atwiki-logo
  • 新規作成
    • 新規ページ作成
    • 新規ページ作成(その他)
      • このページをコピーして新規ページ作成
      • このウィキ内の別ページをコピーして新規ページ作成
      • このページの子ページを作成
    • 新規ウィキ作成
  • 編集
    • ページ編集
    • ページ編集(簡易版)
    • ページ名変更
    • メニュー非表示でページ編集
    • ページの閲覧/編集権限変更
    • ページの編集モード変更
    • このページにファイルをアップロード
    • メニューを編集
    • 右メニューを編集
  • バージョン管理
    • 最新版変更点(差分)
    • 編集履歴(バックアップ)
    • アップロードファイル履歴
    • このページの操作履歴
    • このウィキのページ操作履歴
  • ページ一覧
    • ページ一覧
    • このウィキのタグ一覧
    • このウィキのタグ(更新順)
    • おまかせページ移動
  • RSS
    • このウィキの更新情報RSS
    • このウィキ新着ページRSS
  • ヘルプ
    • ご利用ガイド
    • Wiki初心者向けガイド(基本操作)
    • このウィキの管理者に連絡
    • 運営会社に連絡(不具合、障害など)
ページ検索 メニュー
あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ
  • 広告なしオファー
  • ウィキ募集バナー
  • 目安箱バナー
  • 操作ガイド
  • 新規作成
  • 編集する
  • 全ページ一覧
  • 登録/ログイン
広告非表示(β版)
ページ一覧
あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ
  • 広告なしオファー
  • ウィキ募集バナー
  • 目安箱バナー
  • 操作ガイド
  • 新規作成
  • 編集する
  • 全ページ一覧
  • 登録/ログイン
ページ一覧
あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ
広告非表示 広告非表示(β)版 ページ検索 ページ検索 メニュー メニュー
  • 新規作成
  • 編集する
  • 登録/ログイン
  • 管理メニュー
管理メニュー
  • 新規作成
    • 新規ページ作成
    • 新規ページ作成(その他)
      • このページをコピーして新規ページ作成
      • このウィキ内の別ページをコピーして新規ページ作成
      • このページの子ページを作成
    • 新規ウィキ作成
  • 編集
    • ページ編集
    • ページ編集(簡易版)
    • ページ名変更
    • メニュー非表示でページ編集
    • ページの閲覧/編集権限変更
    • ページの編集モード変更
    • このページにファイルをアップロード
    • メニューを編集
    • 右メニューを編集
  • バージョン管理
    • 最新版変更点(差分)
    • 編集履歴(バックアップ)
    • アップロードファイル履歴
    • このページの操作履歴
    • このウィキのページ操作履歴
  • ページ一覧
    • このウィキの全ページ一覧
    • このウィキのタグ一覧
    • このウィキのタグ一覧(更新順)
    • このページの全コメント一覧
    • このウィキの全コメント一覧
    • おまかせページ移動
  • RSS
    • このwikiの更新情報RSS
    • このwikiの新着ページRSS
  • ヘルプ
    • ご利用ガイド
    • Wiki初心者向けガイド(基本操作)
    • このウィキの管理者に連絡
    • 運営会社に連絡する(不具合、障害など)
  • atwiki
  • あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ
  • 虚無の王-10

あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

虚無の王-10

最終更新:2010年11月26日 19:16

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
  • 前ページ
  • 次ページ
  • 虚無の王


 大岡越前と聞いた時、何を思い出すだろう。
 三方一両損と言うむきも居るかも知れない。
 だが、何と言っても、全国共通誰にでも通じるのは、真実の母だ。

 あいや、子供が痛がるを憐れみ、先に手を放す者こそ、真の母親――――

 キュルケの火トカゲと大モグラは、一分近くに渡って空を苦しめた。
 先に、口を放したのはモグラだった。
 空は残ったフレイムの頭をぽかり、と打擲。昏倒させる事で、漸く事無きを得た。

「なんやっちゅうねん。一体」

 競争相手が目を回して床に倒れると、モグラはまた、空を引っ張った。
 何か用だろうか――――モグラが?

