難波「(
寄宿舎の一室の中、そわそわと落ち着かない様子でタブレットを眺めている)安全っちゃあ安全なんやろうけど、ここ……いまいち他安全なとこ!ってのも思いつかんもんなあ…資料周り見とこ… 」
笠間「(難波と同室。窓のブラインドの隙間を指で空け、窓の外の様子を伺っている)んまあ……訳アリ多いらしいっすからね…ここに来る人って…あと
石韮探偵事務所所有の物件はなんか今だと狙われそうですし……甲ちゃん大丈夫かなあ………ん、ん?(鼻を軽く鳴らし、何かに気付いた様に窓の外を見回し) 」
―笠間が窓から目ににしたのは、
寄宿舎に向かって来る二人の男……方や派手な柄のスーツを着崩したチンピラ風の男、方や拳法着に身を包んだ、黒い肌にサングラスの老人が、明らかに
寄宿舎に向かって歩を進めていた 」
笠間「いやいや……いやいやいや…あんな露骨なビジュアルで来るんすか……?普通………?(眼が合う事を警戒してかブラインドから目を逸らし、携帯電話を手に取り)あ、そうだ、難波さん!難波さん!ちょっと、何か、えっと……
森ノ宮さん!
森ノ宮さんに連絡取ってください!怪しい奴っす!! 」
難波「えっ……?ええ……?……えっと、よし!了解!!(タブレットでそのまま電話を掛け、自らはさっさと鞄に物を詰め始める) 」
笠間「ええっと……逃げるルートは…そうだ、こっちから二人着てる訳だから、この裏の窓から…だから……(反対側の部屋の窓に向かい、ブラインドから外の景色を確認) 」
エディ「(管理人室から目元にクマを作ったやつれ顔で現れふらつき気味にロビーに出る)ツカツカ(祝日でATMさえ締まってなければなぁクソクソ。何が悲しくてネコ背魔女の宿泊費なんか肩変わりしなきゃいけないんだ……)————って、森さんとこの……(笠間さんと難波さんだっけか)どーしました。事務所改装工事でも始めたんで……あっ……(ひょいと彼女らと同じ目線で窓から外を見下ろし、だいたいの事情を察する)……スー………(目頭を抑え俯く) 」
難波「あっ……エディさん!?こんにちは!早速何ですけど私達これからちょっと裏から逃げますから……あっ、出た!
森ノ宮さん!?なんかもうこっち来たらしいんで!私達!裏から!逃げるんで!(それだけ言ってタブレットを鞄に詰め込み、片手に持って笠間の許へ走る) 」
美優「(
寄宿舎前のベンチでチュ●ッパチャップスを舐めている)…あっちい… 」
エディ「正面は請け負いますよ。出来るだけ早く
森ノ宮さんと合流してください、マジで頼むよ(自分に言い聞かせるようにして正面入り口へ足を運び)—————ガサガサ(ゴミ袋を手に『ゴミ出しに行きますよ』という程を装って何食わぬ顔で正面から出る) 」
美優「………(エディを見てペコリと頭を下げる)あー、アイスキャンディにすりゃよかったかな… 」
拳法着の老人「―――(文字通り、"一瞬"の跳躍で寄宿舎の窓、外壁……彼我の間の障害物全てを突き破って笠間の眼前に現れ)……未熟(何の変哲もない、しかし…理外の域まで磨き上げられた"縦拳"を、笠間の顔面に叩き込む) 」
笠間「私の脚ならまあ余裕で?逃げられるんで!エディさんも無理しないで逃げちゃってくださいよ!狙われてるのは私達だけなんすから!んじゃ難波さ(笠間に手を伸ばし、その身体を抱えようとした、その瞬間……)―――なっ…(拳法着の老人の縦拳が顔面に深々と突き刺さり、声も無く後方に後ずさる) 」
エディ「———————(老人がいた場所、難波がいた地点を交互に見やり『跳躍距離と速度』を知るや背筋に『悪寒』が走る)ざけんなよ冗談だろ……ッ!!(老人がこじ開けた『勝手口』を同じく、しかして及ばない速度の跳躍で追い) ┣¨ッッ パァン!!!!("震脚"で床板を踏み砕いて浮かし、続けざまに掌底で床板全面が遮蔽物になるよう老人へ飛ばす) 」
