EVOKE -舞- ニシル編第4話

AM 9:40  ――街外れの山間部・山小屋(カガリ宅)――


カガリ「――― 急遽本部へ戻らなければならなくなった。(リビングにて外出の支度をしている)

ニシル「召集…ですか?(小熊のまぐに餌のクッキーを与えながらカガリを見上げ)

カガリ「そんなところだ。終わり次第すぐに帰宅する。留守にしている間は情報収集なり彼らと戯れるなり好きにしていい。だが… "無茶"だけはしてくれるなよ。(鋭い目で注意を喚起し、リビングを出ていった)

ニシル「は、はい…… (たじろぎながらもカガリを見送る) …… …… ……(静寂の朝に包まれたリビングの中で、棚の上にある写真立てに目を向ける) 」


――― " 確かにあいつには欠点や意志の弱いところもある。 だが、"過去"も、"障害"も、私すら知り得ない"闇"を、そのすべてを抱えながら、今日まで生きてきたのだ。あいつは…君の知っている以上に、"強い人間"だぞ。 " ―――


ニシル「(写真を見つめることで昨夜、カガリがセルドに対し言った言葉を思い出す)…… …… …私は……――――― 」

まぐ「モクモク… ……まー…?(表情の陰った彼女の顔を見上げ、食事の手を止め小首を傾げる) 」

ニシル「………! …ううん、なんでもないよ。(まぐにはにかみ笑いを浮かべて人差し指の腹で頭を優しく撫でる) 」

まぐ「 まー。(撫でられると目を瞑りくすぐったそうに身体を揺らす) 」

ニシル「(まぐの様子を見て表情に明るさが灯る)……(セルドさんたちが帰った後だから…まずは掃除して、それから出かけようかな… 今日は何か情報が手に入ると、いいんだけど……)



AM 10:13  ――South・M・Land 焼け焦げた亡国――


クァー! クァー! (僅かな硝煙が立ち上る、黒く焼け焦げた建物の屋上で数羽のカラスが鳴いている)


円神「――――――(瓦礫の山をベッドに寝込んでいたが、烏の喧しい声に反応するように微動する)…… …… …… ……"今日"か…(瞳をうっすらと開閉した後、あの力強い殺気を漂わせる眼が露わとなり、曇天の空を捉えた) 」

円神「(むくりと上半身を起こし、瓦礫をがちゃりと鳴らしながら立ち上がる)……いよいよだ… …待ってろゴミクズ共。 次は容赦しねえぞ…―――――――――― 絶対になァ……! (両の拳を震わせながら天に怒号した)



AM 11:40  ――キュラリア・街中の大通り――


ニシル「(いつもの白いコートを靡かせ、人の群れを避けながら大通りを歩いている) (今日も人がいっぱいだなぁ…)(行き交う人々、賑やかな街並みを眩しそうに見つめながら端っこの方へ寄る) 」

ジルコー「(炭酸飲料の入った缶を片手に大通りを歩いている)んぐ…ぐ… …ぷは…! …ん…?あ、ニシル…?(向かいから現れた彼女に気づき片手を振る) 」

ニシル「(今日は何処で情報を得ようか…)……!わっ、ジルコーさん!お久しぶりです。(驚きながらも少し嬉しそうにジルコーのもとへ寄る) 」

ジルコー「へへっ、おひさー。こんなところで会うなんてな~。(ニシルに釣られ、喜悦の笑みを浮かべる)ニシルって、この辺に住んでたの?(缶ジュースを口に含みながら) 」

ニシル「い、いえ… 実は私、まだこの街に訪れたばかりの観光客なんです。この辺のことはまだわからなくて…(否定するようにわたわたと両手を振る) 」

ジルコー「へ~、そうだったんー?(ちょっと意外そうに)んー…じゃあ、あたいがこの辺を案内してやるよ。ここ、あたいの地元だからさ。ささっ、いこっ…!(ニシルの手を引き、小走りである場所へと向かった) 」

ニシル「わあ、本当ですか!?よかったぁ~。(〃´o`)=3 ふぁ、そうなんですkはわわわっ…?!(ぐいと引っ張られ、何処かへ連れて行かれた) 」

玲華「(大通り沿いのカフェテラスで、いつものように読書をしながら優雅にティータイムを過ごしていた)……?(聞き覚えのあるニシルの声に反応しそっと声のした方へ振り返る)あれは…ニシルさん…?それに、あの人は…―――――(ニシルと、彼女を連れ去るジルコーの姿を捉え、遠くなっていく二人を静かに見送っていた) 」



PM 13:00 ――世界政府本部・会議室――


政府軍将校「 ス … (悠然とした足取りで会議室へ入室する)」


――――― ガ タ ッ ! ! (将校が入室するや否や、既に会議室に集合し着席していた政府関係者が一斉に起立し、将校に対し敬礼を行った)


政府軍将校「 着席。(一同に敬礼を返す)


ス タ ン … (政府関係者一同が着席し、室内一帯に緊張が走る)


政府軍将校「ただ今より、覚醒能力者特別対策係全般による合同会議を開く。今回の議題は言わずもがな、以前の会議で諸君に提案要求した、覚醒能力者『金坂円神』への対抗策を完全決定することだ。そして決定次第、早くも今夜から計画を実行する。なお今回、元帥直々に命令が下されている。"金坂円神を確保せよ。生死、手段については全く問わない。超法規的措置を認める。"とのことだ!」

オルガー「かぁー…もともと俺達は覚醒能力者の身の確保が最優先されてっのにデッド オア アライブかよ。元帥様も容赦ねーなぁ。(最後列の隅の席で気だるそうな顔で耳を穿りながら話を聞いている)」

