カオスファンタズマ Re:辺獄篇 第3区画 戦闘ログ③

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(※第2区画より


クロノラ「―――……!迷宮を抜けた…!ここからやっと第三区画に突入だよ…っ…! 」

フレイミス「っし……!思ったより早い到着かもな…もう他の奴らは先へ行ったのか…?とにかく、このまま突っ走って―――――― ッ゛ ? ! (刹那、頭蓋に電流が走ったような激痛に襲われ、その場に片膝をついてしまう) 」

クロノラ「フレイミス…っ!?だ…大丈夫…っ…?どこか、痛いの…!?(蹲る彼に慌てて駆け寄り心配そうな眼差しを送る) 」

フレイミス「……あ、あぁ……悪ぃ……けど大丈夫だ…。多分、さっきの戦闘で無茶しすぎたかもしれねェ… けど…甘いもんを食べればすぐに回復する……そうだよな…?(アスランの方を見あげながら) 」

アスラン・ザラ「………………(こちらへ視線を向けるフレイミスに、思わず目を伏せるように沈黙する)……いや…――――そうはいかないかもしれない (そして、言い淀むような苦い声音で返答する 」

フレイミス「………?(「どういうことだ…?」と訝しむように微かに傾げる) 」

アスラン・ザラ「……フレイミス、伝えるのが遅くなったことをお詫びしたい。本当にすまなかった。もっと早くに忠告するべきだった…お前は……お前に目覚めたその「力」は――――― 」

山野淳一郎(SE)「――――アスラン君、私から説明しよう。(彼の発言を遮るように、ズゴック機体内部から科学者の男の通信が割り込んだ)……以前とは状況が違う。フレイミス君…君の場合…「覚醒」のスピードがあまりにも早すぎる…。これでは身体が持たない。ましてや、成人していない君の体は成長発展途中…その負荷は甚大だ。 」

フレイミス「……平気だ…これくらい、なんてこたぁねえ……っ… この奥にいるセレディの野郎に勝つためには、『オーバーロード』しかねえんだろ…っ…?(呼吸が微かに、しかし強かに、乱れ始める―――) 」

アスラン・ザラ「――――― 精神崩壊の恐れがあってもか?(山野博士に続くように、重く険しい警鐘を鳴らす) 」

クロノラ「……どういうこと…っ…?フレイミスの体って…今…そんなにひどい状態…なの…っ……? 」

山野淳一郎(SE)「……『オーバーロード』の研究はかつて各国で行われていたが、あまりにも脳への負担が大きいため、今ではほとんどの国が中止してしまった。かくいう私も被験者無しでその研究を独自に行っていたが、その真相を知れば知る程、力の脅威よりもその危険性が勝り、目を伏せたくなるほどであった…。 」

山野淳一郎(SE)「人間は通常、潜在能力のすべてを使うことはない。自己保存の本能から、無意識に力をセーブしている。『オーバーロード』は、そのリミッターを外すことだ。ただでさえ危険な行為だが、それが連続的に発動されると肉体・精神共に不全に陥り、脳神経に悪影響を及ぼし…最悪の結果として「廃人」になる危険性が大いにあるのだ。 とにかく、君は極限状態にあるということだ。オーバーロードによって研ぎ澄まされた感覚はより鋭敏になり、五感が昂るほどに生命力を大きく消耗させる……だから…もう使うべきではない…。 」

フレイミス「…………―――――――― 俺、死ぬのか……?

アスラン・ザラ「………………… 」

クロノラ「……フレイミス……っ…… 」

フレイミス「……だとしても……俺は…っ… 俺は……ッ……! 」


ザリ、ザ…ッ……ポタ、ポタ…ッ…… ザッ……ザリ、ザ…… ポタ…ポタン…ッ……―――――(立ち止まる一行の前方。暗がりの通路の奥から何かを引きずり、ある時は滴るような音が同時に聞こえてくる――――)




ヴァサゴ「―――――― ぎゃあぎゃあと騒がしいと思えば…ゼェ……ッ… こぉんなところまで来てたぁなあ……?(その正体は、狂気の殺人鬼。片足を引きずり、胸部からどくどくと零れだす赤色の滝によって赤いカーペットを描きながら彼らの前に姿を現した―――) 」




フレイミス「―――――!テメェは……ッ!(思いもよらぬ乱入者を前に、咄嗟的に身構える) 」

アスラン・ザラ「……ヴァサゴ・カザルス……生きていたのか。(赤い機体の単眼が、敵を補足し鋭い眼光の如く輝きを帯びる) 」

ヴァサゴ「 ヘッ……!これはこれは…"赤い彗星"もいたのか… よりにもよってこの俺に一泡吹かせた連中が揃いも揃ってよォ……エリノラァ…テメェも例外じゃあねェんだぜ…?テメェさえいなけりゃあ…俺はここで「殺し」を合法的に楽しむことができたってのによォ……! 」

クロノラ「……っ…… どんな理由であろうと、誰かを傷つけることは許されることじゃないよ。それは、誰かに傷つけられた今の君自身がよくわかっているはず……!なのに…っ……―――― 」

ヴァサゴ「 ―――――――  黙゛  れ゛  (ドス黒い殺気を剥きだし、非力な少女であろうと容赦なく戦慄させる) 知れたことを…ッ……!テメェら青二才の餓鬼どもに何がわかる…?俺ァな……テメェらみてぇにぬるま湯につかりながら生きてきたわけじゃねェんだよ…ッ…!実の母親に悪魔の忌み名を付けられ、早々に捨てられた俺の行く先は一つだ。暴行、強盗、密輸、殺人……そして、「戦争」さえも経験した…ッ!!信じられるものは何一つなく、信頼なんてもんをこの世に生んだ人間を殺すことだけが俺の愉悦だったんだ…!そうだ…人間の本質ってのァ…テメェらが思ってる以上に真っ黒ぇモンなんだよ…ッ! 」

ヴァサゴ「人は人を妬み、恨み、怒り…「殺したい」と思う程に憎む…ッ!善人ぶった連中も、他人が殴り合う様を見て蔑みながらも心の何処かで愉快滑稽だと嘲笑う…!こんなゲームの世界でさえPK(プレイヤーキル)なんてものが生まれるくれぇに、人は人をッ、傷つけ、殺すことをやめられないッ!!そんなことも分からねェ偽善者共がのさばるこの世がよォ…!俺ァ憎くて憎くてしょうがねェんだよォッ!! 」

ヴァサゴ「傭兵時代…戦場で俺を拾ったセレディの野郎もなァ…ッ!殺戮を肯定してくれたんだよッ!!俺に生き甲斐と行き場を与えくれたんだよォッ!!そいつに裏切られて改めて気づいたよ…そうだ……俺は今も昔も…信頼もクソもねェこの殺伐とした「戦場」にまだ立っていたということなァ…ッ…!!そんなことも忘れてよォ…我ながら反吐が出るぜッ…!!これが平和ボケってんなら尚更罪深ェよなァ…!? 」

