ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko4005 燃える、お兄さん
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ankoss
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『燃える、お兄さん』 15KB
駆除 群れ ドスまりさ 希少種 失礼します
駆除 群れ ドスまりさ 希少種 失礼します
人里から少し離れた場所にある竹藪。持ち主はいるが正確な所有者は分からず、放置
状態。人も入らず竹や笹は伸び放題だった。
状態。人も入らず竹や笹は伸び放題だった。
「もこたん、インしたお」
蓋になっていた枝をはね除け、もこうが飛び出した。
地面に掘られた穴とそれを塞ぐ竹の枝葉。そこがもこうの寝床だった。蓋の枝をはね除
けて外に飛び出すのが、もこうの朝の日課だった。
静謐とした竹林。
鈍った身体をほぐすように、のーびのーびする。
地面に掘られた穴とそれを塞ぐ竹の枝葉。そこがもこうの寝床だった。蓋の枝をはね除
けて外に飛び出すのが、もこうの朝の日課だった。
静謐とした竹林。
鈍った身体をほぐすように、のーびのーびする。
「あさごはんたべるお」
もこうは餌場へと向かった。
竹林の端にある笹原。
そこの笹がもこうの主食だった。
若い笹の根元を加えて、口の中に軽く火を起こす。程なく笹の根元が燃えた。
もこう種は火を吹ける。大きくても焚き火程度の火力だが、火を扱える事は自然では強
力な武器となる。乾いた葉の多い竹藪に下手に火を吹けば火事になるので、必要最小限
に止めているが。大火事を起こし悪い意味で人間の注目を浴びるのは避けたかった。
そこの笹がもこうの主食だった。
若い笹の根元を加えて、口の中に軽く火を起こす。程なく笹の根元が燃えた。
もこう種は火を吹ける。大きくても焚き火程度の火力だが、火を扱える事は自然では強
力な武器となる。乾いた葉の多い竹藪に下手に火を吹けば火事になるので、必要最小限
に止めているが。大火事を起こし悪い意味で人間の注目を浴びるのは避けたかった。
「むーしゃむーしゃ。それなりーだお」
笹の葉を食べながら、もこうは呟く。
もこうの主食は若い笹の葉だった。ゆっくりは大抵のものを体内で餡子に変換する。この
上なく雑食で、贅沢を言わなければ食べ物に困ることはまずない。また、ゆっくり食べるこ
とで、かなり燃費も上げられる。
さらさらと、竹の葉が音を奏でた。
もこうの主食は若い笹の葉だった。ゆっくりは大抵のものを体内で餡子に変換する。この
上なく雑食で、贅沢を言わなければ食べ物に困ることはまずない。また、ゆっくり食べるこ
とで、かなり燃費も上げられる。
さらさらと、竹の葉が音を奏でた。
「ひとりはさびしいお……」
もこうは笹原の近くにある崖から、下を見た。
高さ十メートルほどの人工崖で、コンクリートブロックで固められている。ゆっくりでは上り
下りはできず、人間でも難しいだろう。竹林全体が周囲より高い場所になっている。入り口
になる場所はあるので、もこうもそこから昇ってきた。
崖の下には広葉樹の森が広がっている。そこにはゆっくりの群れが存在していた。成体
百匹を超える大きな群れだ。以前もこうが所属していたのもこの群れだった。
高さ十メートルほどの人工崖で、コンクリートブロックで固められている。ゆっくりでは上り
下りはできず、人間でも難しいだろう。竹林全体が周囲より高い場所になっている。入り口
