第25話
『まんじゅう見てるか?今の状況を教えてくれ』
耐えかねて5chに投稿する坂本ジュリエッタ。
耐えかねて5chに投稿する坂本ジュリエッタ。
『ん?どうした?何か起きてるのか?』
しかし反応したのはfcポパイだった。
しかし反応したのはfcポパイだった。
「クソッ!ポパイしか見てねえのか!」
臭い奴からの応答に冷や汗が出る坂本。
運が悪いことにまんじゅうはネットサーフィンをしている最中だった。
臭い奴からの応答に冷や汗が出る坂本。
運が悪いことにまんじゅうはネットサーフィンをしている最中だった。
『5chを牽引してきた俺をハブるのか?どうせサイトメンバーがやらかしたんだろ?』
普段から人と会話することがないfcポパイは前頭葉が萎縮してキレやすくなっていた。また自分が5chの代表であるという妄想に耽っていた。
普段から人と会話することがないfcポパイは前頭葉が萎縮してキレやすくなっていた。また自分が5chの代表であるという妄想に耽っていた。
「こいつ話にならねーよ」
対話を諦める坂本。スマホをポケットにしまう。足音を消して土筆とキャラバンの後を追い10階に向かった。
対話を諦める坂本。スマホをポケットにしまう。足音を消して土筆とキャラバンの後を追い10階に向かった。
ネットライマーたちの様々な思惑。どうやら命のやり取りは避けられそうになかった。Chicag023を救出するためもぺ天アジトに潜り込むラフィン・黒死Q。2人に同行する怪しげな中国人占星術師のまんじゅう。侵入者を処理するべく今まさに派遣されたもぺ天中位メンバーのパック・土筆。モニターから指示を出す越境。そして青い部屋の秘密を暴くため単独行動する5ch出身の坂本ジュリエッタ。PATMのfcポパイ。
群像劇を愉快そうな表情で眺めている一匹のカスがいた。
「歌舞伎が騒がしいね( ^ω^ )」
「歌舞伎が騒がしいね( ^ω^ )」
第26話
10階のエレベーターの扉が開く。
土筆とキャラバンが現れた。
土筆とキャラバンが現れた。
「もぺ天の中位メンバーのお目見えか……」
呟く黒死Q。仲間の様子を確認しようと後ろを振り向く。しかし世にも奇妙なことにまんじゅうは突然姿を消していた。
「まんじゅうどこ行きやがった?さっきまでいたよな?けでくん」
「あいつ消えやがった…」
戸惑う黒死Qとラフィン。
呟く黒死Q。仲間の様子を確認しようと後ろを振り向く。しかし世にも奇妙なことにまんじゅうは突然姿を消していた。
「まんじゅうどこ行きやがった?さっきまでいたよな?けでくん」
「あいつ消えやがった…」
戸惑う黒死Qとラフィン。
「取り引きをしたいな?」
土筆は敵が減ったチャンスをものにしようと賭けに出た。
土筆は敵が減ったチャンスをものにしようと賭けに出た。
「どういうことだよ?」
毅然とした態度で答えるラフィン。
毅然とした態度で答えるラフィン。
「ラフィンさんと黒死Qさんにももぺ天に入ってほしいな?」
「な、なんだって!?!?」
唐突なオファーに驚くラフィンと黒死Q。
唐突なオファーに驚くラフィンと黒死Q。
実はパックも横にいる相棒の言葉に面食らっていた。しかし一旦は成り行きに任せることにした。
「おヴォヴォ?」
土筆が指示にないことを口走ったため不審に思う越境。入れ歯がポロリと溢れた。
土筆が指示にないことを口走ったため不審に思う越境。入れ歯がポロリと溢れた。
第27話
「俺たちはシカゴくんを救出するためにここに来たんだぜ?もぺ天に入れだと?何を言いやがる」
黒死Qが怒りを込めて言った。
黒死Qが怒りを込めて言った。
「たしかにそうやな?」
「でもラフィンは既にもぺ天に加入してるな?」
重大な事実を口にする土筆。パックもそうだそうだと言わんばかりに頷いた。
「でもラフィンは既にもぺ天に加入してるな?」
重大な事実を口にする土筆。パックもそうだそうだと言わんばかりに頷いた。
「!!!???」
余りの衝撃に固まる黒死Q。すぐ我に帰ってラフィンに問いかける。
