純白の鉄腕が唸りを上げ、高層ビルを殴り飛ばす。
壁面のコンクリートに網目状に走る罅、直後、粉砕される人の文明。
轟音とともに跳ね上がった瓦礫と土煙が瀑布の如くに落下する。
現実感を根こそぎ吹き飛ばすような暴挙に、雪村は一瞬だけ瞠目し、直ぐに意識を切り替える。
驚くな、揺れるな、今更常識に囚われて動きを止めるな。
当たり前は覆る。そういう物だと思わねば、この先の戦いを生き残ることは出来ない。
巨大なる機神は、その見た目に似合わぬ高機動をもってこちらに襲いかかってくる。
九門の砲の乱射に加え、遂にはその両椀を振るい、近接戦闘を織り交ぜてきた。
左の鉄腕によって邪魔な高層ビルを払い除け、次いで右腕によって叩き潰さんと振り上げる。
対して、空中で身を捻る黒の鉄騎。
落下してくる瓦礫と敵の右腕を縫うような軌道で躱しながら、回り込んで急上昇。
敵の上空に位置取り、その反撃を実行する。
「マキナ―――神機変装(フォームチェンジ)!」
『あい・こぴー!
コード:オレステスより、アポロン実行……!』
鉄騎の主武装であった鉄塊の棍棒が強烈な閃光を発しながら弾け、新たな武装に変じていく。
同時に漆黒の装甲が一部再構築、合わせてカラーリングも組み変えられていく。
現れたるは銀の大弓、それを掴む腕部には同じく銀の鉄籠手が装着されていた。
黒の機体、その右腕部籠手から頭部右眼に至るまで、ラインを引くように刻まれた銀色。
フォーム:アポロン。
神機融合モードにおける、遠距離特化形態である。
『即時、仮想宝具起動回路励起――All's well that ends well(終わりよければ全てよし)!』
「是――――『汝、地平を穿つ白銀(シューティングアース・ディロス)』」
天より落とされし銀閃。
換装から間を置かず、地を砕く仮想宝具の一射が機神へと放たれた。
巨大天使はその速度から回避は不能と判断したのか、両腕をクロスし、胎児のような防御態勢に移行する。
展開していた六枚の翼が前方に突き出され、巨体を包み込むように閉じられた。
白の翼と銀の矢は数秒ほど拮抗。そしてバウンドするかのような不可解な挙動で、まるで表面に弾力でもあるかのように、あらぬ方向に矢が弾かれる。
『敵機、損傷無し!
やはりこの仮想宝具では、重力障壁を突破できません!』
「―――ちっ、これでも駄目かよ!」
戦闘開始から、ただの一撃も与えられていない現状。
仮想宝具という、大量の魔力リソースを吐き出して尚、打開策は見えぬままタイムリミットが迫りくる。
機神は羽を格納し、お返しとばかりに再び九門の砲を開いていた。
乱れ飛ぶ赤い雷撃と鉄腕の追撃。
それらを躱し、余波による筋肉痙攣に蝕まれながらも、雪村はマキナへと笑いかけた。
「だが、敵さん初めて"防御"しやがった。意味がなかったわけじゃねえな」
『いえす、ますたー。ひんとを基に解析、あんど自己改造を続行します!』
巨人は常に重力制御の守りを展開しており、通常の攻撃では押し切れる気配もない。
仮想宝具を使用して尚、体勢を変えさせただけに過ぎない。
それでも男は良しと断ずる。一向に答が示されずとも、僅かな挙動から真相を深掘る。
今までもずっとそうしてきた。それしか出来ないから、それをやるのだ。
窮地にありながら、このとき男の意思は聖杯戦争が始まって以来、最高の過熱を見せていた。
まだ死ねない、死ぬわけには行かない。
黒幕との邂逅、そして遂に触れた"蛇"の手がかり。止まっていた針が、漸く進もうとしているのだ。
マキナにもその意思が伝わったのか、彼女もまた弱音一つ吐かず、男に並び立つ闘志を発揮していた。
『ますたー、近接戦闘を開始して以降、敵機の重力壁が一部脆くなっています。
よって精度を突き崩す余地はG加速度の過多、或いは対処するGの方向過多にあると推定』
「理屈は分かんねえが、結局どうやったらアレを破れる!?」
『制御を突き破る威力の攻撃を持続的に行う。
あるいは、複数方向からの自然重力に晒すことができれば、一時的ですが重力壁を無力化することが可能かと!』
前者、力ずくの貫通は―――高威力と貫通性を備えた宝具によって、たった今試した。
結果は示された通り。
そして後者はつまり、敵を複数方向の重力に晒し、制御を失わせるという試み。
例えば、あの巨体を遥か上空に打ち上げることが出来れば、落下の際は姿勢制御の為の重力操作で手一杯となり、防御に回すリソースを一時的に奪うことが出来るだろう。
しかしそのような手段があるとは思えなかった。
白の巨体は鉄の両脚でしっかりと大地を踏みしめている。
その総重量を持ち上げる程の攻撃が可能であれば、そもそも前者の方法で突破を試みればいい。
「だったら、いよいよプランBしかねえな!
