― ラボラトリー ―
イーティス「キターーーーーーーーー✨(自身の薄暗いラボラトリー。お世辞にも綺麗とは言えない程に生活感が悪い形で滲み出ている一室。衣類が乱雑しているアヒル色のソファの上。ラフな格好で大量のウエハースチョコを広げ、同梱されたおまけのキラカードを両手に摘まんで目を輝かせていた)やっっっっっっっっと出たのだわ…!ワルンジョ様のサイン入りホロ加工SSR♪1カートンでの封入率0.00008%ってあたおかな確率から勝ち抜いたわよ…!長かったぁぁぁぁ~~~~………!どこに飾ろうかしら……(たった一枚のカードを大事そうに眺めている) 」
Duck「おめでとうございます、イーティス。お目当てのカードを引き当てるのに3カートンと27BOX。なかなかの苦行でしたね。…………しかし、お喜びのところ恐れ入りますが、今回の散財によって(研究費の)軍資金が20%損なわれました。加えて、ラボの汚染率が87%を超え…… 」
イーティス「言葉を慎むのだわ!もう市場に出回っていないレア中のレアカードなのよ!ショップでシングル買いなんてもってのほか!こういうのは自引きするものなのっ!それに…(推し活への)軍資金ならこんなのまだまだ許容範囲内よ!焦ることはないのだわ…!焦る…ことは……(ふと冷静になってごった返している部屋を見渡し徐々に意気消沈する) 」
Duck「はぁ…残念ですイーティス。今日が何の日かご存じないのでしょうか?悪の天才科学者ともあろうものがバレンタインの日におまけつきのお菓子開封ではしゃいでて恥ずかしくないのですか?せめてこういう日こそいい加減にラボを清掃するべきで… 」
イーティス「バレンタインだからって関係ないでしょ!?掃除な「らくらくソウジくん」に任せておけばいいでしょ!?ていうか…3週間前から姿を見せないし部屋も散らかったままなんだけど…ちゃんと動いているんでしょうねアレ…? 」
Duck「らくらくソウジくんであればちょうど3週間前の清掃中に大きな荷物の下敷きになって機能停止しました。これもひとえに貴女がキャパオーバーなオーダーをかけたのが原因です。あーあ。 」
イーティス「 は あ ! ? なんでそういうことを教えてくれなかったのよ!!ああんもうっ!修理してあげるからどこにいるのか教えなさいよ! 」
Duck「ラボ内のどっかにいます 」
イーティス「(こいつぅ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~💢)(ぬぐぐぬぎぎっ) 」
Duck「らくらくソウジくん2号機の製造であればこちらで行います。その前にイーティスはその余ったチョコ菓子の自己処分をお願いしますね。 」
イーティス「 うッ…… (ふと振り返れば山積みのウエハースチョコがどっちゃりと余っている) 」
Duck「…まさか、すべて食べずに破棄なされると?流石、悪の天才科学者様!食料難に見舞われているゼレオロスが生んだ悪のカリスマ!パンが無ければケーキも食べられない飢餓難民が大多数を占めるこの国で大胆不敵に甘菓子を大量破棄されるとは!やることなすこと外道も外道ですね!尊敬しちゃいますね!ちなみにワルンジョ様は劇中34話にて貧しい過程で育ったことが影響で食べ物を粗末にするような方ではないことが判明してましたg――― 」
イーティス「るさいるさいるさーーーーーーーーーーーーーい!!わかったわかった!わかったのだからっ!!食べればいいんでしょ食べれば!全部…! ……うっ……(もうすでに飽き飽きしてるのだけど…とても全部処理できる気がしないわ……)(陰でげんなりする) 」
Duck「…………(背を丸めるイーティスに数秒間無言する)………検索完了。お料理サイトにてバレンタイン特集としてチョコレートデザートに関するレシピを複数件発見しました。有り余ったチョコ菓子を有効的に消費できる最適レシピを掲示します。(コンピュータモニターに一つのホログラムが展開される) 」
イーティス「……!(これは……!)(調べ上げてくれたレシピを写す画面へ前のめりに食いつく)……な、なるほどね…?確かにこれなら口直しにはちょうどよさそうね…?悪くない選択肢なのだわ…!………けど………これ、どう見ても一人用の量じゃないわよね……? 」
Duck「当たり前じゃないですか。1ホール×3を一人で平らげるおつもりで?カロリー過多でもれなくタヒにますよ。おすそ分けするんです。どうせ一人じゃ食べきれない量の食材を使うんです。誰かに分け与えないと消費できませんよ? 」