「いや、この場合は、こいつの御主人様か」

 一体、誰だ?
 まあ、ええわ――――どうせ、宿無しの身。空は大モグラに着いて行く事にした。
 モグラは大きなお尻を振りながら、女子寮塔を出た。どうやら、女生徒の使い魔では無いらしい。つまらない話だ。
 頭上には二つの月が浮いている。
 夜空を埋め尽くす星々から、冷たい光がゆっくりと降りて来る。
 トリステインの夜は星だけで十分に明るい。東雲市を滅多に離れる事が無い空にとっては、驚嘆すべき光景だ。
 この国は空が高い。
 風が澄んでいる。
 “塔”の事さえ無ければ、迷わずに永住したかも知れない。
 月の下に、佇む影が有る。

「御足労願う形になりまして、申し訳ない。ミスタ」

 金髪の少年、ギーシュ・ド・グラモンは優雅に一礼した。

「僕が深夜の女子寮に立ち入る事が出来たら良かったのだが――――」

 そう。本当に誰にも咎められる事無く、自由自在気儘に女子寮を出入りする事が出来たら!――――貴族の少年ははらはらと涙を流す。

「おっと、いけない。グラモン家家訓その47!グラモン家の男子たるもの、涙を衆目に晒して許されるのは、親の死に目と、財布を落とした時だけである!」
「……なんや、よう判へんけど、貴族ちゅーのも苦労しとるんやなあ」
「世の中には、二種類の貴族が居るのだよ、ミスタ。お金と仲良しな貴族と、お金に縁の無い貴族だ。そして名誉有る称号は、大抵、貧乏と道連れなのだ」
「なるほど。ボーズの家が、飛び切りの後者やってのは、よく判った」
「我がグラモン家は武勇の誉れ高き家系。父グラモン伯爵は畏くも元帥に叙せられている。一度、戦となれば、家名に恥じぬ陣容を以て馳せ参じなければならない」
「元帥閣下が指揮すんのは、女王陛下の軍隊と違うんか?」
「戦は武門の誉れ。一世一代の晴れ舞台にして、先祖伝来の朝恩に報いる好機。何より国家危急存亡の時、どうして一門の貴族が傍観していられようか。勤倹尚武こそ、我がグラモン家のモットー!
その為、領民はそこそこ豊かだが、我が家は貧乏なのだよ。借金も結構有るし。ああ、そろそろ領民達の家に、屋根を葺いてやらねばならないのだったかな。父はいけすの柳の木を売って予算にすると言っていたが……」
「家くらい、自分達で管理させる訳にはいかんのか?」
「とんでもない。暴動になる」

 ギーシュはすぐ側までやって来た大モグラを抱き締め、頭を撫でてやった。よしよし、僕の可愛いヴェルダンデ。よく、務めを果たしてくれたね――――

「なあ、ボーズ。そのモグラと感覚の共有たら言うんが出来るんやろ」
「ああ、紹介が未だだったね。お察しの通り。これは僕の使い魔ヴェルダンデだ」
「ワイに股裂き食わせたんもわざとかい」
「いやいや。誤解しないで頂きたい」

 ギーシュは説明する。感覚の共有は一方通行であり、使い魔は主人の感覚を取得出来ない。
 また、遠隔で命令を与えられる訳でも無い、と。

「貴方とて、ミス・ヴァリエールの使い魔なのだろう」
「ああ。ワイらはそれ、出来へんねん」
「む……まあ、人間の使い魔だし、例外的な事も多いのだろう。ともあれ、あれは不幸な事故だ。だが、ヴェルダンテは優しいからね。すぐに放しただろう」
「ま、せやからこっち来たんやけどな」

 まあ、そんな事はどうでも良い。
 こんな時間に、どうして自分を呼びつけたのか。
 改めて問い質すと、今までもそれなりに真面目なつもりでいたらしいギーシュは、更に真剣な顔になった。

「実はミスタ。不躾で申し訳ないが、貴方に決闘を申し込みたい」

 薔薇の杖を抜くと、ギーシュは言い放った。

「なんや。この前の事に、なんぞ不服でも有ったんかい?」
「誤解しないで頂きたい。僕は貴方に何一つ含む所は無い。以前の決闘にしてもそうだ。杖は貴族の誇り。そして、貴方から奪り戻した事で、この杖は一層輝きを増した様に思えてならない。誰が何と言おうと、僕はあの決闘に誇りを持っているのだからね」
「せやったら、なんで決闘や?」
「あの決闘で、僕は誇りを得たが、名誉を失ってしまった」
「ええやん。誰が何と言おうと構わへんのやろ」
「いやいや、ミスタ。名誉を求めない者は、孤高の人でも、高潔の士でも無い。単なる、無謀な下司だ」

