–––悪魔城––– 【戦闘ログ⑧】








––––––––『見てごらん、キャロル。熊太郎だぞー』『熊太郎?』『そっ、どんなに寂しい時も、どんなに不安なときでも信じられるし、お前を信じてくれる。俺にとっても、大事な親友だ』 」

––––––––『あの日から君は自然と笑うことができなくなった、全て嘘のようでただ虚しい。線の抜けた湯船に冷水を注いでいるかのように』『だがあの子の前では、お前は少年のように笑顔を取り戻すだろう』『–––––あの子は、俺に似ている。もし、父さんがいたなら……ああやって笑いかけて欲しかった。それだけだ』 」

––––––––『休暇が嫌いだ。最も自分である時、最も俺を思い出す瞬間がただただ虚しくて仕方がない。何かに陶酔さえしていればよかったなら、どれだけ楽だろう』 」

––––––––『家族は? 信仰よりも確実だろう、夢よりも手に届くだろう』『わからないな 地平線まで野原が広がっていて、秋には紅葉の絨毯に寝そべる。そんな日曜を夢見たことはあるけど、そこに子供とか妻とか、そんなのがいたかどうかなんて考えたことはない』 」

––––––––『わからないんだ、思い出せないんだ。 あの頃思い描いていた夢と今が、かけ離れすぎている。まるで現在<イマ>もまた、悪夢の中心みたいで』 」


ー悪魔城 本館連絡通路ー



エディ「コッ コッ –––––コツッ(市松模様の床が延々と続く回廊。照明はなく月明かりだけが頼りの暗がりに、黒装束は避け込み息を潜め、奥へ奥へと吸い寄せられるように歩を進め先にある漆黒に足音は排斥される)–––––コツッ(そしてある地点、窓ガラスから月光が差し込み影絵が床に刻まれる地点で歩を止め、猫のような銀目を細めた)–––––––子守パパに転身か 」

イガルク「……やぁエディ。(その笑みにいつもの狂気は見られない。半ば死人のような蒼白さが目立ち、それが月明りと同調し、不気味な雰囲気をかもしだす)この城に侵入者共が入り込んでいるのは知っているな? ここは紛いなりにも、マフィアだ。マフィアに盾突くということがどういうことかあ思い知らさねばならん……。そこでだ(手に持っていたウイスキーボトルの中身を喉に流し込み、壁に向かって放り割る)彼奴等の腕か足、どれか各自1本ずつ……私の前へ持ってこい。それをもってケジメとし、カチコミに来た連中を不問にしてやる。 」

エディ「………(イガルクと正面から対峙し、首を僅かに捻りポケットに手を突っ込む)おいそれと腕を差し出すと思うか(親指で自身の顎を指し、自らがイガルクの述べたそれであることを強調し)だいいち、あんたがそれを命令していい立場か。上に指示を仰げ、履いてる靴がボスのそれじゃない 」

イガルク「確かにボスじゃあない。だが、今リズは手が離せない。だから代理に指示を出してる。むしろこれは彼奴等にとってもいい条件だ。このまま進めば、確実に死ぬ。だが、ここで腕か足どれかを1本ずつ献上すれば……日常で支障はあれど、生き残ることができる。これほど良心的な取引はない。(コキコキと首を鳴らし、指の1本1本丁寧に関節を鳴らしていく) 」


エディ「––––––コツッ 良いニュースと悪いニュースがある(一歩、静粛を破ってサイドヘ右回りに一歩一歩、”気”を研ぎ澄ませた足音を潜めかせて進み)前者だが、俺は連中を見捨てる。良い取引には違いないが、それとこれは俺には全く関係がない話だ(指を一本立て、イガルクが先程酒瓶を叩きつけた残骸が散乱する床を一瞥し)で、後者だ。 ズァオッッ(上げた腕を軸に蒼炎が渦を巻いて溢れ出し、一歩の踏み込みで、土煙を残し一瞬にしてイガルクの間合いに入り正面から拳を振りかぶる)–––––あのシスコンじゃ墓穴は埋まらない 」

イガルク「――――ガシィッ!!(正面から来た拳を、暗黒の炎をまとった掌で受け止める。炎の先の表情は、幽鬼のように白かったが、怒りがこみあげているのがわかる)……愚かな奴だ。――――ここから先は、あの娘達の過去の惨劇を象徴とする世界。永遠に日がのぼらない幼い姉妹だけの楽園だ。俺は、その番犬を仰せつかった。(突如、自身の身体から、爆発的な暗炎を噴き出す)邪魔する者、光で照らそうとする者共を、俺は……私はッ! 容赦なく焼き尽くす!(鬼の形相でエディに敵意を向ける。その姿に、日常で軽口を叩きまくっていたイガルクの姿はなかった) 」