笠間「(眼窩、口、鼻、耳……顔面の穴と言う穴、そして一瞬で裂けた後頭部から血を流し、声も上げずに崩れ落ちる) 」
美優「………えっ…?なんの騒ぎ…………?(物音を聞いて立ち上がる) 」
難波「は…?ちょっ、胡桃ちゃん……?(笠間の手を取ろうとした瞬間の凄惨な貢献に、声を失い)……胡桃ちゃん…!?(崩れ落ちた笠間に駆け寄る) 」
拳法着の老人「――弱い(即座にエディに視線を変え、掌底で殴り飛ばされた床板をより重く、迅い"蹴り"で逆にエディに向かって蹴り返す) 」
エディ「速ッ—————(蹴り返されるよりも前にスライディングしていたにも関わらず床板の角が頰を削る。だが『遮蔽物』で視界を封じた一瞬の時間稼ぎを利用し老人ではなく笠間、難波の方へ駆け) 地下から出られる!行けッ!!(容体は見ればわかる、望み薄だからこそ躊躇わず笠間を難波の両腕に担がせ、片腕で背後へ押しのけ老人の前に立ちはだかる) 」
難波「(明らかに、絶望的な状況……しかし、ある程度の順応性か、素早く最善と思われる判断に頭を回し)……っ!お願いします!(笠間を担ぎ、エディとは反対の方向へと走り出し) 」
派手なスーツの男「(難波が向かった先、先回りしていたかの様に現れ)地下ってここぉ?当たってたなあ!お兄さん嬉しくなっちまうよ。そこのロン爺さん強いっしょ?なんか伝説?らしいぜその爺さん、頑張ってなお兄さん方 」
拳法着の老人→ロン「(眼前に立ちはだかるエディ、そして難波を交互に見……)…ニィ(標的ではない、しかし……それでも目の前に立つエディに微かに笑み……)…額、首、胸(そう三度呟いた、その直後……言葉の通りの部位、順番で、一瞬のうちに縦拳の三連撃を放つ) 」
エディ「—————( ”化勁” 初撃の顎への打撃を『滑らせる』ようにして受け流し、予備動作に応じて予め打って”ようやく間に合う”『ジャブ』で首への打撃を逸らし) ゴッッッ(胸部への打撃を『必要最低限』と割り切り受けてしまう)————ッ!!……か………ッッッ(内臓が逆流するような吐き気、口全体に広がる鉄の味、考えるまでもなく深刻な一撃だが)┣¨ンッッ(再度震脚、吹っ飛ばされないよう地に足を突き刺して持ちこたえ、その振動を利用した”発勁”をゼロ距離で”肩”目掛け繰り出す) 」
難波「うわっ……!?ああもう、何で…!!(派手なスーツの男を見るなり、スーツの男に向かって素早く鞄を投げ付け、直ぐに男の横を通り過ぎようと走る) 」
ロン「(三連撃を放った腕を突き出したまま、エディの"震脚"が予備動作であると即座に看過し――)"勁"か(エディが先程ジャブで打撃を逸らした様に、ロンもまた突き出したままの拳でエディの”発勁”の起動を逸らし、同時にエディに向けて右膝蹴りを放つ) 」
派手なスーツの男→スターム「乱暴なことしないでよ、難波祐子ちゃあん……"岸波"と同じツラだからって真似なくたって良いんだぜ(難波が投げた鞄が、スタームの身体を"透過"してすり抜け……通り抜けようとした難波に回し蹴りを放つ)人体以外は俺に触れられないんだよ、凄いだろ?だからさ、人体だけだから(自主規制)はさ、大好きだから出来ちゃうの。凄くね?あっ俺スターム、後で遊ぼうな 」
エディ「(反応・攻撃速度、火力全てが群を抜いている————) ゲ ホッッ……(咄嗟にバックステップを踏み右膝であえて抵抗せず吹っ飛ばされダメージを軽減し、食器を床へ押しのけながらテーブル上に仰向けに倒れる) パンッッ ヒュ オ ッ(追撃を先読みし勢いをつけた起き上がりと同時に両足蹴りを打つ) 」
美優「………なんの騒ぎ!?(難波のところへ駆け寄る) 」
