ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko1164 夜の怪奇現象
最終更新:
ankoss
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・まったくゆっくりが虐待されません
・原作キャラがちょこっと出ます
・一部人間がひどい目にあってます
・賢いゆっくりは漢字を使って喋ってます
・やっぱり作者はHENTAIでした
・独自設定が強いですがそれでもいい人はゆっくりよんでいってね!!!
部屋の中に入ると何所か奇妙な違和感を感じた。何かがおかしいとはわかるが、はっきりわかるほどでは無い。
ここに引っ越してきてようやく落ち着いてきた頃に、部屋の配置も決まりようやく住み心地がよくなってきたのに。
それなのにここ数日俺はアパートに帰るたびに違和感を感じ始めたのだ。
気ままな一人暮らしだ。俺がいない間にいるのはペットして飼っている一匹のゆっくりだけである。
「なあみょん、本当に誰も来てないのか?」
「そうだみょん!みょんがちゃんとお留守番をしてるけど人間さんも野良ゆっくり一匹もお部屋にはきてないみょん!」
そう言って返事をするのは俺が飼っている胴付きのみょんだ。普通のみょんが卑猥な言葉や片言でしか喋れないが、
こいつはちゃんと人間と話すことができる。頭が良いだけでなく、手先も器用であり俺のいない間に掃除や洗濯までしてくれる。
ちょっと変わっているのが周りに半霊というものがいること。しかしこいつはペット兼家政婦のようなすばらしい同居人だ。
いやー可愛いやつだ。
「褒めるよりお兄さんは自分の生活を改めるみょん!部屋は汚いし、洗いもの臭くて嫌になるみょん!」
「失礼なこというな!?俺の匂いは気が遠くなるような香しい匂いなんだよ!」
若干親のように俺に小言を言うが、それもまた可愛いところだ。
それよりこの怪奇現象の謎を解かなければ。
「やっぱりまた幽霊でも出たのかな。」
「おおおおにいさん!?幽霊なんてそんなものはいいいいいないみょん!」
どもりながら俺の言葉を否定するみょん。もともとおまえもゆっくりなんていうよくわからない生き物だろうが。
しかも半霊なんて従えてるのにこいつは幽霊や怪談といったものが大の苦手だ。
「そんなこといっても、ここ以前に自殺者がでたみたいだしなー。そのおかげでありえない家賃になってるし。」
普通の相場の半額といったとんでもない家賃であるこのアパートの一室。当然訳ありである。
だが俺はそういったいわく付きの安い部屋に住み、その余分に浮いた金でこいつを買うためにした借金を返している。
だって可愛かったんだもん・・・
「そそそそれより!今のところ何も問題もないみたいだしほっておいていいみょん。」
「いやそれは困る。俺が綿密に作り上げたこの理想的な環境を壊すやからは、幽霊でも容赦せん!」
布団の周りには手の届く範囲にテレビのリモコン、煙草、漫画、パソコンといったものが置いてある。
この絶妙な距離感は俺が住みやすいように無意識のうちに整理されたものだ。これを変えられると非常に困る。
「大丈夫だって。また前みたいに説得するから。」
以前にも誰もいない部屋に謎の音が鳴り響く部屋に住んでいたが、その原因を取り除くため俺は幽霊との直接対談をしたことがある。
その時に現れたのは楽器を持った三人組の少女の姿をした幽霊だった。
その時に俺は非常に紳士的な対応をして幽霊たちをこう説得した。
「何勝手に人の部屋にいるんだ!ここにいるならちゃんと俺に家賃でも払え!」
「てかこんな真夜中に騒ぐなよ!煩くて眠れないだろーが!」
「幽霊のくせに結構可愛いじゃん!住んでもいいからちょっと俺と付き合え!」
「可哀想な目でこっち見んな!お前みたいなつるぺたの赤いガキはいらない子なんだよ!?