エディ「––––ッ!! ギギ…ギリリ……ッ(拳を骨ごと砕かんとする圧、眼殺せんとばかりに向けられる鬼気。熱した鉄の塊に包まれるような激痛が腕全体を覆うが)ザンッッ(一歩、更に前に踏み出し頭突き線ばかりの勢いで睨みつけ、息を押し殺したような低い声で囁きかける)夜は明けるのが道理だ。あいつらは充分苦しんだ……いつまでも悪夢に引きこもってるんじゃねーよ。”家族”として言わせてもらうぞバク野郎……ッ!!(握られ押さえつけられた拳を小刻みに震わせて掌を開き)手前の護る夢はもうねぇよ、他所の子供部屋にでも転勤しな!!(左手を右腕に添え、その腕から竜の息吹が如き蒼炎が吹き出し互いに吹き飛んで間合いが離される 」

イガルク「うぐぅううッ!? (吹っ飛び、間合いをあけられたことをいいことに、ギリギリと拳を構える)わかった口を聞きおって……このちっぽけな小僧がぁーー!!(初めて見せる激昂の顔)お前にあの娘達の不幸が癒せるのかッ! 信じてきた者共に裏切られ、呪いの依り代となったのがキャロルであり、悲しみに己が身を闇に落としたのがリズだ!(マントをはためかせると同時に、外では雨雲が立ち込め、稲妻が走る)人間にもなれず……夜の者にもなれぬ……哀れで醜い……私の大事な家族だッ! お前に、あの姉妹(ふたり)が救えるかッ!! 」

エディ「ザシャァッ(雑作もなく着地し靴底で床を削りながら後退)……チッ(その際、”既に”損傷を負った右腕が視界に入り、それを一瞥し歯噛み イガルクへ憎々しげに視線を戻し)–––––そうじゃないだろ。可否でやるかやらないか決めるもんじゃねーだろ––––(轟く雷鳴、瞬く閃光が暗い影と照らし出された黄金の精神を映し出し、敵意でも殺意でもない、揺るがない意志を宿す眼光で応え)あいつは『生きたい』と言った。願いを聞き遂げるのがファミリーだ、違うか。あいつの”救い”をお前が勝手に決めるんじゃねぇ 」

イガルク「――――まだわからんか。もういい、貴様を焼き、その頭蓋を2人にささげてやる!!(暗闇は燃え上がり、憎悪は力となってエディに飛来する)ズドドドドドドドドドッ!!(無数の暗炎弾が、周りに被弾していく。被弾した部分はドロドロと高温で溶けていく) 」

エディ「理解しても納得はしねぇよ––––(腰に忍ばせた片刃剣の柄に手を添えサイドステップを踏み1弾目を首を捻ってスレスで回避) ジュオッ (耳元で響く腐食の音、壁が部分的に溶解し穴が開く様を視界の端にいれ眉間の皺が一層深くなる)(防げない、使い捨てにでもすれば相殺できるだろうがヴィオラにどやされそうだから却下だ、とはいえ……)ドジュッ!! ヒュッ ヒュオッ! ジュドドドドドド┣¨┣¨┣¨!!!!(ステップの勢いに任せ横跳びをし腕で着地と同時に再びそれをバネに跳ね、錐揉み回転で舞い暗炎弾4発を紙一重で回避してイガルクと間合いを詰められないまま着地する)(熱量は姉妹への想いの強さ、暗炎にくべる薪は憎悪か……あるのか、接近する隙は…!) 」

イガルク「どうしたッ! 俺を倒せないようで、あの二人を止められると思うな。(姿が消える。閃光のような瞬間移動。エディの後方に回り込むや否や)ぬぅん!!(極太のレーザーを放つ) 」

エディ「(少なく見積もっても、”最後”に戦ったリズよりも遥かに上手だ、あの頃のあいつなら今のイガルクは秒殺できる)簡単に言ってくれるな、謙遜しすぎなんじゃねーか(だが”優位”になった今だ、0からマイナスになった今こそ……)(イガルクが瞬間移動によって目の前から消滅したのを確認し、瞳を閉ざし 『––––やるぞ、逆襲だ』)  ォ ォ ォ ……(後方から迫るレーザーの気配を感じ取り、)トンッ  ギュオッッ!!!(サマーソルトキックのように後方へ飛翔しノールックで回避すると同時に、錐揉み回転しつつ下半身を捻り遠心力を乗せたけたぐりをイガルクの頭部へ向かって振り下ろす) 」

イガルク「ぬ゛ッ!?(レーザーを放つ際、両腕を使用している為、思う様なガード行動は出来ない。頭部の衝撃を避けるため、首を傾けるが)うぐっ!(肩に直撃、そのダメージが骨、内臓と伝わり、床へと貫通する)……いつのまに、そんな蹴り技覚えた……。なかなか、ふふ、いいのを喰らってしまったぞ。(肩を押さえ、ゴキンと外れかけた関節をもとに戻す)肉弾戦が好みなら……とことんやってやる。(大陸の拳法の構えをとり) 」

エディ「トンッ シュトッ(蹴りがめり込んだ肩を足場にして宙返りしイガルクの間合いより一歩外に着地し、形のない構えを取る)–––––ガキの頃はチビだったからな(身長差がありすぎるから跳び蹴りぐらいしか武器ないんだよ) クイッ(首をクイと捻り『来い』と言わんばかりに挑発する) 」

イガルク「(活歩による1発で間合いを詰め、肩と肘の関節連携からなる、速度のある拳打。そして、相手の下半身を抉る様な鋭い蹴り。ジークンドーに近いような套路の拳法を放ってくる) 」

