カオスファンタズマ Re:辺獄篇 第3区画 戦闘ログ⑥

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(※第3区画より


― カーディナルゾーン・第3区画・奈落 ―


アスラン・ザラ「――――――――― ッ ! (フレイミスの身代わりとなるように、殺人鬼と共に電脳空間の奈落へと自由落下する"赤い彗星"。現実世界における物理演算などの常識が通用しないこの空間では、果ての無い無限の奈落の底へ時間をかけて落下するだけだったが… この状況を打破するよりも、共に並ぶように落ちていくヴァサゴを注視することに専念した) 」

ヴァサゴ「ゼェ……ゼェ……ッ……!!よりにもよってよォ……まさかこんな形で二人きりになるたァなあ……え゛え゛っ?アスラン・ザラァ…ッ!!(周囲を取り巻くように落下する瓦礫の間隙から、共に落ち行く赤い機体を激しく睨みつけていた)ヘッ……ヘハハハァッ!セレディといい、貴様といい…そんなにあの餓鬼(フレイミス)が大事かよ…ッ?オーバーロードに目覚めただけの運の良い餓鬼がッ!!戦争も知らねえあんな青二才がよォァッ!! 」

アスラン・ザラ「……フレイミスは俺たちにとって最後の希望だ。アイツは必ずセレディの野望を食い止めてくれる。オーバーロードだとか、この世界の神の息子だからとかじゃない。アイツが……『アイツ自身』だから…!(激しい憎悪を剥きだす男とは異なり、赤い機体を纏う青年は確信を秘めた不敵な笑みを密かに浮かべていた) 」

ヴァサゴ「ッハ!!!笑わせるなァッ!!貴様も、あの餓鬼も…セレディのクソヤロウもッ!!全員まとめてこの俺がブッ殺してやるッ!!その為ならどこまでだって這い上がってみせるぞォァッ!!! 」

アスラン・ザラ「いいや…お前はここで脱落する。今度こそ…決着をつける…ッ!! 」

ヴァサゴ「――――― 抜 か せ ェ ァ ア ア ッ ! ! ! (  ド  オ  ゥ   ッ  !  !  !  ) (足場のない虚空を蹴り上げ、爆発的な勢いで瞬く間にズゴックへと肉薄した。その手に握られた巨大包丁の凶刃を不気味に輝かせ、殺戮の意思のみを込めた斬撃を振るった) 」




アスラン・ザラ「 ッ゛ ! ! ( ド オ ゥ ッ ――――― ガ ッ ギ ギ ギ ギ ギ ィ ィ ィ イ イ イ ン ッ ! ! ! )(背面リフターのスラスターを点火し、暴発するような加速で迎え撃つように飛び出す。先の戦いによって片翼が破損しており飛行バランスこそ失っているが、持ち前の高等テクニックを駆使し螺旋を描きながら飛行することで不安定な飛行をカバー。円を描くような態勢から両腕のクローを振るいヴァサゴより振り下ろされた凶刃を真っ向から受け止めにかかる) 」

ヴァサゴ「ヒィハハハハハァ゛ッ!!!そんなガラクタロボでこの俺と張り合ってきたのは褒めてやるがッ、いい加減限界だろうがァッ!!とっととくたばりやがれェアッ!!!(ザギンッ、ザギンッ、ガギィンッギャギィンッ!!ザギギギィンッ!!!)(圧倒的質量を誇る大きな獲物を片腕のみで軽々と振るい真っ向から圧倒するようにズゴックの防御姿勢を切り崩していく) 」

アスラン・ザラ「ぐッ゛……!!(ギャリィインッ―――グルンッ――――ガッギギギィンッ、ガギィンッ!!)(弾き、回転を加えた旋回での回避を挟みつつ的確にクローで薙ぎ払い応戦する。冷静かつ的確に敵の行動を瞬時に解析こそはしているが、ヴァサゴの底知れぬ憎悪によって加算された圧力までは計算しきれず、苦悶に表情を歪めながら応戦する) 」

アスラン・ザラ「 ッ ッ ッ ――――――― ! ! ( ド ォ ゥ ―――――― シ ュ ド ド ド ド ド ド オ ァ ア ッ ! ! ! )(スラスターを前面へ転換。交代飛行すること言ったん距離を剥がしつつ、ヴァサゴに向けて対空ミサイル群を発射。白煙を描きながら次々と撃ち出されたミサイルを囮に距離を取りつつ、次なる手を打たんと脳裏に戦略案を過らせる) 」