そっちの巨乳のピンクの子か、クールな顔した黒い子は俺を踏んでくれ!」
そうして約五時間ほどの説得により、その幽霊どもは涙を流して反省して部屋からいなくなった。
それでも姿を現さないまま騒音を垂れ流すので、しかたなく今のこの部屋に引っ越してきたのだ。
この他にもバイト先にでた食い物を食べ散らかす妖艶な亡霊や、宙に浮かぶ足だけの少女臭をだす化け物と遭遇しており
たかだか出てきて部屋を荒らすだけの幽霊など敵ではない。
「そういうわけだ、今夜は徹夜で幽霊を待ち構えるからみょんは先に寝ておいてくれ。」
「みょん・・・、あんまり無茶しないでほしいみょん。」
そうして俺は一人幽霊と対決するため、夜中に起き続けることにした。
「結局その日には幽霊なんてでなくて寝不足なわけなんだね。」
「そういうことだ。幽霊のくせに化けて出てこないとは軟弱ものだ。」
バイト先の同僚である友人に昨日の顛末を話す俺。結局昨日寝ずの番をしていたものの幽霊と思われる原因は現れなかった。
そしてこの先どうすればいいか、知恵を借りようとしたわけである。
「また引っ越したらどうだい?そんな気味の悪い部屋なんか出て行けばいいんだから。」
至極真っ当な意見をくれる友人。しかしそれができれば苦労はしない。
只でさえ金欠気味だというのに、さらに新たな出費が出てしまえばまちがいなく今月は白米とシャドウおかずだ。
あんなわびしい生活は二度とするか!?
「なんとかならないか?可愛いみょんが飢えて悲しむ姿は見たくないんだよ。」
「じゃあ家に監視カメラでもしかけたらどう?家庭用のビデオカメラでいいなら貸すよ。」
持つべきものは友。お礼にこんどみょんをもふもふさせてやる。
「もふもふよりもなでなでさせろ。あとこれみょんにあげてやって。」
「俺も食っていいこのクッキー?」
「あんたには煎餅やるから我慢しろ。」
そうしておやつと監視カメラを友人に頂いた俺はさっそくカメラを仕掛けることにする。
仕掛ける場所は適当に部屋全体が移る部屋の天井に仕掛けて、いつもどうりにみょんに留守番をさせ大学にいく。
正直幽霊が映っていないかと思うとワクワクしてとてもじゃないが講義など聞いていられない。
大学の講義をすべて終えると俺は速攻で家に帰った。
「たっだいまーみょん。いい子にしてたかー?」
いつもの元気に俺を迎えてくれるみょんの声が無い。たとえケンカしたとしても帰ってきたときは俺を出迎えてくれたのに。
不安になり部屋の奥に進むとそこにはみょんがぼうっと座っていた。俺には気づかず視線は宙に浮いている。
「おいみょんどうした?気分でも悪いのか?」
俺の声にも反応せず、ただ虚ろな目をして天井を見つめている。
手のひらを目の前で振ってみたがまったく反応していない。
「しょうがない、悪く思うなよみょん!」
そうみょんに断わりをいれて俺はみょんの半霊をくすぐる。みょんと半霊は感覚が共有されているのか、
一度触ってみたがみょんはずい分と怒り出した。どうも敏感な部分なのかみょんは顔を赤くしていた。
「みょん!?お兄さんいつの間に帰ってきたんだみょん?」
「気がついてよかったみょん。」
正気に戻ったみょんに俺は一体何があったのかを聞いてみた。だがみょんはよくわからないとしか言わない。
いつものように掃除と洗濯をして休んでいたところで記憶が無くなっているようだ。
「やっぱりビデオで確認してみるか・・・」
そうして俺は仕掛けていたビデオカメラを再生して部屋で何が起こったのかを確認してみる。
俺が大学へ行ったあと、みょんの言うとおりみょんが部屋の掃除と脱ぎ散らかした俺の服を回収して洗濯をしている。
すべて終わった後、みょんは俺が置いてあったバイト先の友人がくれたクッキーを食べながらテレビを見ている。
そしてそこからおかしなことが始まった。
「おいみょん、なんでお前急に押入れなんかいくんだ?」
「わからないみょん、テレビさんを見てたのは覚えてるけどこの後のことは覚えてないみょん。」
ふらふらとした足取りでみょんは俺が使っていない押入れへと歩いて行く。
その手にはおやつのクッキーを乗せた皿を持っている。
押入れの前までみょんが行くと、誰もいないはずの押入れが独りでに開いた。
そして押入れの中から一本の腕が伸びてみょんの手からクッキーの皿を受け取った。
