小鳥の鳴き声がして、幸村は眼を覚ました。
ぼんやりする頭で、ここは一体どこだったかと部屋を見渡す。
自室ではない。
ぼんやりとしたまま襖に手をかけて、幸村は硬直した。
窓べりに腰掛け、ぼんやりと外を眺めている佳人があまりにも美しかったからではない。
幸村は可能な限り迅速なスピードで己の着物を見やり、背後の蒲団を振り返り、目の前の濃姫を確認した。
寝ていたせいで着崩れたのだろう、しかしそれ以上の何か…具体的には先走りの染み等…は褌にさえ見当たらない。
布団はいつもの通り蹴飛ばされたらしく無言で床の上に横たわっているし、それ以上の(以下略)は見当たらない。
(あぁ、そうだ、夢だ…夢以外の何がある)
目が覚めて、隣に彼女が寝ていたら、それはどんなにか幸福な朝だろうかと幸村はうなだれた。
ぼんやりする頭で、ここは一体どこだったかと部屋を見渡す。
自室ではない。
ぼんやりとしたまま襖に手をかけて、幸村は硬直した。
窓べりに腰掛け、ぼんやりと外を眺めている佳人があまりにも美しかったからではない。
幸村は可能な限り迅速なスピードで己の着物を見やり、背後の蒲団を振り返り、目の前の濃姫を確認した。
寝ていたせいで着崩れたのだろう、しかしそれ以上の何か…具体的には先走りの染み等…は褌にさえ見当たらない。
布団はいつもの通り蹴飛ばされたらしく無言で床の上に横たわっているし、それ以上の(以下略)は見当たらない。
(あぁ、そうだ、夢だ…夢以外の何がある)
目が覚めて、隣に彼女が寝ていたら、それはどんなにか幸福な朝だろうかと幸村はうなだれた。
「あら、目が覚めました?幸村殿」
幸村殿
遠い呼び名が、幸村の胸に小さくずきりと突き刺さる。
遠い呼び名が、幸村の胸に小さくずきりと突き刺さる。
「昨日は急に倒れてしまわれるので、心配しました」
「そ、それは・・・申し訳ござらぬ…」
「そ、それは・・・申し訳ござらぬ…」
くすくすと笑う濃姫に、幸村は赤面して頭を下げる。
本当は土下座して詫びたい気持ちでいっぱいだった。
何度も何度も、濃姫の声が枯れても、きゃしゃな体を犯し続ける夢を見た。
それも、強姦ではなく和姦で…願望にも程がある。
濃姫はただ桜を眺めている。
その横顔は、やはりいつもと同じようにさびしいのだ。
本当は土下座して詫びたい気持ちでいっぱいだった。
何度も何度も、濃姫の声が枯れても、きゃしゃな体を犯し続ける夢を見た。
それも、強姦ではなく和姦で…願望にも程がある。
濃姫はただ桜を眺めている。
その横顔は、やはりいつもと同じようにさびしいのだ。
「そなたは・・・桜が、好きか?」
「・・・桜は、おみなのようですもの。一春のためだけに咲くのを、いじらしいとは思わないかしら」
「・・・桜は、おみなのようですもの。一春のためだけに咲くのを、いじらしいとは思わないかしら」
力なくほほ笑む濃姫に、幸村はただ「そうか」と言葉にもならない返答をした。
佐助が迎えにきて、慶次が濃姫を連れて帰っても、幸村はぼんやりと通りの桜を見上げながら歩いた。
佐助が迎えにきて、慶次が濃姫を連れて帰っても、幸村はぼんやりと通りの桜を見上げながら歩いた。
「…旦那」
「ん」
「泣きながら歩かないでよ恥ずかしい」
「すまぬ」
「一応人目もあるし、旦那有名人なんだからさ」
「ああ、すまぬ…だが」
「…はぁ…逆効果か」
「?」
「なんでもない」
「ん」
「泣きながら歩かないでよ恥ずかしい」
「すまぬ」
「一応人目もあるし、旦那有名人なんだからさ」
「ああ、すまぬ…だが」
「…はぁ…逆効果か」
「?」
「なんでもない」
桜は二度咲かない。
遅れてきた春に、散った桜は戻らない。
仄かな香りの、夢を見せるだけ。
遅れてきた春に、散った桜は戻らない。
仄かな香りの、夢を見せるだけ。