エディ「 パァンッ!!(ゼロ距離で自動小銃を発砲するような回避する隙のない鋭い蹴りに対し咄嗟に膝と肘を密着させ防御、内部を駆け抜ける衝撃の痛みに目がわずかに見開くも)ヒュオッ!!(互いに間合いに入ったまま一向に引かず空かさず裏拳→勢いを殺さず上体を捻り先ほど防御した足を伸ばし半回転で遠心力を乗せた回し蹴りを仕掛けようとする) 」

イガルク「む!? (虎伏の構えで裏拳を躱し、迫る蹴足に対して)バシィイ!(がっしりと左手で掴み離さない、そして)……―――お前も、家族<ファミリー>だ! ぬ゛ぅぅん゛!!(純粋なグーパンをエディの顔面目掛け放つ) 」

エディ「!?(うっそだろ、ピクリともしな––––)┣¨グォォン ンッ!!!!!(景色が重なって見えるほどの脳を揺さぶる振動、痛覚すらも超越した衝撃、地を踏む感覚が遠ざかり小さく離れていくイガルクの姿。正拳はなすすべもなくクリーンヒットし、仰向けになったまま飛ぶかのように水平に吹っ飛ばされ、柱をへし折り壁に叩きt蹴られ、連鎖して窓ガラスが砕け散り、口内に鉄の味が広がり声にならない叫びと赤が溢れる)ゲヴォッ…かっ…… ハ”ァ”……!! クッソ、ファミリーに対して……ハァ、グーパンはやりすぎだろパパさん……! 」

イガルク「まだジョークを口走る元気があったか……(構えた掌に、暗炎が集中する)では、もう少しレベルを上げよう。そして、教育してやる。――――ジゼルではなく、ニオでもなく、なぜ俺が番犬の務めを与えられたのかを、な(不敵に笑む姿に慢心の欠片は一切ない) 」

エディ「わかるように躾けるのがいい父親ってもんだろ。すぐ腕を上げるのは税金で食ってるヤクザ相手だけにしとけよ(首に手を添え『ゴギ』と言う耳に痛い音を上げ、無理矢理上体を起こし、拳を床に叩きつけやっとの思いで立ち上がる)過保護なパパさんと違ってお兄ちゃんは妹と遊んでやらないといけない、退けよ。宿題は焼いて済ました(第一関節を曲げて爪を立て、筋張った右腕にイガルクの暗炎へ呼応する操船が色を灯す) 」

イガルク「一理あるな、ちゃんとわかるように教えてやるのが相手への礼儀だ。―――後悔するがいい(韋駄天のように間合いを詰め、暗炎をまとった拳をエディに叩きつけんとする、だが―――)―――――ニヤァ(エディの真上で殺気を感じる。人差し指と親指を立ててピストルの構え。その手で真っ直ぐ上から狙っている存在がいた。"イガルク"だ。だが、前方で今まさに拳を振るわんとするイガルクがいる。―――――突如として、イガルクが2人になった。) 」

エディ「–––––(同じく拳に力を込め、一歩前へ踏み出しアッパーカット気味のブローで迎え撃とうとするが––––)”時間”の束縛を抜けるか、ジゼルかよ……ッ(頭上の気配を感じ取りそれがイガルクのものだと理解する。”現象”をただの”現象”として捉えるエディに驚愕こそなかったが、芳しくない刹那に冷や汗が浮かび舌打ちをせざるをえない)脱獄は!(だが構わず、正面のイガルクへ活歩で距離を詰め、互いのクロスレンジに入った刹那)ショーシャンクの空にでやってろよ!(懐に潜り込むように屈んで関節でイガルクの首根っこを右腕の関節で挟んで掴み技を仕掛けつつ背後に回り込み、正面のイガルクを盾にしようとする) 」

イガルク「バカが! 俺を立てにしたつもりか!!(しかし、エディに掴まれたまま動こうとしない、むしろ)―――がシィ!(まだ自由の利く手でエディを掴む、そして) ズォオオンッ!!(もう一体がなんと自分自身ごと、エディに掃射。その瞬間を掴まれている方のイガルクは見逃さず)ぬん!(時間を超え、肉体という牢獄からも脱出。一閃の稲妻とかしたイガルクは暗炎を躱し、遠くに離れる)(否、まだだ。反撃の時を……与えてはならぬ!!)(最早多重影分身。数多ものイガルクが一斉にエディに対し極太レーザーを撃ちかます) 」

エディ「!? しま……––––––(時間に縛られないなら物理的に束縛できるはずがない、虚をつかれイガルクの手応えが消え、全方位から迫る無数の光源に照らされ、明確な『死』の予感が脳裏を横切り、恐怖こそなかったが諦めに似た脱力感が全身を覆った すべて被弾すれば骨すら残らず溶解するだろう、その一瞬には痛みもないだろう、それを待つだけの一瞬、1秒でさえもが永遠に感ぜられ)––––––– 」


『あいつは『生きたい』と言った。願いを聞き遂げるのがファミリーだ、違うか』

『エディ、私…‥会いたい、お母さんに会いたいよ…‥っ でも怖いの、死ぬより、幸せになれなかったら、約束を守れなかったらお母さんに嫌われちゃう…‥っ だから私––––––』


