"K" -奴の名は- "Chapter 2-G



森ノ宮「成程、ペニー……直接ツラを拝んだのは初めてだなァ……難波と胡桃を知ってるかとか、テメエを直接雇ったのは誰かとか……(スタンガンを己の首に当ててスイッチを押し、身体に稲妻を奔らせた直後、成人男性……"森ノ宮甲三"の姿に戻り)どっちにしろ、気が立ってる所に知り合いを二人もバラしてくれやがって……潰してやるよ(地下道。眼前に現れたペニーに向かって駆け、裾に仕込んだナイフに手を添えながら、超高速のステップでペニーに向かって飛び掛かる!) 」

ペニー「…!(森ノ宮が飛びかかってきたのに気づき、風を起こして上に飛び上がる)オイオイ、こいつして帰ろうと思ったのになぁ…(めんどくさそうに頭をポリポリかく)ま、何人でも殺しちまえばいい話だしな(両手を突き出し辺り一面に火炎放射を放つ) 」

森ノ宮「東雲流"小太刀術"――"呪"(同様に真上に跳び上がり、その勢いで火炎放射を強引にぶち抜き……弾丸の様な速度の小太刀の投擲をペニーに放つ)複数属性の魔法ってか!!んな器用なのとやるのは久々だなァ! 」

ペニー「………おいおい(火炎放射がぶち抜かれたのを見て目を見開く)おもしれぇ…!(投擲を避けようとするも顔にかする)クハハッ……!(雷を纏ったナイフを発生させて森ノ宮に向けて勢いよく放る。さらに台風レベルの強風を発生させ、勢いをつける) 」

森ノ宮「まだ出力が上がるのか……だが……!(地下道の外壁をヒビが入るレベルで"蹴り"、一気に跳躍して雷を纏ったナイフを紙一重で避けながら風を物ともせず、超高速ででペニーに向かって突っ込み)東雲流、紫電"改"……"穿"!!(勢いをそのままに、ペニーの顔面に向かって掌底を放つ) 」

ペニー「………!(掌底を喰らう……が強風を自身の後ろに発生させ、吹っ飛ばされるのを避け…)この野郎!!!!(攻撃の後の一瞬の隙を突いて森ノ宮の腹にゼロ距離の雷弾を放つ) 」

森ノ宮「(風か何かで後ろへの慣性を殺した……!?だが"潰す"つもりで打った筈、その割には…!)もう一ぱ……があっ!?(一瞬の戸惑いが仇になり、追撃のもう一発が入る直前に雷弾を受け、後ずさる)こいつ…! 」

ペニー「…ごふっ…!(後ずさった隙に顔を剥がし別の顔になる)…(こいつの動きの速さ、只者じゃねえ…あの風をものともしないとなると………あとは…!)(竜巻を大量に発生させ森ノ宮の動きを止めようと試みつつ、火炎弾を放つ) 」

森ノ宮「こりゃ流石に……突っ切るのは厳しいか…(竜巻を避ける様に動き、火炎弾を何とか倒れ込む様に避けながら……)だが、てめえもビビったな…!(隠し持っていた拳銃を抜き放ち、ペニーに向かって連射する) 」

ペニー「……(その速い動きを止めるのが狙いだ!)(鎌鼬の腕で銃弾を切り裂きながら森ノ宮に迫る) 」

森ノ宮「おいおい、弾全部斬るってか……!(銃をその場に軽く放り、"気"を込めた横蹴りでペニーの迎撃を狙う) 」

ペニー「…オラァ!!!("気'を跳ね返す自信があるのか、そのまま突っ込んでいく……と思わせておいて死角から同時に鎌を放たせる) 」

森ノ宮「生憎殴り合いならこっちも不得手じゃあ……!?(ペニーの廻り込んでのフェイント、完全に不意を突かれた形で反応が遅れ)……ッ!(慌てて防御姿勢を取り、切り裂かれながらも鎌の被弾を最小限に抑えようと倒れ込む) 」

ペニー「あいにく正攻法は趣味じゃなくてな!!!(倒れ込んだ森ノ宮を押さえつけるように彼の真上に向けて風を吹き付けさせる。そのまま自身の腕で連続切りを喰らわせる) 」

森ノ宮「(この体勢は、不味い……!)が、あっ……!!(風で動きを制限された上で斬撃を受け)…東雲流、雲龍…"紅鶴"……!(強大な紅の"気"を全身から放出し、風に抗いながら転がって斬撃を避けつつ立ち上がる) 」