押入れの戸はまた独りでに閉められ、みょんはふらふらとまたテレビの前に戻り座り込む。
「おおおおにいさん!?いいいいまの手さんはなんなんだみょん!?」
「わからんが、まだ押し入れの中に何かいるってことだ・・・」
みょんが怯えた声で俺にしがみつく。怯えたみょんを抱えたまま俺は押入れに近づく。
みょんが開けないでくれと俺に懇願するが、この中には今までの怪奇現象の犯人がいるのだ。
俺は一度大きく呼吸をすると勢いよく戸を開ける。そこには・・・
「げーら、げーら・・・」
気持ち良さそうに眠っている胴付きのうどんげがいた。
拍子抜けしている俺たちだが、戸が開いたことで光が入りうどんげが目を覚ます。
俺たちを見てうどんげが驚きの声をあげる。
「げらげらげらげらげら!?」
「うわ、うるさ!?」
意外と大きな声をあげられ、俺とみょんが驚いた隙をついてうどんげは押入れから逃げ出す。
そしてそろそろ春だというのに出しっぱなしの炬燵の中へと潜り込む。うどんげが炬燵の中からこちらを覗う。
「げらげら・・・」
怯えているのか、不安そうな目をしてこちらを見ているうどんげ。警戒されても困るので俺はつとめて優しい声をかける。
「大丈夫だ、俺はお前を怒ったりしないよ。できればどうしてこの部屋にいるのか教えてほしいんだが。」
そう言ってうどんげに出てきてもらおうとするが、やはりこちらを警戒したまま炬燵から出てこない。
そこで少し絡め手を使わせてもらう。
「ほーら、美味しいあまあまさんだぞー。これをあげるからそこから出ておいでー。」
俺がみょんの為に買ってきてやった評判のゆんドーナツのボンジョビショコラを出す。
甘い匂いに反応してか、うどんげがこちらの手をちらちらと見始める。
もう少しだ。
「ほら、怒らないからこっちおいで。」
「げらげら」
笑顔で手招きをすると、ついにうどんげがこちらに近寄ってきた。俺はうどんげにショコラを渡すと、うどんげは嬉しそうに食べ始める。
可愛く食べるうどんげを見て顔が綻んでいると、みょんがこっちを睨む。
「お兄さん!何泥棒さんにあまあまをあげてるみょん!?早くお仕置きしないと!」
お仕置きと聞いてうどんげがビクリと体を震わせる。まったく、せっかく何とかなると思ったのに怯えさせちゃ駄目だろ。
「大丈夫、お仕置きなんてしないから。それよりみょん、そんなこと言ったらうどんげが驚くだろ?」
「何言ってるみょん!どうみても泥棒さんなのに、お兄さんは甘いみょん!それに泥棒さんを見て嬉しそうにしないでほしいみょん!」
ああ、なるほど。どうやら俺がうどんげに優しくしているのをみて少し嫉妬してるのか。
みょんをなだめる為に俺は一つドーナツをみょんに差し出し、みょんの頭を撫でる。
「ごめんなみょん、これあげるから許してくれ。」
「・・・しょうがないみょん!許してあげるみょん。」
照れているのか少し赤くなりながら、ドーナツを食べるみょん。さてここからまたうどんげに質問しないと。
「なあうどんげ、最初に聞いたがどうしてこの部屋にいるんだ?ここは俺のお家なんだが?」
そう聞くとうどんげが答えるが、残念ながら何て言っているかさっぱりわからない。
しかたないのでみょんに翻訳してもらうと、次のようなことが分かった。
どうも、このうどんげ以前住んでいた住人のペットだったようだ。しかし飼い主が気味悪がって引っ越したのか、
その時にうどんげを置いていきそのままこの部屋で暮らしていたようだ。
幸いすぐに俺が住みついて、置いてある食糧を食べてなんとか生き延びたようである。
「ところでみょんがおかしかったのはおまえの仕業なのか?」
「げらげらげら!」
どうもうどんげ種は自分の目をゆっくりの目に見せることで、催眠状態にすることができるようだ。
そして、押入れを掃除しようとしたみょんを催眠状態にして記憶を無くし、そのまま食料を取ってくるように暗示をかけたのだ。
それでたまにみょんが夜に起きてごそごそとお菓子を取ってたのか。こっそり食べてるのかと思ってほっといたのに。
「事情はよく分かった。それでうどんげ、お前はこれからどうするんだ?」
「げらげら・・・」
どうしようもないというようにうどんげの耳がしゅんと垂れる。まあ飼いゆっくりが野良になれば生き延びるなんて不可能に近い。
「もし良ければこのまま住んでもいいぞ。」
