電磁気


電流

電子の流れる断面積をSとしたとき、
単位時間当たりに断面積を通過する電子の持つ電荷の総和が電流である。

単位時間当たりに断面積Sを通過する電子を含む空間の体積は、
電子の速度をvとして、
V=S\times v\cdot 1=Svであり、
電子一つ当たりの電荷はeであるから、
電子の密度をnとして、
I=e\cdot n(Sv)=enSv

箔検電器

[1]内部

(1)内部の全体電荷は保存される(電荷保存則)
(2)帯電した物質を近づけると静電分極を起こす。
(3)帯電物質が近くに存在しない状態で外部と接続すると、電荷は0になる。
(4)帯電物質が近くに存在する状態で外部と接続すると、全体として帯電物質の符号と逆の電荷を帯びる。

[2]外部

外部においては電荷量は常に変化し、
釣り合いがちょうど取れるような値に逐次変化する。

コンデンサーにおける電気量と電場

コンデンサーの電気容量を定数とするとき、
V(d)=\int_0^dE(x)dx,Q(d)=CV(d)
\iff E(d)=V'(d)+E(0),V'(d)=\fac{1}{C}Q'(d)
今、Qが一定⇔Q'(d)=0であれば、
E(d)=E(0)
すなわち、

電荷Qが一定であれば、電場の大きさEは常に一定である。

コンデンサー

コンデンサーのおける電荷保存則

初めに、極板P,Qを用意し、各々を+Q,-Qに帯電させる。
P,Qの内部に中性の極板A,Bを挿入する。
今、並べる順番は、P,A,B,R となる。

 P:+Q,A:0,B:0,R:-Q…①
    ↓
 P(L):0,P(R):+Q,A(L):-Q:A(R):+Q:B(L):-Q,B(R):+Q,R(L)-Q,R(R):0…②
(1)極板間の距離が変化しないとき
 ②の関係は常に成り立ち、
 どの極板を接地させたとしても、電気的釣り合いにより②の関係は持続するので、
 ①の関係となる。
(2)PA間を接合するとき
 Pを無視してAが接地したのと同じことであるから、電気的釣合に寄り、
 A(R):+Q,B(L):-Q,B(R):+Q,R(L):-Q,R(R):0
よって、
 A:+Q,B:0,R:-Q
(3)AB間を接合するとき
 P(R)+Q:A(L):-Q,A(R):0,B(L):0,B(R)+Q,R(L):-Q:R(R):0
よって、
 P:+Q,A:0,B:0,R:-Q
(4)BQ間を接合するとき
 P(R):+Q,A(L):-,A(R):+Q,B(L):-Q,B(R)0:R(L):0,R(R):0
よって
 P:+Q,A:0,B:-Q,P:0

直流電流と接続したときの状態

(1)スイッチを切ったとき
電気量一定なので、
U={1 \over 2}{Q^2 \over C}
(2)スイッチを入れているとき
電圧一定なので
U={1 \over 2}CV^2

抵抗の消費電力の最大値

今、電源E(E[V])、抵抗R(r[Ω])、可変抵抗X(x[Ω])を考える。
可変抵抗Xにかかる消費電力をP(x)とすると、
I=\frac{E}{x+r}
P(x)=\frac{{V_X}^2}{x+r}=\frac{{E-rI}^2}{x+r}=\frac{E-\frac{rE}{x+r}}{x+r}=\frac{\frac{x}{x+r}E}{x+r}
   =\frac{x}{(x+r)^2}E=\frac{x}{x^2+2rx+r^2}E=\frac{1}{x+\frac{r^2}{x}+2r}E\le \frac{E}{2\sqrt{\frac{r^2}{x}\cdot x}+2r} = \frac{E}{4r}
このとき、x=\frac{r^2}{x}\iff x=r[\Omega]

磁界と磁束密度


直線電流の周りにできる円形電界は右ねじ方向であり、
その大きさは、
|\overrightarrow{H}|=\frac{I}{2\pi r}[A/m]

円形電流の中心にできる直線電界は右ねじ方向であり、
その大きさは、
|\overrightarrow{H}|=\frac{I}{2r}[A/m]

N巻きのコイルの電界の大きさは
|\overrightarrow{H}|=N\frac{I}{2r}[A/m]

n[巻き/m]の密度のコイルの
内部の電界の大きさは
|\overrightarrow{H}|=nI
端の電界の大きさは
|\overrightarrow{H}|=\frac{1}{2}nI

また、磁束密度B[Wb/m^2]=[T]と磁界H[A/m]の返還は、
透磁率\mu を用いて、
B=\mu H

直線電流間に働く力


F_A=BlI_a={\mu}_o HlI_a ={\mu}_o \frac{I_b}{2\pi r}lI_a=\frac{{\mu}_oI_aI_bl}{2\pi r}