ペニー「………この風に抗うほどの力か!(立ち上がった瞬間を狙うかのようにショットガンのような速さの雷撃を喰らわせる) 」

森ノ宮「"紅鶴"の出力ならまともに張り合える、か……どっちにしろ長くは保たねえ、一気に潰してやる……!(斬撃による全身からの出血に加え、技の反動からか鼻や口から血を流しながらも、燃え盛る業火の様に、溢れ出す"気"を腕に込めて雷撃を"薙ぎ払い"、直後に文字通りペニーの視界から"消え"、そして…) ―――東雲流・"禊"(一瞬でペニーの背後、頭より上の高さに跳び……爆発的な"気"を込めた右の手刀で、ペニーを縦一文字に切り裂きに掛かる) 」

ペニー「…!(消え、た…!?)どこだ……!?(気づいた時にはすでに目前まで来ており、斬撃を咄嗟に両腕の鎌で受け止めようとする) 」

森ノ宮「""った……!!(鎌ごとペニーを叩き斬れる、そう確信して手刀を振り下ろそうとした、その瞬間―――)バチィ!!(森ノ宮の全身に稲妻が走り、直後……)な、あっ……!?(長いピンク髪の幼女……『森野』の姿に戻り、体勢も"気"もバランスを崩した、余りにも不格好な姿でペニーを攻撃する) 」

ペニー「……!?(バランスを崩した攻撃を軽々と避け、足払いをかけて転倒させる)……女?しかもこんなガキ…………… 」

森ノ宮「うがっ…!!(赤い"気"…即ち"雲龍"が霧散し、見事に転倒させられるが何とか受け身を取り)ついてねえ、こんな時に……!(やや覚束ない足取りで再度構え直し) 」

ペニー「………おもしれぇ。バラバラにされてぇか?それとも…尊厳を全て踏みにじられた上で死にてえか?(「森ノ宮」の姿以上に殺意を持った目で両腕の鎌を振り回す)オラァ!(追い風を起こして加速し、森ノ宮を四方から切り裂きにかかる) 」

森ノ宮「……そっくりそのまま返してやるよ、ゲス野郎が…!(出血と"雲龍"の反動でふら付きながらも地面に拳を叩き付け、四方に"気"の柱を立ち昇らせるが…)が……っ…!!(追い風と共に加速したペニーを止めるには至らず、斬撃を受けて倒れ込む) 」

ペニー「やれるもんならやってみやがれ!!!(倒れ込んだ森ノ宮に追い打ちでさらに数回切り込みをかけ、脚を掴む)…おらぁっ!(そのまま勢いよく脚の骨をへし折る) 」

森ノ宮「ご……あっ……!!(更に数度切り裂かれ、文字通り血塗れの腕で微かな抵抗も空しく脚を折られ)……かっ…があああああ…!! 」

ペニー「いいねぇ、その悲鳴…(狂気に満ちた目で脚を折られた森ノ宮に迫る)次は右腕ぇ!(幼女の体の森ノ宮の右腕を掴み上げ、握力で握り潰そうとする) 」

森ノ宮「はっ、はっ……があっ……(不味い、血を流し過ぎた……痛みに気をやるな、気を練れ、俺の今の身体は、前より魔力が……)……があっ!!!("気"で腕を強化し、僅かながら抗おうとするがペニーの膂力には全く通用せず、骨の折れる音が周囲に響く)ぐあ、あああああ………!!! 」

ペニー「いいねぇ、その音…!(そのままの勢いで左腕もへし折る)…やっぱりいいねぇ、身動きの取れない女をボコボコにするのはなぁ!!!(左腕を掴み上げたまま森ノ宮の腹に勢いのあるパンチを喰らわせる) 」

森ノ宮「(力押しでやってきやがって……!)くそっ、まだ動……!!があああああ!!あぼっ!!(抵抗も空しく左腕を簡単にへし折られ、直後に腹にパンチを喰らい、逆流した胃液を吐き出す) 」

ペニー「…ククク、ククククク…………どうだぁ?尊厳を全て踏みにじられたままお前はこれから死んでいくわけだぁ!!(そのまま森ノ宮の服に手を掛け、思いっきり引きちぎろうとする) 」

