ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko1484 ゆっくり愛護法改正案可決
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ankoss
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!!注意!!
初SSにして俺設定から始まるすーぱー駄文たいむです。
なんだか文章もバランスも構成もおかしいです。
それでも良いって人は読んでくれるとうれしいよ!
目次
●プロローグ
・ニュース番組にて
・3人の虐待お兄さんの場合
・愛でお兄さんと銀バッチれいむの場合
●本編
・ふとっちょお兄さんの場合
ニュース番組にて
「本日行われた通常国会で、ゆっくり愛護法改正案が可決されました」
夕刻のニュース番組。女性アナウンサーが一つの恐ろしい話題を伝える。
「かねてより民社党のホズミ議員を中心に推進されていたこの改正案はいったいどういったものなのでしょうか?政治評論家の村木さんに窺いたいと思います」
女性アナウンサーの言葉を受けて、隣に座っていた初老の男性がフリップを取り出し、説明を始める。
「はい。今回可決された改正案が施行されますと、このようになります。フリップをご覧ください
今までは、飼育ゆっくり、いわゆるバッチ持ちのゆっくりに危害を加えた場合に、このように懲役3年、もしくは10万円以下の罰金が科せられたわけですが、今回の改正案により人に飼われていない、いわゆる野良ゆっくりに対して危害を加えても同様の罪に問われるということになります」
「農作物を荒らすなど、人間に害を与えるゆっくりに対する対応はどうなるのでしょうか?」
「今までは被害者である畑の所有者等が、自主的に駆除を行っていましたが、改正案施行後は保健所の職員及びゆっくり管理協会が要請を受けて駆除に当たるという形になります」
「なるほど。しかしそれでは対応に遅れが出るのではありませんか?」
「はい。農業従事者を中心に今回の法改正には不安の声が上がっています」
「それに関して、当局では国内の20歳以上の男女2000人を対象に世論調査を行いました。結果としましては『ゆっくりをどう思うか?』との質問に対しては、『見ているとイライラする』18.3%、『とてもイライラする』が24.6%であわせて42.9%となり、『かわいいと思う』『とてもかわいいと思う』の29.1%を大きく上回る結果となっています。同様に今回の法改正に対しても、反対が42%と賛成の24%を上回っています。このように世論では強い反発を受けている法改正ですが、どうして今回可決の運びとなったのでしょうか?」
「ひとつの理由としては、諸外国からの圧力です。ご存知のようにゆっくりは国内にしか存在しません。ある種の希少動物として保護するべきだとの声は以前からあったわけですが」
「はい」
「しかし今までは、『ゆっくりは饅頭であり、生物ではない』という主張のもと、誰の所有物でもないゆっくりは保護を受けていなかったわけです」
「それがどうして保護される形になったのですか?」
「いくつかの大学の研究室および著名な生物学者達が、『ゆっくりは生物である』という結論を先日だしたことがきっかけであると思われます。これを受けてゆっくりは希少な動物であるから虐待は避けるべき、との主張が強まったわけです」
「ゆっくりは生物なのですか?」
「生物の定義というのは、まだ確固とはしていないのですが、一般的に『外部と隔てる膜がある』『増殖する』『代謝を行う』という三点で決定されます。その観点から見ればゆっくりがいかに餡子と小麦粉で構成されようと、生物である、というのが先だって出た結論です」
「なるほど……。村木さんありがとうございます。
世論に反発する形で可決されたゆっくり愛護法改正案。施行は1ヶ月後となりますがまだまだ物議を呼びそうです。では、次の特集です」
ゆっくり愛護法改正案。
1)人間に飼育されるゆっくり、野生のゆっくりを問わず、ゆっくりを直接に虐待(基準は別紙参照)、もしくは殺害したものには3年の懲役。もしくは10万円以下の罰金を科す。
2)ゆっくりの食用へ加工はこれを禁じる。
3)2)は食料危機に見舞われている海外への輸出用ゆっくりに関してはその限りではない。
4)害ゆっくりの認定と処分に関しては、担当の保健所及びゆっくり管理協会に申請をし、担当職員にその処分を任せなければならない。
後に世紀の悪法として名を轟かせる法案が国会を通過した。
このニュースは多くの人間、そしてゆっくりに様々な影響を与えた。今回はいくつかの例を見てみたいと思う。
3人の虐待お兄さんの場合
番組がゆっくり愛護法改正案についての話題を伝えるのを見ている三人のお兄さんがいた。
「クソッ。俺たちの改正反対運動も徒労に終わったって事か……」
背の高いお兄さんが言葉をこぼす。
「ゆっくりが生き物だって? 馬鹿馬鹿しい。そんな理由であいつらを潰せなくなるっていうのかよッ!」
やや太り気味のお兄さんが吐き捨てる。
「改正案可決の本当の理由は、違うんだろうがな」
メガネのお兄さんがつぶやく。
「どういうことだよ?」
メガネの言葉に背高が反応する。
「脳内がゆっくり並みのホズミ議員は別として、他の連中が賛成票を投じたのは、ズバリ金のためだろうぜ」
「ゆっくりを虐待しないことが、金になるのか?」
太っちょが怪訝そうに尋ねる。
「改正案で設立される『ゆっくり管理協会』だよ。害ゆっくりの認定と駆除なんていう単純な業務の癖に、かなりの特別予算が割り当てられることになってる。議員官僚の皆様方からすれば格好の天下り先になるだろうな。
ま、偉い偉い政治家の皆様が住んでいるような地域では、かなり徹底的にゆっくり駆除が行われてきたからな。奴らゆっくりのウザさをほとんど知らないっていうのもあるだろうが」
「腐ってやがる」
背高がうめく。しばしの沈黙の後、メガネが二人に対して尋ねる。
「それより、これからどうする? 法改正撤回を求めて何か運動をするか?」
メガネの言葉に、ふとっちょは首を振る。
「俺は降りる。もうちんたら署名活動なんてゴメンだ」
「そうか。お前は?」
背高は曖昧に笑いながら答える。
「俺は、とりあえず実家に戻るよ。お袋たち、農家やってるんだ。フェンスとか作らないといけないかもしれないし」
「だろうな。何か力になれることがあるかもしれない。場合によっては連絡をくれ」
「ああ。じゃあ俺は行くよ」
背高が去っていく。それを見送ると、ふとっちょはメガネに尋ねた。
「それで、お前はどうすんだ?」
「俺はやれることをやるさ。可決はされちまったが、施行までは時間があるんだ。ギリギリまで粘るよ」
「がんばってくれ。俺もやりたいことはあるんでな。もう帰るよ」
ふとっちょはそう言うとにやりと笑う。その瞳に虐待師としての炎が宿っていることを見てメガネも微笑む
「ああ。お前がなにをするか、楽しみにしているよ」
三人のお兄さんは別の方法で、ゆっくり愛護法改正案、ゆ愛法改正と戦うことを心に決めそれぞれの道をゆくのであった。
愛でお兄さんと銀バッチれいむの場合
「ゆ愛法改正かぁ。まあ、俺には関係ないかな。愛で派だし」
「ゆゆ?いまテレビさんにに他のゆっくりが出ていたよ?」
銀のバッチをつけたれいむが、飼い主のお兄さんの隣で飛び跳ねながら尋ねる。
お兄さんはそんなれいむに微笑みながら答えてやる
「ゆっくりに関するルールが変わったんだ。そのニュースだよ」
「ルールさんが?れいむどうなるの??」
れいむをそれを聞いて、すこし心配そうな顔をする。
「れいむには関係ないさ。
野良のゆっくりをいじめちゃいけませんってことになったんだ」
「ゆゆ~!それはゆっくりできるニュースさんだよ! 明日公園のまりさに教えてあげるよ!」
「そうしてあげなさい。でも、そのルールになるのは1ヶ月後だよ?」
「ゆゆ!ゆっくりりかいしたよ!」
次の日。公園に散歩にきたれいむはそこでよく会うまりさにニュースを伝えた。
「ゆゆ!まりさゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!」
「まりさ、とってもゆっくりできるお知らせがあるよ!」
「ゆ?なんなのぜ?」
「人間さんがゆっくりをいじめちゃだめっていうルールができたんだよっ!これでまりさもゆっくりできるよ!」
「ゆゆゆ!ほんとうなのぜ!? それはとってもゆっくりできるのぜ!」
まりさはれいむにニュースを伝えられるや否や、すぐにでも他のゆっくりに伝えようと走り出そうとした。それを見てれいむは大切なことを伝える。
「あ、でもねでもね。そのルールさんになるのは1ヶ月後なんだよっ!それは注意だよ!」
「いっかげつご?それはいつなのぜ?」
「30回すーやすーやしたあとなんだよ!」
「わかったのぜ! たくさんすーやすーやすればいいんだぜ! このゆっくりできるニュースをぱちゅりーにもおしえてくるのぜ!」
「ゆゆーん。じゃあまた明日ねっ!」
「またあしたなのぜ!」
この銀バッチれいむから野良まりさの例のように。
飼い主から飼いゆへ、飼いゆから野良ゆへ、野良ゆから別の野良ゆへと。ゆ愛法改正の話題は瞬く間にゆっくりたちの間に広がっていった。
ふとっちょお兄さんの場合
ゆ愛法改正から一週間後。
市街地から少し離れたところにある森。そこには多くのゆっくり達が暮らしていた。
年に何組かの番が街へと降りて行くこともあるが、基本的にそこは最高のゆっくりぷれいすだった。
天敵となる獣はほとんどおらず、人間もあまり近づかない。森の中にはきのこや虫などゆっくりの食料になるものが豊富にある。そんな中でゆっくりたちはいくつかの小さな群にわかれて森の各所に点在していた。
そしてかつてその森に開発計画が持ち上がったときに切り開かれた広場には所属する群を問わず多くのゆっくりがくつろいでいた。
「ゆゆー!まつんだぜ!まりささまにゆっくりつかまるんだぜ!」
蝶々をおいかけるまりさ。
「まりさはさわがしいわね。わたしたちはとかいはにひなたぼっこでゆっくりするわ」
「むきゅー。ぱちゅりーもひなたぼっこをするわ」
一緒にひなたぼっこをするぱちゅりーとありすの夫婦
「おちびちゃんたち!きょうのうんどうさんをするよ。ほら、こーろこーろ」
「きょーろきょーろ!」
「ゆゆ!とってもゆっくりしたこーろこーろだよ!おちびちゃんたちはせかいいちのゆっくりだよ!」
「れいみゅのみゃみゃもちぇかいいちゆっくちちたみゃみゃだよ!」
「ゆゆーんおちびちゃんたちかわいいよおおおお!」
れいむと赤ゆ達はころころと転がっている。
それ以外にも総勢で30匹ほどのゆっくりが思い思いの方法でゆっくりしていた。
「ゆ? なにかおとがするんだぜ」
そのとき蝶々を追いかけていたまりさが、重く響くような音に気づいてあんよを止めた。
「むきゅ! あれはくるまさんよ!にんげんさんののりものなのだわ!」
「にんげんさんの!? それはゆっくりできないよ! おちびちゃんたち! こーろこーろするのはやめておうちにかえるよ!」
森に住むゆっくりとはいえ人間の恐ろしさはよく知っていた。街にあまあまを手に入れにって、満身創痍で帰ってきたゆっくりは沢山いたし、そのまま帰ってこなかったゆっくりはそれこそ数え切れない。
ゆっくりたちは我先にと森の中に逃げ込もうとする。しかし所詮はゆっくり。1匹も森にたどり着くことは無く、広場に2トントラックが止まり、中から一人の男が出てくる。
それはゆ愛法改正のニュースを聞いて憤っていたふとっちょお兄さんだった。
ふとっちょお兄さんは森へ駆け込もうとするゆっくりたちを見ると、口に手を当てて大きな声で叫んだ
「ゆっくりしていってね!」
「「「ゆっくりしていってね!!!」」」
悲しい本能故に、ゆっくりたちは言葉を返すために立ち止まってしまう。その間にふとっちょお兄さんは最後尾にいたれいむの親子に近づいた。
「ゆゆ! おにいさん! ゆっくりしていってね! れいむたちはなにもわるいことをしてないからゆっくりみのがしてね!」
母れいむの言葉にふとっちょお兄さんは怪訝そうな顔をする。
「あれ? ここのゆっくりにはまだ伝わってないのか。折角法改正のニュースが浸透するまで一週間も待ったのにな……」
「ゆゆ? なんのこと? ようがないなられいむたちはかえるよ! いくよおちびちゃんたち……どぼぢでぼうぞんなどごろにいるのおおおおおおおお!?」
母れいむがふとっちょお兄さんと話している間に、赤ゆを含めたすべてのゆっくりは森に向かって移動していた。気づけば母れいむだけがふとっちょお兄さんの前にとりのこされる形になっている。
「みゃみゃはほんちょうにぐじゅだね! れいみゅたちはちゃきににげりゅよ!」
「みんなまってね! いまおかあさんもそっちにいくよ!」
「まあ待てって。俺はお前達と仲直りしにきたんだ。ほれ。あまあまも持ってきてるぞ」
ふとっちょお兄さんはそう言うと常備しているスニッカーズ(120円)を取り出し、袋を開けて母れいむの前に置いた。
美味しそうなあまあまの香りに、母れいむは逃げ出すという選択肢を消して、すぐさまそれにかぶりついた。
「ゆっ!? とってもおいしそうなあまあまさんだよ!……し、し、しあわせぇぇぇぇぇ!!」
たっぷりのチョコとキャラメルで出来たお菓子を食べて母れいむが歓喜の声をあげる。