イーティス「誰かに…って… だ、誰に作るのよ「これ」…!?私には『先生』以外の関りは無いのだけど…… 」
Duck「天才科学者なのに"そんなこと"も気づかないのですか。鈍感ですね。いるじゃないですか。「最適なターゲット」が。さっさと作ってさっさと外へ出てってください。その間にラボの掃除も片付けておきますので。 」
イーティス「アンタねぇ…さっきから黙って聞いていれば主人に向かって生意気なのよその口答え…!最適なターゲット?一体何を言っているのかしr――――――― ! ? (「まさか…」と愕然する) 」
Duck「さあ、"愛"を込めてお料理してくださいnガシャアンッ(自身のモニターに剛速球で投げ飛ばされたスマホが突き刺さり軽く爆発する) 」
― ラステルム王国・中央公園 ―
ライオット「――――ったくよぉ~……どこにも無ぇじゃねえかよ…!(買い物の途中なのか、コンビニで買ったであろう小袋からコーラを取り出して口に付ける)
アサギの奴に「それいけ!トッタマン!」のウエハースチョコ買ってこいって言われて探したものの…全然どこにも無ぇじゃねえか…!つーか人気があるのかなんだか知らねえがどこ行っても完売してんじゃねーかよ!(どかっとその辺のベンチに座り込む) 」
ライオット「……まさか…特定の誰かが買い占めてるってことじゃねえだろうな…?……はんっ…いやありえねえか… そんなヲタクいるわけねえし… 」
アサギ(イメージ)「いるっすよー☆(ウィンク) 」
ライオット「めっちゃ身近にいたわ(脳内のイメージに出没した後輩に顔が引きつる)…いや、そんなあいつが手が離せねえから俺が今パシられてるんだが……はぁ…(ふと周囲を見渡せばカップルと思わしき男女二人組が周囲を徘徊しており、唯一ベンチで独り身の自分にアウェイ感が過る)……なーにやってんだろうな俺…… これじゃあまるでチョコ貰えねえから自分で買い占めようとしている惨めな男みてえじゃん。貰えねえのは事実だがそこまで落ちぶれちゃいねーよ…はぁ……適当に切り上げて帰るかー…… 」
―――――――― ズ ガ ァ ア ア ア ン ッ ! ! ! (重い腰を上げて帰宅を決め込むライオットの眼前、垂直に何かが盛大に落下した) 」
ライオット「 ッ ! ? (突然の衝撃。直前に落下した飛来物に思わず身構えガジェット「閃光《グリント》」を手元に顕現する)なんだ……機械生命体か……ッ……?(立ち込める砂塵から目を離さず距離を保ったまま、それが晴れ渡るのを静かに伺う) 」
イーティス【サイナス】「 シ ュ ゥ ゥ ゥ ゥ ゥ ウ ウ … ッ… … ―――――(晴れ往く土煙からその姿現したのは、蒼白を基調とした西洋騎士の姿をした存在だった。数秒間ほどライオットと対峙していたのも束の間、その全身に白鳥座の星座を模した模様が点滅した瞬間、纏われていた装甲から一人の少女が正体を現した) 」
イーティス「 あ――――っはっはっはっはっ!! 御機嫌ようなのだわ、バカザル! (盛大に仰け反った態勢で愉悦気味に高笑いを決める) 」
ライオット「ゲェーーーッ!?お、お、お前…っ……お前ええええええええええええええええええ!(鳩が豆鉄砲を食ったように何度も目をぱちくりさせ、驚愕を越えて怒鳴り散らかす) お、お前ぇ…何しにきやがった……!?ハッ…!さては……この国を……いや――――― リア充共を爆破しに来たかッ!!?(迫真顔) 」
イーティス「ちょ、うっさ!うるさいのだわ!バカザルがキーキー鳴くんじゃないのだわ!(喚き散らかすライオットの声に思わず耳を両手で塞ぐ)は~~~~~~?何言っちゃってんのこのバカザル…そのクソザコ脳みそを爆破してやるわよ!?ん゛っ゛、ん゛ん゛っ゛!(※咳払い)と、とにかく武器を下ろしなさい。別に今日はアンタと事を構えようとしにきたわけじゃないわ…!ただちょっと…ほんとちょっとだけ、用があってね…… 」
ライオット「……そうやって油断させようとしても無駄だぜ。何故なら今日の俺は生憎、虫の居所が悪い。少しの隙も与えるつもりはねェ。今度こそお前をとっ捕まえて知りてえこと全部吐いてもらうz… 」
イーティス「あっ。足元に100円落ちてる。 」
ライオット「マ?どこだどこだ? 」