余りの衝撃に固まる黒死Q。すぐ我に帰ってラフィンに問いかける。
「けでくん嘘だよな?」
しかしラフィンは黙って後ろめたそうに下を向くだけだった。黒死Qは全てを悟った。
「俺がもぺ天に加入したことは認める。だけど、もぺ天の全ての行動に賛成してるわけじゃないよ」
必死に自己弁護するラフィン。
必死に自己弁護するラフィン。
「いじめの傍観者は加害者と同じやな?それと同じでもぺ天に入っておきながら責任を逃れることは許されへんな?」
パックがラフィンを責める。
パックがラフィンを責める。
「なんでもいいからシカゴくんを返してくれ」
黒死Qは冷静だった。あくまでシカゴ救出が目的である。ここで仲間割れしてしまうと敵の思う壺なのだ。ここまで来たら韻勝負しかない。覚悟を決めた黒死Qは頭頂部に書き溜めたリリックを撫でた。
黒死Qは冷静だった。あくまでシカゴ救出が目的である。ここで仲間割れしてしまうと敵の思う壺なのだ。ここまで来たら韻勝負しかない。覚悟を決めた黒死Qは頭頂部に書き溜めたリリックを撫でた。
第28話
「ネットライムで勝負しよう」
真っ直ぐと敵を見据える黒死Q。レジェンドライマーの風格に土筆とパックは思わず目を逸らした。
真っ直ぐと敵を見据える黒死Q。レジェンドライマーの風格に土筆とパックは思わず目を逸らした。
「SNS?知らねぇ、音源?知らねぇ、オフ会?知らねぇ、もぺ天?知らねぇ、俺たちはネットライマーだ」
FORKのような口調で核心を突くラフィン。
FORKのような口調で核心を突くラフィン。
「あぁぁあぁあぁぁあぁああーーーん!!!!」
返す言葉がない土筆とパックは叫んだ。そして黒死Qとラフィンの方を目掛けて走り寄る。
返す言葉がない土筆とパックは叫んだ。そして黒死Qとラフィンの方を目掛けて走り寄る。
「!!!!!」
どうにか避ける黒死Qとラフィン。
どうにか避ける黒死Qとラフィン。
「もうネットライマーがネトラで戦う時代は終わったんだよ」
土筆は走ってきた勢いそのままに壁を蹴ってバク宙した。加速しながらラフィンにパンチを繰り出す。
土筆は走ってきた勢いそのままに壁を蹴ってバク宙した。加速しながらラフィンにパンチを繰り出す。
「どういうことだよ!」
なんとかガードするラフィン。
なんとかガードするラフィン。
「ポータルも過疎って廃墟同然だ。俺たちもぺ天はネトラをやめて音源とライブで次のステージに向かってる、お前だってそうだろ?」
ラフィンを殴りながら熱く語る土筆。しかし興奮するあまりパンチは大振りになり的を外して前方に倒れ込んでしまった。ラフィンはその隙を見逃さず馬乗りになり得意の連続ビンタで土筆の命を奪った。
ラフィンを殴りながら熱く語る土筆。しかし興奮するあまりパンチは大振りになり的を外して前方に倒れ込んでしまった。ラフィンはその隙を見逃さず馬乗りになり得意の連続ビンタで土筆の命を奪った。
第29話
その頃、黒死Qはパックと掴み合いになっていた。足技で優位な体勢を取る黒死Q。
「もう諦めろ!こんな戦いに何の意味がある?」
黒死Qがパックを詰問する。
黒死Qがパックを詰問する。
「じゃあネトラに意味はあるのか?」
質問に質問で返すパック。皮肉にもネットライム特有の不毛な議論が始まっていた。
質問に質問で返すパック。皮肉にもネットライム特有の不毛な議論が始まっていた。
「うるせぇ!!俺に一度でも勝ってから言いやがれ!!」
寝技をかけパックの首を絞める黒死Q。パックは死んだ。
寝技をかけパックの首を絞める黒死Q。パックは死んだ。
「さすが中位メンバー、しぶとかったな」
激闘を終えて息を切らすラフィンと黒死Q。二人の感情は勝利の達成感ではなかった。なんとも言えない虚無感。だが彼ら中年は自分たちが進んできた道を引き返すことはできなかった。
激闘を終えて息を切らすラフィンと黒死Q。二人の感情は勝利の達成感ではなかった。なんとも言えない虚無感。だが彼ら中年は自分たちが進んできた道を引き返すことはできなかった。