ヴァサゴ「だから俺は"殺す"ッッ!!俺に「戦争」とは何かを唱えたセレディの野郎もッ!自分が「戦争」を始めたと勘違いしている権力者共もッ!「戦争」を非難しながらもやめようとしねェ偽善者もッ!!そんな「戦争」を知らねェガキどももッ…!!この世界という名の「戦場」に立っているすべての人間を、"殺す"ッ!!殺して殺して、殺しまくって… 想い知らせて殺る…ッ!これが人間(ひと)としてのあるべき姿だってなァッ!!! 」

フレイミス「……ッ……正気なのか…テメェ……!(ここまで激しい憎悪を剥きだす人間に、もはや正論をぶつける余地などない。それは成人していない自分でさえも肌身で感じるくらいには理解できていた) 」

アスラン・ザラ「……殺戮に生き、殺戮に殺された哀れな男…か…… 同情も共感もしない。今更お前に何かを説くこともない。だが…俺は俺の「正義」で…ヴァサゴ・カザルス、お前を止める。 」

ヴァサゴ「ッハ…!それでいい…!殺し合いに理由なんざどうだっていい…ッ!人間の本能なんだからよ…ォ!!意の向くままに殺り合えりゃあいいんだよ…!!(口の端から滴る吐血を腕で拭い去り、狂気的な笑みを浮かべる) 」

クロノラ「……おかしいよ…そんなの…っ…… 私には…理解できない……っ……(AIとしても人間としても、眼前で不気味に嗤う殺人鬼の思想にただただ慄くことしかできない) 」

阿久津 大夢「 カンッ (鉱物が床石の上を跳ねる音がヴァサゴの背後の暗がりから響く。第二階層の出口、フレイミス達が経由してきたそれとの別ルートから様子を伺っていたのであろう"阿久津 大夢"が、そこに佇んでいた)…………(人を食ったかのような大胆な笑みはない、そのように繕おうとする必要もないのだろうか。 手を挙げ、一歩前に出ヴァサゴ、そしてアスランの双方に歩み寄る) 」

阿久津 大夢「 待った。 ちょっと待ってくれヘッド、アレックス・ディノも……  頼む。(切実に、慎重に言葉を選び声を捻り出し、双方へ目配せした。) 問答の是非は問わねえけどよ、"戦争"だろうが"生存"だろうが、頭数抜きに何もできねえ状況なのは馬鹿でもわかるだろ。特にヴァサゴ……お前は"ソロ"だ。今ここでアスラン・ザラとやりあって次はどうする?この状況で一番笑っていられるのはどいつだ。よく考えろ?いやいるか考える時間? 」

ヴァサゴ「……ブロ(兄弟)……(別方向の暗がりからゆらりと姿を現した阿久津――兄弟の契りを交わした悪友――に、僅かに殺意が落ち着きを取り戻しつつあった)……考えるまでもねェ… こいつらを皆殺しにしたら次はセレディを… んでもってオムニバスも、この状況を安全圏で高みの見物決め込んでいる輩共もひとり残らず殺すだけだッ!!「殺す」ことに考えもなにもねェ…そうだよなァ…!?(本人は至って友好的のつもりだ。しかし、少なくとも同胞でさえ彼の表情は人の言語を話すだけの化け物以外の何物にも見えやしない。理解することも、それを求めるなども敵わないほどに―――) 」

阿久津 大夢「 できねえんだよ!できねえから待てって言ってるんだろうがッ!!(主張ではない、訴えだ。声を荒げ、迷宮の出口、その境界線から踏み出さず訴える) 戦争にだってやり方ってもんがあるだろうがッ!勝ち方があるだろうがッ!!生き残ってのし上がらなきゃ負け犬だ!!少なくとも殺されなきゃ犬畜生でいられるッ!!今は"生き残る"っていう共通目標があるんだ、こいつらと塔を出て立て直せ!!でなきゃセレディの一人勝ちだろうがッ!! 」

阿久津 大夢「なあアンタらからもなんとか言ってやってくれ、『セレディの首を取る!!』その目標さえ一致すりゃこいつだって優先順位を変えるぐらいの分別が!……(「無理だろ、絶対」)分別がまだあるんだよッ!!(訴えの先をアスラン達に変える。だがその背後にあるクロノラの姿、満身創痍のフレイミスの姿を見、悟る。その訴えは徐々に細く、弱々しくなっていく)な、なあ……頼むよ… 」

阿久津 大夢「(  彼は理解っていなかった。  底しれぬ殺意という狂気と、利害を無視した善性という名の『狂気』を。ただの悪意ある人間には、到底) こんなはずじゃなかったんだ……  セレディ・クライスラーがしゃしゃってくるなんてよぉ……!(少しぐらい、甘い思いができりゃそれでよかったんだ) 」




ヴァサゴ「殺れるさッ゛!!かつてねェ程に殺意が昂った、今の俺ならなァ゛!!!(しかしこの男は食い下がる。我が身やこれからのことを案じてくれる同胞の気遣いさえ無下にするような、自己中心的な殺戮欲求が、彼自身の理性を蝕んでいた)それにな…俺は死なねェぜ…ブロ?死んでも死ねきれねェんだよッ!!あのクソガキのセレディさんをよォ…!!一泡吹かせてやんねェことには俺はここを出るつもりはねェッ!!これはもうゲームでも幻影でもねェ…現実(リアル)なんだよッ!!んだったら奴を殺すにゃあ今しかねェだろがッ!! 」

クロノラ「………っ…(今の状況下で、辛うじて阿久津の気持ちに寄り添おうとしていたのは彼女だけかもしれない。 阿久津の弱っていく声音、眼差しを目の当たりにしたことで、警戒心を抱くフレイミスとアスランの二人とは違い、得も得ない表情を浮かべていたからだ…) 」

アスラン・ザラ「………(阿久津の言葉に耳を傾けていないわけではない。しかし、彼の提案を安易に呑み込むことは不可能だ。底知れない憎悪…殺意を孕んだ男と共闘するなど、まともな人間であればまず考えもしない。端からない選択肢だからだ。否定するように、青年はただ静かに目を伏せる) 」

フレイミス「……ッ……―――――(長名少年には、大人たちの考えることなどまだ理解は難しい。正義の分別も、将来への生き方さえも。今はただ、「敵」と見なしているヴァサゴと阿久津の二人と距離を保っているのに精一杯であるように感じられた) 」