エディ「––––––ああ、そうだよな(彼の意思は”此処に”舞い戻り、瞳は再び色を灯す)ザッ(思考を捨てるな、諦めるな、散々言い聞かせてきたことだろうが。だがどうする、一瞬であれを相殺する火力は見込めない、だが上も左右も………)……。(下…も…‥)––––––––(極光が最大限に接近し直撃する瞬間までの一瞬、希望をつかみ取ったかのように目を大きく見開き) 」


┣¨オォオォォォォオォォォォ ォ ォ  ……   (地上に月光が降り立ったかのような青白い光が通路いっぱいに広がる。回避しようと試みる所作は直前に見られなかった。ともすればそこには跡形もなく、床に開いた大穴だけが煙を吐き出していた)


イガルク「(マントをはためかせ、ボロボロになった瓦礫の山に舞い降りる。)……いくらエディとて、生きてはいられまい。当たり前だ……すべての咆哮から、我が憎悪を浴びせてやったのだ……。 」


ピシッ……(イガルクの足元、大穴から肉眼で確認できるかできないかという直線状の鋭い切れ込みが走る)


イガルク「……ほかのメンバーは何をしている……。よもややられたわけではあるまいな。……仕方ない、全員の首を圧し折ってやる(勝利に酔いしれているわけではないが、他の事が気になって、足元の注意が散漫になる。完全にエディが焼失したモノと考えてしまっているから……) 」


ピシィッ……–––––––––


エディ「––––––––ザ ギ ィィイインッッ…ッ‥!! (直後、切れ込みから三日月を描くようにして青白い奇跡を残し鋭い切り上げがイガルクの胸部目がけ繰り出されると同時に、”彼”が片刃剣を振り上げ大穴から飛翔する) 」

イガルク「なっ―――――――(舞い上がる白刃に一瞬気を乱され、身を捩るも胸部に鮮血が走る。)……き、きさ……ま!(血しぶきが舞う中、エディの姿が目に焼き映る。一矢報われたことと、痛烈な刀傷に、怒りがこみあげてくる)―――ドシャア!!(転げるように後方へ。胸を押さえながら呼吸を乱す)あの攻撃を、かわしたと? たったの1撃で……瞬時に判断したと? なぜだ、何がお前をこうさせるッ! 」

エディ「ザシャァァッ(大瀬さな音を立て、床に積もった瓦礫の砂塵を巻き上げておぼつかない着地をし、焼け焦げた背から煙を吐き出したまま硬直し動かない、否、”動けない”)は “ァ”…… (両手を添え、剣を杖に立ち続けつつ呼吸を整え、やっと肉体の疲弊とは裏腹に微塵も淀んでいない眼光を向け)知るか。まぁ強いて言えば–––––– 」



エディ(回想)「(極光が最大限に接近するよりも前、下方部にサッカーボール大の穴が空いていることに気付く。先にイガルクが分身ごと打ち抜こうとした際の暗炎弾が地面を抉っていた穴だ)–––––!! 」

エディ(回想)「(–––––まだだ)チリチリ…‥シュヴォァ!!!(まだ、戦える–––––!!)(イクリプス。血液を魔力に変換し青い炎を纏い脚部の筋力にブーストをかける。一度貫通された床の穴を広げる程度なら雑作もなく、真っ先にそれを踏み抜き落とし穴にはまったかのように3F通路の床下へ落下する)んの……!!(そして落下と同時に片刃剣を抜刀し、通路外壁の下層部へ突き立てしがみ付き、背後で大穴から爆炎が溢れた) 」



エディ「––––また、心の底から、腹の底から声を出して笑いたいだけだ。クマのぬいぐるみに説教されちまったからな(頭をかきながら気だるそうに首を鳴らし)–––––––– 」

エディ「キャロルが何の気兼ねもなく楽しそうにラウニを引きずってて、シスコンはシスコンでそれについて回って、ジゼルが、アニマートが、仕方なくニオとクイントが、寝坊したシェンが付いていく。あんたはそれを遠目に眺めて馬鹿笑いしてやがる。あとそうだな、ラングとかがキャロルに振り回されて疲れ果ててありとか、ハリアスの奴も少しはあのしかめっつらがマシになって。ああそうだ、優利、あいつ楽器できrって言ってたけど一度も演奏聴いてなかったな……ヴィオラはそうだな、全部方ついてこっちに遊びにでも来てたらいい(ありもしない日常、過去ではなく未来を思い浮かべ、心底面倒臭そうに、そして愉快そうに目を伏せて口角を上げ) 」

エディ「––––––それだけだ、充分だ。俺がコレを手に取る理由は、拳を振るう理由は……命を賭す理由は、それで充分すぎる(そして少年は目の前を見据える。イガルクという立ちはだかる敵ではなく、立ち向かうべき現在<イマ>を真っ直ぐに見据える)通してもらうぞ、年長さんよ。全部取り戻しに行く 」