試してる余裕はねえし、ぶっつけ本番だ! 腹ァくくれよ、マキナ!」
『がんばりますっ!』
残る魔力はあと僅か。
仮想宝具に回せるリソースは、おそらく一回が限度だろう。
いよいよ目前に迫る終末に、神と人は、合一された意思をもって挑みかかった。
◇
二つの戦場で白と黒が相克する。
一つは、白の機神と黒の鉄騎、二つの機構が織りなす螺旋。
そしてもう一つは―――
「くーーーーたーーーーばーーーーれーーーーーーーージジィーーーーーーー!!!!」
黒き流星群が飛来する。
ソニックブームを炸裂させながら夜空を飛行する星神。
天津甕星は災厄の雨を投下する。
小手調べは既に終えた。
これは掛け値なしに本気の攻勢、なんなら常時の本気を上回るほどの程の全開だ。
身を削って放つ事で成り立たせていた高火力の宝具を、何のデメリットもなく乱発する。
本人曰くズル。どこかのニートな少女が表現するならばチート。
そういう無法のコスト踏み倒しでもって、避け得ぬ破滅を顕現させる。
「二度も言わせるな―――雑だ」
で、あれば、真に異様たるは、それを前にも動じぬ者だ。
応ずる槍兵は尚も不動。
己が二足で大地に悠然と立ち、落下する凶星を俯瞰する。
行うは必要最低限の動作のみ。
建国の王者は無駄を削ぎ落とした流麗な所作で槍を取る。
老いてなお鍛え抜かれた頑強な上腕、回旋鍵板が唸りを上げて引き絞られる。
全身を腰だめに構えた鉄槍。
氾濫する魔力が一瞬、後方に立ち昇ったと見るや、輝きの軌跡が夜を貫いた。
「――――――なッ!?」
連鎖爆発する黒光と白光。
杉並の空が二色の華火に塗りつぶされていく。
下方で咲き続ける光の花々に、アーチャーは己が眼を疑った。
一発一発が城を崩す宝具の乱射を、槍兵もまた自らの宝具、神速の槍撃をもって全て撃ち落としているのだ。
言葉にすればそれだけの、しかし驚嘆するべき結果が現実として目下に在る。
「あんた……なんなの……?」
先ほどと全く同じ台詞。
しかし、込められた感情はより強い。
「おかしい……絶対におかしい……なんでこんなデタラメが可能なわけ?」
割と自分のことを完全に棚に上げた発言だが、彼女の疑問もまたむべなるかな。
アーチャーは己の無法がある種の特例であることを自覚している。
無限の動力。正直に感想として、それをフル稼働させた今、恐怖すら感じたのだ。
普通に考えれば、こんな代物を、おいそれと渡していい筈がない。
黒幕に対して使えないという制限を加味しても、こんなデタラメなアイテムがあっては、聖杯戦争という儀式の体裁が破綻しかねない。
ならば、黒幕は、あのキャスターは、"それならそれで構わない"と思っているのか。
―――貴様は今が、どういう時期だと認識している?
運命の加速。タイムリミット。
先ほどの老王の言葉が過る。
いずれにせよ、これは特権だった筈だ。
あり得ざる運営用アイテムの齎した天災を、何故、ただの槍兵が自力のみで受けきれるのか。
「―――片腹痛し。先程の神霊の小娘といい、神が聞いて呆れるわ。
視線、指、なにより気配。何もかもが愚直で芸が無い。
貴様らは戦というものを、まるで理解していないと見える」
「そんな話してない!」
技の精度、戦の理解によって弓兵の攻撃が捌かれ続けている。
それはしかし、根本的な疑問の回答には成り得ない。
不条理の前に現れた不条理。アーチャーは黒き光と落とし続けながら憤慨する。
「なんであんた――――未だにっ―――そんなっ―――元気いっぱいなのっかってっ―――聞いってんっのッ!」
宝具を撃ち落とすために放たれる宝具。
弓兵の無法は永久機関によって説明がつく。
しかし槍兵の拮抗は、一体どう説明すればいい。
無限の動力も持たず、陣地形成スキルを持つクラスでもない。
今に至ってマスターのフォローすら受けていない一介の槍兵が、どうやってこれほどの魔力を維持している。
いや、それどころか―――
「分からぬか? だから雑だと言うのだ。弓兵」
「嘘でしょ―――」
天に咲き乱れる華火を突き破り、白き一閃がアーチャーの脇腹を掠めた。
直撃を避けたにもかかわらず、逃れきれぬ破壊力の奔流が星神の身体を撃ち落とした。
「なんで、急に―――!?」
ランサーの宝具、その出力が上昇している。
槍撃のレンジが不意に拡張され、対空する弓兵を撃ち落とすまでに伸び上がったのだ。
「急だと? 別にこの程度なら最初から出来たぞ。
