草原から街まではそう遠くはなかった。
僅か10分くらいしてあの広場に着いた。驚いた事に、その場に離れ離れになった
マリオと古酒も居合わせていた。
レインド「ああ、お陰さまでね。」
二人は互いの拳をぶつけ、そして笑う。
モララー「お前等がここにいるってこたぁー…何か、分かったのか?」
古酒「ああ、そうだ。なあ、マリオ?」
古酒はマリオの方に首を傾げた。
マリオ「まあな。二人とも、今から言う事を…落ち着いて聞いてくれ。」
レインド「俺はいつだって落ち着いているぜ。」
モララー「ふっ、同じくな。」
マリオはこれまでの事を二人に話した。
あの本の光に飲み込まれた後、マリオと古酒は海岸に飛ばされていた。
彼等もレインドたちと同じく広場へ戻り(正しくは「行く」)、そこで季節と日付が違う事を、たまたま通った電化製品店のテレビで知った。
つまり、四人は過去へ飛ばされた事になると…マリオは強張った表情で、簡潔に述べた。
レインド「……なんてっこったぁー…あれか、タイムスリップって奴か。」
冷や汗をかいたレインドは頭を掻いた。
モララー「らしいなぁ…けど、さっきレインドが言っていたことも当てはまるんじゃないのか?」
古酒「ん、何だ…?」
モララー「物語の世界に飲み込まれたって言う事だ。タイムスリップとは若干違うが…あの本にそんな力があるとは到底思えねえ。なら前者の方がちょっと正しい気がするんだ。」
マリオ「なるほどな…けど、あの本真っ白だったんだぜ?」
レインド「元々見えないんじゃねえか?あの白さの裏には…“身体で見ろ”って言う意味が隠されているのかもしれないぜ?」
レインドの発言に、三人は納得したように表情が驚いていた。
モララー「お前頭良いな。」
レインド「だろ?」
古酒「じゃあ、過去へ飛ばされた訳じゃあないんだな?」
マリオ「確信は出来ないだろうが…今はその方が合っているんだと思うぜ。」
モララー「……しかし熱いなぁ…此処。」
モララーは汗を腕で拭った。
古酒「そんなマフラー巻いてたら、そら熱いだろ。」
モララー以外の三人が笑った。
モララー「悪ぃがこいつぁ俺の必需品なんでね。いつ、何処でも外す訳にはいかねえのよ。」
レインド「そんな大事なものだったのか、それ?」
モララー「まあな……って、マフラーの事はどうだっていい!…どうするんだよ、俺たち。」
マリオ「そーだなぁー……このまま足掻いていても仕方ないし…。取りあえず、この物語の世界を堪能しようじゃねえか。」
古酒「おいおい、マジかよ。」(汗)
レインド「…まあそれもアリだな。どうせその内、何か分かるだろう。もしかしたら…被害は俺たちだけに及んでいないと思うし。」
マリオ「それ、どういう事だ…!?」
レインド「他の連中も…時期この世界に来ると思うぜ。まああくまで俺の考えだ。」
モララー「……可能性はあるかも、しれねえな。」
照りつける日差しの元に立つ四人に、冷たい風が横切った。
それと同時に四人は互いの顔を見合わせ、笑みを浮かべた。
レインド「んじゃ、行くか…目指す場所の無い旅にな。」
鳳凰は白い砂浜を蹴っ飛ばした。足元が砂塗れになったのを見て払う気にもならない、この猛暑の中に置いてでは。
ハルシオン「はははっ!どうした鳳凰、機嫌が斜めっているじゃないか。」
くいっと顔を上げると、ハルシオンが海に立って一人ではしゃいでいた。
ハルシオン「ここはいいな…今まで見た中で一番青々しく輝いている。お前も来ないか?」
真庭鳳凰「いや…遠慮しておく。」
ハルシオン「そうか。はははっ!!」
よくもまあ呑気でいられるなと、呆れ顔の鳳凰はため息をつく。
思い返すと、あれは自分にとっては奇想天外な出来事だった。
いつものように
デデデ体たちの様子を伺う為に城へ参ったが、生憎彼らはパーティに誘われていて不在だった。