になる場所はあるので、もこうもそこから昇ってきた。
崖の下には広葉樹の森が広がっている。そこにはゆっくりの群れが存在していた。成体
百匹を超える大きな群れだ。以前もこうが所属していたのもこの群れだった。
一ヶ月ほど前の満月の夜。
森の一角に集まった十匹ほどのゆっくり。
森の一角に集まった十匹ほどのゆっくり。
「ふおんなくうきをかんじます。わたしはひめさまとともにみをかくします」
「………」
「………」
てるよを頭に乗せたえーりんが、群れの広場の方を見る。
最近までは平穏な群れだった。しかし、突如誕生したドスまりさ。そして、ドスの力を借り
て欲望に任せて群れの運営を行う取り巻き連中。賢いゆっくりの言葉も聞かず、自分の妄
想と欲だけで破滅へと突っ走る。
大きな群れの自滅パターンのひとつだった。
最近までは平穏な群れだった。しかし、突如誕生したドスまりさ。そして、ドスの力を借り
て欲望に任せて群れの運営を行う取り巻き連中。賢いゆっくりの言葉も聞かず、自分の妄
想と欲だけで破滅へと突っ走る。
大きな群れの自滅パターンのひとつだった。
「みょんはまたたびにでるみょん」
身体に風呂敷を巻き付けたみょんが、集まったゆっくりに背を向ける。枝を削って作った
はくろうけんを頭のリボンに差していた。
はくろうけんを頭のリボンに差していた。
「もうみんなとはあえないけど、いままでたのしかったみょん。さらばだみょん」
元々旅のゆっくりで、森の群れに居着いたのも身体を休める事と助けて貰った事への恩
返しが目的だった。体力も回復し恩返しも済んだ今、元の旅ゆっくりに戻るのだろう。
みょんは振り返ることもなく、夜闇へと消えていく。
返しが目的だった。体力も回復し恩返しも済んだ今、元の旅ゆっくりに戻るのだろう。
みょんは振り返ることもなく、夜闇へと消えていく。
「まりさたちも、さよならなんだぜ。ちょっとさびしいのぜ……」
「れいむたちもかくれるよ。いきてたら、またいっしょに、ゆっくりしようね」
「れいむたちもかくれるよ。いきてたら、またいっしょに、ゆっくりしようね」
れいむとまりさのつがい。元幹部と先代長の娘だ。しかしその肩書きも今の群れでは通
用しない。今の群れの上層部に、以前の群れの幹部はいない。
用しない。今の群れの上層部に、以前の群れの幹部はいない。
「では、いきます」
えーりんが、どこかへと跳ねていく。頭にてるよを乗っけたまま。
何らかの理由で群れが愚衆化したら、賢いゆっくりは身を隠す。非情な判断だが、それ
は仕方ない事だ。賢いとはいえ、ただのゆっくり。百以上のゆっくりによる破滅の行進を止
める事は不可能なのだ。暴走した群れは大抵人里に手を出し、駆除される。
やがて、余所から流れてきたゆっくりと戻ってきた賢いゆっくりが新しい群れを作る。
かなり乱暴な新陳代謝だった。
何らかの理由で群れが愚衆化したら、賢いゆっくりは身を隠す。非情な判断だが、それ
は仕方ない事だ。賢いとはいえ、ただのゆっくり。百以上のゆっくりによる破滅の行進を止
める事は不可能なのだ。暴走した群れは大抵人里に手を出し、駆除される。
やがて、余所から流れてきたゆっくりと戻ってきた賢いゆっくりが新しい群れを作る。
かなり乱暴な新陳代謝だった。
「もこたん。しばらくオフするお」
もこうはため息をつき、そう宣言した。
そんなある日。
「にんげんだお?」
竹藪の端の崖の上から、もこうは道路を見ていた。
車の滅多に通らない二車線道路。そこに大きなバイクが止まっていた。群れのある森へ
と続く山道の入り口だった。もこうは目立つ赤いリボンを外し、頭に竹の枝を乗せ、背景に
