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小十郎×まつ 4

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nozomi

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この男以上に許せないのは自分自身だ。心から想っている夫がいるのに、それなのに。
下唇を噛み、溢れそうな涙を堪える。
「まつ…」
不意に名前を呼ばれ顔を上げると、目の前に自分を抱いた男がいた。その男は凛々しく優しい目でこちらを見ていた。
その瞬間、まつは自分の頬に涙が伝うのがわかった。
「忘れて…」
「……………」
「お願いです…どうか、全部…全部忘れて…」
「あんたは何も悪くねぇよ。…悪いのは全部俺だ。気にするな…」
そう言い、小十郎は泣きじゃくるまつに優しく言葉をかけた。
本当はあやすように抱き締めてやりたかったが、そんな事をしても思いを寄せている女を余計苦しめるだけだ。
その後、小十郎はまつをなだめまつの心が落ち着くまでずっと不馴れな優しい言葉をかけた。
なんとかまつが泣きやむと、小十郎はそこでまつに別れを告げた。
あまり遅くまでいては、まつによからぬ噂がたつかもしれない。
―これ以上この女を傷つけたくない。そう思ったからだ。

奥州への帰路を急ぎながら、小十郎はまつを想った。
女でありながら武士として戦場に立ち、いつも美しく真直ぐな女―。
いつからか、その女の存在は小十郎の中で特別なものになっていった。
けれど今日、小十郎はその想いを身勝手な欲望で露にし、本当の想いを何も伝えられぬまま愛しい女を傷つけたのだ。
「…最低だな」
一人呟き、小十郎は夕陽を見た。
美しい夕陽だが、小十郎の胸には深い悲しみが影を落とした。
夕陽から目を逸し、小十郎は再び馬を走らせた。

まつへの想いを忘れるように、ただひたすら道を駈けていった。



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