イーティス「ウソに決まってるのだわw ほんっとバカもバカな大バカザルねwww なぁ~にが「少しの隙も与えるつもりはねェ」(※イケボ)、よww 隙どころか間抜け晒してんじゃないwww m9(^Д^)プギャーwwwww 」
ライオット「ッ゛~~~~~~~~~~~!(こいつめ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛) 」
イーティス「は~~~~ウケる…ww (お腹を抱えてゲラゲラ笑っていた) まーそんなバカザルだしぃ?どーせバレンタインにチョコなんて貰えていないんでしょーけどぉ?ねぇ?どうなの?どうなの?(煽る煽る) 」
ライオット「お前にその気がなくても俺から事を構えてやろうか?あ゛?(プルプル) 」
イーティス「あっは…♪じょーだんよ、じょーだん。はぁ…冗談の区別もつかないなんてほんとバカザル… いい?用があるってのは――――― 」
衛兵『今ここで爆発音が! 報告があったのは中央公園だと聞いたが、どのあたりだ…!?(そんな時、ラステルム王国兵士がイーティスの落下による衝撃音を聞きつけて駆け込んでくる)』
ライオット「―――― !(あれは…まずい…!) ちょっとこいッ! ( グ イ ッ ―――― )(イーティスの後方に衛兵の姿を目撃し、咄嗟に彼女の手首を掴んで公園の茂みへと共に飛び込み、そのまま公園圏内から離れようと駆け出す) 」
イーティス「 は … ふぇ っ ? (背後から衛兵が迫っていることに気づいていない為、突然の行動に気が動転。唖然としながらもライオットに引き寄せられながら共に駆け出していく) ちょっ…なに急に…?!気やすく触らないd―― 」
ライオット「いいからこいってッ!(振り返ることなく我武者羅に逃亡する。それは自身の為というよりも、まるで何かを守るような勇ましさが垣間見えた――――) 」
イーティス「……!(切羽詰まるライオットの気迫に押されて閉口し、そのまま腕を掴まれたまま遠い所へと向かう――――) 」
ライオット「ぜぇ……ぜぇ……(気が付けば街外れの閑散とした並木道に出ていた。一心不乱に走り続けていたのか乱れた呼吸を取り戻すのに多少の時間を有していた) 」
イーティス「はぁ……はぁ………ちょぉ…ねぇ……っ…?なんなの、急に……!?バカみたいに走らせて……なに考えてんのよ…っ……!(木に手を突きながら息を荒くしていた) 」
ライオット「ぜぇ、はぁ……っ…… わ、悪い…… 余計ややこしいことになりそうになったから……流石に、ここなら誰もいねえ…だろ……(重なる心拍数を抑え込もうと気に凭れ掛かる) 」
イーティス「………!アンタ、ひょっとして……(ライオットの意図に気づいたのか、はっと息を呑むと無言する)………私のこと、捕まえるんでしょ……?なんで…… 」
ライオット「それとこれとは話が違ぇんだよ……(乱れた呼吸を取り戻すためか、あるいは次の言の葉が思い浮かばないのか定かではないが、しばらくの間二人に沈黙が走る)………何しに来たんだよ… 襲撃しに来たんじゃねえんだろ……? 」
イーティス「あ、そーだ…!(促されてようやく思い出す) フフフ…聞いて驚くといいのだわ…!いつも睨み合ってるけど今回だけは私から慈悲を与えてあげるのだわ!(そう言うと手中にデジタルキューブを出現させる。立方体は回転を帯びる度に徐々にその規模を拡張させ、6面が次々と開かれていく――――) 」
キューブから顔を出したのは彼女が創り出した新兵器…などではなく…――――― ラッピングされた大きめのプレゼントボックスだった 」
ライオット「……!これは……(キューブより出現したプレゼント、それがゆっくりと自身の手元に写り視線を落とす)…………俺に…? 」
イーティス「 そーよ ( コクリ ) 」
ライオット「…………開けたら爆発しねーだろうな?言っとくが俺はリア充じゃねえ!爆ぜたいなら他の奴にしな…! 」
イーティス「まだそれ引きずってんの!?私を何だと思ってるわけ!?まるでこの私が卑屈じゃない!別に罠でも何でもないからとっとと開けなさいよ…!💦 」
ライオット「んだよ…っ……じ、じゃあ……(訝しげにリボンを紐解き、箱を開けようとするが…) 」
イーティス「…………あやっぱダメ!!><(開封しようとするライオットの手に被せるように両手を突き出す) 」
ライオット「んだよッ!!開けてほしいのか嫌なのかはっきりしてくれ!!やっぱ爆発すんだろこれ!? 」
