影に咲く彼岸花 過去ログⅠ

スカーフィ「かーぅー……(鯛焼きをもしゃもしゃと食す) 」

カズネ「すぅ… すぅ… (座ったまま、寝息も静か) 」

スカーフィ「最近みんなと会ってないなぁ……もしゃもしゃ… どうしてるかな…(空を見上げ) 」

カズネ「ふぅ… ふぁぁっ…(暫くして起き、欠伸をする) 」

ローブの男「――――貴様がスカーフィ…だな?(何処からともなく現れ、唐突に彼女に声をかける) 」

カズネ「あ スカーフィ…?(ローブの男とスカーフィが対面している状況に出くわす) 」

スカーフィ「Σビクゥ!(いきなりだったので飛び上がり、顔を男の元へ向ける)…だ、だぁれ…? あわ…カズネも。(カズネにぎこちなく手を振る) 」

カズネ「この人は 知り合いなの…? (スカーフィの傍へ) 」

ローブの男「唐突すまない。貴様がスカーフィ本人であるか確かめたかったのだが…どうやら間違いは無いらしい。 」

スカーフィ「(首を左右に振る)ううん…知らない。ボクも初めて会った…。(汗)……?(男を見て) 」

ローブの男→ヘルザーナ「私の名はヘルザーナ。」

スカーフィ「ふぅーん…(不思議そうに男を見つめ) 」

カズネ「スカーフィに 何か用が… あるの(ローブの男の方向を向き) 」

ヘルザーナ「まあ自己紹介はこんなものでいいだろう。…ああ、小さな英雄の一人と呼ばれたこの子娘に他でもない用がある。 」

スカーフィ「かぅ…何か用なの…?」

ヘルザーナ「―――――人質を預かった。」

スカーフィ「人質…?(ヘルザーナの背後に気づく)」

ヘルザーナ「お前の良く知る人物だ…。(背後にいた人物を前へ突き飛ばす)」

カズネ「そう 英雄に… 預かった 人質…?」

氷冬「……ドサァ(突き飛ばされ、二人の間に倒れ込む。黒く禍々しいテープのような物で拘束されていて、気を失っている) 」

スカーフィ「……!氷冬…っ!?(自分のよく知る人物を前に酷く仰天する)

カズネ「…! 酷い 縛り方…」

ヘルザーナ「案ずるな、気を失っているだけだ。見ての通り、この小娘の命は私が預かった。このテープで拘束されている限り、この小娘を私の意のままに殺すことができる。 」

カズネ「このテープ 普通じゃない… 何か 闇に近い力で 拘束されている…(テープに触れ) 」

ヘルザーナ「子娘、よく気がついたな。その通り、これはただの代物ではない。拘束するモノを意のままに操る…『パペレータ』と言ったとこか。 」

スカーフィ「……なんで…なんで、こんなことを…っ!?(キッと睨み上げる) 」

カズネ「卑怯な手を 使うつもりなの… (ヘルザーナを睨む様に) 」

ヘルザーナ「私の要求に応えるのならば、友の命を救ってやってもいい。……どうだ?(スカーフィに)私には求めるモノがある。それが手に入るのであれば…どんな愚劣な手段も選ばない。(カズネに) 」

カズネ「酷い事をする… スカーフィの 掛け替えの無い友達を… 利用するなんて 」

スカーフィ「…要求?…やる、やってあげる…!だから氷冬を…っ!(何の躊躇いもなく男に縋りつく) 」

カズネ「どんな 要求を… いやな予感がする」

ヘルザーナ「ほお、潔いな。よかろう、では今から口にすることをよく脳裏に刻んでおけ。 」

スカーフィ「……。(固唾を飲み込み、男から視線を逸らさない) 」

ヘルザーナ「私は今…各世界の至る所に点在する…世界最高峰の武器を収集している。その中の一つ…混沌の名を持つ白銀に輝く、“始まりの剣(つるぎ)”と称された――――カオスソード『ZERO』が欲しい。 」

カズネ「始まりの カオスソードの 原型…? 」

スカーフィ「(カオスソード…氷冬が前に話してくれた、たくさんあるって言われた物。)…そ、それを探し出したらいいんだね…? 」

カズネ「(殺戮 戦争じゃなかっただけ まだ良い…かな) 」

スカーフィ「で、でも……氷冬を放っておく訳には…かぅ、いかないよ…。(小声で) 」

ヘルザーナ「だが安易な事ではない。それは――――“地獄”にある。 」

カズネ「地獄… 生きて どうやって… 」

スカーフィ「………え…?(地獄と聞いて) 」

ヘルザーナ「そこの子娘(カズネ)の言う通り、生きたまま地獄へ行くのは不可能。だからスカーフィ、貴様には一度死んでもらう。だが安心しろ、向こうに私の仲間がいる。そ奴の手にかかれば…死して尚、この場へ舞い戻ることができる。 」

