論家の周囲からそれは噴出した。
野良ゆっくりに使って高級料亭の味を当てさせる実験、あれは評論家の知り合いの飼っている金バッジのゆっくりに野良の扮装をさせて行った「やらせ」だと言うのだ。
自分は頼まれて飼いゆっくりを貸しただけであり、どのように使われるかは知らなかった。評論家の友人を名乗る男性はテレビカメラの前で真面目な顔で語った。
さらに評論家が食べ歩きで調べたという情報も怪しくなってくる。これまでの彼は唐突に訪れた飲食店で自分の職業を明かし店に色々と包ませた上で、その多寡によって提灯記事かバッシング記事を書くタイプでとても自分の足で様々な店を食べ歩くタイプでは無かったと言うのである。
更にその著作内のでのゆっくり――特に野良ゆっくりに関する無知や勘違いも槍玉に挙げられた。
そもそも前述の様に、野良ゆっくりによって被害が出ると飲食店側が様々な対策を取った為、野良ゆっくりが飲食店の裏のゴミ箱を漁るのは非常に難しくなっていたのである。
「その店が美味しいかどうかは店の裏に集まる野良ゆっくりを見れば分かる。野良ゆっくりは飲食店の裏で残飯を漁っているのでその辺り一帯の飲食店に精通しており美味い店を知っている」
ゆっくりミシュランが広まる前で言えば、この説はそもそもその時点からおかしいのだ。
野良ゆっくりに使って高級料亭の味を当てさせる実験、あれは評論家の知り合いの飼っている金バッジのゆっくりに野良の扮装をさせて行った「やらせ」だと言うのだ。
自分は頼まれて飼いゆっくりを貸しただけであり、どのように使われるかは知らなかった。評論家の友人を名乗る男性はテレビカメラの前で真面目な顔で語った。
さらに評論家が食べ歩きで調べたという情報も怪しくなってくる。これまでの彼は唐突に訪れた飲食店で自分の職業を明かし店に色々と包ませた上で、その多寡によって提灯記事かバッシング記事を書くタイプでとても自分の足で様々な店を食べ歩くタイプでは無かったと言うのである。
更にその著作内のでのゆっくり――特に野良ゆっくりに関する無知や勘違いも槍玉に挙げられた。
そもそも前述の様に、野良ゆっくりによって被害が出ると飲食店側が様々な対策を取った為、野良ゆっくりが飲食店の裏のゴミ箱を漁るのは非常に難しくなっていたのである。
「その店が美味しいかどうかは店の裏に集まる野良ゆっくりを見れば分かる。野良ゆっくりは飲食店の裏で残飯を漁っているのでその辺り一帯の飲食店に精通しており美味い店を知っている」
ゆっくりミシュランが広まる前で言えば、この説はそもそもその時点からおかしいのだ。
更にゆっくりミシュランによって、野良ゆっくりの行動に変化が起きた事が、真面目な野良ゆっくりの研究家によって明らかにされ、野良ゆっくりが起こすようになった飲食店裏のゴミ箱荒らし、ゆすり、たかりの類が公にされるとそれまで面白がってみていた人々も眉を潜め始める。
行政と加工所に、何故野良ゆっくりを野放しにしているのなどという無責任な非難が集まり、それらも重い腰を上げようとしていた。
行政と加工所に、何故野良ゆっくりを野放しにしているのなどという無責任な非難が集まり、それらも重い腰を上げようとしていた。
そう、崩壊の時は静かに近づきつつあったのだ。
ゆっくりみしゅらん(後編)へ続く……