彼の兵から聞いて断念し、今度は
カズネの元にでも行くかと向かっている途中、ハルシオンと出逢う。
あの戦い(「永久に眠れ 古き混沌編」を参照)以来、あまり顔を合わせていなかったので…まあとりあえず挨拶程度はしておこうかと彼の元に寄った。
ハルシオン「うん…確か、お前は…。」
真庭鳳凰「真庭忍軍十二頭領が一人、真庭鳳凰だ。久しいな…東の陽よ。」
ハルシオン「……ああ、あの時の忍かぁ!あっははは!!ああ、久しぶりだな。」
今思えば、あの戦いには意味があった。
あの戦いがあったからこそ、我はよりこの世界に貢献する事が出来たのだ。飲み込めぬ別世界に、難なく入り込めた…全く持って意味のある、戦いだった。
あの場に沢山の人が集い、共に戦い、共に大切な居場所を護った。そして…共に一つになれた。
彼と話している中で、そう感じたのだ。
かなり遅い時間帯まで話をしたので、そろそろ切り上げようかという話になった時…あの奇妙な本が現れたのだ。
見たこともない分厚い菫色の本…おまけに中は何も記されていない。
本を見て謎めくばかり…。だが突然、その本から発せられた激しい光を浴び…気が付けば我等は海辺にいたのだ。
真庭鳳凰「なあ…?」
ハルシオン「ん…どうした、鳳凰?」
真庭鳳凰「お主は…何故そうも呑気でいられるのだ?我々はこんな知らない場所に飛ばされたのだぞ。」
ハルシオン「うーん……“困ったらまず笑えばいい”。僕はいつもこれを胸に抱いて日々を過ごしているんだ。だから、今はとにかくに笑っていたい。」
鳳凰はきょとんとした。そして「クククッ」とほくそ笑んだ。
なるほど…分からなくもない。
真庭鳳凰「さすがに暑くなってきたな…。では、我も足に浸かるくらい――――」
「おーーい!!」
海に歩み寄ろうした時に、女の子の返事が聞こえたので足を止め、振り返った。
青いポニーテルの女の子に、ハルシオンと同じ一等身の人物が二人の三名が歩いて来たので、それがようやく誰なのか察知できた。
真庭鳳凰「おーおー、これは…同士なのかな?」
不敵に笑んだ鳳凰に、女の子は抱きつくように飛びかかった。
真庭鳳凰「Σぬおっ!?」(汗)
ハルシオン「おや…ディーヴさんにメタビィに、
メタナイトじゃないか!」
メタナイト「ハルシオンに鳳凰か…ふふっ、あの激闘以来だな。二人とも久しいな。」
ディーヴ「やっぱり、鳳凰たちもあの本に…。」
真庭鳳凰「まあな…。」
メタビィ「メタさん、これは…。」
メタナイト「ああ、やはり、被害者はそう少なくはない。我等があの本によってこの過去世界へ飛ばされたとなれば…他にも。」
ハルシオン「やっぱりここは過去の世界だったのか。気温が酷く上昇していて夏みたいだと思ったら…。」
ディーヴ「あ、イルカだぁ~♪」
メタビィ「ど、どこっ!?」
真庭鳳凰「お主ら向こう行ってろ。(゚Д゚ )」
メタナイト「これから我々は街へ繰り出して情報収集をしに行くのだが…どうだ?」
ハルシオン「他に方法もなさそうだからなぁ……分かった。」
真庭鳳凰「うむ、同行をお願いしよう。」
メタナイト「分かった。…ディーヴ、メタビィ、ここも暑い。次へ向かうぞ。」
ディーヴ&メタビィ『はぁ~い。』
さてさて、なんだか楽しくなってきそうだねぇ~。
一人称:我
真庭忍軍十二頭領の一人で『神の鳳凰』と呼ばれている。
例の謎の本によりハルシオンと共に過去の世界へ飛ばされるが、そこで出会ったメタナイト一行と共に行動する事になる。
一人称:僕
東の国を総べる東軍総大将で
シルヴィを討ち取った英雄の一人。
真庭鳳凰と共に本によって過去の世界へ飛ばされるが、そこで出会ったメタナイト一行と共に行動する事になる。
一人称:僕
この物語に置いては未来のみ登場。
最終更新:2012年04月03日 21:23