その様子を見て、森に逃げ込もうとしていた他のゆっくりや赤ゆたちが広場の中央へと戻ってくる
「みゃみゃ!あままましゃんをひとりぢめちようなんてじゅりゅいんだよ! はやくれいみゅたちにもちょうだいね!」
「まりさもあまあまさんほしいんだぜ! ゆっくりしてないではやくよこすんだぜ!」
ゆっくり伝手に聞いていた人間の恐怖よりも、あまあまへの欲望が勝りみな我先にとふとっちょお兄さんの元へと集まってくる。
「そう慌てるな。ほれお前達にもやるよ」
ふとっちょお兄さんは次々とスニッカーズを取り出すと、バラバラとゆっくりたちの前に投げてやる。
「ちちち、ちあわちぇぇぇぇぇ!」
「うっま、これめっちゃうま!」
広場にいたほぼ全てのゆっくりがあまあまに夢中になりがつがつとむさぼる。
そんな中、ぱちゅりーとありすの夫婦だけがそれを後ろから遠巻きに見ていた。
「ん? どうしたお前達はいらないのか?」
「むきゅ。そんなことよりわたしたちとなかなおりしたいっていうことばがきになるのだわ」
「わたしはこのあまあまをほかのむれのみんなのところにもっていくわ。ひとりだけあまあまをたべるなんてとかいはじゃないわ」
「なかなか賢そうなやつらだな。そういうのがいるなら話が早い。説明してやるよ
実はな。俺達人間のルールが変わって、ゆっくりをいじめちゃいけないことになったんだ。その話は誰も知らないか?」
「むきゅう。きいたことないわ。ありすはしってる?」
「きいたことないわ。そんなとかいはなはなしをきいたらわすれないもの」
「そうか。おい。お前らはどうだ? この話を知ってるか?」
スニッカーズを貪るほかのゆっくりに尋ねてみるが、ほとんどが食べるのに夢中でふとっちょお兄さんの声は届かないようだった。そんな中いちはやく食べ終わったまりさが声をあげる。
「そういえばそんなはなしをまちのこうえんにいるまりさからきいたことがあるのぜ」
「むきゅ! どうしてそんなたいせつなことをおさのぱちゅりーにいわなかったの!」
「ふっ。まりさはかこにしばられないのぜ」
「まあ、どうでもいいが、つまりそういうことだ。人間はゆっくりをいじめなくなる。仲直りしたいんだ。だからあまあまをもってきたってわけさ」
「やっとくずのにんげんさんもまりささまのいだいさがわかったようだね! でもこんなすこしのあまあまさんじゃいままでのつみはあがなえないのぜ! もっとたくさんあまあまさんをまりさたちにみつぐのだぜ!!」
まりさの尊大な態度にふとっちょお兄さんの頬がぴくりと痙攣する。それを隠すように無理やり笑みを浮かべるとお兄さんはまりさを含めたほかのゆっくりにも聞こえるような声で説明をした。
「そう言うと思って沢山あまあまを用意したよ。でもね。これはこの森のゆっくり全員のためのあまあまなんだ。だからほかのゆっくりたちもここに連れてきてくれないと残りのあまあまは渡せないな」
「ゆ! ほかのみんなにはまりさがとどけるのぜ! だからはやくあまあまさんをわたすのだぜ!」
言うが早いかまりさはふとっちょお兄さんの足に体当たりをかましてくる。反射的に蹴り飛ばしそうになるのを必死で押さえ、お兄さんはその場にいる全員に対して条件を出す。
「まあ落ち着けって。じゃあこうしよう。ほかのゆっくりをつれてきたやつには、多めにあまあまをあげよう。特に赤ゆや、妊娠中の奴を連れてきたゆっくりには特別なあまあまをあげるよ」
「それはつまり、どういうことなんだぜ?」
「ここに一番沢山ゆっくりを連れてきてくれた奴には、一番沢山あまあまをやるってことだ。理解したか?」
「「「!!……ゆっくりりかいしたよ」」」
「じゃあほかの奴らをつれて来い。いいか、なるべく全員だぞ!」
ふとっちょお兄さんが言葉を言い終わる前に、その場にいたゆっくりたちはゆっくりらしからぬすばやさで森に仲間を呼びに走り去っていた。あまあまをあげるという魔法の言葉に抗えるゆっくりはほとんど存在しない。現に先ほどまで不審そうにこちらを窺っていたぱちゅりーとありすの夫婦も仲間のところへと走っている最中だった。
「さて。やつらが戻ってくるまでに準備をするか……」
ふとっちょお兄さんはそうつぶやくとトラックの荷台を開けた。
そこにはいくつかのダンボールと、5人の男女達が乗っていた。
「うわ、まぶしっ」
そういってサングラスをかける青年。
「やっとお楽しみタイムですか?」
ふとっちょお兄さんと同じくらいの年齢の青年。
「もう私待ちきれませんよぉ」
ピンヒールを履いた長い髪のお姉さん
がやがやと降りてくる彼らは今回ふとっちょお兄さんが計画した企画の賛同者たちだった。ふとっちょお兄さんは彼らにこれからの手順を説明する。
「残念ながらお楽しみタイムはまだです。いまは奴らがほかの連中を呼びに行ってるので。その間にこの支柱を今から言うところに埋めてきてください」
そういうとお兄さんは4人に無線機とネット、そして1メートル以上ある金属製のポールを手渡した。底の部分は釘状になっていて、全体に何かを留める為の金具がついている。
「ウィース!」
「わかりました」
各々返事をして各自のポジションへと散ってゆく。それを見届けると残った1人にも仕事を伝える。
「あと君は下で待機している仲間達と一緒に、道具の準備を。こっちの用意が出来たら無線で連絡するから」
「了解です!」
「さあ、後に待つお楽しみのために準備は抜かるなよぉ」
つぶやきながらふとっちょお兄さんは期待に頬をゆるめるのだった。
一方そのころ。
「れいむ! ゆっくりしてないではやくでてくるんだぜ!」
先ほどふとっちょお兄さんの足にぶつかったまりさはそう叫びながら自分の巣へと飛び込んだ。
そこには頭から茎を生やし、4匹の赤ゆを実らせたれいむがくつろいでいた。
「ゆゆ? まりさおかえりなさい。どうしたのゆっくりしてないよ? うまれてくるあかちゃんのためにもゆっくりしていってね!」
「そんなことをいってるばあいじゃないのぜ! はやくひろばにいくのぜ!」
まりさはれいむに事情を説明した。
「あまあまさんがもらえるの? それはゆっくりできるね! でもれいむはあかちゃんをにんっしんっしているんだよ? うごきまわったらあかちゃんたちゆっくりできないよ!」
妊娠中のゆっくりが動き回ることは大変な危険を伴う。植物型であれば茎から赤ゆを落としてしまうかもしれないし、胎成型であれば母体への衝撃がそのまま赤ゆへのダメージになうる。よってほとんどのゆっくりは妊娠中に巣から外に出ることは無い。だがあまあまに目がくらんだまりさはそれを無視して広場に向かうように迫る。
「なにばかなこといってるんだぜ? れいむがいかないとまりさがあまあまさんもらえないのぜ! にんっしんっしているゆっくりをつれていけばとくべつなあまあまがもらえるのぜ! れいむはまりさがあまあまさんもらえなくてもいいの!?」
「でもね、まりさ。ぴょんぴょんしたらあかちゃんたちがくきからおちちゃうかもしれないよ? そしたらゆっくりできないよ。だから……」
「でもねじゃないんだぜええええええ!? だったらとっととずーりずーりしてひろばにいけばいいのだぜ!!? 」
激高するまりさにれいむは説得をあきらめ、這って広場へと向かうことにする。
「ゆぅぅ……。わかったよまりさ。ずーりずーり。ずーりずーり」
「まったくれいむはぐずなんだぜ。こんなぐずなれいむとけっこんっしたまりさはふこうなやつなんだぜっ。
おっと。こんなことしてるばあいじゃないんだぜ。おとなりのれいむやおむかいのありすにもつたえなきゃなんだぜ!」
こんな具合にしてまりさは合計10匹以上のゆっくりたちに広場に向かうように伝えた。不安がってしり込みする相手にはぷくーも辞さない姿勢だった。
最後のありすを広場にむかわせると、いつもはゆっくりの気配がひしめいている森からは、すっかりそれが消えていた。
「みんなをさそっていたらすっかりおそくなったのだぜ! はやくひろばにいってあまあまさんをもらうのだぜ!」
まりさがいそいで飛び跳ねていると、前方に頭から茎を生やし、ずーりずーりと移動するれいむがいた。
「まだこんなところでくずぐずしているのぜ? はやくひろばにいかないとあまあまさんがとられちゃうかもしれないのぜ!」
「ゆゆ。そんなこといったってまりさ。ずーりずーりじゃはやくいどうできないよ」
「だったらぴょんぴょんすればいいのだぜ! なんでそんなこともわからないの? れいむはばかなの? ほんとうにゆっくりなの?」
「うう。でもぴょんぴょんしたら……」
「とっととやるんだぜこのぐずれいむ!」
「……ぴょーん、ぴょーん」
まりさの剣幕に、れいむはおそるおそるぴょんぴょんする。
「そんなにのろまなぴょんぴょんがどこにあるんだぜ! やるきをださないれいむにはこうなんだぜ!」
しかし茎の赤ゆに気を使って遠慮がちにぴょんぴょんするれいむの姿は、まりさにはやる気が無いと映った。
まりさははやくいけとばかりに体当たりをかます。
「ちょっと、まっ、ぶげぇ!」
「もういいんだぜ! まりさはさきにいくのぜ!」
れいむを連れていかなくても、まりさは10匹以上を広場に向かわせたのだ。沢山あまままをもらえるに違いないと、まりさは苦しむれいむに背を向けて広場へと向かおうとする。
「ま、まりざぁ、あがぢゃんが、あがぢゃんがぁあああ!」
自分を置いて去ろうとするまりさにれいむは悲痛な声をあげる。
その足元にはふぁーすとちゅっちゅを地面で済ませた4匹の赤ゆがいた。
まりさの体当たりの衝撃で、茎からすべての赤ゆが落ちてつぶれてしまったのだ。
「なんなのぜ! まりさはいそいでるのぜ! いいかげんにしないと……どぼぢであがぢゃんがぢんでるんだぜええええええ!」
「ばりざの、ばりざのせいでしょおおおおお!でいぶの、でいぶのあがぢゃんがああああ!」
「なにをいってるんだぜええええ!? あかちゃんがいるのにぴょーんぴょーんするれいむがわるいんだぜえええ!このこどもごろしがああああああ! まりさの!まりさのゆうしゅうなあかちゃんをよくもころしてくれたんだぜえええええ!」
罪の意識から逃れるためか、それとも本当に数秒前の自分の言動を忘れてしまったのか。まりさはすべての責任をれいむになすりつけると大きく飛び上がった。
「じぶんのこどもをころすれいむは、せいっさいっするんだぜえええ!」
「げろぶげっえええ!」
「せいっさいっ!せいっさいっなんだぜえええ!」
「ゆげぇ……」
口から餡子が飛び出し動かなくなるまでれいむを踏みつけると、まりさは半死半生のれいむにつばを吐きかける。
「こんなぐずとのあいだにあかちゃんをつくったまりさがばかだったのぜ。ゆんせいのおてんなのぜ」
「ば、ばりざぁああ……」
「そこでえいえんにゆっくりするのぜ。まりさはあまあまさんをたべて、もっとすてきなびゆっくりとすっきりして、ゆうしゅうなこどもをつくるのぜ」
捨て台詞を残すと今度こそまりさはれいむに背を向けてその場を離れていった。
「うう、おぢびぢゃん、ごべんねぇええ、おがあざんが、あんなばりざのいうごどをぎいだぜいでぇぇぇぇ」
残されたれいむは潰れてしまった赤ゆ達に謝罪をしながら、息を引き取ろうとしていた。赤ゆの姿を探して、ほとんどみえなくなった目を動かす。
「ゆ゛? 」
その視界に奇妙なものが入った。それは他の樹よりも低く、硬そうな樹を地面に突き刺している人間だった。
それがいったい何のために行われているのか。それを考える間もなくれいむはそのゆん生を閉じた。
「これは、すごいなぁ……」
広場に展開されている光景を見て、ふとっちょお兄さんは思わずつぶやいていた。
目の前の広場はゆっくりで埋め尽くされていた。
成体となったゆっくりだけでも、もしかしたら200に届くかもしれない。子ゆっくりや、赤ゆっくりを加えればおそらく300を超えるだろう。その迫力は想像以上だった。
きっとこの森はゆっくりたちにとって相当のゆっくりぷれいすだったのだろう。これだけの数が繁殖するなど並大抵のことではない。それとも人間が気づいていないだけで、街にもこれだけのゆっくり密度でゆっくりは存在しているのだろうか? お兄さんはある種のそら恐ろしさを感じた。
一方ふとっちょお兄さんの胸中とは無関係にゆっくり達は好き勝手に騒いでいる。ただでさえ騒々しいゆっくりが、300匹もいるのだ。その騒音具合といったら並大抵のものではない。
「はやくあまあまをちょうだいね! れいむはしんぐるまざーなんだよ! ほかのみんなよりたくさんほしいよ!」
「このくちょどりぇい、ぐじゅぐじゅしちぇにゃいであみゃあみゃをよこちぇ!」
「やくそくをまもらないにんげんさんはしんでね!」
「むきゅー。おさのぱちゅりーにわたせば、しっかりぶんっぱいっするわよ!」
「ありすはいなかくさいあまあまさんはいらないわ。とかいはなあまあまさんをちょうだいな」
その数からくる迫力と、次々と飛んでくる罵声へのむかつき、そしてこの後することへの期待がない交ぜになって、少しの間金縛り状態になっていたふとっちょお兄さんは足元にぶつかるまりさの存在に気づかなかった。
足に三度目の衝撃が加わって初めて、お兄さんは足元を見る。
「まりさがいちばんたくさんつれてきたんだぜ! だからはやくあまあまさんをよこすんだぜ!」
おそらく先ほども足にぶつかってきたまりさであろう。相変わらず尊大な態度だった。なぜか体のところどころには餡子が付着している。
「わかったよ。ほらっ」