コシヒカリ「仕方ないですよ。相手は凶悪な快楽殺人者。これまで通りに保護をしたところで、手に負えない奴ですからね。(オルガーに小声で耳打ちし)」

政府軍将校「事件の詳細、および容疑者の詳細は既に各班で確認済みのことだと思う。それを踏まえた上で早速議題に入る。今回は諸君のプランをこの会議で提案し、各班で討論し合って決定をする予定であったが… 急遽、我々上層部の判断のみで提出プランを選出した!!」


ザワ ザワ ザワ … (一帯に疑問と不安の声が上がる)


政府軍将校「静粛に!!今こうしている間にも、被害は拡大の一途を辿っている!各人、各班が絞り出した全てのプランを、全員で共有し合う暇(いとま)はない!故に、我々の判断のみで… 最も効果的且つ効率的、即時的なプランを選出した。今からそのプランを提出した班の代表者を呼ぶ。以後は代表者を筆頭に会議を進め、その後質疑応答の時間を設ける。万が一このプランに問題が発覚した場合、直ちに次のプランを提案する。」

政府軍将校「では代表者及びその関係者を呼ぶ――――――覚醒能力者特別対策係第2班 班長 オルガネット・コルスター大尉!班員 舎人米輔(とねり よねすけ)新兵!」


何だと…!? なっ…! あの2班がだと…馬鹿な…! 落ちこぼれの班が選ばれただと…将校たちは気でも狂ったか…!?(オルガーたちが選出された途端、他の班の者たちはみな驚愕と疑問を浮かべる)


オルガー「 ニ ヤ (さも勝ち誇ったような満面の笑みを浮かべて起立し、ずかずかと前へ出る)」

コシヒカリ(米輔)「(えっ…ええええええぇぇ~~~!!!??)わっ、あっ…わわわ…!(まさかの出来事に動揺を隠しきれず、覚束ない足取りでオルガーを追う)」

オルガー「(将校からマイクを受け取り、だらしのないネクタイを整える)ご紹介に預かった、覚醒能力者特別対策係第2班班長のオルガネット・コルスターことオルガーと、部下の舎人米輔だ。よろしくな。(場違いにもにししと笑い)」


ふざけるな貴様ァ!! このような事態の中でお前らの案が選ばれるだと!? どんな姑息な手を使ったんだ!! 後退を要求するー!!


政府軍将校「みな静粛に!!!!(肉声で一喝し)」

オルガー「(将校の一喝で場が鎮まり返ったのを確認すると、マイクを起動する)時間がねえんだ…ちょっと駆け足気味になるがしっかり聞いてくれ。俺達は、覚醒能力者である金坂円神への対抗策を考え、遂にその答えを絞り出した。俺は複雑でややこしく、まどろっこしいのは嫌いだ。だから単純なものを、それもより効果的な策を用意した。(コシヒカリにコンタクトを送る)」

コシヒカリ「(オルガーの合図で室内の消灯を落とし、一同の前方に巨大なモニターを展開する。画面にあの歪な嗤いを浮かべる男、円神の写真が映し出される)」

オルガー「ご存知の通り金坂円神は炎を操る覚醒能力者だと確認されている。従来以上の消火活動や、重火器及び核兵器で対抗できるほど軟な男じゃない。相手は『器』を持つただの人間。ならば白兵戦に持ち込む手もあるが、あいつの生み出す炎の壁の前では、近づくものはみな焼き尽くされてしまう。つまり誰も円神に接近することはできない、じゃあどうするか!? ―――――俺達は"兵器"を使うことにした。」


はぁ…? 今核兵器で対抗できないって言っていたよな…? 矛盾してるぞあいつ…何が言いたいんだ? やっぱ駄目だ、すぐにでも変わってやりたい…(聴衆内で密かに非難が殺到し始めるが…)


オルガー「だがただの兵器じゃねえ。"殺傷能力が無い兵器"で対抗することにした。」


馬鹿な…殺傷力があってこその兵器だ。 それが失ったもので、あの能力者にどう対抗するって言うんだ? そもそもそんな兵器がウチにあるのか…?


オルガー「おい。(コシヒカリに合図)」

コシヒカリ「はっ…(巨大モニターと連動したノートパソコンを操作することで、モニターにも何かが映し出される)」


ド ゥ ン (巨大モニターに映しだれたもの――――それは上部に音響装置(スピーカー)がつけられた車だった)


なっ…なんだこれは…? あれは…音響兵器か…!!


オルガー「そうだ。(聴衆に応えるように叫ぶ)こいつは音響兵器「エルラド」。超音波を発し、対人において戦闘能力を奪う事を目的に製造された兵器だ。殺傷能力はないが、エルラドの最大音は150デシベルを誇り、人間の鼓膜を軽く破裂させるほどの強烈な威力を持ってる(※ちなみに飛行機のエンジン音は130デシベルとされている)。音なら、物理を遮る炎の壁も関係ないからな――――――



―― 1時間前 別室 ――


オルガー「…音響作戦…?(傍の自販機で買ったと思われる缶コーヒーを片手に、コシヒカリが提案したプランの書類にある詳細に目を通す)」

コシヒカリ「はい。先程、棚が落下したのを覚えてますか?突然の事態で驚きましたが、実際に私たちが驚いたのは「音」なんです。…デシベルってご存知ですか?」

オルガー「ああ、あれか…(先程のことを思い出しながら) デシベルだろ?もちろん……知らない。(´・ω・`)」

コシヒカリ「いや知らねえのかよ!!(突っ込みでボロが出るタイプ)音の大きさを対数で表した単位のことをデシベルといいます。通常、我々が今こうして会話している声が60デシベルとされていますが、先程の落下音は70デシベルなんです。そしてこの音響作戦で使用する音響兵器「エルラド」が放つ超音波は、150以上のデシベルを誇ります。つまり、人間の鼓膜を簡単に破壊することができるくらい、恐ろしい力を持っているんです。ですが、円神のような生身の人間に対してなら、150までとはいかなくても強い超音波で戦闘能力をそぎ落とすことができるんです。」