森ノ宮→森野「……まず……考え……ろ……考……(出血と痛みで朦朧とする意識で、抵抗も出来ず服に手を掛けられ、服を破られそうになった、その瞬間―――) 」

――――その瞬間、明らかに常軌を逸した速度の"野球ボール"が、森野とペニーの間に割り込む様に、ペニーの腕目掛けて飛来する

ペニー「…あっ…!?ぐぉぁぁぁ!!!(森野を蹂躙しようとしたため気づくのが遅れ、回避しようとするが腕にもろに当たる) 」

大澤「余り良い趣味とは言えんなあ、相手は子供……まあ一応見てくれは子供か、それに随分と痛めつけちまって……生きてるか?森ノ宮?(自分こそボールを投げた主だと言わんばかりに地下道の陰から現れ、木製バットを軽く弄びながらペニーに向かって堂々と歩み寄り) 」

ウェルド「全くです。状況が状況とはいえ、僕たちが信用して貰えなかったのは残念なんですが……まあ、この際まずは貴方から黙らせてもらいましょうか(飄々とした大澤とは裏腹に、朗らかな表情ながら明らかな憤怒と殺意を持った表情で日本刀を片手に大澤の傍を歩き) 」

ペニー「……てめぇらか?俺の邪魔をしやがって…あと少しでこいつの尊厳を全て奪えたものを…………!!!(火炎弾を2人に向けて放ち、動きを止めようとする) 」

大澤「良い弾だな!一緒に後で野球しないか!?(悠々とバットを構え……ペニーに向かって火炎弾を打ち返す!) 」

ウェルド「(素早い一閃で火炎弾を切り裂き、直後に一気にペニーに向かって距離を詰める)相手が森ノ宮さんだったとはいえ、子供の尊厳を奪う?ふざけるなよ、犯罪者……!! 」

ペニー「…!?(なんだこいつ…!火の弾を打ち返すとか…正気か!?しかも木だぞ!?)(魔女狩り手配書を発現させ、火炎弾を吸収する) 」

ペニー「なんとでも言え!いずれは俺が正しい者となる!女の人権などお前のように消し炭にしてやるよ!(そのまま吸収した火炎弾を距離を詰めたウェルドに対して放つ) 」

大澤「ほう、吸収も出来るのか……中々便利だな!ライナーを取るのに使えそうだ!(再びバットを構え、ペニーに向かって突っ込む……と見せ掛け、血溜まりに沈む森野を抱えて素早く離脱する)悪いな!こいつは貰うぞ! 」

ウェルド「僕に二度通じると思ったら、甘えすぎだ……!その思想も、セットで!(火炎弾を先程と同様に切り裂き、その勢いのままペニーを剣道の胴抜きの要領で斬りに掛かる) 」

ペニー「…通用するとは思ってねえよ(火炎弾を切り裂く事を想定していたのか、自身に迫った時には鎌を構えていた)オラァ!(両腕に持った鎌でウェルドを切り裂く…ように見せるように鎌を動かして気を引き、両手でウェルドの腹部に雷弾を放つ) 」

ウェルド「(鎌に反応し、防御態勢を取ったまま雷撃を撃たれる、が……)成程、森ノ宮さんをボロボロにしてくれただけはある…!("気"を込めた腕で雷撃を防御し、後退りながら再び刀を構え直し)(大澤さんは森ノ宮さんを回収できたか…?無事だと良いんですが……) 」

ペニー「奴を捕まえて今度こそ全てを奪う…そのためにはこいつをやるしかねぇか(強風を発生させてウェルドの動きを止め、火炎放射を辺り一面に放つ) 」

ウェルド「おっと、報告通り随分と器用らしい……(”あえて”風に流されて軽く後方に跳び……)"錬気術"ってのは……こういうのも出来るんですよ(日本刀に長大な"気"を纏わせ……長く伸びた"気"の刃を横一文字に振り抜き、遠方からペニーの脚を切り裂きに掛かる!) 」

ペニー「くっ…!(先ほど自身が殺害した警察官の服装の男の死体に魔力を注いで動死体と化させ、日本刀の盾にする) 」

ウェルド「(警官を切り裂いた感触に一瞬たじろぐも、再度ペニーに向かって縦に振り抜き)ふざけるなよ……!今度は仲間の遺体まで……! 」

ペニー「どうだ、かつて仲間だった奴を手にかける感触はぁ!?(縦に振り抜いた日本刀に鎌を叩きつけ、跳ね返そうと試みる)…もっと面白えことしてやろうか?(魔力を警官の死体に注ぐ) 」