まりさに急かされたからというわけではないが、太っちょおにいさんはトラックの荷台から取り出したダンボールの中身を広場の中央にばらまいた。
飴にチョコレートにクッキー。包装紙に包まれた大量のお菓子がゆっくりたちに降り注いだ。
「あまあまさんなのぜ! ぜんぶまりさのものなのぜええええ!」
「そでばでいぶのあまあまなのおおおお!まりさはどいてねぇええええ」
「れいみゅにあまあましゃんをよこちゃないじじいとばばあはちんでね !きゃわいくってごみぇんね!」
「むきゅーみんなでなかよくたべましょう! ね、まりさ…ぼげぇえ!」
「ちょっと! ぱちゅりーになにをするの! こんなのとかいはじゃないわ!!」
集まった300匹を超えるゆっくりたちが一斉にお菓子に殺到して、広場は一瞬にして修羅場と化した。
「……これは予想外だったな。ここまで意地汚いとは。計画の前に大量死されてもこまるし、それっ」
体の弱いぱちゅりー種を中心に押しつぶされる個体が出てきたのを見て、ふとっちょお兄さんは残ったお菓子を群全体にちらばるようにして投げる。しばらくして混乱は収まり、それぞれのお菓子を確保したゆっくりたちが包装を解こうと奮闘し始めた。
ゆっくりたちに周囲に気を配る余裕は無くなっていた。それを確認するとふとっちょお兄さんは手元の無線機に口を近づけ、つぶやく。
「よし。状況開始!」
ふとっちょお兄さんの言葉を受けて、広場の外周を囲む四角形の頂点の位置に待機していた四人は動き出した。
四人がお兄さんから受け取ったのは金属製の支柱と害獣侵入防止用のネットだった。地面に突き刺した支柱に、ネットを装着すると、別の支柱に向かって走る。たどり着いたもう一方の支柱に取り付けられた金具にもネットを固定する。この動作を四人がそれぞれ行う。
それにより、広場はネットで完全に覆われる形となった。
ネットの高さは1メートル80センチ。ゆっくりの跳躍力では絶対に飛び越えられない高さだ。ネット自体ははポリエチレン製で、最も衝撃が加わる下部にはステンレスワイヤーが編みこまれており、鹿や猪などの中型の動物がぶつかっても破れない仕様になっている。
弱点があるとすれば、網目が3cm目合となっていて、小柄な赤ゆではすり抜けることが可能であるという点だったが……。
「それも心配なさそうだな」
ネットの内側でゆっくりたちを眺めながらふとっちょお兄さんはつぶやく。
ゆっくりは自分達が閉じ込められたことに気づくことも無く、包装を解いてお菓子を貪っていた。
「ちちち、ちあわせー!」
「うっめ! これめっちゃうめ!!」
「とってもとかいはなおあじね!」
「むーしゃむーしゃ、しあわせー!」
夢中になってお菓子を食べているうちに、成体のゆっくりは一回り大きく、そして子ゆっくりと赤ゆっくりは醜いなすび型に膨れ上がっていた。これでは網目の隙間から逃れることはできない。
「念の為、撒いたお菓子を食い終わるまで待つかな」
ふとっちょお兄さんがそうひとりごちたとき、ネットの中に他のメンバーが入ってきた。ネットの一部分は改造してあり、ファスナーで上部が開くようになっている。そこから中へと入ってきたのだ。無論ファスナーはゆっくりにはどどかない位置にある。
「そろそろはじめません?」
「そうだよ。これだけのゆっくりを前にしてお預け喰らうなんて、耐えられないぜ」
「ひゃっはー! 虐ゆサイコー!」
300を超えるゆっくりの群を前に興奮を抑えきれないのであろう。ひとりが叫び声をあげる。
その声に菓子を貪っていたゆっくりのうち何匹かが何事かと顔を上げる。
「ゆゆ? くそどれいがいつのまにかふえているんだぜ。まりさたちはすーぱーむーしゃむーしゃたいむのまっさいちゅうなのぜ。すこししずかにするがいいのぜ」
ネットの中にいる合計5人の人間の額に青筋が走る。そのまりさを潰してやりたいという衝動をおしとどめたのは、背後から響いてくる車のエンジン音だった。
「お、待機組が来たみたいだな」
坂を上って現れたのは、もう一台の2トントラックだった。ネットの外周に停車する。
運転席と荷台のなかからぞろぞろと降りてくるのは年齢も性別もばらばらの8人だった。下は小学生から上は58歳までいる。
「すごい数ですねぇ」
「僕、こんなに沢山のゆっくり見たの初めてだよ!!」
ネットの中にいる5人と、今現れた7人。ふとっちょお兄さんを除いて12人の男女は、お兄さんがウェブ上で募った虐待師たちだった。ふとっちょお兄さんは他の4人と一緒に一度ネットの外に出る。
「じゃあ、皆さん、はやる気持ちはあるでしょうが、今回の集まりについてもういちど説明させてもらいます」
軽い挨拶を交わした後、ふとっちょお兄さんは今回の計画の趣旨を説明し始めた。
「えー1週間前。我々にとっては非常に残念な法改正が国会を通過してしまいました。
それによりあと3週間でゆっくりを虐待することはできなくなります。「もっとあまあまをよこすんだぜ」このたびの集まりは、その前に思う存分虐待を楽しもうということと、「にんげんさんなにをぼんやりしてるの? くそどれいははやくあまあまをもってきてね」法案施行後にゆっくりを街中で見かけることが無い様、出来る限りのゆっくりを殲滅することが目的です。今回はこの森の所有者の方に特別に許可を頂き、「きゃわいいれいみゅのちーちーをみてこうふんしにゃいでね!」このような集まりを開くことが出来ました……ああもう! 私も我慢できません! 火の取り扱いにだけ注意して思う存分自由に虐待し尽くしましょう!!!」
「「「応!!!」」」
12人の虐待師達の鬨の声に、それまで騒がしかったゆっくりたちが一瞬押し黙る。餡子脳でもその声に含まれる不吉な響きに気づいたのであろうか?
バットからクワ、模造刀、ガスガン、特殊警棒、針、エアウォーターガン、はたまた何に使うのか望遠鏡のような謎の機械まで。虐待師達はトラックからそれぞれの得物を取り出すと、ネットの中へと入って行った。
「なんなのぜなんなのぜ! まりさたちはすーぱーむーしゃむーしゃたいむのまっさいちゅうっていったはずだぜ!」
「むきゅ? いつのまにかまわりがなにかでかこまれているわ。でもこのぱちゅりーのちせいですぐにかいけつしてあげるわ!」
「くそどれいはどうしてバットさんをもっているの? はずかしいね。れいむたちをいじめたらせいっさいっされるんだよ! そんなこともしらないなんておろかなにんげんさんだね!」
「きゃわいいれいみゅはうんうんしゅりゅよ! れいみゅのちゅーぱーうんうんたいみゅをみれりゅなんてくちょどりぇいにはちゅぎたちあわちぇだね!! きゃわいくってごみぇんね!」
「おちびちゃんたち、あまあまをたべたらおかあさんとすーりすーりしようね! ほらすーりすーり」
「ちゅーりちゅーり」
虐待師達の鬨の声に反応してゆっくりたちが黙ったのは一瞬だった。自分達の周りを覆うネットの存在にも、人間達が近づいてくるのにも気づいたのは少数で、ほとんどのゆっくりは残ったあまあまを食べたり、すーりすーりをしたりと思い思いの方法でゆっくりしていた。
ほんの数十分前、トラックが来て逃げ出していたゆっくりたちの面影はそこにはなかった。もう人間が自分達をいじめることは無いと。あまあまをもらえたこともあり、その都合のいい情報を完全に信じきっているようだった。
「ここまでくつろいでいるっていうのも、すごいですねぇ」
メガネをかけたお姉さんがつぶやく。
「ああ、こう無防備なゆっくりははじめてみたぜ」
バットを持った青年は獲物を物色しながら答える。
「もういじめないっていう言葉を完全に信じてるんだろ。単純な奴らだ」
ガスガンにガスを注入しながら、大柄の男が吐き捨てる。
しかし皆が皆、最初の虐待を始めかねていた。
処女雪が降り積もった雪原で、それを最初に踏み荒らすのは、ある種の特権である。それぞれ名うての虐待師である彼らは、それなりの礼節もわきまえている。自分がその権利を行使していいものかと遠慮しているのだった。
「自由にとは言いましたが、記念すべき最初の一匹目は、やはりあなたがやるべきでしょう」
クワを担いだ老年の男性が、ふとっちょお兄さんへと提案する。
今回の虐待計画を立てて、街に現れるゆっくりの生息地を突き止め、メンバーを集め、土地の所有者に許可を取ったのはすべてふとっちょお兄さんであった。最初の一匹の権利は彼にあると他のメンバーも同意してくれた。虐待師たちの心遣いにお兄さんは胸が熱くなるを感じながら、礼を言う。
「みなさんありがとうございます。では……」
そのままふとっちょお兄さんは1匹のまりさに近づく。お兄さんの足に何度も体当たりしたあのまりさだ。
近づいてくるお兄さんに気づき、まりさは声を上げる。
「ゆ!? なんなのぜくそどれい! このまりささまになにかようなのぜ?」
「ああ。実はまりさにあげたいものがあるんだ」
「ゆゆ! わかったのぜ!! とくべつなあまあまさんなのぜ! まりさはたくさんゆっくりをつれてきたから、とくべつなあまあまさんをもらえるはずなのぜ! はやくよこすのぜ!!」
「そうそう。まりさにあげるのは特別な、アマ・・・・・・」
「あまあまさん!」
「そうアマ、ギりじゃああボケェェェェ!!」
「ゆ……、ゆ、ゆ゛ぎゃああああああああああああ!! ばりざの!ばりざのおべべがああああぁぁぁ!!!」
言葉と同時に放たれた上向きの手刀は、腕による180度の回転と、手首から先の180度の回転、合わせて360度の回転を経て加速され、一瞬にしてまりさの眼球を抉り取っていた。
一拍遅れてまりさの絶叫が響く。
「お美事!」
「お美事にございます!」
他の部位を傷つけず眼球のみを摘出するふとっちょお兄さんの腕前に他の参加たちは拍手を送る。そちらに対して一瞬だけ微笑むとお兄さんはそのまま眼球を踏みつける。
「どどど、どおぢでぇぇぇぇ! ゆっぐりをいぢめぢゃだべなんだよおおおお?」
残った目で太っちょお兄さんをにらみつけながら、まりさは本当にわからないという風に叫んでみせる。
「ほかのにんげんさん!このおにいさんはわるいにんげんさんだよ! はやくせいっさいっしてね」
「むきゅー! 新しいルールさんはどうしたの?」
「ありすたちをだましたのね! このいなかもの!!」
周りのゆっくり達はその光景をみて、恐慌状態に陥り非難の声をあげる。しかしまだ逃げ出さない。新しいルールの力を信じているからか。それとも数の多さで気が大きくなっているのか。
「まあ、それは説明してやるよ。とりあえずお前を永遠にゆっくりさせてからな」
ふとっちょお兄さんは言葉を紡ぎながらまりさの帽子を蹴り上げると、それを掴み、二つに引き裂く。
「ばりざのおぼうじざんああああ!」
そのままひらひらと舞う帽子に駆け寄るまりさのおさげを掴むと、それも本体からブチリと千切り、帽子もろとも踏みつけにする。
「があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!おぼっ、おさっ、さんっ!がっ!」
ふとっちょお兄さんはそれでも止まらず、大口を開けて絶叫するまりさの口に手を突っ込むと舌を掴み、
そこを支点にしてぐるりとまりさを裏返した。
「……っ…っ!」
声を出せる状態で無くなり、ただ餡子をぼたぼたと散らす元まりさに、ダメ押しの踵落とし。大量の餡子が飛び散り、そこにはまりさの皮の残骸しか残らなかった。
流れるような連続技が終わってもゆっくりたちは呆然として動けずにいた。それを意に介することも無くふとっちょお兄さんはゆっくりたちに語りかける。
「まあ、説明するとだ。おまえたちをいじめちゃいけないっていうルールが出来たのは本当。でも、そのルールが適応されるのは、3週間後なんだ。おわかり?」
「つ、つまりどういうことなの?」
震えながら、先ほどお兄さんをいなかもの呼ばわりしたありすが尋ねる。
「お前達全員、ここで永遠にゆっくりするってことだよ!!」
そして、地獄絵図が始まった。
「ヒャッハー! 粛清の、はじまりだああああ!」
「そんなのとかげぇっ」
ふとっちょお兄さんの言葉が終わるや否や、サングラスをかけたお兄さんが特殊警棒を振りかぶり、質問をしたありすを叩き潰す。
「それ、せめて土の養分になりなさい」
老年の男性はクワを振りかぶり、赤ゆ連れのぱちゅりー一家をまとめて土へと還す。
「おちびちゃんたち! おかあさんのおくちのなかにかくれてね! ゆっくりしていないでにげるよ」
周りのゆっくりがつぶされるのを見て、あるれいむは赤ゆ達を口の中に隠して逃げようとする。3回ほど飛び跳ねた時、その頬に小さな穴が開く。
「いぢゃいいいいい!・・・はっ!おちびちゃんたち!もういちどおかあさんのおくちのなかにかくれるんだ、よ?」
その痛みに耐えかねて、口を開いてしまう母れいむ。しかし赤ゆ達がいることを思い出し、呼びかける。だがその対象は、母れいむの頬を貫通したBB弾により完全につぶれてしまっていた。
「おちびちゃあああああ、あ゛ばばばばばばばば」
悲哀の叫びは形になる前に続けざまに発射されたBB弾により断末魔の叫びと変わる。
「小さい目標を狙うのは燃えるぜえ!」
れいむ一家を撃ち殺した大柄の男は赤ゆを中心に次々に狙いを定めて、撃ちぬいていく。無論弾が他の虐待師に当たらぬよう、細心の注意を払いつつ、だ。
「あははははははは!」
「ゆげぇ!」
「がぁ!」
「たすけ、ぼあっ!」
髪の長い女性は、逃げ惑うゆっくりの群をピンヒールで踏み抜きながら、絶妙のバランス感覚でスキップしてゆく。