駆け引きと呼ぶ域ですらないが、つまるところ戦とはこうやるのだ」
墜落しながら、アーチャーは地上で待ち受ける敵の姿を改めて睥睨する。
宝具の撃ち合いを継続しながらも、消耗を伺わせるどころか頑強さを増していく槍兵の霊基。
遭遇した時点よりも明らかに強化されている。なんらかの補正が掛かっているとしか思えない。
それも現在進行系で効果を増し続ける、不可解な現象だった。
「では―――王令を下す。処(ころ)せ、スパルトイ」
そして、落下する弓兵を待ち受ける者は王一人に非ず。
命を受けた二体の従者が、高層ビルの屋上から星の神に飛び掛かる。
ランサー、カドモスの第二宝具。
『我が許に集え、竜牙の星よ(サーヴァント・オブ・カドモス)』。
サーヴァントに伍する性能の竜牙兵、その総勢五体。
内、此処に推参する兵(つわもの)は二体。
他の三体は臣下の少女に貸し与えている為不在であるが、王はこの状況になんら不足を覚えていない。
黙し語らぬ人格なき青銅の兵団。
一体は剣を抜き放ち、もう一体はその背後から矢を放つ。
「ちか……よんなッ!」
高度を落としたといえども、空は未だに星神のテリトリー。
アーチャーは空中で身体を捻り、体勢を地面に対して逆さにすると同時に腰部を旋回。
両脚をぐるんと乱暴に振り回して、近接の間合いに入っていた竜牙兵を蹴り飛ばす。
更に続く動作で矢を引き絞り、後方のもう一体を撃ち落とす。
ほぼ同時に二体の竜牙兵が空中で弾き飛ばされ、高層ビルの壁に打ち込まれるようにして姿を消した。
それを横目に、アーチャーは懐の炉心を強く握りしめる。
無限の動力が素早く霊基の修復を開始する。適合者ほどの即効性はないものの、脇腹の傷口は徐々に塞がっていく。
ものの数分も経てば、跡も残らず消え去ろうだろう。
しかし――――
「何故、手を止める? どんなカラクリか知らぬが、そんな物に頼っているから鈍るのだ」
「―――――!?」
三度目の衝撃が脇腹を襲う。
今度こそまともに槍撃を受けてしまったアーチャーは、スパルトイの軌跡をなぞるようにビル壁へ打ち込まれた。
「敵の姿が見えなくなったときにこそ、警戒し身構えるものだろう」
その槍撃は、建造物一棟を隔てた場所から放たれていた。
壁抜き為らぬビル抜き。死角からの攻撃は弓兵の特権ではない。
そして、同じ場所に三回も被弾したのは偶然ではないだろう。
「やはり硬い。しかし、2、3ほど間を開けずに突けば流石に堪えるか?」
「あ~~~~もう! ムカつく~~~このジジィ!」
追撃に差し向けられた竜牙兵を迎撃しながら、アーチャーは憤慨しかけていた。
だが一方で、今このとき相対する竜牙兵ですら、星神と正面戦闘が可能な性能を発揮している事実に、ぞわりと冷ややかな予感を得る。
ランサーは強敵だ。流石に認めざるを得ない。
不可解な強化は現在進行系で続いている。このまま戦い続けることに、潜在的な脅威を感じている。
高速戦闘を継続しながら、アーチャーは考えていた。
どうするべきか。
キャスターに異常を伝え、連携を図るべきか。
いっそのことランサーの相手を取りやめ、救済機構を集中狙いした方が仕事が早く済むかも知れない。
早々に二対一の構図を作ってしまうべきなのでは。
と、丁度このように思考した矢先のことであったのだ。
「思ったより早かったな」
老王の声が発せられた、数瞬の後。
アーチャーとランサーの間に聳えていた建造物を数軒纏めて轢き潰し、巨大なる機神が現れる。
間を置かず開かれる九つの砲、真紅の雷撃がカドモスを狙って放たれた。
躱す素振りも見せぬ老王は握る鉄槍を一振りし、
「―――神機変装(フォームチェンジ)!」
『コード:ヒケティデスより、アテネ実行!』
代わりに雷撃を受け止めた黒の鉄騎、大盾に換装したデウス・エクス・マキナと入れ替わるようにして、神速の槍撃を撃ち返した。
「―――我過ちし栄光の槍(トラゴイディア・カドメイア)!」
レンジの拡張された光の放射は、白の機神の前面装甲に直撃。
やはり重力の壁の前に弾かれたものの、その巨体を数歩後ろに下がらせていた。
「余計なことをするな無礼者。邪魔だ」
「せっかく助けてやったのに、酷え言い草だな爺さん。そろそろちゃんと連携しようぜ」
『当機からも! こんびねーしょん、を推奨します』
悲劇の老王と救済の鉄騎。
ここに、相反する属性を持つ2騎が並び立っている。
「連携だと? これは異なことだ。貴様らは儂と共闘でもしているつもりだったのか?
