戦国BASARA/エロパロ保管庫

虎の若子と竜の姫 おまけ

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momo

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屋敷に戻ると案の定片倉殿が待ち構えていて、俺と姫君は膝を並べてお説教を
頂戴することとなった。適当なところで佐助が取り成してくれなかったら、
その時間は倍ほどの長さになっていたに違いない。
「あれは『取り成す』って言っていいのか?」
姫君の呟きもまあ御尤もで、どちらかといえば『矛先を自分のほうに向けさせた』と
いうのが正しい表現だろう。
どうも俺の部下は、気に入った相手ほど怒らせたがる性癖があるようだ。同じような
対応を、越後の国に属している同業者に対し取っていたことから見ても明らかである。
一方姫君の副官は、そういった態度を取られることにあまり慣れていないらしく、
矛先が逸れたのはありがたいとはいえ明らかに倍増している片倉殿の怒りに、
うちの部下はいろいろな意味で大丈夫なのだろうかと少々心配になった。
「毎度のことだがいい度胸だな、あの忍。小十郎を揶揄うような命知らずは、
奥州のどこ探したっていねえぜ?」
「……竜の姫君以外は、でござろう」
他人事のように仰られた姫君より、俺の言葉のほうがこの件に関しては正しい。
露見すればお小言を食らうのはわかりきっているのに、いつもいつもこの姫君は
副官殿に黙って屋敷を抜け出そうとされる。
普通に申し出て許可など降りるはずがないし、仮に降りたとしても単独行動など
認められないに決まっている、お目付け役が一緒では折角外に出る意味がない、
というのが姫君の理屈なのだが、毎回付き合わされては結局並んで叱られている
こちらの身にも少しはなっていただきたい。
「文句があるならついてこなくたっていいんだぜ」
「そういうわけには行き申さぬ!某は姫の護衛をお館様より仰せつかっております故!」
これもまた間違ったことを言っているわけではないはずなのだが、姫君は明らかに
気分を害した様子で声を張り上げた。
「命令でついてきてるだけなら願い下げなんだよ!自分の意志でなきゃ意味が……!」
…………どこかで、というかほんの少し前に聞いた覚えのある言葉は、どうやら
姫君にとっては失言に属する部類だったようだ。
踵を返して足音高く歩き去る後ろ姿は、呼びかけても止まっては下さらなかった。
一瞬目にした白磁の頬の赤みがその最大の理由かもしれない。


気まぐれな姫君は、明日までに御機嫌を直してくださるだろうか。
それとも一途な気性故、俺の謝罪が受け入れられるまでは不機嫌なままだろうか。
どちらにしても俺は、あのかたにきちんと伝えなくてはならない。
たとえきっかけは命令であったとしても、俺は俺の意志で姫君と行動を共にしたいと
思っているのだと。
願わくば釈明の機会を得るより前に、行動的な姫君が館を抜け出したりしないよう、
何にともなく祈らずにはいられない俺なのだった。


―――――お館様。
―――――ここはいくさ場ではなく、互いの手には武器もないというのに。
―――――なのに何故、あの姫君のことを想うだけで、この胸は滾るのでしょうか。



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