「げら!」
嬉しそうな顔をするうどんげ。いくら生活が厳しいからといってこのままうどんげを捨てるのはしのびない。
幸い食い物なら友人の差し入れでみょんとうどんげの分ぐらいなんとかなるだろう。
「これからよろしくなうどんげ。」
「げらげらげらげら!」
頭を撫でて新たな同居人を迎え入れる俺。しかしそこでまた異変が起きた。
「みょん!?お兄さん、何かうどんげの体が透けてるみょん!?」
「ほんとだ・・・、うどんげ一体どうしたんだ!?」
驚く俺たちに、うどんげは自分の体を見て何か分かったのか俺たちに何か伝える。
「げらげらげらげらげら!」
「みょん?お姉さんの場所が分かったから帰る?どういうことだみょん!?」
困惑する中でそのままうどんげの体は完全に消えてしまう。後には茫然とする俺とみょんだけが残る。
しばらくして、俺は一つの推測が浮かびパソコンを起動させあることを調べ始める。
「あった、この記事だな・・・」
それはこの部屋で起きた自殺のことだ。記事をみて分かったことは、自殺したの俺と同じ大学に通っていた一人の女子大生だ。
原因はわからないが、彼女はこの部屋で睡眠薬を大量に摂取して眠るように自殺したのだ。
発見されたときに、彼女の傍には同じように眠っているように死んでいる彼女のペットのうどんげがいた。
無理心中か、それとも主人が死んだことに気付かず寄り添ったまま死んだのかうどんげは亡くなったのだ。
そして寂しさのまま、この部屋に幽霊として出てくるようになったのだろう。
「みょん・・・。きっと寂しかったんだみょん。」
「そうだな・・・。満足したのか、それとも人と話して寂しくなくなったのか。」
もういないうどんげに俺たちは黙とうをして、うどんげとその飼い主の冥福を祈る。
「うどんげ、またドーナツ持ってきたやったぞ。」
「みょんも来てるみょん!またお話を聞かせてあげるみょん!」
その後俺はうどんげの飼い主の墓にきてお供え物としてあのドーナツと花を墓に供える。
あの後自殺した女子大生の生家に訳を話し、彼女とうどんげが眠るこの墓へお参りにきたのだ。
どうやらうどんげは女子大生の大切なペットだったようで、その遺体もこの墓に一緒に埋められているようだ。
俺とみょんは偶にここに来ては最近起きたことを面白おかしく墓に喋る。
傍からみたら奇妙な人間に思われるが、俺たちはもううどんげが寂しくならないようにここに来て話してやるのだ。
お前はもう一人じゃないんだぞと。
後書き
最近ちょっと長いSSを書いていたので息抜きながらこんなもん書いてみました。36番あきさんパロってごめんなさい。
それと前回の別れと出会いで皆さんの多くが思った
・重要な所が書かれていない
・無理やり感のある投げっぱなしの愛でEND
・まりさがひどい目にあったのにあっさり人間に懐いてる
という感想が多くありました。実はあの後まりさがお兄さんの部屋から逃げ出し虐待お兄さんに拉致監禁。
虐待されて心が壊れそうな所をお兄さんが洋服につけたバッジの発信機でまりさを助け出し、看病するといった考えもありました。
しかし
・胴付きの虐待、あと自分の書く胴付きは下手すると子供みたいで人間虐待ぽい
・虐待お兄さんはまりさが銅バッジ、かざりでなく洋服につけていることで無罪となり、さらに人間理不尽なことに
・長くなったのでまた後日別の話として書こうと思っていた
・虐待部分の考えをしてたら作者の心が虐待された
こんなことがあったので結局夢オチのような形で終わらせました。
正直みょんのセリフに分かるように小ネタ挟まないと全体的に悲劇なんですよね。
長々と後書きで書いてますが、こういった理由がありました。読んでくれて感想くれた方ありがとうございます。
以前書いたもの
ふたば系ゆっくりいじめ 993 初めてのおつかい
ふたば系ゆっくりいじめ 1003 寂れた神社で
ふたば系ゆっくりいじめ 1014 ゆーパチ「ヒャッハー!虐待だぁ!」
ふたば系ゆっくりいじめ 1024 めーりんの憂鬱
ふたば系ゆっくりいじめ 1036 別れと出会い
・原作キャラがちょこっと出ます
・一部人間がひどい目にあってます
・賢いゆっくりは漢字を使って喋ってます
・やっぱり作者はHENTAIでした
・独自設定が強いですがそれでもいい人はゆっくりよんでいってね!!!