イーティス「だからしないってば!!で、でも…上手くできてる保証はない…し……じじじじゃなくてっ!バカザルに見せるにはやっぱりもったいないというか…(ふいっと赤面した顔を逸らす) 」
ライオット「上手くできてる…?やはり手製の爆弾か!?もうこの際マジで爆破することになってもいい!リア充は許せねえが被害者を出すわけにもいかねえ!いいからよこせ! 」
イーティス「いやよ! 」
ライオット「よこせ! 」
イーティス「いやってば! 」
ライオット「あ、あんなとこにカルガモの親子が! 」
イーティス「え?どこどこ? 」
ライオット「バーカww いるわけねえしwwww(その隙にプレゼントをふんだくる) もったいぶりやがって…さあ正体を暴いてやるぜ―――――― ! (広げた箱の中には――――) 」
―――――― タルト生地のチョコケーキが入っていた
ライオット「………… 」
イーティス「………… 」
ライオット「…………爆弾は?(呆然と振り返る) 」
イーティス「違うっつーの(ポカッ(ライオットの脳天を殴る) か、勘違いしないでほしいのだわ…!べべべ別にアンタみたいなバカザルの為に創ったチョk…餌じゃないのよ!ただ食材を持て余しちゃって…他に食べてくれそうなモルモットがいないから、特別にバカザルに恵んでやるって言ってるのよ…!感謝するといいのだわ! 」
ライオット「………何企んでんだお前……?まさか、毒でも盛ってんのか…? 」
イーティス「今度はガチで殴るわよ?💢 」
ライオット「………(改めて眼下のチョコタルトに視線を落とす。ケーキ屋に撃っているものと比べるとその造りは若干歪ではあるが、それ以外に変わった異変は無い。無意識に付属のプラスチックフォークを手に取り、早速その表面を刻んで一口大を取る) 」
イーティス「……は!?ちょ、まっ……!何も今ここで食べろとは言ってな―――― 」
ライオット「―――――― (フォークで取った一口大のチョコケーキを恐る恐る口に含み、咀嚼する)……………………ひとついいか? 」
イーティス「(ほんとに食べちゃったよこのバカザル……) な、なによ……っ…… 」
ライオット「これ…………めっちゃ喉乾くな…(← 」
イーティス「他にあるでしょ第一声!!💢(ポカッ (後頭部を殴る) 」
ライオット「……んでもよ……―――――――― 美味ぇよ 」
イーティス「 へ ? 」
ライオット「 美味ぇ 」
イーティス「……に……二度も言わなくていいのだわッ!(怒鳴りながらも何故か顔を赤らめてしまう) 」
ライオット「うん、悪かねェ。(モグモグ) 別に変な味もしねえし。爆弾でもなきゃ毒でもねえみたいだし…普通のチョコレートケーキだなこれ。けどタルト生地のせいで口ん中パサついてめっちゃ喉乾くわ… あ、そういやコーラ残ってたな(がさがさと手首にぶら下げたままのコンビニ袋からの見かけのコーラを取り出して飲みだす)っかぁ~~~~~~コーラに合うわーーーーーー!いやコーラは何にでも合うな。 」
イーティス「アンタねぇ…この私がわざわざ作ってやったのに失言多くない…?なんだったら今からアンタを爆破してやってのもいいのだけど…?(ユナイタルウォッチを静かに構えようとするが…) 」
ライオット「んだよ…お前も飲みてぇのか、コーラ?(飲みかけのコーラを差し出す) 」
イーティス「……は…?はぁ!?ばッ…違っ…!だ、誰がバカザルの飲みかけなんか……!(不意打ち食らって思わずウォッチを慌てて背後へ隠す) 」
ライオット「なに慌ててんだよ…アサギなんか俺のやつしょっちゅう奪ってくるのに… にしても…ははっ……なんだか懐かしいな…。ガキん頃、お袋が誕生日によく買ってきてくれたチョコケーキを思い出すぜ。まあ、チョコタルトとチョコレートケーキって似て非なるもんだけどよ。 」
ライオット「…そういや…毎年いつも同じものだったっけか。繰り返し、繰り返し、好きなケーキが一年に一回出てくる。幸せってのは繰り返されても良いもんだ。けど…こうやって"違う幸せ"を噛み締めるのも悪くない。同じ「チョコ」のケーキでも、俺が今まで食べてきたものと、お前から貰ったものは違うが、どっちも美味えってことに変わりねェ。案外……そういうもんなのかもしんねえな……「俺たちは」……(どこか自嘲気味に鼻で笑いつつ、眼下のチョコタルトを次々と口に含んでいく) 」