ヴァサゴ「くッだらねェッ!!!(ザギィンッ―――ザギィンッ――ザギィインッ―――――ザッギイイイィィインッ!!!)(間髪入れず放たれたミサイル群に向かって飛び出すと共に斬撃を縦横無尽に振るい、ミサイルを断裂しながら掻い潜っていく。切り捨てられたミサイルは一拍置かれて背後で虚しく爆散。尚も出鱈目に放たれるミサイルを華麗に、しかして苛烈に斬り捨てては離された距離を詰め直すように急接近していく)―――― そんなもんで俺が殺れるかよッ!!! 」

アスラン・ザラ「 く…ッ゛―――――― ! ( シ ュ ド ド ド ド ド ァ ッ ――――― バ シ ュ ゥ ゥ ウ ウ ン ッ ! ! ! )(平行移動では距離を詰められる。ならば、と直角に急降下。真下へと誘い込むように頭上へ上面を向けた姿勢から、背面のフォランテスの右ウイングに搭載された4連装ロケットランチャーを発射し、続けてクロー内部の銃砲よりメガ粒子砲を放って更なるけん制を図る) 」

ヴァサゴ「ッハ!!必死だなァッ!!?楽にしてやろうかァ゛ッ!!?(グィンッ――――ザギギギィンッ!!)(ズゴックを追跡するように真下へと潜り込むように落下。その際に放たれたロケットランチャーを薙ぎ払い、爆散させる) ―――シェァァァアアアッ!!!(ザギィンッ、ザギィンッ、ザギィィイインッ!!!)(友切包丁の剣身が真っ赤な光を帯びると、そこから振るわれた斬撃波がメガ粒子を相殺し、そのまま眼下のズゴックに向かって飛んでいく) 」

アスラン・ザラ「―――― ッ゛ ! ? (グルゥンッ―――ギュルォンッ!!)(飛来する斬撃波に対し、旋回回避を二度行うことで間一髪回避を成功させる)……俺はこんなところで死ぬつもりはない… 生きて…生きて…!『アイツら』の戦いの行く先を見守る義務があるッ!!(バシュンッ、バシュゥウウウンッ!!)(フォランテスに備わる2門のビーム砲から迎撃射撃を行う) 」




ヴァサゴ「ヒィァハハハハアァツ!!!誰一人として生きて帰すわけにゃあ…いかねえなァアッ!!!(放たれる閃光に、身を翻して受け流す) このくだらねえ世界で生きて何の意味があるッ!?貶し、騙し、殺し合うだけしかねえこんな地獄に生きてよォ!?テメェら餓鬼どもは何もわかっちゃいねェ!!俺が辿ってきた本当の現実ってやつァ―――――― 」


ああ!なんて汚らわしい…!アンタみたいなのが私の子どもなんて…信じられないわ…っ…この、悪魔《ヴァサゴ》…!


お前は、私の実の息子のドナーでしかない。その為に最低限の教育費を払ってきたのだからな。


ヒヘッハハア!なんだお前…親に捨てられて、国にまで追放されたのかぁ~~~?! 
可哀想になァ~~~?だがなァ小僧…"こっちの社会"は表の世界より甘くねェぞォ~~~?しくじれば、死ぬぜ?


逃げろォ!なんだあの餓鬼…恐ろしすぎる…ッ!!あの若さで軍隊長率いる小隊を壊滅させやがった…ッ…!?


ヘェ……私が怖くないのかい。その『目』……キミは使えそうだ。


私と共に来るといい…『ワールドセイバー』へ――――――――


ヴァサゴ「―――――――……それが現実(リアル)だッ!!!ゲームなんて幻の中で夢見てる餓鬼どもがいつか味わわされる絶望…!!生きるか死ぬかの二択しかねェこの世の中で!!自分だけが生き残るには他人を蹴落とすしかねェッ!!平和を知らねえガキ共とッ!戦争を知らねえガキ共との価値観は違うッ!!!頂点に立つ者が善悪を塗り替える世の中だッ!! 」

ヴァサゴ「だから俺はこれまで散々人を殺しまくったッ!!バカどもを煽って殺し合いもさせたッ!!生き残るにはそうするしか道はねえってわからせてやったッ!!ゲームもリアルもそうだろうがッ!!誰かを蹴落とさなきゃあ先へは進めねェッ!!それが生きる道…!強さだけが絶対的なルールだってなァッ!!!(狂喜乱舞に凶刃を振るい、斬撃波が幾重にも重なって雨の如く降り注ぐ) 」