溶け込んでいる。
車の滅多に通らない二車線道路。そこに大きなバイクが止まっていた。群れのある森へ
と続く山道の入り口だった。もこうは目立つ赤いリボンを外し、頭に竹の枝を乗せ、背景に
溶け込んでいる。
「ふー。山の空気はいいねぇ」
バイクから降り、深呼吸しているお兄さん。七三分けの髪に、ちょっと外側に傾いた眉毛、
黒縁の眼鏡、薄茶色の背広という、サラリーマンな恰好だ。
だが。
男がポケットから櫛を取り出し、頭を何度か梳いた。
黒縁の眼鏡、薄茶色の背広という、サラリーマンな恰好だ。
だが。
男がポケットから櫛を取り出し、頭を何度か梳いた。
さふぁっ。
七三分けだった髪の毛が、大きくうねり真上へとそそり立つ。頭の左右はきれいに剃ら
れ、頭の中央から真上に逆立つ髪の毛。モヒカンだ。モヒカンヘアを無理矢理七三分けに
擬態させていた。
薄茶色の背広を脱ぐと、細い胸板が見える。
だが、男は両腕を持ち上げ、息を吸い込んだ。
れ、頭の中央から真上に逆立つ髪の毛。モヒカンだ。モヒカンヘアを無理矢理七三分けに
擬態させていた。
薄茶色の背広を脱ぐと、細い胸板が見える。
だが、男は両腕を持ち上げ、息を吸い込んだ。
「ぬぅうん!」
ドグン。ドグン。
心臓の鼓動が、もこうの隠れている場所まで聞こえた。そんな錯覚があった。
どういう仕組みか、細かった男の筋肉がむきむきと膨らんでいく。上腕や前腕に力こぶが
作られ、腹筋がむっつに割れ、胸筋は装甲のように変化する。元の三割ほど膨れ上がった
体躯。さきほどの面影はなく、今や荒々しい筋肉を纏った大男だった。
男は荷物からトゲ付き肩当てやアームガードを取り出し、腕や肩に取り付ける。さらにチ
ェーンやシルバーなど悪趣味なアクセサリを身に付け、大きな荷物を背負う。最後に眼鏡を
取ってサングラスをかけた。
どういう仕組みか、細かった男の筋肉がむきむきと膨らんでいく。上腕や前腕に力こぶが
作られ、腹筋がむっつに割れ、胸筋は装甲のように変化する。元の三割ほど膨れ上がった
体躯。さきほどの面影はなく、今や荒々しい筋肉を纏った大男だった。
男は荷物からトゲ付き肩当てやアームガードを取り出し、腕や肩に取り付ける。さらにチ
ェーンやシルバーなど悪趣味なアクセサリを身に付け、大きな荷物を背負う。最後に眼鏡を
取ってサングラスをかけた。
「ヒャッハー!」
両腕を掲げ、元気に叫ぶモヒカン男。
その姿はまさに世紀末バイオレンス。
その姿はまさに世紀末バイオレンス。
「いっせいくじょだお!」
もこうは囁くように叫んだ。いつもの駆除とは雰囲気が違うが、一斉駆除だろう。駆除が
行われる様子は何度も見ているが、それに慣れることはない。群れの仲間が人間に殺さ
れる。ゆっくりしていられるものではなかた。
行われる様子は何度も見ているが、それに慣れることはない。群れの仲間が人間に殺さ
れる。ゆっくりしていられるものではなかた。
「汚物はァ、消毒だー!」
腕を横に振る男。
「!」
もこうは赤い眼を見開いた。
男の指先から、赤い炎が燃え上がる。
男の指先から、赤い炎が燃え上がる。
炎。火。焔。
それはもこうにとって最も重要で、最も神聖なものだ。大きな炎を作れる者ほど、炎を上
手く操れる者ほどゆっくりしている。それがもこう種の価値観だ。
腕を曲げると、炎が消える。
手く操れる者ほどゆっくりしている。それがもこう種の価値観だ。
腕を曲げると、炎が消える。
「あのおにいさん……ほのおをあやつてってるお……!」
もこうの驚きには気付かず、男は森へと入っていった。
ざわざわと木のざわめきが響く。
