『お気に入り、三角関係、ラノベ、めくる、登録』を使ってSSを書きましょう!
「なあ重道~」
「なんでしょう?」
同じ班になったよしみでか、普段は絶対に話しかけない相手に山地は話しかけた。
「何読んでんの?」
「ああ、これはですね……」
何しろ山地は暇だったのだ。
暇で無ければこんなオタクに話しかけるわけがない。
「ラノベですよ!」
時は授業中にさかのぼる。
山地はいつものように特定の人物に対して熱い視線を送っていたが、
その向こう、つまりムスカの前の席の男子がふと目に入った。
(あいつ、誰だっけな~…)
それが重道を初めて自分の視野の中心に入れた山地の純粋な感想だった。
何しろ頭が悪いので、覚えなくていいことは覚えないのが山地のポリシーなのだ。
しかし、目が留まったのは彼の行為だ。
オタクと噂の彼のことだ、どうせ授業もクソ真面目に受けているのだろう、
とおもいきや、実際の重道の行動はそうではなかった。
(あいつ、本読んでるな…)
全く授業を聞くこともなく、重道は本をめくっていた。
自分のことを棚に上げて、山地は大丈夫かよあいつ、とか考えていた。
最初の接触(ですらないが…)は、こんなもんだった。
授業が終わり、なんだかんだ終学活が終わって放課後になっても、
重道はまだページをめくる手を止めはしなかった。
「おいポーク、俺クソ委員会行ってくるから、先に部活行ってていいぜ」
と、委員会が入ったことに悪態をつきながら、ムスカが言った。
「いや、お前のこと待ってるよ、俺」
山地は、何気に自分のことを気にかけてくれたムスカの顔をにやけ顔を抑えつつ見て、返事をする。
「いや、キモイし」
「ひでえ」
「ま、勝手にしろー」
さらっと毒を吐きながらも、結局は優しい言葉をかけてくれるムスカが好きだ。
なので、山地は教室を出るまで彼を見送って、
「……宿題でもやるか?」
熱にうかれたのか柄にもないことを独りごちた。
汚い引き出しから折れてしまったプリントを引っ張り出したが、
それは宿題ではなく先ほど配られたチラシだった。
「おかしいな」
何枚引っ張り出しても、出てくるのはチラシだけなので、
「ま、いいや」
結局山地はあきらめてぼーっとすることにした。
すると、目の前にはまだ例のオタクがいた。しかも、まだ本を読んでいる。
もうそろそろ読み終わりそうだった。
そして、山地はあまりの暇さに、ついに彼との接触を試みたというわけだ。
「えぇーっ!!ラノベ!?」
「はい!ラ・ノ・ベです!」
「……って、何?」
ズコーっと、重道が椅子から倒れるふりをする。彼はオーバーリアクションなのだ。
「ラノベというものは、それまで硬派なイメージであった文学というものをを限りなく俗物的に」
「あ、いい、そういうのいい、わかんない、ごめん」
山地はやばいと思って必死に重道の暴走を止めた。
「はあ、そうですか…。面白いですよ」
「どんな話なんだよ、ちょっとみせて」
山地は隙をついて重道から本をもぎ取り、中身をちらと見た。
そこには、肌色の世界が広がっている。
カラフルな髪の毛をした女の子が、みんなで露天風呂に入っていた。
「なんだこれ!プリ●ュアじゃん!」
「いえ、これはプリキ●アじゃないですよ!あれはあれで良い物ですがねぇ~、おっと…」
「お前こんなのが好きなのか~うけるな」
「はい!僕のお気に入りですよぉ!」
山地はカラーのページと挿絵を一応、いちおう、なめるように見ておいた。
とりあえず女の子が裸っぽい絵がいっぱいあって、すごかったからだ。
これくらい健全な男子なら普通なのだ。
「なんで男こいつだけなの?」
挿絵をなめるように見つめてから、山地はふとした疑問を口にした。
「ああ、それはハーレムものだからですよ」
「まじか!すげえ…うらやましい」と、山地が素直に感動していると、
「まあ、僕もそろそろ作ろうかなという感じなのですがねぇ」
グェヘヘ、だかゲヘヘ、だか、とにかく下品な笑みを浮かべて、重道はつぶやいた。
「お前、ハーレムつくれんのかよ!」
「もうヒロイン候補は決まっているよぉ~」
「まじか!だれだれ!教えて」
「まず有栖川歌恋ちゃんは外せないよねぇ~」
「え?」山地はかたまった!
「それから、瑠璃ちゃんに、有姫奈ちゃんも候補に登録してますよぉ」
「ちょ、おま、それ、妄想…」さすがの山地もこの言動には焦りを感じていた。
「でもねぇ、僕は気づいたんですよ、ある男の子のかわいさにねぇ」
「えっ」
「誰だと思いますか?」ニヤニヤにながら重道は山地に問うた。もはやノリノリである。
「えーと、む、ムスカ、かな…えへへ」
極上の気持ち悪さで、山地は照れた。
しかし……、
「せぇかぁい!!君はすごいなぁ!!」
「は?」
しばらく、教室内の彼らの空気は止まった。
まるで、時間を止める能力の持ち主が現れたかのようだった。
そして、魔の三角関係が出来上がってしまった。
この後も何度か彼らは衝突したり、わかりあったりするのだが……、
それはまた、別のお話。
あとがき
すんません!(開幕謝罪)ぜんぜん更新してなかったですね。はい。
反省してます!というわけで気を取り直して、今回は重道ポークの話です。
絶対絡まないだろうなと考えられる二人を絡ませるのはなかなか楽しいものです。
こういったらこいつはこういうだろう、という思考を巡らせるのはなかなか楽しいものです。
そして、私ちゃんとしたギャグを書いたのが久しぶりなような気がしますよ。
大丈夫なのかナオ!次はあるのかナオ!
大丈夫、次もお題からなんか考えて書こうと考えている(かもしれない)。
てなわけで今回は悩ましい男子二人組のお話でした!
最終更新:2015年12月19日 00:52