その通り道には、中枢餡を貫かれたゆっくりによって甘味ロードが出来上がっていた。
死のスキップから逃れようとする赤ありすにメガネをかけたお姉さんが声をかける。
「そこの都会派なありすちゃん! ここまで来たらお姉さんが助けてあげるよ!」
「ゆ!?ぴょーんぴょーん、いちょいでいくわ!!」
「だめなんだぜ!にんげんさんはしんようできないん、ぶげっ」
「まりさあああ! せめておちびちゃんだけでもおかあさんといっしょににげ、げああああ」
「いみょうとちゃん!!?まりちゃをおいていきゃないでね!ゆっくちもどっちぇきちぇね!」
「ときゃいはにゃありちゅはゆっくちたちゅかりゅよ! いにゃかもののまりしゃはちんでね!」
現れた救いの手に、その赤ありすは踏み潰される両親も、取り残される姉のまりさも置いて一目散に駆け出す。
他のゆっくりの間をすり抜けて、赤ありすはついにメガネお姉さんのもとにたどり着く。
「はい、よくここまでこれたね!」
メガネお姉さんは赤ありすを両手で掬い上げるようにして持ち上げる。
「ゆ!おしょらをとんでりゅみたい! ときゃいはにゃありちゅにかきゃれば、こんにゃのかんたんよっ!」
「そう。お母さんもお父さんもお姉さんも見捨てて、他のゆっくりを出し抜いて、自分だけ助かろうなんて、本当に都会派ね」
「ゆ?」
「あら、何を言っているのかわからない?」
「わ、わきゃるわ! ありちゅはときゃいはだみょの!! だきゃらおねぇしゃん! ときゃいはなありしゅをかってくれりゅ?」
「あなたを飼う? ……そうね。いいわよ」
「ほんちょ!? あまあましゃんはたくしゃんでいいよっ! きゃわいくってごめんね!」
お姉さんの手のひらの上で赤ありすはぴょんぴょんと飛び跳ねて喜ぶ。それを見ながらメガネお姉さんはにっこり微笑んで言った。
「嘘だよ」
「ゆ?」
何を言われたのかわからないという風に、赤ありすは体をかたむける。それに対してメガネお姉さんはもう一度言ってやる。
「うーそーだーよー! ありすなんていらないよ! 」
それを見ていたバットを持った青年と中年の男が言葉を引き継ぐ
「いらないいらない!」
「うちにかえって胴つきゆうかりんと遊ぶわっ!」
「ゆ、おしょらを、ゆべっ!」
そのまま赤ありすは地面に叩きつけられて果てた。
ほとんどのゆっくりが恐慌状態に陥っている中、冷静なものもいた。
「むきゅ! まりさ! すーやすーやすればたすかるわ!」
「それは、どういうことなんだぜぱちゅりー?」
「にんげんさんたちは、ルールがかわるのは3しゅうかんごだといっていたわ!」
「だから、どういうことなんだぜぱちゅりー?」
「おばかなまりさにはわからないかもしれないけど、3しゅうかんごっていうのは21にちごのことだわ」
「つまり、どういうことなんだぜぱちゅりー?」
「むきゅ! つまり21かいすーやすーやすれば、3しゅうかんごがくるのよ!」
「わかったのぜぱちゅりー! すーやすーやするのぜ!」
「ぱちぇもすーやすーやするわ!」
「すーやすーや」
「すーやすーや」
「あははははははははは!」
勿論2匹とも潰された。
この状況下で、ゆっくりにとってもっとも利口な対処方法はネットを抜ける方法を模索することだった。
だが多くのゆっくりは何も考えずに、森を目指して、張ってあるネットへとぶつかるだけである。
そして3cm目合のネットの隙間は、成体のゆっくりが入るのはまず不可能で、赤ゆにしてもお菓子をさんざん食べたなすび体型では通ることが出来なかった。
「どおぢでもりさんにはいれないのおおおお?はやくれいむをとおしてね! おねがいだよ!」
「うごきぇにゃいよ! ゆっくちちてないで、きゃわいいれいみゅをはやくたしゅけてね!」
自然、成体ゆっくりはネットの前で立ち止まり、赤ゆっくりも同様か、ネットの隙間に挟まることになる。
その後ろからは数十のゆっくりがネットに向かっている現実がある。
「そこのくずれいむ!まりささまをとおすんだぜ!」
「とかいはなありすこそがいきのこるのにふさわしいのよ!」
「れいむはしんぐるまざーなんだよ! わかったらはやくどいてね!」
口々に勝手なことをわめきながら、後から後から押し寄せるゆっくりの波。その圧力はだんだん高まってゆく。
結果として。
「ゆっ? おさないでね? ここはとおれないよ! おさないでね! おざないでっていっでるでしょおおおお!?ぐえええ!?」
ネットの前方にいたゆっくりれいむは後方からの圧力で3センチ角のサイコロ状に切り裂かれ、
「おきゃーしゃん!はやくれいみゅをたしゅけろっ!たしゅけ、ぼっ!」
なすび状だった赤ゆは口の上から半分だけがネットの外に押し出され、下半分は摩り下ろされる形になった。
「ゆがああ!? ここはとおれないようだぜ! せっかくだからまりさはべつのみちをいくぜ! だからおすのはやめるのぜ!!」
「おさないで! ありすのからだが! とかいはなぼでぃがあああああ!」
そんな風にして、大量のサイコロゆっくりと摩り下ろしゆっくりの生産スポットとなったネット際だったが、しばらくすると異変が起こり始めた。
50匹近いゆっくりがネットに集まったことで、それを支える支柱の方がだんだんと傾き始めたのだ。当のゆっくりたちはそのことに気づいていないが、大量の犠牲を出しながら、逃走経路は出来上がりつつあった。
しかし、『逃げるゆっくりは虐待だ。逃げないゆっくりも虐待だ』『いいゆっくりは死んだゆっくりとゆうかりんだけだ』を信条とする中年の虐待おじさんはそれを見逃さなかった。
「こいつの出番ですかね」
おじさんは巨大な望遠鏡のような機械を三脚に固定し、ケーブルでバッテリーに繋ぐと、最も多くのゆっくりが群がるネットをスコープに収め、その装置のスイッチを入れた。
「ゆ゛っ!?ゆ゛?ゆ゛?ゆ゛ゆ゛!!!」
するとネットに群がっていたゆっくり達のうち、れいむ種とまりさ種がにごった声を上げはじめる。
「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ぅぅぅぅぅ!」
にごったうめき声の感覚が短くなり、それに比例するようにれいむ、まりさ種のからだが膨張していく。
そして、ポンと弾けた。
ネット際に茶色い餡子の花が咲く。
「まりさ? まりさどこにいったの?まりさったらああああ!?」
「ぱちぇとれいむのあかちゃんたちはどこ? れいむは? げええええぇ」
「ここはきけんよ! ありすのあかちゃんたち! ほかのところからにげるのよ!」
残ったありす種とぱちゅりー種は大量の餡子を浴びて、体を茶色く染めたながら、仲間や番が姿を消したことに疑問符を浮かべたり、他のネット際に逃げ出そうとしたりと混乱した様子だった。
おじさんは今度は別のネットをスコープに収めると、もう一度スイッチを押す。やはりネット周辺のれいむ種とまりさ種が餡子を飛び散らせて爆発した。
ネット際のゆっくりが爆発したのを見て、そこは危険だと他のゆっくりはネットから離れて広場の中央へと戻っていった。 虐待師の面々がおじさんの装置の威力に驚いて虐待の手を止めたこともそれに拍車をかけた。ゆっくりたちはネットを越えて森に逃げ込むことをあきらめ、広場の中の遮蔽物に身を隠したり、ぷくーによる威嚇をおこなったりと自ら生存への道を狭める行動に走った。
「おじさんなんだよその装置」
「そんなの使ったらすぐに全滅しちまうぜ?」
「いやあ、驚かせてしまったみたいですね。ネットを越えて逃げ出すのを防ぎたかっただけなんですよ。もうこいつは使わないのでみなさん続きをどうぞ」
おじさんにそう促されて虐待師達はそれぞれの虐殺に戻った。
そんな中でエアウォーターガンを持った小学生の虐待少年だけが、興味深そうにおじさんに近づいていった。
「おじさん。それいったい何?」
「これかい? これはおじさんの会社で作っていた餡子共鳴装置の試作品だよ」
そのおじさんはゆっくり虐待グッズを開発するメーカーの開発部長を務めていた人間であった。しかし法改正のあおりを受けて、一週間のうちに会社の株価は下落。新製品の開発もすべて停止してしまっていた。
このまま試作品がお蔵入りになるのがあまりに惜しく、今回会社に無断でこの装置を持ってきているのだった。
「これはね。ゆっくりの中身だけを振動させて、人や他の動物がいる場所でも、大量のゆっくりを駆除用できるんだ。本当は共鳴周波数を変えることですべてのゆっくりに対応するはずだったんだけど、途中で開発が中止されちゃってね。中身が餡子の種類だけにしか使えないんだ」
「よくわからないけど、すごーい!」
無邪気な瞳で見つめられての賞賛に、おじさんは、ああ俺はこういう子供達のためにゆ虐グッズをつくってきたんだと誇らしい気持ちになる。
「ははは。そういってくれるとうれしいよ。実は君が持っているエアウォーターガンもおじさんの会社の商品なんだ」
「本当!? じゃあ僕おじさんにお願いがあるんだけど……」
「なんだい?」
「僕のウォーターガン、すこし壊れちゃったみたいで、最初みたいな威力が出ないんだ。ほら」
そういうと、少年は手ごろな距離にいるまりさとれいむの番を見つけ、まりさの方をウォーターガンで撃って見せる。
「ゆ? おみずさん!? こんなにたくさんのおみずさんはゆっくりできないのぜ!ゆゆ!まりさの!まりさのはんさむなおかおがどげぢゃうんだぜええええ、え、え、え、ぇ、ぇ……」
「ばりざあああああ! どおぢでえええええええ! むれがらどくりづぢだらいっばいずっぎりじようっでやぐぞぐぢだのにいいいいい!」
「ね? ぜんぜんよわっちいんだ」
「確かに。ちょっと借りていいかな?」
おじさんは少年からウォーターガンを受け取るとあちこち調べ始めた。このウォーターガンは、圧縮した水流でゆっくりを切断するものである。今のように撃ち続けてゆっくりをぐずぐずに溶かすのは本来の用途ではない。
「あ、なるほどね。わかったよ。先端のノズルの部品が少し欠けているんだ。だから水流が収束しないで、十分な圧力を維持できなかったんだよ」
「ねえおじさん、それ直せるかな?」
「まかせておきなさい。こんなこともあろうかと人気商品の部品はいくつかもちあるいているんだ……ほら、撃ってごらん」
「うんっ!」
少年はおじさんに直してもらったウォーターガンを構えると、まりさに取りすがるれいむに狙いをつけて引き金を絞る。
「ばりざああああ! ぐすっ、ゆゆん。れいむは、れいむはまりさのぶんまでいぎるよ! もうなかないでいっぱいゆっくりするよ!てんごくでみまもっててね!!」
どうやらおじさんが素早くウォーターガンを直している間に、れいむの方も意外とあっさり番の死から立ち直ったようだった。
もう涙は流さずに、強く生きよう。れいむはそう誓った。そしてその場を離れようとしたとき、ぽとりと右のもみ上げが足元に落ちた。
「ゆ? おかしいよ。どうしてれいむのすてきなもみあげさんがとれちゃったの? おかしいよ? もうなかないってきめたのに、おめめからなみだがとまらないよ?ゆ?ゆ?ゆ゛びぃいいいいい!?」
れいむの瞳から流れるのは涙ではなく、真後ろかられいむを貫いたウォーターガンの水流であった。すさまじい勢いで放たれた水流のせいで、れいむは痛みを感じる間もなく、眼球を真っ二つにして上下にスライスされた。
「すごいよおじさん!ありがとう!」
少年は魔法使いでもみるような目でおじさんを見上げる。
「いやいや。本当なら簡単に壊れないように作るべきだったんだ。それに道具さえあれば君でも簡単に直せるんだよ?」
「そんなことないよ! おじさんはすごい! 僕、大きくなったらおじさんの会社に入るよ!」
力強く言う少年の言葉を受けておじさんは笑みに若干の寂しさを混ぜる。
はたしてこの子が大きくなるまで、うちの会社はもつのだろうか。
「そうだ。トラックの荷台にはまだまだいろんな試作品を積んできたんだ。色々試してみないかい?」
「うん!試してみたい!」
未来のことはわからないが、それでもここに小さな絆が生まれたことは確かだった。
おじさんは極力寂しさを顔に出さないようにしながら少年と共にトラックへと向かった。
少年とおじさんが小さな絆を育んでいるころ、メガネのお姉さんとバットを持った青年は往年の名作ゲームハードについての話題に興じながら、赤ゆでキャッチボールを楽しんでいた。
サングラスをかけて、特殊警棒をもった青年とクワを担いだ老年の男は、一度にどれだけのゆっくりを潰せるかを競い合っていた。
ふとっちょお兄さんはそんな面々を見ながら優しげな笑みを浮かべた。いままで面識が無かったとはいえ同好の士だ。彼らが交流し絆を深め合う光景は心温まるものだった。
それと同時にこういうふうに虐待師同士、一緒に趣味に興じることもできなくなるのかと思うと、寂しい気分になった。
「 たしゅけてくだしゃい!たしゅ、ゆびいいい! おかあしゃん、まりしゃのおべべをたべちゃだめええええ!」
「むーしゃむーしゃしたくないよおおおおおおお!、ゆ゛ゆ゛、それなりー」
なのでお兄さんはその思いをまぎらわせるように、命乞いをする子ゆっくりの目玉を抉り取り、それを親ゆっくりに無理矢理咀嚼させた。
素手で、バットで、模造刀で。虐待師13人は時に競い、時に談笑を交えながら、皆それぞれの得物でゆっくりを貫いて、すり潰して、切り裂いて、粉砕していく。
そのゆ虐の饗宴は、1時間後、300匹いたゆっくりの数が半分になるまで続けられた。
つづく?