 ギーシュは勿体付けた仕草で、薔薇の香を楽しんだ。
 杖は造花だ。きっと、彼にしか判らない香がするのだろう。

「時にミスタ。人生で最も大切な物とは何だろう?」
「なんや、いきなり」
「僕はこう考える。最初に女の子だ。次に女の子だ。更に女の子だ。最後に女の子だ――――そして、皆、とても可愛い。これぞ人生の真実!いや、世界の真理だとは思わないか!」
「あー、まあ、そんな風に考えた時期が、ワイにも有ったけどな。で、それがなんやっちゅうねん」
「ああ!僕は愚かだった。名誉を重んぜよ!命惜しむな、名を惜しめ!そんな、父の言葉を、表面的にしか捉えていなかったのだ。今ほど、痛切にこの言葉の重みを噛み締めている時は無い!」
「……あのな、ボーズ。ワイ、今閑やけど、手短に頼めへんか?」
「ミスタ!ああ、ミスタ!貴方との決闘以来だ!この僕が!“青銅”のギーシュが!トリステイン魔法学院の薔薇たる僕がだ!全く、女の子にモテなくなってしまったのだ!」

 ギーシュは絶望のあまりに、頭を掻きむしった。

「……――――それで、ワイに勝って汚名を雪げば、小娘どもが寄って来る、て考えた訳か」

 ギーシュは真剣な顔で頷いた。
 どうやら、この男、本物らしい。この瞬間、空は思い切り吹き出していた。繰り返し、繰り返し、車椅子の肘掛けを叩く。

「はははっ!ええわっ!やっぱ、ええ兄ちゃんやっ!それでこそ男やっ!」
「では、受けて頂けるのか」
「ああ、ああ、なんぼでも相手したるっ――――せやけど、今回はワイが決闘を受けた訳やから、勝負の方法はこっちに決めさせて貰うで。ええやろ?」
「異論は無い」
「良し、決まりやっ。……所で、さっきの命惜しむな――――はやっぱり家訓?」
「グラモン家のモットーであり、家訓その2だ」
「その1は?」
「グラモン家家訓その1!朝食の席で瓦版を読むべからず!」

 貴族とは本当に大変だ。空はトリステイン貴族として生まれなかった事を、神に感謝した。

「さて、勝負の方法やけど――――」

 不意に、異臭が鼻を衝いた。
 ギーシュも気付いたのか、顔を顰めている。
 嗅ぎ慣れた臭いだった。僚友スピットファイアと共に戦った時、よく嗅いだ臭いだ。
 脂の焦げる臭い。
 “炎の王”は“時”を止め、身動きの叶わない相手を焼き尽くす。
 ――――女子寮塔から、炎が走った。


   * * *


 炎が走った。
 文字通りに走った。
 全身を火に包まれた男が、声にならない悲鳴と共に、どこへともなく駆けて行く。

「阿呆っ!」

 空は走る。
 ルーンが光り、補助モーターが唸る。
 時速100㎞/hを突破するまで僅か一瞬。パニックのままに走る男の襟首を引っ掴む。
 人一人を振り回しながら、急速にターン。
 壁を蹴り、跳躍し、向かう先はヴェストリ広場の片隅。五右衛門風呂代わりに使っている大釜だ。
 冷め切った残り湯に、男を頭から放り込む。
 じゅっ、と湯気が上がった。引っ張り出して地面に転がした時、男は失神していた。

「なんやっちゅうねん、一体――――?」

 軽く火傷した手をぬるま湯に浸して、空はぼやいた。
 見た所、学院の生徒だ。何が有った?
 振り向いた時、更にまた一つの火の玉が、広場を駆けて行くのが目に止まる。

「ボーズ!こっちや!」

 空は叫んだ。
 衣服に火が着き、パニックで走っている相手だ。水場を目指す判断力さえ働いていない。
 ワルキューレが三体がかりで、暴れる男を運んで来る。
 ギーシュの姿は未だ見えない。空は引ったくって、水に放り込む。
 続いて三つの炎。
 空は鎮火した二人からマントを剥ぎ取る。ギーシュが姿を見せたのは、その時だ。

「釜持って来い!釜!」

 空は再び全力疾走。
 走る三人を背後から殴り倒すと、ずぶ濡れのマントを被せて鎮火。濛々と湯気が上がる。
 二人の火は殆ど消えたが、完全では無い。一人は景気よく燃えている。
 ワルキューレが四体かかって釜を運んで来る。
 消火――――
 取り敢えず、一段落付いたらしい。次なる炎が現れる気配は無い。

「ガイシャは全員、ここの生徒か」

 一体、何が起きているのだろう。
 現代日本なら痛ましい、猟奇的な事件だが、幸いここは魔法の国トリステイン。水の魔法も有るし、普通なら致命傷と思しき全身火傷も、傷一つ残さずに治るだろう。
 だが、それはあくまで存命中に処置を施せば、の話だ。
 ギーシュが戻って来た。背後には四体のワルキューレ。二体一組で、患者を運んでいる。

