マナシャード
コモン素材のひとつで、クリスタルの端材。屑結晶や晶片、単にシャードとも呼ばれる。
アルフヘイムで一般流通している
魔法資源でもある。
地脈を巡る魔力が析出した結晶体は「クリスタル」と呼ばれ、高品質な魔力源として産業に軍事に広く活用されている。
ガンダラ鉱山をはじめとするクリスタル鉱床から掘り出されたクリスタルは、
扱いやすいよう国際的な統一規格に沿って加工され、純度やサイズごとに等級分けを経て出荷される。
劇中でいわゆる「クリスタル」として取り扱われるのは、この加工済みの「
成形クリスタル」のこと。
同様にゲーム内で
ガチャを回すために消費されるトークン(通称:石)も成形クリスタルを指す。
アルフヘイムにおいて最も重要な資源であり、
アルメリア王国の軍事力の礎を成すものである。
クリスタルの成形加工は基本的に、採掘した結晶塊からの削り出しで行われる。
原石をカットして宝石とするように、規格に合わせた形状になるよう切削研磨していくわけだが、
削る以上どうしても削り屑や切り落とした端材が発生する。
結晶自体が小さすぎる場合も切削加工に耐えない為、成形クリスタルの材料にはならない。
鉱床の埋蔵量が少なく、不純物が混じりすぎて、重量当たりの含有魔力量が著しく低いものもまた然り。
細かい結晶片を圧縮や溶解などで成形加工する技術もあるにはあるが、
これは削り出しよりも遥かに高度な技術と設備が必要な為、原価が高くなり採算が取れなくなってしまう。
これら、サイズやコストの都合で商業ルートに乗らなかった屑結晶であるが、
結晶化した魔力であることには変わりないため、魔力源として利用することはできる。
そこで、大きさが均一になるよう粉砕することで扱いやすいようにしたのが、
本項で述べる「マナシャード」である。
クリスタル鉱業の副産物であり、本来廃棄されるもののため、とにかく安価に入手できることが特徴。
規格から外れたサイズで品質も安定していないので動力機関の魔力源には適さないが、
小規模かつ単純な魔法を発動する分には問題なくパワーソースとして使用できる。
イメージとしては、丸太から材木を切り出した後に残る端材や木屑は材木としては使えないが、
割り箸のような粗製品や燃料として使う分には申し分ないようなものである。
鉱床の掘削が必要なクリスタルと違い、その辺の地面を掘ってもそこそこ出てくる入手の容易さも大きい。
安価な低級品という特徴から、マナシャードは主に庶民の生活用途で魔法に利用される。
例えば光魔法の魔力源とすれば、雨天でも使えて引火の危険もない便利な「魔法の灯り」となる。
ほかにも飲み水や空気の浄化、食べ物の加熱調理、空調、火起こし、軽い怪我や病気の治癒など、
マナシャードで賄える魔法は実に幅広い。
『シャードランプ』や『シャードヒーター』といったシャード用の魔法器具も存在し、
クリスタル動力のものとは産業用・民生用の住み分けがなされている。
これらは魔法を使える者であればシャードを介さずとも自前の魔力で容易く行使できるものだが、
アルフヘイムにおいて
魔法は知識と修練を要する専門技能の一種であり、
識字率もまばらな市井の民で扱える者はそう多くはない。
『魔法=魔力に属性や指向性を付与し任意の現象を発生させる高度技術』を持たない者であっても、
単語程度の簡単な術式さえ知っていれば魔法の恩恵を受けられるというのがシャードの大きな利点と言えよう。
個人での使途に限るならば、多少不安定な出力にも目をつぶって活用の幅を広げられる。
戦闘用としても、シャードを敵に直接投げつけて炎魔法の魔力源にでもすれば実質魔法攻撃である。
基本的に使い捨てであるため、投擲や地面に振り撒いて罠とする用途に向く。
シャードを特殊な油に溶いたものは、魔力回復のポーションの原料になる。
微粉末になるまで砕き、蝋で固めた「マナペースト」は、傷口に塗布する軟膏として用いたり、
武器に塗り付けて発火させるなど疑似的なエンチャントとしても利用できる。
フェルゼン公国の大規模兵器工場『
タウゼンプレタ魔装工廠』では、
風・火の魔法を付与した二種のシャードをぶつけ合うと爆発を起こす性質に着目し、
これを利用して導火線の要らない爆弾や銃砲火器を独自に開発している。
この『晶片式撃発機構(シャードロック)』によって小石や鋳鉄弾を発射する小型滑腔砲は、
地球で言うところのパーカッション式マスケット銃と同等の性能を持つ。
弓やクロスボウ、何より攻撃魔法に代わる新たな飛び道具として普及が期待されている。
また、国家の影響力の低い辺境の民族や亜人などは自国の通貨で商売が出来ないケースがままあるが、
こうした場合物々交換のレート計算にシャードが使われることが多い。
汎用性の高い資源であるため価値が安定しており、『シャード〇〇個分』でどの民族にも通じる。
未開の地を旅する時は、
ルピよりもシャードを持ち歩いたほうが便利であろう。
このように、シャードは魔法全盛の文明において技術水準の格差をある程度緩和するはたらきをもつ。
単に廉価版の劣化クリスタルというだけでなく、社会基盤と秩序の維持に大きく寄与しているのである。
◇ゲーム内の扱い
ゲーム上では、初期から入手できるありふれたコモン素材として実装されている。
その辺の雑魚を倒せばドロップするし、その辺の地面を掘れば普通に出てくる。
クエストの報酬で渡されるとガッカリするアイテムナンバーワンと言えよう。
街のショップに売却すれば二束三文のルピになる換金アイテムであり、
パートナーの成長素材としても要求されるが供給に需要が追い付いていない。
適当にレベリングをしていると気づいたときには5ケタの数が
インベントリに入っている。
基本的に生活用途の粗品なので、食事や洗濯など雑務もろもろを省略できるゲーム内においては、
本当にただのフレーバーアイテムでしかないのである。
説明文も『クリスタルの加工段階で出た端材。単純な魔法の源になる』となんともそっけない。
プレイヤーにとって最も価値があるのはガチャを引くのに使う成形クリスタルであり、
その用を為さないシャードはインベントリの肥やしに過ぎないのである。
一応、アップデートに従って用途は増えつつある。
魔剣をはじめとする
付与武装の製造や強化に必要になるし、
『黎明の』ゴットリープに業魔錬成を依頼すればそこそこの数を要求される。
また
霊銀結社には前述のシャードの圧縮成形を研究している魔術師NPCが居て、
彼女にシャードを渡すと成形クリスタルに加工し直してもらえる。
つまりプレイヤーにとっての価値が爆増…と思いきや、やはり前述の通り凄まじいコストがかかり、
5桁近い数のシャードを全部吐き出してようやくクリスタル1個になる。
ログインボーナスでもらえるクリスタルが10個前後であることを考えるとあまりにもあんまりな低レートであり、
さっさと寝て明日のログボを貰った方が心身ともに健全であろう。
とはいえ、デイリークエストやログボは仕様上一日に入手できるクリスタルが有限であるのに対し、
シャード自体は様々な手段でいくらでも入手できる。
クエスト報酬をしゃぶり切った廃人が、どうにかしてクリスタルを捻出するために、
ひたすら不毛なシャード堀りに従事し続ける賽の河原じみた光景が各所で生まれた。
最終更新:2022年06月08日 17:47