だとしたら勘違いも甚だしいな。せいぜい役に立ってから死ぬことを許可したに過ぎん」
「役に立つ前に死ぬなよってことか。激励痛み入るね」
「喧しい。儂の邪魔になるようであれば、戦の最中であろうが即座に打ち捨ててやろう。肝に銘じておけ」
向かい合うは悪なる星神、そして―――
「情けない。炉心を握りながら何をしている? アーチャー。
バカ火力だけがおまえの取り柄だろうに」
針音の術者、永久機関の発明者。
オルフィレウスの時を刻む両眼が、機神の上からアーチャーを見下ろしていた。
「あのねえ、見て分かんない? あのランサーどう考えてもおかしいでしょうが!」
「そのようだな」
「そのようだな……じゃないっての!
あんた黒幕名乗ってんだから、あいつの正体とか分かってるんでしょ?
一体どういうカラクリなワケ?」
理不尽な誹りに全力で抗議するアーチャーへと、全てを掌握する筈の黒幕は、軽く顎に手を当てて呟いた。
「さてな」
「―――はあ!?」
「だが、今に分かるだろう。実験はもうすぐ終いだ」
そうして合流する二つの戦場。
状況はいよいよ混戦に至り、この戦場における最終局面が近づいていた。
◇
「では、《Seraph=Ζήνων》試験運用―――最終段階に移行する」
オルフィレウスは実験の締めくくりを宣言する。
もう充分、取るべきデータは蓄積した。
救済機構にも、老いた王にも、もはや利用価値は見いだせない。
ぱりぱりと耳障りな音が鳴る。
機体から発せられる電磁波が街全体を覆っていく。
デウス・エクス・マキナ、カドモス、ついでに天津甕星も巻き込んで、運動性能を蝕む赤い電磁場が拡張される。
「ちょっ……とぉ、私までビリビリしてるんですけど……!」
「炉心の自動修復で補える範囲だろう。いちいちうるさいな」
次いで開かれる砲門。赤き雷撃の放射に、今度は弓兵の射撃も重なっては手が付けられない。
遂に運動機能の限界を迎えたマキナは防御特化フォームを解くこともままならず。
砲撃を受け止めた盾ごと押し流されて地面を転がっていた。
星の悪神に対して互角以上の立ち回りを見せていたカドモスでさえ、全身に纏わりつく雷撃を払えず、片膝をついている。
あっけないな、と。
拍子抜けた様子で、アーチャーは状況を俯瞰していた。
あれほど強固な存在に感じた槍兵も、機神を相手に粘り続けていた鉄騎も、いとも簡単に動きを止めてしまった。
とはいえ考えてみれば当たり前のことだった。
永久機関、そのフル稼働する炉心を二つも戦地へ同時に投入してしまえば勝負が成立する筈もない。
「無様だな」
理不尽を押し付ける術者は、泥まみれの鉄騎を見下ろしている。
彼は今も、雪村鉄志をみていない。
男の纏う装甲、そこに宿る神霊のみを見つめている。
「こんなものか、救済機構」
お前など取るに足りない。
「人類(ひと)はボクが救っておく。ボクなりのやり方でね。
最期には全部が報われるんだから、安心して盃に溶けろよ救済機構。
きみの物語(ごつごうしゅぎ)は、それで帳尻が合うだろう」
歯牙にも掛けぬと宣言していながら、どことなく落胆を滲ませる声。
「どこがだよ……」
「なに……?」
「俺達のどこが……無様だって聞いてんだ」
誰が見ても満身創痍の様相で、男は遂に膝をついている。
「泥だらけで、血まみれで、それで掴めるもんがあるなら、構わねえよ俺は。
なんにも分かんねえ内に、全部取りこぼしちまうことに比べりゃな」
魔力は底を尽きかけている。
体力は限界に差し掛かっている。
「一つ推理を披露してやるよ」
それでも彼は笑っている。
傷ついても、痛んでも。それでも求めるものに近づけるならば喜んで受け入れる。
「俺は一ヶ月、ある程度この街を調べてきたつもりだ。
だから、テメエのデカブツがどこで作られてるか、大体は検討ついてるぜ」
針音の主は答えない。
言葉の続きを待っているのか。そもそも興味がないのか。
「結論を言っちまえば、こんな物を隠せる場所は、この街にはねえ。
だったら、まあ、そういうことだろ?」
所々装甲が剥がれ、生身の除く指先を一本、上に向けた。
「天上だ。テメエの工房はそこにある。
高いところからのゲーム盤を見下ろすのは楽しいかい、黒幕気取りが」
「言いたいことはそれで全部か? ならばもう終わらせるが。
結局、予想通りの実験結果だったな」
少年の腕が上がる。
残酷な科学者の決定が、物語(ページ)を読み飛ばす。
同時に、悪神の弓が引き絞られていく。
長時間磁場に晒された鉄騎に、それを躱す余力はない。
雪村鉄志の運命、至るべき筋書き、辿るシナリオを中断する。
デウス・エクス・マキナの運命、その小さな胸に抱えた夢、科学者の望みと対極に位置する到達の道程を切断する。
「何が推理だ。それを知ったところで何ができる?