部屋の中に入ると何所か奇妙な違和感を感じた。何かがおかしいとはわかるが、はっきりわかるほどでは無い。
ここに引っ越してきてようやく落ち着いてきた頃に、部屋の配置も決まりようやく住み心地がよくなってきたのに。
それなのにここ数日俺はアパートに帰るたびに違和感を感じ始めたのだ。
気ままな一人暮らしだ。俺がいない間にいるのはペットして飼っている一匹のゆっくりだけである。
「なあみょん、本当に誰も来てないのか?」
「そうだみょん!みょんがちゃんとお留守番をしてるけど人間さんも野良ゆっくり一匹もお部屋にはきてないみょん!」
そう言って返事をするのは俺が飼っている胴付きのみょんだ。普通のみょんが卑猥な言葉や片言でしか喋れないが、
こいつはちゃんと人間と話すことができる。頭が良いだけでなく、手先も器用であり俺のいない間に掃除や洗濯までしてくれる。
ちょっと変わっているのが周りに半霊というものがいること。しかしこいつはペット兼家政婦のようなすばらしい同居人だ。
いやー可愛いやつだ。
「褒めるよりお兄さんは自分の生活を改めるみょん!部屋は汚いし、洗いもの臭くて嫌になるみょん!」
「失礼なこというな!?俺の匂いは気が遠くなるような香しい匂いなんだよ!」
若干親のように俺に小言を言うが、それもまた可愛いところだ。
それよりこの怪奇現象の謎を解かなければ。
「やっぱりまた幽霊でも出たのかな。」
「おおおおにいさん!?幽霊なんてそんなものはいいいいいないみょん!」
どもりながら俺の言葉を否定するみょん。もともとおまえもゆっくりなんていうよくわからない生き物だろうが。
しかも半霊なんて従えてるのにこいつは幽霊や怪談といったものが大の苦手だ。
「そんなこといっても、ここ以前に自殺者がでたみたいだしなー。そのおかげでありえない家賃になってるし。」
普通の相場の半額といったとんでもない家賃であるこのアパートの一室。当然訳ありである。
だが俺はそういったいわく付きの安い部屋に住み、その余分に浮いた金でこいつを買うためにした借金を返している。
だって可愛かったんだもん・・・
「そそそそれより!今のところ何も問題もないみたいだしほっておいていいみょん。」
「いやそれは困る。俺が綿密に作り上げたこの理想的な環境を壊すやからは、幽霊でも容赦せん!」
布団の周りには手の届く範囲にテレビのリモコン、煙草、漫画、パソコンといったものが置いてある。
この絶妙な距離感は俺が住みやすいように無意識のうちに整理されたものだ。これを変えられると非常に困る。
「大丈夫だって。また前みたいに説得するから。」
以前にも誰もいない部屋に謎の音が鳴り響く部屋に住んでいたが、その原因を取り除くため俺は幽霊との直接対談をしたことがある。
その時に現れたのは楽器を持った三人組の少女の姿をした幽霊だった。
その時に俺は非常に紳士的な対応をして幽霊たちをこう説得した。
「何勝手に人の部屋にいるんだ!ここにいるならちゃんと俺に家賃でも払え!」
「てかこんな真夜中に騒ぐなよ!煩くて眠れないだろーが!」
「幽霊のくせに結構可愛いじゃん!住んでもいいからちょっと俺と付き合え!」
「可哀想な目でこっち見んな!お前みたいなつるぺたの赤いガキはいらない子なんだよ!?
