[ junction ]Ep2 過去ログ

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― 某スタジオ ―


ナンジャモ?「――――― うししっ、"メイク"完了。それじゃ、始めちゃいますか。『 天辺ちい 』の野外ライブ☆  」



― 遊公(ゆきみ)町 ―


テツヤ「 シャッ、シャッ (改造スケートボードを走らせて町の中を走っていた) 出張買取のついでに弁当でも買っていくか…今日の日替わりなんだろな、っと……ん?(そんな時、前方の人だかりに眉をひそめてボードを止めてしまう)なんだ……?こんな田舎町で人だかりなんて珍しいこともあるもんだ…何か町内イベントでもあったっけな…?(興味本位でその群衆へと歩み寄っていく) 」

ナンジャモ「 パサッ、パサッ ♪ (大勢に囲まれていたのは一人の少女。奇天烈な衣装を纏うその様はこの街にはあまりにも似つかわしくない女優のような存在感を醸し出していた。) コンニチ・コンバン・コンチューバー☆ (カメラを向ける人々の、そのレンズ一つ一つに向き合って愛嬌のあるウインクとポージングを振舞っている) 」


きゃーっ♪♪ ナンジャモちゃんだ~♪ えっ、本物!?すげえ、マジかよ…! あの超有名動画配信者のナンジャモちゃん!?うそっ…なんでこの町に…ていうか、ほんとに可愛い…♪ 俺、ずっと見てます! めっちゃファンサしてくれる!なんて神対応! きゃ~~~!ナンジャモちゃんこっち向いて―!(黄色い声援が取り囲まれている彼女一人へ一身に浴びせられていく)


テツヤ「うおっ、なんかすげえ圧…いつもはシャッター街で寂れてんのに、今日はどうしちまったんだ…?(その歓声を耳に一つ納得する)…なるほど、有名人でも来ているのか……だがこの町にはメディアに取り上げられるようなものは何一つないはずだ…そんな場所に有名人がお忍びでも来るとは到底思えないが……(群衆の最後列で不思議そうに首を捻っている) 」

ヒロ「……………なるほど、あれが噂の………(遠巻きからナンジャモを見ている) 」

ナンジャモ「 ういっ、こう~? (四方八方からのリクエストにきちんと応えるように、軸を一切崩さずゆっくりと回転しながら撮影相手と向き合っていく) いや~、こうしてみんなに囲まれちゃうと照れちゃうネ~!みんな、そんなに『 ボク 』のことが好きなんだ~?(上目遣いにアイコンタクトを送る) 」


『『『 だいすきーーーーーーーーー!!! 』』』


リック・アストリー「(ナンジャモを激写し釣り動画のサムネに使用、大量にアップロードする) 」

キャロル「(サングラスをかけmemeめいたキレッキレの踊りをしつつ通りすがりカメラに映り込む) 」

ナンジャモ「しししっ…♪そっかそっかぁ~!じゃあ、もうちょっとだけ…「サービス」しちゃおうかな~?(クルリと華麗に一回転すると、今まで人前で明かされることのなかった衣装のジッパーに手をかける。その「中」を曝け出そうとした、次の瞬間――――) 」

もうひとりのナンジャモ「―――― おはコンハロチャオ~☆あなたの目玉をエレキネット!何者なんじゃ?「ナンジャモ」です!『ドンナモンジャTV』の時っ間っだぞー!今日はお外で生配信!とある視聴者から送られてきた不思議な情報を聞きつけて、ここ『遊公町』に来たぞい!なんでもこの町には、「自分とそっくりの人がかなりの頻度で現れる」ことで有名らしい!果たしてその噂は本当なのか?本当なら、このナンジャモ氏のそっくりさんも現れるのか!?この目でエレキネットしちゃおうと思うわけ! 」

もうひとりのナンジャモ「ささっ、いったいどこにいるのかそっくりs――――――― あ ? (前方の人だかり。その中心に、まさにその「自分とそっくりの人」を早速目撃してしまい、茫然と立ち尽くしてしまった) 」