阿久津 大夢「…………。  ( 「駄目だ」 何も馴れ合えという話ではない。互いを利用しろ、使える道具とみなし優先順位を変えろ。それだけの、常識の範囲内の提案だった。だが善悪に双方は振り切れている、ある種、人間性から乖離した精神を持っている。  「駄目だ、 "まともなのは俺だけだ" 」 ) カクッ  カクッ     カクッ  (膝が崩れる音がした。一歩後ずさろうとして思い留まる。退路はない)(「今退けばオムニバスに遭遇する。慈悲を求めるか?いやそれはない、こいつらが狂人なら、あいつらは機械だ。会話の時点で無理だ」)……( 「なかったことに"したもらう"しかねえ、このクソッタレなビジネスを」 ) 」

阿久津 大夢「―――――――――(この時、双方の"眼"から、自身の精神状態との距離感を阿久津は図り損ねなかった。クロノラを一瞬だけ一瞥し) あ"あ"わかったよブロ!!やっってやろうじゃねえか!!そうと決まりゃ一緒に死んでやるよォ!!(掌に二進数の柱を生成。武器、チェーンソーを召喚し声を荒げ、ヴァサゴと並び立った) 」




ヴァサゴ「……ッヘ…ケヘヘ…ッ…!ヒィハハハハハハハ八八八八八ッ!!!そうだ…それでこそブロッ!!「盃」を交わした仲だ…一緒に殺り合おうぜ…この腑抜け共をなァッ!!ギィアハハハハハッ!!!ヒィェェァァァァアアアハハハハハハハハハハ八八八八八八八八八八ァッ!!!! 」

クロノラ「…やめて……やめて…ッ!!本当はそんなこと望んでいないはずだよ!?こんなのは間違ってる…! 誰かを傷つけて解決することなんて―――――――― 」

ヴァサゴ「綺麗事抜かしてんじゃねえよ小娘がァッ!!散々安全なバックに居続けて、ここぞとばかりに俺を追いやった…ッ!!挙句の果てにテメェがぜんぶ引っ掻き回してきたんだろうがッ!!?何が「幻影の巨塔」だ…ッ…!何が「ロギア」だ…ッ!!何が「カオスファンタズマ」だ…ッ!!!幻想を夢見てきやがって…ッ!!全部ブッ壊してるよォ゛ッ゛!! テ メ ェ も な ァ゛ ッ゛ ! ! ! (菜切り包丁型の醜悪なオーラを纏う魔剣「友切包丁」(メイト・チョッパー)をその手に掲げ、フレイミスとアスランの首を斬り落とす勢いで差し迫った―――) 」




――― Vs. ヴァサゴ・カザルス&阿久津 大夢 ―――



フレイミス「ッヅ――――――― ! ! (殺意を全開に剥き出したヴァサゴ、ついになりふり構わなくなった阿久津。両者の襲撃を前にガントレットが火を噴き始める)―――――クロノラッ!!離れてろッ!!できるだけ遠くへッ!!!ぐッ゛!!!(ガッギギギギィtィィイイイインッ!!!)(ヴァサゴが振り下ろす凶刃を交差した両腕で防ぎにかかる…が、比べ物にならないほどに"重い"。圧倒的な殺意を込めただけでこの質量の斬撃を、少年は今まで知りもしなかった―――) 」

アスラン・ザラ「―――――援護するッ!!(――― ギ ュ オ ン ッ ! ! )(襲い掛かる二人…その内、阿久津と対峙を図った赤い彗星は両腕のクローの先端を突き出し、背面のリフターから爆発的推進力を働かせて特攻を仕掛けた)お前の相手は……俺だッ!!! 」

クロノラ「う、うん…っ…!(迫真の叫びをあげるフレイミスに驚きつつも言われるままに後方へと小走りで駆け抜けていく) 」

阿久津 大夢「ああそうだ!アスラン・ザラ!!ブロはテメエから殺りてえってよォォォォオオオッ!!(超人共からすれば散漫な動作で駆け出し、全体重を乗せたドロップキックをフレイミスへ浴びせる→着地と同時に最跳躍。フレイミスへ掴みかかり床石の上を揃って転がりアスラン・ヴァサゴの間合いから離脱を図る) 」

ヴァサゴ「ギィェァァアハハハハハハハッ!!!ガキがァァ…ッ!!この間はやってくれたなァ…!?テメェ如きに止められる俺だと思うなよォアッ!!?(ガギィンッ、ガギャァンッ、ギギィンッ、ガギギギィィイインッ!!!)(縦横無尽に振り抜かれ続ける凶刃。物量も質量も桁違いでありながら、そんな武装を片腕のみで軽々と振り回す。数えきれない視線を、決して常人には理解できない凄惨な過去によって築かれてきた殺戮衝動が、人間にできる許容範囲を遥かに超越させるほどの挙動でフレイミスに容赦ない斬撃を絶え間なく畳みかける) 」

フレイミス「がッ…―――― シフトチェンジ"セカンド"!「加速」・「開拓」ッ!!( ジ ャ キ ィ ン ッ ――――― ギャリリリリィァッ!!ガギギgィツンッ!!ガッ、ギィィンッ!!ギャギィインッ!!)(ブーストをかけた状態から両腕にブレードを突出させ、ヴァサゴと剣戟に躍り出る。しかし、苛烈な剣舞…否、乱舞を披露する男の軌道を読み抜くことは叶わず、至る箇所に掠り傷が次々と刻まれていく) 」

フレイミス「こんのッ――――― がッ ! ? (反撃に出ようとしたその瞬間、阿久津のドロップキックが脇腹にめり込み、真横へ無様に蹴り飛ばされる)ズギャギャギャーーーッ……!!くそッ…!!こいつr―――――ぐぁッ!?(立ち上がろうとしたのも束の間、掴まれたままアスランと引き剥がされる) 」

アスラン・ザラ「……!フレイミスッ!!今行くぞ…ッ!!(阿久津に連れ去られたフレイミスを追跡しようとするが―――) 」

ヴァサゴ「――――背中を見せる余裕があるかア゛ッ!!?(フレイミスを追いかけようとするアスランの機体へ飛びかかり、凶刃の刀身に纏う赤いオーラが揺らめき、残像剣となって振り下ろされる) 」

アスラン・ザラ「くゥ…――――― ガ    ギ    ィ゛ イ゛    ン゛ッ゛   ! ! ! (背面カメラに映らったヴァサゴに対し、咄嗟に期待を回転させてクローで大きく凶刃を弾く。火花と鋼の残響が飛び散る最中、フレイミスの追跡を一時中断するようにマニュピレータを巧みに操作。しかし、「ズゴック」という旧機体はそれにワンテンポ遅れて反応し、辛うじてヴァサゴの一撃を受け止める)……ラフィン・コフィンの元大締め…やはりその実力は…くッ……!!(シュドドドドドァッ!!)(ヴァサゴを蹴り込み、リフターからミサイルを一斉射出する) 」