土に塗れて消えるが本望なら好きにしろ。規定通りの最期を迎えればいい」
オルフィレウスは興味を持たない。
彼の救済は個人の運命に向き得ない。
腕が下ろされ、彼らの物語が終わる、その間際に。
「―――土を食ってこそ分かることもあんだよ。
テメエこそ、たまには高えところから降りて泥に塗れてみろよ。
そんなだから、大事な事を見落としちまうんだ」
あり得ざる開門が行われた。
「―――"第三宝具"、開帳」
鉄槍が地に突き立つ。
「待ちくたびれたぜ、爺さん」
そのとき、杉並の大地が、なんら誇張なく、砕けて散った。
「―――『我が撒かれし肇国、青銅の七門(スパルトイ・ブロンズ・テーベ)』」
「――――な、なにそれっ!?」
「――――おまえ」
巻き起こる異常事態に、アーチャーの表情は驚愕に包まれ。
「おまえ、いったい、なにをしていた?」
このとき、この日、初めて針音のキャスターの表情に、怒りの筋が走っていた。
視線の先は、救済機構ではなく、膝をついたように見えていたランサー、地に触れていた一人の老王。
「……揃いも揃って、礼儀を知らぬ愚物共が」
重苦しい声が夜天に向けて放たれた。
都市の真ん中に穴が開いている。杉並区の路上、その半径7キロメートルにもわたる範囲が、円形にえぐり取られていた。
地面も、その上に立つ建造部も、円の内側の空間に吸い込まれるようにして落ちていく。つまり一瞬の地盤沈下。
穴の中心は杉並区西端の寺院、その地下。
聖杯戦争開始以降、そこから広がり続けていた青銅の地下空間。
それがこのとき、既に杉並の街の地下、その半分以上を飲み込んでいたのだ。
「……もう一度問う。
貴様ら、一体誰の領土で許可なく呼吸している?」
突如発生した地盤崩し。全員が巻き込まれていく。青銅の地下空間へと落下する。
不意に襲った浮遊と墜落。誰もが平等に意識を持っていかれる。
そしてそれは、彼らが待ちに待った瞬間なのだった。
『―――アポロン実行!』
空中の鉄騎が、銀の弓を構える。
狙いは一つ、突然の地盤落下に巻き込まれ、予想外の重力に囚われた白の機神。
「―――神機変装(フォームチェンジ)!」
今なら重力制御による防御は正常に作用しない。
乾坤一擲の宝具、光明の一射が過たず機神の頭部を捉え―――
「"令呪をもって命じる"」
たかに、見せかけた、
「"『第五の外装』を強制開放せよ!"」
宝具ではない、ただの射撃が不完全ながらも展開された重力壁に阻まれる。
『――あい・こぴー!
令呪承認。充填された予備動力をもって、試作段階の外装、その一部を限定解禁します!
――コード:バッカイ及びボイニッサイより、カドモス限定実行!』
雪村鉄志の令呪(オーダー)にマキナが応える。
鉄騎の右半身が白き装甲に変じていく。
主武装は弓から槍へ。
此処で育て上げた、マキナの解釈が結実する。
『解釈一致率、70%に到達!
令呪による加算を行い、仮想宝具起動条件を満たします!』
「行くぜ爺さん!」
『時の氏神は、掲げる慈悲を此処に示す。
仮想宝具起動回路励起――All's well that ends well(終わりよければ全てよし)!』
「合わせてくれよ!」
落下の渦中、神速の槍撃が迸る。
二つ同時に、背中合わせに、全くの逆方向へと。
「―――――――『我過ちし栄光の槍(トラゴイディア・カドメイア)』!」
「是――――――『我過ちし栄光の槍(トラゴイディア・カドメイア)』!」
鉄騎によって胸部装甲を撃ち抜かれた機神が体制を崩す。
老王によって脇腹を四度抉られた星神が弾き飛ばされる。
そして、この瞬間のみ、二機の炉心が、全くの同時に動きを止めた。
「今しかねえッ―――連続、変装ッ!!」
これが彼らの作り出したかった隙。
ただ一つの活路。
是と定めた、待ちに待った、離脱の好機だったのだ。
「……キツイだろうが、頑張ってくれ嬢ちゃん!」
『―――コード……イピネゲイア……より、アキレウス実行……!!』
装甲に緑色のラインが走る。
白鉄の槍が弾けて消え、代わりに現れた主武装は――――
『仮想宝具起動回路励起――!!』
大型の二輪戦闘車両。
それ即ち――――
「是――――――『『疾風怒濤の不死戦車(トロイアス・トラゴーイディア)』!」
重力に逆らい、天への飛翔を為さしめる。
最速の仮想宝具(オートバイ)である。
「さあ突っ走るぜ! 星の如くなッ!」
『たーぼ全開!!
―――このまま戦域を離脱します!!』
凄まじい負荷によって青銅空間へと飲み込まれていく三騎を置き去りにして、黒の鉄騎は空へと昇っていく。
作戦通り、追撃を躱し切り、ものの数秒で杉並区のエリアを脱出する。
そうして今まさに、隣の区の境界に差し掛かる。
その、直前のことだった。
『―――前方に障害物ッ!?