「ボーズ、後六体や」
「残念だが、僕が一度に作れるワルキューレは七体までだ」
「せやったら、医務室まで二往復やな。早よ、運んでやり」

 と、女子寮塔の方角に、小さな光が灯った。
 一対の火だ。
 更にもう一対。
 またもう一対――――二人に向かって、真っ直ぐに伸びて来る。
 炎の道を、一つの影が近付いて来る。
 燃える赤毛に褐色の肌。悩ましい肢体を薄いベビードールで包んでいる。

「こんな所に居らしたのね」

 微熱のキュルケは空の手に、そっと掌を重ねると、息が届く距離まで顔を近付けた。

「貴方は、私をはしたない女と思うでしょうね」
「と、言うよりも、君は酷い女だ」

 横合いから、ギーシュが口を挟んだ。

「お黙りっ!……て、あら、ギーシュじゃない。この前の決闘、なかなか素敵だったわよ」
「おっと、それ以上、僕に近付かないでくれ」

 皮肉の調子も無いキュルケから、ギーシュは一歩退いた。どうやらこの少年、女性にも苦手なタイプは居るらしい。

「あー、確かキュルケ言うたな。こいつは?」

 空はワルキューレが抱える重傷患者を指差した。
 ギーシュの態度と、キュルケの属性を考えれば、さすがに犯人は判る。

「ああ、ペリッソン……彼は、その、ただの友達よ」
「この国では、友達をミディアム・レアにするんか。恐ろしい話や」
「ミスタ。誤解されている様だが、彼女はトリステイン貴族では無い。神無き国ゲルマニアからの留学生だ」
「伝統に拘って、国力をズルズル後退させている国の貴族には言われたくないわね」
「よう判らんけど、深夜の来客を火にくべない、くらいの伝統は守った方がええんと違うか?」

 伝統と言うより、これは常識だろう。

「で、こいつは?」
「スティックス。友人と言うより、ただの知り合いね」
「なるほど、ミディアムやな。こいつらは?」
「マニカンにエイジャックスとギムリ。知り合いでも何でも無いわ」

 なら、何故名前が判る。哀れな三人組はこんがりウェルダンに焼き上がっている。

「ま、人手が増えたんは有り難いわ。ボーズ、人形もう一体な。それで一度に運べるやろ」
「それでも、一組足りないのでは?」
「人形七体、ワイ、ボーズにこの嬢ちゃんでいけるやろ」
「僕は杖を手にしていなければならない。貴方にしても、車椅子を操作しながらでは難しいのでは?」

 と、キュルケが杖を振った。一人の体が、宙に浮かび上がる。

「優しいのね、ミスタ」
「いや、放っとかんやろ、フツー」

 空は身を乗り出したが、特にやる事は無かった。
 ギーシュが杖を一振り。それで五人分が揃ったからだ。

「お、凄いな」
「レビテーションを使いながら、ワルキューレを造るのは難しいけど、この順序なら何とかなる」

 先に足を進めたキュルケを追いかける様にして、一人と六体は医務室を目指す。
 空はその場で、ギーシュが戻るのを待つ事にした。


   * * *


 ギーシュが四人の重傷者を医務室に担ぎ込むには、少しばかり時間が必要だった。
 当直のメイジは時ならぬ急患に大わらわ。慌てて同僚を叩き起こしに行く。
 相手が女の子なら、付きっきりで看病もしただろう。
 だが、土のメイジであるギーシュにはこれ以上、出来る事は無く、寒空の下に人を待たせていた。

 あのゲルマニア女め――――

 一人を運んだだけで、さっさと姿を消した薄情者を、ギーシュは内心で罵った。
 彼女がもう一人運んでくれていれば、自分もワルキューレのコントロールに専念出来て、もっと早く済んだのだ。
 当事者として無責任が過ぎる。

「全く!おっぱい貴族の癖して!おおお、おっぱい村のおっぱいさんの癖して!」

 言っている内に、ギーシュは自分が何に対して腹を立てているのか判らなくなった。脳裏に浮かぶのは、扇情的な下着一つを身につけたキュルケの姿だ。
 けしからん!
 全く、けしからん!
 トリステイン貴族として、ゲルマニア人が大きな乳でのさばっているのを、黙って見過ごして良いものだろうか。

「否!断固として否でありますっ!」

 だが、何故だろう。
 魅力的な美少女であるにもかかわらず、どうしてもキュルケには二の足を踏んでしまう。
 ギーシュも武名高きグラモン家の男、おっぱいは決して怖くない。
 自分が好みとする可憐さとは対極にある、アクティヴさが原因だろうか。
 そう、女の子はやはり可愛らしいのが一番だ。
 愛国者たるギーシュは、たとえボリュームにおいて劣ると雖も、清楚可憐なるトリステイン女性こそを魅力的だと考えた。
 勿論、一握りの変態を除いて、巨乳が嫌いな男など居る筈も無いが。
 ギーシュは足を速めた。
 後に六体のワルキューレが続く。これから決闘と言うのに、土に戻してしまう訳にはいかない。
 何しろ、自分が造れる戦乙女は、一度に七体まででは無く、一日に七体までなのだから。