阿久津 大夢「見たと降りだァ。悪いなお疲れのところ、どいつがやったか知らねえが感謝するぜ……ッ(身体能力はフレイミスより格下。だが体格差、無傷、温存された体力というアドバンテージで辛うじて優位に立ちマウントポジションを取ると) 安心しな、俺の手は"綺麗"なことで有名なんだ。今更オイルまみれにしようってつもりはねえよ……ッ 大人しく、寝ててッ!!くれれば!!なァ!!(顎、脳を揺さぶるウィークポイントを狙った拳を何度も、"必死"にフレイミスへ振り下ろしにかかる) 」

フレイミス「……何処かが"綺麗"だ……今までさんざん汚ねェやりかたでエリノラを傷つけたテメェらが…ッ!!(パシッ―――ガッ―――ドッ!)(阿久津から繰り出される拳に対し、激昂しながらも辛うじて保った冷静さで確実に叩き落としていく)これはエリノラの分だ…―――――  オ゛ ラ゛ ァ゛ ッ゛ ! ! ! ( ギ ュ ル ル ル ゥ ァ ア ―――― ド グ ゥ オ ォ ア ン ッ ! ! )(越本まで振りかぶった義手の右手首が高速回転。そこから繰り出される螺旋の殴打…コークスクリューナックルを、カウンターとして阿久津のどてっ腹にめり込ませる) 」

ヴァサゴ「舐められたもんだよなァ…この俺もよォ゛…ッ゛!!!そんな"ポンコツ"でこの俺に張り合えると思ってんかァアッ!!?(ギャルンギャルンギャルンッ―――― ザ ギ ィ ィ ィ イ イイ ン ッ ! ! ! )(縦回転を加えた激しい跳躍接近から、遠心力を付けた回転斬撃を真っ向からアスランへ畳みかける) 」

アスラン・ザラ「ズゴックとは違うんだよ…―――――ズゴックとはッ!!!(ギャリリリリリィンッ、ガギギャギャリガァンッ!!!)(ヴァサゴの回転斬りに対し、両腕のクローを目一杯広げて跳躍後退を加えた乱回転で応戦。互いに独楽のように衝突し合い、ぶつかり合った刃の先端が赤熱を帯び始める)――――トゥ!ヘァッ!!(バックステップ、からの刺突。まるでフェンシングのような華麗なヒット&アウェイでヴァサゴを牽制する) 」

阿久津 大夢「 ガガガガガ フフフフ ッッッッ  (土手っ腹へ砲弾が如き打撃をモロに叩き込まれる。全身の軸線が何重にもブレて重なり……) ガ  ォ   ン   ッ   (疑似金属音と同時に上空へ放り出される。フレイミスの拳に返る手応えは金属を殴った時のそれだ)  ッ  ッ   ッ   ガンッッッ(上空で縦に一回転。その後垂直に"足から"落下し着地。腕で口元を拭うと、フレミスとその周辺を見やり) なるほどな……やっぱり道はこれでいいみてえだ(勘を取り戻したのか、口元に引きつった笑みを浮かべる) 」

フレイミス「ッ――――― ? ! (なんだ…今の感じ……こいつ…生身じゃねェ……!?)(殴り抜いた拳に伝わる違和感に眉を潜めつつも、阿久津との対峙を維持するが――――) 」

アスラン・ザラ「―――――(――――だが、奴の言う通り…そろそろ"限界"か…ッ…!できればこのまま維持したかったが…まさかこの男がここまでやるとは想定外だった…っ……!)(機体操作を迅速かつ巧みに手繰る様は、優秀なコーディネータとしての技量が伺える。しかし、それ故に、やはり旧機体での高次元戦闘において制限という壁が立ちはだかる。ヴァサゴの重い斬撃を対処する度に、仮に防御を精密に完遂したとしても耐久値は低下。更には残像を巧みに操る相手に反応するための機動力にも負荷をかけ過ぎ、排熱量がいつになく尋常ではない) 」

ヴァサゴ「―――――ッハ!!おらァッ!どうしたどうしたァッ!!?そんなもんじゃねえだろうがよァオッ!!?赤い彗星さんよォァッ!!!(限界の兆しを見せ始めている赤いズゴックへ絶え間なく、容赦なく、凶刃を振り下ろし続ける。しかし、ただの斬り合いに飽きてきたのか…ふと距離を取り始め謎の構えを取り始める) 」




ヴァサゴ「ナマっちょろいガキ共に見せてやらァ……ッ!これが…―――――  本 当 の 殺 し 合 い だ ァ゛ ッ゛ ! ! (―――――  ギ  ュ゛  オ゛  ン゛  ッ゛  )(殺人鬼の双眸が、鮮血が如く真っ赤に発光した。その光景にはフレイミスたちに既視感があった。何故なら、この男が開眼した「目」の正体こそ――――――) 」

フレイミス「―――――――― ッ゛ ! ? (まさか、あいつ―――――― ッ!!)(阿久津との対峙中、遠目に感じるヴァサゴの殺気に振り返り…その既視感のある「目」に驚嘆する) 」

アスラン・ザラ「――――――――― 『 オーバーロード 』 … ッ ! ! ? 」

阿久津 大夢「―――――(考える余裕も休む暇もやらねえ。必死こいて迎撃しな、木偶人形!!)う"る"ァ"ァ"ァ"ァ"ーーーーッ!!(再び突進。腰を低く、両手は頭よりも上。再び組み付く狙いでフレイミスへ突進し ) ダムッ  ダンッッ!!  (サイドステップ。"フレイミスを中心に半円を描くようにして立ち回り位置を変えて"から、再突進し掴みかかる。 速度はやはり常人のそれ、遅い。) 」

ヴァサゴ「――――― H e e e ェ ェ ェ エ エ エ エ エ エ 工 工 工 工 ア ハ ハ ハ ッ゛ ! ! ! !  (悪い予感は的中。眼光が赤い光を帯びたその直後、殺人鬼の速度が異常なほどの超高速を帯びた。残像すら見せず、ワンテンポ遅れて疾走の余波が吹き荒れる。その合間にもアスランが手繰るズゴックの背後に旋回しており、その背面のリフター目掛け凶刃が素早く振り落とされた)ギュオンッ――――――ッシェァァアアア!!!(ザギィィイイイインッ!!)(瞬きを一度したその直後、距離感のあったフレイミスの死角へ迫り、彼に横薙ぎ一閃を刻まんと獲物を振るった) 」

アスラン・ザラ「しまッ――――――ぐあああぁぁぁああッ!!!(速い――――ッ!!やはり、フレイミスと同じ「覚醒」を…こいつも…ッ……!?)(咄嗟的に機体を推進させる。しかし、それでも超次元に達したヴァサゴの刃の回避には間に合わず、背面のリフターが損傷。右ウィングが切り落とされてしまい、バランス飛行を失って転倒する) 」