とりあえずここで一区切りです。
初SSにして俺設定から始まるすーぱー駄文たいむです。
なんだか文章もバランスも構成もおかしいです。
それでも良いって人は読んでくれるとうれしいよ!
目次
●プロローグ
・ニュース番組にて
・3人の虐待お兄さんの場合
・愛でお兄さんと銀バッチれいむの場合
●本編
・ふとっちょお兄さんの場合
ニュース番組にて
「本日行われた通常国会で、ゆっくり愛護法改正案が可決されました」
夕刻のニュース番組。女性アナウンサーが一つの恐ろしい話題を伝える。
「かねてより民社党のホズミ議員を中心に推進されていたこの改正案はいったいどういったものなのでしょうか?政治評論家の村木さんに窺いたいと思います」
女性アナウンサーの言葉を受けて、隣に座っていた初老の男性がフリップを取り出し、説明を始める。
「はい。今回可決された改正案が施行されますと、このようになります。フリップをご覧ください
今までは、飼育ゆっくり、いわゆるバッチ持ちのゆっくりに危害を加えた場合に、このように懲役3年、もしくは10万円以下の罰金が科せられたわけですが、今回の改正案により人に飼われていない、いわゆる野良ゆっくりに対して危害を加えても同様の罪に問われるということになります」
「農作物を荒らすなど、人間に害を与えるゆっくりに対する対応はどうなるのでしょうか?」
「今までは被害者である畑の所有者等が、自主的に駆除を行っていましたが、改正案施行後は保健所の職員及びゆっくり管理協会が要請を受けて駆除に当たるという形になります」
「なるほど。しかしそれでは対応に遅れが出るのではありませんか?」
「はい。農業従事者を中心に今回の法改正には不安の声が上がっています」
「それに関して、当局では国内の20歳以上の男女2000人を対象に世論調査を行いました。結果としましては『ゆっくりをどう思うか?』との質問に対しては、『見ているとイライラする』18.3%、『とてもイライラする』が24.6%であわせて42.9%となり、『かわいいと思う』『とてもかわいいと思う』の29.1%を大きく上回る結果となっています。同様に今回の法改正に対しても、反対が42%と賛成の24%を上回っています。このように世論では強い反発を受けている法改正ですが、どうして今回可決の運びとなったのでしょうか?」
「ひとつの理由としては、諸外国からの圧力です。ご存知のようにゆっくりは国内にしか存在しません。ある種の希少動物として保護するべきだとの声は以前からあったわけですが」
「はい」
「しかし今までは、『ゆっくりは饅頭であり、生物ではない』という主張のもと、誰の所有物でもないゆっくりは保護を受けていなかったわけです」
「それがどうして保護される形になったのですか?」
「いくつかの大学の研究室および著名な生物学者達が、『ゆっくりは生物である』という結論を先日だしたことがきっかけであると思われます。これを受けてゆっくりは希少な動物であるから虐待は避けるべき、との主張が強まったわけです」
「ゆっくりは生物なのですか?」
「生物の定義というのは、まだ確固とはしていないのですが、一般的に『外部と隔てる膜がある』『増殖する』『代謝を行う』という三点で決定されます。その観点から見ればゆっくりがいかに餡子と小麦粉で構成されようと、生物である、というのが先だって出た結論です」
「なるほど……。村木さんありがとうございます。
世論に反発する形で可決されたゆっくり愛護法改正案。施行は1ヶ月後となりますがまだまだ物議を呼びそうです。では、次の特集です」
ゆっくり愛護法改正案。
1)人間に飼育されるゆっくり、野生のゆっくりを問わず、ゆっくりを直接に虐待(基準は別紙参照)、もしくは殺害したものには3年の懲役。もしくは10万円以下の罰金を科す。
2)ゆっくりの食用へ加工はこれを禁じる。
3)2)は食料危機に見舞われている海外への輸出用ゆっくりに関してはその限りではない。
4)害ゆっくりの認定と処分に関しては、担当の保健所及びゆっくり管理協会に申請をし、担当職員にその処分を任せなければならない。
後に世紀の悪法として名を轟かせる法案が国会を通過した。
このニュースは多くの人間、そしてゆっくりに様々な影響を与えた。今回はいくつかの例を見てみたいと思う。
3人の虐待お兄さんの場合
番組がゆっくり愛護法改正案についての話題を伝えるのを見ている三人のお兄さんがいた。
「クソッ。俺たちの改正反対運動も徒労に終わったって事か……」
背の高いお兄さんが言葉をこぼす。
「ゆっくりが生き物だって? 馬鹿馬鹿しい。そんな理由であいつらを潰せなくなるっていうのかよッ!」
やや太り気味のお兄さんが吐き捨てる。
「改正案可決の本当の理由は、違うんだろうがな」
メガネのお兄さんがつぶやく。
「どういうことだよ?」
メガネの言葉に背高が反応する。
「脳内がゆっくり並みのホズミ議員は別として、他の連中が賛成票を投じたのは、ズバリ金のためだろうぜ」
「ゆっくりを虐待しないことが、金になるのか?」
太っちょが怪訝そうに尋ねる。
「改正案で設立される『ゆっくり管理協会』だよ。害ゆっくりの認定と駆除なんていう単純な業務の癖に、かなりの特別予算が割り当てられることになってる。議員官僚の皆様方からすれば格好の天下り先になるだろうな。
ま、偉い偉い政治家の皆様が住んでいるような地域では、かなり徹底的にゆっくり駆除が行われてきたからな。奴らゆっくりのウザさをほとんど知らないっていうのもあるだろうが」
「腐ってやがる」
背高がうめく。しばしの沈黙の後、メガネが二人に対して尋ねる。
「それより、これからどうする? 法改正撤回を求めて何か運動をするか?」
メガネの言葉に、ふとっちょは首を振る。
「俺は降りる。もうちんたら署名活動なんてゴメンだ」
「そうか。お前は?」
背高は曖昧に笑いながら答える。
「俺は、とりあえず実家に戻るよ。お袋たち、農家やってるんだ。フェンスとか作らないといけないかもしれないし」
「だろうな。何か力になれることがあるかもしれない。場合によっては連絡をくれ」
「ああ。じゃあ俺は行くよ」
背高が去っていく。それを見送ると、ふとっちょはメガネに尋ねた。
「それで、お前はどうすんだ?」
「俺はやれることをやるさ。可決はされちまったが、施行までは時間があるんだ。ギリギリまで粘るよ」
「がんばってくれ。俺もやりたいことはあるんでな。もう帰るよ」
ふとっちょはそう言うとにやりと笑う。その瞳に虐待師としての炎が宿っていることを見てメガネも微笑む
「ああ。お前がなにをするか、楽しみにしているよ」
三人のお兄さんは別の方法で、ゆっくり愛護法改正案、ゆ愛法改正と戦うことを心に決めそれぞれの道をゆくのであった。
愛でお兄さんと銀バッチれいむの場合
「ゆ愛法改正かぁ。まあ、俺には関係ないかな。愛で派だし」
「ゆゆ?いまテレビさんにに他のゆっくりが出ていたよ?」
銀のバッチをつけたれいむが、飼い主のお兄さんの隣で飛び跳ねながら尋ねる。
お兄さんはそんなれいむに微笑みながら答えてやる
「ゆっくりに関するルールが変わったんだ。そのニュースだよ」
「ルールさんが?れいむどうなるの??」
れいむをそれを聞いて、すこし心配そうな顔をする。
「れいむには関係ないさ。
野良のゆっくりをいじめちゃいけませんってことになったんだ」
「ゆゆ~!それはゆっくりできるニュースさんだよ! 明日公園のまりさに教えてあげるよ!」
「そうしてあげなさい。でも、そのルールになるのは1ヶ月後だよ?」
「ゆゆ!ゆっくりりかいしたよ!」
次の日。公園に散歩にきたれいむはそこでよく会うまりさにニュースを伝えた。
「ゆゆ!まりさゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!」
「まりさ、とってもゆっくりできるお知らせがあるよ!」
「ゆ?なんなのぜ?」
「人間さんがゆっくりをいじめちゃだめっていうルールができたんだよっ!これでまりさもゆっくりできるよ!」
「ゆゆゆ!ほんとうなのぜ!? それはとってもゆっくりできるのぜ!」
まりさはれいむにニュースを伝えられるや否や、すぐにでも他のゆっくりに伝えようと走り出そうとした。それを見てれいむは大切なことを伝える。
「あ、でもねでもね。そのルールさんになるのは1ヶ月後なんだよっ!それは注意だよ!」
「いっかげつご?それはいつなのぜ?」
「30回すーやすーやしたあとなんだよ!」
「わかったのぜ! たくさんすーやすーやすればいいんだぜ! このゆっくりできるニュースをぱちゅりーにもおしえてくるのぜ!」
「ゆゆーん。じゃあまた明日ねっ!」
「またあしたなのぜ!」
この銀バッチれいむから野良まりさの例のように。
飼い主から飼いゆへ、飼いゆから野良ゆへ、野良ゆから別の野良ゆへと。ゆ愛法改正の話題は瞬く間にゆっくりたちの間に広がっていった。
ふとっちょお兄さんの場合
ゆ愛法改正から一週間後。
市街地から少し離れたところにある森。そこには多くのゆっくり達が暮らしていた。
年に何組かの番が街へと降りて行くこともあるが、基本的にそこは最高のゆっくりぷれいすだった。
天敵となる獣はほとんどおらず、人間もあまり近づかない。森の中にはきのこや虫などゆっくりの食料になるものが豊富にある。そんな中でゆっくりたちはいくつかの小さな群にわかれて森の各所に点在していた。
そしてかつてその森に開発計画が持ち上がったときに切り開かれた広場には所属する群を問わず多くのゆっくりがくつろいでいた。
「ゆゆー!まつんだぜ!まりささまにゆっくりつかまるんだぜ!」
蝶々をおいかけるまりさ。
「まりさはさわがしいわね。わたしたちはとかいはにひなたぼっこでゆっくりするわ」
「むきゅー。ぱちゅりーもひなたぼっこをするわ」
一緒にひなたぼっこをするぱちゅりーとありすの夫婦
「おちびちゃんたち!きょうのうんどうさんをするよ。ほら、こーろこーろ」
「きょーろきょーろ!」
「ゆゆ!とってもゆっくりしたこーろこーろだよ!おちびちゃんたちはせかいいちのゆっくりだよ!」
「れいみゅのみゃみゃもちぇかいいちゆっくちちたみゃみゃだよ!」
「ゆゆーんおちびちゃんたちかわいいよおおおお!」
れいむと赤ゆ達はころころと転がっている。
それ以外にも総勢で30匹ほどのゆっくりが思い思いの方法でゆっくりしていた。
「ゆ? なにかおとがするんだぜ」
そのとき蝶々を追いかけていたまりさが、重く響くような音に気づいてあんよを止めた。
「むきゅ! あれはくるまさんよ!にんげんさんののりものなのだわ!」
「にんげんさんの!? それはゆっくりできないよ! おちびちゃんたち! こーろこーろするのはやめておうちにかえるよ!」
森に住むゆっくりとはいえ人間の恐ろしさはよく知っていた。街にあまあまを手に入れにって、満身創痍で帰ってきたゆっくりは沢山いたし、そのまま帰ってこなかったゆっくりはそれこそ数え切れない。
ゆっくりたちは我先にと森の中に逃げ込もうとする。しかし所詮はゆっくり。1匹も森にたどり着くことは無く、広場に2トントラックが止まり、中から一人の男が出てくる。
それはゆ愛法改正のニュースを聞いて憤っていたふとっちょお兄さんだった。
ふとっちょお兄さんは森へ駆け込もうとするゆっくりたちを見ると、口に手を当てて大きな声で叫んだ
「ゆっくりしていってね!」
「「「ゆっくりしていってね!!!」」」
悲しい本能故に、ゆっくりたちは言葉を返すために立ち止まってしまう。その間にふとっちょお兄さんは最後尾にいたれいむの親子に近づいた。
「ゆゆ! おにいさん! ゆっくりしていってね! れいむたちはなにもわるいことをしてないからゆっくりみのがしてね!」
母れいむの言葉にふとっちょお兄さんは怪訝そうな顔をする。
「あれ? ここのゆっくりにはまだ伝わってないのか。折角法改正のニュースが浸透するまで一週間も待ったのにな……」
「ゆゆ? なんのこと? ようがないなられいむたちはかえるよ! いくよおちびちゃんたち……どぼぢでぼうぞんなどごろにいるのおおおおおおおお!?」
母れいむがふとっちょお兄さんと話している間に、赤ゆを含めたすべてのゆっくりは森に向かって移動していた。気づけば母れいむだけがふとっちょお兄さんの前にとりのこされる形になっている。
「みゃみゃはほんちょうにぐじゅだね! れいみゅたちはちゃきににげりゅよ!」
「みんなまってね! いまおかあさんもそっちにいくよ!」
「まあ待てって。俺はお前達と仲直りしにきたんだ。ほれ。あまあまも持ってきてるぞ」
ふとっちょお兄さんはそう言うと常備しているスニッカーズ(120円)を取り出し、袋を開けて母れいむの前に置いた。
美味しそうなあまあまの香りに、母れいむは逃げ出すという選択肢を消して、すぐさまそれにかぶりついた。
「ゆっ!? とってもおいしそうなあまあまさんだよ!……し、し、しあわせぇぇぇぇぇ!!」
たっぷりのチョコとキャラメルで出来たお菓子を食べて母れいむが歓喜の声をあげる。
その様子を見て、森に逃げ込もうとしていた他のゆっくりや赤ゆたちが広場の中央へと戻ってくる
「みゃみゃ!あままましゃんをひとりぢめちようなんてじゅりゅいんだよ! はやくれいみゅたちにもちょうだいね!」
「まりさもあまあまさんほしいんだぜ! ゆっくりしてないではやくよこすんだぜ!」
