砂の城

50話 砂の城

二人の獣人の女子高生が島の役場を訪れる。
一人は犬狼の少女、原小宮巴。もう一人は狐の少女、都賀悠里

「この島の役場だけど、誰か居るかなー?」
「気を付けて行こう、巴……」
「おーけー」

お互いに散弾銃――――巴はウィンチェスターM1912、悠里はフランキスパス12――――を携え、
役場の中へと入って行った。
そして入るなり、二人の参加者と遭遇する。
紫色の毛皮を持った巨躯の雄犬と、茶髪ツインテールの少女。
少女は巴の悠里に向けて突撃銃を構え、銃口を向けていた。
対する巴と悠里もまた散弾銃を犬と少女に向けて構え、威嚇する。

「何だお前ら……殺し合い乗ってんのか? お?」

紫犬が高圧的な口調で巴と悠里に尋ねる。
巴は一瞬眉をしかめたが、大人しく返答した。

「乗ってないよ。銃向けてんのはそっちが向けてるからだしぃ」
「「……」」

巴の返答を聞いた後、犬と少女が顔を見合わせ、程無くして少女は銃を下ろし犬は警戒の態勢を解く。
信じて貰えたようだ、と、安堵する悠里。巴は相変わらず無表情。
巴と悠里もまた、構えていた散弾銃を下ろした。
巴はともかく、悠里は内心逃げ出したい程に恐怖を感じていた。

「すみません、いきなり銃を向けて……」

ツインテールの少女が巴と悠里に頭を下げる。

「良いよ良いよ。警戒するのはこの状況じゃ当たり前だもんね。
私は原小宮巴。こっちのおっぱい狐のおねーさんが都賀悠里さん」
「おっぱい狐って、まあ、そうだけど……」
「ヒュー、良い女だねぇ」
「ちょっとリクハルド
「おっと……俺は今呼ばれた通り、リクハルドっつーんだ。
んでこいつが俺の同行者の舘山瑠夏。俺らも殺し合いには乗ってねぇよ」

互いに自己紹介し、殺し合いに乗ってない事を明かす。

「ここにはリクハルドさんと舘山さんの二人だけ?」

悠里がリクハルドと瑠夏に訊くと、二人の表情が少し曇る。

「今は二人だ」
「今は?」
「……説明する」

リクハルドが今までに起こった事を巴と悠里に話す。
この役場へ来た時は江木瀬理奈と言うもう一人の仲間が居て、
ジャスティーナと言う獅子獣人の女による襲撃を受け、瀬理奈は殺されてしまった事。
しかしそのジャスティーナも、リクハルドと瑠夏による性的な拷問の末に、二階女性トイレで首を吊り自害した事。
二人の死体は二階の奥の倉庫に安置していると言う事。
瑠夏が持っている突撃銃はジャスティーナが持っていた武器だと言う事。

「そんな事があったんだ」
「大変だったね……」

やはり無感動な表情と口調の巴に対し悠里は鎮痛な面持ちで言う。

「リクハルドさんに舘山さんだっけ? 私達もここに居て良いかな?
長い事歩いてきて疲れちゃった。ねぇ? おねーさんも疲れたでしょ?」
「確かにねぇ……良い、かな? 二人共」
「ああ、構わねぇぜ」
「良いですよ。宜しくお願いします」

巴と悠里は、リクハルドと瑠夏と共に島役場に留まる事にした。

……

……

リクハルドは狐少女・都賀悠里の事が性的にとても気になっていた。
長身で爆乳、スタイルは抜群。
更に裸の上にブレザーを羽織り胸元を強調し、ちらりと見えたが穿いていない。
見た目からして性に奔放であろう事は予想がついた。
リクハルドの食指が動くには十分過ぎた。

「ヤりてぇな」
「リクハルド、都賀さんとしたいんでしょ」

瑠夏もリクハルドの気持ちは察していたようで、少し呆れ気味に言った。

「アタリだ。滅茶苦茶良い女だぜ。上玉だぜぇ。
ああ、我慢出来ね……行ってくら!」
「行ってらっしゃい……」

遂に欲望を抑え切れなくなった紫犬は悠里の元へ向かった。

「まあ、リクハルドは私の物って訳じゃないし……」

少しの寂しさと嫉妬を感じた瑠夏はそう自分に言い聞かせた。
そんな事は露知らず、リクハルドは悠里に猛アタックを仕掛ける。

「リクハルドさん?」
「なぁ、悠里、お前……エロい身体に格好してんなぁ……ゲヘヘ……男を誘う格好だよなぁ?」
「……あれ? もしかして……私としたい?」
「話が早ぇじゃねぇか。良いだろ? どうせ普段からヤりまくってんだろぉ? ん?」
「……うふっ、まあね……」