フレイミス「こいッ、つぅ……ッ!!(翻弄を混ぜ込みながら突進を仕掛ける阿久津の伸びる腕から逃れようと足裏のバーニアを噴射させて低飛行で回避するが―――) ぐ ぅ゛ ―――――― ッ゛ ! ! ? (――――ギャガァァァァアアンッ!!)(そこに、距離感を感じさせず肉薄したヴァサゴの凶刃――幸いにも峰打ちだったが――に叩きのめされ、地面を抉りながら墜落する)ご……この…ッ……!(速い……!まさか…俺はコイツみてえな速さで…ずっと戦っていたというのか…!?)(ヴァサゴを合わせ鏡にするように、自身に覚醒した禁断の力の片鱗、その脅威を改めて思い知る) 」




ヴァサゴ「……小僧…ッ…テメェだけが『 オーバーロード 』を使えると思うなよ…ッ?俺はテメェが目覚めるよりもずっと前からよォ…この「力」を使いこなしてんだよッ!!!俺ァな…ワールドセイバーの人体実験によって完成されたオーバーロードの体現者第1号なんだァ……!!セレディはそんな俺を結局「失敗作」だと嘲ったが、俺の力は殺戮への衝動によってどこまでも強くなれるってことをテメェ等にも教えてやるよォァアッ!!!( ギ ュ オ ン ッ ―――― ! ! )(瞬発的な疾走。赤い眼光が残像軌道を描き、フレイミスとアスランへそれぞれ高速剣舞を畳みかける。人間を遥かに超越した挙動で―――) 」

フレイミス「(ヤバイッ――――) シフトチェンジ…ッ、"セカンド"……いや…――――"サード"ッ!!!「加速」・「開拓」……「守護」…ッ!!(右腕をブレード、左腕を円盤型シールドに変形させを防ぐが…) ぐッ……!(ギギ、ギュ…ゥ…ッ……!)(バルテウス戦で初めて披露したシフトチェンジの重ね掛け。しかしそれは開発者のゲルニカが警鐘を鳴らしたように、「型」の重複は返って負担をかけることとなる。ましてや、三重合併などもっての外である。ヴァサゴの超高速の連撃を剣と盾で防ぎ、弾き、時に加速を織り交ぜて回避するが、全身への負担が蓄積されていく) 」

阿久津 大夢「(不完全なオーバーロード……セレディはそう言っていたが…… 頭のネジがハズレた事であの餓鬼と同格になったってのか? なら   "二人掛かりでも苦戦する"……?)  ニィッ  (助かるぜ、鬼札は温存するに限る。ここは作戦通りに動くが吉だ) 流石だぁブロ!!これなら殺れる!!セレディも、この塔の外の連中も!!お前の戦争で思うがままだ!!(先とは売って変わり自身に満ち溢れた声でヴァサゴを"鼓舞"する) 」

アスラン・ザラ「フレイミスッ!無茶をするなッ!!ぐ、あ……ッ……!!(だが、それは自身も同じである。これまで辛うじて旧機体で激戦を凌いできたが、殺人鬼の男が隠し持っていた恐ろしい潜在能力を前に、深紅の機体がズタズタに斬り裂かれ、流血のような火花を散らしていく) 」

ヴァサゴ「 ギ ィ ィ ャ ァ ァ ァ ア ア ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ 八 八 八 八 八 ァ゛ ァ゛ ア゛ ッ゛ ! ! ! ! (覚醒を遂げた殺人鬼は、狂喜乱舞をその身で体現する。乱雑で苛烈で乱暴な軌道が看破されることなど不可能なほどに、殺戮意思が昂ってきていた―――) これで…―――――――― 終 わ り だ ァ゛ ア゛ ッ゛ ! ! ! ! (狙いを定めたのは、フレイミス。居場ではなく、もう片方の左手で貫手の構えを形作ると、彼の心臓部を貫かん勢いで振り抜いた――――) 」

フレイミス「―――――――――――  ッ゛  ッ゛  ッ゛  !  !  ? (完膚なきまで切り刻まれたことで無様にも曝け出してしまった大きな隙。もはや防御に移ることもままならず、ヴァサゴの魔の手に刺され――――――) 」


――――――――――  ザ  グ  ゥ゛  ウ゛  ン゛  ッ゛  !  !  !  !  


フレイミス「―――――――――…………?………??………???(――――刺されなかった。何が起こったのか、恐る恐る目を開けて目の前の光景に視線を上げると―――――) 」

メディ「―――――――――――――――(そこには、大の字を広げて少年を庇うアンドロイドの少女が割り込んでいた。小柄な体の中心に―――――― "男の大きな手を埋め込んだまま") 」

クロノラ「……メディ…ちゃん……っ……?   メ デ ィ ち ゃ ん ッ゛ ! ! ?  (ずっと後方で身を縮めながら見守っていたが、そこに現れたNPCの看護ヒューマギアの思いもよらぬ介入に、思わず身を乗り出してしまった) 」

フレイミス「……アンタ………ッ………??なにを……して……っ……??(状況が、整理できない。何故そこにいたのか。何故そんな行動に出たのか。その理由の、すべてを―――) 」

メディ「……ギギュゥ…ッ……バジッ……b\ジッ…… これga……わた、クシの……「役目」……で、すカ…ra……ギギュ…ゥ……ッ…… 」

メディ「  フレー…ミスさん……っ… …ど  ゥか、ぉ……お元気で……♪   」



機械人形が少年を突き飛ばす。彼女が最後に振り巻いてくれた笑顔が、儚い花火となって爆ぜた―――――



フレイミス「 ――――――――――――――――――― (自身を突き飛ばした少女へ、緩慢化した空間の中でゆっくりと手を伸ばす。このゲームを通じて何度もお世話になった人物。回復の施しを受ける度に、何度も自分に向けてくれた笑顔が、目の前でぱったりと消えると同時に転倒した―――) 」

クロノラ「………そん……な……っ゛………(力尽きたようにへたり膝から下が崩れ落ちる) 」

アスラン・ザラ「………―――――― ぐ ゥ゛   ッ゛    (床上で上半身を辛うじて起こしていた最中に見た悲劇に、青年は機体内部で苦々しく目を伏せた―――) 」

ヴァサゴ「 チッ……ガラクタが…俺の邪魔を……―――――― ン ? (ふと耳元のインカムに手を当てる。あらかじめ装着していた盗聴用のインカムらしいが…)……セレディめ…ついに目的地に到達したか…ッ!そうはさせねェぞ…テメェの思い通りにさせてたまるか…ッ!そこで待っていろ…―――― 今すぐ殺しに行ってやるからよォ゛!!!(インカムをかなぐり捨て、相手にしていたフレイミスたちの前から踵を返すように戦線離脱。凄まじい殺気を全面に剥き出し、一人颯爽と奥地へ向かいだす――――) 」