イガルク「(エディの真っ直ぐな目線。なんでもない日々を命懸けで守る勇気、そして、なにがなんでも途切れさせることのない、"真実に向かおうとする意志"。それらを目の当たりにし、彼が抱いたのは)……―――――この、クソカス共がぁああああああああ!!!!(目を真っ赤に充血させ、おびただしい血の涙で顔をゆがめる。もう存在しない未来を、過去<いま>で溶かしつくすために、彼は憎悪の炎を更に燃やす)そんな小綺麗な御伽噺で……あの娘達の悪夢(いま)を穢すなぁ!!(突如、イガルクの身体が急変する。身体の至る所から赤黒い触手のようなものがビチビチと無数に生えてくる)熱い…アツイ……あぁ、……あ゛づいぃいい゛! 」

かつて、エディは反魂師に聞いたことがある。「どれだけ強くとも、どれだけ勇気があろうとも――――怨念病には近づくな」と。怨念に身を焦がし、荒ぶる御魂となった生物は、あらゆるものを憎悪で溶かしつくす。浄化の術は死に絶えるその時を待つしかない。そして、彼はこうもいった。「怨念病にかかった動物を、古くから民はこういう。――――タタリ神、と」




エディ「………–––––––!!(予想だにしなかった変貌を写した瞳が小さく収縮し息を飲む)–––––イガルク!!(思考が追いつかない、だが彼の名を叫び、考えるよりも先に駆け出していた。それが何なのかも全く見当はつかなかったが、”彼の意思によるものではない”ことは思考するよりも早く認識できるほどに明白だった)(どういうことだ)なんっ…だ、それ……お前は……ッ(リズは”家族”の抱えるすべてを包み隠さず話してきたはずだ、共に背負っていくのに必要だからだ。だがこんなのは知らない……!!) 」

イガルク「あぁぁ、体が、……アツイ……焼けて、いく…あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛、あ゛あ゛、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!(触手は更に増殖し、全身をヒト型にするように包み込んでいく、そして)■■■■――――――!!!!!!(人の物でも狼のものでもないような、おぞましい咆哮を上げる。顔らしき部分からは目玉がぎょろぎょろと向き、エディを捉える) 」

エディ「(足首に波が絡まって引くようなな感覚がした。前に進もうにも進まない)–––––冗談だろ(リズさえも知らなかったとしたら……俺だけが知っていたソレだとしたら)ふざけるな、そんなの納得できるか。必要なんだ……あの場所には……ッ(先に語った未来、語った顔ぶれ、語られなかった顔ぶれ、童話にあるような絵に描いたような平和の風景に彼がいる。馬鹿笑いと罵った笑みを浮かべる彼がいる”筈”だった)–––––––お前だっていないとダメなんだ!そうだろうイガルク!! 」





イガルク「■■■、■■■■■ーーーーーッ!!!!(全身からあふれる触手のようなものをうねらせながら、右足を後ろに、左を前にa。そして、両腕を交差させるような構えをとる。そのは奇しくも、夜明けへの反逆である『逆十字』の型にも見えた。 」

エディ「(砂漠の戦場に放り出されようものなら敵の位置など周囲の気配を察知することができた、分析力は人並み以上だった だが"見えない"。今、目の前に童のように嗚咽を上げる怪物の像のみが視界を、思考を支配している) チ ャキッ (憎むべき神も、哀れむべき悪魔も思考から遠ざかる、何もない。憤り以外の感情以外何もわかない彼が水平に構える剣には何もない)……(どうしてだ)……(鼓動の音に紛れて何度も何度も"家族"として暮らした時の記憶の残影が脳裏で反響音を響かせその度に目眩がした)どうしてそうなる。泣きたくないから、鬼になったんだろう。復讐鬼になったんだろう!お前はッ! 」

イガルク「■■■■■■■■■■■■■■■■■ーーーーーッ!!(ギョロリとはみ出す瞳にエディが映る。だが、そこにはかつての、家族としての慈愛に満ちた視線はない。代わりに向けられたものは、無数の触手たちがかさなり、龍のようにとぐろを巻きながらエディに迫ってくる) 」

エディ「トッ ンゥッ!!!(一歩前への深い踏み込み、上半身を捻り右肩を床へ際限なく近づけ逆手持ちした片刃剣を振り下ろし触手の先端を切り落とす)笑えよ!!鬼に身を落としたんだろう、泣くことに耐えられなかったんだろう!何を今更……ッ(地を蹴り先端を切り落とされた触手の上を駆け真っ直ぐイガルク本体へ向かっていく)勝手に泣いてるんじゃねェよッ!! 」

イガルク「(エディの突進に対し、更に咆哮。自らも床にクレーターを作るほどの勢いで突進)■■■■■■■■■■■■!(拳法ではない、ただの力任せの拳。だが、それと同時にエディを包み込むように触手たちが蠢き、食らいつこうとする) 」

エディ「ッ……!(速い、そして重い!圧が……ッ)ヴ ァ ン !! (距離を摘まれ荒れるだけで全身に細かい傷が刻まれ自動車に跳ね上げられたかのように吹っ飛ぶ) ガンッ!!(しかし天井に足をつけて"着地"し)ツ"ア"ァ"ァ"!!(奇跡で円を描くようにして剣を振るい触手を切り払う) 」