「わかってる。いけない事よ。でも、貴方はきっと許してくださると思うわ」
「判っとる。何も言わんと、ワイに任せておけばええ」
「恋してるのよ。私、貴方に。恋は全く突然ね」

 ギーシュは肩を落とした。
 そこでは、キュルケが空の首に腕を回して、口説きにかかっていた。
 空もまんざらでも無い様子で、やにさがった顔だ。

「お、ボーズ来たな!……悪い、先約や」

 空はキュルケに目配せを送ると、ギーシュに向き直る。
 どうやら、決闘の事は憶えていたらしい。

「先約?何かしら。男同士で」
「決闘だっ!」

 空に代わって、ギーシュは叫んだ。そうして、自身を奮い立たせた。
 さもなくば、戦う前に心が折れてしまいそうだ。

「決闘?こんな夜に」
「決闘は元来、見せ物では無い。ミス・ヴァリエールを立会人に、と考えていたが、君でも構うまい。さあ、ミスタ!勝負の方法を!」
「懲りないわね。結果は見えてる気がするけど」
「ま、勝負は水物や言うで。ワイは元“ストームライダー”。勝負もその流儀で行こか?」
 パーツ・ウォウFクラス「ダッシュ」――――
「ルールは至って簡単。こっから外壁まで真っ直ぐ行って右に折れる。後は、壁と一番外側の建物の間抜けながら、次に見える最初の塔まで敷地を四半周。先に塔の壁にタッチするか、相手を移動不能にするか、コースから叩き出したら勝ちや」
「……要は何でもアリの駆けっこか?」
「ボーズはこっちのルールは始めてやし、ワイも現役やない。一番初歩的なんで行くのが妥当やろ。別に魔法使こてもいいし、その人形でのタッチも認めるで」

 ギーシュは唸った。この勝負方法は予想外だ。
 空の車椅子はさながら風竜。スピードを競っては、勝ち目が無い。

「後、ボーズはさっき、散々魔法使うてるしな。ハンデや」

 空はキュルケの腰を抱き寄せると、そのまま抱え上げた。

「私は重し?」

 空の耳元で、キュルケは拗ねた声を出して見せる。骨までとろける様な、甘い声。

「特等席やで。面白い物見せたる。しっかり掴まっとき」

 ギーシュは腹を立てた。
 ハンデに重しを人一人。おまけに女とイチャつきながら、だ。
 これは馬鹿にしている。
 到底、決闘のなんたるかを説いた男の取る態度では無い。

「いいだろう。開始の合図は?」
「この帽子が、地面に付いたら」

 ほな、いくで――――空は帽子を放った。
 弧を描く野球帽を、ギーシュは目を皿にして見つめた。
 作戦は決まっている。
 開始の瞬間。狙うは車椅子の駆動輪。槍を突き込んで、その動きを止める。
 帽子が落ちた。
 ギーシュは振り向く。ワルキューレに指令――――そこにはただ土煙。
 空の姿が無い。反射的に前を見る。
 その時、車椅子が女子寮塔の脇を駆け抜けた。
 一瞬だ。距離にして40メイル。
 キュルケは目を瞠る。
 歓声を上げる。
 外壁が迫る。
 車椅子が跳ぶ。
 外壁を捉える。壁走り〈ウォール・ライド〉。
 壁の孤に沿って、吸い付く様に駆け抜ける。

 速い、速い、速過ぎる。
 樹木が、小屋が、石像が、頭上を後へ飛んで行く。
 眼前に建物。
 衛士の詰め所だ。
 外壁に密着している。
 心臓が脈打った時、浮遊感――――

 駆動輪が、三角屋根を蹴った。
 二つの月が、星が見えた。
 風が猛烈な勢いで顔にぶつかった。
 キュルケは声を上げた。
 歓声か、悲鳴か、自分でも判らなかった。
 自分は今、飛んでいる。
 そう、空の車椅子は確かに飛んでいる。
 正面から叩き付ける風に乗り、50メイルを滑空する。

 着地。
 急制動――――車体を思い切り傾け、片輪で地面を削る。

「ゴールっ」

 停止と同時に、空が塔の外壁を叩いた。


 キュルケは息を奮わせていた。
 初めて、タバサのシルフィードに乗った時の事を思い出す。
 それまで、自分はフライを、飛行の魔法と考えていた。
 違った。フライはあくまで、“空を歩く”魔法でしか無い。そう思わせる程、風竜の飛翔は速く、力強かった。
 今、胸を激しく揺さぶる興奮は、その時以上。キュルケは衝動的に空の唇を奪おうとして、額を抑えられた。