ますたー、回避を――――!!』
「――――な―――あ――ッ!?」
夜空に、真っ赤な華が咲いた。
星神の黒光ではない、老王の白光でもない。
それは鉄の装甲が大破したことによって巻き起こった華火。
成功する筈だった離脱劇。
その目前で、戦車は不可視の壁に激突したのだ。
「これ――は―――?」
熱に包まれる装甲の内側で、警告音(アラート)が鳴り響く
全身を切り刻まれるような衝撃の最中で、雪村は気づいた。
「――――虫――――?」
白き機械の群れが、杉並の境界を包囲するように覆っていた。
それは薄く張り巡らされた、まさしくぶつかるほどに接近しなければ分からない悪辣な壁。
『ますたー! 墜落します! しっかりしてください! ますたー!!』
薄れゆく意識の中で。
雪村は見た。自らを絡め取った敵の正体を。
空中に張り巡らされた純白の機械甲虫が羽音を響かせている。
まるでこの街に巣食う蝗害を模したような。
その表面に小さく、銘が刻まれていた。
――――《Seraph=Ψυχή》。
◇
「逃がすと思うのか、間抜け」
オルフィレウスの腕が下ろされ、裁定は下された。
「それでボクの裏をかいたつもりだったか?
甘いんだよ救済機構、実験機が一機だけだと誰が言った。
分かりきった逃げ道を塞がぬ理由がどこにある」
指先で自分の膝下を忙しなくつつき、彼は忌々しげに吐き捨てた。
東の空で散りゆく存在へ、続けて容赦ない追撃を加えんとし。
「鉄くずになれ。《Seraph=Ψυχή》、試験運用―――開」
「なんか、随分必死じゃん」
隣の少女の一言に、その動きを止めた。
「なんだと?」
「いや、随分とムキになっちゃってさ。
ホントに必死なんだなって、思っただけだけど」
起動しようとしていたセラフシリーズの二号機を静止させ、聞き捨てならない言動を咎める。
「それはボクのことを言っているのか?」
「他に誰がいんの?
あっちのデッカイのやつ使って。これだけで充分だ、既に過剰火力だがね……。
とか言ってたくせに、あくまでついでじゃなかったの?
前言撤回してでも殺しにかかるなんて、よっぽどあの子が怖いんだ」
「……………」
しばし、仏頂面で黙りこくった後、オルフィレウスはゆっくりと腕を降ろし、大きな溜息をついた。
恒星の資格者は現れ得ない。それが彼の一貫した結論だった。
ただし、仮にそう呼べる候補を想定するならば。
資格要件の一つとは、一度目を知り、太陽の光を知る者の推挙。
であるならば枠は最大6つであるはずで、しかし、ここに番外が存在するとしたら。
オルフィレウス。
サーヴァントでは唯一、一度目を記憶し、太陽を知る者。
もしも、デウス・エクス・マキナが資格者であるならば。
その擁立者は、他ならぬ彼以外にありえない。
好意でもない。まして共感ではない。
利用しようという打算ですらない。単なる同族嫌悪。
そして今の彼が、太陽を絶対と信じる彼こそが、敵であると定め。
敵に成りうると手を下そうとした、その事実こそが―――
「実験終了だ」
「もういいの?」
「当たり前だろう、必要なデータは揃ったんだ。
ならば此処にいる意味もない。それに―――」
二騎は正面に向き直る。
そこに未だ立ち続ける、老王の姿へと。
「あくまで事は実験のついでに過ぎない。
最初からずっとそう言っているだろうが、バカバカしい。
対処するべき課題が見えた。どうやらセラフシリーズには改善の余地があるようだからな。さっさと工房に戻って作業に入る」
青銅門の奥、そこに座する王。
それはただの老いさらばえた王ではない。
「一つ、見えたわ。愚かなる科学者よ」
建国の王。カドモス。
今は、そう呼ぶのが正しい。
「この催しに目的を持つのは貴様だが、一方で、儂を呼んだのは貴様ではないな?」
建国王カドモスの第三宝具。
『我が撒かれし肇国、青銅の七門(スパルトイ・ブロンズ・テーベ)』
その本質とは、侵食型固有結界。
「目的のある貴様が、よりにもよって儂のような存在を招く筈なかろうものなあ」
取り分け、土地霊脈への侵食にある。
第二宝具、『我が許に集え、竜牙の星よ(サーヴァント・オブ・カドモス)』との発動と当時に、その宝具は静かに起動していたのだ。
従者(スパルトイ)の出現と同じく、召喚直後に回りだす歯車。
建国の王。
真髄は卓越した槍術でもなく、サーヴァント級の従者5体でもなく。
彼が、ただ一人から国を始めた。
その伝説。カドモスの現界とは、王の遠征を意味しない。
その宝具は国始まりを再現する。
つまり、彼の召喚とは、
「この地は既に、我が国土である」
古代都市国家テーバイの出現に等しいのだ。
「あの、お気楽馬鹿女め……どれだけ厄介者を呼び込むつもりだよ」
オルフィレウスは此処に居ない自らの主を思い浮かべ毒づく。
一ヶ月かけて、地中深くで侵攻を続けた青銅領域は既に杉並区全域を覆っている。
今やこの地域は土地補正含め建国王のフィールドであり、放っておけば更に他の国まで侵食は広がるだろう。
「どうするの?」
「さっきから言ってるだろ、引き上げる」
「嘘でしょ、逃げんの?」
「好きに言え。ボクは意味のない行為に時間をかけない。意味のない思考にもだ」
テーバイの地で戦うにおいて、王は無双の強さを発揮する。
正面戦闘で打倒することは至難を極めるだろう。
たとえ天上に陣取る黒幕であろうとも。
これが杉並区におけるカドモスの強さ、向上し続ける王の出力の真相であった。
「好きに土地を耕していればいい。
猶予はセラフの改良が終わるまでの間に過ぎない。
それまで、限定された土地でのお山の大将を気取りを許してやる」
「御託は終わりか?