そっちの巨乳のピンクの子か、クールな顔した黒い子は俺を踏んでくれ!」
そうして約五時間ほどの説得により、その幽霊どもは涙を流して反省して部屋からいなくなった。
それでも姿を現さないまま騒音を垂れ流すので、しかたなく今のこの部屋に引っ越してきたのだ。
この他にもバイト先にでた食い物を食べ散らかす妖艶な亡霊や、宙に浮かぶ足だけの少女臭をだす化け物と遭遇しており
たかだか出てきて部屋を荒らすだけの幽霊など敵ではない。
「そういうわけだ、今夜は徹夜で幽霊を待ち構えるからみょんは先に寝ておいてくれ。」
「みょん・・・、あんまり無茶しないでほしいみょん。」
そうして俺は一人幽霊と対決するため、夜中に起き続けることにした。
「結局その日には幽霊なんてでなくて寝不足なわけなんだね。」
「そういうことだ。幽霊のくせに化けて出てこないとは軟弱ものだ。」
バイト先の同僚である友人に昨日の顛末を話す俺。結局昨日寝ずの番をしていたものの幽霊と思われる原因は現れなかった。
そしてこの先どうすればいいか、知恵を借りようとしたわけである。
「また引っ越したらどうだい?そんな気味の悪い部屋なんか出て行けばいいんだから。」
至極真っ当な意見をくれる友人。しかしそれができれば苦労はしない。
只でさえ金欠気味だというのに、さらに新たな出費が出てしまえばまちがいなく今月は白米とシャドウおかずだ。
あんなわびしい生活は二度とするか!?
「なんとかならないか?可愛いみょんが飢えて悲しむ姿は見たくないんだよ。」
「じゃあ家に監視カメラでもしかけたらどう?家庭用のビデオカメラでいいなら貸すよ。」
持つべきものは友。お礼にこんどみょんをもふもふさせてやる。
「もふもふよりもなでなでさせろ。あとこれみょんにあげてやって。」
「俺も食っていいこのクッキー?」
「あんたには煎餅やるから我慢しろ。」
そうしておやつと監視カメラを友人に頂いた俺はさっそくカメラを仕掛けることにする。
仕掛ける場所は適当に部屋全体が移る部屋の天井に仕掛けて、いつもどうりにみょんに留守番をさせ大学にいく。
正直幽霊が映っていないかと思うとワクワクしてとてもじゃないが講義など聞いていられない。
大学の講義をすべて終えると俺は速攻で家に帰った。
「たっだいまーみょん。いい子にしてたかー?」
いつもの元気に俺を迎えてくれるみょんの声が無い。たとえケンカしたとしても帰ってきたときは俺を出迎えてくれたのに。
不安になり部屋の奥に進むとそこにはみょんがぼうっと座っていた。俺には気づかず視線は宙に浮いている。
「おいみょんどうした?気分でも悪いのか?」
俺の声にも反応せず、ただ虚ろな目をして天井を見つめている。
手のひらを目の前で振ってみたがまったく反応していない。
「しょうがない、悪く思うなよみょん!」
そうみょんに断わりをいれて俺はみょんの半霊をくすぐる。みょんと半霊は感覚が共有されているのか、
一度触ってみたがみょんはずい分と怒り出した。どうも敏感な部分なのかみょんは顔を赤くしていた。
「みょん!?お兄さんいつの間に帰ってきたんだみょん?」
「気がついてよかったみょん。」
正気に戻ったみょんに俺は一体何があったのかを聞いてみた。だがみょんはよくわからないとしか言わない。
いつものように掃除と洗濯をして休んでいたところで記憶が無くなっているようだ。
「やっぱりビデオで確認してみるか・・・」
そうして俺は仕掛けていたビデオカメラを再生して部屋で何が起こったのかを確認してみる。
俺が大学へ行ったあと、みょんの言うとおりみょんが部屋の掃除と脱ぎ散らかした俺の服を回収して洗濯をしている。
すべて終わった後、みょんは俺が置いてあったバイト先の友人がくれたクッキーを食べながらテレビを見ている。
そしてそこからおかしなことが始まった。
「おいみょん、なんでお前急に押入れなんかいくんだ?」
「わからないみょん、テレビさんを見てたのは覚えてるけどこの後のことは覚えてないみょん。」
ふらふらとした足取りでみょんは俺が使っていない押入れへと歩いて行く。
その手にはおやつのクッキーを乗せた皿を持っている。
押入れの前までみょんが行くと、誰もいないはずの押入れが独りでに開いた。