警官(動死体)「(ペニーによって数人の警官の死体が立ち上がり、ウェルドを囲うように拳銃を彼の後ろから構え、発射する) 」

ウェルド「……鎌の強度が高い……!(日本刀を跳ね返され、勢いで後方に飛び退き)……この野郎…!!(警官の銃撃を振り向きざまに刀で防ぎ、同時に……)大澤さんなら遠くに行っているはずだ、実に腹立たしいが……元々単体じゃあ確実にやる相手じゃない、そろそろ潮時か…(スーツの裾から数個の金属筒……ピンを抜いた発煙グレネードを落とし、周囲を濃霧で包む) 」

ペニー「…!待て!(濃霧を風を放ち薙ぎ払っていく) 」

ウェルド「次はこんなに甘くありませんよ、𠮟るべき部隊を揃えて、叩き伏せてやる……(置き土産、と言わんばかりに軍用の破片手榴弾を煙の中から投げ付け、自らは地下道から脱出する) 」

ペニー「……くそ、逃げられたか…!…ここは用済みか…(風となり姿を消す) 」



笠間「―――――はぁ……はぁ、っ……っつぅ…(寄宿舎付近の市街地を、顔中血塗れの姿でふらふらと歩いている)――森ノ宮さん……そうだ、合流しないと……こっちに来てるから、向こう…向こうの建物……血の匂いがする……(うわ言の様にブツブツと呟きながら、不自然に足取りは早く) 」

泉北「……おい!盟友……盟友!笠間!笠間胡桃!!どうしたんだ!?おい、しっかりしろ!!(明らかに異様な風体の笠間が遠目から見えたのか、大声で声を掛けながら、笠間に向かって猛ダッシュで駆け寄り)どうしたんだその怪我……!怪我もそうだけど、頭、頭後ろバックリってこれ……!(骨まで見えるかという程避けた笠間の後頭部に軽く引きながらも、笠間の両肩をがっしりと掴み) 」

笠間「えぇ……?あぁ………牧乃ちゃん……えー……おいっすー……こんな時に会うなんて奇遇っすね、私やっぱ目立っちゃうっすかね…?まあでも今急ぎなんで、また今度ラノベ返してくれたら良いんで…(軽く泉北の手を払い、目的地に向かって歩く) 」

美優「………(市街地のコンビニの前にあるベンチに座り込んでいる。先ほどのことがあったのか酷く憔悴しきった表情を見せている) 」

泉北「いやいやいやいや!!!ちょっと待ってくれ!普通に死ぬかもしれない怪我じゃ…っ……(笠間の後頭部、出血元に触れようとした所…ずるり、とウィッグが落ち、現れた笠間の耳を見て絶句) 」

笠間「……っと(落下したウィッグが地面に落ちる前に後ろ手でキャッチし)……あー…まあ殴られて血塗れでじゃあ落ちるかあ…ピン止めも取れてるかなあこれ……(どこか諦めた様な笑顔を見せ)……っつーわけっすよ、牧乃ちゃん…そっちもアレでしょ?伐刀者って奴っしょ?匂いで分かっちゃうんすよねえ、まあそういう事で他言無用って事で…(恐らくは殆ど人の出入りが無いであろう、古びたビルに逃げ込む様に入ろうとし、美優が目に入り)……巻き込んでごめんなさい、私が色々…なんとかしますから… 」

オリヴィエ「ここは安置所よ、死人以外おかえりいただけますか(古びたビルのドア枠に背を預け、足を組み待っていたと言わんばかりに暗がりから笠間の前に姿を表す。非日常的光景に馴染んだ笑みはそのまま歩み寄り)なので、死んでから来ましょうね。碌な医療器具ないでしょここ(どこから取り出したのかガーゼをおもむろに難波の頭部に当てがい)—————関わっちゃいけない部類の人種が動いたって小耳に挟んで。よく生きてるね 」

美優「………あ、あのおねーさんは…(笠間が目に入り、立ち上がる) 」

泉北「……知ってたよ、盟友が人以外の何かと混ざっている事くらい……あと私が伐刀者だって知ってるなら、ほら…!協力を頼むところだろう!何か巻き込まれてる様だし!友達だろ!?(再び笠間の腕を取りながら、現れたオリヴィエに)…何か持ってるなら用意してやってほしい、どう見ても重傷だし……!関わった行けない部類って… 」

