経過観察

経過観察


源頼光
どれ、私も一杯もらおうか
酒呑童子
こいつは思わぬ珍客だな?悪鬼討伐の立役者さんよ
源頼光
かつて討ち損ねた鬼の一匹が、今もどこぞで管を巻いてると聞いてな
源頼光
前々から気がかりではあったのだ、場合によっては決着をつけねばなと
酒呑童子
ほほう、腕を一本持って行く程度じゃまだ足りなかったと?まあ、とりあえず飲めよ
源頼光
ではいただこう……ほう、素朴であるが味わい深い酒だな
酒呑童子
この城は貧乏してるからな、俺も限られた予算の中で上手くやりくりしてるって訳よ
源頼光
酒が足りないならば奪えばいいのではないか?昔のようにな
酒呑童子
そいつはごもっとだが、またおっかない女が現れて痛い目を見る事になりそうでな
源頼光
その通りだ、次は腕ではなく確実に首を落とすつもりだぞ
酒呑童子
へいへい、俺もいい加減落ちついてきてな、勝てない喧嘩に手を出したりはしねえよ
源頼光
それが賢明だ、無駄に命を落とす事があればあの鬼の娘も悲しむであろうからな
酒呑童子
俺と一緒に散々暴れ回ってんのにな、お前もあいつの境遇に同情でもしたか?
源頼光
ふっ、思った以上に良い酒でな、無駄に舌が回ってしまっただけだ
源頼光
寄こせ、次は私が酌をしてやろう
酒呑童子
介錯の間違いじゃねえよな?
源頼光
お前がそれを望むなら、引き受けてやるつもりだが
酒呑童子
おい抜くな!それ抜くな!物騒だからしまっとけ!
源頼光
何事も本気でやらなければ楽しめないだろう、冗談に関しても例外ではない
酒呑童子
やっぱりおっかない女だぜ、お前はよ
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最終更新:2021年05月27日 12:18