オルガー「マジッすか!?(恐縮)やべえなエメラルド(ミス)…つか、そんな兵器がここにあったってのが驚きだぜ。」

コシヒカリ「この本部には4台のエルラドがあります。万が一に備えて、実行する際には全機構えておく必要があると思うんです。」

オルガー「だろうな… とにかく炎を操る能力に対し、音で対抗するのは良いな。相性も抜群だ。(小学生のように身体を弾ませながら)」

コシヒカリ「しかし… この音響兵器だけで対抗するのに、私自身不安もあるんです。オルガーさんが私のプランを称賛してくれたのは大変恐縮ですが、万が一失敗したら……」

オルガー「どアホ。らしくねえことぬかしてんじゃねーよ。さっき俺に言った"あの言葉"は飾りか?違うだろ?こいつはお前が考えたプランだ。そして俺はお前のプランに賛成した。だから自分に自信を持てよ。」

コシヒカリ「大尉… …はいっ…!(オルガーの言葉に胸を打たれ、表情が活気づく)」

オルガー「(コシヒカリの表情に「よしっ」と頷く)相手は凶悪犯罪者だ…けどよ、自分の能力に溺れた人間ほど視野も考えは狭くなるもんだ。だから臆するな。仮にその「万が一」って奴が来た時は、俺が何とかしてやる。俺を信じろ、わかったな。」

コシヒカリ「はっ!!(オルガーに敬礼)」



オルガー「―――――そしてこの本部には4台のエルラドがある。作戦実行時にはこの4台をすべて現場へ発進させる。 」

コシヒカリ「カタ カタ…(パソコンを操作し巨大モニターに地図を展開する。地図の至る部位には赤い斑点や矢印が描かれている)」

オルガー「円神を中心に四方から囲もうとも考えたが… それだと別機体も超音波の餌食となって同士討ちになりかねない。そこで、1台ずつ超音波を放ち、炎の消滅率で音波の範囲外で待機させていた別の台を起動し、さらに追い打ちをかける。つまり実質使用するエルラドは2台、あとは万が一の事態に備えての予備機だ。円神を徹底的に追い込むことで戦闘能力をそぎ落とし、戦意喪失したところで "確保" する!!以上が俺達の提案するプランだ。」


なんと……! 青二才の餓鬼だと侮っていたが…まさかこんな計画を持ち出すとは… 以前の将校たちのように、戦力である兵数を無駄に投下する必要もない上、直接奴と交戦する必要性も無くなる。 音で戦意を失わせ、『器』を落としてしまえば造作もないな。そうすれば後は簡単に仕留められる。(冒頭で野次を飛ばしていた聴衆たちも、次第に関心し始めていく)


政府軍将校「ふむ…(一度閲覧したこともあり、再び感心したように顎元を摩る)…これより質疑応答の時間を設ける。異論のある者はいるか…!? 」


シ ン … (誰ひとりとして挙手する者も反論する者もいなかった…)


政府軍兵士「……よし、では第2班のプランに決定する!以後、異論は認めない!」

オルガー「……(目を瞑り不敵な笑みを浮かべる)

政府軍将校「今夜、金坂円神を確保する。情報収集班によれば金坂は現在、ガトゥン国にある街ユペタフで暴走中。間もなくキネストリン国の国境を越え、キュラリアという街に進行するだろう。しかし、国境を越えられてしまっては我々は奴に手出しすることはできない!つまり、金坂がキュラリアに到達する前に何としてもミッションを成功させなければならない!! 」

コシヒカリ「ゴク…(息を飲む) 」

政府軍将校「もはや一刻の猶予もない。これより作戦を決行する!メンバーは覚醒能力者特別対策係第1班、および第2班!情報収集班!そして精鋭(エージェント)部隊!指揮はこの私が執る!容疑者は一人だが、これは完全なテロである!我々は民人を、このテロから何としても死守しなければならない!!そのことを肝に銘じ、ミッションを確実に遂行せよ!!以上だ!! 」


――――― ガ タ ッ ! ! (一同全員起立)


政府軍将校「直ちに現地へ赴く!総員、急いで出向準備にとりかかれ!!!」


はっ!!!!!!(全員が敬礼した後、各々が一斉に散らばり部屋を出ていく)


コシヒカリ「はぁ~…(張りつめていた空気から解放されたことで大きくため息を吐く)や、やりましたね…オルガー大尉…!私たちのプランが通って…」

オルガー「喜ぶのはまだ早いぞ。まだすべてが解決したわけじゃねえんだ。油断はするな…(ネクタイをほどきながら部屋を出る)」

コシヒカリ「……!はっ、申し訳ありません!(頭を垂れ、急いで彼の後を追う)……しかし、何故メンバーに精鋭の部隊が…!?彼らはよほどのことがない限り動かないはずでは―――――(廊下を小走りで移動しながら)」

オルガー「ああ、俺が呼んだ。(ハナホジー)」

コシヒカリ「なんだ大尉の計らいでしたか。それでしたら―――――って、えええええぇぇぇーーーー!!!???(目玉も飛び出るほどのびっくり仰天)なっ、なななn… なんで…っ…!?なんで精鋭(エージェント)を動かしたんですか!?ていうか、そもそも…オルガー大尉が精鋭と繋がりがあったこと自体驚きなんですが…!!?(驚愕)」