カズネ「死… そんな…! 本当に 戻れる 保障はあるの… 」

スカーフィ「……!そんなことが…でも……(ふと視界に横たわった氷冬が映る)…ううん、やる。逝くよ、地獄でも…何処でも。(覚悟を決めたような、険しい表情で) 」

ヘルザーナ「…よかろう。後の事は、向こうにいる俺の仲間の指示通りに動け。 奴はあの世とこの世を行き来することができる能力者だ。無論、約束通り役目を終えたらそいつの手でここへ戻してくれるだろう。 」

カズネ「スカーフィ…  私も逝く この目で 見る為に… 」

スカーフィ「……本当に、貴方の言う通りにすれば……。 」

カズネ「(地獄 私 覚えがある 幾つもの 拷問のような部屋が ある 本当の地獄…) 」

ヘルザーナ「逝かさず。元よりこれはこの娘(スカーフィ)だけに与えた要求…。貴様のような若き芽には荷が重い。 案ずるな、貴様は絶対に戻してやる。それに、そうでなければ…この人実の存在が皆無であろう?大事な友を救う為ならば。 」

カズネ「…そう 絶対に… 戻して もし 戻らなかったら 貴方を 敵として見る 」

スカーフィ「(カズネの手を優しく取る)大丈夫…ボク、一人で頑張るから…。(こんな状況に陥っても尚、笑顔を作る)……そうだね…。(立ち上がり、男の前に立つ) 」

カズネ「(偽りの笑顔…) うん 私 信じる… 絶対に 戻ってきて 貴女の友達の 為にも… 」

ヘルザーナ「契約は成立された。――――バサァ…ッ!!(背中から黒い翼を片方だけ生やすと、先端の羽が刃のように鋭く尖る)――――友の為に剣を取りに行け、スカーフィ。……ズブシャァッ!!!(そのまま羽でスカーフィの心臓を突き刺す) 」

カズネ「…! 急所を… 一撃で… 」

スカーフィ「かぅ…♪――――――ズブシャァッ!!!(突き刺された後、ぐらりとその体が傾き、倒れた) 」

カズネ「心臓を一突き… 体が 致命傷を負っても 戻れるっていうの… 」

氷冬(?)→ガントール「ビリィビリィ…ッ(黒いテープを難なく引きちぎって立ち上がる)ふぅ~……人質の振りすんのしんどいわぁ~。肩こったわ。(顔に手を触れるとローブ服を着たヘルザーナと瓜二つの姿になる) 」

カズネ「…!? スカーフィの 友達じゃない… 貴方… 騙したって言うの… 」

ヘルザーナ「当の本人を人質に取るには、流石の我らでも不可能に近かった。何せ奴はかなりの腕を持つ剣士。故に、ガントールの変身能力を利用させてもらった訳だ。 」

ガントール「けど安心しなぁ!あの子娘がちゃんとZEROを収集したからには蘇らせてやるぜ。俺じゃないから、保証はねえけどなぁ!ヒャヒャヒャッ!! 」

カズネ「本当に… スカーフィを 戻してくれるの… まるで 違う姿… 変身能力 (ガントールを見て) 」

ヘルザーナ「まあな。先程はちゃんと保証があると言ったが…正直有耶無耶だ。向こうの仲間が果たして安易にあの子娘を生き返らせてくれるか…まあ、せいぜい祈り続けるといい。行くぞ、この場にもう用はない。ザッ(消える) 」

ガントール「ディヒャヒャヒャッ!!作戦成功ーっ♪だぜ!(共に消える) 」

カズネ「そんなッ…!! あっ… (ヘルザーナに斬り払おうとするも中断) 」

カズネ「(スカーフィ 絶対に 戻ってきて… 貴女の 友達の為にも)」



~天国と地獄の狭間『ルーベン』~

スカーフィ「………はっ…(いつの間にかあの世に到着していることに驚く)こ、ここが……あの世、て言うところなのかな…?」

紅色のローブの男「おう、待っていたぜ。(背後からスカーフィに)」

スカーフィ「かう…!?(振り返る)あ、貴方が……。」

紅色のローブの男→デビモーレ「俺の名はデビモーレ。生と死を司る者だ、よろしく。」

スカーフィ「かぅ…う、うん…」

デビモーレ「今さっきヘルザーナから連絡が入った。礼を言うのはまだ早いが、とにかく俺たちに協力してくれてありがとな。早速だが俺と共に地獄へ来てもらう。…おっと言い忘れた。因みにここは天国と地獄の境界線、言わば狭間と言った所だが…『ルーベン』という。ここから天国、地獄へ行く為のエレベーターがあるのだが…どちらにも乗らねえからな?」