イガルク「―――――ッ!!!(声にもならぬ悲痛の喚きを、天井に立つエディに向け、触手を斬り祓う剣の軌道を読み、自身はそこにむかって宙高く舞う 」

イガルク「―――――ッ!!!(声にもならぬ悲痛の喚きを、天井に立つエディに向け、触手を斬り祓う剣の軌道を読み、自身はそこにむかって宙高く舞う)ぐぃぅうあああああああああああッ!!!(グルンと身を捻り、勢いのまま伸ばした足をエディへとぶつけようとする。――――胴回し回転蹴り) 」

エディ「(繰り返し光彩を放ち古ぼけたフィルムのように記憶が何度も何度も訴えかける、)ヒュンッ ヒュ オ……(それを振り払うように、刃で二、三度空を切り両手を柄に添え顔の高さで水平に構え)う"る"ア"ァ"ァ"ア"ァア"ァ––––ッ!!!!(天井を蹴り大きく一回転しながら遠心力をつけた一閃を振りかぶろうとし、互いのクロスレンジに入る) 」

イガルク「ア゛ア゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ッ!!!(もともとの超人的身体能力は失っておらず、ミサイルのような威圧感と破壊力をもった蹴りがエディの顔面に飛来せんとしている) 」

エディ「  パ ァ ンッ (次の瞬間、ガラスに投石でもしたかのような破裂音がこだまし折れた刃が竹蜻蛉のようにふわりと目の前で浮遊していく)–––––!!(回転蹴りを切り上げで相殺しようとしたが、それが無意識の加減がなかったとしても結果は同じだっただろう。5秒まで間延びしたと錯覚する刹那、瞳孔が収縮し)––––––プツン(フラッシュバッグがノイズと共に途切れる。先の相殺で軌道がそれたのか蹴りが鳩尾に直撃し)ベギィベギベギグギッ(肋骨がひしゃげる悲鳴が脳を揺さぶり、次の瞬間には直線上の通路を駆け抜け、奥のドアを突き破り円形状のロビーの床を二度跳ね、赤を吐き出し地に沈む) 」

イガルク「ズ ド ン !!(豪快な音を立て着地。ギョロリと地に伏せるエディを見るや、ゾわゾわと触手共をうねらせながら、怪物のような足取りで歩み寄る。廊下はもちろん、ロビーにもまた、触手に汚染され、そこからまた新たな触手がはえてきている。怨念病がどんどん拡散していっているのだ) 」

エディ「ゲホ”ッ!!!カッ……ア”ァ”……ッ!!(床を殴りつけるようにして腕をつき上体を上げようとする。しかし全身の力が、何よりも迷いが、流血を押しとどめる栓を外し流れ落ちていき、地に伏せ床の冷たい感触が広がる)ゲホッ……ヒュ……コヒュ………(呼吸も荒く、殆ど虚ろな白い瞳をイガルクへ、呪いの奥の家族へ向ける) 」

イガルク「(吠えることなくジッとエディを見下ろす。そして)……ズズズ、ズズズズズズ……ッ!(触手たちがエディに絡みついていく。締め上げるような強さ、且つ、火であぶられるが如き熱さ。そしてなにより、触手に触れた部位から赤黒い痣が現れ、そこから新たな触手が、エディから生え始める。一体化しようとしている) 」

エディ「(感覚そのものがない。あったとしても医師が受け付けない)視えない(未来が、夢が……消えて……) 」


夜が降りてくる、五感は全て闇に沈み心は投げ離された 」





–––––––––––––––……     カチッ 」




(寝室の奥に小さな灯火が見える。ウサギの刺繍がそこらじゅうに張り巡らされた部屋。暖かな明かりが冷徹な沈黙問いう暗がりの奥で息を潜めていた。キャロルが、ベッドに腰掛け頬杖をつき足を前後に振るっている) 」

エディ「どうしたキャロル。もう夢の中で好き放題暴れる時間だぞ、ランボーみたいにさ」 」

キャロル「夢の中で眠ってるから今の私は眠れないの。 おいたんこそ、シェンがやってるみたいにベッドの下の雑誌覗きに行かなくていいの?」 」

エディ「ベッドの下にあるのはベレッダだよ。ジェームズボンドが持ってるような渋いのじゃないけどさ(『隣いいか?』と言いたげに小首を傾げ) 」

キャロル「(『どうぞ』と返すように横へずれる)ねっ、おいたん。猫は蛇への擬態を好むってどういう意味? 」

エディ「さぁ、あの映画はとりわけ難しい言い回しが多いから一言じゃ言い表せないかな(苦笑して肩をすくめながら隣にそっと、不安定な腰掛けを揺らさないように腰掛け)ただ、そうしないとあの人は生きていけなかったっていうことじゃないかな。死んだように生きていくのは簡単だ、本当に『自分』であり続けるには、たとえ偽ってでも貫き通さないといけなかった…… みたいな?ははっ、ごめん。俺にもよくわからないな 」