「ヒャッハー! 出てこいや、クソ饅頭ども!」
数分前の普通のサラリーマン的雰囲気はどこへやら。モヒカン男はのしのしと森を歩きな
がら、サングラス越しに獲物の位置を計算していた。
がら、サングラス越しに獲物の位置を計算していた。
「ゆぅ。にんげんだよ! ちょうどいいところにきたよ」
「おい、くそにんげん。まりさたちはおなかがすいているんだぜ。だからあまあまをもってくる
んだぜ! すぐでいいのぜ、たくさんでいいのぜ? さっさとするんだぜ!」
「おい、くそにんげん。まりさたちはおなかがすいているんだぜ。だからあまあまをもってくる
んだぜ! すぐでいいのぜ、たくさんでいいのぜ? さっさとするんだぜ!」
目の前に飛び出してきたれいむとまりさ。どちらも見事に下膨れたゲス体型。目に光も無
く、小汚い。言動も含めてすぐに分かるゲス個体だった。
く、小汚い。言動も含めてすぐに分かるゲス個体だった。
「汚物は、消毒だァァァッ!」
モヒカンが右腕を一振りした。上から下に斬りつけるように。
ボウッ。
途端、れいむとまりさが赤い炎に呑み込まれた。
「ゆっ!」
悲鳴を上げる暇もない。ただ抵抗するようにもごもごと動き、動かなくなる。ゆっくりは饅
頭である。水気も多く、意外と燃えにくい。しかし、れいむとまりさは瞬く間に燃え尽き、一
握りの灰と化した。
頭である。水気も多く、意外と燃えにくい。しかし、れいむとまりさは瞬く間に燃え尽き、一
握りの灰と化した。
「なに、これ?」
それを見ていた一匹のありす。
はっと我に返り、モヒカン男を睨み付ける。
はっと我に返り、モヒカン男を睨み付ける。
「このいなかものおおおっ! ありすのともだちをかえしなさいっ! もしくは、すっきりどれ
いをよこしなさい。いっぱいでいいわ!」
いをよこしなさい。いっぱいでいいわ!」
ゴウゥッ!
モヒカンの左手の一振りで、炎に包まれ燃え尽きた。
「汚物汚物汚物~♪ 汚物はどこかな~♪」
鼻歌を唄いながら、モヒカンが歩いている。
右手の人差し指と中指を揃えて上に向けていた。指先から細長い炎が燃えている。風に
揺られて、小さく揺らめく炎。ほんの僅かに跳ねた。
右手の人差し指と中指を揃えて上に向けていた。指先から細長い炎が燃えている。風に
揺られて、小さく揺らめく炎。ほんの僅かに跳ねた。
「そこだああッ♪」
モヒカンが右腕を振り抜く。荒ぶる指揮者のように。
指先に灯っていた炎が膨れ上がった。蝋燭の炎から、炎でできた蛇へと。炎の蛇はまる
で生き物のように空中をうねり、地面に作られていた結界を貫通する。
炎が全て巣穴に消え。悲鳴が出てきた。
指先に灯っていた炎が膨れ上がった。蝋燭の炎から、炎でできた蛇へと。炎の蛇はまる
で生き物のように空中をうねり、地面に作られていた結界を貫通する。
炎が全て巣穴に消え。悲鳴が出てきた。
「いやああ! あぢゅいいいい!」
「ゆんやああぁぁ!」
「おかーしゃん、おかーしゃ……」
「ゆんやああぁぁ!」
「おかーしゃん、おかーしゃ……」
炎が巣の中のゆっくりに燃え移った。狭い巣の中では逃げる場所もない。熱さと痛みに
恐慌状態になりながら、ただ右往左往。何もできずに燃えていく。
巣の奥から聞こえてきた悲鳴は、すぐに消えた。
恐慌状態になりながら、ただ右往左往。何もできずに燃えていく。
巣の奥から聞こえてきた悲鳴は、すぐに消えた。
「ンっんー。なかなか素晴らしい歌だったぞ。25点だ。赤点、失格ー」
モヒカンが顔を上げ、投げやりに拍手をする。
「汚物発見!」
木の影から様子をうかがっていたぱちゅりーと目があった。その距離はおよそ四十メート