ゆっくり伝手に聞いていた人間の恐怖よりも、あまあまへの欲望が勝りみな我先にとふとっちょお兄さんの元へと集まってくる。
「そう慌てるな。ほれお前達にもやるよ」
ふとっちょお兄さんは次々とスニッカーズを取り出すと、バラバラとゆっくりたちの前に投げてやる。
「ちちち、ちあわちぇぇぇぇぇ!」
「うっま、これめっちゃうま!」
広場にいたほぼ全てのゆっくりがあまあまに夢中になりがつがつとむさぼる。
そんな中、ぱちゅりーとありすの夫婦だけがそれを後ろから遠巻きに見ていた。
「ん? どうしたお前達はいらないのか?」
「むきゅ。そんなことよりわたしたちとなかなおりしたいっていうことばがきになるのだわ」
「わたしはこのあまあまをほかのむれのみんなのところにもっていくわ。ひとりだけあまあまをたべるなんてとかいはじゃないわ」
「なかなか賢そうなやつらだな。そういうのがいるなら話が早い。説明してやるよ
実はな。俺達人間のルールが変わって、ゆっくりをいじめちゃいけないことになったんだ。その話は誰も知らないか?」
「むきゅう。きいたことないわ。ありすはしってる?」
「きいたことないわ。そんなとかいはなはなしをきいたらわすれないもの」
「そうか。おい。お前らはどうだ? この話を知ってるか?」
スニッカーズを貪るほかのゆっくりに尋ねてみるが、ほとんどが食べるのに夢中でふとっちょお兄さんの声は届かないようだった。そんな中いちはやく食べ終わったまりさが声をあげる。
「そういえばそんなはなしをまちのこうえんにいるまりさからきいたことがあるのぜ」
「むきゅ! どうしてそんなたいせつなことをおさのぱちゅりーにいわなかったの!」
「ふっ。まりさはかこにしばられないのぜ」
「まあ、どうでもいいが、つまりそういうことだ。人間はゆっくりをいじめなくなる。仲直りしたいんだ。だからあまあまをもってきたってわけさ」
「やっとくずのにんげんさんもまりささまのいだいさがわかったようだね! でもこんなすこしのあまあまさんじゃいままでのつみはあがなえないのぜ! もっとたくさんあまあまさんをまりさたちにみつぐのだぜ!!」
まりさの尊大な態度にふとっちょお兄さんの頬がぴくりと痙攣する。それを隠すように無理やり笑みを浮かべるとお兄さんはまりさを含めたほかのゆっくりにも聞こえるような声で説明をした。
「そう言うと思って沢山あまあまを用意したよ。でもね。これはこの森のゆっくり全員のためのあまあまなんだ。だからほかのゆっくりたちもここに連れてきてくれないと残りのあまあまは渡せないな」
「ゆ! ほかのみんなにはまりさがとどけるのぜ! だからはやくあまあまさんをわたすのだぜ!」
言うが早いかまりさはふとっちょお兄さんの足に体当たりをかましてくる。反射的に蹴り飛ばしそうになるのを必死で押さえ、お兄さんはその場にいる全員に対して条件を出す。
「まあ落ち着けって。じゃあこうしよう。ほかのゆっくりをつれてきたやつには、多めにあまあまをあげよう。特に赤ゆや、妊娠中の奴を連れてきたゆっくりには特別なあまあまをあげるよ」
「それはつまり、どういうことなんだぜ?」
「ここに一番沢山ゆっくりを連れてきてくれた奴には、一番沢山あまあまをやるってことだ。理解したか?」
「「「!!……ゆっくりりかいしたよ」」」
「じゃあほかの奴らをつれて来い。いいか、なるべく全員だぞ!」
ふとっちょお兄さんが言葉を言い終わる前に、その場にいたゆっくりたちはゆっくりらしからぬすばやさで森に仲間を呼びに走り去っていた。あまあまをあげるという魔法の言葉に抗えるゆっくりはほとんど存在しない。現に先ほどまで不審そうにこちらを窺っていたぱちゅりーとありすの夫婦も仲間のところへと走っている最中だった。
「さて。やつらが戻ってくるまでに準備をするか……」
ふとっちょお兄さんはそうつぶやくとトラックの荷台を開けた。
そこにはいくつかのダンボールと、5人の男女達が乗っていた。
「うわ、まぶしっ」
そういってサングラスをかける青年。
「やっとお楽しみタイムですか?」
ふとっちょお兄さんと同じくらいの年齢の青年。
「もう私待ちきれませんよぉ」
ピンヒールを履いた長い髪のお姉さん
がやがやと降りてくる彼らは今回ふとっちょお兄さんが計画した企画の賛同者たちだった。ふとっちょお兄さんは彼らにこれからの手順を説明する。
「残念ながらお楽しみタイムはまだです。いまは奴らがほかの連中を呼びに行ってるので。その間にこの支柱を今から言うところに埋めてきてください」
そういうとお兄さんは4人に無線機とネット、そして1メートル以上ある金属製のポールを手渡した。底の部分は釘状になっていて、全体に何かを留める為の金具がついている。
「ウィース!」
「わかりました」
各々返事をして各自のポジションへと散ってゆく。それを見届けると残った1人にも仕事を伝える。
「あと君は下で待機している仲間達と一緒に、道具の準備を。こっちの用意が出来たら無線で連絡するから」
「了解です!」
「さあ、後に待つお楽しみのために準備は抜かるなよぉ」
つぶやきながらふとっちょお兄さんは期待に頬をゆるめるのだった。
一方そのころ。
「れいむ! ゆっくりしてないではやくでてくるんだぜ!」
先ほどふとっちょお兄さんの足にぶつかったまりさはそう叫びながら自分の巣へと飛び込んだ。
そこには頭から茎を生やし、4匹の赤ゆを実らせたれいむがくつろいでいた。
「ゆゆ? まりさおかえりなさい。どうしたのゆっくりしてないよ? うまれてくるあかちゃんのためにもゆっくりしていってね!」
「そんなことをいってるばあいじゃないのぜ! はやくひろばにいくのぜ!」
まりさはれいむに事情を説明した。
「あまあまさんがもらえるの? それはゆっくりできるね! でもれいむはあかちゃんをにんっしんっしているんだよ? うごきまわったらあかちゃんたちゆっくりできないよ!」
妊娠中のゆっくりが動き回ることは大変な危険を伴う。植物型であれば茎から赤ゆを落としてしまうかもしれないし、胎成型であれば母体への衝撃がそのまま赤ゆへのダメージになうる。よってほとんどのゆっくりは妊娠中に巣から外に出ることは無い。だがあまあまに目がくらんだまりさはそれを無視して広場に向かうように迫る。
「なにばかなこといってるんだぜ? れいむがいかないとまりさがあまあまさんもらえないのぜ! にんっしんっしているゆっくりをつれていけばとくべつなあまあまがもらえるのぜ! れいむはまりさがあまあまさんもらえなくてもいいの!?」
「でもね、まりさ。ぴょんぴょんしたらあかちゃんたちがくきからおちちゃうかもしれないよ? そしたらゆっくりできないよ。だから……」
「でもねじゃないんだぜええええええ!? だったらとっととずーりずーりしてひろばにいけばいいのだぜ!!? 」
激高するまりさにれいむは説得をあきらめ、這って広場へと向かうことにする。
「ゆぅぅ……。わかったよまりさ。ずーりずーり。ずーりずーり」
「まったくれいむはぐずなんだぜ。こんなぐずなれいむとけっこんっしたまりさはふこうなやつなんだぜっ。
おっと。こんなことしてるばあいじゃないんだぜ。おとなりのれいむやおむかいのありすにもつたえなきゃなんだぜ!」
こんな具合にしてまりさは合計10匹以上のゆっくりたちに広場に向かうように伝えた。不安がってしり込みする相手にはぷくーも辞さない姿勢だった。
最後のありすを広場にむかわせると、いつもはゆっくりの気配がひしめいている森からは、すっかりそれが消えていた。
「みんなをさそっていたらすっかりおそくなったのだぜ! はやくひろばにいってあまあまさんをもらうのだぜ!」
まりさがいそいで飛び跳ねていると、前方に頭から茎を生やし、ずーりずーりと移動するれいむがいた。
「まだこんなところでくずぐずしているのぜ? はやくひろばにいかないとあまあまさんがとられちゃうかもしれないのぜ!」
「ゆゆ。そんなこといったってまりさ。ずーりずーりじゃはやくいどうできないよ」
「だったらぴょんぴょんすればいいのだぜ! なんでそんなこともわからないの? れいむはばかなの? ほんとうにゆっくりなの?」
「うう。でもぴょんぴょんしたら……」
「とっととやるんだぜこのぐずれいむ!」
「……ぴょーん、ぴょーん」
まりさの剣幕に、れいむはおそるおそるぴょんぴょんする。
「そんなにのろまなぴょんぴょんがどこにあるんだぜ! やるきをださないれいむにはこうなんだぜ!」
しかし茎の赤ゆに気を使って遠慮がちにぴょんぴょんするれいむの姿は、まりさにはやる気が無いと映った。
まりさははやくいけとばかりに体当たりをかます。
「ちょっと、まっ、ぶげぇ!」
「もういいんだぜ! まりさはさきにいくのぜ!」
れいむを連れていかなくても、まりさは10匹以上を広場に向かわせたのだ。沢山あまままをもらえるに違いないと、まりさは苦しむれいむに背を向けて広場へと向かおうとする。
「ま、まりざぁ、あがぢゃんが、あがぢゃんがぁあああ!」
自分を置いて去ろうとするまりさにれいむは悲痛な声をあげる。
その足元にはふぁーすとちゅっちゅを地面で済ませた4匹の赤ゆがいた。
まりさの体当たりの衝撃で、茎からすべての赤ゆが落ちてつぶれてしまったのだ。
「なんなのぜ! まりさはいそいでるのぜ! いいかげんにしないと……どぼぢであがぢゃんがぢんでるんだぜええええええ!」
「ばりざの、ばりざのせいでしょおおおおお!でいぶの、でいぶのあがぢゃんがああああ!」
「なにをいってるんだぜええええ!? あかちゃんがいるのにぴょーんぴょーんするれいむがわるいんだぜえええ!このこどもごろしがああああああ! まりさの!まりさのゆうしゅうなあかちゃんをよくもころしてくれたんだぜえええええ!」
罪の意識から逃れるためか、それとも本当に数秒前の自分の言動を忘れてしまったのか。まりさはすべての責任をれいむになすりつけると大きく飛び上がった。
「じぶんのこどもをころすれいむは、せいっさいっするんだぜえええ!」
「げろぶげっえええ!」
「せいっさいっ!せいっさいっなんだぜえええ!」
「ゆげぇ……」
口から餡子が飛び出し動かなくなるまでれいむを踏みつけると、まりさは半死半生のれいむにつばを吐きかける。
「こんなぐずとのあいだにあかちゃんをつくったまりさがばかだったのぜ。ゆんせいのおてんなのぜ」
「ば、ばりざぁああ……」
「そこでえいえんにゆっくりするのぜ。まりさはあまあまさんをたべて、もっとすてきなびゆっくりとすっきりして、ゆうしゅうなこどもをつくるのぜ」
捨て台詞を残すと今度こそまりさはれいむに背を向けてその場を離れていった。
「うう、おぢびぢゃん、ごべんねぇええ、おがあざんが、あんなばりざのいうごどをぎいだぜいでぇぇぇぇ」
残されたれいむは潰れてしまった赤ゆ達に謝罪をしながら、息を引き取ろうとしていた。赤ゆの姿を探して、ほとんどみえなくなった目を動かす。
「ゆ゛? 」
その視界に奇妙なものが入った。それは他の樹よりも低く、硬そうな樹を地面に突き刺している人間だった。
それがいったい何のために行われているのか。それを考える間もなくれいむはそのゆん生を閉じた。
「これは、すごいなぁ……」
広場に展開されている光景を見て、ふとっちょお兄さんは思わずつぶやいていた。
目の前の広場はゆっくりで埋め尽くされていた。
成体となったゆっくりだけでも、もしかしたら200に届くかもしれない。子ゆっくりや、赤ゆっくりを加えればおそらく300を超えるだろう。その迫力は想像以上だった。
きっとこの森はゆっくりたちにとって相当のゆっくりぷれいすだったのだろう。これだけの数が繁殖するなど並大抵のことではない。それとも人間が気づいていないだけで、街にもこれだけのゆっくり密度でゆっくりは存在しているのだろうか? お兄さんはある種のそら恐ろしさを感じた。
一方ふとっちょお兄さんの胸中とは無関係にゆっくり達は好き勝手に騒いでいる。ただでさえ騒々しいゆっくりが、300匹もいるのだ。その騒音具合といったら並大抵のものではない。
「はやくあまあまをちょうだいね! れいむはしんぐるまざーなんだよ! ほかのみんなよりたくさんほしいよ!」
「このくちょどりぇい、ぐじゅぐじゅしちぇにゃいであみゃあみゃをよこちぇ!」
「やくそくをまもらないにんげんさんはしんでね!」
「むきゅー。おさのぱちゅりーにわたせば、しっかりぶんっぱいっするわよ!」
「ありすはいなかくさいあまあまさんはいらないわ。とかいはなあまあまさんをちょうだいな」
その数からくる迫力と、次々と飛んでくる罵声へのむかつき、そしてこの後することへの期待がない交ぜになって、少しの間金縛り状態になっていたふとっちょお兄さんは足元にぶつかるまりさの存在に気づかなかった。
足に三度目の衝撃が加わって初めて、お兄さんは足元を見る。
「まりさがいちばんたくさんつれてきたんだぜ! だからはやくあまあまさんをよこすんだぜ!」
おそらく先ほども足にぶつかってきたまりさであろう。相変わらず尊大な態度だった。なぜか体のところどころには餡子が付着している。
「わかったよ。ほらっ」
まりさに急かされたからというわけではないが、太っちょおにいさんはトラックの荷台から取り出したダンボールの中身を広場の中央にばらまいた。
飴にチョコレートにクッキー。包装紙に包まれた大量のお菓子がゆっくりたちに降り注いだ。