「待ちや。勝負中」

 ギーシュが追いついて来たのは、二分後だった。

「参った。また、僕の負けだ」
「ボーズの系統が“火”か“風”やったら、こうはイカンかった。後から撃たれとる」
「確かに……」

 息を切らしながら、ギーシュは答えた。
 飛び道具に乏しい。こと、戦う上で、“土”のメイジ最大の弱点だ。

「再戦はいつでも受ける。なんか、アイデア練っとき」
「ミスタ……ひょっとして――――?」

 ここで、ギーシュは言葉を飲み込んだ。
 感極まったキュルケが、空の唇に自身のそれを押しつけたからでは無い。
 不意の出来事だった。
 すぐ隣をルイズが通り過ぎた。
 途中で拾ったのだろう。空の帽子を被っている。
 何故、こんな時間、こんな所に?――――それはどうでも良い。
 その顔にはどんな表情も窺えず、その瞳はいかなる人間的な感情も宿していなかった。

「ヴァリエール。取り込み――――」

 最後まで言う代わりに、キュルケは飛び出す。
 ルイズの手にする杖が、ゆっくりと上がった。


   * * *


 夜の魔法学院に爆音が響く事は無かった。
 キュルケと数秒睨み合ったルイズは、無言で空を連れ去った。
 尤も、それで問題が解決した訳では無い。
 空を寮の自室に入れると、ルイズは後手に鍵を掛けた。無言で机の引き出しから鞭を取り出す。

「……あのな、ワイ、そう言うプレイは、もう卒業したんやけど……」

 振り向いた時、ルイズの表情は一変していた。

「まるでサカリのついた野良犬じゃないの~――――っ!」

 声が震えている。
 ルイズは威嚇する様に床を叩いた。

「もも、物音がすると思って、見てみれば、なな、なんて事かしらっ!こ、この犬!野良犬!ののの、野良犬なら犬らしく扱わなくちゃね。いいい、今まで甘かったわ」
「ルイズ、落ち着け。目がイッとるっ。それに、その鞭は――――」
「乗馬用の鞭よっ。の、野良犬には上等ねっ!」
「は、話せば分かる!」
「問答無用っ!」

 鞭がしなり、空気が弾けた。
 幾ら、自分が馬並みだからと言って、馬並みに扱われては堪らない。

 空は逃げ出す。ルイズが追う。
 狭い室内での逃走劇が始まった。まるで「キューヴ」だ。
 だが、比較的調度品が少ないとは言え、さすがに壁走り〈ウォール・ライド〉は出来ない。部屋が荒れる。
 空は忽ち追い詰められる。

「ま、待て。待ちや、ルイズ。な」
「なによ!あんな女のどこがいいのよっ!」

 ルイズは乗馬用の鞭を折れんばかりに撓らせる。

「はー、ルイズはヤキモチの妬き方、可愛いんはいいんやけどな。初めて会った時も言うたけど――――っ!……おっ、お、!……」

 空は最後まで言い切る事が出来なかった。16の少女が息子に虐待を加えたからだ。これは一種の社会問題と言える。
 空は呻いた。呻いて、車椅子から転げ落ち、這い蹲った。
 背中に衝撃が走る。ルイズが上に座り込んだのた。

「……べ、別にあんたが節操無しなのは、勝手にすればいいんだわ。でも、キュルケは駄目」
「なして……?」
「キュルケはトリステイン人じゃないの。隣国ゲルマニアの貴族よ」
「それは聞いとる」
「私はゲルマニア人が大嫌いなのっ」
「それは初耳やわ」

 ルイズは言う。
 ヴァリエール家とキュルケの実家ツェルプストー家は領地の境を接している。不倶戴天の敵なのだ。

「おまけに、ツェルプストーは色ボケの家系よ!キュルケのひいひいひいおじいさんのツェルプストーは、私のひいひいひいおじいさんの恋人を奪ったのよ!二百年前に!」
「……お前、記憶力ええな」
「あのツェルプストーは散々、ヴァリエールの名を辱めたわ!ひいひいおじいさんは、キュルケのひいひいおじいさんに婚約者を奪われたしっ、ひいおじいさんは奥さんを取られてるのよっ!」
「なんや、お前ん家負けっぱなしやん。ひいばあさんかて、浮気――――」
「なな、なんですって――――!」

