59話 成就する欲求、そして集いし反抗の者達
重勝達は目的地である図書館へと辿り着いた。
だが、そこで待っていたのはエリノアただ一人。
読書室には血の跡が残り、引き摺った跡が奥まで続いている。
「エリノア? 他の二人はどうしたんだ?」
重勝がエリノアに尋ねる。
エリノアは沈痛な面持ちで答えた。
「死にました」
「ええっ!? 何で……?」
驚く重勝と雪子、そして余り事情を知らない高正に、エリノアが出来るだけ細かく説明する。
エリノアと一緒にいた福井知樹、村上在羽の二人が死んだ経緯や、読書室の血痕の事など。
重勝達はどう言葉を発したら良いか分からず、黙ってエリノアの話を聞くに留まる。
「……大変、だったな」
考えた末に重勝がエリノアに言った言葉。
大変などと言う言葉では済まされない目にエリノアは遭っている事を重勝らは十二分に理解はしていたが、
他に適当な言葉が見付からなかった。
その後、彼らに新たに仲間が加わる。
全裸のハイエナ獣人、ユルゲン。
変態ロリ、長嶺和歌子。
隻眼隻腕のマンティコア、ウラジーミル・コスイギン。
彼らは民家に隠れ放送を聞いた後、ウラジーミルの進言で図書館へやってきた。
ユルゲンと和歌子にとっては「結局図書館に戻ってきた」事になってしまったが。
凄まじい外見の二人に幼女が一人と言う奇異極まり無い組み合わせに、
重勝達は最初困惑したものの、彼らが殺し合いに乗っていないと分かると警戒を解いた。
(汁男優、女子高生、俺は男子高生、ビキニアーマー女戦士、全裸のハイエナ、ロリ、マンティコア。何なんだこの集団は……)
図書館に集まった面子を一通り眺めて、高正は思った。
高正の思った通り、傍から見れば何の集団か全く分からないだろう。
(ああ、何なのあのハイエナと翼の生えたライオンみたいな人は。
あんな……お**ちんをブラブラさせて、お、抑え込んでいる欲求が再燃しちゃうじゃない!)
雪子はユルゲンとウラジーミルの股間を見て自分の欲望が再び燃え上がってしまうのを感じ、
顔を赤らめて、心を落ち着かせようと本を手に取った。
その本は「からだのしくみ」だった。
すぐに本棚に戻した。
(もう我慢出来無い! もう無理!)
雪子は意を決した。
重勝はと言うとユルゲンと話していた。
「仲間が増えたのは良いんだけどこれからどうするかな」
「首輪をどうにか出来る人がいれば良いんだけどねぇ。俺も和歌子ちゃんも、ウラジーミルも、
機械には詳しく無いし、首輪はあるんだけどね、ほら」
「え? どうやって手に入れたんだ?」
「この図書館で俺と和歌子ちゃん襲ってきた女がいて、そいつを殺して」
「ん、じゃあエリノアが言っていた読書室の斬首死体って……」
「蒲生さん」
「ん? どした雪子ちゃん」
「二人きりになりたいんですが良いでしょうか」
「え? ……あー、良いけど。悪いユルゲンまた後で」
「ああ」
雪子は重勝を連れて図書館奥へと向かって行く。
それを見送るユルゲン。
彼は雪子の目が異常にぎらついていたのを見逃さなかった。
「どこに行くんだろ? 雪子おねえちゃんと重勝さん」
和歌子がユルゲンに尋ねる。
「きっと楽しい事をしに行ったんだよ」
苦笑いを浮かべながらユルゲンは答えた。
◆◆◆
「私を犯して下さい」
「は?」
図書館奥の用途不明の個室に連れ込まれた重勝は雪子の突拍子も無い要望に呆然とする。
「え、どういう」
「ずっと我慢してたんです、でももう限界です。ずっと蒲生さんに頼みたかった事なんです。
私、男の人に滅茶苦茶にレ*プされるのが夢なんです!」
堰を切ったように自分の欲望を吐露する雪子に気圧される重勝。
ずっとおとなしく礼儀正しい子だと思っていただけにその内面の欲望とのギャップに狼狽えた。
「お願いします。私をヤって下さい……殴ったって良いです、酷い事も言って下さい!」
「あ、えーと、えーと……」
どうして良いか分からず困惑しっ放しの重勝。
元々、汁男優として女優に精液を掛けるだけだったので、本番などは一切した事が無い。
いわば「童貞」なのだ。
女性器に挿入した事もある筈が無く、それどころか女性の身体をまともにいじった事も無い。
だが、雪子は目を潤ませ、懇願してくる。
「……」
重勝も男である。
神楽坂雪子は外見も性格も、魅力的だ。特に身体は劣情をそそるには十分過ぎる。
ましてや被虐思考を持っているのなら、男として、滅茶苦茶にしてやりたいと言う気持ちも湧いてくる。
重勝は雪子を部屋の奥へと連れ込み、座らせ自分も座る。
そっと雪子の左頬に自分の右手を添えた。
「……俺で良いの?」
「……はい」
「余り、殴ったりはしないけど、無理矢理、入れたりはするよ?