フレイミス「…………………………… 」


ですが、あまり無茶をなさらぬようご自愛くださいませ。
――― フレイミス様、『メディカルステーション』を毎度ご利用いただきありがとうございます。


フレイミス「…………………よく、も………ッ……… 」


ですが、今回ばかりは大目に見てあげましょうか。
――― フフッ……また、とんでもなく無茶をしちゃいましたね、フレイミス様。


フレイミス「 よくも…ッ……――――――  」

お気をつけてくださいませ。
それに、毎度忠告しておりますが本当に無茶ばかりされると取り返しのつかないことになります。
――― ゲームとはいえ、長時間のプレイはお体に障りますよ。

フレイミス「―――――― よ く も テ゛ メ゛ ェ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ ッ゛ ! ! ! !(―――――  ギ  ュ゛  オ゛  ン゛  ッ゛  )(――― 激動。開眼。覚醒。大切な存在を、命を支えてくれた存在を葬られた悲しみと怒りの感情が少年のリミッターをぶち抜いてしまう。大いなる激情が少年の心と体を突き動かし――――) 」



――――― CHAOSTIC PHASE 《カオスティックフェイズ》 ―――――



フレイミス(C-ph)「 う゛ お゛  お゛ お゛ お゛ お゛ お゛ お゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ ッ゛ ッ゛ ッ゛ !  !  !  !  !  ( キ ュ ガ ァ ァ ァ ア ア ア ア ―――――― ガギョンッ / ガギョンッ―――― ビ  ュ  ワ  ァ  ア  ッ  !  ! ) (『 最後の切り札 』と『オーバーロード』の併用。組み合わせてはならない禁断の領域へと再び目覚める。アキレスDとの最後の衝突戦からまだ時間も経っていないにもかかわらず、意思や本能が限界を超えたステージへ前のめりに動かしたのだった――――) 」

山野淳一郎(SE)「―――――!(不味い…ッ!「覚醒」が――――)―――― 危険だ!やめるんだフレイミス君ッ゛!! 」

アスラン・ザラ「――――――― フ レ イ ミ ス ッ゛ ! ! ! (はっと我に返った時にはすでに遅かった。恐れていたことがついに起こってしまったのだから―――) 」

フレイミス(C-ph)「 ギ ュ オ ン ッ ―――――――― ガ ギ ィ ィ イ イ ン ッ ! ! ! (ブーストをかけ、先んじて離脱したヴァサゴのもとへを瞬く間に追いつくと、彼の進行を妨害するかのように真横からビームクローによる刺突を仕掛けた) 」

ヴァサゴ「――――――ッ゛!!?(―――― ガ ッ ギ ィ゛ イ゛ ン゛ ッ゛ ! ! ! )(ふと真横に走った激情…振り返った目と鼻の先にフレイミスが差し迫っている光景に血走った眼が大きく見開かれ、咄嗟に振るった凶刃で彼の突撃を受け止めつつ、火花を散らしながら滑るように後退する)……テンメェ…ッ゛…―――――― 邪魔をするな゛ ァ゛ ア゛ ア゛ ッ゛  !  !  !  (セレディに向けられた怒りの矛先を、妨害するように追跡してきたフレイミスへ向けるかのように彼に向かって迫真の勢いで斬りかかっていく) 」

フレイミス(C-ph)「――― ゥ゛ ォ゛ ォ゛ ォ゛ ォ゛ ォ゛ ォ゛ オ゛ オ゛ オ゛ オ゛ オ゛ オ゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ッ゛ ! ! ! !  (ヴァサゴがそうであるように、自身もまたかけがえのない存在を奪った殺人鬼に激昂を剥きだして切り裂きにかかる) 」



― 第4区画 ―


セレディ「――――――――――― ? (一方その頃、ついに目的地に踏み込んだすべての元凶が何かの気配を感じて振り返った) 」

セレディ「………この高エネルギー反応は「オーバーロード」…―――――― 『 フレイミス・ティルク 』か!! (その気配の正体が、限りなく近い領域で覚醒を行った少年のものだと気づき、彼がここまで来たという昂揚感に胸躍る子どもの様な喜びを含んだ驚嘆を上げた) 」

セレディ「 行け…! (自身の傀儡にして分身のLBX「ディ・エゼルディ」を後方へと差し向ける) 」

ディ・エゼルディ「 ギ ュ オ ン ッ ―――――― ! (ワールドセイバーの理念の象徴。そしてセレディの意思そのものでもある黒い機体が、セレディの傍を離れて何処かへ飛来していくのだった――――) 」





ギ ッ゛  ――― ギギィ゛  ッ゛ ―――― ギ ャ゛ ギ ィ゛ イ゛ ン゛ ッ゛ ! !  !  (暗闇が広がる電脳空間に迸る二対の赤い閃光。互いに金属音を掻き鳴らしながら衝突し合う双光は火花を散らして空間を刹那に照らし鷹と思えば鋭い起動を描いて異なる地点へと疾駆する)


フレイミス(C-ph)「―――― ぎ…ィ゛ッ…!!!(ガギャギギギィッ、ギャリリィガァァツ!!!)(絶対に譲れないという強い意思が少年の体に伝令を送り、先へ先へと促している。食いしばられた歯は今にも砕けそうな勢いで。額から弾けた汗が激情たる熱意に蒸発するかのように暗闇へと消えていく) 」

ヴァサゴ「――― ンギァ…ッ!!ッハハハハハァッ!!!(対する男は、己が欲望を阻害する少年に対する憎悪の中に、幼き相手さえも容赦なく惨殺してやりたいと狂気を孕んでいた。刹那を駆け巡る高速戦の中でも常に向かい合わせの態勢を維持し、一瞬たりとも隙を晒す素振りはない) 」


ギ ガ ン ッ ――― ギ ャ ィ イ ン ッ ―――― ズ ギ ャ ァ ン ッ ―― ガギ ィ ン ッ ――― ギ ャ ギ ィ ン ッ ――― ガ ッ ギ ィ ィ イ ン ッ ! ! ! (二つの光芒が鋭い軌跡の筆で螺旋を描くように、光の速度で錯綜する。彼らは宙を瞬く間に駆け巡り、広大な第3区画の果ての向こうまで消えていくかのように飛んでいく―――)


アスラン・ザラ「く…ッ……―――――!(オーバーロードに覚醒した二人に食らいつく様に、辛うじて機能している背面リフターのスラスターを爆発させて飛行する。しかし、人知を超えたその強大な力によって齎される超高速には現代科学による加速力では及ばず、10手以上も先へと追い抜かれてしまう)……このままでは…フレイミスが……!何としても追いつかないと…しかし…っ……――――― 」