ル。何もない平地ならともかく、ここは障害物の多い森の中。人間が全力で走っても、捕ま
えるのは難しい距離だ。
ル。何もない平地ならともかく、ここは障害物の多い森の中。人間が全力で走っても、捕ま
えるのは難しい距離だ。
「だぁが、残念っ! そこは射程圏内だあああッ」
左足を思い切り振り上げた。サッカーボールでも蹴るように。
風切り音。
そして、ぱちゅりーが燃えた。
風切り音。
そして、ぱちゅりーが燃えた。
「むきゃああ! どぼじでえええ!?」
まさかこの距離で燃やされるとは思っていなかったのだろう。全身を焼く炎に何度か地面
をのたうってから、動かなくなる。
ゆっくりが消し炭になると、炎は消える。枯れ木や枯れ葉に引火することもない。
モヒカン男は両腕を広げ、手の平を上に向けた。
両手の平から燃え上がる炎。
をのたうってから、動かなくなる。
ゆっくりが消し炭になると、炎は消える。枯れ木や枯れ葉に引火することもない。
モヒカン男は両腕を広げ、手の平を上に向けた。
両手の平から燃え上がる炎。
「ヒャッハー! 次の獲物はどいつかなぁ?」
「す、す、すごいお……」
斜めに生えた竹や、隣り合った竹の枝を渡り、もこうは竹の梢まで昇っていた。もこうが
知る限り、一番高い場所である。普段は竹登りなどしないが、今は特別である。とにかく見
晴らしのよい場所まで行きたかった。
遠くから流れてくる焦げた匂い。火の香り。
木々に遮られ、森の群れの様子はよく見えない。しかし、もこうはモヒカン男の作り出す
炎を、本能で察知していた。
知る限り、一番高い場所である。普段は竹登りなどしないが、今は特別である。とにかく見
晴らしのよい場所まで行きたかった。
遠くから流れてくる焦げた匂い。火の香り。
木々に遮られ、森の群れの様子はよく見えない。しかし、もこうはモヒカン男の作り出す
炎を、本能で察知していた。
「ヒャッハー! 消毒消毒、消毒だー!」
「ゆんやあああ!」
「ゆんやあああ!」
炎の弾ける音。
ゆっくりの悲鳴。
炎の臭い。
炎、炎、炎。
ゆっくりの悲鳴。
炎の臭い。
炎、炎、炎。
「おにいさん、ほんとうにすごいお」
かつての群れの仲間が燃やされ殺されていく。だが、今のもこうにとって、それはもはや
些細な事だった。もこうの想像を超えたレベルで炎を操るモヒカン男。その技に、もこうの
心は奪われていた。
些細な事だった。もこうの想像を超えたレベルで炎を操るモヒカン男。その技に、もこうの
心は奪われていた。
「ああああっ! でいぶの、でいぶのおちびちゃんがああ!」
額から生えた茎を一瞬で燃やされたれいむ。茎に繋がった実ゆっくり五匹。焼かれて悶
えることもなく、一瞬で炭になったのは、まだ幸運な事だろう。
その犯人であるモヒカンを見上げ、れいむは頬を膨らませた。
えることもなく、一瞬で炭になったのは、まだ幸運な事だろう。
その犯人であるモヒカンを見上げ、れいむは頬を膨らませた。
「れいむはおこったよ! くそにんげんに、しゃざいとばいしょうをようきゅうするよ。あまあま
よこしてね。すぐでいいよ。たくさでいいよ」
「あついあついをあげるぜ! すぐあげるよ! 遠慮しなくていいよ!」
よこしてね。すぐでいいよ。たくさでいいよ」
「あついあついをあげるぜ! すぐあげるよ! 遠慮しなくていいよ!」
ボワッ。
その身体が炎に包まれる。
「ゆやあああッ! あつい、あつい、あぢゅいいいい!」
全身を焼く高熱に、地面を転がるれいむ。しかし、炎は消えない。それどころか容易く皮を
焼き尽くし、内部の餡子を燃やし、中枢餡まで灰に変える。