「あまあまさんなのぜ! ぜんぶまりさのものなのぜええええ!」
「そでばでいぶのあまあまなのおおおお!まりさはどいてねぇええええ」
「れいみゅにあまあましゃんをよこちゃないじじいとばばあはちんでね !きゃわいくってごみぇんね!」
「むきゅーみんなでなかよくたべましょう! ね、まりさ…ぼげぇえ!」
「ちょっと! ぱちゅりーになにをするの! こんなのとかいはじゃないわ!!」
集まった300匹を超えるゆっくりたちが一斉にお菓子に殺到して、広場は一瞬にして修羅場と化した。
「……これは予想外だったな。ここまで意地汚いとは。計画の前に大量死されてもこまるし、それっ」
体の弱いぱちゅりー種を中心に押しつぶされる個体が出てきたのを見て、ふとっちょお兄さんは残ったお菓子を群全体にちらばるようにして投げる。しばらくして混乱は収まり、それぞれのお菓子を確保したゆっくりたちが包装を解こうと奮闘し始めた。
ゆっくりたちに周囲に気を配る余裕は無くなっていた。それを確認するとふとっちょお兄さんは手元の無線機に口を近づけ、つぶやく。
「よし。状況開始!」
ふとっちょお兄さんの言葉を受けて、広場の外周を囲む四角形の頂点の位置に待機していた四人は動き出した。
四人がお兄さんから受け取ったのは金属製の支柱と害獣侵入防止用のネットだった。地面に突き刺した支柱に、ネットを装着すると、別の支柱に向かって走る。たどり着いたもう一方の支柱に取り付けられた金具にもネットを固定する。この動作を四人がそれぞれ行う。
それにより、広場はネットで完全に覆われる形となった。
ネットの高さは1メートル80センチ。ゆっくりの跳躍力では絶対に飛び越えられない高さだ。ネット自体ははポリエチレン製で、最も衝撃が加わる下部にはステンレスワイヤーが編みこまれており、鹿や猪などの中型の動物がぶつかっても破れない仕様になっている。
弱点があるとすれば、網目が3cm目合となっていて、小柄な赤ゆではすり抜けることが可能であるという点だったが……。
「それも心配なさそうだな」
ネットの内側でゆっくりたちを眺めながらふとっちょお兄さんはつぶやく。
ゆっくりは自分達が閉じ込められたことに気づくことも無く、包装を解いてお菓子を貪っていた。
「ちちち、ちあわせー!」
「うっめ! これめっちゃうめ!!」
「とってもとかいはなおあじね!」
「むーしゃむーしゃ、しあわせー!」
夢中になってお菓子を食べているうちに、成体のゆっくりは一回り大きく、そして子ゆっくりと赤ゆっくりは醜いなすび型に膨れ上がっていた。これでは網目の隙間から逃れることはできない。
「念の為、撒いたお菓子を食い終わるまで待つかな」
ふとっちょお兄さんがそうひとりごちたとき、ネットの中に他のメンバーが入ってきた。ネットの一部分は改造してあり、ファスナーで上部が開くようになっている。そこから中へと入ってきたのだ。無論ファスナーはゆっくりにはどどかない位置にある。
「そろそろはじめません?」
「そうだよ。これだけのゆっくりを前にしてお預け喰らうなんて、耐えられないぜ」
「ひゃっはー! 虐ゆサイコー!」
300を超えるゆっくりの群を前に興奮を抑えきれないのであろう。ひとりが叫び声をあげる。
その声に菓子を貪っていたゆっくりのうち何匹かが何事かと顔を上げる。
「ゆゆ? くそどれいがいつのまにかふえているんだぜ。まりさたちはすーぱーむーしゃむーしゃたいむのまっさいちゅうなのぜ。すこししずかにするがいいのぜ」
ネットの中にいる合計5人の人間の額に青筋が走る。そのまりさを潰してやりたいという衝動をおしとどめたのは、背後から響いてくる車のエンジン音だった。
「お、待機組が来たみたいだな」
坂を上って現れたのは、もう一台の2トントラックだった。ネットの外周に停車する。
運転席と荷台のなかからぞろぞろと降りてくるのは年齢も性別もばらばらの8人だった。下は小学生から上は58歳までいる。
「すごい数ですねぇ」
「僕、こんなに沢山のゆっくり見たの初めてだよ!!」
ネットの中にいる5人と、今現れた7人。ふとっちょお兄さんを除いて12人の男女は、お兄さんがウェブ上で募った虐待師たちだった。ふとっちょお兄さんは他の4人と一緒に一度ネットの外に出る。
「じゃあ、皆さん、はやる気持ちはあるでしょうが、今回の集まりについてもういちど説明させてもらいます」
軽い挨拶を交わした後、ふとっちょお兄さんは今回の計画の趣旨を説明し始めた。
「えー1週間前。我々にとっては非常に残念な法改正が国会を通過してしまいました。
それによりあと3週間でゆっくりを虐待することはできなくなります。「もっとあまあまをよこすんだぜ」このたびの集まりは、その前に思う存分虐待を楽しもうということと、「にんげんさんなにをぼんやりしてるの? くそどれいははやくあまあまをもってきてね」法案施行後にゆっくりを街中で見かけることが無い様、出来る限りのゆっくりを殲滅することが目的です。今回はこの森の所有者の方に特別に許可を頂き、「きゃわいいれいみゅのちーちーをみてこうふんしにゃいでね!」このような集まりを開くことが出来ました……ああもう! 私も我慢できません! 火の取り扱いにだけ注意して思う存分自由に虐待し尽くしましょう!!!」
「「「応!!!」」」
12人の虐待師達の鬨の声に、それまで騒がしかったゆっくりたちが一瞬押し黙る。餡子脳でもその声に含まれる不吉な響きに気づいたのであろうか?
バットからクワ、模造刀、ガスガン、特殊警棒、針、エアウォーターガン、はたまた何に使うのか望遠鏡のような謎の機械まで。虐待師達はトラックからそれぞれの得物を取り出すと、ネットの中へと入って行った。
「なんなのぜなんなのぜ! まりさたちはすーぱーむーしゃむーしゃたいむのまっさいちゅうっていったはずだぜ!」
「むきゅ? いつのまにかまわりがなにかでかこまれているわ。でもこのぱちゅりーのちせいですぐにかいけつしてあげるわ!」
「くそどれいはどうしてバットさんをもっているの? はずかしいね。れいむたちをいじめたらせいっさいっされるんだよ! そんなこともしらないなんておろかなにんげんさんだね!」
「きゃわいいれいみゅはうんうんしゅりゅよ! れいみゅのちゅーぱーうんうんたいみゅをみれりゅなんてくちょどりぇいにはちゅぎたちあわちぇだね!! きゃわいくってごみぇんね!」
「おちびちゃんたち、あまあまをたべたらおかあさんとすーりすーりしようね! ほらすーりすーり」
「ちゅーりちゅーり」
虐待師達の鬨の声に反応してゆっくりたちが黙ったのは一瞬だった。自分達の周りを覆うネットの存在にも、人間達が近づいてくるのにも気づいたのは少数で、ほとんどのゆっくりは残ったあまあまを食べたり、すーりすーりをしたりと思い思いの方法でゆっくりしていた。
ほんの数十分前、トラックが来て逃げ出していたゆっくりたちの面影はそこにはなかった。もう人間が自分達をいじめることは無いと。あまあまをもらえたこともあり、その都合のいい情報を完全に信じきっているようだった。
「ここまでくつろいでいるっていうのも、すごいですねぇ」
メガネをかけたお姉さんがつぶやく。
「ああ、こう無防備なゆっくりははじめてみたぜ」
バットを持った青年は獲物を物色しながら答える。
「もういじめないっていう言葉を完全に信じてるんだろ。単純な奴らだ」
ガスガンにガスを注入しながら、大柄の男が吐き捨てる。
しかし皆が皆、最初の虐待を始めかねていた。
処女雪が降り積もった雪原で、それを最初に踏み荒らすのは、ある種の特権である。それぞれ名うての虐待師である彼らは、それなりの礼節もわきまえている。自分がその権利を行使していいものかと遠慮しているのだった。
「自由にとは言いましたが、記念すべき最初の一匹目は、やはりあなたがやるべきでしょう」
クワを担いだ老年の男性が、ふとっちょお兄さんへと提案する。
今回の虐待計画を立てて、街に現れるゆっくりの生息地を突き止め、メンバーを集め、土地の所有者に許可を取ったのはすべてふとっちょお兄さんであった。最初の一匹の権利は彼にあると他のメンバーも同意してくれた。虐待師たちの心遣いにお兄さんは胸が熱くなるを感じながら、礼を言う。
「みなさんありがとうございます。では……」
そのままふとっちょお兄さんは1匹のまりさに近づく。お兄さんの足に何度も体当たりしたあのまりさだ。
近づいてくるお兄さんに気づき、まりさは声を上げる。
「ゆ!? なんなのぜくそどれい! このまりささまになにかようなのぜ?」
「ああ。実はまりさにあげたいものがあるんだ」
「ゆゆ! わかったのぜ!! とくべつなあまあまさんなのぜ! まりさはたくさんゆっくりをつれてきたから、とくべつなあまあまさんをもらえるはずなのぜ! はやくよこすのぜ!!」
「そうそう。まりさにあげるのは特別な、アマ・・・・・・」
「あまあまさん!」
「そうアマ、ギりじゃああボケェェェェ!!」
「ゆ……、ゆ、ゆ゛ぎゃああああああああああああ!! ばりざの!ばりざのおべべがああああぁぁぁ!!!」
言葉と同時に放たれた上向きの手刀は、腕による180度の回転と、手首から先の180度の回転、合わせて360度の回転を経て加速され、一瞬にしてまりさの眼球を抉り取っていた。
一拍遅れてまりさの絶叫が響く。
「お美事!」
「お美事にございます!」
他の部位を傷つけず眼球のみを摘出するふとっちょお兄さんの腕前に他の参加たちは拍手を送る。そちらに対して一瞬だけ微笑むとお兄さんはそのまま眼球を踏みつける。
「どどど、どおぢでぇぇぇぇ! ゆっぐりをいぢめぢゃだべなんだよおおおお?」
残った目で太っちょお兄さんをにらみつけながら、まりさは本当にわからないという風に叫んでみせる。
「ほかのにんげんさん!このおにいさんはわるいにんげんさんだよ! はやくせいっさいっしてね」
「むきゅー! 新しいルールさんはどうしたの?」
「ありすたちをだましたのね! このいなかもの!!」
周りのゆっくり達はその光景をみて、恐慌状態に陥り非難の声をあげる。しかしまだ逃げ出さない。新しいルールの力を信じているからか。それとも数の多さで気が大きくなっているのか。
「まあ、それは説明してやるよ。とりあえずお前を永遠にゆっくりさせてからな」
ふとっちょお兄さんは言葉を紡ぎながらまりさの帽子を蹴り上げると、それを掴み、二つに引き裂く。
「ばりざのおぼうじざんああああ!」
そのままひらひらと舞う帽子に駆け寄るまりさのおさげを掴むと、それも本体からブチリと千切り、帽子もろとも踏みつけにする。
「があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!おぼっ、おさっ、さんっ!がっ!」
ふとっちょお兄さんはそれでも止まらず、大口を開けて絶叫するまりさの口に手を突っ込むと舌を掴み、
そこを支点にしてぐるりとまりさを裏返した。
「……っ…っ!」
声を出せる状態で無くなり、ただ餡子をぼたぼたと散らす元まりさに、ダメ押しの踵落とし。大量の餡子が飛び散り、そこにはまりさの皮の残骸しか残らなかった。
流れるような連続技が終わってもゆっくりたちは呆然として動けずにいた。それを意に介することも無くふとっちょお兄さんはゆっくりたちに語りかける。
「まあ、説明するとだ。おまえたちをいじめちゃいけないっていうルールが出来たのは本当。でも、そのルールが適応されるのは、3週間後なんだ。おわかり?」
「つ、つまりどういうことなの?」
震えながら、先ほどお兄さんをいなかもの呼ばわりしたありすが尋ねる。
「お前達全員、ここで永遠にゆっくりするってことだよ!!」
そして、地獄絵図が始まった。
「ヒャッハー! 粛清の、はじまりだああああ!」
「そんなのとかげぇっ」
ふとっちょお兄さんの言葉が終わるや否や、サングラスをかけたお兄さんが特殊警棒を振りかぶり、質問をしたありすを叩き潰す。
「それ、せめて土の養分になりなさい」
老年の男性はクワを振りかぶり、赤ゆ連れのぱちゅりー一家をまとめて土へと還す。
「おちびちゃんたち! おかあさんのおくちのなかにかくれてね! ゆっくりしていないでにげるよ」
周りのゆっくりがつぶされるのを見て、あるれいむは赤ゆ達を口の中に隠して逃げようとする。3回ほど飛び跳ねた時、その頬に小さな穴が開く。
「いぢゃいいいいい!・・・はっ!おちびちゃんたち!もういちどおかあさんのおくちのなかにかくれるんだ、よ?」
その痛みに耐えかねて、口を開いてしまう母れいむ。しかし赤ゆ達がいることを思い出し、呼びかける。だがその対象は、母れいむの頬を貫通したBB弾により完全につぶれてしまっていた。
「おちびちゃあああああ、あ゛ばばばばばばばば」
悲哀の叫びは形になる前に続けざまに発射されたBB弾により断末魔の叫びと変わる。
「小さい目標を狙うのは燃えるぜえ!」
れいむ一家を撃ち殺した大柄の男は赤ゆを中心に次々に狙いを定めて、撃ちぬいていく。無論弾が他の虐待師に当たらぬよう、細心の注意を払いつつ、だ。
「あははははははは!」
「ゆげぇ!」
「がぁ!」
「たすけ、ぼあっ!」
髪の長い女性は、逃げ惑うゆっくりの群をピンヒールで踏み抜きながら、絶妙のバランス感覚でスキップしてゆく。
その通り道には、中枢餡を貫かれたゆっくりによって甘味ロードが出来上がっていた。