笠間「……(匂いの元とは別の人物が現れた事にやや驚きつつも、大人しく頭を差し出し)いやあ、ほら、見た通りの人種っすから私……甲ちゃんと合流して、地の国までカッとばないとなんで…なんか診てくれるらしいっすよ、ここ…(美優に軽く手招きし) 」

オリヴィエ「BAKIでいうところのユージロー・ハンマが二人に増えて合体したような奴って言えばわかります?現代人これで伝わるって話なんですけど(小首を傾げつつ肩をすくめ)まあ医者じゃないんですけど滅菌処置と軽い止血程度の応急手当てならこの場でできる奴が待機してますよ。あくまで適切な医療機関で治療を受けるまでのその場しのぎに過ぎませんが 」

美優「……(笠間の手招きに応じるかのように近づく)おねーさん…あの…(笠間の血塗れの姿に言葉が出てこないのかその先を言い出せずにいる) 」

燗流「(オリヴィエに促され古びたビルの奥から一人の小柄な青年が足を引きずりながら歩いて来る。パーマのかかった白の短髪、血色の悪い灰色の肌、痣のような目元のクマ、よれた白のミリタリージャケットとかなり気だるげな印象を受けるが、衣類越しにもわかる筋肉量から相当に『使える』事が伺える)…………。え”ー……燗流<カンルー>です……軍医です………。はい…………。ああ、あの……それあれ、応急手当てってアレじゃなくないですか……。大学病院とか連れてったら…… 」

泉北「なんだそれ……?世界最強同士でフュージョンしたみたいな……?(現れた燗流、その風体から何かを秘めている事を一瞬警戒するが)……と、とにかく!あとで救急車でも呼べばいいから!!こいつを!!(笠間を燗流に突き出し) 」

美優「………伐刀者?(泉北の方を振り向く) 」

大澤「(燗流の更に奥から現れ、面々を一瞥し)あー……今部下から連絡が来てな、さっきまで大勢救急車が出てたみたいだが…丁度二人分空きが出来たそうだ。あまり気持ちのいい話じゃあ無いが……じきに来るだろう。向こうのも含めてな(部屋の奥、包帯塗れで横たわる森野を軽く指差し) 」

オリヴィエ「ちょうどそこの小さな探偵さんに用向きがあったんですけど……まさかこんな事になってしまうなんて……。……………。あっ、ひょっとしてここ泣くタイミングでした?(顎に手を当てけろっとした趣で)いやすみませんね。私の知り合い金勘定だけはしっかりしてるんで。応急処置分の料金しか払えなかったものですから…… 」

燗流「いやあの………だってこれ……検死だって連れてこられたんですけど……。ええ…………だってこれ………。やばい奴じゃないですか……まあ、まあもうすぐ来るならいいですけど……(ビル内ではフロアの半分を膨れたビニールシートが占有しており、その中では寝台や医療器具が並べられていた)とりあえずあれ……無菌室用意してあるんで………。はい…… ああ、あなたはあれ、カウンセリング受けた方が良さそうですかね……。大丈夫、大丈夫ですよ……ゴジラでもこない限りここの人たちはあなたを守れるぐらいには腕たちますからね……(ぽんぽんと軽く美優の頭を撫で)————ハイ、精神治療代いただきます…… 」

泉北「そう!意外かもしれないがこの私は!黒雷ノ夜叉(シュヴァルツィナ・マキナウェル)と呼んでくれ!伐刀者として……じゃない!そういう感じじゃない!!とりあえず診て貰えれば、今救急車も来るって聞こえたし… 」

美優「………っ…(頭を撫でられ、徐々に安心したような表情になる)…あんまり持ち合わせてないけど… 」

笠間「(瀕死の様相で横たわる森野を見るなり、慌てて彼…彼女?に駆け寄り)……生きてるんすよね!?死なないですよねこれ!間に合いますよね!? そんな事…そんな事あるんすね、森ノ宮さんがこんな……血の臭いは勘違いじゃなかった……(森野の腕を取り)……難波さんは地の国らしいっす、聞こえてます?無事です? ……私一人で行って来ます、大丈夫、私のせいだし私がなんとかしますし……多分、何とかなります、じゃなくて、します 」