オルガー「そんなことはどうでもいいんだよ。(ほじくった鼻糞をその辺に飛ばす)…いいかコシヒカリ。相手は金坂円神ただ一人だ。そういうことだったよな?けどよ…けどよお?本当にそうだと言い切れる自信があるか…?(徐々に言葉に重みが増し)」

コシヒカリ「えっ……――――それは、一体…どういう意味で……」

オルガー「悪い予感がすんだよ。もしかしたら"相手は円神だけじゃねえかもしれねえ"ってな…  ……ま、もしそうだとすりゃあ俺と精鋭の連中でサクッと片付けりゃあいいだけの話よ。だからあいつらを呼んだんだからな。(けろりと元の表情に戻る)」

コシヒカリ「ええぇ……(´д`;)(単純というかなんというか… 相変わらずだなこの人…)」

オルガー「とにかく、初めて俺達が認められたからといって有頂天になったりするなよ。俺達は政府だ。誰のための政府かってのを、今一度『あいつら』に見せる時だ。」

カガリ「コツ… コツ… コツ… コツ…(オルガーたちの前方から、右側に沿って歩いて現れる)」

コシヒカリ「……!は、はい…!! 僕らも急ぎましょう…!(そう言って歩みを早め、そのままカガリを過ぎる)」

オルガー「ああ…!ガッ… ガッ…(前方から来たカガリに意を介さずそのまま通り過ぎるようとする)」



オルガー「―――――――――――――――――」


カガリ「―――――――――――――――――」



カガリ「コツ… コツ…(互いに目を交わすこともなく静かに通り過ぎる)」

オルガー「ガッ… ガッ…… …… ……(カガリを横切った後、しばらくして背後へ振り返り彼女の背を見送る) ………(――――なんだ……?)」

コシヒカリ「オルガー大尉ー!急いでくださーい!!!(遠くからオルガーを呼ぶ)」

オルガー「……(…いや関係ないな。今は作戦に集中しねえと…)(カガリに対し何か歪なものを感じ取ったが、それが何であるのかを確認することはなかった)わーってらあ!!(駆け足で廊下を過ぎていった)」



PM 13:30  ――― キュラリア・ツキミガハラタワー前 ――――


ジルコー「最後はここだよ。(タワー入り口前に着き、高くそびえ立つ巨塔を見上げる)」

ニシル「ふわぁ…!た、高いですね…天辺が見えないです…!(巨塔の高さに圧倒され、見上げたまま呆然と立ち尽くしている)」

ジルコー「はいろっ、もっとすごいのがこの中にあるんだ…♪(そう言うとニシルを誘うようにタワーの中へ入る)」

ニシル「わぁー………あ、はい…!(ジルコーの声でぴょくんと飛び上がり、いそいそと中へ入る)」


――― ツキミガハラタワー・最上階 ―――


ジルコー「(エレベーターからニシルと出てくる)相変わらず人がいっぱいだな… …おっ、あそこがいいかな。(多くの観光客で賑わう展望台のある最上階で、とりわけ空いているスペースを見つけてそこへ駆け寄る)」

ニシル「わっ、(人が)たくさんいますね… ふぇ…?(人混みが苦手なためか尻ごみしていたが、とりあえずジルコーの後を追う)」

ジルコー「ニシル、ニシルっ。ほら、ここ…!(手すりに手をついてガラス張りの窓の外を指す)」

ニシル「わわっ…(促されるままに窓の外を覗き込む)――――――! 」


二人は展望台から眼下にキュラリアの街を見渡す―――――鮮やかなセピア色をした街並み、穏やかに流れるターコイズブルーの海原、果てしなくすみ渡る青い空が織りなす広大な風景は観る者をのみこむほどに美しかった。


BGM♪



ニシル「わあ……!(目に映る風景や心の中に湧き起こる感情を錯綜させながら、ただただそれに魅了されていた)……この街は…こんなにも素敵だったんですね。(初めて訪れた時から惹かれた街並み、しかし今は地上で味わったのとはまた違った感動を体感し、まるで幼い子供のように無垢な瞳で壮観を眺めていた)」

ジルコー「ああ…そうさ。この街はいつも輝いている。あたいはこの街の外へ出たことがないから、ずっとここで住んでいることになるんだけど… なのに全然飽きないし、それに…まだこの街のことを知り尽くし切れていない気がするんだ。ここへ来る度に、この景色を見る度に…いつもそう思う…(ニシルに並んで、穏やかな表情で景色を一望する)」

ニシル「この街は…私には眩しすぎます。でも街の人は温かくて、風は気持ちよくて、小波は心地よくて… とても、心が安らぐんです。(胸元に手を添え)初めて来た時はとても驚くばかりでした。たくさんの人と出逢って、素晴らしい一時を過ごして… 今では、ずっとここに住んでいたい気持ちでいっぱいです。(ジルコーに向けてはにかみ笑い)」

ジルコー「ニシル… (なんだか嬉しそうに笑みを零す)…ねえ、ニシルは…どうしてこの街に来たんだい?」

ニシル「…… ……(一瞬返答に困ったが、他漂う穏やかさに身を委ねるように平然さを取り戻す)…私がここに来たのは――――――(景色に目をやりながら真実を語り始める)」






ジルコー「――――――…そうなんだ…(ニシルの壮絶な過去、そしてこの街に来た理由の全てを聞いていたたまれない気持が表情に出る)…あんた…本当はずっと辛い思いをしてきたんだね…