難波「ぶっ…!?(スタームの蹴りを顔面に受け、抱えたままの笠間を庇う様に倒れ)痛っ……(どうする……どうする…?)(駆け寄ってきた美優が目に入り)なんか…!なんか…!ピンチ!!(鼻血がボトボトと流れ出しているのにも関わらず、美優にそう声を掛け) 」
美優「………!(笠間の様子を見て)こりゃ、ピンチどころじゃねーな(身構える) 」
ロン「(エディの読み通り、更なる追撃の為……余裕からか歩いて距離を詰めようとした矢先……エディの両足蹴りを脇腹に受けて微かによろめく、が……)――疾(ダメージを受けながらも蹴り足を腹筋で止め、エディの蹴り足の根元……骨盤を砕こうと右足で蹴り上げを放つ) 」
エディ「 グ ルッッ (咄嗟に錐揉み回転し一瞬の内に浮遊状態で体制を整えつつ"蹴り"を振り下ろし、ロンの右足を床につけさせると同時に着地)シッッ———(刹那で反撃されると判断し最小、最短の動きであると判断されるジャブをロンの顎へ打つ) 」
スターム「鼻血出ちゃったかあ?あーでも大丈夫大丈夫、ちょっと痣出来るだけだからさ、加減したから(倒れた難波の脇腹に蹴りを入れながら)ロンの爺さんもひっでえなあ、担いでる子マジで殴られたんじゃない?逝っちゃってんなあ……俺がヤってあげたのに(笠間の顔を覗き込み) ……そうビビんなよ、放っときゃ何もしねえしこの難波ちゃん連れてきたいだけだからさ(美優にヘラヘラと手を振りながら) 」
ロン「(蹴りによって床につけられた右足、それを先程エディが行ったように…”震脚”として応用し、ジャブを最小限の動きで顎を引いて躱しながら…カウンターの様にエディの心臓目掛け、”発勁”を放つ)…強者、故に……”読み易い” 」
美優「くっ…!そのおねーさん、どうするつもりだ…!(スタームに対し) 」
エディ「 ト ッッッッッ (一度の発勁であれば受け流す術は幾らでもある、衝撃を逃す、流して返す、幾らでもやり様はある上その全てを行じた。が) ガクン (糸が切れた人形のように膝から崩れ落ちる。呼吸がままならないどころではない、呼吸を忘却するほどの衝撃が駆け抜け、肉体は機能を放棄した) 」
難波「がっぶっ……!!(脇腹に蹴りを入れられ、当たりどころか、威力か、あるいはその両方か……血と胃液の混じった液体を吐き出し、脇腹を抑えてうずくまる) 」
スターム「(難波を笠間から引き剥がし、難波の首を締め上げる)まあ、ちょっとお客さんが欲しいっつってるんで連れて行くだけだからさ、そんだけってやつ。手は……出さねえかなあ実際…ヤりてえんだけどまだ許可取ってねえし 」
ロン「(崩れ落ちたエディから美優に視線を移し……)(先程のエディとの戦闘を含め、明らかに”別格”である…戦いに身を置くものであれば、余程見る目のない者でなければ…そう察する事が出来る程の殺気を美優に向けながら、ゆっくりと難波達に歩を進める) 」
スターム「っつー訳でロン爺さん、あの姉ちゃん頼むわ。こっちは……きちんと難波祐子を”地の国”まで送り届けてくっからよ(失神するまで難波の首を腕で絞め上げながら、彼女を連れて地下道を使って悠々と去っていく) 」
森野「(―――――――――その頃、
石韮探偵事務所にて……)あー!クソ!クソ!!!難波も!胡桃も!電話に出やしねえ!頼むぞ……頼むから無事でいてくれ……!(襲撃者が乗っていたであろう、黒いセダンタイプの車に乗り込んでエンジンを掛けながら携帯電話の画面を連打して電話を掛け続けている)あそこなら…もしもの事があってもって打算だったんだが、クソっ…! 」
森野「(自動車で
寄宿舎に到着。雑に車を乗り捨てる形で拳銃を片手に車から降り、
寄宿舎の惨状を目の当たりにし)―――……何だよ、これ… 」
森野「(