ナンジャモ?「――――――  あ っ  (もう一人のナンジャモと目が合うことで、下ろしかけたジッパーを掴む手が静止する) 」

テツヤ「  ん ? ? ? ? ?  (振り返った先にいたもう一人のナンジャモが視界に入ると、思わず群衆の中のナンジャモへと振り返り、以降交互に何度も見比べはじめる)………似てる。いや、似てるというより……"まったく同じ"みてえだ……(「どうなってんだこいつは…」と唖然と立ち尽くす) 」


あれ…!?あそこにいるのは…ナンジャモちゃん…?! ここにいるのもナンジャモちゃんだよ…? えっ、えっ、えっ…?どうなってんの…? ナンジャモ氏が「二人」いるー!?どどど、どっちが本物なんだ―!!?(群衆がざわめきはじめる)


名探偵ピカチュウ「今ここにナンジャモが来なかった!?バッキャロー!そいつがルパンだ!! 」

もうひとりのナンジャモ → ナンジャモ「うおおおおおおおおおおおおおお!?!?!?!?ぼぼぼぼぼ、ボクのそっくりさんんんんんん!!!!!????(稲妻が走ったような衝撃に跳び上がる) 」

ナンジャモ?「お~~~~~~~~!キタキター!高額スパチャ投げておびき寄せた甲斐があったね~♪(軽々としたステップで本物のナンジャモへと歩み寄っていく) ドーモ、ドーモ!『遊公町』へようこそ!ナンジャモ氏の「そっくりさん」がお迎えしちゃうゾ♪(そのままナンジャモへ大胆に抱き着いた) 」

ナンでジャモなアイツ「なんでナンジャモが三人もいるんだよ!教えはどうなってんだ教えは!!(と、パチモンがほざいております) 」

アーナン・フォージャモ「アーニャ、ぶいちゅーばーになるます!(お手製のナンジャモフード(くっそ出来が悪い)を着て紛れている) 」

うちはミハリ「なんでお前みたいなパチキャラがおる!!(カメラを持って大勢の中に紛れ込んでいたがアーナンを見た瞬間ビンタを繰り出す) 」

うちはミハリ「今撮影ええ感じやねん(ローアングルから撮影) 」

ナンジャモ「 ふへ――――― う え ぇ っ ? ? ! (自分のそっくりさんに大たんに抱き着かれて困惑。ナンジャモ は こんらん してしまった!▽) 」

ファン『うおおおおおおおおおおお!!!!!二人のナンジャモ氏が抱き合ってる!!!こんなことがあるのか!!? 超絶最高…生きててよかった…眼福眼福… この写真だけでご飯三杯は余裕で行けるな ありがとう、ありがとう…(感涙)(有象無象が二人のナンジャモを激写しまくる)』

ナジャンモ「お値段200円!! 」

ナンジャモ?「イエーイ☆ ピスピス(ナンジャモに抱き着いたまま大胆不敵な笑顔を振りまき、撮影会を楽しんでいる)そうだよね~!こんな機会はきっと二度とないよ!その目に焼き付けておくんだゾ!(外見だけじゃない。声までナンジャモ本人と全く同じと言っても過言ではない。カガミアワセのようにそこにいるのは、もはや真偽の判別の余地さえもない完璧なそっくりさんだった) 」

ナンジャモ「―――――ハッ!し、しまった…このナンジャモ氏ともあろうものが!配信中に気を失いかけた!ちょちょちょ、ちょーーーーーーい!(もう一人のナンジャモを引き剥がす)き、キミは一体何なんじゃも!?ボクのそっくりさんにしては随分完成度が高いね…!これにはメタモンもびっくりだモン!もしかして、君がこの町で噂されている例の「そっくりさん」なんでしょ!?いったいなにがどうなってんのさー!?(もう一人の自分を舐め回すように見つめて粗探しを行おうとするが、何一つケチの付け所がないその完成度にムムムと口を歪ませる) 」