死のスキップから逃れようとする赤ありすにメガネをかけたお姉さんが声をかける。
「そこの都会派なありすちゃん! ここまで来たらお姉さんが助けてあげるよ!」
「ゆ!?ぴょーんぴょーん、いちょいでいくわ!!」
「だめなんだぜ!にんげんさんはしんようできないん、ぶげっ」
「まりさあああ! せめておちびちゃんだけでもおかあさんといっしょににげ、げああああ」
「いみょうとちゃん!!?まりちゃをおいていきゃないでね!ゆっくちもどっちぇきちぇね!」
「ときゃいはにゃありちゅはゆっくちたちゅかりゅよ! いにゃかもののまりしゃはちんでね!」
現れた救いの手に、その赤ありすは踏み潰される両親も、取り残される姉のまりさも置いて一目散に駆け出す。
他のゆっくりの間をすり抜けて、赤ありすはついにメガネお姉さんのもとにたどり着く。
「はい、よくここまでこれたね!」
メガネお姉さんは赤ありすを両手で掬い上げるようにして持ち上げる。
「ゆ!おしょらをとんでりゅみたい! ときゃいはにゃありちゅにかきゃれば、こんにゃのかんたんよっ!」
「そう。お母さんもお父さんもお姉さんも見捨てて、他のゆっくりを出し抜いて、自分だけ助かろうなんて、本当に都会派ね」
「ゆ?」
「あら、何を言っているのかわからない?」
「わ、わきゃるわ! ありちゅはときゃいはだみょの!! だきゃらおねぇしゃん! ときゃいはなありしゅをかってくれりゅ?」
「あなたを飼う? ……そうね。いいわよ」
「ほんちょ!? あまあましゃんはたくしゃんでいいよっ! きゃわいくってごめんね!」
お姉さんの手のひらの上で赤ありすはぴょんぴょんと飛び跳ねて喜ぶ。それを見ながらメガネお姉さんはにっこり微笑んで言った。
「嘘だよ」
「ゆ?」
何を言われたのかわからないという風に、赤ありすは体をかたむける。それに対してメガネお姉さんはもう一度言ってやる。
「うーそーだーよー! ありすなんていらないよ! 」
それを見ていたバットを持った青年と中年の男が言葉を引き継ぐ
「いらないいらない!」
「うちにかえって胴つきゆうかりんと遊ぶわっ!」
「ゆ、おしょらを、ゆべっ!」
そのまま赤ありすは地面に叩きつけられて果てた。
ほとんどのゆっくりが恐慌状態に陥っている中、冷静なものもいた。
「むきゅ! まりさ! すーやすーやすればたすかるわ!」
「それは、どういうことなんだぜぱちゅりー?」
「にんげんさんたちは、ルールがかわるのは3しゅうかんごだといっていたわ!」
「だから、どういうことなんだぜぱちゅりー?」
「おばかなまりさにはわからないかもしれないけど、3しゅうかんごっていうのは21にちごのことだわ」
「つまり、どういうことなんだぜぱちゅりー?」
「むきゅ! つまり21かいすーやすーやすれば、3しゅうかんごがくるのよ!」
「わかったのぜぱちゅりー! すーやすーやするのぜ!」
「ぱちぇもすーやすーやするわ!」
「すーやすーや」
「すーやすーや」
「あははははははははは!」
勿論2匹とも潰された。
この状況下で、ゆっくりにとってもっとも利口な対処方法はネットを抜ける方法を模索することだった。
だが多くのゆっくりは何も考えずに、森を目指して、張ってあるネットへとぶつかるだけである。
そして3cm目合のネットの隙間は、成体のゆっくりが入るのはまず不可能で、赤ゆにしてもお菓子をさんざん食べたなすび体型では通ることが出来なかった。
「どおぢでもりさんにはいれないのおおおお?はやくれいむをとおしてね! おねがいだよ!」
「うごきぇにゃいよ! ゆっくちちてないで、きゃわいいれいみゅをはやくたしゅけてね!」
自然、成体ゆっくりはネットの前で立ち止まり、赤ゆっくりも同様か、ネットの隙間に挟まることになる。
その後ろからは数十のゆっくりがネットに向かっている現実がある。
「そこのくずれいむ!まりささまをとおすんだぜ!」
「とかいはなありすこそがいきのこるのにふさわしいのよ!」
「れいむはしんぐるまざーなんだよ! わかったらはやくどいてね!」
口々に勝手なことをわめきながら、後から後から押し寄せるゆっくりの波。その圧力はだんだん高まってゆく。
結果として。
「ゆっ? おさないでね? ここはとおれないよ! おさないでね! おざないでっていっでるでしょおおおお!?ぐえええ!?」
ネットの前方にいたゆっくりれいむは後方からの圧力で3センチ角のサイコロ状に切り裂かれ、
「おきゃーしゃん!はやくれいみゅをたしゅけろっ!たしゅけ、ぼっ!」
なすび状だった赤ゆは口の上から半分だけがネットの外に押し出され、下半分は摩り下ろされる形になった。
「ゆがああ!? ここはとおれないようだぜ! せっかくだからまりさはべつのみちをいくぜ! だからおすのはやめるのぜ!!」
「おさないで! ありすのからだが! とかいはなぼでぃがあああああ!」
そんな風にして、大量のサイコロゆっくりと摩り下ろしゆっくりの生産スポットとなったネット際だったが、しばらくすると異変が起こり始めた。
50匹近いゆっくりがネットに集まったことで、それを支える支柱の方がだんだんと傾き始めたのだ。当のゆっくりたちはそのことに気づいていないが、大量の犠牲を出しながら、逃走経路は出来上がりつつあった。
しかし、『逃げるゆっくりは虐待だ。逃げないゆっくりも虐待だ』『いいゆっくりは死んだゆっくりとゆうかりんだけだ』を信条とする中年の虐待おじさんはそれを見逃さなかった。
「こいつの出番ですかね」
おじさんは巨大な望遠鏡のような機械を三脚に固定し、ケーブルでバッテリーに繋ぐと、最も多くのゆっくりが群がるネットをスコープに収め、その装置のスイッチを入れた。
「ゆ゛っ!?ゆ゛?ゆ゛?ゆ゛ゆ゛!!!」
するとネットに群がっていたゆっくり達のうち、れいむ種とまりさ種がにごった声を上げはじめる。
「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ぅぅぅぅぅ!」
にごったうめき声の感覚が短くなり、それに比例するようにれいむ、まりさ種のからだが膨張していく。
そして、ポンと弾けた。
ネット際に茶色い餡子の花が咲く。
「まりさ? まりさどこにいったの?まりさったらああああ!?」
「ぱちぇとれいむのあかちゃんたちはどこ? れいむは? げええええぇ」
「ここはきけんよ! ありすのあかちゃんたち! ほかのところからにげるのよ!」
残ったありす種とぱちゅりー種は大量の餡子を浴びて、体を茶色く染めたながら、仲間や番が姿を消したことに疑問符を浮かべたり、他のネット際に逃げ出そうとしたりと混乱した様子だった。
おじさんは今度は別のネットをスコープに収めると、もう一度スイッチを押す。やはりネット周辺のれいむ種とまりさ種が餡子を飛び散らせて爆発した。
ネット際のゆっくりが爆発したのを見て、そこは危険だと他のゆっくりはネットから離れて広場の中央へと戻っていった。 虐待師の面々がおじさんの装置の威力に驚いて虐待の手を止めたこともそれに拍車をかけた。ゆっくりたちはネットを越えて森に逃げ込むことをあきらめ、広場の中の遮蔽物に身を隠したり、ぷくーによる威嚇をおこなったりと自ら生存への道を狭める行動に走った。
「おじさんなんだよその装置」
「そんなの使ったらすぐに全滅しちまうぜ?」
「いやあ、驚かせてしまったみたいですね。ネットを越えて逃げ出すのを防ぎたかっただけなんですよ。もうこいつは使わないのでみなさん続きをどうぞ」
おじさんにそう促されて虐待師達はそれぞれの虐殺に戻った。
そんな中でエアウォーターガンを持った小学生の虐待少年だけが、興味深そうにおじさんに近づいていった。
「おじさん。それいったい何?」
「これかい? これはおじさんの会社で作っていた餡子共鳴装置の試作品だよ」
そのおじさんはゆっくり虐待グッズを開発するメーカーの開発部長を務めていた人間であった。しかし法改正のあおりを受けて、一週間のうちに会社の株価は下落。新製品の開発もすべて停止してしまっていた。
このまま試作品がお蔵入りになるのがあまりに惜しく、今回会社に無断でこの装置を持ってきているのだった。
「これはね。ゆっくりの中身だけを振動させて、人や他の動物がいる場所でも、大量のゆっくりを駆除用できるんだ。本当は共鳴周波数を変えることですべてのゆっくりに対応するはずだったんだけど、途中で開発が中止されちゃってね。中身が餡子の種類だけにしか使えないんだ」
「よくわからないけど、すごーい!」
無邪気な瞳で見つめられての賞賛に、おじさんは、ああ俺はこういう子供達のためにゆ虐グッズをつくってきたんだと誇らしい気持ちになる。
「ははは。そういってくれるとうれしいよ。実は君が持っているエアウォーターガンもおじさんの会社の商品なんだ」
「本当!? じゃあ僕おじさんにお願いがあるんだけど……」
「なんだい?」
「僕のウォーターガン、すこし壊れちゃったみたいで、最初みたいな威力が出ないんだ。ほら」
そういうと、少年は手ごろな距離にいるまりさとれいむの番を見つけ、まりさの方をウォーターガンで撃って見せる。
「ゆ? おみずさん!? こんなにたくさんのおみずさんはゆっくりできないのぜ!ゆゆ!まりさの!まりさのはんさむなおかおがどげぢゃうんだぜええええ、え、え、え、ぇ、ぇ……」
「ばりざあああああ! どおぢでえええええええ! むれがらどくりづぢだらいっばいずっぎりじようっでやぐぞぐぢだのにいいいいい!」
「ね? ぜんぜんよわっちいんだ」
「確かに。ちょっと借りていいかな?」
おじさんは少年からウォーターガンを受け取るとあちこち調べ始めた。このウォーターガンは、圧縮した水流でゆっくりを切断するものである。今のように撃ち続けてゆっくりをぐずぐずに溶かすのは本来の用途ではない。
「あ、なるほどね。わかったよ。先端のノズルの部品が少し欠けているんだ。だから水流が収束しないで、十分な圧力を維持できなかったんだよ」
「ねえおじさん、それ直せるかな?」
「まかせておきなさい。こんなこともあろうかと人気商品の部品はいくつかもちあるいているんだ……ほら、撃ってごらん」
「うんっ!」
少年はおじさんに直してもらったウォーターガンを構えると、まりさに取りすがるれいむに狙いをつけて引き金を絞る。
「ばりざああああ! ぐすっ、ゆゆん。れいむは、れいむはまりさのぶんまでいぎるよ! もうなかないでいっぱいゆっくりするよ!てんごくでみまもっててね!!」
どうやらおじさんが素早くウォーターガンを直している間に、れいむの方も意外とあっさり番の死から立ち直ったようだった。
もう涙は流さずに、強く生きよう。れいむはそう誓った。そしてその場を離れようとしたとき、ぽとりと右のもみ上げが足元に落ちた。
「ゆ? おかしいよ。どうしてれいむのすてきなもみあげさんがとれちゃったの? おかしいよ? もうなかないってきめたのに、おめめからなみだがとまらないよ?ゆ?ゆ?ゆ゛びぃいいいいい!?」
れいむの瞳から流れるのは涙ではなく、真後ろかられいむを貫いたウォーターガンの水流であった。すさまじい勢いで放たれた水流のせいで、れいむは痛みを感じる間もなく、眼球を真っ二つにして上下にスライスされた。
「すごいよおじさん!ありがとう!」
少年は魔法使いでもみるような目でおじさんを見上げる。
「いやいや。本当なら簡単に壊れないように作るべきだったんだ。それに道具さえあれば君でも簡単に直せるんだよ?」
「そんなことないよ! おじさんはすごい! 僕、大きくなったらおじさんの会社に入るよ!」
力強く言う少年の言葉を受けておじさんは笑みに若干の寂しさを混ぜる。
はたしてこの子が大きくなるまで、うちの会社はもつのだろうか。
「そうだ。トラックの荷台にはまだまだいろんな試作品を積んできたんだ。色々試してみないかい?」
「うん!試してみたい!」
未来のことはわからないが、それでもここに小さな絆が生まれたことは確かだった。
おじさんは極力寂しさを顔に出さないようにしながら少年と共にトラックへと向かった。
少年とおじさんが小さな絆を育んでいるころ、メガネのお姉さんとバットを持った青年は往年の名作ゲームハードについての話題に興じながら、赤ゆでキャッチボールを楽しんでいた。
サングラスをかけて、特殊警棒をもった青年とクワを担いだ老年の男は、一度にどれだけのゆっくりを潰せるかを競い合っていた。
ふとっちょお兄さんはそんな面々を見ながら優しげな笑みを浮かべた。いままで面識が無かったとはいえ同好の士だ。彼らが交流し絆を深め合う光景は心温まるものだった。
それと同時にこういうふうに虐待師同士、一緒に趣味に興じることもできなくなるのかと思うと、寂しい気分になった。
「 たしゅけてくだしゃい!たしゅ、ゆびいいい! おかあしゃん、まりしゃのおべべをたべちゃだめええええ!」
「むーしゃむーしゃしたくないよおおおおおおお!、ゆ゛ゆ゛、それなりー」
なのでお兄さんはその思いをまぎらわせるように、命乞いをする子ゆっくりの目玉を抉り取り、それを親ゆっくりに無理矢理咀嚼させた。
素手で、バットで、模造刀で。虐待師13人は時に競い、時に談笑を交えながら、皆それぞれの得物でゆっくりを貫いて、すり潰して、切り裂いて、粉砕していく。
そのゆ虐の饗宴は、1時間後、300匹いたゆっくりの数が半分になるまで続けられた。
つづく?
とりあえずここで一区切りです。