 ルイズは空の顎に手をかける。キャメルクラッチ。空の背骨が悲鳴を上げる。

「あだっ!……やめっ!……」
「それだけじゃないわっ!戦争の度に殺し合ってるのよ!お互い、殺し殺された一族は数え切れないのよっ!」
「ゆ、優勝劣敗は、せ、戦場の――――っ」

 空は繰り返し床を叩いた。解放されるまでに数秒かかった。
 それも、ルイズがギブアップを受け容れたからでは無く、単に腕が疲れたからだった。

「と、とにかくっ!キュルケは駄目よ!キュルケだけは ぜっ たい に駄目!禁止!判った!?」
「あーい……」

 馬乗りで暴れるルイズに、空は素直に答えた。

「所でな。忠実なツカイマからお優しい御主人様に頼みがあんねんけど……」
「なによ」
「明日、休みやろ」
「それがどうしたの?」
「街に出たい」


   * * *


 翌朝――――
 ギーシュは悩んでいた。
 どうすれば、空に勝てる?
 こちらから挑む限りで、勝負方法は昨夜の「ダッシュ」とやらになる。
 フライを使った所で、スピードでは勝負にならない。かと言って、自分には飛び道具が無い。
 気付くと、眼前に干し物が並んでいた。普段は近付かない場所だ。
 そこでは、メイドがクルクルと軽快に回りながら、仕事を進めていた。
 確か、シエスタと言う名前だ。
 メイドの動きに併せて、スカートがヒラヒラと舞い、白い脚がチラチラと覗く。
 ギーシュは釘付けになった。
 あっ、惜しい――――もう少し勢い良く回ってはくれないだろうか。
 そんな事を考えた時、或る事に気付いて、はっとなる。

「君!」

 ギーシュはシエスタに近付くと、声をかけた。

「はい。なんでしょう?」

 丁寧に答えながらも、シエスタは緊張した面持ちになった。
 一度、絡まれている若い貴族だ。不意に声をかけられれば身構えもする。

「この前は済まない。僕の態度は紳士に相応しい物では無かった――――所で、お願いが有るのだが」
「なんでしょう?」
「足を見せて欲しい」
「はい?」

 シエスタは声をあげた。
 これは、その、あれだろうか。
 貴族のお坊ちゃんの、気紛れな摘み食いだろうか。
 反応に迷っている間にも、ギーシュはずんずん近付いて来る。そして、事も有ろうに、自分の足下に屈み込んだではないか。
 シエスタは思わず後ずさった。足が縺れ、尻餅をついた。貴族の少年は、好都合とばかりに、脹ら脛を掴む。
 シエスタは息を飲む。蜘蛛の巣にはまった蝶の気分だ。
 奪われてしまうの?私、このまま奪われてしまうの!?
 思わず顔を覆う。
 だが、そこからはいつまで経っても進展しなかった。
 そっと、指の間から窺った時、ギーシュは真剣な顔で、“飛翔の靴”の車輪を弄っていた。

「あ、あの……?」
「はは……ふわははははは……っ!」

 困惑するメイドの声など、聞こえないかの様に、ギーシュは不敵な笑みを浮かべる。

「これなら、勝てる――――っ!」


 ――――To be continued

  • 前ページ
  • 次ページ
  • 虚無の王

「虚無の王-10」をウィキ内検索
LINE
シェア
Tweet
あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ
記事メニュー
メニュー
  • トップページ
  • 携帯用トップ
  • メニュー

  • 更新履歴
  • 新着情報



- 長編(五十音順)
長編(五十音順)
  • あ行
  • か行
  • さ行
  • た行
  • な行
  • は行
  • ま行
  • や行
  • ら行
  • わ行
  • その他

- 長編(話数順)
長編(話数順)
  • 01~04
  • 05~14
  • 15~

- 小ネタ
小ネタ
  • あ行
  • か行
  • さ行
  • た行
  • な行
  • は行
  • ま行
  • や行
  • ら行
  • わ行
  • その他
  • ???


  • 長編(完結)
  • お預かり作品

  • 登録タグ

  • お絵描き掲示板

  • テンプレ
  • 歴代スレ

  • SSのwikiへのまとめ方

  • 避難所
  • 作家専用チャット
  • テスト空間

  • リンク



更新履歴

取得中です。
記事メニュー2

新着情報

取得中です。
人気記事ランキング
  1. 小ネタ
  2. 長編(五十音順)
  3. ゼロのロリカード
  4. モンハンで書いてみよう
  5. ゼロな提督
  6. SeeD戦記・ハルケギニア lion heart with revenger
  7. モンハンで書いてみよう 轟竜編
  8. 使い魔のカービィ
  9. 暴君の零
  10. 使い魔を使う使い魔
もっと見る
最近更新されたページ
  • 59日前