フレイミス(C-ph)「テメェだけは……テメェだけはァ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ーーーーーッ゛!!!!(ガギョンッ―――― ビ ョ ワ ァ ァ ァ ア ア ア ア ッ ! ! !)(四対の光翼がX形に勢いよく展開すると同時に一斉に解き放たれた光線。幾重にも及ぶ光線が流星群の様に飛び交い、ヴァサゴの一点のみに集中砲火を行いつつ追跡する) 」

ヴァサゴ「 チィィイイイ…ッ゛!!? しつけェんだよッ゛ ! ! ! ( ギュオンッ―――― ド  ド    ド   ド ド    ドッ   !  !  !  )(全ての事象がスローモーションに見えるオーバーロード。その力の解放を意味する赤い目がひときわ強く光ると残像すら遠くへ置き去る程に加速を帯びる。地上から床へ、床から天井へと空間を一回転する様な超人的な高速移動で幾重にも降り注がれる光線の追随を許さず、退ける) 」

ヴァサゴ「―――― ッ シ ェ ァ ア゛ ッ゛ ! !  (――― ザ ギ ィ ィ ィ イ イ イ イ ン ッ ! ! ! )(そして振り返ったと思えば直撃寸前まで迫った最後の光線を凶刃で薙ぎ払い、華麗に相殺した) 」

フレイミス(C-ph)「 ボ フ ゥ ン ッ ――――― ギ ュ ル ゥ ン ッ ―――――― ッでぁぁぁあああああああーーーーッ!!!!(相殺され弾けた爆煙の中飛び出し、螺旋を描くように一回転を加えながらヴァサゴへビームクローによる一撃を繰り出さんと肉薄する) 」

ヴァサゴ「――― ッ゛ エ゛ ハ ァ ア ア ! ! ! (ガギィィィィイイインツ―――ギャリギャリギャリイィィィイイイイッ!!!)(怒り任せに攻撃を繰り出すフレイミスの一撃を凶刃で受け止め、弾き、退ける) そんなに殺してほしいなら、殺してやるよォオッ!!!今すぐにな゛ァッ!!!ッシェアアアッ!!(ザギィンッ、ザギィンッ、ザギィンッ―――――ザギュアアァァアアッッ!!!)(右、左、再び右へと回転を加えた斬撃から放たれたのは禍々しい斬撃波。その余波だけで電子空間にノイズを走らせるほどの苛烈さを帯びた鋭い攻撃が一斉にフレイミスへと襲い掛かる) 」

フレイミス(C-ph)「 くッ――――  ビ ュ オ ワ ァ ッ ! ! ! (一段、二段、そして三段と段階ごとにステップを踏みながら上昇し、三閃の射程範囲から逃れていく)――――――― ぅぅぅぅぉぉぉぉおおおおおおああああああああッ!!!!(遥か高い地点から降り還るように、全重力を乗せた急落下と共にヴァサゴへクローの一撃を叩き込まんと勝負に出る) 」

ヴァサゴ「―――――― ッ シ ェ ェ ェ ァ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ア !  !   !    !  (遥か上空より落下してくるフレイミスを迎え撃たんと、紅色に染まる邪気を纏う凶刃を振りきった) 」


――――――――― ズ  ッ゛    ガ    ア゛     ア゛    ァ゛ ァ゛   ア゛     ン゛     ッ゛   ! !  !    !     !     (両者ともに穿ち合う最大火力の一撃が、電脳空間を激しく震撼させる―――)


フレイミス(C-ph) / ヴァサゴ『 ッ゛ ッ゛ ッ゛ … … ! ! (互いに意地でも譲らない切羽詰まった表情をもって至近距離で睨み合うが――――) 』


―――――― バ シ ュ ゥ ゥ ゥ ウ ウ ウ ン ッ ! ! (だがそこへ、彼らの激突に水を差すように第三者による攻撃が――緑色に輝く閃光――迸り、二人を別つ)




フレイミス(C-ph) / ヴァサゴ『――――――ッ!? / ――――― ヌ オ ッ !? (死角より放たれた閃光の接近に二人同時に察知。被弾寸前のところで双方へ別たれるように距離を離し、事なきを得た)』

ディ・エゼルディ「―――――――――  グ ッ (翡翠に輝く閃光が放たれた方角を見据えると、そこに浮かんでいたのは人型の黒い機体。6つの刃を周囲に携え、彼らに向けて突き出していた掌を握りしめる) 」

ヴァサゴ「  ニ   ヤ   ァ   (この瞬間を待ちわびていたかのように、男の目つきと口元が――――大きく歪んだ)……待ってたぜェ……――――――――――――  セ゛  レ゛  デ゛  ィ゛  ィ゛  ィ゛  イ゛  イ゛  イ゛  イ゛   ッ゛  !  !    !     !     (そして殺意を孕んだ眼光の矛先をフレイミスから、遥か向こうに君臨する黒い機体へギョロリと向けられた)  」

フレイミス(C-oh)「……アイツは……ッ!!ぐ…ッ……!?(突如として乱入してきた黒い機体への既視感。しかしそれを確かめる間もなく、急激に殺意の衝動を走らせたヴァサゴの気迫に一瞬吹き飛ばされかける) 」

ヴァサゴ「この時を待っていたんだぜェ……セ゛レ゛デ゛ィ゛…ッ゛!!!テメェを……――――――  殺゛  す゛  ッ゛  !  !  !  !  (ギュオンッ、と赤い眼がかつてない程に発光。その光に感化されたかのように禍々しいオーラが色濃く纏われた凶刃が二回りほどに巨大化。そんな体格差のある獲物を片腕のみで軽々と振り回し、居合抜きの姿勢へ――――) 」

ヴァサゴ「――――――――  食゛ ら゛ い゛ や゛ が゛ れ゛ ェ゛ ェ゛ エ゛ エ゛ ー ー ー ー ッ゛ ! !  !   !  (――――――    ズ          オ゛              ッ゛       !   !     !     !    )(それはもはや幻影の巨塔を内側より真っ二つに裂く勢いとも言える、強大にして凶暴な紅い斬撃波が、強引に振り抜かれたのだった) 」

ディ・エゼルディ「………―――――――――――― ス (今まさにこちらの首を斬り落とさんと迫る殺意の波動に対し悠然と構えられたのは右腕のみ。突き出された右手の五本指が広げると―――――) 」


――――――――   バ      ギ      ュ゛       ゥ゛           ン゛      ッ゛       !    !    (黒い機体の周囲に浮かぶ6つの刃の内の3本が変形し、それぞれが起点となって三角形の結界を生み出す。それは巨塔をも斬首せんとする凶刃の苛烈な一撃に対し、無慈悲に却下を下すように無力化したのだった――――)



ヴァサゴ「ヘェヒャハハハハハハアアッ!!!ヒャハハッ、ヒィヤハハハハハハハァッ!!!!ハハハハハァァツ!!!ハッ、ハッ、ハハハハッ――――――――――――――   ハ ゛ ァ゛   ッ゛   ?  !  !  (これで復讐は完遂したと思われた。先んじて高笑いを決めていたが。現実はそう甘くなかった。渾身の一撃が、いとも容易く弾かれたという慈悲もなき事実を前に、殺意に衝動を駆られていた男の思考が停止する―――) 」