スカーフィ「天国と地獄の狭間…ルーベン…。…え、なんで?ボクが行きたいのは地獄の方なのに。」

デビモーレ「……人は死ぬと、天国か地獄のどちらに行くか既に定められる。ここへたどり着き、仮に地上で悪事に手を染めた輩が天国へのエレベーターへ登ろうとした時、落雷が落ちて二度死ぬ。まあ、過去一度もそんな事例がなかったようだ…死人は、どうにも直感でそんなことが分かるようだ。」

スカーフィ「そんなことが…。(少し震えている)」

デビモーレ「本来ならお前は天国へ行くことになっている。故に地獄行きに乗れば二度死ぬことになる。二度死なれたら困るんで…俺の作り出す扉を使い、地獄へ向かうぞ。そうすれば、地獄の支配人たる閻魔ディガロの眼も難なく潜り抜けることができるからな。」

スカーフィ「閻魔様…悪い人の舌を引き抜くって話、聞いたことがあるけど…。」

デビモーレ「迷信だ。最も地獄で下される罰はそんな軽々しいモノじゃあない。もっと上を行く、残虐な方法で囚人たちを苦しめる。…まあそんなことはどうでもいい。行くぞ。ヴワン…ッ(目の前にホログラムを作り出すと、それはみるみると扉の形に変化していく)」

スカーフィ「わっ…凄い、幻でできた扉…。」

デビモーレ「感心している場合か?ここから先はお前一人で行くんだぞ。」

スカーフィ「え…っ!?な、なんで!案内してくれるんじゃないの!?(汗)」

デビモーレ「誰がそんなことを言った?この扉をくぐれば行き着く先はフロア1の“血の池地獄”。カオスソードZEROがあるのはフロア8だ。」

スカーフィ「地獄って…そんなにフロアがあるんだね。…って、なんでボク一人で行かなくちゃいけないのぉ~!?(泣)」

デビモーレ「うるせえ、つべこべ言うな!とにかくお前はさっさとフロア8へ行ってZEROを取りに行け!おっと、言い忘れそうになったぜ……元々地獄にはフロア8なんて存在しないらしいぞ。」

スカーフィ「……???(涙目(もはや何から突っ込んだらいいか分からずパニックに陥ってる)」

デビモーレ「道中で会う囚人たちから情報でも集めて、何とか辿りついて見せな。おっと、これも言い忘れそうになったが…道中で会うのが囚人共だけだと思うな。閻魔の直下である鬼や死神共が徘徊していて…侵入者であるお前を脱獄囚と勘違いして襲ってくるかもしれないからな。」

スカーフィ「そんな無茶苦茶だよぉ~!どうせなら初めに一辺に言ってくれないとボク困るよぉ~!!(泣)」

黒「 どうやら状況を飲めていないのは俺だけではなかったようだな……(スカーフィの隣でコートを着用してたっている) 」

スカーフィ「あ、黒~!(泣(黒に縋りつく) 」

黒「 ……(すがりつかれて軽く癒そうな表情)アイツ等が戦う理由、わかるか…? 」

デビモーレ「黙れビチクソ野郎っ!!泣いている暇があったらとっとと行ってこいやぁっ!!(扉を開き、スカーフィをその中へ蹴飛ばす)…おっ、さっきの譲ちゃんの仲間か何かか?ちょうどいい、アンタも協力してやってはこれんかね?」

黒「 協力……何故俺がそんなことを… 」

スカーフィ「アイツ等って―――――え…わ、うわああぁぁぁ~~ん…っ!!!(扉の先へ落ちていく)」

デビモーレ「あの譲ちゃんの為だと思ってやれば、訳ないだろう?(不敵に笑み) 」

黒 「 ………本来なら断るところだが……いいだろう、アンタの誘いに乗ってやる…(スカーフィを追い掛ける様に扉に飛び込む) 」

デビモーレ「幸運を祈るぜ、お譲ちゃんたちよぉ。シェーヘッヘッヘッ!!(不敵な笑いと共に扉を消滅させる)」


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最終更新:2019年06月26日 14:53