アスラン・ザラ「 違う…―――――― 違 う ッ ! ! !(降り注ぐ斬撃波によって機体の装甲表面を掠め、あるいは傷つく中で、青年は自らの意思を誇張するように張り叫ぶ) 」

アスラン・ザラ「かつての俺もそうだった…何度も失敗し、裏切られ…傷つき…っ…!歩んできた道は一直線にはならなかった…それでもッ!!出会いと別れを繰り返しながら、そうやって曲がりなりにも進んだ先に…俺は再び信じられるものを見つけた…ッ!! 」


\ ビー ! ビー ! ビー ! ビー ! / (斬撃を受けて鮮血のように火花を散らすアスランの赤い機体。極限状態まで引き上げられた活動限界によって機体から尋常ではない排熱が行われ、警告音がけたたましく鳴り響く。これ以上の戦闘の続行は危険である。しかし――――――)


アスラン・ザラ「この「幻影の巨塔」で、俺は見た… 戦いに身を委ねるプレイヤーたちの生き様を…ッ!!誰もがはじめは一人だった。時に疑い、衝突し合いながら…それでも、目指す先に向かって突き進む中で絆を育んだ『アイツら』は…誰よりも"自由"だった…!! 」

アスラン・ザラ「生きるために誰かを蹴落とす…ああ、そうだ…それが戦争だ。わかるさ…俺も経験した一人だからな!!だけどな…そうして殺し合った果てに生き残った者はいなかった!生きる為に死ぬような奴らばかりだった!!まさにお前の言う通りの地獄だ…! 」

ヴァサゴ「そうだァッ!!弱いから死ぬ!!生きるためには絶対的な強さが物を言うッ!!勝者こそが正義だろうがッ!! 」

アスラン・ザラ「いいや違うな…そんなものは、正義じゃない。自分だけが生き残るか、そのために誰かを殺すか…そんな狭い世界に囚われたお前には分からないだろう。 「正義」とは、「自由」とは…強さで得られるものなんかじゃない! 」

ヴァサゴ「なにッ……? 」

アスラン・ザラ「俺たちにはある…ッ!自分の正しさを、自分で選び取る勇気…その「正義」と「自由」が!! 生きるために他の道を探し、違えた誰かと手を結ぶことで…手にすることのできるものだと!!お前は…諦めただけだ…ッ!選択肢を捨て、本当の自分を捨て!だからお前は裏切られ、躍起になって滅ぼすことしか考えられなくなったんじゃないのか!? 」

ヴァサゴ「……黙れ……黙れ゛…ッ…… ! ! ! (激昂に、青筋がぴきぴきと際立っていく) なにが正義だ…なにが自由だ…ッ!!勝った奴だけが正義で、自由を手に入れられる…ッ!!強い者だけがすべての権利を得られるもんだろうがッ!!『オーバーロード』もそうだッ!!俺にはその権利があるッ!!(――――― ギ ュ オ ン ッ ! )(殺戮の権化の瞳が――――真っ赤に輝いた) 」

ヴァサゴ「――――――― E  e e ェ ェ エ エ エ エ 工 工 ア ハ ッ゛ ! ! ! ! (足場のない空中で、まるで翼を得たかのように滑らか且つ迅速な動きで瞬く間にズゴックへと距離を詰めた。オーバーロードの発動。残像すら見せず、既に振りかぶった凶刃が赤い機体の本体を捉えていた――――) 」

アスラン・ザラ「―――――――――- ッ ! ! ?  」

ヴァサゴ「―――――――――  死  ね゛  ェ゛  ア゛  ッ゛ !   !  !   !    」


ザ ギ ィ゛ ――――――――――――――――― ン゛  ッ゛  !  !  !  !  (幾体の虐殺を重ねてきた凶刃が、ついに"赤い彗星"を斬り捌いた―――――――――――)


――――――― ボ ッ ガ ア ア ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ア ア ン ッ ! ! ! ! 