そして押入れの中から一本の腕が伸びてみょんの手からクッキーの皿を受け取った。
押入れの戸はまた独りでに閉められ、みょんはふらふらとまたテレビの前に戻り座り込む。
「おおおおにいさん!?いいいいまの手さんはなんなんだみょん!?」
「わからんが、まだ押し入れの中に何かいるってことだ・・・」
みょんが怯えた声で俺にしがみつく。怯えたみょんを抱えたまま俺は押入れに近づく。
みょんが開けないでくれと俺に懇願するが、この中には今までの怪奇現象の犯人がいるのだ。
俺は一度大きく呼吸をすると勢いよく戸を開ける。そこには・・・
「げーら、げーら・・・」
気持ち良さそうに眠っている胴付きのうどんげがいた。
拍子抜けしている俺たちだが、戸が開いたことで光が入りうどんげが目を覚ます。
俺たちを見てうどんげが驚きの声をあげる。
「げらげらげらげらげら!?」
「うわ、うるさ!?」
意外と大きな声をあげられ、俺とみょんが驚いた隙をついてうどんげは押入れから逃げ出す。
そしてそろそろ春だというのに出しっぱなしの炬燵の中へと潜り込む。うどんげが炬燵の中からこちらを覗う。
「げらげら・・・」
怯えているのか、不安そうな目をしてこちらを見ているうどんげ。警戒されても困るので俺はつとめて優しい声をかける。
「大丈夫だ、俺はお前を怒ったりしないよ。できればどうしてこの部屋にいるのか教えてほしいんだが。」
そう言ってうどんげに出てきてもらおうとするが、やはりこちらを警戒したまま炬燵から出てこない。
そこで少し絡め手を使わせてもらう。
「ほーら、美味しいあまあまさんだぞー。これをあげるからそこから出ておいでー。」
俺がみょんの為に買ってきてやった評判のゆんドーナツのボンジョビショコラを出す。
甘い匂いに反応してか、うどんげがこちらの手をちらちらと見始める。
もう少しだ。
「ほら、怒らないからこっちおいで。」
「げらげら」
笑顔で手招きをすると、ついにうどんげがこちらに近寄ってきた。俺はうどんげにショコラを渡すと、うどんげは嬉しそうに食べ始める。
可愛く食べるうどんげを見て顔が綻んでいると、みょんがこっちを睨む。
「お兄さん!何泥棒さんにあまあまをあげてるみょん!?早くお仕置きしないと!」
お仕置きと聞いてうどんげがビクリと体を震わせる。まったく、せっかく何とかなると思ったのに怯えさせちゃ駄目だろ。
「大丈夫、お仕置きなんてしないから。それよりみょん、そんなこと言ったらうどんげが驚くだろ?」
「何言ってるみょん!どうみても泥棒さんなのに、お兄さんは甘いみょん!それに泥棒さんを見て嬉しそうにしないでほしいみょん!」
ああ、なるほど。どうやら俺がうどんげに優しくしているのをみて少し嫉妬してるのか。
みょんをなだめる為に俺は一つドーナツをみょんに差し出し、みょんの頭を撫でる。
「ごめんなみょん、これあげるから許してくれ。」
「・・・しょうがないみょん!許してあげるみょん。」
照れているのか少し赤くなりながら、ドーナツを食べるみょん。さてここからまたうどんげに質問しないと。
「なあうどんげ、最初に聞いたがどうしてこの部屋にいるんだ?ここは俺のお家なんだが?」
そう聞くとうどんげが答えるが、残念ながら何て言っているかさっぱりわからない。
しかたないのでみょんに翻訳してもらうと、次のようなことが分かった。
どうも、このうどんげ以前住んでいた住人のペットだったようだ。しかし飼い主が気味悪がって引っ越したのか、
その時にうどんげを置いていきそのままこの部屋で暮らしていたようだ。
幸いすぐに俺が住みついて、置いてある食糧を食べてなんとか生き延びたようである。
「ところでみょんがおかしかったのはおまえの仕業なのか?」
「げらげらげら!」
どうもうどんげ種は自分の目をゆっくりの目に見せることで、催眠状態にすることができるようだ。
そして、押入れを掃除しようとしたみょんを催眠状態にして記憶を無くし、そのまま食料を取ってくるように暗示をかけたのだ。
それでたまにみょんが夜に起きてごそごそとお菓子を取ってたのか。こっそり食べてるのかと思ってほっといたのに。
「事情はよく分かった。それでうどんげ、お前はこれからどうするんだ?」
「げらげら・・・」