イーティス「………!(ライオットの発言に思うところがあるのか、ふと視線を逸らして意味もなく青空を仰ぎ見る。鳥が二羽飛んでいる。誰もが何度も何度も目にしてきたありふれた日常の光景。しかし不思議なことに、その行く先を知る者は誰一人としていない) 」
イーティス「………どうかしらね… でも…―――――― フフッ ♪ (ふと何かを思い出したように小さく噴き出してしまう) 」
ライオット「………? 」
イーティス「………いや、バカザルにしては……ちゃんと"味"を理解できているのは褒めてあげるのだわ。(見下す様にライオットと視線を交わす) 」
ライオット「……ただよ…解せねえな…… なんだったこんな急に… ほんとにただのおすそ分けか?何が狙いだ? 」
イーティス「別に何も。私だって別にアンタに特別あげたかったわけじゃないし。ただ同じ『
適合者』としてちょっぴり評価しているだけに過ぎないのだわ。だから…!勘違い……しないでよね……っ…! 」
ライオット「ふー、ごっちそさん。 」
イーティス「ちょっと聞いてるの人の話? 」
ライオット「まあこの際お前の狙いなんていいや。美味かった。あんがとな。(ニッ、とはにかんだ笑みを送る。ついこの間まで殺し合いを繰り広げてきた中とは思えないほどの友好的な笑みを。) 」
イーティス「―――――― ! (感謝されることなど人生においてなかった身として、その返答には動揺を隠しきれずにいられなかった)………そ、そーよ!感謝しなさい!感謝するべきなのだわ!いずれこの私が世界を導いてやる存在になるのだから?アンタもこの恩は忘れずに覚えておきなさいよね! 」
ライオット「分かった、覚えておく。…………お前が意外とバカな女だってことをなwwwww m9(^Д^)プギャーwwwww(先程の騙し討ちを思い出し笑いする) 」
イーティス「ッ゛~~~~~~~~~~~!(こいっつぅ~~~~~~~~~~!💢) ふんッ! (こちらを指差し笑うライオットからコーラをふんだくる) 」
ライオット「あっ!!!俺のコーラ!!!返せよッ!!! 」
イーティス「ベーっだ!ウォッチを奪わなかっただけ感謝しなさいよね!とにかく、これでチョコの処理…ゲフンッ、私の目論見は果たされたのだわ!次会う時は容赦しないのだから覚悟しておくのだわ!それじゃあ御機嫌よう、バカザル君~♪(小馬鹿にするように手をひらひらと振りながら並木道に沿って歩き去っていく) 」
ライオット「…っ………マジで何しに来たんだよアイツ……(煽るように立ち去るイーティスの背中を睨みながら口元に付着したチョコを親指で無意識に掬い取り口に含む)…………意外と美味かったな、アイツの… あとで腹下したら次会う時ボコボコにしてやるからな……(コーラを奪われて手持無沙汰になった手を名残惜しそうに握りしめるのだった―――) 」
イーティス「…ったく……感謝の気持ちが足りなさすぎるのよあのバカザル…!せっかく慣れない料理に挑戦して作ってあげたというのに…ゴクッ…(ブツブツと愚痴を零しながら奪ったコーラを一口飲む)…まあでも?これでDuckにうるさく言われることはないし?ちょうどいい餌付け相手がいてよかったのだわ…ゴクッ…(二口目)…プハッ…… さてと……そろそろ次の計画に移ろうかしらn………?(ふと歩みを止まると手にしていたコーラに視線を落とし、何かに気づいたかのように徐々に全身がわなわなと震えだす) 」
イーティス「 っ゛~~~~~~~~!?!?!?!?!?!?////////// (――――――― それが「ライオットの飲みかけ」だったから) 」
――――――――― あのバカザル~~~~~~~~ッ!!!
― ルディンの花園 ―
太陽の光が差さぬ地底国。
しかしそこは不思議にも地上よりも激しく白い光に包まれ、影という影を白く満たしていた。
その光に反射するように照り付けられた白い花園。風の吹かぬ地底で、花は静かに揺れている――――
イーティス「――――――――(花園を掻き分けるようにその真ん中を歩み進める。右手にチョコタルトの入った手提げ箱を、左手に白い花束を。少女が進む先にはひとつの墓が立っている。白い花園の中心に、まるで人知れず建てられたその墓に刻まれた『名前』に視線を落とす) 」
―――――――― 『 Fautre・J・Neumann 』 ――――――――
イーティス「…………(墓の前に箱と花束をそれぞれ添えて立ち上がる)……………『 旅立ちの日 』は近いよ―――― 」
――――――――― 『 先生 』
最終更新:2025年03月03日 23:19