ニシル「……(口を結び、胸元で輝く蒼いペンダントにそっと触れる)…観光だなんて、嘘をついてごめんなさい。」

ジルコー「いいんだよ、そんなの。……だから…(初めてニシルと出逢ったあの夜の出来事を思い返す)…命の重み、誰よりもよく知ってたんだよね。こーゆー時、何て言ったらいいのかよく分からないんだけど… ニシルって、強いんだね。」

ニシル「そんなことないです… ……でも、私を強くしてくれるものなら…ありますよ…(胸元のペンダントが、太陽に反射し一層輝きを増している)…大丈夫です、気にしなくても。これは…私だけの問題、ですから……(そっと瞳を閉じる)」

ジルコー「……(しばらく二人の間に沈黙が走る)……あたしは高校に通っていたの。弾けるような青春を謳歌したくて、毎日学校へ通うんだって決めてたの。…でも、クラスメートのみんなとは波長が合わなくなって、それ以来登校拒否してるんだ~…(沈黙を破るように突然語り出す) 」

ニシル「ふぇ…?……(突然告げられたジルコーの事情に驚きを示し)」

ジルコー「人生なーんにも楽しくなくなってさぁ… そんな時、この『力』が芽生えたんだよね。初めは悪戯とか何とかやってそれなりに人生に楽しさを見出すことができたけど、ある日人を傷つけてしまったことがあって、それからは何か…この能力を持つことに後ろめたさっていうか、罪悪感というか… 後悔してしまったんだよ。そして変な連中につけ狙われて殺されかけたこともあった。だからだんだん人が信じられなくなった。」

ニシル「ジルコーさん…(あの夜、初めて対面した時のジルコーの怯えた表情を思い出すと苦い表情になり)」

ジルコー「…でもね、ニシルと出会って変わったんだ。あんたはあたしのことを受け止めてくれた…初めて、あたしを抱きしめてくれた… (瞳を閉じ、当時の出来事を走馬灯のように思い出す) …この力があったから、ニシルに出会うことができたんだと思う。だから今は、全然後悔なんてしていない。……あれからあたしね、もう一度自分を見つめ返してみたんだ。いつか学校に戻ろうと思う。今はまだ心の準備ができていないけれど…いつか、いつか本当に、最高に弾けるような青春を掴み取ってやろうと思うんだ。(その表情は今までにないくらい眩しかった)」

ニシル「(ジルコーさん…)(出会った当時から変わった彼女を微笑ましく思ったのか、満面の笑みで彼女と向き合った)…ジルコーさんなら掴めますよ、最高の青春…!私、応援しますね…っ!」

ジルコー「……!へへっ…ありがとな…(ちょっぴり照れくさそうに鼻を摩りながら)…でも、ここまで踏み出すことができたのはニシルのおかげなんだ。だからあたしも、ニシルの力になりたい。もちろん部外者のあたしが首を突っ込むことじゃないってことくらい、分かるよ。でも…!なにか…なにか少しでも、あんたの力になりたいんだ。もしこの力が芽生えたことに理由があるとするなら、それを…大切な人を守るために使いたいんだ。(意を決したかのように強い眼差しを見せ)」

ニシル「……! 嬉しいです…!…はい、もし…困ったことがあれば、ジルコーさんに頼りたいです。(ジルコーの力強い目に安堵を覚える)」

ジルコー「力になるよ。(にこりと微笑む)…じゃあ、あたいはもう行くよ。今日は付き合ってくれてありがとな。」

ニシル「い、いえ…!寧ろ私の方こそお礼したい気持ちでいっぱいです…!素敵なところをたくさん見せてくれて、ジルコーさんのことを教えてくれて…本当にありがとうございました!(深々とお辞儀し)」

ジルコー「よせやい、大袈裟すぎるよ…!(汗)機会があったら、また一緒に出かけようよ。それと、もし何かあったらさっき教えた番号にかけてくれよ。いつでも駆けつけるよ、あたしは。(とてとてと小走りでエレベーターのもとへ)…じゃあね、ニシル♪(手を振りながらエレベーターの中へ入っていた)」

ニシル「はい…!さようなら、ジルコーさん。(手を振り返し彼女を見送った。その後再び窓の方へ振り返り、静かに景色を堪能する)……(お母さん、お父さん… いっぱい大切なものが増えました。これからもずっと大事にしていきます。)(遥か先の地平線を見つめながら)」


一樹「違うって…(その一方、ニシルから離れた所の展望台で仲の良い男子高校生たちと会話を交えながら景色を見渡していた)」

男子高校生等『いやいや、やっぱお似合いだって。 ああ、まさか結香ちゃんからアイスクリームを貰うなんて、お前ら仲良すぎだろ。 兄妹みたいだよな。俺もああいう可愛い妹が欲しいなぁ~… お前んとこに妹いただろ、ははっ…!』

一樹「やーめーろー、てめーらー!(例の一件で結香と和解したこともあり、たびたび彼女に話しかけられることも多くなった模様) 変な眼で俺を見るんじゃ――――――?(ふとある方向に目を向けると、いぶかしむ様な目つきで"それ"を観る)」


澄み渡る青い空の果て――――恐らくキュラリアに隣接する別の街の空から、霞む様な灰色の煙が上がっていた


男子高校生等『ひゅーひゅー!ひゅーひゅー! 一樹ロリコン説。俺もロリコンだから安心しろって。 中学ん時から、俺ら5人の中で一番モテてたの一樹だったもんな。ウラヤマー! 陸上部はモテるもんだろ!?なあ、一樹!?……一樹…?』

