付与武装

付与武装(エンチャンテッド)

魔法によって強化を施された武器や防具のこと。
火を噴く魔剣や呪いを弾く盾、標的を追尾する弓矢など特殊効果を有する武具が該当する。
派手な効果だけでなく、魔法で切断力を高めた剣、硬度を高めた盾などもある。
武装の名の通り、基本的には戦闘用の物品を指す。

アルフヘイムには神代遺物古代遺物をはじめ魔法アイテムが数多に存在するが、
付与武装は中でも量産可能かつ安定した性能を持つれっきとした「工業生産品」である。
専門技術を持った魔術師が厳密に仕様を取り決めて設計図を書き、コストや素材の供給性も考慮して製造される。
価格も安定しており、量産品であれば街の武具屋などでも取り扱いがある。

本来エンチャント…例えば剣に炎や稲妻を纏わせて威力を高める強化魔法は、
アルフヘイムにおいて普遍的に存在する中級程度の技術である。
一方、アルフヘイムの魔法は専門的に修める必要のある学問としての側面があり、
学ぶ機会はあれども万人に門戸が開かれているわけではない。
基礎教養や素質の関係で、まったく魔法を使えない者も珍しくない。

そうしたいわゆる脳筋もとい純粋な戦士や剣士と呼ばれる者たちにとっても、
付与武装を用いれば簡便にエンチャントの恩恵を受けられる。
古代遺物よりも基本的に安価で入手性の良い魔法武器、というのが付与武装の位置付けである。

付与武装に施されているのは「魔法そのもの」ではなく「魔法の術式」であり、
魔法効果を得るには魔力を供給して術式を発動させる必要がある。
ある程度戦いについて修練を積んだ者であれば、体内を巡る魔力(≒氣など)をコントロールして、
身体能力を高めたり傷の治りを早めたりする技術は半ば無意識的に誰でもやっていることなので、
その延長線として付与武装にも魔力を込めることは容易である。

魔力の制御=魔法ではなく、魔力を炎や雷に変換する高度な技術を魔法と呼ぶ。
魔力の制御自体は、戦う者であればスキルという形で素養を選ばず行うことができる。
そして、スキルでカバーできない炎熱や稲妻といった魔法的な攻撃手段を補完するのが、付与武装なのである。

こうした背景から魔術師は付与武装を用いる必要がないと思われがちだが、
エンチャントと異なり付与武装は魔力供給がある限り恒常的に威力を底上げできる。
このため、魔法を使用する隙のない接近戦等に備えて護身用に付与武装を持つ魔術師は多い。
都度エンチャントをかけ直すよりも概ね魔力消費のコスパも良い。

ちなみに魔術師の定番武器と言えば「杖」であるが、火杖と呼ばれる杖タイプの付与武装も存在する。
魔力供給に応じて付与された攻撃魔法を発射する銃砲火器のような立ち位置のアイテムで、
詠唱不用の簡易的な遠距離攻撃手段として用いられることが多い。
魔法の行使を補助する(威力・精度や射程の向上)魔術師の杖とは運用方法から異なる武器である。

付与武装は基本的に安価と述べたが、これはあくまで量産品に限った話である。
地球の工業製品と同様にワンオフカスタムや特注品も存在し、当然それらは高価になる。
素材の価格に加えそれを加工する魔術師の人件費・技術料・特許料など諸々が上乗せされ、
下手な古代遺物よりもよほど高値で売買される。

高位の魔物や魔族の中には爪・牙・角・尻尾・翼・あるいは臓器などに特殊な性質を持ち、
体内の魔力や空気・水分などと反応させて魔法を発動させる者も居る。
(飛竜の造炎腑、グランドバイパーの毒牙、魔神の魔法器官など)
こうした素材を使い、術式の代わりに魔法発動機構として搭載した付与武装もある。

これらは概ね通常の付与武装よりも高出力かつ魔力供給が不要な場合が多く、
強力な武装として戦士たちの垂涎の的となっている。
ただし、素材の希少性も相まって一般労働者100人が10回人生をやり直せる額の値段がつく。

魔術師の総本山である霊銀結社は、付与武装メーカーの最大手。
歴史に裏付けられた豊富なノウハウと所属する人材の優秀さは言うまでもなく、
新規開発製品のテスト環境も充実している。

先行開発技術試験部隊『星々の到達点(デスティネイトスターズ)』は結社お抱えのテスター集団であり、
新たに生み出された付与武装は彼女たちの手によって実戦を通じて性能保証(コンバットプルーフ)がなされる。
メインユーザーと開発者両方の目線で改良案を見出せるのは、結社独自の利点であると言えよう。
(多くの工房では専門のテスターは雇っておらず、ギルド等を通じて戦士系の冒険者にテストを外注している)
またスターズ専用の付与武装についても、最終的には開発部にフィードバックして量産化を見込んでいる。

このほか、アルフヘイム在野のメーカーとしては、
『工房野菊の里』、『フラジャイル』、『"楡の杖"亭』などが有名。

ゲーム上では、序盤から終盤まで様々な場面でお値段高めながらも一般的な武器防具として登場する。
入手経路も多岐にわたり、普通に店売りされているものもあれば、ドロップ品やダンジョンのお宝だったりする。
属性ゲーである本作において、非魔術師キャラの属性攻撃手段はとても重要なので、
よほど特異な縛りプレイでもしない限りは必ずお世話になることであろう。

また、ゲーム内では付与武装を製造・改造することができる。
魔物のドロップやフィールドで採掘した素材を工房に持ち込んで新規に製造したり、
既存の武器の性能向上、属性変更、新しい効果の付与、要求能力値の配分変更などが可能。
自分好みに武器をカスタマイズできるのは、付与武装ならではの利点と言える。

特にエンドコンテンツではパーティに要求される能力値や必須スキルがシビアな為、
武器によって得られる能力ボーナスを要求値ギリギリ満たす程度に調整したり、
持っていないスキルを武器の特殊効果で補ったりと活躍の機会が多い。

大抵の場合、高レアな武器というのは色んなクエストに持っていけるよう効果がゴテゴテ付いており
自分のプレイスタイルに適さない効果を外して空いた枠に必要な効果を付けなおすといった形で、
エンドコンテンツに特化した構成の武器を自分で用意することが出来るのである。
(魔法でしか戦わないから物理攻撃力を極限にまで下げて魔法ボーナスを詰め込むなど)

改造の自由度はかなり高く、故にプレイヤーの数だけ正解がある。
新規レイドの実装直後などは、攻略用に調整済みの付与武装が高値で取引されていたりする。
廃人が調整に調整を重ねた武器は、時に神代遺物に迫る火力を発揮してくれる。
このあたりの能力調整のセンスも、ある意味プレイヤーとしての腕前と言えるのかもしれない。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2022年02月17日 20:37