    失われた世界から新世界へ-01
  • 98日前

    毒の爪の使い魔
  • 168日前

    ゼロと損種実験体-04
  • 205日前

    ゼロの登竜門-03
  • 235日前

    ゼロの登竜門
  • 298日前

    お絵描き掲示板/お絵かき掲示板ログ/278
  • 394日前

    ゼロと魔砲使い-14
  • 394日前

    ゼロと魔砲使い-13
  • 394日前

    ゼロと魔砲使い-12
  • 394日前

    ゼロと魔砲使い-34
もっと見る
人気タグ「サー・クロコダイル」関連ページ
  • Mr.0の使い魔
もっと見る
人気記事ランキング
  1. 小ネタ
  2. 長編(五十音順)
  3. ゼロのロリカード
  4. モンハンで書いてみよう
  5. ゼロな提督
  6. SeeD戦記・ハルケギニア lion heart with revenger
  7. モンハンで書いてみよう 轟竜編
  8. 使い魔のカービィ
  9. 暴君の零
  10. 使い魔を使う使い魔
もっと見る
最近更新されたページ
  • 59日前

    失われた世界から新世界へ-01
  • 98日前

    毒の爪の使い魔
  • 168日前

    ゼロと損種実験体-04
  • 205日前

    ゼロの登竜門-03
  • 235日前

    ゼロの登竜門
  • 298日前

    お絵描き掲示板/お絵かき掲示板ログ/278
  • 394日前

    ゼロと魔砲使い-14
  • 394日前

    ゼロと魔砲使い-13
  • 394日前

    ゼロと魔砲使い-12
  • 394日前

    ゼロと魔砲使い-34
もっと見る
ウィキ募集バナー
急上昇Wikiランキング

急上昇中のWikiランキングです。今注目を集めている話題をチェックしてみよう!

  1. 一般声優18禁出演作品まとめ @ ウィキ
  2. 機動戦士ガンダム バトルオペレーション2攻略Wiki 3rd Season
もっと見る
人気Wikiランキング

atwikiでよく見られているWikiのランキングです。新しい情報を発見してみよう!

  1. アニヲタWiki(仮)
  2. ゲームカタログ@Wiki ~名作からクソゲーまで~
  3. 初音ミク Wiki
  4. ストグラ まとめ @ウィキ
  5. 検索してはいけない言葉 @ ウィキ
  6. 機動戦士ガンダム バトルオペレーション2攻略Wiki 3rd Season
  7. 機動戦士ガンダム EXTREME VS.2 INFINITEBOOST wiki
  8. Grand Theft Auto V(グランドセフトオート5)GTA5 & GTAオンライン 情報・攻略wiki
  9. NIKKEぺでぃあ
  10. MADTOWNGTAまとめwiki
もっと見る
新規Wikiランキング

最近作成されたWikiのアクセスランキングです。見るだけでなく加筆してみよう!

  1. フォートナイト攻略Wiki
  2. MADTOWNGTAまとめwiki
  3. 首都圏駅メロwiki
  4. MadTown GTA (Beta) まとめウィキ
  5. Last Z: Survival Shooter @ ウィキ
  6. まどドラ攻略wiki
  7. 駅のスピーカーwiki
  8. 魔法少女ノ魔女裁判 攻略・考察Wiki
  9. 漢字でGO 問題集 @wiki
  10. ちいぽけ攻略
もっと見る
全体ページランキング

最近アクセスの多かったページランキングです。話題のページを見に行こう!

  1. ブラック・マジシャン・ガール - アニヲタWiki(仮)
  2. ブラック・マジシャン・ガール - 遊戯王DSNTナイトメアトラバドール攻略Wiki@わかな
  3. 埼玉県女子児童強姦事件について - キモウト@ ウィキ
  4. エロ戦車 - 遊戯王@2ch辞典
  5. 真崎杏子 - 遊戯王DSNTナイトメアトラバドール攻略Wiki@わかな
  6. キュベレイパピヨン - 機動戦士ガンダム EXTREME VS.2 INFINITEBOOST wiki
  7. 魔獣トゲイラ - バトルロイヤルR+α ファンフィクション(二次創作など)総合wiki
  8. 【移転】Miss AV 見れない Missav.wsが見れない?!MissAV新URLはどこ?閉鎖・終了してない?missav.ai元気玉って何? - ホワイトハッカー研究所
  9. リック(星のカービィ) - アニヲタWiki(仮)
  10. くろうみそ - アニヲタWiki(仮)
もっと見る

  • このWikiのTOPへ
  • 全ページ一覧
  • アットウィキTOP
  • 利用規約
  • プライバシーポリシー

2019 AtWiki, Inc.