キャロル「(足を抱くようにしコツンと帆を膝につけ瞳を覗き込むように)おいたんは、『何になれば生きていける』の? 」

エディ「……(一瞬怪訝そうに眉をひそめるが、心配かけまいとほおを緩め頭を撫でる)俺は俺だよ。元気な姪がいて、その姉貴に無茶振りされて……家族がいて。どれだけで 」

キャロル「 嘘 (はっきりと、ただ事実のみを活字に印刷して読み上げるように淡々と言い放つ)おいたんは一度も、あの日から一度も笑ってない。何があったの?ソリスはどこに行ったの、お父様はなんで殺されたの……なんで  なんでおいたんは『嘘』として生きないといけないの 」

エディ「–––––––(頭に乗せていた手を離し、まるで自身へ問いかけるように掌をじっと見る。やがて沈黙が続くうちに瞼をそっとおろし) 」

エディ「人間の手は、脆くて形を持たない。すぐに手放すし、すぐに捨てるし……それは親でも兄でも姉でもみんなそうだ。けれど何かにしがみつかずにはいられない。生きていれば失う、弱ければ捨て去る。それが怖いから『何も持たない』『何も失わない』 生きるためにずっとそうしてきた。だからまるで、今こうしてるのが、いつかは消える『嘘』なんじゃないかといつも気が気でない 」

エディ「それが何よりも『確実』な選択だと思う。『どうしたいか』じゃなくて『どうなりたくないか』、最悪の事態を避ける分にはまだ壊れずに入られる。ただの一度だって、二度とあんな思いはしたくないから 」

キャロル「–––––おいたん。(ベッドの上に立ちエディを『弟』を見るかのような、勝気な妹としての視線を向け、ポフッと音を立てて手を頭に乗せる)何も失わないよ。『個体が液体になるように、屍に花が咲くように。何かが形と失っても失うわけじゃない』 お姉ちゃんいつもそう言ってた。だから、おいたんは馬鹿みたいにエコ生活に浸ってないで、もう……自分をいじめないであげて 」

エディ「––––––(あっけに取られ、目を皿のように丸くし口を閉ざす だがそれは石膏のように固く冷たくはなく、色彩を取り戻したヒトであるかのような暖かさが包むような気がして……) 」

キャロル「–––––『たくさん友達を作って。たくさんいろんなものを好きになって、少し寂しいけど、誰かに恋をして』おいたんがいつもそう教えてくれた。それだけは嘘じゃなかった。おいたんはそうしたかった   」

エディ「……(不意に、涙交じりの乾いた笑みがこぼれる そういえばそんなこと言ったな 大局的な生き方を意思で選んはずなのにと、嗜虐するように)友達ならいるさ、少ないけど。 恋人は……どうかな、好きな人とかそういうのよくわからないから 」

キャロル「いけずぅ(クスクスと年頃の少女のように意地悪く薄く笑み、ランプのスイッチに指を添える)ねっ、おいたん –––––“待ってるから” 」

エディ「––––––––……。……ッ  ああ……   カチッ(照明が消える、闇が降りてくる。視界が閉ざされ)……(腕には確かな”熱”が残った) 」

エディ「––––––負け続けるのは終わりだ。俺の心が弱かった、そんなのはもう終わりだ…… 全部取り戻すぞ、この腕がある限り。”生きている”限り、何度でも……–––––––!! 」







–––––––––––––  チッ チリ…… (タタリガミの呪いはロビー全体にまで及んでいたエディの影も形も見えない職種の塊 そこに蒼炎が、一つの色彩が灯る) 」


イガルク「――――。(まばたき一つせぬその眼球は蒼炎をしっかりとらえる)



–––––––––【Code/11 イクリプス】。厳定解除、承認 魔素吸収 肉体再構築シークエンス稼働 –––––10%–––––15%–––––30%–––––60%–––––99%……… 」

–––––––––––100%




エディ「シュ ヴ ォ   ァ ァ ァ ッッ (檻を突き破る銀狼のように、蒼炎が触手を蹴散らし天井を突き破る光の柱となって爆発的に熱を膨張させ) ヒュォ…    ┣¨ォゥッッ!!! (一筋の閃光が雷が如くイガルクの前に落ち、全身に蒼炎へと姿を変えた電流を纏う彼が、片膝をついて着地した) 」

イガルク「……―――!! ■■■■■―――――!!!(光の柱と共に現れるエディを見るや、城中に響き渡る咆哮を発する。そして、触手を大翼のように広げ、その光に負けないほどの暗闇を生み出す)――――グォオン!!(彼の左手に暗炎が宿り、それを握りしめるや、神速ともとれる拳を繰り出す) 」

エディ「––––––ジジィ、あんたは言ったな。『死ぬしか救う術はない』と(光は収まり、音もなく揺らめく疎遠だけが残り辺りが暗炎にのまれようとする中、指の関節を一本一本鳴らして握りしめ)なら殺 すさ。だが寝かしつける気はねぇ(立つことすらままならないほどの傷を負っていたはずにもかかわらず、両の足をつけて立ちふさがり、伏せていた顔を上げ、薄く笑む) ゴォゥッ!!!!!(咄嗟にL字に腕を曲げ左腕を真っ向から受け止める 衝撃は貫通し腕には切れ込みが亀裂のように走り血飛沫が上がるが)」