ヴァサゴ「…ヒッ……ヒィハハハァ……!!ヒィァァァアーーーーーーハハハハハハァッ!!!!ギ ィ ャ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ッ ハッ ハ ハ ハ ハ ハ ハァ ッ ッ ッ ! ! !! 無様な最期だったなァ…ッ!!!これで……俺こそが、最強だ…ッ……!!!(立ち込める黒煙。そこから零れだす深紅の残骸に愉快気に高笑いを決めていた) 」


――――――――   ブ    ゥ ン     (だが、その黒煙の中で、まだ人影が確かに居座っていた。翡翠色に輝く眼光のような輝きが煙の中より迸ったのだ)


ヴァサゴ「 ヒ ィ ハ ハ ハ ハ ハ ハ … ッ …――――――――――― は  ァ゛  ?  !  (盛大に著称していたが、得体の知れぬ光が視界に入ったことで顎が外れたかのように絶句。硬直したまま、その黒煙の中にいる「何者」かを凝視するが―――――) 」



まだ ――――――――――――



アスラン・ザラ「――――――――――――― ゲームセットじゃない (晴れ渡る黒煙から姿を現したのは、"赤い彗星"の真の姿。ズゴックという丸みを帯びた旧型機体の中に初めからずっと潜んでいた本当の姿。その名は―――――――) 」


キ ラ ン ッ ―――――――――――― キュゴオオォォォォォッ、ガチィインッ!! (遥か頭上の天蓋から迸る閃光。その正体は、先の戦いで破損したはずのフォランテスの予備機。それがリフター形態となって、新たに姿を露わにした機体の背面にドッキングすることで、灰色がかっていた機体の装甲表面が深紅の輝きに染まっていく――――)




アスラン・ザラ「―――――――― これが俺の、『 正義 』だ (  ギ ュ オ ン ッ ! !  )(―――― その名も、『インフィニットジャスティスガンダム弐式』。幾千もの激戦を乗り越えた英雄が手繰る、正義の名を冠す伝説にして最強機体であった ) 」



Song♪:西川貴教 with t.komuro / 『 FREEDOM 』


♪ :I don’t want to lose desire I don’t want to lose my fire


ヴァサゴ「……なんだァ……そいつァ……ッ…!?それが……ハハッ…ヒィハハハッ!!テメェの『 切り札 』ってやつかァッ……!! 」


♪ : It’s time to countdown the fighting


アスラン・ザラ「………生憎、俺は世間から存在を知られ過ぎている。俺が表立ってこの「幻影の巨塔」に赴けば、お前たちワールドセイバーは必ずターミナルのアスラン・ザラが介入したとして対策を取ってくるはずだ。だからその為に…俺は身分を偽り、正体を隠してきた。山野博士の計らいでな。ここなら俺とお前しかいない。これでようやく…俺も思う存分戦うことができる…! 」


♪ :Just one way to freedom


ヴァサゴ「ヘッ…そうかよ…!つくづく…楽しませてくれるよなァ…――――― アスラン・ザラァッ!!! 」


♪ :Freedom


アスラン・ザラ「残念だが、もうお楽しみのゲームの時間はお終いだ。ここで……終わらせるッ!! 」


♪ :Freedom


アスラン・ザラ「  アスラン・ザラ  ジャスティス ―――――― 出るッ!!   」


キ ュ ゴ オ ォ ア ッ ! !  /  ド オ ゥ ッ ! !  (深紅の閃光、漆黒の流星。向かい合う二色の光源が同時に発進。真っすぐに、しかして屈折を交えた接近で奈落空間の下へ更に下りながら衝突を再開させる)


♪ :時空を切り裂いて 自由を捕まえて


ヴァサゴ「ギィヤハハハハハハァッ!!!だったら見せてみろよォァッ!!テメェの上っ面な"正義"とやらが何処まで本物かってよォ!!(急降下…否、もはや自分の意思で真下に広がる奈落へ向かう最中、共に落下する深紅の機体に向けて素早く飛び出すと凶刃を豪快に振り抜いて迫る) 」

アスラン・ザラ「上面でもいい。真に中身が伴わなければ、見せしめる"正義"もありはしないのだからッ!!(ズゴックという外装から解放された正義の権化たる赤い機体は、スタイリッシュな挙動と機動力を発揮。オーバーロードを発揮したヴァサゴに勝るとも劣らない速さで迎え撃ち、手繰り寄せたビームサーベルを振り抜いて応戦する) 」


♪ :手のひらに掴んだ


ガギギギギィッ―――ガッギャッン―――ザギィンッ――ガギィインッ―――――ガッギャギギギギィイインッ!!!!(二対の斬撃が流線のように滑らかに、あるいは直角に、曲がりくねながら相克に火花を散らす。弾ける火花は深淵たる奈落を刹那的に激しく照らし、重い衝突音が残響する)