痛くするよ? 子供出来るかもしれないけど良いんだね?」
「良いです」
「……雪子ちゃんは変態だなあ……俺も男だから」
雪子の頬に添えていた右手をそっと離し、重勝は、その右手を振りかぶった。
「雪子ちゃんの欲望に精一杯応えてやろうと思う……」
「はい」
「行くよ!」
「お願いします!」
バシッ
雪子の頬に平手打ちが入り、雪子は床に倒れた。
重勝は、雪子に覆いかぶさり、乱暴にスカートと下着を脱がし始める。
(ああ、ついに……叶うんだ……)
雪子の心は幸福感で満ち溢れていた。
◆◆◆
図書館組に新たに一人仲間が加わった。
左の頬が銃弾でも掠ったのか酷く抉れた狐獣人の女性、狐閉レイナ。
「大丈夫か、頬に凄い傷があるが」
「もう痛みも無くなったわ、って言うかあなたの方が重傷じゃないの」
レイナの傷を心配するウラジーミルだったが、レイナの言う通りウラジーミルの方が重体だった。
高正がレイナに図書館に集まっている人々について大まかに説明する。
「俺は長野高正、今奥に行っていないけど狐の蒲生重勝さんと女子高生の神楽坂雪子さん、
あとハイエナさんはユルゲンさん、小さい女の子が長嶺和歌子ちゃん、ライオンの人がウラジーミルさんです」
「私は狐閉レイナ……色々あって今は一人よ。
殺し合いに乗ってない人、やっぱり結構いたのね……あの、稲葉憲悦って人はいないの?」
レイナが高正に尋ねる。
かつて同行していた柏木寛子が憎んでいた相手、第二回の放送でも名前は呼ばれなかったためまだ生きていると思われた。
この図書館にいるのではと思っていたが、高正の返事は否定だった。
「いや、いませんね」
「そう……」
「知り合いなんですか?」
「ちょっとまあ……正確に言うと私と一緒だった人の知り合いなんだけど。
別にいなければいないで良いのよ」
「はあ」
憲悦が例えいたとしても別にレイナはどうこうするつもりは無かった。
ただ寛子の死ぐらいは伝えておこうと思っただけで。
伝えた所で、少女を監禁凌辱するような男が何か思うとは思えないが。
「しかし数集まっても首輪どうにか出来ん事には」
「首輪、調べてみたいんだけどね……首輪が欲しい」
ユルゲンのぼやきを聞きレイナが言う。
「首輪? それならあるぞほら」
「ええっ?」
レイナにユルゲンが首輪を差し出す。
それを受け取り観察して、確かに参加者用の首輪である事を確認する。
裏に「megumi sugishita」とローマ字が刻印されていた。
そう言えば放送で「杉下愛美」と言う名前が呼ばれていたと、レイナは思い出した。
「ちなみにこれ、どうやって……」
「その首輪の主が襲ってきたから……」
「ああ、分かったわ」
全て聞かずとも分かった。
何はともあれ首輪のサンプルが入手出来た。
しかし分解するには工具が必要、工具の持ち合わせは誰も無い。
「俺が近くの民家探してきてやる」
ユルゲンが名乗りをあげる。
図書館周辺には民家がある、探せば工具箱ぐらいは見付かるだろう。
殺し合いに乗っている者に遭遇する可能性があったが、折角脱出への糸口が見えてきたのだ、
多少の危険は止むを得まい、と、ユルゲンは考えた。
「気をつけてね、ユルゲンさん」
和歌子が心配そうな面持ちでユルゲンに言う。
「ああ、大丈夫だ。俺は強いからさ。じゃ行ってくる」
「気を付けてね……」
レイナと和歌子に見送られユルゲンは工具箱を探しに向かう。
◆◆◆
「ほら、気持ち良いかよ、このガキ」
「ひうっ、ぐぅ……気持ち良い、ですぅ」
「ガキのくせにエロい身体、しやがって。おっぱいやわらけえな」
「あん、んっ」
「ああ、たまんねぇ……お前の中すっげえ気持ち良い」