方向性

(1)xyz直交座標型(左手)
(x:y:z)=(v,B,V)(I,B,F)
(2)右ねじ型(右手)
(l:C)=(I,H)(H,I)(レンツの法則)
(C:l)=(I,H)
レンツの法則は、(l:C)=(H,I)の方向性の関係である。

ジュール熱

(1)回路に電源V,抵抗Rのみが存在する場合
Q(t)=Pt=VIt=\frac{V^2}{R}t
また、エネルギー保存則より、
電池のする仕事をW_Eとすると、
W_E=VIt
(2)回路に電源V,抵抗R,コンデンサーCのみが存在する場合
t\rightarrow \inftyにおいてはI=0より抵抗Rは無視できる。
よって、電池のする仕事をW_E,静電エネルギーをW_Cとすると、
Q=W_E-W_C=qV-\frac{1}{2}qV=CV^2-\frac{1}{2}CV^2=\frac{1}{2}CV^2

電磁誘導

[1]面積が変化する場合
V=\left|\frac{\Delta \Phi}{\Delta t}\right|=\left|\frac{B\Delta S}{\Delta t}\right|
(1)面積変化が直線の平行移動のとき
\Delta S=l\Delta x=lv\Delta tより
V=\frac{Blv\Delta t}{\Delta t}=Blv
(2)面積変化が扇形の回転移動のとき
\Delta S=\frac{1}{2}r^2\Delta \theta=\frac{1}{2}r^2\omega \Delta tより
V=\frac{Br^2\omega \Delta t}{2\Delta t}=\frac{1}{2}Br^2\omega

[2]磁束密度が変化する場合
V=\left|\frac{\Delta \Phi}{\Delta t}\right|=\left|\frac{S\Delta B}{\Delta t}\right|
今、長さl,一次コイルの巻き数N_1,二次コイルの巻き数N_2とする。
すると、今、H=nI=\frac{N_1}{l}I\iff B=\frac{\mu N_1}{l}となる。
\Delta B=\mu \Delta H=\mu \frac{N_1}{l}\Delta Iより
(1)自己誘導
V_1=N_1\frac{\Delta \Phi}{\Delta t}=N_1S\frac{\Delta B}{\Delta t}=\frac{\mu {N_1}^2S}{l}\cdot \frac{\Delta I}{\Delta t}=L\frac{\Delta I}{\Delta t}
(2)相互誘導
V_2=N_2\frac{\Delta \Phi}{\Delta t}=N_2S\frac{\Delta B}{\Delta t}=\frac{\mu N_1N_2S}{l}\cdot \frac{\Delta I}{\Delta t}=M\frac{\Delta I}{\Delta t}

よって、V_1:V_2=N_1:N_2となる。
ここで、二つのコイルによる、電力損失0%の理想的な変圧器を考えると、
P_1=P_2\iff V_1I_1=V_2I_2\iff I_1:I_2=V_2:V_1:N_2:N_1

はしご型回路

□□型の形をしているものとする。
今、抵抗は共通部分には存在しないとする。
右側部分のみが磁界に入っているとき、
全体で、vBl=Ri\iff i=\frac{vBl}{R}
左側部分まで次回に入っているとき、
全体で、vBl=Ri_1\iff i_1=\frac{vBl}{R}
左側で、vBl=Ri_2\iff i_2=\frac{vBl}{R}
よって、I=i_1+i_2=\frac{2vBl}{R}

直流回路

[1]電源E
常に一定の電圧Vを作る。

[2]抵抗R
 (1)I_R=0のとき
  電圧降下がなく、
  抵抗は導線とみなせる。
 (2)I_R>0のとき
  電流の向きにベクトルを取ると、
  V=RI
  だけ電圧降下する。

[3]コンデンサーC
<1>コンデンサーに電荷が蓄えられておらず、電源と接続されているとき
 (1)t=0 \iff V_C=0のとき
  コンデンサーは導線とみなせる。
 (2)t=\infty \iff V_C=Maxのとき
  コンデンサーは断線とみなせる。
<2>コイルに電荷が蓄えられおり、電源と切断されているとき、
 (1)t=0 \iff V_C=V_{Max}のとき
  コンデンサーが蓄える電圧をV_oとすると、
  コンデンサーは電圧$V_oの電源とみなせる。
 (2)0&lt;t&lt;T \iff V_C=Vのとき
  コンデンサーは電圧Vの電源とみなせる。
 (3)t=T \iff V_C=0のとき
  コンデンサーは導線とみなせる。