ヴァサゴ「だったらブッ壊してやるよッ!!!そんなくだらねえ理念も、テメェもなァ゛ア゛ッ゛!!(ガォンッ、ガオォンッ――――ザウバァァアンッ!!!)(×状に振り抜いた斬撃を前方に描き抜き、砲弾のように凶刃で押し飛ばすように放った) 」


♪ : 遠い空を眺めている 未来を見る訳じゃない


アスラン・ザラ「させはしない…お前にも、お前たちにも…これ以上手を出させはしないッ!!(――― ギ ュ ゴ オ ウ ッ ! )(背面リフターのスラスター点火。ズゴック操作時にも見せた華麗な旋回回避テクニック――だが、今はさらに磨きがかかったように身軽な挙動――で罰点型の斬撃へ飛び込み、掻い潜る) 」


♪ : 何度も平和の理念を誰かに問いかけてみたくて


ヴァサゴ「ッハ!!!!!(そうこなくては―――殺人鬼であると同時に戦闘狂でもある自身にとって、やはり相対するこの男の相手こそ自分に相応しい。そう伺わせる不敵な笑みが自然に零れだし、斬撃を掻い潜ってきたアスランを迎え撃たんと落下の中で逆さ釣りの姿勢で待ち構える) 」


♪ : 輝いていた瞳の奥 正義は決して動かない


アスラン・ザラ「 ハァッ!! (ズガガガガァアンッ!!)(携帯武装・試製35式改レールガンを素早く手に取り、待ち構えるヴァサゴに向けて牽制の意で射出)――――― グルンッ ザギィィインッ!!(砲撃がいなされることを前提に眼下から懐へと滑空接近しサーベルを振り抜く) 」


♪ : 天秤のよう 微かな揺れ 理性をかき乱す


ヴァサゴ「ヒャハハッ―――ハァッ!!!(ザギィンッ―――チュボガアアァァアンッ!!)(逆さ姿勢から砲弾を真っ二つに両断。爆散によって立ち込める黒煙の中、これがアスランの攪乱であることは既に把握済みとして眼光を己の死角に向ける。姿を変えたとはいえ、中身は所詮同一人物。これまで幾度とゲームエリアで交戦してきたのだ。アスランの行動パターンを自分なりに分析した結果―――)――――ェェェァァアアアッ!!!(――― ガッギィ゙ィ゙ィ゙イ゙イ゙イ゙イ゙ン゙ッ゙!!!)(予感的中。真下から潜り込んできたアスランのサーベルを上から抑え込むように凶刃を叩きつける) 」


♪ : 君のResistance 僕とのDistance 遠く離れすぎている


アスラン・ザラ「 ッ ――――― ! (ガ ィ ン ッ――― ヒュゴォッ!)(叩きつけられた衝撃を、落下への推進として利用しする。ヴァサゴがそうであるように、この男、アスラン・ザラも同じである。プランダラの筆頭格を担う、この男を抑え込めるのは、事前情報で知り得た上で幾度と交戦を仕掛けてきた自分しかいない。プランダラに対抗するためにこの幻影の巨塔へ潜り込んだのだ。すべては、奴らの悪事を阻止するために。その強い意思が、自分に課せられた役目が、今…この時を以てその責務に立たされている―――) 」


♪ : 純粋な笑顔を支えに 駆け抜けたあの頃の風を


ヴァサゴ「逃がしゃしねェ…ッ!!徹底的に斬り刻んでやっからよォアッ!!!(――― ド ォ ゥ ッ ! ! )(爆発的な脚力で虚空を蹴り上げ、落下するアスランを追跡) ド ォ ゥ ッ ――― ド ォ ゥ ッ ――― ド ォ ゥ ッ ――― ! ! ! (足場のない虚空を何度も蹴り上げ、宛ら地面を駆けるかの如き勢いで突撃する) 」


♪ : もう1度感じたい Save Tears


アスラン・ザラ「 く ッ ――――― ! ( ギ ュ オ ゥ ッ ―――― ド オ ォ ゥ ッ ! ! )(―――なればこそ、この戦いに決着をつけなければならない。自分が信じる「正義」のために。誰かに託す「自由」のために)バッ―――バシュンッ、バシュンッ、バシュウンッ!!(レールガンではいとも容易く弾かれ対策される。ならばと武装を躊躇いなく手放し、代わりにビームライフルに切り替え、背中を下に向けた落下姿勢を維持したまま、頭上から迫るヴァサゴを撃ち落とさんと翡翠色の閃光を幾つも射出する) 」