一樹「……(なんだ…あの煙… あれ、"異常"じゃねえか…?)(遥か先に浮かぶその煙に違和感を覚える)……えっ、あ…ああ… モテるもん…なのかなぁ…?(苦笑) 」



――――――― ヤな予感がする……





PM19:32  ―― キュラリア・繁華街 ――


ニシル「ふぅ…(お腹いっぱい食べちゃった…)(とある飲食店から出てくる)……(もう夜になってたんだ… ここはとても明るいから、まだ日は暮れていないと思ってた…)(ちょっぴり驚いたように、賑わう繁華街と鮮やかな光を放つ提灯や照明を見渡す)」


ニシル「(まだここへ来て間もないけど…本当に素敵なところ…)(目に映る街の風景の中に先程出会ったジルコーを混ぜ入れるように思い出して)……ハッ いけない…気づいたら今日は本当に観光しちゃった…(…明るいけど、もう夜だし…そろそろ帰ろうかな。帰り際に何か情報が手に入ると良いけど…)(フードを目深に被り直し歩みを進める)」


ニシル「トコトコ…(そういえばセルドさんたち、今頃何処で何しているんだろう…)……(昨晩の出来事を思い出す。そして胸に募る後ろめたさに、辛そうに目を瞑る)」


――― もしも彼女に"何か"あったら、俺はあなたを許しません。 ――― (ニシルの脳裏で、セルドがカガリに対し言ったあの言葉がよぎる)


ニシル「……(あの時のセルドの顔を思い出す。否定も肯定もしなかった目を… 闇色に染まる自分の目とは違う、あの太陽の如き温かな目を…)…… …… ……。」


…本当は、セルドさんが嬉しかった。あんなにも、自分のことを思っていてくれている人だなんて知らなかったから。


あの人の優しさに委ねられたら、どれだけ楽になれるのかな… でもこれは、私だけの問題。これ以上、あの人たちに迷惑をかけるわけにはいかない。


風邪で倒れた私を救ってくれてから間もなかったけれど、たくさんの優しさを貰った気がする。本当に素敵な人たちだった。


…だから、そんな人たちを、巻き込むわけにはいかない。


私は私の手で、『真実』を掴み取る。


例え行く先が真っ暗でも… この手を伸ばし続ける。そのために、今日まで生きてきたし、そして…ここにいるんだ。もう、迷っちゃダメ。


ニシル「行かなくちゃ…『ひとり』で…―――(そっと開眼し人混みを抜けようとした…その瞬間だった―――)」


―――――― ズ ン ッ … ! ! (その瞬間、激しい熱風が街を襲う。その熱風が街を襲ってしばらくした後、夜の暗さも照らす街の灯りが一斉に消え、街全域が"夜"を迎えた)


ニシル「……!!?(突然の熱風に吹き飛ばされそうなフードを強く握りしめながら目を強く閉じた)……?…??……ぇ…?(恐る恐る目を開ける。目を開けた時、街が灯りを失ったとは思えず、"自分が別の場所に移されたのではないか"としばらく誤解した)……な、なに……?(ようやく街全域が停電したことに気付き、周りの住人たちと同じように動揺している)」


ゴ      オ      ッ      !     !      (繁華街から離れた隣街の空に、隕石が落下したかのような激しい業火の火柱が上がった。火柱が上がったことでその衝撃と、先程の熱風を越える凄まじい熱が一瞬でキュラリア全域に伝わった)


うあああぁぁぁー!! な、な、なにが…何が起こってるんだよ…!? きゃあああぁぁーッ!! 逃げろォ!!走れぇーー!!!(勃発した大事件に街の人々はパニックに陥り、一目散に火柱の上がった方角から逃げ出した)


ニシル「…っ……!?(目に映る真っ赤な景色が青い瞳を赤く染める)…ぁ…あぁ……(轟々と燃え盛る火柱が、かつて目にした『惨劇』を思い出させる)」


炎の渦に呑まれる家。大きなクマの人形を片手に抱き寄せた少女と横で彼女を庇うように抱きしめる老婆。二人の目の前で、断末魔を上げながら崩れていく黒くなった思い出… 揺らめく業火の中で、人の姿をした黒い影が陽炎のように揺らめく。影は、少女の青ざめた顔を見て、ニタリと嗤う。


ニシル「ぁ……ぁ…あ……(夜空に浮かぶ火柱と舞う火の粉に、過去の『惨劇』が重なった少女は次第に戦慄を、恐怖を感じた)……ぃゃ……――――――」


――― また逃げるのか ―――


ニシル「ヒッ… !!(脳裏に響く女性の冷たい声に痙攣する)」


――― 何のための13年だった?お前は、お前の家族を殺した男を討つのではないのか。 ―――


ニシル「…… …… ……(立ち竦む足が、ゆっくりと一歩前へ出る)」


――― 立て、ニシル。二度とこの『私』の前で無様な姿を曝すな。 ―――


ニシル「――――(…ごめんなさい、カガリさん… ……私は…―――)――― 絶対に逃げない…っ… 絶対に目を背けない…!(眦を決し、赤い夜空を睨みつけるように見上げる)」


逃げ惑う大衆の中で、ただ一人の少女だけが、動じることなく立っていた。


ニシル「でも、あの大きな爆発… 私一人じゃきっと…――――!(そうだ…カガリさん…!)(咄嗟的にポケットから携帯電話を取り出し起動する)……??…あ、あれ…?……ぇ…?(しかし何処をどう触っても携帯電話の電源がつかず、動揺する)…どうして…充電はまだあったはずなのに…(どうしよう…これじゃあカガリさんと連絡できない…)」

ニシル「……(カガリさん、そういえば…今日は本部の方へ戻るって言ってた…―――)……!(じゃあ、世界政府本部に直接連絡を取るしかない…!確か何処かに公衆電話があったはず…そこへ行けば、カガリさんと連絡が取れるし、政府の人たちも駆けつけてくれるはず…!)(辺りを隈なく見渡し公衆電話を探す)…ない…… ほ、他のところを探さなきゃ…!(一人だけ取り残され静寂と化した繁華街を後にし、何処かへ駆け出した)」


続き 「セルド編」第5話へ?