焼き尽くし、内部の餡子を燃やし、中枢餡まで灰に変える。
「ヒャッハー、今日も絶好調だぜ!」
モヒカン男の右手の先から、炎が燃え上がっている。
通称消毒モヒカンくん。
その正体は、加工所のゆっくり対策部の職員だった。普段はサラリーマンな恰好で仕事
をする大人しいお兄さんだが、ゆっくり駆除の時は世紀末バイオレンスな姿へと変身し、炎
を操りゆっくりをことごとく焼き殺していく。
なお、この炎は炎を操る能力や術ではない。
ドスパキノコのエキスを含む、対ゆ用特殊燃料。小型発火装置。全身に仕込んだ極細の
燃料パイプ。背中に背負った燃料タンク。マイコンによるそれらの制御。それらを組み合わ
せ、さらに空気の流れや湿度を読むことにより、まるで魔術のような炎操作を可能としてい
るのだ。
そういう技術を炎を操る能力と言うのかもしれない。
その正体は、加工所のゆっくり対策部の職員だった。普段はサラリーマンな恰好で仕事
をする大人しいお兄さんだが、ゆっくり駆除の時は世紀末バイオレンスな姿へと変身し、炎
を操りゆっくりをことごとく焼き殺していく。
なお、この炎は炎を操る能力や術ではない。
ドスパキノコのエキスを含む、対ゆ用特殊燃料。小型発火装置。全身に仕込んだ極細の
燃料パイプ。背中に背負った燃料タンク。マイコンによるそれらの制御。それらを組み合わ
せ、さらに空気の流れや湿度を読むことにより、まるで魔術のような炎操作を可能としてい
るのだ。
そういう技術を炎を操る能力と言うのかもしれない。
ずしんと地面が揺れる。
「ヒャッハー?」
モヒカンは振り返った。待ってましたとばかりに。
そこにドスまりさがいた。大きさは三メートル近い。ドスの中でも大きな部類に入るだろう。
怒りに顔を真っ赤に染め、凄まじい殺気をモヒカンに向けている。
そこにドスまりさがいた。大きさは三メートル近い。ドスの中でも大きな部類に入るだろう。
怒りに顔を真っ赤に染め、凄まじい殺気をモヒカンに向けている。
「このくそにんげん! なんてことしてくれたのぜ! おまえのせいで、ドスのむれはむちゃ
くちゃなのぜ! ぜんっめつっはゆっくりできないのぜ! いますぐかわりのどれいをもって
くるんだぜええ!」
くちゃなのぜ! ぜんっめつっはゆっくりできないのぜ! いますぐかわりのどれいをもって
くるんだぜええ!」
上下に揺れながら、ドスは咆えた。
両腕を持ち上げ、モヒカンは小馬鹿にするようにドスを見る。
両腕を持ち上げ、モヒカンは小馬鹿にするようにドスを見る。
「イヤなこった。誰がお前の言う事なんか聞くか。ばーか、ばーか」
ドスに背を向けて、お尻をぺんぺんと叩く。安い挑発だ。しかし、わかりやすさは、ゆっくり
相手には重要である。つまり、効果は抜群だ。
みしりと音を立てて、ドスの額に青筋が浮かんだ。血管は無いのだが。
相手には重要である。つまり、効果は抜群だ。
みしりと音を立てて、ドスの額に青筋が浮かんだ。血管は無いのだが。
「ゆおおお! ぜったいにゆるさないのぜえええ! ゆっくりじねええ!」
ドスは帽子から取り出したドススパークキノコを口に放り込んだ。
それを見て、モヒカン男が凶暴な笑みを見せる。
それを見て、モヒカン男が凶暴な笑みを見せる。
「ヒャッハー! それを、待ってたぜええええ!」
「おにいさん、なにするきだお?」
竹の梢から、もこうはモヒカンとドスの対決を見ていた。
幸い竹林の近くの広場で戦っているので、もこうにも様子は見える。
ドスと真正面から向き合い、モヒカンは怯んですらいない。ドスは顔を怒りに染め、キノコ