♪ : 無償の愛がある 心の奥底の




ヴァサゴ「――――ッヘェアハッハァ!!!( ギ ュ ン ッ ―――― ド  オ オ ゥ ン ッ ! ! ! )(しかし、覚醒を遂げた今の自分には如何なる銃弾も止まっているようなものだ。放たれたビームライフルの軌道を看破した神速移動で蛇行するように潜り抜けると一瞬でアスランの懐へ潜り込み、その腹部をめり込む勢いで踏み込んだ)ヒャハハハアア゛ッ゛!!オーバーロードもできねえテメェに何ができるッ!!?これが俺の強さだッ!!すべてを捻り潰す圧倒的ななァッ!! 」


♪ : 信じる気持ちでも 砂の様 こぼれ落ちる


アスラン・ザラ「 ぐ ぅ う゛ ッ゛ ! ! ? (踏み込まれた衝撃が全身に電流が如く迸る。確かに、今の奴に対抗するための力は持ち得ていない。それでも、焦りはしない。臆したりもしない。ただその先にある、小さくても確実にある、微かな勝機の瞬間を掴み取るタイミングを、その正義感を秘めた瞳はずっと見定めている。揺るがない双眸の瞳孔の黒い点の中で、いつかの記憶が映像のように映し出される――――) 」


― 回想・「カオスファンタズマ」リリース数日前・ターミナル本拠地・開発室 ―


アスラン・ザラ「―――――……博士、『これ』は…っ…? 」

山野淳一郎「ああ、そうだ。これが君に託したかった新たな機体…その名は、『 インフィニットジャスティスガンダム弐式 "type.影幻《 シムラクルム 》" 』。既存機体の全体的なスペックの向上に加え、特徴的な機能として…胸部フレームに「マルチアクセラレイター」を搭載した。これは本来、私が専門としているLBX機体に使われるもので、それまでの機動力を遥かに上昇させることに成功した。 」

山野淳一郎「この機能を搭載したことで、君のジャスティスは宛ら「幻影」を生み出し、操るかのような驚異的な速さで敵を翻弄・瞬殺することが理論上可能となっている。しかし、マルチアクセラレイターは操作の入力から機体の動作に一瞬のラグが生じる代償がある。故に、操縦者は常に敵の行動を先読みしての操作を余儀なくされ、非常に扱いが難しい機体特性に仕上がってしまったが…卓越した操作技術と豊富な戦闘経験を持つ優秀なコーディネーターである君なら、きっと使いこなせると信じている。 」

アスラン・ザラ「……わかりました。俺の為に仕立ててくれた新機体だ。博士の期待に応えるために、全力を尽くします。 」

山野淳一郎「……ありがとう、アスラン君。それから、恐らくだが君の存在はワールドセイバーにも知れ渡っていることだろう。君のジャスティスガンダムを対策されてしまっては本末転倒だ…そこで、幻影の巨塔にアクセスする際は、この機体を別の旧型機で覆うようにカモフラージュを行う。特殊外装を担う旧型機として、比較的警戒心が薄いとされるMSとして「ズゴック」も用意した。しかし、後者には活動限界がある。無茶な戦闘をすればすぐにオーバーヒートしてしまい、外装が剥がれる可能性が極めて高い。くれぐれも気を付けるんだ。 」

山野淳一郎「……来るべきワールドセイバーとの戦い…奴らの総力は未知数だ。万が一君の身に何かがあればと思い、私も苦肉の策でこの開発を進めてきたが… だが、その目を見れば杞憂かもしれない。今の君は、迷いがない。これまで放散していた様々な感情が一つに集約されたかのように。フッ…ニコル君がそう言っていたよ。 」

アスラン・ザラ「ニコルが…?………(そういえば…と、いつかの日を思い出す。時空を超えた大冒険の果てに、親友に吐露した夢の話のことを。あの出来事があったから、今の自分があるのだと。もう一度、気付かされる)……フッ……そうかもしれませんね。(自嘲気味に、それでもどこか嬉しそうに表情を綻ばせる) 」