セレディ「 ク ク ク … ッ ♪ たっぷり味わうがいい……――――――― (その光景を、自身が手繰る黒い機体の視覚映像を介して愉悦に笑みを押し殺していた。小柄な人間がその身を震わせながら俯きかけた直後、ガバッと上半身へ反るように両腕を広げた時には――――――――――――――) 」

セレディ「      我 が 『 オーバーロード 』 を ッ ! !    (――――― その双眸が、赤く不気味に発光していた) 」

ディ・エゼルディ「 グ グ グ グ ッ … ――――――  ギ  ュ゛  オ゛  ン゛  ッ゛  !  !  (主であるセレディの意思に呼応するかのように、黒い機体の輪郭もまた赤い光に覆われていく。それは堕天使の如き相貌を経て、『覚醒』を遂げたのだった) 」

ディ・エゼルディ「 ギ ュ ル ル ル ル ル ゥ ―――――― バ シ ュ ゥ ゥ ウ ウ ン ッ ! ! ! ! ! ! (自身を取り巻く6つの「剣」が鮮やかに高速回転した次の瞬間、四方八方へと勢いよく飛び出していく。拡散された剣刃はフレイミスやヴァサゴがそうであったように超高速で空間一帯を駆け巡り、複雑軌道を描きながら交錯し合い、ヴァサゴただ一人のみに斬撃や刺突を絶え間なく繰り出し続け、完膚なきまで叩きのめしていく) 」

ヴァサゴ「 な゛ ッ゛  ―――――――――― グ ギ ィ゛ ィ゛ ィ゛ ィ゛ ィ゛ イ゛ イ゛ イ゛ イ゛ イ゛ イ゛ ッ゛ ! ! ? (その圧倒的なはやには見覚えがあった。他ならぬ、自身が客死した力そのものであるからだ。しかし、自らの速さをもってしても、四方八方から責め立ててくる剣刃への対処は困難を極める。それは自身と同じ力を持った者を六体同時に相手するようなものである。成す術は、無い。完膚なきまで袋叩きにされ、肉体の至る箇所から次々と血飛沫が噴き出していく) 」

ヴァサゴ「……ガ……ッ゛…… ご……ッ……!?テ……ンメ゛ェ゛……ッ゛……!!(全身血だるまになりながらも、それでも片膝をつかずにとどまり続ける。底知れない殺意だけを命綱にするかのような驚異的な生命力で、意地に大地へ踏み込んでいた) 」

ディ・エゼルディ「 ス … ――――――― バ シ ュ ゥ ゥ ゥ ゥ ウ ウ ウ ウ ン ッ ! ! ! (しぶとく生き残っていたヴァサゴに向けて、黒い機体は緩慢な動きで右手を突き出す。6つの剣刃が一瞬で砲台形態へと切り替わり、6つに及ぶ閃光が一斉照射された) 」


―――――― ボ ッ ゴ オ オ オ オ ォ ォ ォ ォ オ ォ オ オ オ オ ン ッ ! ! ! (ヴァサゴへと放たれた6つの閃光が一つに束ねられ、彼に直撃する。その衝撃で彼が立つ足場を起点に大きな陥没が発生し、その軋轢に耐え切れなくなった地盤が瓦解した―――)


ヴァサゴ「――――― ゥゥゥォォォオオオオッ ! ! ? (閃光の直撃によって瓦解する地盤。瓦礫と共に奈落の底へと落ち始めるが…)……まだだ…ッ……俺の復讐は……こんなもんじゃ終わらねえぞァ゛ア゛ッ゛!!!(そして睨み上げられた眼光の切っ先は黒い機体…ではなく、その先頭を傍目に呆然と伺っていたフレイミスに向けられた)―――――  テ メ ェ も 道 連 れ だ ァ゛ ア゛ ッ゛  !  !  !  ( ブ ォ ン ッ ―――――― ザ ギ ィ ィ ィ ィ ィ イ イ  イ ン ッ ! ! ! )(巨大化したままの凶刃を思い切り振り抜き、フレイミスの経つ足場に向けて斬撃波を放った) 」

フレイミス(C-ph)「 な ッ ―――――― う わ あ あ あ あ あ ぁ ぁ ぁ ぁ あ あ あ ッ ! ! ? (呆然と戦況を見ていたのも束の間、先に落下していくヴァサゴから放たれた斬撃波によって足場を斬り崩されてしまい、瓦礫と共に落下してしまう) 」

アスラン・ザラ「―――――――――   ガ  シ  ッ  (しかし、道連れによって堕ちようとしているフレイミスの右足を……間一髪のところで間に合った深紅の機体の手の爪が掴んだ)――――――フレイミスッ!!(――― ブ ォ ン ッ ! ! )(掴んだフレイミスを、彼を生存させるために上部へと豪快に投げ飛ばしたのだった)………後は託したぞ―――――――(そして、"赤い彗星"は落ちていく。狂気の殺人鬼と、無数の瓦礫と共に、奈落の底へと―――――) 」

フレイミス(C-ph)「(―――――!!)――――――お前…ッ……!!?(一瞬の窮地に現れた赤い彗星の男に助けられ、身代わりになるように自身が救出される。落ちていく者たちを唖然とした表情でただ見送ることしかできなかったが……)…………ああ……ッ……!恩に着る……あとは、俺が…ッ……!(アスランの最期の言葉をしっかりと噛み締めるように、取り残された者同士で睨み合うように構えを取る) 」

セレディ「……さァ、これで二人きりだね…フレイミス・ティルク。こうしてまた会えて嬉しいよ。ここまで来たということは、やはり私のもとへ来るようになったということかな?(黒い機体のスピーカーを介して少年と穏やかな対話を図る) 」

フレイミス(C-ph)「何度でも言ってろ…―――――断るッ!! 」

セレディ「フン…まあいいさ。君には話しておきたいことがたくさんある。私の話を聞けば少しでも考えを改めてくれるだろう。……ついてくるといい。オリジナルの『エリノラ』に会いたいんだろう?君は私にとって特別な客人だ。第4区画へ安全にエスコートしてあげよう。 」

ディ・エゼルディ「 グ ル ン ッ ―――――― (すると、黒い機体は踵を返すように奥地へゆっくりと飛行する。フレイミスを誘うように―――) 」

フレイミス(C-ph)「………(これが敵の誘いでもなんでもいい。目的の『エリノラ』を助けるために。そして…黒幕との決着をつけるために。少年は誘われるままに駆け出したのだった――――) 」



  • フレイミス√
(※第4区画へ

  • アスラン√



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最終更新:2025年07月30日 19:16