を咀嚼している。ドススパークはキノコ咀嚼から発射まで十秒ほどの時間が掛かる。その
間に対処すればいいのだが、モヒカンは動かない。
ドスパ自体ゆっくり以外にはただの眩しい光ということは、さておく。
ドスの口から薄い光が漏れた。
幸い竹林の近くの広場で戦っているので、もこうにも様子は見える。
ドスと真正面から向き合い、モヒカンは怯んですらいない。ドスは顔を怒りに染め、キノコ
を咀嚼している。ドススパークはキノコ咀嚼から発射まで十秒ほどの時間が掛かる。その
間に対処すればいいのだが、モヒカンは動かない。
ドスパ自体ゆっくり以外にはただの眩しい光ということは、さておく。
ドスの口から薄い光が漏れた。
「じね、ぐぞじじいいい!」
ドスが大きく口を開けた。
「ドススパァァァァク!」
爆音とともにドスの口から放たれる閃光。
同時、男が両腕を胸の前で交差させた。大きく息を吸い込み。
同時、男が両腕を胸の前で交差させた。大きく息を吸い込み。
「汚物は焦殺だあああッ!」
そして、モヒカンの口から放たれた特大の炎。
もこうは赤い眼を限界まで見開いた。それは信じられない光景だった。モヒカンの口から
放たれる火炎の大奔流。まさに炎の川だった。紅蓮が渦を巻き、唸り轟き、ドススパークを
真正面から受け止める。飛び散る爆光と炎の欠片。
もこうは赤い眼を限界まで見開いた。それは信じられない光景だった。モヒカンの口から
放たれる火炎の大奔流。まさに炎の川だった。紅蓮が渦を巻き、唸り轟き、ドススパークを
真正面から受け止める。飛び散る爆光と炎の欠片。
「うあ、あ……」
ドスの顔に映る焦りと恐怖。
モヒカンの炎がドススパークを押していた。
炎がドスの眼前まで迫る。
そこでキノコの効果も切れた。ドススパークが消える。
しかし、モヒカンも同時に炎を消した。
少し焦げたドスの前髪。
モヒカンの炎がドススパークを押していた。
炎がドスの眼前まで迫る。
そこでキノコの効果も切れた。ドススパークが消える。
しかし、モヒカンも同時に炎を消した。
少し焦げたドスの前髪。
「う、うそなんだぜ……」
必殺のドススパークを防がれ、ドスは激しく動揺していた。一撃必殺、絶対無敵。いわば
絶対の自信である。たとえ同じドスでも、ドススパークは防げない。だというのに、モヒカン
がそのドススパークを真正面から弾いた。
恐怖に全身を震わせ、滝のような脂汗を流し、ドスはモヒカンを凝視する。
絶対の自信である。たとえ同じドスでも、ドススパークは防げない。だというのに、モヒカン
がそのドススパークを真正面から弾いた。
恐怖に全身を震わせ、滝のような脂汗を流し、ドスはモヒカンを凝視する。
「この程度かぁ、オイ? 二発目は撃たないのか? ちゃんと待ってやるからよう?」
凶暴な笑みを浮かべ、モヒカンが徴発する。
ドススパークと同威力以上の火炎を放つモヒカン。しかも、さっきの火炎は全力ではない。
今の態度から、それは容易に分かってしまう。
剥き出しの殺気に、ドスの眼に涙が浮かぶ。
そして、ドスの心は折れた。
ドススパークと同威力以上の火炎を放つモヒカン。しかも、さっきの火炎は全力ではない。
今の態度から、それは容易に分かってしまう。
剥き出しの殺気に、ドスの眼に涙が浮かぶ。
そして、ドスの心は折れた。
「ごべんだざいいい! ドスのまけですうう! ゆるじでぐだざいいい! いのぢだげはだず
げでぐだざいいい! いやじゃああ、あついのはいやじゃああ! しにぢゃくないいいい!
ゆっくちいぃ、ゆっくちたいいいいい!」
げでぐだざいいい! いやじゃああ、あついのはいやじゃああ! しにぢゃくないいいい!