「あうっ、おっ、もっと、奥、まで」
少女は獣人に蹂躙される。
獣人は少女を弄び、小声で罵倒し続ける。
少女は涎と舌を垂らし、光を失った目から涙が流れる。
ぐちゅぐちゅと結合した部分からいやらしい音が響いていた。
だがこれは少女が望み、獣人が叶えているだけ。
(こんな酷い事言って、酷い事して本当に大丈夫かな……いや、もう後戻りできねえ、最後まで付き合ってあげよう)
(凄い、凄いよ、頭の中真っ白になっちゃう……)
獣人と少女の、蕩ける交わいはまだ続く。
獣人は背徳感と快感を、少女は幸福感と快感を味わいながら。
【F-3/図書館読書室/日中】
【エリノア】
[状態]健康
[装備]十文字槍
[持物]基本支給品一式、コルト パイソン(6/6)、.357マグナム弾(12)、バール、青竜刀、スナイドル銃(0/1)、
.577スナイドル弾(9)、RGD-33手榴弾(2)
[思考]
基本:殺し合いはしない。
1:蒲生さん達と行動。
【狐閉レイナ】
[状態]疲労(大)、左頬に擦過射創
[装備]ベレッタM92FS(11/15)
[持物]基本支給品一式、イングラムM10(0/40)、イングラムM10予備弾倉(2)、針金、ニッパー、
三十年式銃剣、ベレッタM92FSの弾倉(3)、コンバットナイフ、S&W M3ロシアンモデル(4/6)、.44ロシアン弾(6)、杉下愛美の首輪
[思考]
基本:殺し合いから脱出したい。
1:首輪を調べたい。
【長野高正】
[状態]健康
[装備]火掻き棒
[持物]基本支給品一式
[思考]
基本:生き残る。
1:蒲生さん達と行動。
[備考]
※ヘレン・オルガの容姿のみ記憶しました。
【ユルゲン】
[状態]若干の返り血
[装備]村田刀
[持物]基本支給品一式
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。脱出したい。
1:和歌子ちゃん達と行動。工具箱を探しに行く。
【長嶺和歌子】
[状態]健康
[装備]無し
[持物]基本支給品一式、ミロクSP-120(2/2)、12ゲージショットシェル(10)
[思考]
基本:殺し合いはしない。死にたくない。
1:ユルゲンさん達と行動。ユルゲンさんの無事を祈る。
【ウラジーミル・コスイギン】
[状態]右目失明及び左腕肘から先喪失さらに全身に細かい破片による傷(全て応急処置済)、疲労(大)
[装備]クロスボウ(0/1)
[持物]基本支給品一式、クロスボウ予備矢(10)
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。
1:生きていれば良い事はある、きっと……。
2:ユルゲンさん達と行動。
[備考]
※福島愛沙を襲っていた男(鐘上真生)の容姿を記憶しました。
【F-3/図書館勉強室/日中】
【蒲生重勝】
[状態]神楽坂雪子と行為中、背徳感、快楽
[装備]タンペレーン ヤティマティック(40/40)
[持物]基本支給品一式、タンペレーン ヤティマティックの弾倉(3)
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。死にたくない。
1:雪子ちゃん大丈夫かな……。
【神楽坂雪子】
[状態]蒲生重勝と行為中、幸福感、快楽
[装備]グルカナイフ
[持物]基本支給品一式
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。死にたくない。
1:なにもかんがえられない。
最終更新:2013年04月16日 22:07