――― キュラリア・広場・休憩所のあるエリア ―――


セルドたちと別れたニシル一行は、政府に救援の要請をするために連絡手段のある広場の休憩所に現れる…


ニシル「はっ…はっ…!(セルドたちと別れてからずっと走り続けていたのか、肩で息をしている)…休憩所…確かこの辺りに公衆電話があると、セルドさんが言っていました…!(周囲を見渡し目的の物を探す) 」


BGM♪



吉良吉影「 (私の名は吉良吉影、杜王町で東方仗助たちと戦い、あの坂で引きずり込まれたと思ったら・・・この様だ。今は情報をしっかり集めないとなぁ。) 」

レオネ「ぶっちゃけ(ニシルに続くように走りながらも体力的には余裕のある平然とした顔で)携帯で政府に通報するのが一番手っ取り早いんだろうけどな、さっき試してみたがあの高熱は【太陽嵐】と性質が酷似している。ともすれば強いフレアも発生するし、当然繋がらない。 うん、その公衆電話…ちゃんと有線でつながってるんだろうな(口角を吊り上げながらも苦い表情を浮かべ) 」

ヴォイド「公衆電話っつーモノの形をしらねェと話に食い込めねェ……ケータイも繋がらねェとくればキナ臭さしか感じないな……(護衛とは云えど少し大袈裟だったか。近くでまたボヤ騒ぎが起きなきゃいいが……) 」

吉良吉影→カワタ「(ここでは私は取り合えずカワタと名乗ろう、うん。見たところ戦闘向きなのはこの少女とヴォイド君・・・生憎だが私は、戦闘は避けさせてもらうよ。・・・・個々の人間たちの戦闘能力は底がしれなさそうだ ) 」

ニシル「はい…なんとか繋がればいいのですが……あ…!(レオネと話していたところ、吹きさらしの休憩小屋の付近に公衆電話を発見する)見つけました、あれです!(その場所へと駆け寄ろうとしたが…) 」


――― ボ オ ン ッ ! ! ! (突如全員の視界が眩い閃光に包まれ、爆音が轟く。光が消え、黒煙が晴れると、そこに公衆電話の姿はなく、残骸だけが散乱していた)


ニシル「はう…ッ…!(腕で顔面を覆い爆風からの衝撃に耐える)………!(恐る恐る腕の中から爆発した個所を覗くと、公衆電話が跡形もなく爆散した光景に目を見張った)…こ、これ…何が起こったのですか…(そんな…せっかくの連絡手段が… これじゃあカガリさんと連絡が取れない…)(声を震わせながら) 」

ヴォイド「ガンッ!(爆風の最中、目元に影を作り眼を閉じていると吹き飛んで来た爆発物の欠片が額に当たる)……とんだお出迎えだ……粉みじんになっちまったな。元々アンタ(ニシル)の目的が分かっていたかのような惨劇じゃねェか 」

カワタ「(な、なんだ!?公衆電話にダイナマイトでも仕掛けられていたかのように・・・・その個所にあったものが消えてなくなった!?・・・す、スタンドか!?) 」

レオネ「ところで昼間からいい感じに夢ってそうなオッサン(ぐりんとZUN絵魔理沙のようななんとも言えない無表情をカワタへ向け)そこのニーサン(ヴォイド)はまぁ装備からして言わずともがなだけど、アンタ戦えんの?そうでないならここらで帰宅ルートn\ ――― ボ オ ン ッ ! ! ! /……–––––– !!(爆音だけでことを察しニシルより前に出て腕で制す)––––どーも、キナ臭いとは思ってたけどな。言うまでもない、攻撃だ 」

カワタ「わ、私かい?えーっと・・・映画のカンフー映画のマネする程度になら・・・(要約:素人) こ、ここで帰宅とか・・・完全に死亡フラグじゃあないか。 」

××××(少年)「やーっ、すごいね~!公衆電話なのにあんなに爆発するんだー!(ニシルたちとは違う方向の陰から、二つの小さな影が突然現れる。一人はジャージ姿に金髪をした中性的な少年で、愉快そうに笑っている。) 」

××××(少女)「爆発させたのはあたしなんだけどねー。まー、これでよかったでしょー。(少年と会話しながら現れる。もう一人は、制服姿に青髪の少女で気だるそうな表情をしていた。) 」

ヴォイド「装備品は滅茶苦茶強ェが……ま、少しは頼りにしてくれ(額から血を流しながらレオネへと)カワタさんは無理すんな。偏見とはいえど拳で語り合うって柄じゃあなさそうだしな。 大道芸の後にお客さんの表情伺いに来たか……(少年少女の姿を視界に捉え、会話内容を風切音の中でも聞き分けて表情が若干曇る) 」

ニシル「(レオネにより爆発に巻き込まれなかったことを認知し、心の中で彼女に感謝する)……!(ヴォイドの発言に悪寒が走る)…!(そして、突如現れた少年少女の声に反応し二人の方へ振り返る。その際、少女の発言を聞き逃さなかった)…もしかして…ですが…君たちの仕業ですか?今の爆発も、あの大きな火事も。(反対側の真っ赤に染まった夜空から漂う熱波に髪が靡く) 」

