ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko1083 サンプル
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ankoss
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『サンプル』
とある店。
ガラスケースには、数々の食べ物が並んでいた。
サンプルと書かれた紙の隣には今にも湯気が出そうなおいしそうな天ぷらが机の上におかれていた。
ガラスケースには、数々の食べ物が並んでいた。
サンプルと書かれた紙の隣には今にも湯気が出そうなおいしそうな天ぷらが机の上におかれていた。
「そろーり、そろーり」
そこに一匹のれいむがいた。
薄汚れた髪と顔、少し破けた飾り、野良のゆっくりで間違えなかった。
薄汚れた髪と顔、少し破けた飾り、野良のゆっくりで間違えなかった。
このれいむは、番もなく、さりとて子供もいるわけではなかった。
まだ、成体ゆっくりになったばかりのれいむである。
親や姉妹と共にゆっくりと培ってきた技術があり、れいむとしてはそれなりに狩りができた。
しかし、親しいゆっくりもおらず、今も一人で餌を探しにやってきたのである。
まだ、成体ゆっくりになったばかりのれいむである。
親や姉妹と共にゆっくりと培ってきた技術があり、れいむとしてはそれなりに狩りができた。
しかし、親しいゆっくりもおらず、今も一人で餌を探しにやってきたのである。
きょうのたべものはてんぷらさんだよ、ゆふふ
と思っているようで、実はダダ洩れの思想を口にした。
食べてくださいと言っているように、堂々と置かれたサンプルをこのれいむは狙っていた。
食べてくださいと言っているように、堂々と置かれたサンプルをこのれいむは狙っていた。
机の上に乗っているためすぐには食べられないが、机を体当たりで倒せば食べられる。
その時出る音など考えず、根拠もなくこの作戦が成功すると信じた。
その時出る音など考えず、根拠もなくこの作戦が成功すると信じた。
そうやって身を隠してしばらく。
人通りが無くなった。
れいむはきょろきょろとあたりを見渡す。
誰もいないことを確認すると、れいむは勢いよく駆け出した。
人通りが無くなった。
れいむはきょろきょろとあたりを見渡す。
誰もいないことを確認すると、れいむは勢いよく駆け出した。
そして、その勢いのまま机に体当たりする。
ぶつかり、れいむの思惑通り、机は倒れる。
ぶつかり、れいむの思惑通り、机は倒れる。
「やったよ!」
れいむは机が倒れたことに喜び、その場でぴょんぴょんと跳ねる。
さあ、目の前には天ぷらだ。
と喜びも終わり、天ぷらへと近づくが。
さあ、目の前には天ぷらだ。
と喜びも終わり、天ぷらへと近づくが。
「おい、何してんだ」
そこで、店の中から人がやってきた。
「ゆゆ!」
れいむが喜んでいる間に店の中では机が倒れた音が聞こえていて、中の店員が現れたのである。
風か何かだと思っていた店員は倒れた机の前にいるれいむに疑問に思ったわけである。
風か何かだと思っていた店員は倒れた机の前にいるれいむに疑問に思ったわけである。
「ゆ、か、かぜさんがふいてつくえさんがたおれちゃったんだよ、れいむがつくえさんをたおしててんぷらさんをたべようとしたわけじゃないよ!」
れいむは一目見ればわかる現状を嘘をつく。
店員はもちろん理解している、何故こんなことをやったのかを。
店員はもちろん理解している、何故こんなことをやったのかを。
「ふーん、そうなんだありがとう、いや、風か、風ならしょうがないな」
店員は疲れた顔をして、一応れいむじゃないという事を擁護しておいた。
風に責任をなすりつけられることに成功したと思ったれいむは安堵する。
風に責任をなすりつけられることに成功したと思ったれいむは安堵する。
「そうだよ、れいむはわるくないからね」
だけど、心配なのでもう一度言っておいた。
「そうか、これじゃあもうこの天ぷらは食べられないな、捨てちゃおうかな」
店員はそう言いながら、倒れた机を直し。