山野淳一郎「……アスラン君、武運を祈る。君の「正義」を必要としている人たちの為に。 」

アスラン・ザラ「ああ… 博士、行ってきます――――――― 」






アスラン・ザラ「――――――――――――― 」


♪ : 数えきれない 絆が砕ける いつからか歪みだした


確かに俺は何度も迷った。
迷って、迷って、迷い続けて…本当の自分さえも分からなくなって…


それでも…―――――――――


♪ : 共にふるえたあの感動を もう1度みたくて


『 ワ・ワ・ワイズの大爆笑 ♪ドラマ開けば顔なじみ♪  』


『 かましてちょうだい今日もまた♪誰にも遠慮はいりません♪ 』


『 ワ・ワ・ワイズの大爆笑♪5人はますます元気です♪  』


『 今日のテーマは何だろな ♪ 』


『 力いっぱいぶつかるぞ♪ 』


『 ぴ え ん 』


そんな悩みなんてちっぽけなもんだったって笑い飛ばしてくれる奴らと出会って――――


♪ : あの瞬間のEruption 仲間とのRelation


『 きっと、アスランも「ここ」に居たがっているからだよ! 』


こんな自分を肯定してくれる奴がいて―――――


ここにいる意味を、戦う理由を… ようやく見つけた


それが俺の…―――――――


♪ : 忘れられぬ思い Crisis


アスラン・ザラ「―――――― ! ! (蹴り飛ばされた衝撃の反動で吹き飛びかけた自我を取り戻すかのように、朦朧になりかけた意識が呼び覚まされる) 」


♪ : 星屑の遠い彼方に 君を見た 抱きしめたかった


アスラン・ザラ「 ああ、そうだ…ッ!俺は何も選ばれたわけじゃない!何かを持って生まれたわけでもない!俺たちは生きて…生きて…ッ!生き続けた先で、自分で何かを選び、掴むものなんだッ!!(そんな「正義」と「自由」を忘れずに、今日まで生きてきた自分の答えは間違ってなんかいない。そう張り上げるように上体を起こす様な挙動で後退滑空し、ヴァサゴを飛び越えて遥か頭上へと飛翔する) 」


♪ : 無期限の闇 Great Gate


アスラン・ザラ「(信じている、俺《 アスラン・ザラ 》を――――――――)   バ  ッ  !  !  !  !  (そして、遥か上空にて踵を返しように身を翻し眼下のヴァサゴに狙いを定めるように身構えた) 」




ヴァサゴ「 ヘ ッ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ア ァ ッ … … ! ! ! ほざけェ゛ァ゛ア゛ッ゛!!!俺よりも強さの劣るテメェがァッ!!! ( ボ オ゛ ォ゛ ゥ゛ ッ゛ ! ! ! )(全身に纏われる赤黒く禍々しい邪気が暴発したかと思えば、その周囲に自身の分身体を二体生成。三人に別たれた殺人鬼が頭上の獲物に激しい憎悪を剥きたてる) 」




ヴァサゴ「 「 「 テメ゛ェ゛はここでェ゛ァ゛ツ゛!!!ゲームオーバーだってんだよ゛ォ゛ォ゛ォ゛オ゛オ゛オ゛ア゛ア゛ア゛ッ゛ッ゛  !  !  ! (悪魔のような怨嗟を秘めた叫びが三つに重なって強く反響。左右、そして直線状に一気に空中を駆け上がり、三方向からその首を確実に斬り落とす気迫を以て襲来する。全身全霊の殺意を込めた、最恐の凶刃を振り抜いて――――)」 」 」 」


♪ : 儚い争いを 愛しき舟に乗せ




アスラン・ザラ「   強さ は 力 じゃないッ ―――――――――――    」


―――――「 これで終わらせるッ!! 」―――――


―――――「 本当に、使えないな 」―――――


―――――「 俺が……お前を撃つ!! 」―――――


―――――「 この馬鹿野郎……ッ!!! 」―――――


「 「 「 「 未来に抗う!!それが俺の……『 アスラン・ザラ 』の意志だ!!!! 」 」 」 」


♪ : 理想を平和とし どこまでも飛び立つ


キ ラ キ ラ ――――――― パ リ ィ ィ イ イ イ  ン ッ ! ! ! ! (アスランの瞳孔の奥の奥…宇宙のように無限に広がる空間にて、彼の種《 SEED 》がついに弾ける――――!)




