21話 淫らなのにも理由はある
灰色の毛皮に長髪を持つ猫獣人の少女、君塚沙也は酷く淫乱だった。
野外露出、被強姦、被輪姦、売春、更には自分の携帯番号と住所を自分の痴態を写した写真と共にネットに載せるなど、
自滅行為に等しい事も平気でやっていた。
しかし、それでも彼女は普通に学校に通い、友達も多い。
両親はいない。
まだ赤子だった彼女を残して蒸発してしまった。
8歳まで孤児院で過ごし、以降は叔父夫婦に引き取られる。
叔父夫婦は決して沙也に対して冷淡では無かったが深く愛情を注いでいた訳でも無く、
沙也は孤独を感じ、いつしか、仮でも良いから愛情を求め身体を男の欲望に晒すようになった。
淫らになっていく姪を叔母夫婦はどうして良いか分からずただ見守った。
男に媚びる事により、孤独を紛らわしはするが精神は決して強く無く、精神安定剤を大量に服用したり、酒を大量に飲んだり、
誰も見てない所で手首を切ったり首を吊ろうとしたりする事もあった。
君塚沙也は捕まえた一人の男を路地裏に連れ込み行為を迫っていた。
「ヤろうよヤろうよヤろうよ」
「こ、こわいって」
制服をはだけさせ露出した豊満な乳房を男の身体に擦り寄せ、スカートをたくし上げ濡れたそこを強調するが、
男――石川信泰は一行に行為に応じようとしない。
「何でよっ! こうすればいつもは男は無理矢理にでも私を犯してくれるのに!
ちゃんと私のおっぱいとかあそことか見てよ、エッチでしょ? 欲情するでしょ? ねえ」
「いや、あのさ、俺さ、あんま度を超えたビッチは勃たないんだわ……いくらスタイル良くてもな、
それを見せびらかして恥じらいも無い女って趣味じゃねえんだわ……」
「……ッ!」
信泰の言葉に沙也は大きくショックを受ける。
自分の身体で欲情しない男なんて今までいなかったのに。
ちょっと誘えばもみくちゃにしてくる男ばかりだったのに。
自分の身体ではこの男は欲情しないのか。
沙也はとても悔しくなった。
「嫌、そんなの認めない! 私に欲情しない男なんて! 意地でもその気にさせてやる!」
「お、おいおい、待てお前うわああぁあ」
ズボンを下ろそうとする猫少女を制止しようとする信泰。
だが沙也の力は予想以上に強く攻防戦が続いた。
「ん?」
ズボンの攻防戦の最中、信泰は表通りの方に何かがいるのを見付ける。
沙也はまだ気付いていないようだが、それはほぼ全裸にベルトとニーソ手袋と言ういでだちの青い狐の女性だった。
また変態女かと信泰は一瞬思ったがどうも様子が変だ。
「あはははっ、おふたりさんお盛んねー」
「! 何よ邪魔しないで!」
「いやいや、ちょっと待てお前、あいつ何か様子が……」
「突然で悪いけど~死んでくれるぅ?」
青狐女性は右手に持っていたリボルバー拳銃を二人の方へ向けた。
「「!!」」
流石にこの時沙也も我に返った。
ダァン!!
銃弾は二人の頭上にある看板の一部に当たる。
「やっべ、これやっべ、逃げるぞ沙也!」
「言われなくてもすたこらさっさだぜぇぇえ」
「逃げないでよぉ~」
路地裏の奥へ逃げる二人を追って青狐女性は笑いながら走っていった。
◆◆◆
先程青狐女性がいた通りとは別の通りに信泰と沙也は出る。
走ってきて乱れた呼吸を二人は整える。
「ハァ、ハァ、ハァ……危ねーとこだった」
「ゼェ、ゼェ……すっかり殺し合いの最中だって事忘れてたわ」
「忘れんなよそれは……」
「……いつか絶対私に欲情させてみせるからね信泰さん」
「それより殺し合いから脱出する方法探すのが先だと思うけどな……」
「それもちゃんとやるわよ!」
「……取り敢えず乳しまってパンツはけ」
「……」
むすっとしながら沙也は制服を着直しパンツを穿き直した。
【E-5/駐在所付近の市街地/早朝】
【君塚沙也】
[状態]健康
[装備]???
[持物]基本支給品一式、???
[思考]
基本:殺し合いから脱出したい。
1:絶対信泰さんを欲情させたい。
※ヘレン・オルガの容姿のみ記憶しました。
【石川信泰】
[状態]健康
[装備]???
[持物]基本支給品一式、???
[思考]
基本:殺し合いはしない。脱出手段を探す。
1:沙也と行動。
[備考]
※ヘレン・オルガの容姿のみ記憶しました。
◆◆◆
「あーあー逃しちゃった」
青狐女性、ヘレン・オルガは獲物を見失った事に落胆する。
発狂していても落胆は出来るものだ。
「まあいいや、次いこう次! あはははははは」
相変わらずのテンションのままヘレンは次の獲物を捜し始めた。
【E-5/駐在所付近の市街地/早朝】
【ヘレン・オルガ】
[状態]発狂、失禁、ハイテンション
[装備]S&W M3ロシアンモデル(0/6)
[持物]基本支給品一式、.44ロシアン弾(12)
[思考]
基本:とりあえず目に付いた人から殺していく。
1:あははははは
[備考]
※君塚沙也、石川信泰の容姿のみ記憶しました。
《人物紹介》
【君塚沙也】 読み:きみづか・さや
灰色の毛皮と長髪を持ったやや人間よりの猫獣人の少女。16歳。高校一年。
両親に赤子の時捨てられ8歳まで孤児院で育ち、その後は叔母夫婦に引き取られる。
叔母夫婦からは最低限の接し方しかされず愛情に飢えいつしか身体を売ると言う形で(偽物だとしても)愛情を得るようになる。
次第にエスカレートしていき生来のグラマラスな身体もあいまって酷い淫乱少女と化してしまい、
売春は愚か被輪姦強姦、野外露出、自分の個人情報をネットに晒す等自滅行為をするようになる。
普段は明るく振る舞いそれなりに友人も多いが、自分の身体で欲情しない男はいないと思い込んでおり、
誘いを断わられると取り乱したり逆上したりする一面もある。
精神的に不安定でもあり精神安定剤をたまに服用している。喫煙はしていないが飲酒はしている。
誰の目も無い所で自傷行為(リストカット)や自殺未遂(首吊り)を起こしたりもしている。
【石川信泰】 読み:いしかわ・のぶやす
大学生の青年。20歳。髪を金色に染めピアスを開けている等今時の若者風な外見。
いい加減かつ怠惰な性格だが、時折正義感が強い時もある。
清楚な女性か明るい女性が好みであまり性に奔放過ぎる女性は守備範囲外らしい。
学業の成績は非常に良いが素行の方がいかんせんよくないため霞んでいる。
最終更新:2013年03月20日 17:34