天ぷらを指でひょいと持ち上げる。
天ぷらを指でひょいと持ち上げる。
「ゆゆ! それなられいむがもらってあげるよ!」
ここぞとばかりにれいむは食いつく。
「ん、そうか、れいむはこの天ぷらが欲しいのか」
「そうだよ! せっかくだからもらってあげるね!」
「そうだよ! せっかくだからもらってあげるね!」
ようやく、れいむは天ぷらにありつけると思った。
天ぷら、はじめて食べるそれはどんな味なんだろうと夢想する。
店員は食べさせる気はなかったが、れいむがあまりにも熱心にお願いするものだから、ちょっと試してみようと言う気分であげることにした。
天ぷら、はじめて食べるそれはどんな味なんだろうと夢想する。
店員は食べさせる気はなかったが、れいむがあまりにも熱心にお願いするものだから、ちょっと試してみようと言う気分であげることにした。
「ふーん、じゃあ、食べさせてあげるよ」
「ゆわーい、ゆわーい、じゃあ、ゆっくりしてないでさっさとちょうだいね!」
「ただし、この天ぷらを食べるには一つ、条件があるんだ」
「ゆゆ?」
「ゆわーい、ゆわーい、じゃあ、ゆっくりしてないでさっさとちょうだいね!」
「ただし、この天ぷらを食べるには一つ、条件があるんだ」
「ゆゆ?」
まだなのかと、れいむは眉をひそめた。
どんな条件だって大丈夫だ、れいむはとってもゆっくりしているゆっくりなんだからと根拠の無い自信を張り巡らせ気を張る。
どんな条件だって大丈夫だ、れいむはとってもゆっくりしているゆっくりなんだからと根拠の無い自信を張り巡らせ気を張る。
「この天ぷらはね、本当にゆっくりしているゆっくりが食べられる天ぷらなんだ」
「ゆっふっふっふっふっ、そーんなことなら、れいむはとってもゆっくりしているゆっくりだからぜんぜんへいきだよ!」
どんな条件かと思えば、れいむが一番自身があることではないかとあまりに簡単なことに固まってしまった、そして気張った緊張をほぐし。
眉をキリッとさせ、れいむなりにゆっくりさをアピールする。
眉をキリッとさせ、れいむなりにゆっくりさをアピールする。
「まあ、それは食べられれば分かる話さ」
店員は天ぷらをれいむの口元に持っていく。
「あーん」
もみあげをピコピコさせながら、今か今かと天ぷらをまつれいむ。
そして、天ぷらがれいむの口の中に入った。
そして、天ぷらがれいむの口の中に入った。
「む~しゃむ~しゃ~、し、し、し、ゆ、ゆゆゆ?」
幾られいむが咀嚼しても味が来ないのだ。
それ以上に固い、れいむの砂糖細工の歯では噛み切れない固さだ。
自分はゆっくりしているはずだ、なのになんで。
れいむは意地で咀嚼を続ける。
しかし、幾ら噛んでも口の中の天ぷらは噛み切れず、それどころか歯が欠けていく。
それ以上に固い、れいむの砂糖細工の歯では噛み切れない固さだ。
自分はゆっくりしているはずだ、なのになんで。
れいむは意地で咀嚼を続ける。
しかし、幾ら噛んでも口の中の天ぷらは噛み切れず、それどころか歯が欠けていく。
「む~しゃむ~しゃむ~しゃ」
歯が欠ける痛みも忘れ、れいむは混乱する。
これはれいむの、ゆっくりとしてのアイデンティティに関わる問題だ。
これを食べられなかったら、れいむはゆっくりとして終わっている。
これはゆっくりしていないものは食べられないものなんだから。
これはれいむの、ゆっくりとしてのアイデンティティに関わる問題だ。
これを食べられなかったら、れいむはゆっくりとして終わっている。
これはゆっくりしていないものは食べられないものなんだから。
「む~しゃむ~しゃむ~しゃむ~しゃ」
前歯で、奥歯で、口中の歯を使った。
それだと言うのに、口の中の天ぷらは全く食べられない。
それだと言うのに、口の中の天ぷらは全く食べられない。
どうしてだ、どうしてだ、どうしてだ、どうしてだ。
れいむのゆっくりとしての自己に少しずつ罅が入っていく。
「おい、食べられないなら出していいんだぞ」
「ゆぎぃ~~!! だまってね!! れいむはゆっくりだよ!! とってもゆっくりしてるんだよ! む~しゃむ~しゃむ~しゃむ~しゃ」