アスラン・ザラ「     「 生きる意志 」だ ッ !!!  "必殺ファンクション" ッ ! ! ! !     」



【 ATTACK FUNCTION "CATASTROPHE DRIVE" 】



キ ュ゛ ゴ オ゛ ォ゛ ゥ゛ ウ゛ ッ゛ ―――――――  !  !  !  !  (奈落の底から這いあがるように襲い来る三つの凶刃を迎え撃つように飛び出した"赤い彗星"が、流れ星のように勢いをつけて高速機動を得て飛び出していく。たった一つしかない身体…その輪郭が"幻影"のように揺らめきだし――――― 『 強い意思を持った4つの姿 』に分裂したのだった)


ヴァサゴ「 「 「    !   !   !   ?    」  」  」 」


♪ : 時空を突き抜ける 英知が吹き抜ける




ザ   ギ   ィ゛   イ゛   ン゛   ッ゛   ――――――   !   (1体目―――【激情】たる意思を秘めた機体が、振り上げた右脚部に備わるビームブレイドによる苛烈な斬撃でヴァサゴの一体を力強く圧倒する)



ザ   キ  ゙ ィ゛   イ゛   イ゛   ン゛   ッ゛   ――――――   !   !   (2体目―――【非情】たる意思を秘めた機体が、サーベルの柄頭同士を接続し変形させたハルバードで二体目のヴァサゴを冷酷に斬り捨てる)


ザ   ギ   ィ゛   イ゛   イ゛   イ゛   ン゛   ッ゛  ――――――   !   !   !   (3体目―――【純情】たる意思を秘めた機体が、左腕に備わるビームシールドにマウントされている大型ビームブーメランを投擲することで、三体目…即ちヴァサゴ本体の斬撃から身を守るように弾き返し、次なる反撃への決定打を創る)


♪ : そしてそこに君が 必ず待っている


ヴァサゴ「――――――――――――  ッ゛ ッ゛ ッ゛ ! ! ?  (殺意の波動によって生み出した自身の分身体を悉く掻き消された挙句、本人自らが振るったはずの斬撃さえも弾かれて思わず友切包丁がその手から離れて宙を舞ってしまう。動揺で表情が歪むその瞬間、殺人鬼の瞳に…三体の赤い機体に紛れてその際奥に隠れていた…『四つ目の影』が映った時には――――――) 」




ザ   ギ   ィ゛   イ゛   イ゛   イ゛   イ゛   ン゛   ッ゛   ――――――   !   !   !   !   (そして、4体目―――【友情】たる意思を秘めた機体が、ここまでの道筋を紡いでくれた三つの意思を繋ぐように出現。その頭部に備わるセンサーに代わって搭載されたビームホーンが、激しい輝きを帯びて光柱のように天高く伸び出していた。助走をつけた姿勢から既に振り挙げられていた"正義の聖剣"を勢いよく振り下ろしたのだった)


ヴァサゴ「―――― グ ギ ャ゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! 」


♪ :Freedom


アスラン・ザラ「―――――― ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ お お お お お お お お お お お お お あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ッ゛ ッ゛ ッ゛ ッ゛  !   !   !   !    」


ザ ギ ィ゛ イ゛ ――――――――――――― ン゛ ッ゛ ッ゛ ッ゛ ッ゛  !  !  !  !  ("正義の刃"が、殺意の憎悪を一刀両断する――――――――)


♪ : Freedom




ヴァサゴ「    が      ァ゛  ッ        ア         ――――――――――――  (肩から胴体にかけて深い斬痕を刻まれたその男は、絶頂を向けたかのように白い目を剥きだし…全身に纏っていた赤い光を、自らの流血と共に儚く散らしながら…深い深い無限の奈落の底へと堕ちていくのだった――――――――――) 」

アスラン・ザラ「―――――――――…………はぁ………はぁ……ッ……… ! ! (ついに、自らの「正義」を示した。別たれた4つの機体の内の3体の幻影は、まるで本体の中へ戻っていくかのように消え去っていた。足場のない空間でスラスター噴射での滞空を維持したまま、奈落の果てへと落ちていくヴァサゴの最後を、完全に視界から消えるまで見届けた) 」

アスラン・ザラ「はぁ……はーっ……はぁ…っ………―――――――  っ は ぁ  … ! (深紅の機体を纏う青年は、その装甲内部で尋常ではない汗と熱気に包まれて重苦しい溜息を吐いた。だが、その表情は何処か清々しさも感じられた。その心には、もはや迷いも躊躇いもない。 今、この瞬間…アスラン・ザラという人間の「自由な物語」は…まだはじまったばかりなのだから――――) 」




――― 勝者 : アスラン・ザラ ―――





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最終更新:2025年07月30日 19:19