ヒロ「いったい何がどうなってんだ!…どっちもかわいいからいいか(えっ?) 」

ナンジャモ?「さぁて?どうなんでしょう??なんだと思う???(ナンジャモのチャームポイントであるギザ刃を輝かせながら悪戯っぽい笑みを浮かべる) でもよかったー!これで念願の「コラボ」が実現したわけだしっ♪『ボク』はとっても嬉しいよ!ありがとね、ナンジャモちゃんっ☆ 」

ナンジャモ「こ、コラボ…?え、と……何のことかさっぱりだけど、そうだ!キミ!(ナンジャモ?の方を組んで互いに俯きの体勢になる)もしよかったら、ボクと二人で配信活動しない?ほら、ボクってばこれでも有名配信者で多忙だから、さ…?寝る間も惜しんでいるんだよね…(ひそひそ) 」

ナンジャモ「けど、君のようなそっくりさんがいれば、お互いに生活リズムを入れ替えて毎日毎時間配信活動ができるわけだし…?そうなっちゃえばさあ…ドンナモンジャTVの視聴率も必然的にシビルドン登りになるじゃん…!?二人でトップ目指さない?ねねっ??(人に聞こえないよう囁くようにその提案を持ち掛ける) 」

ナンジャモ?「………ん~~~~…確かに、ナンジャモちゃんのチャンネルに移っちゃえば将来安泰かもしれないネ…。で・も・さ…!(ナンジャモからひらりと離れていく) ごめんねぇ~…それじゃあ『ボク』のやりたいことは叶わないんだ~。忙しいのはお互い様、というわけで…今後のドンナモンジャTV、応援してるネー☆ じゃっ、ボクはこの辺でおサラバしちゃうよ!ばいびーん☆(軽やかなステップを踏んで群衆の中へ飛び込んでいく) 」


わっ!ナンジャモちゃんがこっちへ飛び込んできた! あれ?もう一人のナンジャモちゃんは…!? さっきこっちへ…あれ、いない……?? どこへ消えたんだー?!(混乱する人々。だが、誰一人としてあんなにも奇抜な格好をしたもう一人のナンジャモを見つけることはできなかったのだ…)


ファン『狼狽えるな!あそこにナンジャモ氏がいるぞ!! サインください!! 俺のスパチャ(リアルマネー)も受け取ってくれええええええ!!(ドドドドドドド!!!!!)(もうひとりのナンジャモが消えたことで、必然的に取り残された本物の方に人々が群がっていく)』

鬼塚夏美「…どっちがどっちですの!?あの噂のドンナモンジャTVが!!!(スマホで撮影しながらあたふたしている) 」

ナンジャモ「ええぇっ!?そ、そんなぁ~…悪くない話だと思ったのになぁ……(提案を拒否されぐるぐる目で項垂れてしまう) んげげぇっ!?やばっ!!この量はやばいって!!と、とりあえず不可思議現象はばっちり撮れたことだし!そうとなれば…でんこうせっかの勢いで撤退だーーーーー!(長い両袖をはためかせながら逃げるように走り去っていく) 」

テツヤ「消えた……!まるで手品みてえな退場だな…(その消失に思わず部外者の自分も目を見張った)見た目も声も瓜二つ…それに、あんな人目のつく状況で忽然と姿を消すなんて……まるで、都市伝説に出てくる妖怪みたいだな…(頬を人差し指でポリポリ掻きながら、その一部始終に呆然としていた) 」

テツヤ「……不思議なこともあるもんだ… とりあえず、昼飯買うか…(道を遮る群衆も解散されたため、再びスケートボードを地面に転がせてその上へと飛び移って走らせていくのだった) 」

パーカー少女「――――― フ ワ ァ (風を切るように走らせるテツヤとすれ違うただの一般人。だぼだぼの真っ白なパーカーを着込み、その素顔をフードで完全に覆った少女らしき人物が猫背の体勢で歩いていた) 」

パーカー少女「………(ふと、テツヤが走り去った方角へ振り返るが、すぐに踵を返して町の陰に溶け込むようにその場を後にした) 」






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最終更新:2025年04月10日 22:03