「ゆぎぃ~~!! だまってね!! れいむはゆっくりだよ!! とってもゆっくりしてるんだよ! む~しゃむ~しゃむ~しゃむ~しゃ」
店員が止めるように促すが、れいむは黙れとしか答えられない。
そうしないと、自分がわからなくなるからだ。
れいむは咀嚼を続ける。
ゆっくりしているとはいえない形相で、それでも食べられない。
そうしないと、自分がわからなくなるからだ。
れいむは咀嚼を続ける。
ゆっくりしているとはいえない形相で、それでも食べられない。
どれほど経ったのか、ゆっくりの中では長すぎる時間が流れる。
そして、ぽとりとれいむの口から天ぷらが落ちる。
そして、ぽとりとれいむの口から天ぷらが落ちる。
「……れ、れいむはゆっくりしてないの?」
泣き笑いのような表情で震えるような声で聞いてくる。
その顔は嘘だと言ってほしいと切に願った顔だった。
しかし、特に感慨もなく店員は言った。
その顔は嘘だと言ってほしいと切に願った顔だった。
しかし、特に感慨もなく店員は言った。
「そうなんじゃないか」
「……ゆ、ゆ、ゆ、ゆ、ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」
れいむの中で、ゆっくりとした思い出か崩れていく。
はじめて親に挨拶した思い出が。
姉妹と仲良く遊んだ思い出が。
おいしい物を食べたときの思い出が。
本当に、今までゆっくりしていたのだろうかと、さっきまでゆっくりしていたはずなのに、本当にゆっくりしてるゆっくりが食べられる天ぷらが食べられない。
それは、今までゆっくりしてきていないという事ではないか。
今までゆっくりして生きてきたはずなのに、食べられないという事は今までゆっくりしていない。
はじめて親に挨拶した思い出が。
姉妹と仲良く遊んだ思い出が。
おいしい物を食べたときの思い出が。
本当に、今までゆっくりしていたのだろうかと、さっきまでゆっくりしていたはずなのに、本当にゆっくりしてるゆっくりが食べられる天ぷらが食べられない。
それは、今までゆっくりしてきていないという事ではないか。
今までゆっくりして生きてきたはずなのに、食べられないという事は今までゆっくりしていない。
じゃあ、ゆっくりってなに?
「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆぐぎょぎゃぎゅひゅひゃはぎゃぎゃぎゃぎゃ」
ゆっくりなのに、ゆっくりが分からなくなってしまったれいむは、自己を崩壊させた。
「あーあ、これ壊れちゃったよな」
壊れたれいむをよそ眼に店員は呟く。
店員はれいむを壊す気はなかった。
職場に人にゆっくりがどんな生き物かと聞いてはいた。
しかし店員の中ではゆっくりは饅頭だった、ゆっくりはゆっくりできなくなるのを嫌うと言う事を聞いて、ふと思いつき実行したのだった。
店員はれいむを壊す気はなかった。
職場に人にゆっくりがどんな生き物かと聞いてはいた。
しかし店員の中ではゆっくりは饅頭だった、ゆっくりはゆっくりできなくなるのを嫌うと言う事を聞いて、ふと思いつき実行したのだった。
「はー、まさかこんなことで壊れちゃうとはなぁ、ゆっくりって本当にもろいのな」
れいむのすぐそばに落ちている、ゆっくりの唾液だらけの天ぷらを拾う。
それは触ると、実際の天ぷらの重さと違う事がわかる。
触り心地も全く違う。
はじめて天ぷらを口にしたれいむは知らなかったのだろう。
それは触ると、実際の天ぷらの重さと違う事がわかる。
触り心地も全く違う。
はじめて天ぷらを口にしたれいむは知らなかったのだろう。
「まあ、本物と間違ってくれてうれしいよ」
店員は天ぷらを水道で洗う。
ゆっくりの唾液だけが流れ、衣は全く落ちない。
なぜならこれは。
ゆっくりの唾液だけが流れ、衣は全く落ちない。
なぜならこれは。
「だってこれは、俺が作った天ぷらのレプリカだからな」
蝋で作られたものなんだから。
「げっ、歯型がついてる」
初投稿です。
ふと思い立ち、書いてしまいました。
拙い文で、すいません。
ふと思い立ち、書いてしまいました。
拙い文で、すいません。
最後まで読んでいただいて、誠に感謝申し上げます。
挿絵:全裸あき