どうしようもないというようにうどんげの耳がしゅんと垂れる。まあ飼いゆっくりが野良になれば生き延びるなんて不可能に近い。
「もし良ければこのまま住んでもいいぞ。」
「げら!」
嬉しそうな顔をするうどんげ。いくら生活が厳しいからといってこのままうどんげを捨てるのはしのびない。
幸い食い物なら友人の差し入れでみょんとうどんげの分ぐらいなんとかなるだろう。
「これからよろしくなうどんげ。」
「げらげらげらげら!」
頭を撫でて新たな同居人を迎え入れる俺。しかしそこでまた異変が起きた。
「みょん!?お兄さん、何かうどんげの体が透けてるみょん!?」
「ほんとだ・・・、うどんげ一体どうしたんだ!?」
驚く俺たちに、うどんげは自分の体を見て何か分かったのか俺たちに何か伝える。
「げらげらげらげらげら!」
「みょん?お姉さんの場所が分かったから帰る?どういうことだみょん!?」
困惑する中でそのままうどんげの体は完全に消えてしまう。後には茫然とする俺とみょんだけが残る。
しばらくして、俺は一つの推測が浮かびパソコンを起動させあることを調べ始める。
「あった、この記事だな・・・」
それはこの部屋で起きた自殺のことだ。記事をみて分かったことは、自殺したの俺と同じ大学に通っていた一人の女子大生だ。
原因はわからないが、彼女はこの部屋で睡眠薬を大量に摂取して眠るように自殺したのだ。
発見されたときに、彼女の傍には同じように眠っているように死んでいる彼女のペットのうどんげがいた。
無理心中か、それとも主人が死んだことに気付かず寄り添ったまま死んだのかうどんげは亡くなったのだ。
そして寂しさのまま、この部屋に幽霊として出てくるようになったのだろう。
「みょん・・・。きっと寂しかったんだみょん。」
「そうだな・・・。満足したのか、それとも人と話して寂しくなくなったのか。」
もういないうどんげに俺たちは黙とうをして、うどんげとその飼い主の冥福を祈る。
「うどんげ、またドーナツ持ってきたやったぞ。」
「みょんも来てるみょん!またお話を聞かせてあげるみょん!」
その後俺はうどんげの飼い主の墓にきてお供え物としてあのドーナツと花を墓に供える。
あの後自殺した女子大生の生家に訳を話し、彼女とうどんげが眠るこの墓へお参りにきたのだ。
どうやらうどんげは女子大生の大切なペットだったようで、その遺体もこの墓に一緒に埋められているようだ。
俺とみょんは偶にここに来ては最近起きたことを面白おかしく墓に喋る。
傍からみたら奇妙な人間に思われるが、俺たちはもううどんげが寂しくならないようにここに来て話してやるのだ。
お前はもう一人じゃないんだぞと。
後書き
最近ちょっと長いSSを書いていたので息抜きながらこんなもん書いてみました。36番あきさんパロってごめんなさい。
それと前回の別れと出会いで皆さんの多くが思った
・重要な所が書かれていない
・無理やり感のある投げっぱなしの愛でEND
・まりさがひどい目にあったのにあっさり人間に懐いてる
という感想が多くありました。実はあの後まりさがお兄さんの部屋から逃げ出し虐待お兄さんに拉致監禁。
虐待されて心が壊れそうな所をお兄さんが洋服につけたバッジの発信機でまりさを助け出し、看病するといった考えもありました。
しかし
・胴付きの虐待、あと自分の書く胴付きは下手すると子供みたいで人間虐待ぽい
・虐待お兄さんはまりさが銅バッジ、かざりでなく洋服につけていることで無罪となり、さらに人間理不尽なことに
・長くなったのでまた後日別の話として書こうと思っていた
・虐待部分の考えをしてたら作者の心が虐待された
こんなことがあったので結局夢オチのような形で終わらせました。
正直みょんのセリフに分かるように小ネタ挟まないと全体的に悲劇なんですよね。
長々と後書きで書いてますが、こういった理由がありました。読んでくれて感想くれた方ありがとうございます。
以前書いたもの
ふたば系ゆっくりいじめ 993 初めてのおつかい
ふたば系ゆっくりいじめ 1003 寂れた神社で
ふたば系ゆっくりいじめ 1014 ゆーパチ「ヒャッハー!虐待だぁ!」
ふたば系ゆっくりいじめ 1024 めーりんの憂鬱
ふたば系ゆっくりいじめ 1036 別れと出会い