戦国BASARA/エロパロ保管庫

上田城の虜5

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そこは夏草の匂いが濃い草原だった。
青々とした中に小川が流れ、そこここに動物の気配が満ちる。
吹きすぎる風がざわざわと草葉を揺らし、汗ばんだ肌に心地よかった。
「いいとこだな、ここは」
「そうだろう!儂はここを拠点にのし上がってみせる!」
 夏草の中、彼は金色の果実のように見えた。同い年の癖に政宗より小柄で、まだ幼さの漂う頬いっぱいに笑った。
「オレの前で言うたぁCoolじゃねえか、家康」
 握り拳を差し出すと、家康の拳もまた伸ばされる。
こつん、と当たった感触。同盟の調印は済んだ。もう奥州に戻るべきだというのに、家康と遠駆けなんかに出ている。
「儂が天下を取ったら、政宗はうちに来い」
 くりくりした目が覗き込んでくる。
「ok,うちが天下を取っても、オレについて来いよ」
「ははは!儂は我慢強いのが取り柄だ、そうなっても時を待つ!」
 このやろ、と笑いながら肩を抱いて揺さぶる。家康も笑って、もがくように腕を伸ばす。
首筋に絡んで、取っ組み合うように草原を転げて、そして戯れのように唇が落とされた。
反射的に突き飛ばすと、手の甲で唇を押さえた。
家康がころんと転げ、そのまま草原にあぐらをかく。
「鈍い、鈍いぞ政宗ぇ!うちに来いと言ったらこういう事に決まっているだろう!」
 悪びれない笑顔。
「あーのなぁ……武将にうちに来いッつったら、配下に下れッて事だろうが!
どさくさに紛れて人のFirst kissとるんじゃねえっ」
 ぼやくとぴかぴかした笑顔が消えた。
「ふぁ、ふぁー、き?」
「ばぁかkissってのは……」
 やり返そうとして止めた。近づいたままの顔、草原の風、つなぎ止めた馬のいななき。
「……なんだ、せんのか」
 あからさまにがっかりした顔に額をぶつける。
「したことねぇんだよ、つったんだ。出来るか!」
 がっかりした顔が輝いて、もう一度顔が寄る。
「甘いぜ!」
 横に転がるように避けて立ち上がって、後ろ手に手を振った。
「家康、今日の景色は忘れないぜ」
「儂もだ」
 とことこと言う擬音が似合いそうな風に歩き、家康が政宗の傍らを通り過ぎる。
真夏の太陽の強い光、濃い影、逆光の中の小さい背中。
「天下を、狙おうな」
「おうよ!」

別に恋ではなかった。子犬のじゃれあいのような、掠めただけの口づけだった。
政宗も家康も十六の子供だった。
西海の海賊に、海に出ようと誘われたことがある。
あの威勢の良さは気に入っていた。気が合う友人だった。だが奥州を離れる気はなく、
代わりに伊達の者を外国に派遣しようかと言ったら、そう言う意味じゃねぇって、とぼやかれた。
いい恋をしよう、と嘯く風来坊が訪れて、一緒に城下をぶらついたことがある。
恋のことばかり口にするのに辟易すると、せっかく美人なのにそれじゃ駄目駄目と笑われた。
なんなら俺とどう、と誘われて、遠慮しとくぜとあっさり断った。
気が向いたら連絡くれよ、とまたどこかへ旅だった、あの気負いのない背中。


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