[4]コイルL
<1>コイルに電流が流れておらず、電源と接続されているとき
 (1)t=0\iff I_L=0のとき
  コイルは断線とみなせる。
 (2)\t\infty \iff I_L=I_{Max}のとき
  コイルは導線とみなせる。
<2>コイルに電流が流れており、電源と切断されているとき
 (1)t=0\iff I_L=I_{Max}のとき
  コイルが流す電流をI_oとすると、
  コイルはRI_oの電位差とみなせる。
 (2)0&lt;t&lt;T \iff I_L=Iのとき
  コイルはRIの電位差とみなせる。
 (3)t=T \iff I_L=0のとき
  コイルは断線とみなせる。

[5]LC並列回路
 電流と電圧の周期はT=2\pi \sqrt{LC}
<1>コンデンサーCが電圧Vで充電されているとき 
 電流の最大値は\frac{1}{2}L{i_{Max}}=\frac{1}{2}CV^2}\iff i_{Max}=V\sqrt{\frac{C}{L}}より
 V(t)=V\cos\omega t=V\cos 2\pi\frac{t}{T}
 I(t)=V\sqrt{\frac{C}{L}}\sin\omega t=V\sqrt{\frac{C}{L}}\sin2\pi\frac{t}{T}
<2>コイルのに電流Iが流れているとき
 電圧の最大値は\frac{1}{2}C{v_{Max}}^2=\frac{1}{2}LI^2\iff v_{Max}=I\sqrt{\frac{L}{C}}より
 V(t)=-I\sqrt{\frac{L}{C}}\sin\omega t
 I(t)=I\cos\omega t

交流回路

R C L
X R \frac{1}{\omega C} \omega L
\overline{P} I_eV_e 0 0
Iの位相 \omega t \omega t+\frac{\pi}{2} \omega t-\frac{\pi}{2}
t 電源と同じ 電源より\frac{\pi}{2}速い 電源より\frac{\pi}{2}遅れる

交流回路では、その実効値を用いて、インダクタンスは
V_e=XI_eと表される。
よって、最大値を用いても、
V_o=XI_oは成り立つ。

また、全体の抵抗成分は
(1)直列の時
Z=\frac{V_e}{I_e}=\sqrt{R^2+({X_L}^2-{X_C}^2})}
(2)並列の時
I_e=\sqrt{{I_R}^2+(I_C-I_L)^2}}=\sqrt{ \left( \frac{V_e}{R} \right)^2+\left( \frac{V_e}{X_C}-\frac{V_e}{X_L} \right)^2 }=V_e\sqrt{\left(\frac{1}{R}\right)^2+\left(\frac{1}{X_C}-\frac{1}{X_L}\right)^2}
\iff Z=\frac{1}{ e\sqrt{\left(\frac{1}{R}\right)^2+\left(\frac{1}{X_C}-\frac{1}{X_L}\right)^2} }

加速器

サイクロトロン

2個の半円形の中空電極を交流電源でつなぎ、これを利用して電子の速度を増させるものである。
磁束密度(磁界)が一定の空間に於いて、電荷はローレンツ力によって円運動をするが、その周期は、
m\frac{v^2}[r}=qvB\iff r=\frac{mv}{qB}
よって、周期はT=\frac{2\pi r}{v}=\frac{2\pi m}{qB}
となり、常に一定である。このことを利用して、
2電極をつなぐ交流電源の周期をTにすれば、
電極間を移動する際に常に加速することができる。
そのためには交流電源の周波数はf=\frac{1}{T}=\frac{qB}{2\pi m}とすればいい。

このとき、イオンが極板間を通過するときの電圧は常に一定値V_oを示し、
イオンが1周するごとに、エネルギーはE=2qV_oずつ増える。
よって、N周したときのエネルギーはE=2NqV_oである。
また、半径の大きさから速度を逆算すると、
R=\frac{mv}{qB}\iff v=\frac{qRB}{m}となる。

ベータトロン

電子の円軌道の内部を貫く磁束を変化させることで生じる誘導起電力を利用する。
今、軌道半径をRとすると、
m\frac{v^2}{R}=qvB\iff v=\frac{qRB}{m}より、
初めの運動量はp=qRBである。

今、この円周にそって電界ができているから、磁束を変化させると、
V=\frac{\Delta \Phi}{\Delta t}
\iff E=\frac{V}{d}=\frac{\Delta \Phi}{2\pi R\Delta t}
このとき、電子はローレンツ力f=qvBの他に
進行方向に対して、静電気的な一定の力F=qEの力が働いているから、
運動量の増加量は、
\Delta p=F\Delta t=qE\Delta t=\frac{q}{2\pi R}\Delta \Phiとなる。

ところで、半径Rが一定であれば、運動量の増加量は次のようにも示せる。
\Delta p=qR\Delta B
よって、半径が変化しないとき、磁束密度の変化は
\frac{q}{2\pi R}\Delta \Phi=qR\Delta B\iff \Delta B=\frac{1}{2\pi R^2}\Delta \Phi
とすればよい。これを満たすように設定すれば加速器として利用できる。

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最終更新:2012年10月25日 20:55
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