カワタ「す、すまないヴォイド君。・・・お、おいニシル・・・といったね。ニシルさん、君も下がるんだ。戦闘はそこの二人に・・・ッ! 」

レオネ「ま、確かにな。(相手が一人ならまだしも、これは二度あることはっていうし…三人目、あるいは四人目が追い打ちをかけてくる可能性もある)おっさんは特等席で見てな (頼りにしてくれという言葉に対して直接の返答はなくただ一瞥し、少年少女を視界に収めながら)––––片方預ける(とだけ呟く) 学生の放課後じゃーないんだ。そのまま駄弁るなら帰ってリラックスして寝るか、ここで痛い目見て病院でおねんねか選べ。(気だるげながらも繊維を研ぎ澄ました眼光をたたえた視線を向けながら、獲物に手を乗せる) 」

××××(少年)→光太「僕たちがやったことかどうかはどうでもいいことだよ。それよりも、まずは自己紹介しようか、サーヤ。僕の名前は「和田光太」(わだ こうた)、好きな食べ物はラーメンにチャーハン!(そして隣の少女を指す)こっちは「木野原彩」(きのはら さや)。僕の同期でめんどくさがり屋な可愛げのない女の子だよ!よろしくね~♪(一同に元気そうに手を振りながら挨拶)ひぇっ、こわ…とづまりすとこ…(わざとらしくレオネにビビって彩の背後に隠れる) 」

××××(少女)→彩「自己紹介するって言って結局私のまでしてるじゃんー…まー、めんどくさかったしいいけど…って、酷い言われようだなー。(棒読みするかのような口調で)あーもーうっおとしいなーもぉー!(背後に回った光太にうざったそうに)…あんたたちのことなんて、ぶっちゃけどーでもいーんだけどさー…今、あんたたちに余計なことされると面倒なのよー。(ニシルたちに) 」

カワタ「ははは、特等席ね。できればシェルターが欲しいよ・・・。 (おいおいおいおい、冗談じゃあないぞ!?こいつら、私まで始末するつもりか!?やばい・・・・ここで、目立つわけにはいかない・・・。何より・・・今の私にとって"戦闘"は鬼門だ。) 」

ニシル「ふぇ…?(吉良の警告に恐縮する)ぁ……(ヴォイドの額から流れる血に気づき、彼の怪我の心配をするが…初対面の男性故か、なかなか近付けないでいる)……(よく見ると二人ともまだ子ども…今の爆発は本当にこの子たちが…?)余計なこと…?ね、ねえ…君たちは一体…?(凶悪な人物とはにわかに信じがたいと思っているため、相手をあくまでただの子どもとして接するように話しかける) 」

ヴォイド「(決めつける訳でもないが、さっきの自白から察するに事件における要因であることには変わりない。審問が必要だろうか……)……(ニシルの心配と怪訝の表情を察してか、『大丈夫』程度のジェスチャーをすると、彼女が少年少女に声をかけたのをきっかけに剣に伸ばしていた手を留める)(片方は俺に、か。さっそく頼りにされたがご期待答えられるだろうか) 」

レオネ「(会話を試みるニシルに横目をやりながらも獲物にかけた手を離す気配はない)……(仮に、直接の原因でないにしてもだ。残る想定し得るパターンは二つ。操られてるか、競合してるかに絞られる。いずれにせよ、無力化するのが一番確実なはず……) 」

光太「だからさ、おねーちゃんたち!僕たちと一緒に遊ぼうよ!(そう言うとポケットから取り出したのは凶器――――ではなく、ただの懐中電灯だった) 」

彩「ちょっと…「僕たち」って…なんで私まで巻き込むわけー?ちょーめんどくせーんですけどー…(ジト目)(光太に続きこちらもポケットから何かを取り出す―――それはシャボン玉セットだった) 」

ニシル「(ヴォイドのジェスチャーに一瞬は驚くが、やがて安堵する) 遊ぶ…て、え…?(二人がそれぞれ取り出したものに目を見張るが、それが自分が想像していた凶器ではないことを知り不思議そうに小首を傾げる) 」

ヴォイド「(カワタさんが心配だが……まぁさっきは拳慣れしてねェと断言したが顔つき的に修羅場は潜り抜けてきていそうだから度外視だ。問題はこの子(ニシル)がどれだけ機動できるか……)……(明らかに怪訝そうに2人の装備を細い眼で見据える) 」

レオネ「夜遊びする年でもないだろうに(左口角を上げジト目で意地悪く笑んで見るが、すぐに表情は一切の喜怒哀楽を捨てる)ニシル、まだ走れそうか(じっと二人の一挙一動を観察しながら目線を合わせずに小声で問いかけ) 」

光太「僕たちが何者かなんてどうでもいいじゃん。(ニシルに)…あ、言っておくけど、僕たちってただのおこちゃまじゃないんだよね。今まで何人もの大人たちを壊したことがあるからさ~。(手中で懐中電灯を器用に回しながら) だ・か・ら、おねーちゃんたちはさ、すぐに壊れないでよね?…じゃ、「遊ぼう」か♪ ハ ハ ッ ♪ (その時、無邪気と狂気を孕んだ悪魔の様な笑声を上げる) 」

彩「ガキ扱いされるとムカつくのは私も同じなんだよねー。とりあえずさー、あんたたち、皆殺しにするから、オーケー?あー、返事はしなくていいよー。どうせ死ぬんだから、答えなんて聞くだけめんどくさいからさー。(首を直角に曲げて一同を氷のように冷たい瞳で睨みつけ、両手にシャボン玉セットを構える) 」

ニシル「は、はい…!(レオネに応答し)っ……!?(少年少女の、人間のものとは思えないその瞳と声に戦慄する)――――(レオネさん…ヴォイドさん…!) 」

光太「 さ、僕たちの"個性"を魅せる時だ。行くよ、サーヤ―――――― 」


―――――― "覚醒能力(イヴォーク)"の解放だ ――――――


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最終更新:2020年09月10日 09:08