ならば処断する。首を差し出して並べ」
槍撃の過ぎた後には、幾つかの機械部品が散らばるのみ。
子どものような科学者も、星の悪神も、巨大な機神ですらも、青銅の大穴から姿を消していた。
「逃げ足の早い……」
地下に広がる青銅空間の中心にて、孤独な建国王は一人、歩き出す。
壁面をびっしりと青銅に囲われた回路はどこか、墓所のような静けさを湛えていた。
「針音の科学者か……厄介なことよな……」
空洞の最奥。
そこには一席の玉座がある。
聖杯戦争の最初期、陣取った寺院の地下、王を呼び出した少女の始まり地。
それはきっと、再び腰掛けた彼にとっても。
「どうやら、あまり猶予はないようだ。
……アルマナよ、おまえは如何にする?」
◇
「―――ご―――は―――」
窓ガラスを叩き割って転がり込んだビジネスホテルは、既に廃墟と化していた。
『ますたー……』
「心配すんな……俺は……大丈夫だ………マキナ……」
雪村はボロボロになりながらも杉並から脱し、隣の区に逃げ延びた。
蝗害の避難地域指定されていたそのホテルは、もう何週間も人が入っておらず。
手入れは行き届いていなかったが、今の彼らには無人であることが何より都合良かった。
傷と血に塗れたその姿は、誰がどう見ても正常な様相ではない。
魔力の現界を迎え、強制解除される鉄甲。
サーヴァントと分離した雪村鉄志の身体は吐き出されるように、ホコリまみれのベッドの上に倒れ込んだ。
『ますたー! ああ、どうしよう! どうしたらっ……!』
戦っている最中は落ち着いていたマキナも、極度の集中から解き放たれた反動か、オロオロと取り乱している。
「そんなデカい声出さなくっても……大丈夫だっての……すぐに動けるようになる……」
事実、雪村には寝ている暇などなかった。
遂に掴んだ蛇の手がかり、そして黒幕との遭遇。
すぐにでも調査を再開しなければならない。
いや、その前に、河二とナシロ、二人の同盟者に情報を共有しなければ。
いやいや、もっと以前に、身を隠さなければならないのだ。
今、黒幕やその息のかかった敵に遭遇しては、今度こそ切り抜ける自身はない。
「あれ? おかしいな……全然、起き上がれねえや……悪いマキナ、ちょっとだけ、寝かせてくれ」
浮かんでは消える、次の行動指針。
不思議なことに、身体は指一本動かすことが出来なかった。
「多分、ちょっと寝たら、また動けるように……なる、だろ……から……」
ぱたぱたと水を持って駆け寄ってきた小さな少女が、耳元で何かを叫んでいる。
「悪いけどさ、後で……起こしてくれよ…………」
小さな手が、雪村の傷だらけの手を握って、何かを伝えようとしている。
けれどもう彼の意識は微睡みに溶けて、上手く聞き取ることが出来なかった。
「ちゃんと……起こして……くれよ…………絵里……」
男の意識はゆっくりと沈んでいく。
深い、深い、闇の底へと。
【世田谷区・ビジネスホテル(廃墟)/一日目・夜間】
【雪村鉄志】
[状態]:気絶、疲労(極大)、全身にダメージ(大)
[令呪]:残り二画
[装備]:『杖』
[道具]:探偵として必要な各種小道具、ノートPC
[所持金]:社会人として考えるとあまり多くはない。良い服を買って更に減った。
[思考・状況]
基本方針:ニシキヘビを追い詰める。
0:――。
1:アーチャー(天津甕星)は、ニシキヘビについて知っている……?
