贋作師へ―メル

がんさくしへ―メル


目の前に広がる風光明媚な景色と、それをカンバスに切り取った風景画。
どちらにより価値があるか?これほど不毛な議論もあるまい。

――贋作師へ―メルについて:売国卿エスピオン

アルメリア王国の中核商業都市リバティウムで古美術商を営む女性。
栗色の長髪に明るい緑のワンピースがトレードマーク。
その正体は、美術品や古代遺物の精巧な偽物を作って売り払う贋作師である。

性格は朗らかで快活な新進気鋭の商人といった気風で、裏の顔においてもそれは変わらない。
明るく元気に偽物を作り、偽りの価値を溌剌と解説し、晴れ晴れとした表情で「大切にして下さいね」とのたまう人格破綻者。
贋作を押し付けておきながら、買い手に幸福が訪れることを心から願っている。

「真に良きものであれば、その価値は複製であっても変わらない」という独自の価値観のもと、
顧客の満足や幸福は、複製と普及が可能なものと考えている。
事実、彼女の製作した偽物がそれと露呈することは極めて少なく、買い手の満足は真品を購入した場合と変わりはない。
もっとも、希少であることが価値の担保となる製作者側や商人にとってはたまったものではないのだが。

そんな振る舞いが災いし、裏社会の商いを取り仕切るマフィアに目をつけられてしまったところから彼女の物語が始まる。
リバティウムの裏社会を牛耳るマフィアからの評判値が一定を超えると受注可能なクエストで、
マフィアから「シマを荒らす贋作師を始末して来い」と命令され、贋作師へ―メルを追い詰めることとなる。
プレイヤーは彼女を文字通りに始末することも、匿うことも出来る。

始末した場合は巨額のルピとレアアイテムのほか、マフィアからの評判向上に伴う当地での様々な便宜が得られる。
匿った場合、アルメリアはおろかアルフヘイムにすら居られなくなった彼女を助けるために、
ニヴルヘイムまで渡って開拓拠点フリークリートへ亡命させる派生クエストが発生する。
無事に亡命が成功し、へ―メルの命が保証されると、彼女の贋作作りの技術を借りられるようになる。

話は変わるが、RPGにおいて切っても離せない「おつかいクエスト」。
やれ近くの森で魔物を何匹倒して証拠を持ってこいだの、山頂にしか生えない花を取ってこいだの、
人助けと言えば聞こえは良いが、村人から依頼されるクエストの多くは愚にもつかない単純作業であり、
二束三文のルピと雀の涙のようなのために各地を駆けずり回らされる虚無の時間である。

こうしたおつかいクエストで求められるアイテムは、当然システム上は指定された場所で取ってきたものしか受け付けられないが、
実際のところただの村人に品の良し悪しや産地まで判別できるはずもない。
へ―メルの技術を借りれば、クエストの対象アイテムとして偽物を納品することができる。

納品系クエストを受注した状態でへ―メルに話しかけると、「贋作製作」のコマンドが出現。
納品物の「外形」、「材質」、「機能」といった項目を分析し、依頼主が求める性質を別の材料で補完することで、
「満足度」を一定値まで高めた納品アイテムを製作できる。

なるべくレア度の高いアイテムを素材にしたほうが贋作の「満足度」は向上するが、
そのために時間やアイテムを浪費したのでは贋作を作る意味がない。
コストを抑えつつ、贋作を納品物の性能に近づけていく見極めが必要になる。

また納品クエストでは美術品を求められることが多く、正規の進め方ではサルベージや遺跡発掘を行って対象物を入手するが、
これもへ―メルの技術で偽物を掴ませることが可能。
美術品関係は通常のおつかいクエストよりも時間やコストがかかるため、むしろこちらの方が彼女の真骨頂であろう。

美術品の贋作づくりは、相応の目利きを備えた商人を騙すために工夫すべきポイントがある。
贋作判定はざっくりと、
▽作者鑑定(同じ作者の作品との比較で共通点を確認)
▽様式鑑定(美術品が作られた時代の流行などと矛盾がないか確認)
▽技術鑑定(製作当時の技術水準で実現可能な手法かどうかを確認)
▽状態鑑定(古書であれば手垢のシミやページの折れ・皺、壺であれば日焼けや接地面の汚れなど、
      本物であれば当然ついているべき状態変化を確認)

といった複数の判断基準があり、これらを満たすことで偽物の「満足度」が向上する。

攻略wikiの情報を頼らない場合、ゲーム内で確認できる書籍から美術品に関する知識を得ることになるため、
下手に贋作を作るよりも普通に正規品を探しに行ったほうが楽なケースもままある。

それでも彼女を頼るプレイヤーが多いのは、古今東西あらゆるゲームでプレイヤーに煮え湯を飲ませ続けた、
おつかいクエストに対する反骨精神のあらわれなのかもしれない。

へ―メルはガチャにも実装されており、戦闘能力はDEX以外に見るべきところのない微妙な性能であるが、
贋作作りの際に満足度ボーナスが得られることから入手を狙うユーザーは多い。

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最終更新:2022年11月13日 17:27