ボクは、有栖川歌恋が好きだ。
できることなら彼女のようになりたいなんて思っている。
歌恋は、名前のとおり、可憐な女の子だ。
背は高いけど、華奢で。
つり目でキツそうだけど、ホントは優しくて。
物腰やわらかだけど、ホントはすっごく負けず嫌い。
誰にも見せない本当の歌恋をボクは知っている。
とっても柔らかいすべすべの肌は、まるで赤ん坊のようなのに、
たまに伏せる目は憂いを帯びていて、とっても大人っぽくて、好きだ。
…それに比べてボクは…。
男の子として育ってきたせいにするわけじゃないけど、
がさつだし、粗野で、とてもじゃないけど女の子には見えない。
歌恋のように長くて綺麗な髪でもない。
いや、過去はボクだって髪が長かったんだっけ。
かなり前にバッサリ切ったけど、くせっ毛でしょうがなかった。
そういえばこの前、歌恋の兄にマニュキュアを教えてもらった。
これで少しは女の子らしく見えるだろ?といたずらっぽく笑った兄は昔の孝兄ぃのままだった。
ふたりだけ…。
歌恋と孝太郎だけはボクをボクとして見てくれた。
どうしようもないところにいたボクを助けてくれた。
彼らがいたからボクは生きてこられた。
…初めて会った頃の歌恋は、特に難しい女の子だった。
怒ったと思ったら泣き出すし、優しくしたらまた怒るし。
それが歌恋の素だと知ったのはしばらく経ってからだった。
歌恋とボクはよく遊んだ。
家が近かったからだと思う。それに、年も近かったから。
毎日毎日、二人だけで出かけて、二人だけで過ごした。
二人だけの時間は、ボクたちにとっての最上の時間だった。
…少なくとも、ボクはそう思っている。
ボクが悲しい顔をしていると、歌恋は周りから見えないように、そっと抱きしめてくれた。
逆に歌恋が泣くときは、いつもボクが抱きしめた。
必死にしがみついてくる歌恋はとってもとっても可愛くて、ボクは不思議な気持ちになったものだ。
その気持ちの正体を、ボクはしばらくの間分からずにいた。
それから、ボクたちは離ればなれになった。
ボクが引越しすることになったからだ。
父は引退し、ボクは女の子として生きることになった。
全寮制の女学園。ボクはそこに入学した。
学園での数年間、ボクは毎日のように歌恋の匂いを思い出そうとした。
でも、悲しいことに、日々を重ねるごとに歌恋の匂いも、髪の感触も、抱きしめたあの感覚も思い出せなくなった。
そんな自分が情けなくて、悔しくてたまらなかった。
そして、あの時の気持ちの正体を知った。
歌恋が好きだ。
どうしようもないほどに。
…これはボクが男の子として育ったからなのかな?
A☆TO☆GA☆KI
…なんだこれh(殴)
いや、当初書こうと思ってたものとかなり変わってしまったのだよ。
仕方ないですね。ははっ。
H26.7.29 百合は大好きだ!な、ナオでした!
最終更新:2014年07月29日 04:33