ゆっくちいぃ、ゆっくちたいいいいい!」
幼児退行を起こしながら、必死に土下座する。
しかし、モヒカンは容赦しなかった。
しかし、モヒカンは容赦しなかった。
「ヒャッハァァァ! 汚物はぁ、消毒だァァァァ!」
炎が。
ドスを呑み込んだ。さきほどの炎よりも巨大で凶暴な大火炎。ドスの巨体を一瞬で呑み
込み、渦を巻き、天へと舞い上がる。それは赤い魔物だった。
ドスを呑み込んだ。さきほどの炎よりも巨大で凶暴な大火炎。ドスの巨体を一瞬で呑み
込み、渦を巻き、天へと舞い上がる。それは赤い魔物だった。
「…………」
もこうはその炎に魅入っていた。
もこう種は炎を操れる。
しかし、その大きさはロウソク程度。頑張っても焚き火程度。
このモヒカンが操る炎は、モヒカン自身の身体の数十倍、いや数百倍にも届くだろう。小
さな炎しか操れないもこうには、モヒカンの炎捌きは理解の外だった。神の領域と言って差
し支えない。
興奮と感動で、眼から涙がこぼれる。
もこう種は炎を操れる。
しかし、その大きさはロウソク程度。頑張っても焚き火程度。
このモヒカンが操る炎は、モヒカン自身の身体の数十倍、いや数百倍にも届くだろう。小
さな炎しか操れないもこうには、モヒカンの炎捌きは理解の外だった。神の領域と言って差
し支えない。
興奮と感動で、眼から涙がこぼれる。
「もこたん、インするおおおおッ!」
もこうは跳んだ。竹のしなりを利用し、モヒカンのいる方向へと。
おそらをとんでるみたい。そんな台詞を口にすることもなく、ただまっすぐに跳ぶ。
おそらをとんでるみたい。そんな台詞を口にすることもなく、ただまっすぐに跳ぶ。
べちゃ!
そして落ちる。
普通のゆっくりなら即死するような大ジャンプ。だが、もこうは不死種とも呼ばれるほど頑
丈なゆっくりである。痛みに痙攣しながらも、顔を上げた。
普通のゆっくりなら即死するような大ジャンプ。だが、もこうは不死種とも呼ばれるほど頑
丈なゆっくりである。痛みに痙攣しながらも、顔を上げた。
「おにいざんっ……」
「おっ。新手か? んー。こいつは、もこうか?」
「おっ。新手か? んー。こいつは、もこうか?」
突如現われたゆっくりに、モヒカンは興味深げに視線を向けてきた。いきなり空からもこう
が降ってきた。滅多にあることではない。
もこうはその場に跳ね起き、勢いよく土下座をした。
が降ってきた。滅多にあることではない。
もこうはその場に跳ね起き、勢いよく土下座をした。
「おにいさん、おねがいです! もこうをでしにしてくださいッ! もこうもおにいさんみたい
に、ほのおをあやつれるようになりたいですっ!」
「見てたのか」
に、ほのおをあやつれるようになりたいですっ!」
「見てたのか」
気恥ずかしそうに頭を掻くモヒカン。
数秒の黙考を挟んでから。
モヒカンはハイテンションな声で答えた。
数秒の黙考を挟んでから。
モヒカンはハイテンションな声で答えた。
「ヒャッハー。弟子入りを許可するぜェェェ!」
「!」
「!」
もこうが顔を上げると、モヒカンは右手を勢いよく空に向けた。その手から赤い炎が生ま
れる。松明ほどの炎が、揺らめきながら燃えていた。
れる。松明ほどの炎が、揺らめきながら燃えていた。
「俺の事は『師匠』と呼べ。ヒャッハー!」
「ししょおおおお!」
「ししょおおおお!」
感激の涙とともに、もこうは叫んだ。
とある加工所の地方支部。
サラリーマン姿に戻ったお兄さんが、机に向かって書類をまとめていた。その横に置かれ
た丸椅子に、もこうが座っていた。頭には銅バッジが付けられている。
サラリーマン姿に戻ったお兄さんが、机に向かって書類をまとめていた。その横に置かれ
た丸椅子に、もこうが座っていた。頭には銅バッジが付けられている。
「どういえば、もこうくん」
「ししょう……。べつじんになってるお……」
「ししょう……。べつじんになってるお……」
あまりの豹変振りに、もこうは戦いていた。
「普段の私はこんなものさ。君のいた群れだけどね。管理ゆっくりにしようという動きが出て
るんだ。賢い時とゲスな時の落差が大きいからね。うん」
るんだ。賢い時とゲスな時の落差が大きいからね。うん」
書類を眺めながら説明する。人里近くの不安定な群れを人間の管理下に置き、色々手を
加えて安定させる。加工所はそういう仕事もやっている。
加えて安定させる。加工所はそういう仕事もやっている。
「これからは群れの暴走に悩まされることもなくなるよ」
「それはうれしいんだお」
「それはうれしいんだお」
のーびのーびしながら、もこうは笑った。