悠里の目が変わる。淫靡な女狐のそれに。
二人は一階奥にある宿直室へと歩き始めた。

(今まで災難続きだもん、良いよね……)

元々、行為が好きな悠里。この殺し合いで巴と出会った時も自分を慰めていた。
死と隣り合わせな状況にずっと置かれてきたのだから、一時でも良い、快楽に身を任せ自分に褒美を与えても良い筈。
悠里はそう考えた。
途中、巴と遭遇し、悠里は何か難癖をつけられるのではと心配になった。

「おねーさん、リクハルドさんと一緒にどこ行くの?」
「え、あー……」
「ああ、分かった……お盛んだねぇ」

悠里とリクハルドが何をするか察したのか牙を覗かせニヤリと笑う巴。

「うっ、巴……」
「ああ、心配しないで。止めないよ。思う存分楽しんできたら良いよ」
「う、うん」
「お前も一緒にヤるか? 巴。お前も良くみたら中々良い身体してんじゃねぇか。何なら悠里と一緒に可愛がってやっても……」
「私は良いよ」
「ああ? そうか。んじゃ、行こうぜ悠里」

悠里とリクハルドは奥へと消えて行った。
そして暫くして、二人の喘ぎ声が聞こえ始めた。



【午前/D-6/島役場一階】

【原小宮巴】
[状態]健康
[装備]ウィンチェスターM1912(4/6)
[持物]基本支給品一式(食糧少量消費)、12ゲージショットシェル(12)
[思考]1:殺し合いを潰す。
    2:危険人物は容赦無く排除。
    3:おねーさん(都賀悠里)と行動。
    4:島役場に留まる。リクハルドと舘山瑠夏は信用出来そう?
[備考]※リクハルドから島役場にて起こった事の顛末を聞きました。

【都賀悠里】
[状態]興奮、リクハルドと行為中
[装備]フランキ スパス12(7/7)
[持物]基本支給品一式(食糧少量消費)、12ゲージショットシェル(14)
[思考]1:死にたくない。
    2:リクハルドと愉しむ。
    3:巴と行動。
    4:島役場に留まる。リクハルドと舘山瑠夏は信用出来そう?
[備考]※リクハルドから島役場にて起こった事の顛末を聞きました。

【リクハルド】
[状態]興奮、都賀悠里と行為中
[装備]無し
[持物]基本支給品一式、暗視ゴーグル、脇差
[思考]1:殺し合う気は無いが襲い掛かってくる者には容赦しない。
    2:悠里と愉しむ。
    3:ルカと行動。
    4:襲い掛かってきたのが良い女だったら犯して食う(食わない場合もある)。
[備考]※特に無し。

【舘山瑠夏】
[状態]健康、リクハルドに若干不満、都賀悠里に若干嫉妬
[装備]56式自動歩槍(20/20)
[持物]基本支給品一式、56式自動歩槍の弾倉(5)、H&K VP70(13/18)、H&K VP70の弾倉(3)、
    ダン・ウェッソンM715(6/6)、.357マグナム弾(12)、壊れたゲームキューブ本体、除草剤、1メートル定規
[思考]1:殺し合いはしない。
    2:リクハルドったら……都賀さん羨ましい。
    3:暇を見付けてリクハルドと、する。
[備考]※特に無し。



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前:絶望の中で鈍く光る 原小宮巴 次:手探りでくわえ込む自己欺瞞
前:絶望の中で鈍く光る 都賀悠里 次:手探りでくわえ込む自己欺瞞
前:良いも悪いも無い、正解も不正解も無い リクハルド 次:手探りでくわえ込む自己欺瞞
前:良いも悪いも無い、正解も不正解も無い 舘山瑠夏 次:手探りでくわえ込む自己欺瞞
最終更新:2014年02月18日 12:15