叶えられない欲求

57話 叶えられない欲求

第二回放送をF-3の市街地の民家にて聞き終えた、蒲生重勝と神楽坂雪子の二人。

「この近くだと変電所の周りと、コンビニの辺りが禁止エリアになるみたいだな。
気を付けよう……ちょっと食事取ってから、図書館に行こうか、雪子ちゃん」
「分かりました」

お昼時なので、少し食事を取る事にする二人。
デイパックの中に入っている食料を取り出して口に入れる。
食料はどこにでも売っているようなコンビニおにぎりやサンドイッチ、ビーフジャーキーなど。
正味な話、美味しくない。
それでも二人は無理矢理に口に詰め込み咀嚼する。

(はあ、もう無理に欲望を達成するのはやめた方が良いのかなあ)

心の中で雪子は未だ自分の欲求を叶えられていない事実に、諦念を抱き始めていた。
いっその事無理に叶えようとはせず流れに身を任せれば結果的に叶えられる時が来るのではと、
訳の分からない思考をし始める。

味気無さ過ぎるおにぎりその他を水で流し込むようにした末に食事を終えた二人は図書館に向けて出発する。

「う、うわっ」
「誰だ?」
「撃たないでくれ……!」

途中、黒いブレザー姿の少年と遭遇する。
少年は銃を持った重勝とグルカナイフを持った雪子にかなり怯えていた。

「お前は殺し合いに乗っているか?」
「え? い、いや、乗ってない。乗ってないよ」
「本当ですか?」
「本当だ!」
「……分かった。悪かったな脅かして」
「許して下さい。警戒しないといけないので……」
「はぁ、はぁ」
「俺は蒲生重勝、こっちは神楽坂雪子ちゃん。お前は何て言うんだ?」
「な、長野高正」

殺し合いに乗っていない事をどうやら信じて貰えたらしい。
高正は少し安心した。

「長野君は一人?」
「あ、ああ。ずっと一人だったよ」
「それじゃ、私達と一緒に行きませんか? 良いですよね? 蒲生さん」

雪子が高正を自分達に同行させる事を重勝に提案する。

「ん、良いぞ」
「あ、ありがとうございます」

重勝は快諾し、高正は二人に礼を言った。

「俺達は今から図書館に向かう所なんだ。待ち合わせしている奴らがいるからな」
「そうなんすか」
「福井知樹、村上在羽、エリノア。この三人です。無事だと良いんですけど」

図書館で合流の約束をしている別グループの事を高正に説明した後、
重勝、雪子、加えて高正は図書館へと向かい始める。




【F-3/市街地/日中】
【蒲生重勝】
[状態]健康
[装備]タンペレーン ヤティマティック(40/40)
[持物]基本支給品一式、タンペレーン ヤティマティックの弾倉(3)
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。死にたくない。
1:雪子ちゃん、高正と行動。図書館で知樹達と合流する。

【神楽坂雪子】
[状態]健康、欲求不満
[装備]グルカナイフ
[持物]基本支給品一式
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。死にたくない。
1:蒲生さん、長野君と図書館で知樹達と合流する。
2:蒲生さんに滅茶苦茶にして欲しい。

【長野高正】
[状態]健康
[装備]火掻き棒
[持物]基本支給品一式
[思考]
基本:生き残る。
1:蒲生さん、神楽坂さんと行動。
[備考]
※ヘレン・オルガの容姿のみ記憶しました。



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051:なりを潜める欲求 蒲生重勝 059:成就する欲求、そして集いし反抗の者達
051:なりを潜める欲求 神楽坂雪子 059:成就する欲求、そして集いし反抗の者達
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最終更新:2013年04月10日 00:20