美優「マキナウェルさん…よろしく。あたしは………(何も浮かばなかった) 」

燗流「地の国……地の国……。えぇ……マジかー………そっかぁ……(二人のやりとりを見るやどこか哀れむような目で頭髪を乱れさせながら頭を掻きうなだれる)……。まぁ一人で背負い込むことはないでしょう。 どうですかオリヴィエ、手伝いに行っては…… 」

オリヴィエ「え、新しい依頼? 護衛とか専門外ですけど暗殺ならオールオッケーですよー(にっこにっこ) 」

燗流「どうしてそれカタギの前で言っちゃうんですか……。まあ、もう、いいか……(処置後の手袋を雑に熱湯で洗いながら) カウンセリングうんぬんはジョーダンです。金絡みの話してないと寝たくなるんで……ふぁ…… 」

大澤「地の国、ね……(笠間の声をちゃっかり聴いていたのか、軽く頷き)……森ノ宮が心配だから俺はこっちに居るとして……血気盛んなウェルド君には報告しておいてやるか、この辺の準備や手の回し方はあいつのが上手いし…… (オリヴィエ達に向き直り)おお!行ってくれるならありがたい!本当なら野球に誘いたい所だし本来俺は公僕だから余り君たちの様なのに仕事を頼むのも良く無いが……まあ、そうだな……殺ってもいい奴等なら提示できる 」

泉北「フハハ!まあ良いだろう、私はそう、前世からある記憶が私の二つ名を思い起こさせてくれるが、無いなら仕方ない、これから思い出せば良いゾ!  待て!待て!私も行くぞ!盟友のその怪我を見てひとりで行かせられるか!!地の国は微妙に連盟の守備範囲外な気がする……まあ、それはそれで勝手に動いてもバレないか… 」

オリヴィエ「え、フリーランスでも入れる殺っちゃった保険があるんです?(ガタッガタッ) 」

燗流「いやだめですよおまわりさん……この人嬉々としてやっちゃうから……ああ、まあいっか………   ああー…… まぁあれ、自分も一応あそこには診療所構えてますし……。まぁ………行く機会がありますけど……。まあ怪我したらいつでもどうぞ……。死んでなければだいたいどうにかはしますよ、銭さえ弾めば……。(余った寝台の上にすがりつくようにしてよじ登り、顎まで羽毛布団をかける)まぁどうしてそこまでして生きなきゃいけないんだって思うんですけど……長く眠れることは幸福なことですよ……ねむ……。 」

美優「あ、そう……(冗談と聞き)おにーさん疲れてるの?(眠そうにしているのを見て燗流に)前世の記憶か…(考える)ところであのおねーさんとは知り合い?(笠間を見て泉北に) 」

笠間「……(意識が戻らないのか、動かないままの森野の手をぐっと両手で握り)……って事で!私!行ってくるっす!地の国!今から!!(さっさと振り向き、足早にビルから出ようとする)じゃあ、えーと、野球好きのおじさん!信用しますからね私!! 」

大澤「あー……今から行くのか……早い方が良いとは言え、若いってのはいいなあ……ウェルド君の手回しが間に合えば良いが…了解、森ノ宮は任された(軽く笠間に手を振り) いや保険は無い、黙って無かったことにしてやるだけさ 」

泉北「知り合いと言うか、まあ……友達だ、まあそれなりに色々と貸し借りしたりチケットを予約して貰ったりと……ってもう走る準備してる!?(慌てて笠間を追い掛け) 」

燗流「いや眠いだけですよ……今日はほら……12時間しか……たったの12時間しか眠れなかったから…… ふぁ…… しんど……すやぁ…… 」

オリヴィエ「そっかー……。まああそこは治外法権的なとこあるから仮にここでお墨付きもらってもあれなんですけどね (腰を上げ森野をふと見やり)とりあえず指切り取ってくれば義理立てにはなりますかね。 いやぁ、あっちにも何人か顔知った仲がいますけど……ううん、会いたくないなぁ…… 」

笠間「私丈夫なんで、多分大丈夫っす!向こうに知り合いも居ないので!!じゃあ牧乃ちゃん!ついてくるなら適当に!!バタン!ガン!(蹴り破るような勢いで扉を開け、ビルから出る) 」

泉北「ちょ、ちょっ……!?と、とにかく!お世話になりました!何が起きてるのか分かって無いけど!!(笠間を追い掛け) 」

美優「12時間?十分寝てる気が……(ジト目)えっと…あの?(走り去る笠間と追いかける泉北を見て) 」




←————To be continued




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最終更新:2021年10月28日 22:35