––––––ズ┣¨ァ!!!!(銃撃にも似た咆哮を上げ、先手を打たれたにもかかわらず確かな打撃を負ったに関わらずその激痛を無視するかのようにしっかりと足をつけ、大振りのブローをイガルクの顔面へ放ち青い閃光が瞬いた)


イガルク「――――ッ!!(青い閃光が眼前に現れる。躱す術もなく、顔の中心へとめり込んだ)ぐが…っぁ……ッ!? (千切れた花弁のように宙を舞う、それと同時に、触手が泥のように形を崩していき、腐臭が周囲に散らばっていく) 」

イガルク「ドサァ!(勢いよく倒れ、しばらく泥の中に埋もれていたが、ゆっくりと体を起こす。)……ゼぇ、ゼぇ、ゼぇ……(その顔色は確かに人間らしさが垣間見れている。だが、肝心の闘気は潰えていない) 」

エディ「(『一度ぶち殺した』一か八かだったが、なんとかなるもんだな心肺停止と心肺蘇生の同時進行)スッ……(左腕の付け根に右手を添え––––)ゴギンッッツ(遠くからでも耳に届くほどのグロテスクな音を響かせ、内側でちぎれかけていた肉を、神経を『蒼炎』が代替になり修復されていく)最悪の寝顔だったよ、あれはホームビデオじゃ流せないな(憎まれ口を吐き出すが、一切の屈折のない微笑を浮かべ、蒼炎をまとった指を二本立てる 『立てよ』と言わんばかりに) 」

イガルク「うう、う゛う゛う゛う゛……ッ!! ぐがががああああああああああ!!!(再度、獣のように咆哮する。 全身に暗炎をまとい、自身をふくむ何もかもを鋳溶かしてしまうほどにまで熱量を上げる)あぁぁああ!!(低く沈んだ瞬間からの活歩。韋駄天の如きソレからは無数の拳と暗炎がエディに舞い上がる) 」

エディ「Lets dance<悪魔と踊ろう>-----  ヒュゴッ…‥(『回避する間すら無為だ』と言わんばかりに真正面から突っ込み頬を抉るように連打の一発が捉える首がひしゃげのけぞるが)り”ァ”ァ!!(一歩、構わず前に大きく踏み込み、”怯まない”スーパーアーマーと、血を肉を骨を魔素で代替し是が非でも戦い続ける能力を持ってして前進し)ギュオァッ!!!!(前進に打撃を負いながらも正面から渾身のアッパーカット気味のブローを初撃として打ち込もうとする) 」

イガルク「(対する彼は、攻撃性を極限まで引き上げ、あとは気合と根性戦法。ケダモノのように吠えたてながらブローをもろに受ける。だが…)ぐあああ!!(痛みに顔をゆがめるが、その度に浮かぶリズの微笑み、キャロルの笑顔。傷付くたびに浮かぶそれが彼の内なる信念を更に加速させた) ががああああああああ!!!(今尚、波打っている鼓動に誓う。 燃え尽きるまで走り続けようと。例え最後の最後で骨しか残らずとも、彼女等に永遠の夜を与えられるならば) 」

エディ「–––––––(咆哮、身を焦がすような想い、覚悟、そして……『黄金の精神』。焼き尽くさんと迫る熱を真っ向から受け止め、全身を熱した鉛に掌握されるが如く痛みを感じながらもしっかりと彼を見据え)––––イガルク(彼の拳ば迫る中、悪夢のような現実をこの手ェで変えられるのなら、このただ一つの想いを貫けるなら。迷いはないと静粛の中囁き)この身喰らいて駆けろ、銀の餓狼––––––!!(言葉にならない叫びが、雷鳴に溶け込むように児玉した。 腐食し、剥製にし移植された『肉親の腕』に、確かに姉妹が諦めた未来を、自身の叶えたい夢への願いを乗せ)  ズ ァ  オ   ッ  (蒼炎の瞬きを纏った拳の “一閃”を振り抜く) 」

イガルク「――――――ッ!(拳の一閃が容赦なく己を貫通する。 おびただしい程の血が流れ、暗炎を鎮火させていく)……が、ガ…、あぁああ……!(瞳はカタカタと震え、体の動きもおぼつかない。その足取りのまま廊下へ一歩また一歩と後ずさりしていく)……リ……ズ……キャ、…ロ……(カクンと力が抜け落ち、廊下の割れた壁から、地上へと勢いよく落ちていった) 」


ドシャアアっ!!(数秒した後、地上に肉体の落ちる音が響いた)


エディ「(肉体が落ちる音を背を向けたまま聞き届け、蒼炎が収まり『形だけ』体が週空kされると、焼け付くような痛み故に震える腕で耳に仕込まれた無線機を軽くノックし)–––––アニマート。中庭に侵入者、北館付近だ。早急に対応を頼むよ(不躾に、一方的に用件を伝え無線を切る)…………ザリッ(長い沈黙、ようやく片足を引きずりながら一歩前へ踏み出し、吐息交じりに乾ききった声で囁く)



–––––––– お迎えの時間に遅刻するなよパパさん。さっさと起き上がってこい



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最終更新:2020年09月27日 22:54