寄宿舎の外壁に空いた穴から屋内に入り、拳銃を構えながら内部を確認する)……胡桃!?難波ァ!?居たら返事しろ!オイ!!……勘弁してくれよ、畜生…!(窓の近くから地下通路への経路に続く、夥しい量の血痕。そして倒れているエディが目に入り、彼の方に駆け寄り)……おい、兄ちゃん!大丈夫か… 」
美優「くっ……!こいつ……(ただものじゃあねえな…!)(足の震えを隠すかのようにギリっと歯を食いしばる) 」
ロン「(既にその場から消えていたのか……その場に残っていた"幻影"のみが、現れた森野と入れ替わる様に美優の前からスッと消えて行く) 」
美優「…………!(ロンが消えたのを見て)っ……ぁ…(緊張の糸がプツリと切れたかのように、体を震わせながら座り込む) 」
森野「あっ、もう一人居た!おい!女が二人いた筈なん……だが……(美優に駆け寄るが、明らかに平常でない様子から次の句を出す事が出来ず)……大丈夫か? 」
美優「…あっ(森野を見て)だ、大丈夫…(涙を拭い、震えたまま立ち上がる)おねーさん、連れ去られて…… 」
森野「……二人居た筈だ、デカいのとそうでもないの…(床の血溜まりを一瞥し)……救急車呼ぶから、まあ、じっとしててくれ…(二人ともか…?いや…狙いは難波だけ……最悪、胡桃は…) 」
タブンネ「タブンネ~!(美優のところに通りすがり、「いやしのはどう」を放っていく) 」
美優「…でかい方のおねーさんが連れ去られてって、そうでない方は…頭からすっごい血流してた(体育座りのまま森野に)……?サンキュ(いやしのはどうを放ったタブンネに) 」
森野「えぇ…?(タブンネに呆気に取られながら)デカい方が連れ去られたか……そうか……(頭から…つまりあの血は……)(携帯電話を片手に、倒れているエディに駆け寄り)……死んでねえだろうな、兄ちゃん… 」
森野「二人の所在をなんとか掴んで……急がねえと…多分別口で移動してる…(血痕と
寄宿舎に空いた穴を交互に見)…ありゃあ多分壁ぶち抜かれて、地下道に逃げ込もうとしたところを、ってパターンだな……(血痕を辿り、地下道への通路へと歩いて行く) 」
森野「多分、エディだっけ……見たところあの兄ちゃんも無事だ、とはいえ……ああ、いや…止め刺したりしてねえ時点で後詰はねえか、来るとしても俺狙い……あと、この辺りのデカい血溜まり……多分、胡桃がこの辺りでぶっ倒れたんだ…あと、吐瀉物混じりの…脳震盪の症状じゃねえだろうな…(血溜まりを辿り、更に地下道へ進む) 」
森野「(血痕が途切れた後、尚も地下道を進み続け……地下道の壁にもたれ掛かる一人の"男性"を見付け、彼の前にしゃがみ込む)……お前、張ってたのか……?バッカ野郎だなあお前、奇跡の生還劇もこれじゃあ台無しじゃねえか…(頭部の半分程が砕け、内容物を撒き散らしながら倒れていた男性……嘗て森野こと
森ノ宮の同僚だった刑事、木田を静かに見つめながら) 」
………ザシュッ!!!(地下道から物音が聞こえる)
森野「今の物音……刃物か?木田、流石にお前一人じゃあ無かったみたいだな……(拳銃では無く手製のスタンガンを携え、物音のした方へ向かう) 」
ペニー「………(先程の物音の主。警察官の服装の男を鎌で何回も突き刺している)……… 」
森野→
森ノ宮「成程、ペニー……直接ツラを拝んだのは初めてだなァ……難波と胡桃を知ってるかとか、テメエを直接雇ったのは誰かとか……(スタンガンを己の首に当ててスイッチを押し、身体に稲妻を奔らせた直後、成人男性……"
森ノ宮甲三"の姿に戻り)どっちにしろ、気が立ってる所に知り合いを二人もバラしてくれやがって……潰してやるよ(裾に仕込んだナイフに手を添えながら、超高速のステップで
ペニーに向かって飛び掛かる!) 」
←————To be continued
最終更新:2021年10月28日 23:10