2:今後はひとまず単独行動。ニシキヘビの調査と、状況への介入で聖杯戦争を進める。
3:同盟を利用し、状況の変化に介入する。
4:〈一回目〉の参加者とこの世界の成り立ちを調査する。
5:マキナとの連携を強化する。
6:高乃河二と琴峯ナシロの〈事件〉についても、余裕があれば調べておく。
[備考]
※赤坂亜切から、〈はじまりの六人〉の特に『蛇杖堂寂句』、『ホムンクルス36号』、『ノクト・サムスタンプ』の情報を重点的に得ています。
【アルターエゴ(デウス・エクス・マキナ)】
[状態]:疲労(大)
[装備]:スキルにより変動
[道具]:なし
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:マスターと共に聖杯戦争を戦う。
0:マスターを治療する。
1:マスターとの連携を強化する。
2:目指す神の在り方について、スカディに返すべき答えを考える。
3:信仰というものの在り方について、琴峯ナシロを観察して学習する。
4:おとうさま……
5:必要なことは実戦で学び、経験を積む。……あい・こぴー。
[備考]
※紺色のワンピース(長袖)と諸々の私服を買ってもらいました。わーい。
◇――――マテリアルが更新されました
『熱し、覚醒する戦闘機構(デア・エクス・チェンジ)』
新たな英霊外装が確認されました。
- 機動力特化型、フォーム:アキレウス(主武装:二輪戦闘車両)
- 中距離攻撃特化型、フォーム:カドモス(主武装:鉄槍)
※フォーム:カドモスについては、令呪『第五外装を強制開放せよ』による限定仕様。
今後、更にマキナによる英霊カドモスへの理解が進めば、形態が変更される可能性がある。
【杉並区・廃寺跡/一日目・夜間】
【ランサー(カドモス)】
[状態]:全身にダメージ(中)、顔面にダメージ、君臨
[装備]:なし
[道具]:なし
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:いつかの悲劇に終焉を。
1:当面は悪国の主従と共闘する。
2:悪国征蹂郎のサーヴァント(ライダー(戦争))に対する最大限の警戒と嫌悪。
3:傭兵(ノクト)に対して警戒。
4:事が済めば雪村鉄志とアルターエゴ(デウス・エクス・マキナ)を処刑。
[備考]
本体は拠点である杉並区・地下青銅洞窟に存在しています。
→青銅空間は発生地点の杉並区地下から仮想都市東京を徐々に侵略し、現在は杉並区全域を支配下に置いています。
放っておけば他の区にまで広がっていくでしょう。
◇――――マテリアルが更新されました
『我が撒かれし肇国、青銅の七門(スパルトイ・ブロンズ・テーベ)』
ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:- 最大捕捉:-
建国の王、カドモスの伝説。テーバイという都市国家の興りを再現する。
正確に分類すれば第二宝具は第三宝具の効力の余波であり、こちらの方が源流にあたる。
第二宝具を使用した瞬間に同時起動する侵食型の固有結界。
召喚された際に召喚者が優れた地脈を押さえていれば、撒かれた歯から生じた小規模な結界が地下から地脈へと根を張り、世界の修正力を相殺する。
これにより固有結界として派手さはないものの、じわじわと広がり続け、気がつけば手の付けられない規模の"国土"が誕生することに。
逆に言えば、召喚時に地脈の確保に失敗すればこの宝具は使用できない。
カドモスの治めたテーバイの国、その国内に立つ限り、カドモスは土地補正を受けながら地脈のマナを吸い上げることが出来る。
現在のところ、仮想都市におけるテーバイの国土は彼の拠点とした寺院の地下から、杉並区の地下全域にまで根を広げ、更に隣接する区にまで侵食を続けている。
【???/一日目・夜間】
【アーチャー(天津甕星)】
[状態]:脇腹に損傷(修復中)
[装備]:弓と矢
[道具]:永久機関・万能炉心(懐中時計型)
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:優勝を目指す。
0:立ち回りかあ、どーしよっかなあ……。
1:当面は神寂縁に従う。
2:〈救済機構〉なるものの排除。
[備考]
※キャスター(オルフィレウス)から永久機関を貸与されました。
・神寂祓葉及びオルフィレウスに対する反抗行動には使用できません。
・所持している限り、霊基と魔力の自動回復効果を得られます。
・祓葉のように肉体に適合させているわけではないので、あそこまでの不死性は発揮できません。
・が、全体的に出力が向上しているでしょう。
【キャスター(オルフィレウス)】
[状態]:健康
[装備]:無限時計巨人〈セラフシリーズ〉
[道具]:
[所持金]:
[思考・状況]
基本方針:本懐を遂げる。
0:セラフシリーズの改良を最優先で実行。
1:あのバカ(祓葉)のことは知らない。好きにすればいいと思う。言っても聞かないし。
2:〈救済機構〉や〈青銅領域〉を始めとする厄介な存在に対しては潰すこともやぶさかではない。
[備考]
◇――――マテリアルが更新されました
『無限時計工房(クロックワーク・ファクトリー)』
新たな発明品が確認されました。
・無限時計光虫〈機体名:セラフ=プシュケー〉
蝗害を模して作られた機械虫の集合体。戦闘機能以外にも色々と仕事があり、東京の監視と情報収集を担っている。
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最終更新:2025年04月15日 17:42